説明

電子現金保持装置

【課題】 恐喝等によって暗証番号を強制的に入力させられても、電子財布からの電子現金の移転が無制限に行われないようにする。
【解決手段】 複数の電子現金記憶部2、7を電子財布1に設け、入力された暗証番号に応じて、選択された電子現金記憶部からのみ、電子現金を他の電子財布9に移転可能にしている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子現金を保持又は移転させる電子財布や電子金庫等の電子現金保持装置に関し、特に電子現金保持装置間の電子現金の移転が無制限に行われることを防止する電子現金保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】銀行等で発行された電子現金を保持して携帯可能にしている電子財布では、第三者が勝手に電子財布を操作して、電子財布内に保持されている電子現金を使うこと、すなわち他の電子現金保持装置に移転させることを防止するため、予め電子財布の所有者のみが知っている暗証番号を設定して、暗証番号が正しく入力されたときのみ、電子財布から電子現金の移転を可能にしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような防犯対策では、強盗が電子財布の所有者を恐喝し、所有者の電子財布と強盗の電子財布とを電子現金の受け渡しが可能なように接続させ、所有者に電子財布の暗証番号を強制的に入力させることによって、所有者の電子財布の電子現金を強盗の電子財布に全て移転させることができ、電子財布の所有者にとっては恐喝された場合に、暗証番号は役に立たなくなってしまう。
【0004】そこで、本発明は電子財布の所有者が上記のような場合に遭遇し、暗証番号を強制的に入力させられても電子現金の移転金額を最小限に食い止めることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、請求項1の電子現金保持装置は、電子現金記憶手段を複数備え、所定の暗証入力に応じて、その中から選択された特定の電子現金記憶手段から電子現金を外部の電子現金受付手段に移転する手段を備えることを特徴としている。これにより、外部の電子現金保持装置に移転する電子現金の上限を、選択された電子現金記憶手段に、予め記憶されている電子現金の金額に制限することができる。
【0006】ここで、電子現金とは、貨幣や有価証券等の価値を電子データとして表したものである。
【0007】また、電子現金保持装置とは、電子現金を保持する媒体であって、貨幣を保持し携帯可能な財布や据え置き型の金庫等に相当する。
【0008】ここで、電子現金を移転するとは、電子現金記憶手段に記憶されている価値を外部の電子現金受付手段に移すことをいう。この電子現金受付手段とは、移転される電子現金の価値を受け取る手段をいう。実際の現金の取引において、移転は、支払、受け取り、両替等に相当する。
【0009】ここで、複数の電子現金記憶手段は、物理的に複数あってもよいし、物理的に電子現金記憶手段は1つであって、その中で仮想的に記憶領域が分割されていても良い。
【0010】さらに、所定の暗証は、対象となる電子現金保持装置から入力されても良いし、又は外部の電子現金受付手段をもつ他の電子現金保持装置から入力されても良い。
【0011】また、請求項2の電子現金保持装置は、請求項1に係るものであって、前記暗証入力手段に所定の暗証が入力され、電子現金を移転後、他の現金記憶手段からの電子現金の移転を禁止する移転禁止手段を備えることを特徴としている。これにより、他の電子現金記憶手段に対応する暗証を入力することによる電子現金の移転ができなくなる。
【0012】また、請求項3の電子現金保持装置は、所定の暗証入力に応じて移転される電子現金の上限額を異ならせることを特徴としている。これにより、入力する暗証によって移転できる電子現金の限度額を変更することができる。
【0013】また、請求項4の電子現金保持装置は、請求項3に係るものであって、所定の暗証が入力され、所定の電子現金を移転後、現金記憶手段からの電子現金の移転を禁止する移転禁止手段を備えることを特徴としている。これにより、所定の金額のみ移転可能とし、電子現金保持装置に保持されている電子現金の全額の移転を行わせないようにすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、電子財布同士で電子現金を移転させるためのブロック図を示す。図1において、電子財布間の移転を実現するために2つの電子財布(A)1と電子財布(B)9とが描かれており、電子財布(A)1を中心に説明する。電子財布(A)1と電子財布(B)9とは構造は同一であるが、2つの電子財布間での電子現金移転の説明のために、一部のブロックに異なる番号を付している。電子財布(B)9の説明を要さないブロックには電子財布(A)1の番号と同じ番号を付している。特に断らない限り、各ブロックの名称は電子財布(A)1のものを指す。
【0015】電子現金記憶部(A)2は電子現金を記憶するものであり、次の(1)から(3)の処理を行うために使用される。
【0016】(1)所有者が電子財布(A)1にいくらの残金があるかを知りたいときには、電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金のデータを読み取り、表示部6に残金の金額を表示させる。
【0017】(2)所有者が他人の持つ電子財布(B)9に電子現金を移転する(例えば、支払う)ときには、電子財布(A)9が電子現金記憶部(A)2の電子現金のデータを読み取り、電子財布(B)9の電子現金記憶部(B)10に読み取った電子現金を書き込む。その後、移転された電子現金の金額に応じて電子現金記憶部(A)2の電子現金の金額を変更する。
【0018】(3)所有者が他人の持つ電子財布(B)9から電子現金を移転する(例えば、受け取る)ときには、電子財布(B)9から送られてきた電子現金が電子現金記憶部(A)2に書き込まれる。
【0019】また、電子現金記憶部(C)7は、電子現金記憶部(A)と同様の構成で、電子現金を記憶するものである。
【0020】そして、電子財布(A)1は、図1の電子現金記憶部(A)2と電子現金記憶部(C)7とに示されるように、電子現金記憶部を複数備えていて、入力される暗証番号の種類に応じて、移転に用いられる電子現金記憶部を選択することができる。
【0021】暗証番号記憶部3は、電子財布(A)1の所有者が予め決めた暗証番号を記憶しておくものである。所有者が電子財布の電子現金を移転させようとする場合、制御部8は、暗証番号の入力を所有者に要求し、データ入力部4から入力された暗証番号が暗証番号記憶部3に記憶されているものと一致することを条件として、電子財布(A)1からの電子現金の移転を許容する。さらに、暗証番号記憶部3には複数の暗証番号を記憶することができ、それぞれの暗証番号は、複数の電子現金記憶部のそれぞれに対応づけられている。そして、入力された暗証番号が暗証番号記憶部3に記憶されている複数の暗証番号の中の一つと一致した場合に、その暗証番号に対応した電子現金記憶部が選択される。電子現金記憶部(A)2に対応づけられている暗証番号が入力されたときには、電子現金記憶部(A)2から電子現金の移転が可能になり、電子現金記憶部(C)7に対応づけられている暗証番号が入力されたときには、電子現金記憶部(C)7から電子現金の移転が可能になる。ここで、電子現金記憶部(A)2と電子現金記憶部(C)7とで物理的に電子現金記憶部を2つ構成したが、1つの電子現金記憶部内で電子現金が記憶される領域を仮想的に2つに分割して構成するようにしても良い。
【0022】データ入力部4は、暗証番号、電子現金の移転金額等を入力するものである。入力されたデータは制御部8へ送られ、移転等の処理に用いられる。制御部8は、データ入力部4等から送られてきたデータや命令に応じて、ROM12に記憶されたプログラムやデータに基づいて、電子現金の移転処理、電子現金の残高表示等を行うものである。
【0023】インターフェース部5は、電子財布(A)1と外部の電子現金保持装置とを接続するもので、ここでは外部の電子現金保持装置として、電子財布(B)9とお互いのインターフェース部5を介して接続している。ここでいう接続とは、具体的には、有線で電子財布同士が結線され、所定の通信プロトコルを用いてデータの送受信を行うことを意味している。もちろん、有線ではなく、無線でデータの送受信を行っても良い。また、電子財布同士をそれぞれに設けたコネクタ部を結合することによって直接接続してもよい。そして、電子財布(A)1と電子財布(B)9のお互いのインターフェース部5を介して電子現金に関するデータが移転される。
【0024】表示部6は、入力された金額や、電子財布(A)1に記憶されている電子現金の残高等を表示するものである。
【0025】電子現金記憶部(C)7は、電子現金記憶部(A)2と同様に電子現金を記憶し、制御部8によって記憶された電子現金を、読み取り、書き込み又は消去可能に構成されている。電子現金記憶部(C)7に対応した暗証番号がデータ入力部4から入力されると、電子現金記憶部(C)7から電子現金が移転可能になる。
【0026】図2は、電子財布(A)1の外観図を示す。この電子財布(A)1は、携帯可能であってカード形状である。数値入力キー25は、暗証番号や電子現金の金額を入力するために使用するものである。暗証キー20は、暗証番号を入力する際に使用するものであり、暗証キー20が押された後に、数値入力キー25によって暗証番号が入力される。残高キー21は電子現金記憶部に記憶されている電子現金の残高を表示部6に表示するときに使用するものである。残高表示に際しては、予め暗証番号の入力を要求するようにしても良いし、暗証番号無しで残高表示をするようにしてもよい。確定キー23は、入力した暗証番号や金額を確定するために使用するものである。取消キー24は暗証番号や金額の入力を取り消すときに使用するものである。これらのキーは図1に示したデータ入力部4に対応している。
【0027】図3は、電子現金の移転処理のフローチャートを示している。ここでは、電子財布(A)1から電子財布(B)9へ電子現金を移転する処理を説明する。電子現金記憶部(A)2は通常の用途に使用されるものとし、電子現金記憶部(C)7は強盗対策用に使用されるものとしている。強盗対策用の電子現金記憶部(C)7には強制移転されても惜しくない額の電子現金を記憶させておくのが望ましい。暗証番号記憶部3には暗証番号Aと暗証番号Cとが記憶されており、暗証番号Aが入力されると通常の電子現金記憶部(A)2が使用でき、暗証番号Cが入力されると強盗対策用の電子現金記憶部(C)7が使用できるものとしている。また、電子現金の残高を表示部6に表示するに際して暗証番号入力を要求する場合は、暗証番号Aが入力されたことに応じて電子現金記憶部(A)2に記憶されている金額を表示し、暗証番号Bが入力されたことに応じて電子現金記憶部(C)7に記憶されている金額を表示する。
【0028】まず、電子財布(A)1の暗証キー20が押され、数値入力キー25によって暗証番号が入力され、確定キー23が押されることによって、暗証番号の入力が確定される(S1)。次に数値入力キー25を用いて移転する電子現金の金額を入力し、確定キー23によって金額の入力が確定される(S2)。
【0029】次に入力された暗証番号が暗証番号記憶部3に予め記憶されている暗証番号Aと一致するかどうかを判定する(S3)。一致した場合は、入力された金額が電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金の金額より小さいかどうかを判定する(S4)。大きい場合は、電子現金の移転処理を行わず、処理を終了する。小さい場合は、電子現金記憶部(A)2から、電子財布(A)1に接続されている電子財布(B)9の電子現金記憶部(B)10に、入力された金額分の電子現金をインターフェース部5を介して移転する(S5)。移転が終了すると、電子現金の移転金額に応じて、電子現金記憶部(A)2の電子現金の金額が変更され、移転前に比べ移転金額分だけ電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金が少なくなる。
【0030】一方、ステップS3で、入力された暗証番号が暗証番号Aと一致しなかった場合は、入力された暗証番号が暗証番号Cと一致するかどうかを判定する(S6)。ここで、暗証番号Cと一致しない場合は、電子現金の移転処理を行わず、処理は終了する。暗証番号Cと一致した場合は、電子現金記憶部(C)7に記憶されている電子現金の金額より入力された金額が小さいかどうかを判定する(S7)。大きい場合は、電子現金の移転処理を行わず、処理を終了する。小さい場合は、電子現金記憶部(C)7から、電子財布(A)1に接続されている電子財布(B)9に、入力された金額分の電子現金をインターフェース部5を介して移転する(S8)。移転が終了すると、電子現金の移転金額に応じて、電子現金記憶部(C)7の電子現金の金額が変更され、移転前に比べ移転金額分だけ電子現金記憶部(C)7に記憶されている電子現金が少なくなる。
【0031】次に、暗証番号Aに対応した電子現金記憶部(A)2からの電子現金の移転が禁止される(S9)。禁止された後は、予め暗証番号記憶部3に記憶された暗証番号Aが入力されても、電子現金の移転ができなくなる。これは、強盗の恐喝により、再度、電子財布(A)1の電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金を移転させることを防ぐためである。なお、禁止を解除するには、電子財布を発行した発行元又は電子現金の認証機関等のみが解除できるようにするとよい。
【0032】逆に、電子財布(B)9から電子財布(A)1へ強盗対策用の電子現金記憶部から電子現金を移転する場合には、電子財布(B)9に入力された暗証番号に応じて、強盗対策用の電子現金記憶部(D)11から電子現金を移転後、電子財布(B)9の通常の電子現金記憶部(B)10からの電子現金の移転が禁止されることになる。
【0033】このようにして、少ない金額が記憶された強盗対策用の電子現金記憶部から電子現金を移転することにより、強盗に対して電子現金を全て移転したと欺くことができるため、それ以上の被害を食い止めることが可能になる。さらに、強盗対策用の電子現金記憶部から電子現金を移転した後は、電子財布の他の通常の電子現金記憶部から、電子現金の移転を禁止することにより、更なる被害をより効果的に防止できる。
【0034】次に本発明の他の実施形態を説明する。本実施形態に必要な構成は、ほぼ図1と同じであり、外観に関しては図2と同様である。ブロックの構成上の大きな相違点は、電子現金記憶部を一つしか設けないことである。本実施形態のブロック図を図4に示す。図1と共通するブロックは図1のブロック番号と同じ番号を使用している。この他の実施形態の特徴を、電子財布(C)13を中心にして説明する。また、特に断らない限り、各ブロックの名称は電子財布(C)13のものを指す。
【0035】暗証番号記憶部17は暗証番号Aと暗証番号Bとを記憶している。ROM16は、データ入力部4から入力された暗証番号に応じて、電子現金記憶部(A)2から電子現金を移転させるための制御プログラム等を記憶しておくものである。また、ROM16には、後述するように、強制移転されても惜しくない上限金額が予め記憶されている。そして、暗証番号Aが入力されたときは、電子現金記憶部(A)2に記憶されている金額の範囲内なら自由な金額の電子現金を移転できるが、暗証番号Bが入力されたときは、ROM16に設定された上限額でしか電子現金を移転できないようになっている。すなわち、暗証番号に応じて、移転可能な電子現金の上限額を異ならせている。制御部15は、データ入力部4またはインタフェース部5等から入力されたデータに応じて、各ブロックに対してデータの入出力を行うことによって電子現金の移転処理等を行うものである。
【0036】図5は、この場合の電子現金移転処理のフローチャートを示している。ここでは、電子財布(C)13から電子財布(D)14へ電子現金を移転する処理を説明する。まず、電子財布(C)13の暗証キー20が押され、数値入力キー25によって暗証番号が入力され確定キー23が押されることによって、暗証番号の入力が確定される(T1)。次に数値入力キー25を用いて移転する電子現金の金額を入力し、確定キー23によって金額の入力が確定される(T2)。
【0037】次に、入力された暗証番号が暗証番号記憶部17に予め記憶されている暗証番号Aと一致するかどうかを判定する(T3)。一致した場合は、入力された金額が、電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金の額より小さいかどうかを判定する(T4)。大きい場合は、電子現金の移転処理を行わず、処理を終了する。小さい場合は、電子現金記憶部(A)2から、電子財布(C)13に接続されている電子財布(D)14の電子現金記憶部(B)10に、入力された金額分の電子現金をインターフェース部5を介して移転する(T5)。移転が終了すると、電子現金の移転金額に応じて、電子現金記憶部(A)2の電子現金の金額が変更され、移転前に比べ移転金額分だけ電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金が少なくなる。
【0038】一方、ステップT3で入力された暗証番号が暗証番号Aと一致しなかった場合は、入力された暗証番号が暗証番号Bと一致するかどうかを判定する(T6)。ここで、暗証番号Bと一致しない場合は、電子現金移転処理を行わず、処理は終了する。暗証番号Bと一致した場合は、予めROM16に記憶されている電子現金の移転の上限額より、入力された金額が小さいかどうかを判定する(T7)。大きい場合は、電子現金の移転処理を行わず、処理を終了する。ここで、予めROM16に記憶される上限額は強制移転されても惜しくない金額に設定されている。さらに、入力された金額が、電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金の額より小さいかどうかを判定する(T8)。なぜなら、電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金以上の電子現金を移転することはできないからである。大きい場合は、電子現金の移転処理を行わず、処理を終了する。小さい場合は、電子現金記憶部(A)2から、電子財布(C)13に接続されている電子財布(D)14の電子現金記憶部(B)10に、入力された金額分の電子現金をインターフェース部5を介して移転する(T9)。移転が終了すると、電子現金の移転金額に応じて、電子現金記憶部(A)2の電子現金の金額が変更され、移転前に比べ移転金額分だけ電子現金記憶部(A)2に記憶されている電子現金が少なくなる。次に、電子現金記憶部(A)2からの電子現金の移転が禁止される(T10)。禁止された後は、予め暗証番号記憶部17に記憶された暗証番号A又は暗証番号Bが入力れても、電子現金の移転ができなくなる。禁止を解除するには、電子財布を発行した発行元又は電子現金の認証機関等のみが解除できるようにするとよい。
【0039】なお、暗証番号Bが入力された場合の残高表示は、予めROM16に記憶されている電子現金の移転の上限額を表示することになる。また、暗証番号Bが入力されて、電子現金が移転された後は、上限額から移転額を差し引いた金額を残高として表示するようにしてもよい。
【0040】このようにして、強盗対策用に移転可能な金額が限定された電子現金記憶部から電子現金を移転することにより、強盗に対して電子現金を全て移転したと欺くことができるので、それ以上の被害を食い止めることが可能になる。さらに、強盗対策用の電子現金記憶部から電子現金を移転した後は、電子現金記憶部から、電子現金の移転を禁止することにより、更なる被害をより効果的に防止できる。加えて、電子現金記憶手段を複数備える図1に示した電子財布に比べて、電子現金記憶部に予め余分な電子現金を記憶する必要がない利点を有する。
【0041】
【発明の効果】請求項1に記載された発明によれば、入力される暗証に応じて、電子現金が記憶されている電子現金記憶部を選択できるので、電子現金の移転を強制されても、その最大移転額を選択された電子現金記憶部に記憶されている電子現金の額に制限することにより、電子現金保持装置に保持している電子現金全額の移転を防止することができる。
【0042】請求項2に記載された発明によれば、選択された電子現金記憶部からの電子現金の移転後は、選択された電子現金記憶部以外の電子現金の移転を行わないようにすることにより、たとえ、移転後に正しい暗証が入力されたとしても更なる移転を防止することができる。
【0043】請求項3に記載された発明によれば、入力される暗証に応じて、移転可能な電子現金の上限額を異ならせるので、電子現金の移転を強制されても、その移転額を予め記憶されている上限額に制限することにより、電子現金保持装置に保持している電子現金全額の移転を防止することができる。
【0044】請求項4に記載された発明によれば、電子現金の移転後は、電子財布からの電子現金の移転を行わせないようにすることにより、たとえ、移転後に正しい暗証が入力されたとしても更なる移転を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子財布のブロック図である。
【図2】電子財布の外観図である。
【図3】電子現金移転のフローチャートである。
【図4】他の電子財布のブロック図である。
【図5】他の電子現金移転のフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子財布(A)
2 電子現金記憶部(A)
3 暗証番号記憶部
4 データ入力部
5 インターフェース部
6 表示部
7 電子現金記憶部(C)
8 制御部
9 電子財布(B)
10 電子現金記憶部(B)
11 電子現金記憶部(D)
12 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子現金を記憶する電子現金記憶手段と、暗証を入力する暗証入力手段と、前記暗証入力手段に所定の暗証が入力されることに応じて記憶された前記電子現金を外部の電子現金受付手段に移転する移転手段とを備えた電子現金保持装置であって、前記電子現金記憶手段を複数備え、所定の暗証入力に応じて選択された特定の電子現金記憶手段から電子現金を外部の電子現金受付手段に移転することを特徴とする電子現金保持装置。
【請求項2】 前記暗証入力手段に所定の暗証が入力されることによって電子現金を移転した後、他の現金記憶手段からの電子現金の移転を禁止する移転禁止手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子現金保持装置。
【請求項3】 電子現金を記憶する電子現金記憶手段と、暗証を入力する暗証入力手段と、前記暗証入力手段に所定の暗証が入力されることに応じて記憶された前記電子現金を外部の電子現金受付手段に移転する移転手段とを備えた電子現金保持装置であって、所定の暗証入力に応じて移転可能な電子現金の上限額を異ならせることを特徴とする電子現金保持装置。
【請求項4】 前記暗証入力手段に所定の暗証が入力されることによって、電子現金を移転した後、前記現金記憶手段からの電子現金の移転を禁止する移転禁止手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の電子現金保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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