説明

電子治療器

【課題】適度な刺激感で深部まで電流を流して高い鎮痛効果を有する電子治療器を提供する。
【解決手段】CPU5は、第1周波数と第1周波数より低い第2周波数との間で繰り返し周波数が連続的又は段階的に変化するパルス信号を生成する。発振回路6は、第1周波数より高い第3周波数の搬送波を発振する。増幅変調回路7は、搬送波をパルス信号で変調した変調波を導子8から出力する。CPU5は、繰り返し周波数が変化する周期を時間経過とともに増大させる。CPU5は、出力の開始から所定時間経過する毎に、スピーカ11の音声により出力増加を促す報知を行う。操作表示回路10から出力増加操作が入力されると、CPU5は出力を増加させる。CPU5は、出力電流の実効値が規定値を超えないように、パルス信号のデューティまたは導子8から出力する出力電圧を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に電流を流して筋肉や神経を刺激することによりコリや痛みを緩和する電子治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より経皮電気刺激によりコリや痛み緩和する電子治療器が使用されている。電気刺激の繰り返し周波数が20〜30Hz以下では、個々の電気刺激に追随して筋肉は収縮と弛緩を繰り返すので電気刺激を強く感じることができる。しかし電気刺激の繰り返し周波数が20〜30Hz以上の場合、周波数が高くなるにつれて電気刺激を感じ取ることは難しくなる。また、皮膚の電気的インピーダンスは、周波数が高いほど低くなる傾向にあるが、経皮電気刺激の場合には、皮膚表面の湿潤・乾燥状態も大きく影響する。治療効果を上げるには、一定以上の電流を流す必要があるが、電子治療器による治療の開始時には、電気刺激によるビリビリ感やチクチク感が不快を招くことが多い。しかし時間経過とともに、電気刺激に慣れて不快感が減少する。このため、20kHz以上の最高周波数から100Hz程度の最低周波数まで複数の周波数をスイープ(掃引)する周波数変化パターンで電気刺激し、一回の周波数掃引毎に、自動的に刺激強度を上昇させる電子治療器がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−200179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の自動的に刺激強度を上昇させる電子治療器にあっては、比較的高い周波数を用いているので、電気刺激を感じ取ることは難しく、実際には多くの電流が流れているにもかかわらず、電気刺激を感じないために、知らないうちに過電流による皮膚の発赤を生じる虞があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、程良い刺激感を与えながら経皮的に奥深くまで電流を流して神経に鎮痛作用することができる電子治療器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、第1周波数と第1周波数より低い第2周波数との間で繰り返し周波数が連続的または段階的に繰り返して変化するパルス信号により、第1周波数より高い第3周波数の搬送波を変調した変調波を導子から出力することを要旨とする電子治療器である。
【0007】
また本発明においては、第1周波数から第2周波数への変化が連続的または段階的であり、第2周波数から第1周波数への変化が跳躍的とすることができる。
【0008】
また本発明においては、前記繰り返し周波数が変化する周期を時間経過とともに増大させることができる。
【0009】
また本発明においては、前記出力の開始から所定時間経過する毎に、音声又は表示により出力増加を促す報知を行う報知手段と、操作入力により前記変調波の出力を変化させる出力調整手段と、を備えることができる。
【0010】
また本発明においては、第1周波数は、極超長波(300Hz〜3kHz)の帯域とし、第2周波数は、極極超長波(30Hz〜300Hz)の帯域とし、第3周波数は、超長波(3kHz〜30kHz)の帯域とすることができる。
【0011】
また本発明においては、出力電流の実効値が規定値に達すると、前記パルス信号のデューティの減少、または変調波の出力電圧の低下により、出力電流の実効値が規定値を超えないように制御することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1周波数と第1周波数より低い第2周波数との間で繰り返し周波数が連続的又は段階的に繰り返して変化するパルス信号により、第1周波数より高い第3周波数の搬送波を変調した変調波を導子から出力することにより、周波数の高い第3周波数の搬送波により、ビリビリ感やチクチク感を感じさせることなく皮膚表面から内部へ電流が高い浸透性を有するとともに、個々の神経細胞の脱分極を確実に引き起こして、痛みの伝達を遮断することができるという効果がある。
【0013】
また第1周波数から第2周波数へパルス信号の周期が連続的又は段階的に変化するので、複数の周波数のよる神経細胞の脱分極の加重が起こり、神経伝達路へ強く抑制作用を及ぼすとともに、無感覚領域から有感覚領域へ移行するので、刺激に変化が感じられるという効果がある。
【0014】
また本発明によれば、第1周波数から第2周波数への変化が連続的または段階的であり、第2周波数から第1周波数への変化が跳躍的としたので、通電電流は同じでも電気刺激感が徐々に強くなる自然な刺激感を得ることができるという効果がある。
【0015】
また本発明によれば、繰り返し周波数が変化する周期を時間経過とともに増大させるので、パルス信号のオン時間が長くなり、体感に変化はないが、体に流れる電流が増加するので痛みの緩和効果が増加する。
【0016】
また本発明によれば、出力の開始から所定時間経過する毎に、音声又は表示により出力増加を促す報知を行い、操作入力により変調波の出力を変化させることができるので、不快感のない気持ちのよい出力から初めて、時間経過とともに電気刺激に慣れてくると、出力増加を促す報知に従って、出力を増加させて効果を更に増加させることができる。
【0017】
また本発明によれば、第1周波数は、極超長波(300Hz〜3kHz)の帯域とし、記第2周波数は、極極超長波(30Hz〜300Hz)の帯域とし、第3周波数は、超長波(3kHz〜30kHz)の帯域としたことにより、電気刺激による不快感を無くしながら、痛み緩和作用を著しく向上させることができるという効果がある。
【0018】
また本発明によれば、出力電流の実効値が規定値に達すると、前記パルス信号のデューティの減少、または変調波の出力電圧の低下により、出力電流の実効値が規定値を超えないように制御することにより、過大な出力電流を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る電子治療器の実施形態の構成を説明するブロック回路図である。
【図2】(a)電子治療器の外観例を示す平面図、(b)電子治療器の外観例を示す側面図である。
【図3】(a)搬送波の波形例を示すタイムチャート、(b)パルス信号の波形例を示すタイムチャート、(c)変調波の波形例を示すタイムチャート、(d)1サイクルを示すタイムチャートである。
【図4】(a)パルス信号の周波数の時間変化例を示すタイムチャート、(b)出力増加を促す報知のタイミング例を示すタイムチャート、(c)出力の時間変化例を示すタイムチャートである。
【図5】実施例の電子治療器の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る電子治療器の構成を示すブロック回路図である。
【0021】
図1において、電子治療器1は、電源入力端子2と、電源回路3と、昇圧回路4と、CPU5と、発振回路6と、増幅変調回路7と、導子8と、電流検出回路9と、操作表示回路10と、スピーカ11とを備えている。
【0022】
電源入力端子2は、図外のACアダプタから、例えばDC6Vの直流電圧供給を受ける端子である。電源回路3は、電源入力端子2から入力した直流電圧を安定化して昇圧回路4やCPU5に供給する回路である。昇圧回路4は、電源回路4から入力した直流電圧を昇圧して増幅変調回路7へ出力するDC/DCコンバータである。また昇圧回路4は、CPU5が出力する電圧制御信号に従って、その出力電圧を制御可能となっている。
【0023】
CPU5は、中央処理ユニット(狭義のCPU)、ROM、RAM及び周辺回路を一体化した所謂ワンチップマイクロコンピュータである。CPU5は、電子治療器1全体を制御するとともに、第1周波数と第1周波数より低い第2周波数との間で繰り返し周波数が連続的または段階的に変化するパルス信号を発生する。
【0024】
発振回路6は、第1周波数より高い第3周波数を有する正弦波の搬送波を発生させる回路である。増幅変調回路7は、発振回路6から入力した搬送波を増幅するとともに、増幅した搬送波をCPU5から供給されるパルス信号により変調した変調波を生成し、この変調波を導子8へ出力する回路である。
【0025】
増幅変調回路7における変調は、アナログ変調の振幅変調(AM)、デジタル変調の振幅偏移変調(ASK:amplitude shift keying)、或いはパルス信号が2値であることからオン・オフ・キーイング(OOK:on-off-keying )、の何れを用いても、結果的に得られる変調波形は同じである。
【0026】
導子8は、コリや痛みを有する患部の表皮に着脱可能に固定されて、電子治療器1から負荷である患部に電流を流すための電極である。電流検出回路9は、導子8から負荷へ供給する電流の実効値を検出し、電流検出信号としてCPU5へ出力する回路である。尚、CPU5は、電流検出信号が規定値に達したときに、パルス信号のデューティの減少、または出力電圧の低下により、出力電流の実効値が規定値を超えないように制御する電流制御も行うものとする。出力電圧を低下させることにより電流制御する場合、CPU5は、昇圧回路4から増幅変調回路7へ出力する電圧を低下させる。
【0027】
操作表示回路10は、電子治療器1の操作入力を受け入れるメンブレンスイッチと、電子治療器1の状態を表示する発光ダイオード(LED)等の表示素子とを備え、CPU5に接続されている。スピーカ11は、圧電スピーカ等を用いた小型のスピーカであり、CPU5が出力する音声信号を音声に変換して出力する。CPU5がスピーカ11へ出力する音声信号には、電子治療器1の出力の開始から所定時間経過する毎に、音声により出力増加を促す報知を行うための音声信号が含まれる。
【0028】
図2(a)は、電子治療器1の外観例を示す平面図、図2(b)は、電子治療器1の外観例を示す側面図である。図2(a)に示すように、電子治療器1の上面には、電子治療器1の出力のオン/オフを制御するSTART/STOPスイッチ31と、点灯時にオン状態を表示し消灯時にオフ状態を表示するPOWERランプ32と、出力レベルを増加させるHIスイッチ33と、出力レベルを減少させるLOWスイッチ34と、出力レベルを点灯しているLEDの個数で十段階の表示するLEVELインジケータ35と、スピーカからの音声出力をオン/オフするスピーカスイッチ36と、スピーカグリル部37とを備えている。スイッチ31,33,34,36,ランプ32及びインジケータ35は、図1の操作表示回路10に相当する。図2(b)に示すように、電子治療器1の側面には、電源入力端子2が設けられている。
【0029】
次に、図3、図4のタイムチャートと、図5のフローチャートを参照して、本実施形態の電子治療器1の動作を説明する。
【0030】
図3(a)は、搬送波の例を示し、実施形態における搬送波は、周波数4kHzの正弦波としている。しかし、搬送波の周波数は、4kHzに限らず、超長波帯域(VLF:very low frequency,3kHz〜30kHz)の周波数であればよい。
【0031】
図3(b)は、パルス信号の例を示し、繰り返し周波数が第1の周波数である1kHz(周期:1mS)から、繰り返し周波数が第2の周波数である50Hz(周期20mS)まで連続的または段階的に変化する方形波である。またパルス信号のデューティは、30%を基準値として設定されている。
【0032】
尚、第1周波数の値は、1kHzに限らず、極超長波帯域(ULF:ultra low frequency,300Hz〜3KHz)の周波数であればよい。また、第2周波数の値は、50Hzに限らず、極極超長波帯域(SLF:super low frequency,30Hz〜300Hz)の周波数であればよい。
【0033】
図3(c)は、(a)の搬送波を(b)のパルス信号で変調した変調波である。図3(d)は、パルス信号の繰り返し周波数が1kHzから50Hzまで変化する1サイクルを示している。この1サイクルの長さは、電子治療器1の出力開始から、例えば30分間の治療時間が終了するまで、時間経過とともに長くなるように設定されている。
【0034】
図4(a)は、パルス信号の繰り返し周波数の時間変化を示す。パルス信号の繰り返し周波数は、1kHzから始まり50Hzまで連続的または段階的に繰り返し周波数が低下する。50Hzまで低下すると、1kHzに戻り再び50Hzまで連続的または段階的に低下する。この繰り返し周波数の変化を繰り返しながら、1サイクルの周期は、時間変化とともに長くなる。
【0035】
図4(b)は、出力増加の報知タイミングを示す。出力開始から所定時間(本実施形態の例では10分)経過する毎に、言い換えれば、出力開始から10分後と、20分後に、ユーザへ電子治療器1の出力増加を促す報知を行うために、出力増加を促す音声メッセージをスピーカ11から出力する。この音声メッセージは、例えば、「10分経過しましたので、レベルを上げてください。」というように出力する。CPU5は、音声信号をデジタル符号化して記憶する領域を内蔵するROMに備えているものとする。そして音声出力するタイミングになると、CPU5は、ROMから読み出した符号化音声信号を内蔵するD/A変換器でアナログ音声信号に変換してスピーカ11へ出力する。これによりユーザは、音声メッセージを聞くことができる。
【0036】
この所定時間(例えば、10分)の設定は、電子治療器1から導子8を介して患部の皮膚に低周波を出力開始すると、時間経過のともに電気刺激に対して慣れが生じ、さらに強い電気刺激に対しても不快感を感じることがなくなるためである。このため、所定時間経過毎に、ユーザに対して出力増加を促す音声をスピーカ11から出力している。尚、出力増加を促す報知は、音声のみに限らず、操作表示回路10に設けた表示により行ってもよい。
【0037】
図4(c)は、電子治療器1の出力の時間変化例を示す。図4(b)の10分の報知と、20分の報知に応じて、ユーザが出力レベルを増加させるために、HIスイッチ33を操作したとすれば、10分経過と20分経過の時点で出力レベルが増加させられている。
【0038】
次に、図5のフローチャートを参照して、電子治療器1の動作を詳細に説明する。電子治療器1の電源入力端子2にACアダプターが接続されて、電源が供給されると、このフローチャトが開始される。まずステップ(以下、ステップをSと略す)10において、CPU5の初期化(パワーイニシャライズ)が行われる。この初期状態では、LEVELインジケータ35が示す出力レベルは最低のレベル1に設定される。
【0039】
次いでS12で、出力レベルを設定するレベル設定入力を受け入れる。このときユーザに対してレベル設定を促す音声メッセージを出力してもよい。ユーザは、出力レベルを増加させるHIスイッチ33と、出力レベルを減少させるLOWスイッチ34とを操作して、十段階で示すLEVELインジケータ35の表示を好ましい値に設定する。尚、HIスイッチ33とLOWスイッチ34による出力レベル設定は、電子治療器1の動作中は、いつでも受け入れることができる。
【0040】
次いでS14でスタート入力待ちとなる。ここでユーザがSTART/STOPスイッチ31を押すと、操作表示回路10からSTART/STOPスイッチ31の信号がCPU5へ送られる。この信号を入力したCPU5は、操作表示回路10のPOWERランプ32を点灯させ、S16へ進む。S16では、CPU5は、発振回路6による搬送波の発振を開始させる。次いでS18で、CPU5は、パルス信号を出力する。パルス信号は、図3、図4で説明したパルス信号である。このパルス信号により、増幅変調回路7は、搬送波をパルス信号で変調した変調波を導子8へ出力するので、変調波による治療が開始される。
【0041】
ここで、CPU5は、パルス信号の繰り返し周波数を第1周波数(例えば1kHz)から第2周波数(例えば50Hz)連続的または段階的に変化させるために、次の表1に示すような繰り返し周波数制御用のテーブルをROMに格納して利用してもよい。
【表1】

【0042】
表1のような繰り返し周波数制御用のテーブルを使用する場合、CPU5は、テーブルのエントリを指すポインタを備える。そして、ポインタの値を1から初めて、順次1ずつ増加させながら、繰り返し周期の値を読み出して、該当周期と、パルス信号のデューテイ(初期値30%)により、パルス信号をオン/オフすることによりパルス信号を生成する。ポインタの値が最終エントリの12に達すると、次にポインタの値は1に戻る。このような制御により、パルス信号の繰り返し周波数を第1周波数(例えば1kHz)から第2周波数(例えば50Hz)へ段階的に変化させることができる。尚、表1のエントリ数で示される繰り返し周波数の変化の段階数は、特に限定されることはない。この変化の段階数を極限まで細かくして、1つのパルス信号を発生させる毎に、少しずつ繰り返し周波数を低下させる連続的な変化を行ってもよい。
【0043】
さらに、時間経過に対する周波数変化は、直線的な変化でもよいし、時間経過とともに変化の程度が小さくなるような曲線的な変化、例えば指数関数的な変化であってもよい。
【0044】
また、本実施形態では、パルス信号の繰り返し周波数が最小値の第2周波数に達すると、跳躍的に最大値の第1周波数に戻り、再び第2周波数へ向かって段階的に変化するようにしている。このようにパルス信号の繰り返し周波数を第1周波数から第2周波数へ連続的または段階的に変化させ、第2周波数に達すると、跳躍的に第1周波数に戻すように制御すると、次のような効果がある。
【0045】
即ち、最初は通電による電気刺激感を感じにくい高い繰り返し周波数のパルス信号で搬送波を変調し、次第にパルス信号の繰り返し周波数を低下させることで、徐々に強く電気刺激感を感じることができ、刺激に対する違和感がなくなるという効果がある。尚、パルス信号の繰り返し周波数は、実際の表にはなく、繰り返し周期だけでよい。また、表1の各エントリの繰り返し周波数の継続時間は、一定値としてもよいし、繰り返し周波数が低くなる、言い換えれば、繰り返し周期が長くなるにつれて、同一繰り返し周波数の継続時間が長くなるように設定してもよい。
【0046】
また、パルス信号の繰り返し周波数を第1周波数から第2周波数まで、連続的または段階的に変化させる周期(図4(d)の1サイクル)を時間経過とともに増加させるために、表2に示すような1サイクル制御テーブルを備えてもよい。
【表2】

【0047】
次いでS20で、電子治療器1の出力開始から、10分経過したか否かを判定する。10分経過していなければ、S18に戻って、パルス信号の出力、及び変調波の出力を継続する。S20の判定で、10分経過していれば、S22へ進み、出力増加を促す音声メッセージを出力する。次いでS24で、パルス信号及びこのパルス信号による変調波を出力し、S26で20分経過したか否かを判定する。20分経過していなければ、S24へ戻る。
【0048】
S26の判定で20分経過していれば、S28へ進み出力増加を促す音声メッセージを出力する。次いでS30でパルス信号及びこのパルス信号による変調波を出力し、S32で30分経過したか否かを判定する。30分経過していなければ、S30へ戻る。
【0049】
S32の判定で、30分経過していれば、S34へ進み、発振回路6による搬送波の発振停止、及びCPU5からのパルス信号の停止を行う。これにより変調波の出力が停止する。次いでS36で、例えば、「30分の治療が終わりました。」という終了メッセージをスピーカ11から出力して、電子治療器1の動作を終了する。
【0050】
以上、好ましい実施形態を説明したが、これは本発明を限定するものではない。実施形態で適用した第1、第2、第3周波数の値は、一例であり、それぞれの周波数帯域に属する周波数を任意に選択することができる。また、第1周波数と第2周波数との間で段階的に変化する繰り返し周波数の数(表1のエントリの数)も任意に選択設定することができる。さらに、パルス信号の繰り返し周波数が第1周波数から第2周波数へ変化させる周期の数(表2のエントリの数)も任意に選択設定することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電子治療器
2 電源入力端子
3 電源回路
4 昇圧回路
5 CPU
6 発振回路
7 増幅変調回路
8 導子
9 電流検出回路
10 操作表示回路
11 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数と第1周波数より低い第2周波数との間で繰り返し周波数が連続的または段階的に繰り返して変化するパルス信号により、第1周波数より高い第3周波数の搬送波を変調した変調波を導子から出力することを特徴とする電子治療器。
【請求項2】
第1周波数から第2周波数への変化が連続的または段階的であり、第2周波数から第1周波数への変化が跳躍的であることを特徴とする請求項1に記載の電子治療器。
【請求項3】
前記繰り返し周波数が変化する周期を時間経過とともに増大させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子治療器。
【請求項4】
前記出力の開始から所定時間経過する毎に、音声又は表示により出力増加を促す報知を行う報知手段と、
操作入力により前記変調波の出力を変化させる出力調整手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電子治療器。
【請求項5】
前記第1周波数は、極超長波(300Hz〜3kHz)の帯域とし、
前記第2周波数は、極極超長波(30Hz〜300Hz)の帯域とし、
前記第3周波数は、超長波(3kHz〜30kHz)の帯域としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電子治療器。
【請求項6】
出力電流の実効値が規定値に達すると、前記パルス信号のデューティの減少、または前記変調波の出力電圧の低下により、出力電流の実効値が規定値を超えないように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の電子治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−15723(P2011−15723A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160684(P2009−160684)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(303016775)株式会社マルタカテクノ (11)
【Fターム(参考)】