説明

電子機器

【課題】 導光部材によって液晶表示パネルの上面側を照明しても、液晶表示パネルに表示された情報を鮮明に見ることができる電子機器を提供する。
【解決手段】 光源16の光を側部から導入して面方向に導く導光フィルム18に、光拡散部20を液晶表示パネル13における表示領域15の周辺部に対応させて設けた。従って、光源16からの光を導光フィルム18で面方向に導いて液晶表示パネル13の上面側を照明する際、導光フィルム18の光拡散部20によって液晶表示パネル13における表示領域15の周辺部に対応する箇所を明るく照明することができる。このため、液晶表示パネル13に表示された情報が導光フィルム18の光拡散部20によって影響を受けることがないので、導光フィルム18によって液晶表示パネル13の上面側を照明しても、液晶表示パネル13に表示された情報を鮮明に見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子時計や携帯情報端末機、電子辞書などの電子機器に関し、更に詳しくは導光部材によって液晶表示パネルを照明する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子腕時計などの電子機器においては、特許文献1に記載されているように、液晶表示パネルの上面側に導光部材を配置し、この導光部材の一側部から光源の光を採り込んで面方向に導き、この導光部材で導いた光を液晶表示パネルの上面に照射させて液晶表示パネルを照明するように構成されたものが知られている。
【特許文献1】特開平10−188636
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の電子機器では、導光部材の一面におけるほぼ全域に光拡散部を設け、光源からの光を導光部材で導いて面発光させて液晶表示パネルの上面側をほぼ均等に照明しているため、導光部材の光拡散部によって液晶表示パネルに表示された情報がぼやけて見え、液晶表示パネルに表示された情報が見ずらいという問題がある。
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、導光部材によって液晶表示パネルの上面側を照明しても、液晶表示パネルに表示された情報を鮮明に見ることができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、情報を表示する複数の表示部を有する液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの近傍に配置された光源と、前記液晶表示パネルの上面側に配置され、前記光源の光を側部から導入して面方向に導く導光部材とを備えた電子機器において、前記液晶表示パネルの複数の表示部の周辺部に対応する前記導光部材の箇所のみに、光拡散部を設けたことを特徴とする電子機器である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、情報を表示する複数の表示部を有する液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの近傍に配置された光源と、前記液晶表示パネルの上面側に配置され、前記光源の光を側部から導入して面方向に導く導光部材とを備えた電子機器において、前記液晶表示パネルの複数の表示部の周辺部に対応する前記導光部材の箇所、及び前記複数の表示部の各間に対応する前記導光部材の箇所に、光拡散部を設けたことを特徴とする電子機器である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記導光部材は、可撓性を有する透明な合成樹脂からなる導光フィルムであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、光源からの光を導光部材で面方向に導いて液晶表示パネルの上面側を照明する際、導光部材に設けられた光拡散部によって液晶表示パネルの複数の表示部の表示領域の周辺部に対応する箇所を明るく照明することができる。このため、液晶表示パネルに表示された情報が導光部材の光拡散部によって影響を受けることがないので、導光部材によって液晶表示パネルの上面側を照明しても、液晶表示パネルに表示された情報を鮮明に見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、図1〜図3を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態1について説明する。
この電子腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部には、図2に示すように、時計ガラス2が取り付けられており、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋3が取り付けられている。また、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール4が配置されている。
【0010】
この時計モジュール4は、図2に示すように、上部ハウジング5と下部ハウジング6とを備えている。この上部ハウジング5と下部ハウジング6との間には、LSI7aなどの各種の電子部品を搭載した回路基板7が配置されている。また、下部ハウジング6の下部には、地板8が配置されている。この地板8は、その周縁部に設けられたフック部9が下部ハウジング6の側方を通り上部ハウジング5の側面に設けられた係止部10に係止されることにより、上部ハウジング5と下部ハウジング6とを一体的に取り付けるように構成されている。
【0011】
この場合、下部ハウジング6の内部には、図2に示すように、電池11やアンテナ12などの電子部品が回路基板7と電気的に接続された状態で設けられている。また、上部ハウジング5の内部には、図2に示すように、液晶表示パネル13がインターコネクタ14によって回路基板7上に電気的に接続された状態で支持されている。
【0012】
この液晶表示パネル13は、上下一対の透明な電極基板13a、13bの間に液晶(図示せず)が封入され、上側の電極基板13aの上面に上偏光板13cが配置され、下側の電極基板13bの下面に下偏光板13dが配置された構成になっている。これにより、液晶表示パネル13は、図2に示すように、上下一対の電極基板13a、13bに選択的に電圧を印加して液晶の配向を変化させることにより、電気光学的に情報を表示するように構成されている。
【0013】
この場合、液晶表示パネル13は、図3に示すように、その周縁部を除いて表示領域15が形成され、この表示領域15の外周部が腕時計ケース1の表示窓枠である見切部1aで覆われて外部から見えないように構成されている。また、この表示領域15内には、時刻、日付、曜日、アラームなどの各種の情報を表示するための複数の表示部15aが分割されて設けられている。
【0014】
また、この液晶表示パネル13の12時側(図2では右側)に位置する上部ハウジング5内には、図2および図3に示すように、LED(発光ダイオード)や豆ランプなどの光源16が配置されている。この光源16は、図2に示すように、回路基板7上に電気的に接続された状態で設けられ、その外周側に配置された反射部材17によって囲われて、発光した光が外部に漏れないように構成されている。
【0015】
また、液晶表示パネル13の上面側には、図2および図3に示すように、導光フィルム18が配置されている。この導光フィルム18は、可撓性を有する透明な合成樹脂からなり、図3に示すように、12時側の一側部が光源16に向けて延出され、この延出部18aの先端部が光源16の上側に接近して配置されている。
【0016】
この場合、導光フィルム18の延出部18aは、図2に示すように、液晶表示パネル13の上面から側方に向けて斜め下側に折り曲げられ、この折り曲げられた先端部が入光部として光源16の上側に接近し、この接近した入光部の先端面から光源16の光を採り込むように構成されている。これにより、導光フィルム18は、光源16からの光を延出部18aの先端部である入光部から採り込み、この採り込んだ光を導光フィルム18の面方向に導くように構成されている。
【0017】
この場合、導光フィルム18の下面には、図3に示すように、光拡散部20が液晶表示パネル13における表示領域15の周辺部の外周側に対応して設けられている。この光拡散部20は、面方向に導かれた光を導光フィルム18の下面から液晶表示パネル13の上面に向けて拡散することにより、液晶表示パネル13における表示領域15の周辺部を明るく照明するように構成されている。
【0018】
このような電子腕時計によれば、光源16の光を一側部の延出部18aの先端部である入光部から導入して面方向に導く導光フィルム18に、光拡散部20を液晶表示パネル13における表示領域15の周辺部の外周側に対応させて設けているので、光源16からの光を導光フィルム18で導いて液晶表示パネル13の上面側を照明する際、導光フィルム18の光拡散部20によって液晶表示パネル13における表示領域15の周辺部に対応する箇所を明るく照明することができる。このため、液晶表示パネル13に表示された情報が導光フィルム18の光拡散部20によって影響を受けることがないので、導光フィルム18によって液晶表示パネル13の上面側を照明しても、液晶表示パネル13に表示された情報を鮮明に見ることができる。
【0019】
この場合、導光フィルム18は、可撓性を有する透明な合成樹脂からなるので、液晶表示パネル13の上面側に配置しても、導光フィルム18の一側部に延出されて設けられた延出部18aを折り曲げることができ、この折り曲げられた延出部18aの先端部である入光部を光源16に正確に且つ確実に接近させることができる。このため、光源16および導光フィルム18を設けても、時計モジュール4の厚みが厚くならず、時計モジュール4をコンパクトに構成することができ、これにより腕時計全体の薄型化および小型化を図ることができる。
【0020】
(実施形態2)
次に、図4を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図3に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、液晶表示パネル13の表示領域15内において情報を表示する複数の表示部15aの各間に対応する導光フィルム18の箇所にも、光拡散部21を設けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0021】
すなわち、この導光フィルム18の下面には、図4に示すように、表示領域15の周辺部に対応する光拡散部20と、表示領域15内において情報を表示する複数の表示部15aの各間にそれぞれ対応する光拡散部21とが設けられている。この場合、複数の表示部15aの各間に対応する光拡散部21も、面方向に導かれた光を導光フィルム18の下面から液晶表示パネル13の上面に向けて拡散することにより、液晶表示パネル13における情報を表示する複数の表示部15aの各間に対応する箇所を明るく照明するように構成されている。
【0022】
このような電子腕時計によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、液晶表示パネル13の表示領域15内において情報を表示する複数の表示部15aの各間にそれぞれ対応する導光フィルム18の箇所にも光拡散部21が設けられているので、光源16からの光を導光フィルム18の光拡散部21によって液晶表示パネル13における複数の表示部15aの各間に対応する箇所を明るく照明することができる。
【0023】
このため、液晶表示パネル13の上面を実施形態1よりも明るく照明することができると共に、液晶表示パネル13に表示された情報が導光フィルム18の光拡散部21によって影響を受けることがないので、実施形態1よりも、表示部15aに表示された情報を鮮明に見ることができる。
【0024】
なお、上記実施形態1、2では、導光フィルム18の下面に光拡散部20、21を設けた場合について述べたが、必ずしも光拡散部20、21を導光フィルム18の下面に設ける必要はなく、例えば導光フィルム18の上面の所定箇所に反射タイプの光拡散部を設けた構成でも良く、また導光フィルム18の所定箇所における内部に光拡散剤を混入させて光拡散部を設けた構成でも良い。この場合、導光フィルム18の所定箇所とは、液晶表示パネル13の表示領域15の周辺部に対応する箇所、または表示領域15内における複数の表示部15aの各間に対応する箇所のことである。
【0025】
また、上記実施形態1、2では、電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の電子時計に適用することができるほか、電子時計に限らず、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)や電子辞書、電卓、電子カメラなどの各種の電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明を電子腕時計に適用した実施形態1を示した正面図である。
【図2】図2のA−A矢視における時計モジュールを示した要部の拡大断面図である。
【図3】図2の時計モジュールを示した拡大正面図である。
【図4】この発明を電子腕時計に適用した実施形態2における時計モジュールを示した拡大正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 腕時計ケース
4 時計モジュール
13 液晶表示パネル
15 表示領域
15a 表示部
16 光源
18 導光フィルム
18a 延出部
20、21 光拡散部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する複数の表示部を有する液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの近傍に配置された光源と、前記液晶表示パネルの上面側に配置され、前記光源の光を側部から導入して面方向に導く導光部材とを備えた電子機器において、
前記液晶表示パネルの複数の表示部の周辺部に対応する前記導光部材の箇所のみに、光拡散部を設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
情報を表示する複数の表示部を有する液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの近傍に配置された光源と、前記液晶表示パネルの上面側に配置され、前記光源の光を側部から導入して面方向に導く導光部材とを備えた電子機器において、
前記液晶表示パネルの複数の表示部の周辺部に対応する前記導光部材の箇所、及び前記複数の表示部の各間に対応する前記導光部材の箇所に、光拡散部を設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記導光部材は、可撓性を有する透明な合成樹脂からなる導光フィルムであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−133822(P2010−133822A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309730(P2008−309730)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】