説明

電子機器

【課題】電子機器に接続された電源をより高い精度で判別できる電子機器を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ10は、ACアダプタ9A又は電池9Bを接続可能なバッテリ装着部91と、メカシャッタ23及び絞り24と、バッテリ装着部91に接続されたACアダプタ9A又は電池9Bからの電力をメカシャッタ23及び絞り24に供給し、メカシャッタ23及び絞り24に電力を供給している際にバッテリ装着部91を介して出力される電圧を監視し、監視した電圧の変化に基づいてバッテリ装着部91にACアダプタ9Aが接続されているか否かを判別するコントローラ50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非電池電源に接続されたACアダプタと、電池電源とを選択的に接続可能な接続部を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器には、特許文献1に記載するようなものが存在する。特許文献1に係る電子機器は、非電池電源に接続されたACアダプタと電池(即ち、電池電源)とを選択的に接続できるように構成されている。このような電子機器においては、接続された電源が非電池電源か電池電源かを判別することが必要な場合がある。例えば、電池電源が接続されているときには使用者に電池の残量を報知する必要があるため、電子機器に接続された電源が非電池電源か、電池電源かを判別する必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1に係る電子機器は、所定期間における電源の内部起電圧の変化量を求め、その変化量を予め記憶しておいた閾値と比較している。そして、変化量が閾値よりも大きい場合には、電源が電池であると判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−182177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電子機器では、判別の基準となる閾値を予め記憶しておかなければならない。
【0006】
それに加えて、電池の出力電圧は、周囲温度、内部抵抗、電池の材料等によりばらつきが生じる。つまり、電源の判別に用いる、電圧の変化量は、環境や電池の状態によってばらつくことになる。そのため、実測の電圧の変化量に基づいて電源を判別する構成においては、判別精度が悪くなる。
【0007】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、非電池電源に接続されたACアダプタと電池電源とを選択的に接続可能な接続部を備える電子機器において、接続された電源をより高い精度で判別できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示された電子機器は、非電池電源に接続されたACアダプタと、電池電源とが選択的に接続される接続部を備える電子機器である。そして、この電子機器は、稼動部材と、前記接続部に接続されたACアダプタ又は電池電源から該接続部を介して出力される電力を前記稼動部材に供給する供給手段と、前記供給手段が前記稼動部材に電力を供給しているときに、前記接続部を介して出力される電圧を監視する電圧監視手段と、前記電圧監視手段によって監視された電圧の変化の態様に基づいて、ACアダプタが前記接続部に接続されているのか、電池電源が前記接続部に接続されているのかを判別する判別手段と、を備えるものとする。ここで、「変化の態様」とは、上昇するか下降するかという変化の傾向、変化の傾きの程度、直線状に変化するか曲線状に変化するか等、変化の様子を意味する。
【0009】
このようにすれば、電子機器は、電源から出力される電圧の変化の態様に基づいて、接続された電源を判別できるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接続部から出力される電圧の変化の態様に基づいて、接続部にACアダプタが接続されているのか電池が接続されているのかを判別することによって、接続部に接続された電源をより高い精度で判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラの斜視図である。
【図2】デジタルカメラの構成を説明するためのブロック図である。
【図3】稼動部材への電力供給に対する電源の出力電圧の変化を説明するための説明図であって、(A)は電源がACアダプタであるときを、(B)は電源が電池であるときを示す図である。
【図4】デジタルカメラの動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《発明の実施形態》
以下、本発明の例示的な実施形態に係る電子機器を説明する。この実施形態では、電子機器としてデジタルカメラ10を採用している。以下、デジタルカメラ10の構成について図面を参照して説明する。本実施形態では、電池として、一次電池を用いた例を説明する。
【0013】
(1.構成)
図1は、実施形態に係るデジタルカメラ10の斜視図である。図2は、本発明実施形態に係るデジタルカメラ10の構成を示すブロック図である。
【0014】
デジタルカメラ10は、光学系20と、CCDイメージセンサ21と、AFE22と、メカシャッタ23と、絞り24と、画像処理部30と、バッファメモリ40と、フラッシュメモリ41と、コントローラ50と、カードスロット60と、液晶モニタ70と、操作部80と、ADコンバータ90と、バッテリ装着部91と、ストロボ92とを備える。
【0015】
光学系20は、被写体からの光学信号を集光して、CCDイメージセンサ21上に被写体像を形成する。CCDイメージセンサ21は、被写体像を撮像して画像データを生成する撮像素子である。撮像素子としては、CCDイメージセンサ21に替えてCMOSイメージセンサ等を用いることもできる。AFE22は、CDS、ADコンバータ等を備えて構成される。ADコンバータは、CCDイメージセンサ21で生成された画像データをデジタルに変換する。
【0016】
メカシャッタ23は、コントローラ50からの制御に応じて、CCDイメージセンサ21に当たる光の量を時間的に調整するものである。また、絞り24は、コントローラ50からの制御に応じて、光学系20を通過する光の量を調整するものである。これらメカシャッタ23及び絞り24が稼動部材及び第1稼動部材の一例である。
【0017】
画像処理部30は、CCDイメージセンサ21からAFE22を介して入力された画像データに対して所定の処理を施す。所定の処理としては、ガンマ変換、YC変換、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、画像処理部30は、デジタル化された画像データを、液晶モニタ70に出力可能である。また、画像処理部30は、バッファメモリ40に記憶された画像を液晶モニタ70に出力することも可能である。
【0018】
バッファメモリ40は、画像処理部30で画像処理を行う際、及び、コントローラ50で制御処理を行う際に、ワークメモリとして作用する。バッファメモリ40は、例えば、DRAMなどで実現可能である。
【0019】
フラッシュメモリ41は、内蔵メモリとして用いられる。フラッシュメモリ41は、画像データの他に、コントローラ50の制御のためのプログラムや設定値などを記憶可能である。
【0020】
コントローラ50は、デジタルカメラ10の各部を制御するものである。コントローラ50はマイクロコンピュータで実現してもよく、ハードワイヤードな回路で実現してもよい。要するに、コントローラ50は、自装置を制御できるものであればよい。このコントローラ50が供給手段、電圧監視手段及び判別手段、並びに第1供給手段、第2供給手段及び制御手段の一例である。尚、本実施形態では、1つのコントローラ50が、これら供給手段等の機能を果たしているが、複数のCPUや回路でこれら機能を果たすように構成してもよいし、各機能ごとに別々のCPU又は回路を設けるように構成してもよい。
【0021】
カードスロット60は、メモリカード61を着脱するためのスロットである。カードスロット60は、メモリカード61を制御する機能を有するようにしてもよい。メモリカード61は、フラッシュメモリなどを内蔵する。メモリカード61は、撮像画像データ等を格納可能である。
【0022】
液晶モニタ70は、画像データやデジタルカメラ10の各種の設定を示す画像を表示する。なお、液晶モニタ70に替えて、有機ELディスプレイで構成してもよい。
【0023】
操作部80は、デジタルカメラ10に設けられ、使用者が操作可能な部分の総称である。操作部80としては、十字キーや押下釦、さらには、液晶モニタ70がタッチパネルで構成されている場合には該タッチパネル等が挙げられる。
【0024】
バッテリ装着部91は、ACアダプタ9Aと乾電池(以下、単に「電池」ともいう)9Bとを選択的に接続可能に構成されている。ACアダプタ9Aは、DCカプラ(図示省略)を介してバッテリ装着部91に接続される。ACアダプタ9Aは、AC電源9Cにも接続されている。換言すれば、AC電源9Cは、ACアダプタ9Aを介して間接的にバッテリ装着部91に接続される。ACアダプタ9Aは、定電圧方式のACアダプタであって、AC電源9Cからの交流電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換して出力する。AC電源9Cは、例えば、家庭用電源である。こうして、家庭用電源からの交流電圧が、ACアダプタ9Aによって直流電圧に変換され、デジタルカメラ10に供給される。このバッテリ装着部91が接続部の一例であり、AC電源9Cが非電池電源の一例であり、電池9Bが電池電源の一例である。
【0025】
ADコンバータ(ADC)90は、ACアダプタ9A又は電池9Bから供給されたアナログ電圧を、デジタル電圧に変換して、デジタルカメラ10に供給するものである。
【0026】
ここで、コントローラ50は、ACアダプタ9A又は電池9Bから出力された電圧を監視するように構成されている。つまり、コントローラ50は、ADコンバータ90から入力されるデジタル電圧を、例えば、1/20m秒毎にサンプリングする。サンプリングした電圧は、例えば、バッファメモリ40に記憶される。
【0027】
ストロボ92は、コントローラ50からの制御に応じて、被写体に対して光を照射するものである。ストロボ92は、キセノンランプやコンデンサ等によって構成される。コンデンサは、発光のための電荷を保持できるようになっている。このストロボ92が第2稼動部材の一例である。
【0028】
(2.動作)
以上のように構成されたデジタルカメラ10の動作例を、図4を用いて説明する。この動作例では、バッテリ装着部91に接続された電源がAC電源9Cか電池9Bか、即ち、バッテリ装着部91に接続されているものがACアダプタ9Aか電池9Bかを判別する際の動作を説明する。
【0029】
デジタルカメラ10(コントローラ50)は、電源がOFFの状態からONの状態に変更されると、以下の動作を実行する。
【0030】
まず、コントローラ50は、初期化動作として、メカシャッタ23及び絞り24に対して励磁電圧を与える(S1)。これにより、メカシャッタ23や絞り24を初期位置に移動させる。デジタルカメラ10は、電源をONからOFFにする際、例えば、メカシャッタ23や絞り24を予め初期位置に移動させた状態(メカシャッタ23であれば、例えば、開放した状態)で動作を終了させる。ところが、デジタルカメラ10は、電源がOFFの状態において、衝撃等によって、メカシャッタ23や絞り24の状態が変わってしまうことがある。そのため、デジタルカメラ10は、電源がONになったとき(即ち、起動時)に、メカシャッタ23や絞り24を初期位置に移動させる必要がある。また、デジタルカメラ10が、例えば、沈胴式レンズ等を備える場合、電源をOFFにするときにレンズを沈胴状態に収納するため、電源をONにするときに、デジタルカメラ10は、沈胴式レンズの各部を初期位置に移動させる必要がある。こうすることで、電源ON後に、撮影動作にスムーズに移行することができる。
【0031】
コントローラ50は、メカシャッタ23及び絞り24に対して励磁電圧を与える際、電源から入力される電圧をサンプリングする(S2)。
【0032】
コントローラ50は、サンプリングした電圧の波形の違い、即ち、電圧の変化の態様によって、ACアダプタ9Aがバッテリ装着部91に接続されているのか、電池9Bがバッテリ装着部91に接続されているのかを判別する(S3)。以下、コントローラ50による電源の判別の方法について、図3を参照しながら詳しく説明する。図3(A)は、ACアダプタ9Aがバッテリ装着部91に接続された場合のACアダプタ9Aからの出力電圧の変化を示す図であり、図3(B)は、電池9Bがバッテリ装着部91に接続された場合の電池9Bからの出力電圧の変化を示す図である。図3(A),(B)における上段の波形は、メカシャッタ23及び絞り24に対して初期化動作を行った場合の出力電圧である。一方、図3(A),(B)の下段の波形は、メカシャッタ23及び絞り24に対して初期化動作を行った場合の出力電流(電源に対する負荷)である。図3では、第1時間T1から第2時間T2までの間、メカシャッタ23等に対して初期化動作を行っている旨を示している。
【0033】
まず、メカシャッタ23及び絞り24に電流を供給する。すなわち、電源に負荷を接続する。その結果、ACアダプタ9A及び電池9Bからの出力電圧は、一旦、低下する。つまり、ACアダプタ9Aや電池9Bは配線抵抗等の抵抗成分(特に、電池9Bの場合は、内部抵抗)を有するため、出力電流が大きくなると、これらの抵抗成分に起因する電圧降下が大きくなり、出力電圧が低下することになる。
【0034】
ここで、ACアダプタ9Aには、定電圧回路等が内蔵されて、出力電圧を一定にする機能を有する。そのため、バッテリ装着部91にACアダプタ9Aが接続されている場合には、低下した出力電圧が所定の電圧に向かって徐々に増加する。一方、電池9Bには定電圧回路等はなく、さらには、電池9Bの内部抵抗は、電池9Bを使い続けると時間と共に大きくなる。これらのため、出力電圧は、前述の低下した状態からほとんど変化しないか、さらに低下していく。コントローラ50は、このような性質を利用して、バッテリ装着部91に接続されたものがACアダプタ9Aか電池9Bか、即ち、電源がAC電源9Cが電池9Bかを判別する。
【0035】
具体的には、コントローラ50は、デジタルカメラ10の起動動作(即ち、初期化動作)中に電源の判別を行う。コントローラ50は、メカシャッタ23及び絞り24へ電力供給している起動動作中において、第1時間T1における出力電圧(即ち、バッテリ装着部91を介して出力される電圧)と第2時間T2(T2>T1)における出力電圧とを比較して、出力電圧の変化の態様を求める。本実施形態では、起動時においてメカシャッタ23及び絞り24への電力供給を開始したときを第1時間T1とし、メカシャッタ23及び絞り24への電力供給を停止したときを第2時間T2としている。そして、コントローラ50は、(第1時間T1における出力電圧)<(第2時間T2における出力電圧)となるか否かを判別している。つまり、コントローラ50は、(第1時間T1における出力電圧)<(第2時間T2における出力電圧)となったときは、出力電圧の変化の態様が増加傾向であるため、電源がACアダプタ9Aを介して接続されたAC電源9Cであると判別する。一方、コントローラ50は、(第1時間T1における出力電圧)<(第2時間T2における出力電圧)とならないとき、即ち、(第1時間T1における電圧)≧(第2時間T2における電圧)となったときには、出力電圧の変化の態様が増加傾向ではないため、電源がACアダプタ9Aを介して接続されたAC電源9Cではない、即ち、電池9Bであると判別する。こうして、コントローラ50は、メカシャッタ23等の稼動部材に電力を供給している間のバッテリ装着部91からの出力電圧の変化の態様に基づいて、バッテリ装着部91に接続されたものがACアダプタ9Aか電池9Bか、即ち、電源がAC電源9Cか電池9Bかを判別する。
【0036】
なお、本実施形態では、第1時間T1の電圧と第2時間T2の電圧とを比較して、電源を判別するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、第1時間T1及び第2時間T2は、起動動作中のいずれかのタイミングであれば、いつでもよく、メカシャッタ23等への電力供給の開始及び停止のときに限られない。また、比較する電圧は、第1時間T1と第2時間T2における1点ずつのデータである必要はない。例えば、起動動作中において、所定の第1期間にサンプリングされる電圧の平均値と、第1期間よりも後の第2期間にサンプリングされる電圧の平均値とを比較してもよい。平均値を取ることで、ノイズ等の誤差の影響を低減することができる。
【0037】
こうして、コントローラ50は、バッテリ装着部91に接続された電源がACアダプタ9Aを介したAC電源9Cか、電池9Bかを判別する。その後、コントローラ50は、各種の動作を行うが、電源に応じて処理内容を変更する必要がある動作については、その処理内容を電源に応じて変更して実行する。
【0038】
例えば、図4に示すように、コントローラ50は、接続された電源がACアダプタ9Aを介したAC電源9Cではない、即ち、接続された電源が電池9Bであると判別したときには、ストロボ92の充電電流を電池9Bに応じた値に設定する(S4)。一方、コントローラ50は、接続された電源がACアダプタ9Aを介したAC電源9Cであると判別したときには、ストロボ92の充電電流をAC電源9Cに応じた値、即ち、ACアダプタ9Aの定格に応じた値に設定する(S5)。つまり、フラッシュを伴った撮影の準備時間を短縮する観点から、ストロボ92の充電時間は短いことが好ましい。そのため、ストロボ92の充電電流は大きいことが望まれる。しかしながら、ACアダプタ9Aを介して接続された電源の場合には、充電電流を大きくし過ぎると、定格オーバーとなる虞がある。そこで、本実施形態では、電源が電池9Bであるときには、ストロボ92の充電を早期に完了させるべく、ストロボ92の充電電流を電池9Bに対応した比較的大きな値に設定する。一方、電源がACアダプタ9Aを介して接続されたAC電源9Cであるときには、ACアダプタ9Aの定格オーバーを防止するために、ストロボ92の充電電流をACアダプタ9Aの定格に応じた値に設定している。尚、ACアダプタ9Aの定格が比較的大きい容量であれば、ストロボ92を早く充電できるように、ストロボ92の充電電流を定格の範囲内で大きな値に設定することが好ましい。このように、コントローラ50は、電源がACアダプタ9Aを介して接続された電源であることを判別して、ACアダプタ9Aの定格を考慮した制御を行っている。
【0039】
そして、コントローラ50は、前記ステップS4又はステップS5の操作終了後、デジタルカメラ10の通常動作に移行する(S6)。デジタルカメラ10の通常動作は、特に限定されない。例えば、デジタルカメラ10を撮影できる状態にする撮影モード、又は、撮影した画像を再生する再生モードなどが挙げられる。
【0040】
尚、図4では、電源に応じて処理内容を変更する動作として、ストロボ92の充電電流の制御について説明しているが、これに限られるものではない。例えば、電源に応じて処理内容を変更する動作としては、電池残量の表示等がある。すなわち、バッテリ装着部91に接続された電源が電池9Bであると判別したときには、コントローラ50は、液晶モニタ70に電池残量を表示する。一方、バッテリ装着部91に接続された電源がAC電源9Cであると判別したときには、コントローラ50は、液晶モニタ70に電池残量を非表示にするか又は、ACアダプタ9Aが接続されている旨を表示する。
【0041】
また、電源に応じて処理内容を変更する動作としては、デモモードを実行する制御がある。すなわち、デジタルカメラ10は、店頭で見本として展示される場合がある。かかる場合には、デジタルカメラ10は、液晶モニタ70でデモが行われるデモモードに設定されることが好ましい。そして、デジタルカメラ10は、このように店頭で展示される場合には、ACアダプタ9Aが接続される。そこで、デジタルカメラ10は、ACアダプタ9Aが接続されていることを判別したときには、デモモードに自動的に設定する一方、電池9Bが接続されていることを判別したときには、デモモードを自動的に解除する。こうすることで、デジタルカメラ10が店頭に展示されている場合には、自動的にデモモードに設定することができる。尚、デジタルカメラ10はACアダプタ9Aが接続されていても、店頭に展示されていない場合(即ち、ユーザが使用している場合)もあり得るので、ACアダプタ9Aか電池9Bかによるデモモードの自動設定は、ユーザが設定可能であってもよい。
【0042】
(3.まとめ)
デジタルカメラ10は、ACアダプタ9A又は電池9Bを接続可能なバッテリ装着部91と、メカシャッタ23及び絞り24と、コントローラ50とを備え、コントローラ50は、バッテリ装着部91に接続されたACアダプタ9A又は電池9Bからの電力をメカシャッタ23及び絞り24に供給し(電流を流す)、そのときに、バッテリ装着部91に接続されたACアダプタ9A又は電池9Bから出力される電圧を監視し、監視した電圧の変化の態様に基づいて、バッテリ装着部91に接続されているのがACアダプタ9Aか電池9Bかを判別する。
【0043】
このように、バッテリ装着部91を介して出力される電圧の変化の態様に基づいて、バッテリ装着部91に接続されている電源を判別することによって、その判別精度を向上させることができる。つまり、電池9Bの電圧は、使用環境や電池の状態によってばらつきが生じる。ここで、特許文献1のように、電源の出力電圧の時間的な変化量の実測値と、予め記憶しておいた閾値とを比較して電源を判別する構成の場合、実測値はばらつく一方、閾値は一定であるため、判別精度が低下してしまう。それに対して、出力電圧が負荷の接続により一旦低下した後、徐々に増加していくという、ACアダプタ9Aの出力電圧の変化の態様、および、出力電圧が負荷の接続により一旦低下した後、徐々に減少するか又はほとんど変化しないという、電池9Bの出力電圧の変化の態様は、使用環境や電源の状態によって変わるものではない。そのため、使用環境や電源の状態により出力電圧がばらつくような状況であっても、出力電圧の変化量ではなく、出力電圧の変化の態様に基づいて電源を判別することによって、その判別精度を向上させることができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、ACアダプタ9Aの出力電圧の変化の態様に基づいて電源を判別することによって、その判別精度をさらに向上させることができる。つまり、ACアダプタ9Aの出力電圧の変化の態様は、必ず、電圧を所定電圧に戻すような増加傾向となる。一方、電池9Bの出力電圧の変化の態様は、減少傾向となるものの、減少の程度は使用環境や電池9Bの残量等によって異なり、ほとんど変化しない場合もある。さらに、電池9Bの出力電圧は、前述の如く、使用環境等によってばらつくことがある。つまり、電池9Bに比べて、ACアダプタ9Aの方が、出力電圧の変化の態様が安定している。すなわち、ACアダプタ9Aの方が、その特有の出力電圧の変化の態様が安定して現れる。さらに、ACアダプタ9Aの方が、出力電圧自体も安定している。そのため、電池9Bの出力電圧の変化の態様を基準にして電源が電池9Bであるのか否かを判別するのに比べて、ACアダプタ9Aの出力電圧の変化の態様を基準にして電源がAC電源9Cであるか否かを判別する方が、電源を高い精度で判別することができる。
【0045】
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態に限定されず、以下のような構成としてもよい。
【0046】
前記実施形態では、電子機器の一例として、デジタルカメラについて説明したが、これに限られるものではない。前記の構成は、例えば、携帯電話やポータブルオーディオ等の、デジタルカメラ以外の電子機器にも採用することができる。
【0047】
前記実施形態では、メカシャッタ23や絞り24の初期化動作中のバッテリ装着部91からの出力電圧の変化の態様に基づいて、電源の判別を行っているが、これに限られるものではない。すなわち、CCDイメージセンサ21、液晶モニタ70及びストロボ92等の稼動部材に所定の動作を行わせるときの、バッテリ装着部91からの出力電圧の変化の態様を用いてもよい。つまり、電源の判別を行うときに電源からの電力を供給する稼動部材は、どのようなものであってもかまわない。
【0048】
また、前記実施形態では、電源ON時の初期化動作におけるバッテリ装着部91からの出力電圧の変化の態様に基づいて電源を判別するようにしているが、これに限られるものではない。他の動作タイミングにおけるバッテリ装着部91からの出力電圧の変化の態様に基づいて電源を判別してもよい。例えば、他の動作タイミングとしては、交換レンズが着脱可能なカメラ本体の場合、交換レンズの装着時に行われる初期化動作時などであってもよい。
【0049】
また、電源の判別は、1回に限られるものではない。前記の初期化動作中に電源の判別を複数回実施するようにしてもよい。こうすることで、判別の信頼性を向上させることができる。尚、初期化動作中に限られず、その他のタイミングも含めて、電源の判別を複数回実施するようにしてもよい。
【0050】
さらに、前記実施形態では、第1時間T1における出力電圧と第2時間T2における出力電圧との大小関係によって、出力電圧の変化の態様が増加傾向であるか否かを判別し、それによって電源がAC電源9Cであるか否かを判別しているが、これに限られるものではない。検出される出力電圧には誤差も含まれるため、誤差を考慮して、出力電圧の変化の態様が増加傾向であるか否かを判別するようにしてもよい。つまり、(第2時間T2における出力電圧)−(第1時間T1における出力電圧)>αとなったときは、出力電圧の変化の態様が増加傾向であるため、電源がACアダプタ9Aを介して接続されたAC電源9Cであると判別する一方、この条件式を満たさないときには、出力電圧の変化の態様が増加傾向でないため、電池9Bであると判別するようにしてもよい。ここで、判定値αは、誤差を考慮した値であって、具体的には、電源がACアダプタ9Aを介したAC電源9Cであれば、検出電圧に誤差を含んでいたとしても必ずこの値以上は電圧が上昇するという値である。この判定値αは、(第2時間T2における出力電圧)−(第1時間T1における出力電圧)の値を、ACアダプタ9Aを介したAC電源9Cと、電池9Bについて事前に実測し、統計的に求めることができる。この判定値αは、フラッシュメモリ41に記憶しておく。
【0051】
また、前記実施形態では、ACアダプタ9Aの出力電圧の変化の態様を基準にして電源がAC電源9Cであるか否かを判別することによって、電源を判別しているが、これに限られるものではない。すなわち、電池9Bの出力電圧の変化の態様を基準にして電源が電池9Bであるのか否かを判別することによって、電源を判別する構成であってもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、非電池電源として、AC電源9Cが用いられているが、これに限られるものではない。
【0053】
また、前記実施形態では、電池電源として、一次電池が用いられている。しかし、電池電源は、一次電池だけでなく、二次電池も利用可能であり、様々な電池を用いることが可能である。
【0054】
また、前記実施形態では、コントローラ50が、初期化動作時において、電源からの電圧をサンプリングするようにしている。しかし、これに限られず、初期化動作時以外においても、電源からの電圧をサンプリングするようにしてもよい。このようにすれば、サンプリングした電圧で、初期化動作の開始を判断できる。これは、初期化動作の負荷によって、電圧降下が発生するためである。したがって、簡単な構成で、初期化動作開始を判断できるようになる。同様に初期化動作終了も、電圧の変化で判断できる。
【0055】
また、前記実施形態では、メカシャッタ23と絞り24を両方制御した場合の出力電圧を監視するようにしている。しかし、これに限られず、メカシャッタ23及び絞り24の何れか一方を制御した場合の出力電圧を監視するようにしてもよい。なお、図3では、初期化動作時における出力電圧を、直線で表現している。これは説明を理解しやすくするために記載した模式図であって、実際はこれと異なる。例えば、初期化動作時における電源からの出力電圧は、ACアダプタ9Aの場合、二次関数的に増加する(曲線状に変化する出力電圧となる)。これは、ACアダプタ9Aの特性によるものである。また、初期化動作時における電源からの出力電圧は、電池9Bの場合、厳密ではないが、一次関数的に減少する。
【0056】
すなわち、本発明は、前記実施形態に限られず、種々の形態で実施可能である。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明は、例えば、デジタルカメラ、携帯電話及びポータブルオーディオ等の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 デジタルカメラ(電子機器)
20 光学系
21 CCDイメージセンサ
22 AFE
23 メカシャッタ(稼動部材、第1の稼動部材)
24 絞り(稼動部材、第1の稼動部材)
30 画像処理部
40 バッファメモリ
41 フラッシュメモリ
50 コントローラ(供給手段、電圧監視手段、判別手段、第1供給手段、第2供給手段)
60 カードスロット
61 メモリカード
70 液晶モニタ
80 操作部
9A ACアダプタ
9B 電池(電池電源)
9C AC電源(非電池電源)
90 ADコンバータ
91 バッテリ装着部(接続部)
92 ストロボ(第2の稼動部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非電池電源に接続されたACアダプタと、電池電源とが選択的に接続される接続部を備える電子機器であって、
稼動部材と、
前記接続部に接続されたACアダプタ又は電池電源から該接続部を介して出力される電力を前記稼動部材に供給する供給手段と、
前記供給手段が前記稼動部材に電力を供給しているときに、前記接続部を介して出力される電圧を監視する電圧監視手段と、
前記電圧監視手段によって監視された電圧の変化の態様に基づいて、ACアダプタが前記接続部に接続されているのか、電池電源が前記接続部に接続されているのかを判別する判別手段と、
を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記稼動部材は、少なくとも電子機器の起動時に稼動させられる部材であって、
前記判別手段は、ACアダプタが前記接続部に接続されているのか、電池電源が前記接続部に接続されているのかの判別を電子機器の起動時に行う電子機器。
【請求項3】
非電池電源に接続されたACアダプタと、電池電源とが選択的に接続される接続部を備える電子機器であって、
第1の稼動部材と、
前記第1の稼動部材と異なる第2の稼動部材と、
前記接続部に接続されたACアダプタ又は電池電源から該接続部を介して出力される電力を前記第1の稼動部材に供給する第1供給手段と、
前記第1供給手段が前記第1の稼動部材に電力を供給しているときに、前記接続部を介して出力される電圧を監視する電圧監視手段と、
前記電圧監視手段によって監視された電圧の変化の態様に基づいて、ACアダプタが前記接続部に接続されているのか、電池電源が前記接続部に接続されているのかを判別する判別手段と、
前記接続部に接続されたACアダプタ又は電池電源から該接続部を介して出力される電力を前記第2の稼動部材に供給する第2供給手段と、
前記判別手段の判別結果に応じて、前記第2供給手段から前記第2の稼動部材に供給する電力を制御する制御手段と、
を備える電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器において、
前記第1の稼動部材は、ACアダプタが前記接続部に接続されているのか、電池電源が前記接続部に接続されているのかの判別を電子機器の起動時に行う電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−94009(P2010−94009A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184202(P2009−184202)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】