説明

電子機器

【課題】フィンに付着した塵埃を確実に除去できる掃除部材を備えながら、発熱部品からの熱の放熱効率を低下させない放熱ユニットを備えた電子機器を得ること。
【解決手段】動作時に発熱する発熱部品24を含む電子部品が収容された筐体20aと、前記発熱部品24からの熱が伝達される複数のフィン37aを備えた放熱体37と、前記放熱体37に冷却風を送風するファン31と、前記ファン31と前記放熱体37とを接続し、前記ファン31の動作により生じた冷却風全てを前記放熱体37に導入する接続体36と、前記放熱体37の前記フィン37aに付着した塵埃を除去する掃除部材35と、前記掃除部材35の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ファン31が動作している場合には前記掃除部材35が前記冷却風を遮らない状態に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作時に発熱する発熱部品を筐体内に有する電子機器、例えば発熱部品であるCPU(中央処理装置)を備えたノートパソコン等の電子機器に関し、特に、発熱部品からの熱を外部に放出する放熱ユニットの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子機器の一例であるノートパソコンの場合、その性能向上にともなってCPU等の発熱部品からの発熱量が増大している。また、携帯型の電子機器であるノートパソコンの場合には、携帯型の電子機器としての小型化軽量化が求められているため、狭い筐体の内部に各種の電子部品が詰め込まれることとなり、発熱部品からの熱を効果的に筐体の外部に放出することができる、高性能な放熱ユニットを備えることが求められている。
【0003】
このような要請に応じるために、発熱部品からの熱が伝達される放熱フィンを備えた放熱体と、放熱体内に冷却風を送り込む送風手段であるファンとを備えた放熱ユニットが用いられている。この従来の放熱ユニットでは、発熱部品であるCPUを直接、または、ヒートパイプなどによって間接的に、放熱体と接触させてその熱を伝え、伝達された発熱部品の熱をファンからの冷却風で筐体の外部に放出することが行われている。このような従来の放熱ユニットでは、その放熱効果をより向上させるためにフィンの表面積を大きくすることが有効であり、限られた狭い空間内に狭い形成間隔でフィンが形成されている。しかし、フィンの形成間隔を狭くすると、ファンによって供給される冷却風に含まれる細かな塵埃が、特に、フィンのファンに対向した側面に付着しやすくなる。フィンの側面に付着した塵埃は、一旦付着してしまうと急速に堆積しやすく、堆積した塵埃がフィンの隙間を埋めて放熱体のファンからの冷却風が流入する側の面全体を覆ってしまうようになると、フィンの間隙にファンからの冷却風が送り込めなくなり、放熱ユニットの放熱効果を著しく損ねることになる。
【0004】
このように、フィンの側面に塵埃が付着して放熱ユニットの放熱効果が損なわれることを防止するために、フィンに付着した塵埃を除去する掃除部材であるブラシを備えた放熱ユニットが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
図7に、特許文献1に記載された、従来の電子機器に用いられている放熱ユニットの概略構成を示す。
【0006】
従来の放熱ユニット100は、冷却風を送風するファン131と図には現れないフィンを有する放熱体(ヒートシンク)136とを備えている。ファン131からの冷却風が放熱体136に形成されたフィンの隙間を通って筐体120の外部に放出されることで、放熱体136に伝達された発熱部品である図示しないCPUの熱が筐体120の外部に放出される。
【0007】
放熱体136のファン131が配置された側の端部には、放熱体136のフィンに付着した塵埃をこすって落とすことができる掃除部材であるブラシ133と、このブラシ133を図中矢印141の方向に動かす回転機構134とが備えられている。
【0008】
上記従来の放熱ユニット100では、回転機構134を回転させる図示しない操作体を備え、この操作体をユーザが必要に応じて押し込むことにより、または、例えばノートパソコンの蓋部が閉じられる際に連動して押し込まれることにより、ブラシ133が矢印141の方向に回転してフィンの側面を掃除する。この際、ブラシ133によってフィンの間から除去された塵埃は、ファン131からの冷却風によって、筐体120に形成された放出口121から外部に放出される。
【0009】
また、従来の放熱ユニット100では、ファン131と放熱体136とを接続する接続体132の下面に開口部135が設けられていて、ブラシ133によって除去された塵埃は、開口部135から筐体120の内部に落下する。この落下した塵埃は、放熱体136内を経由して筐体120の外部に放出される冷却風の流れよりも大きな、別の流路である開口部135から筐体120内を通って放出口121に繋がる流路から、筐体120の外部に放出される。
【0010】
なお、特許文献1には、ブラシ133によるフィンに付着した塵埃の除去を、電気的に制御できるモータを用いて行うことが開示されている。また、ブラシ133の動作するタイミングとして、CPUがシャットダウンしたことが検出された場合や、CPUの温度が一定温度以上に到達した場合、ノートパソコンの使用時間が一定時間に到達した場合などが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−306001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来の電子機器の放熱ユニット100は、フィンに付着したファン131からの冷却風に含まれる塵埃を除去する掃除部材であるブラシ133を備え、所定のタイミングでフィンに付着した塵埃を除去できるため、フィンに大量の塵埃が堆積して冷却風の流入が妨げられるという事態を回避することかできる。
【0013】
しかし、上記従来の放熱ユニット100では、ブラシ133で付着した塵埃を除去するタイミングとして、発熱部品であるCPUが動作しファン131から冷却風が送風されている状態を想定している。従来の放熱ユニット100では、ブラシ133が放熱体136内の冷却風の流路を完全には遮らない形状として、塵埃を除去する際に冷却風が流れなくなって放熱効果が失われてしまうことを防止しているが、冷却風の流路にブラシが存在することによる放熱効率の低下は否めない。また、従来の放熱ユニット100では、ブラシ133が塵埃を除去している際の冷却風の流路とするとともに、ブラシ133で除去された塵埃を筐体120の外部に放出するための流路として、ファン131と放熱体136とを接続する接続体132の下面に開口部135が設けられている。しかし、開口部135が設けられていることで、ファン131からの冷却風の一部が定常的に放熱体136内を通過できず、ファン131による冷却風を放熱体136の熱の放出に完全に利用できていないという点において、放熱効率の低下が常に生じていることになる。
【0014】
このように、従来の放熱ユニット100では、ファン131からの冷却風を有効に利用できていないため、CPUが一層大きな熱を放出する近年のノートパソコンの高性能化に十分対応できるものとは言えなかった。
【0015】
本発明は、上記従来の放熱ユニットを備えた電子機器における課題を解決するものであり、フィンに付着した塵埃を確実に除去できる掃除部材を備えながら、発熱部品からの熱の放熱効率を低下させない放熱ユニットを備えた電子機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため本発明の電子機器は、動作時に発熱する発熱部品を含む電子部品が収容された筐体と、前記発熱部品からの発熱が伝達される複数のフィンを備えた放熱体と、前記放熱体に冷却風を送風するファンと、前記ファンと前記放熱体とを接続し、前記ファンの動作により生じ冷却風全てを前記放熱体に導入する接続体と、前記放熱体の前記フィンに付着した塵埃を除去する掃除部材と、前記掃除部材の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ファンが動作している場合には前記掃除部材が前記冷却風を遮らない状態に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電子機器は、発熱部品からの熱が伝達される放熱体のフィンに付着した塵埃を除去する掃除部材が、制御部によって、ファンが動作している場合には冷却風を遮らない状態に保持される。また、本発明の電子機器は、ファンからの冷却風全てを放熱体に導入する接続体を備えている。このため、放熱体に伝達された発熱部材の熱を、ファンからの冷却風を用いて筐体の外部に効率よく放出することができる電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態にかかるノートパソコンの概略構成例を示す斜視図である。
【図2】本実施形態にかかるノートパソコンにおける放熱ユニットの主要な構成を示す分解斜視図である。
【図3】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットの構成を示す水平断面図である。
【図4】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットの掃除部材の構成を示す要部拡大平面図である。
【図5】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットにおける、掃除部材が動作する前の状態を示す図である。
【図6】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットにおける、掃除部材が動作したときの状態を示す図である。
【図7】従来の放熱ユニットの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の電子機器は、動作時に発熱する発熱部品を含む電子部品が収容された筐体と、前記発熱部品からの発熱が伝達される複数のフィンを備えた放熱体と、前記放熱体に冷却風を送風するファンと、前記ファンと前記放熱体とを接続し、前記ファンの動作により生じた冷却風全てを前記放熱体に導入する接続体と、前記放熱体の前記フィンに付着した塵埃を除去する掃除部材と、前記掃除部材の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ファンが動作している場合には前記掃除部材が前記冷却風を遮らない状態に保持する。
【0020】
上記本発明の電子機器は、発熱部品の熱が伝達される放熱体のフィンに付着した塵埃を除去する掃除手段が、ファンが動作している場合には掃除部材がファンからの冷却風を遮らない状態に保持される。また、ファンと放熱体を接続する接続体が、ファンの動作により生じた冷却風全てを放熱体に導入する。このため、ファンが動作して生じる冷却風を有効に放熱体のフィンからの放熱に利用することができ、また、放熱効率を低下させる原因となるフィンに付着した塵埃を除去できるので、長期間にわたって安定した放熱効果が発揮される電子機器を得ることができる。
【0021】
上記構成の電子機器において、前記接続体に、前記制御部によりその開閉が制御される埃除去口が形成され、前記制御部は、前記ファンが動作していない場合にのみ前記埃除去口を開放することが好ましい。このようにすることで、ファンから冷却風が送風されておらず、放熱効率の低下の心配がない状態で、掃除部材によりフィンから除去された塵埃を筐体内部に放出することができる。
【0022】
また、掃除部材が、前記フィンの前記ファンに対向する側面に付着した塵埃を除去することが好ましい。このようにすることで、ファンからの冷却風に含まれていた埃や塵が付着・堆積しやすい、フィンのファンに対向する側面の塵埃を除去することができ、フィンのファンに対向する側面に堆積した塵埃によってフィンの隙間部分への冷却風の送風が遮られて、放熱効率が低下することを効果的に防止することができる。
【0023】
(発明の実施の形態)
以下、本発明の実施形態として、電子機器がノートパソコンである場合を例示しながら説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態にかかる電子機器としてのノートパソコン1である。
【0025】
本実施形態のノートパソコン1は、内側面に液晶パネルなどの表示デバイス12が配置された蓋体10が、表面にキーボード21やポインティングデバイス22などの入力装置が配置された本体部20に対して、ヒンジ機構11によって回動可能に取り付けられている。
【0026】
本体部20の内部には、ノートパソコン1の動作電源である図示しない二次電池や、主記録デバイスである図示しないハードディスクドライブ(HDD)その他の電気部品が配置されている。なお、本実施形態のノートパソコン1は、例えば無線LAN通信のためのアンテナモジュールや、ブルーレイディスクやDVDディスクに対応したディスクドライブ、ウェブカメラ素子、音声マイクやスピーカ、その他各種の入出力端子などを備えることができるが、これらの機能や形状は従来周知のノートパソコンと同様であるため、図示および詳細な説明は省略する。
【0027】
図2は、本実施形態にかかるノートパソコン1の、本体部20の内部構成を示す分解斜視図である。図2では、本体部20の内部に配置された各種の電子部品の中でも、動作時に最も温度が高くなる代表的な発熱部品である中央演算素子(CPU)24と、CPU24の熱を本体部20の外殻を構成する筐体20aの外部に放出する放熱ユニット30の近傍のみを拡大して示している。
【0028】
図2に示すように、本実施形態のノートパソコン1の本体部20内部、表面に配置されたキーボード21の下側部分には、CPU24が回路基板23上に搭載されて配置されている。CPU24の上面には、CPU24の動作時の発熱を放熱ユニット30に伝達するための受熱部25が配置されている。受熱部25は、バネ状の脚部を有する固着部材26によって、熱源であるCPU24に押しつけられるように固着されている。
【0029】
受熱部25には、受け取った熱を放熱ユニット30の放熱体37に伝達するための、例えば銅製のヒートパイプ27が接続されている。ヒートパイプ27内には、例えば熱伝導性の高い代替フロンなどの熱伝導媒体が封入されていて、受熱部25に伝えられたCPU24の熱を効率よく放熱体37に伝達する。
【0030】
本実施形態のノートパソコン1では、CPU24の熱を効果的に本体部20の筐体20a外部に放出させるための放熱ユニット30として、放熱体37と、放熱体37に並んで配置されたファン31とを有している。ファン31がファンケース32の上面に形成された吸入口32aから吸入して送風する冷却風が放熱体37に導入され、放熱体37に設けられたフィン37aの間隙を通って筐体20aの外部に放出されることで、放熱体37からの放熱効果を高めている。放熱体37とファン31との間には、放熱体37のフィン37aに付着する塵埃を除去するための掃除部材が内部に配置された接続体36が配置されている。
【0031】
図3は、本実施形態のノートパソコンにおける放熱ユニット30の構成を示す図である。
【0032】
図3では、放熱ユニット30を構成するファン31、掃除部材35と掃除部材35が内部に配置されたファン31と放熱体37とを接続する接続部材36、放熱体37のそれぞれの詳細な構造を示すために、各部材を、ノートパソコン1の本体部20におけるキーボード21が配置された主面に平行な水平面で切断した状態の、水平断面図を示している。
【0033】
ファン31は、ファンケース32の内部に収容された羽根33が回転軸34を軸心として回転することで、ファンケース32の上面に形成された図2に示す吸入口32aから周囲の空気を取り込み、放熱体37側の排気口32bから冷却風として吹き出す。なお、図3では、本実施形態のファン31として、羽根33が多数の前向き羽根で構成されたシロッコファンを例示して示したが、ファン31の全体形状や吸入口32aの形状、回転軸34の周りを回る羽根33の形状などは例示に過ぎず、ファン31としては、周囲の空気を吸入口から吸入して排気口から吹き出すことができるものであれば、従来用いられてきた各種の形態の冷却ファン(放熱ファン)を使用することができる。
【0034】
本実施形態の放熱ユニットでは、ファン31のファンケース32に設けられた排気口32bに密着させて放熱体37を配置せずに、ファン31の排気口32bと放熱体37との間に接続体36が配置されている。
【0035】
本実施形態にかかるノートパソコン1の放熱ユニット30において、接続体36は、ファン31のファンケース32の排気口32bと放熱体37の外周とを囲む形状となっているため、ファン31からの冷却風は全て放熱体37に導入される。この結果、本実施形態のノートパソコン1の放熱ユニット30では、掃除部材35が配置されるためにファン31の排気口32aと放熱体37とが密着して配置されてはいないものの、ファン31からの冷却風全てを放熱体37の放熱のために利用することができる。
【0036】
接続体36の内部には、ファン31の排気口32bと、フィン37aのファン31に対向する側面37bとの間に、掃除部材35が配置されている。本実施形態の掃除部材35は、ファン31からの冷却風の流路に対して垂直に交わる方向に配置された回動軸35a、回動軸35aに固着されて回動軸35aとともに回動動作する掃除子35b、図示しない制御部からの指示に基づいて回動軸35aを回転動作させる駆動部35cとを備えている。
【0037】
放熱体37は、熱伝導性が高い例えば銅などの金属製であり、複数の薄い板状のフィン37aが、ファン31から筐体20aの外部に向けて吹き出される冷却風が流れる方向に沿って平行に形成されている。放熱体37の大きさ、特に、ファン31側から見た外形の幅と高さとは、ファン31の排気口32bの外形の幅と高さと同じになっている。
【0038】
放熱体37のフィン37aの間隙を通過した冷却風は、放熱体37の外形形状に対応させて筐体20aにスリットや貫通孔として形成された放出口28から、筐体20aの外部に放出される。
【0039】
図4は、ファン31と放熱体37との間の部分に配置された掃除部材35と接続体36の配置部分を拡大して示した図である。
【0040】
図4に示したように、掃除部材35の回動軸35aには、放熱体37のフィン37aの間隙部分にそれぞれ配置された掃除子35bが固着されている。それぞれの掃除子35bには、掃除子35bがその間に配置された一対のフィン37a同士における、互いに対向する主面部分に当接するブラシ35dが配置されている。このとき、ブラシ35dの長さを、フィン37aの側面にギリギリ到達する長さより少し長くすることで、駆動部35cによって回動軸35aが回動して掃除子35bがフィン37aの互いに対向する主面の塵埃を掃除する動作時に、フィン37aのファン31に対向する側面37bに付着した塵埃を除去することができる。
【0041】
ファン31からの冷却風に含まれる塵埃は、冷却風が吹き抜けるフィン37aの互いに対向する主面よりも、冷却風が衝突するファン31に対向する側面37bに、より付着・堆積しやすい。このため、掃除子35bに形成されたブラシ35dの長さを調整して、フィン37aのファン31に対向する側面37bの塵埃を除去することが、フィン37aに付着した塵埃により生じる放熱効果の低下を防止する上で好ましい。
【0042】
次に、図5および図6を用いて、本実施形態のノートパソコン1における放熱ユニット30の、放熱体37に付着した塵埃を除去する動作について説明する。
【0043】
図5および図6は、いずれも本実施形態にかかる放熱ユニットの30構成を示す垂直方向断面図である。図5および図6は、ファン31の回転軸34の部分和含む断面形状を示すものであり、図3におけるA−A’矢視線部分の形状を示している。
【0044】
図5が、ファン31が動作して冷却風が放熱体37に導入されている状態を示す。
【0045】
CPU24などの発熱部品が動作して発生した熱を、放熱体37から放熱するためにファン31が動作している状態では、ファン31と放熱体37との間に配置された掃除部材35の掃除子35bは、図5中に実線で示したように放熱体37の上方端部に、掃除子35bの長さ方向が冷却風の流れる方向に平行となる状態で保持されている。本実施形態の放熱ユニット30の掃除部材35の場合には、図5に実線として示すように、掃除子35bの長さ方向が冷却風の流れる方向に平行となる状態が、掃除部材35をファン31側から見た場合に現れる表面積が最も小さくなる状態であり、この状態の時が最もファン31からの冷却風を遮らない状態であるといえる。このように、掃除部材35が冷却風を遮らない状態となることで、放熱体37内に流入する冷却風によって、放熱体37における放熱効果が最も高くなる。なお、本明細書において、掃除部材が冷却風を遮らない状態とは、図5のように、掃除部材35が冷却風の流路においてファン31側から見た表面積が小さくなる退避位置に納まった状態を含めて示すものであり、掃除部材35が、ファン31から放熱体37に流れる冷却風の流路から完全に外れた状態のみを示すものではない。
【0046】
また、ファン31が動作して冷却風が放熱体37に導入されている状態では、本実施形態の放熱ユニット30のファン31と放熱体37とを接続する接続体36の底面部、すなわち、ノートパソコン1の本体部20を机上などに載置して使用する状態において下方となる側の面に設けられている埃除去口36aが、蓋体36cにより覆われて閉じた状態となっている。このように、冷却風がファン31から送風されている状態では、接続体36に設けられた埃除去口36aを覆う蓋体36cが閉じていることで、ファン31からの冷却風全てを放熱体37に導入することができる。
【0047】
一方、図6には、ファン31が停止し、放熱ユニット30が動作していない状態での断面構成を示す。
【0048】
図6に示すように、ファン31が動作していない状態では、図示しない制御部からの制御信号に基づいて、掃除部材35の駆動部35cが回動軸35aを回動させることで、掃除子35bがフィン37a間を移動して付着した塵埃を除去する。掃除部材35は、回動軸35aを中心として図6中に示した矢印41の方向に回動し、図6に実線として示すように、掃除子35bが放熱体37のファン31に対向する面に対して平行となる状態まで移動する。なお、このように掃除部材35が、フィン37aに付着した塵埃を除去する動作は、一度だけではなく、一旦図6に点線で示した退避位置に戻った後に再び回動して、連続して二回以上繰り返される場合もある。また、制御部がノートパソコン1の動作時間、前回の塵埃除去動作からの経過時間、放熱体37から放出される熱やファン31の回転数などに現れる放熱体37に堆積した塵埃による放熱効率の低下度合い、などを検出できる場合には、掃除子35bを回動させる回数を好ましい回数に調整することもできる。
【0049】
掃除子35bが回動するタイミングに合わせて、図6中に矢印42として示したように、接続体36の蓋体36bが軸36cを中心として回動して、埃除去口36aが開放される。埃除去口36aが開放されることで、掃除部材35が除去したフィン37aに付着していた塵埃が、接続体36の内部に留まらずに筐体20a内に放出される。このため、接続体36内部に溜まった塵埃が冷却風によって再び放熱体37内に混入し、放熱体37のフィン37aに付着してしまうことを効果的に防止することができる。
【0050】
このように、本実施形態の放熱ユニット30では、掃除部材35の動作に連動する形で接続体36の埃除去口36aを覆う蓋体36bが回動して埃除去口36aが開放されるため、放熱体37のフィン37aからの塵埃の除去と放熱ユニット30の冷却風の通路からの放出とを、同時に行うことができる。
【0051】
なお、掃除部材35の動作について、連続して二回以上動作することが可能である旨を述べたが、接続体36の埃除去口36aの開閉を行う蓋体36bは、掃除部材35が一連の動作を行っている間は連続して開放されている状態とすることが好ましい。
【0052】
また、図5および図6では、接続体36の埃除去口36aを覆う蓋体36bとして、接続体36の底面全体が蓋体36bである構成を説明したが、蓋体は、接続体36の底面の一部分のみを覆う形態でもよく、また、軸36cを中心に回動するものに限らず、スライドして埃除去口36aを開放する構造のものを用いることもできる。
【0053】
以上のように、本実施形態のノートパソコン1は、放熱ユニット30のファン31と放熱体37との間に、放熱体37のフィン37aに付着した塵埃を除去する掃除部材35を備え、この掃除部材35は、ファン31が動作している状態では、ファンからの冷却風を遮らない状態に保持されている。さらに、本実施形態のノートパソコン1は、ファン31と放熱体37との間が、ファン31からの冷却風全てを放熱体37に導入する接続体36で接続されている。このため、フィン37a付着した塵埃を除去できる機構を備えながら、ファン31からの送風を効果的に放熱体37の放熱に利用することができて放熱効率を高く維持できるので、CPUの能力向上などに起因する発熱部品からの発熱量の増大にも十分に対応することができる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、放熱体37のフィン37aに付着した塵埃を除去する掃除部材35として、ファン31からの冷却風の流路に対して垂直に配置された回動軸35aとともに回動する、フィン37aの間隙に配置された掃除子35bを備えた形態のものを例示した。しかし、本実施形態の掃除部材35としては、上記説明した形態に限らず、制御部からの指示に従って放熱体37のフィン37aに付着した塵埃を除去することができるとともに、ファン31が動作している状態では、ファン31からの冷却風を遮らない状態で保持されるものであれば、その形状に制限はない。
【0055】
例えば、上記実施形態で説明したようなフィン37aの間隙に掃除子35bが配置されて塵埃を除去する掃除部材35の場合であっても、その駆動の方向が、回動軸の周りに回動するものではなく、ファン31の動作時には放熱体37の外側に退避していて、付着した塵埃を除去する際には放熱体37の外側から掃除子35bが差し込まれるよう直線的に掃除子35bが移動する形態のものが考えられる。また、上記説明したように、放熱体37に付着する塵埃が最も多い部分は、隣り合うフィン37a同士が対向する主面部分ではなくフィン37aのファン31に対向する側面37bの部分である。このため、フィン37aのファン31に対向する側面37bに付着した塵埃を除去する掃除部材35として、ファン31の動作時には、ファン31からの冷却風の流路上から側方(左右方向)または上下方向の位置に退避していて、ファン31の動作が停止している場合に、フィン37aの側面37bを水平方向もしくは垂直方向になぞるように移動して、付着した塵埃を除去するような形態も考えられる。
【0056】
なお、本実施形態のノートパソコン1において、制御部が掃除部材35を動作させて放熱体に付着した塵埃を除去するタイミングとしては、CPU24の停止時や、ノートパソコン1の本体部20が水平となるように載置されたとき、さらに、本体部20に対して蓋部10が開かれたときなど、ノートパソコン1の動作前後が好ましい。特に、動作直前であれば、掃除部材35によって除去された塵埃が、ノートパソコン1が動作してファン31から放熱体37に向かって送風される冷却風で筐体20aの外に放出されることか期待できる。
【0057】
また、上記本実施の形態にかかる電子機器として、本体部に対して内側面に表示デバイスが配置された蓋体が回動可能に固着された形態のノートパソコンを例示して説明したが、本発明の電子機器としてはこのようなノートパソコンに限らず、例えば、タブレット型のパソコンや、携帯電話、携帯用ゲーム機、小型テレビジョン受像器やブルーレイディスプレイヤー、ナビゲーションシステムなどの各種携帯型の電子機器、さらには、デスクトップパソコンや液晶プロジェクタなどの据え置きタイプの各種の電子機器にも使用することができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、動作中に発熱する発熱部品としてCPUを例示して示したが、発熱部品はCPUには限られず、ビデオボードなどの画像処理用の半導体チップや二次電池など、その発熱を筐体の外部に放出すべき各種の発熱部品が対象となりうる。
【0059】
さらに、上記実施形態では、CPUからの熱を放熱体に伝達する手段として、ヒートパイプを用いた例を示したが、発熱部品であるCPUに熱伝導性の接着剤を介して直接放熱体を固着することで、発熱部品からの熱を直接的に放熱体に伝達することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明にかかる電子機器は、筐体内の発熱部品からの熱を外部に排出する放熱ユニットとして、放熱体のフィンに付着した塵埃を除去することができるとともに、ファンからの冷却風を効果的に使用することができる高い放熱効果を備えた電子機器として、各種用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ノートパソコン(電子機器)
20 本体部
20a 筐体
24 CPU(発熱部品)
30 放熱ユニット
31 ファン
35 掃除部材
37 放熱体
37a フィン
37b (ファンに対向する)側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時に発熱する発熱部品を含む電子部品が収容された筐体と、
前記発熱部品からの発熱が伝達される複数のフィンを備えた放熱体と、
前記放熱体に冷却風を送風するファンと、
前記ファンと前記放熱体とを接続し、前記ファンの動作により生じた冷却風全てを前記放熱体に導入する接続体と、
前記放熱体の前記フィンに付着した塵埃を除去する掃除部材と、
前記掃除部材の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ファンが動作している場合には前記掃除部材が前記冷却風を遮らない状態に保持することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記接続体に、前記制御部によりその開閉が制御される埃除去口が形成され、前記制御部は、前記ファンが動作していない場合にのみ前記埃除去口を開放する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記掃除部材が、前記フィンの前記ファンに対向する側面に付着した塵埃を除去する請求項1または2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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