電子装置およびその製造方法
【課題】ゴムブッシュやガスケットなどの部品を用いることなく、安定した振動抑制を実現する。
【解決手段】装置本体(6)にスタンド(8)を取り付けるヒンジ部(10)と、該ヒンジ部を支持する支持部(支持壁14−1、14−2)を備えたシャーシ(12)と、シールド部材(シールドフレーム20)とを備える。振動部品(HDDユニット4)にはブラケット(18)が取り付けられ、該ブラケットによって前記支持部に振動部品が取り付けられている。シールド部材(シールドフレーム20)は、前記シャーシに取り付けられ、前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆っている。
【解決手段】装置本体(6)にスタンド(8)を取り付けるヒンジ部(10)と、該ヒンジ部を支持する支持部(支持壁14−1、14−2)を備えたシャーシ(12)と、シールド部材(シールドフレーム20)とを備える。振動部品(HDDユニット4)にはブラケット(18)が取り付けられ、該ブラケットによって前記支持部に振動部品が取り付けられている。シールド部材(シールドフレーム20)は、前記シャーシに取り付けられ、前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆っている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive :HDD)ユニットなどの振動部品を備えるパーソナルコンピュータなどの電子装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDDユニットなどの振動部品を備える電子装置としてパーソナルコンピュータ(PC)がある。このPCにはLCD(Liquid Crystal Display)一体型PCが普及している。このPCの構成を概略すると、前面カバー、LCDユニット、シャーシ、シールド部材、ヒンジ部、スタンドを備える。LCDユニットは、情報表示部である。シャーシはLCDユニットの背面に配置され、回路基板やHDDユニットなどの各種ユニットを搭載する。シールド部材は回路基板やユニットをシールドする。ヒンジ部はPC本体とスタンドとを連結し、PC本体のチルト機能などを担う。スタンドはヒンジ部に取り付けられ、PC本体を支える。このようなPCにおいて、HDDユニットなどの振動部品の取付けには、ゴムブッシュやガスケットなどの振動吸収材が設置されている。
【0003】
HDDユニットの取付けに関し、特許文献1には、ほぼΩ形形状の取付け金具内にHDDユニットを吊り下げ状態で固定し、取付け金具には切り曲げなどでバネ部を構成することが記載されている。また、特許文献2には、防振材を併用してHDDユニットを吊り下げることにより、外部圧力からHDDユニットを保護することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−44761号公報
【特許文献2】特開平11−86519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PCなどの電子装置において、HDDユニットは高速回転による回転振動を生ずる振動部品である。このような振動部品をシャーシに固定すると、その固定方法によっては、シャーシが回転振動により共振し、耳障り音が生じる場合がある。このような振動や不要音を抑制するため、取り付けには従来、ゴムブッシュやガスケットが用いられている。
【0006】
ゴムブッシュやガスケットは、シャーシなどの金属部品と異なるうえ、筐体構造と別部材であるため、部品点数や設置工数を増加させる。また、ゴムブッシュやガスケットは輸送の際、緩衝部材として応力を受け、また、永年使用により劣化し、メンテナンスの際には取り外されるおそれもあり、信頼性に欠ける。また、作業者はゴムブッシュやガスケットの取付け位置を考慮しなければならず、剥離テープを用いた接着作業では手数を要する。また、ゴムブッシュやガスケットでは、経年変化によって設置当初の弾性が低下すると、安定した振動抑制が果たせないという課題もある。
【0007】
振動部品側の部材とシャーシ側部材との間に配置したガスケットで部材間接触の安定化を図る構造がある。係る構造では、金属部材の絞り高さ、金属部材の曲げ、反りなどによりガスケットが設置される隙間が変化する。このため、ガスケットを挟み込んでも振動の吸収機能が損なわれ、振動音を発生するおそれがある。また、ガスケットの挟み込み構造では、締結部分のガスケットとの接触面積が狭く、固定力が小さく、振動抑制が不十分であるなどの課題もある。
【0008】
そこで、本開示の電子装置およびその製造方法の目的は、ゴムブッシュやガスケットなどの部品を用いることなく、安定した振動抑制を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の構成は、装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部と、該ヒンジ部を支持する支持部を備えたシャーシと、シールド部材とを備える。振動部品にはブラケットが取り付けられ、該ブラケットによって前記支持部に振動部品が取り付けられている。シールド部材は、前記シャーシに取り付けられ、前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆っている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の電子装置またはその製造方法によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0011】
(1) ゴムブッシュやガスケットに代えて金属部材による筐体構造のみで振動抑制や共鳴振動が抑制される。
【0012】
(2) ゴムブッシュやガスケットを除くことにより、部品点数や、製造工数を削減することができる。
【0013】
(3) 共鳴部分を削除した金属結合構造により安定した振動抑制や共鳴振動の抑制が図られる。
【0014】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係るパーソナルコンピュータを示す側面図である。
【図2】パーソナルコンピュータを示す背面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係る組立て手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係るパーソナルコンピュータを示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面を示す図である。
【図7】装置本体およびスタンドを示す分解斜視図である。
【図8】HDDユニットおよびブラケットを示す斜視図である。
【図9】ブラケットが取り付けられたHDDユニットを示す斜視図である。
【図10】HDDユニットのブラケットの側面形状を示す図である。
【図11】支持壁を備えたシャーシの背面を示す図である。
【図12】支持壁を備えたシャーシの一部を示す斜視図である。
【図13】支持壁を備えたシャーシとHDDユニットを示す図である。
【図14】HDDユニットを配置したシャーシを示す図である。
【図15】図14のXV−XV線断面を示す図である。
【図16】図15のXVI 部を拡大して示す図である。
【図17】ヒンジ部およびシールドフレームの一部を示す斜視図である。
【図18】シャーシ、シールドフレームおよびヒンジ部を示す図である。
【図19】図18のXIX −XIX 線断面を示す図である。
【図20】図18のXX−XX線断面を示す図である。
【図21】図18のXXI −XXI 線断面を示す図である。
【図22】図18のXXII−XXII線断面を示す図である。
【図23】図18のXXIII −XXIII 線断面を示す図である。
【図24】図18のXXIV−XXIV線断面を示す図である。
【図25】図24のXXV 部を示す拡大断面図である。
【図26】シールドフレームの着脱を示す図である。
【図27】図18のXXVII −XXVII 線断面を示す図である。
【図28】図27のXXVIII部を示す拡大断面図である。
【図29】図18のXXIX−XXIX線断面の中心部を省略して示す図である。
【図30】第2の実施の形態に係る組立手順を示すフローチャートである。
【図31】図5のXXXI−XXXI線断面から前面カバーおよびLCDユニットを除いて示す図である。
【図32】図5のXXXII −XXXII 線断面から前面カバー、LCDユニットおよびHDDユニットを除いて示す図である。
【図33】一括締めの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施の形態〕
【0017】
図1は、第1の実施の形態に係るパーソナルコンピュータ(PC)を示している。図2はPCを背面側から示している。図1および図2に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の電子装置およびその製造方法が限定されるものではない。
【0018】
図1および図2に示すPC(パーソナルコンピュータ)2は、本開示の電子装置の一例であり、振動部品の一例としてハードディスクドライブ(Hard Disk Drive :HDD)ユニット4を備えている。HDDユニット4は高速で回転する回転機構部を備えており、その回転で振動を生じる振動部品であるが、該振動部品をHDDユニット4に限定するものではない。
【0019】
この装置本体6の背面側にはスタンド8がヒンジ部10を介して取り付けられている。このスタンド8はたとえば、設置台や床面などの水平面部に設置される。装置本体6はスタンド8に対してヒンジ部10により回動し、上下方向の向きを変更可能である。
【0020】
HDDユニット4は装置本体6の中心線O上に設置されている。この実施形態では、HDDユニット4が中心線Oを中心に左右対象またはほぼ左右対象となるように配置されている。HDDユニット4は装置本体6の重心位置に配置され、この重心位置でスタンド8に支持されている。
【0021】
図3は装置本体6のIII − III線断面を示している。装置本体6にはシャーシ12が内蔵されている。このシャーシ12には一対の支持壁14−1、14−2が備えられている。支持壁14−1、14−2は、HDDユニット4の支持部の一例である。支持壁14−1、14−2はシャーシ12の平面方向と直行方向に立設され、一例であるリベット16でシャーシ12に固定されている。これら支持壁14−1、14−2によって支持されるHDDユニット4にはブラケット18が取り付けられ、HDDユニット4の側面に突出している。
【0022】
支持壁14−1、14−2には、HDDユニット4のブラケット18が重ねられ、その上にシールドフレーム20が重ねられている。シールドフレーム20はシャーシ12およびHDDユニット4を覆うシールド部材の一例である。このシールドフレーム20の背面にはヒンジ部10のヒンジフレーム22が設置されている。つまり、支持壁14−1、14−2とヒンジフレーム22との間にはブラケット18およびシールドフレーム20が挟み込まれている。
【0023】
支持壁14−1、14−2にブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22を一括固定する固定手段の一例として固定ねじ24が用いられている。固定ねじ24は、ヒンジフレーム22側から挿通させて支持壁14−1、14−2のねじ孔26にねじ込まれている。これにより、支持壁14−1、14−2にはブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が固定ねじ24により一括固定されている。
【0024】
シャーシ12やシールドフレーム20を構成する素材の厚さをt1 、ヒンジフレーム22の厚さをt2 とすると、t2 >t1 であり、たとえば、t2 >t1 ×2に設定されている。このような厚さに設定されたヒンジフレーム22が中心線Oに跨がって取り付けられている。これにより、シールドフレーム20、シャーシ12、支持壁14−1、14−2など、フレーム部材が補強されている。
【0025】
図4は、このPC2の組立て手順の一例を示している。この組立て手順は本開示の電子装置の製造方法の一例であり、係る手順に本開示の電子装置の製造方法が限定されるものではない。
【0026】
この組立て手順では、シャーシ12にリベット16により固定された支持壁14−1、14−2にHDDユニット4のブラケット18を設置する(S11)。HDDユニット4には予めブラケット18が固定されているものとする。
【0027】
支持壁14−1、14−2に載せられたHDDユニット4のブラケット18の上からシールドフレーム20を設置する(S12)。
【0028】
シールドフレーム20の上にヒンジ部10のヒンジフレーム22を設置し(S13)、このヒンジフレーム22の背面側から固定ねじ24を既述の支持壁14−1、14−2に固定する(S14)。これにより、支持壁14−1、14−2にブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が固定ねじ24により一体的に固定される。
【0029】
ヒンジ部10にスタンド8を取り付ける(S15)。これによりPC2が完成する。
【0030】
このような構成では、ヒンジ部10のヒンジフレーム22に振動部品であるHDDユニット4がシャーシ12とともに固定され、このHDDユニット4はヒンジ部10を介してスタンド8に支持されている。
【0031】
HDDユニット4は、ブラケット18により支持壁14−1、14−2、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22と固定されている。つまり、HDDユニット4はブラケット18による片持ち梁構造によりスタンド8に支持されている。
【0032】
HDDユニット4はブラケット18を介して支持壁14−1、14−2およびヒンジフレーム22に支持され、その固定部分がブラケット18に限定されている。つまり、HDDユニット4と各支持壁14−1、14−2およびシャーシ12との間には空間部28が形成されている。また、ブラケット18側にも、ブラケット18の屈曲部30による段差により、シールドフレーム20との間に空間部32が形成されている。つまり、各空間部28、32によりHDDユニット4はシャーシ12、支持壁14−1、14−2およびシールドフレーム20と非接触状態である。そして、各空間部28、32の空気層がHDDユニット4の振動伝達の負荷として機能する。しかも、HDDユニット4の固定がブラケット18による部分的な金属間結合に限定されているので、HDDユニット4の振動伝達が制限され、HDDの片持ち梁構造および既述の空間部の空気層の介在によりシャーシ12やシールドフレーム20の共鳴が防止されている。
【0033】
以上の構成により、従来のガスケットやゴムブッシュを用いることなく、HDDユニット4の振動や共鳴による耳障り音が抑制される。しかも、ガスケットやゴムブッシュを用いることなく固定ねじ24で一括固定であるから、部品点数や組立工数が削減される。
【0034】
〔第2の実施の形態〕
【0035】
図5は、第2の実施の形態に係るPC(パーソナルコンピュータ)の一例を示している。図5に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の電子装置およびその製造方法が限定されるものではない。
【0036】
図5に示すPC2は、本開示の電子装置の一例である。このPC2の装置本体6の前面部に設置された前面カバー34は装置本体6の周縁部を被覆している。この前面カバー34には画面表示窓36が形成されている。この画面表示窓36にはLCD(Liquid Crystal Display)ユニット38(図6)の表示画面40が配置されている。
【0037】
PC2の背面部にはスタンド8が取り付けられている。このスタンド8は支柱部42と台座部44とを備えている。台座部44は既述の設置台や床面に設置される。
【0038】
<装置本体の内部構造>
【0039】
図6は図5のVI−VI線断面を示している。装置本体6にはシャーシ12が内蔵されている。このシャーシ12の前面にはLCDユニット38が設置されている。このLCDユニット38はシャーシ12と前面カバー34との間に配置されている。シャーシ12の背面側にはHDDユニット4が配置されている。このHDDユニット4の背面側にはシールドフレーム20が設置されている。HDDユニット4およびシャーシ12の背面の一部がこのシールドフレーム20により覆われている。シャーシ12およびシールドフレーム20はたとえば、導電性を持つ金属板を板金加工したものである。シールドフレーム20は、シールド部材の一例であり、シールド機能を備える。
【0040】
ヒンジ部10は板状のヒンジフレーム22を備えている。このヒンジフレーム22は、シールドフレーム20の背面に配置され、既述のシャーシ12に固定されている。このヒンジフレーム22は、ヒンジ部10の固定手段であるとともに、シャーシ12やシールドフレーム20の補強手段を構成している。
【0041】
ヒンジ部10にはスタンド8の支柱部42が取り付けられている。装置本体6の背面側には背面カバー48が設置されている。この背面カバー48により、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22の背面側が覆われている。
【0042】
PC2の装置本体6は、スタンド8の支柱部42にヒンジ部10により回動可能に支持されている。また、支柱部42と台座部44との間には回転機構50が設置されている。既述したように、装置本体6は、ヒンジ部10により上下方向に回動し、回転機構50により支柱部42とともに水平方向に回動させることができる。
【0043】
スタンド8の台座部44は、支柱部42の中心位置から前方側の張出幅をW1、後方側の張出幅をW2とすると、W1>W2であり、W1=W2×nに設定されている。nは正の数である。また、垂直に維持されたシャーシ12の中心位置と支柱部42の中心位置との間隔をW3とすると、この実施の形態ではW3≒W1/2に設定されている。また、W3>W2に設定されている。HDDユニット4は、支柱部42にヒンジ部10を介して片持ち梁構造で、間隔W3内で支持されている。
【0044】
<装置本体6およびスタンド8の構成部材>
【0045】
図7は装置本体6およびスタンド8を分解して背面側から示している。装置本体6の前面側には前面カバー34が設置されている。この前面カバー34とシャーシ12との間にはLCDユニット38が設置されている。LCDユニット38は長方形状の板状部材である。このLCDユニット38は前面カバー34とシャーシ12とにより防護され、シャーシ12により補強されている。
【0046】
シャーシ12の背面側中央部には一対の支持壁14−1、14−2が一定の間隔を設けて平行に配置されている。支持壁14−1、14−2にはHDDユニット4がブラケット18により取り付けられる。
【0047】
このHDDユニット4の背面側にはシールドフレーム20が設置される。シールドフレーム20はHDDユニット4を覆うとともに、シャーシ12の背面の一部を覆う。
【0048】
シールドフレーム20の背面には、ヒンジ部10のヒンジフレーム22が配置される。シールドフレーム20の背面にはヒンジフレーム22の設置エリア52が形成されている。
【0049】
ヒンジ部10にはスタンド8の支柱部42が取り付けられる。この支柱部42の背面部には支柱背面カバー54が取り付けられる。
【0050】
<HDDユニット4およびブラケット18>
【0051】
図8はHDDユニット4およびブラケット18を示している。図9および図10はブラケット18が取り付けられたHDDユニット4を示している。
【0052】
HDDユニット4は偏平な直方体の筐体56を備えている。この筐体56はたとえば、合成樹脂で成形されている。この筐体56には、記録媒体やヘッドが設置され、記録媒体を回転する回転機構部などが内蔵されている。この筐体56の側面部には、複数のねじ孔58が形成されている。
【0053】
ブラケット18はHDDユニット4を他の部材に固定する手段であり、シャーシ12と同様に金属板で成形されている。このブラケット18には筐体56を覆う長方形状のブラケット本体60が設けられ、このブラケット本体60の各長辺側に第1の固定片62−1、62−21、62−22が形成されている。各固定片62−1、62−21、62−22はブラケット本体60の縁部より筐体56と離間する方向に屈曲させて形成されており、各固定片62−1、62−21、62−22とブラケット本体60との間には屈曲部30により段差Dが形成されている。
【0054】
固定片62−21、62−22の間には、HDDユニット4を支持壁14−2に位置決めするために仮固定する仮固定片64が形成されている。この仮固定片64はブラケット本体60と同一面である。このため、仮固定片64と固定片62−21、62−22との間に既述の段差Dが設けられている。
【0055】
ブラケット本体60には、切り起こしにより、各固定片62−1、62−21、62−22と直交方向に第2の固定片66−1、66−2が長手方向の二箇所、つまり、HDDユニット4のねじ孔58に対応する位置に形成されている。対向する固定片66−1、66−2の間隔はHDDユニット4の幅に一致している。
【0056】
ブラケット本体60には、各固定片66−1、66−2の形成により開口された透孔部68、スリット状の複数の通気孔70、補強のためのリブ72が形成されている。
【0057】
固定片62−1には透孔74−1、76−1、78−1が形成されている。同様に、固定片62−21、62−22には透孔74−2、76−2、78−2が形成されている。また、仮固定片64には透孔80が形成されている。
【0058】
各固定片66−1、66−2に挿通させた固定ねじ82をHDDユニット4の側面にあるねじ孔58にねじ込むことにより、ブラケット18がHDDユニット4に固定されている(図9)。
【0059】
ブラケット18が固定されたHDDユニット4は図10に示すように、ブラケット18に形成されている屈曲部30により、各固定片62−1、62−21、62−22と固定片64との間には段差Dが形成されている。この段差Dが、シールドフレーム20との間に空間部32(図3)を形成する。
【0060】
<シャーシ12>
【0061】
図11は支持壁14−1、14−2を備えたシャーシ12を示している。図12は支持壁14−1、14−2およびその固定部分を拡大して示している。この実施の形態では、シャーシ12と支持壁14−1、14−2は別部材で構成されているが、支持壁14−1、14−2をシャーシ12の一部で構成してもよい。
【0062】
シャーシ12に対し既述の中心線Oを取ると、各支持壁14−1、14−2は、図11に示すように、中心線Oを中心に等距離W5の位置で平行に設置されている。したがって、支持壁14−1、14−2間の距離2×W5は、HDDユニット4の幅W4(図10)より大きい幅(2×W5>W4)に設定されている。
【0063】
各支持壁14−1、14−2はシャーシ12に複数のリベット16により固定されている。各支持壁14−1、14−2の頂部にはブラケット18の固定片62−1を固定する固定部84−1、固定片62−21を固定する固定部84−21、固定片62−22を固定する固定部84−22が形成されている。仮固定片64を固定する固定部86が形成されている。これら固定部84−1、84−21、84−22、86は、支持壁14−1、14−2のいずれかを対向方向に折曲げ、シャーシ12と平行面に加工したものである。
【0064】
固定部84−1にはブラケット18の透孔74−1に対応するねじ孔88−1、透孔76−1に対応するねじ孔90−1、透孔78−1に挿通させる位置決め突部92−1が形成されている。位置決め突部92−1は固定部84−1、84−21の素材にバーリング加工により形成された円筒状の突部である。固定部84−22には透孔74−2に対応するねじ孔88−2、固定部84−21には透孔76−2に対応するねじ孔90−2、透孔78−2に挿通させる位置決め突部92−2が形成されている。また、固定部86には透孔80に対応するねじ孔94が形成されている。
【0065】
このように、支持壁14−1、14−2で挟まれたシャーシ12にはHDDユニット4の配置エリア96が設定されている。この配置エリア96のシャーシ12には、スリット状の複数の通気孔98が形成されている。
【0066】
<シャーシ12に対するHDDユニット4の配置形態>
【0067】
図13は支持壁14−1、14−2とHDDユニット4の配置関係を示している。支持壁14−1、14−2に対し、固定部86にブラケット18の仮固定片64を合せ、固定ねじ100を透孔80に挿通させ、固定部86にあるねじ孔94にねじ込むことにより、HDDユニット4が支持壁14−1、14−2に仮固定される。その際、位置決め突部92−1を透孔78−1に挿通させ、位置決め突部92−2を透孔78−2に挿通させることにより、ブラケット18とともにHDDユニット4が所定位置に高精度に位置決めされる。この位置決めにより、ねじ孔88−1には透孔74−1、ねじ孔90−1には透孔76−1、ねじ孔88−2には透孔74−2、ねじ孔90−2には透孔76−2を自動的に一致させることができる。
【0068】
したがって、シャーシ12には図14に示すように、支持壁14−1、14−2上にHDDユニット4が位置決めされて配置される。図15は図14のXV−XV線断面を示している。また、図16は図15のXVI 部を拡大して示している。このように、HDDユニット4がシャーシ12上に仮固定される。
【0069】
<ヒンジ部10およびシールドフレーム20>
【0070】
図17は、ヒンジ部10とシールドフレーム20の一部を示している。
【0071】
ヒンジ部10は、シールドフレーム20に設置されるヒンジフレーム22と、スタンド8の支柱部42に取り付けられる可動フレーム102を備えている。ヒンジフレーム22は可動フレーム102より大きい板状部材であり、この板状部材から切り起こされた一対の軸受部104−1、104−2を備えている。可動フレーム102は軸受部104−1、104−2の内側に設置されるコ字形の枠部材であって、スタンド8の支柱部42に固定する固定部106を備えている。軸受部104−1、104−2には可動フレーム102が支持軸108−1、108−2により回動可能に取り付けられている。
【0072】
シャーシ12やシールドフレーム20を構成する素材の厚さをt1 、ヒンジフレーム22をシャーシ12やシールドフレーム20と同一素材で形成し、その厚さをt2 とすると、t2 >t1 であり、たとえば、t2 >t1 ×2に設定されている。一例として、t1 =0.8〔mm〕であり、t2 =2〔mm〕である。このような厚さ設定により、ヒンジフレーム22の取付けにより、シールドフレーム20、シャーシ12、支持壁14−1、14−2など、フレーム部材が強化されている。
【0073】
ヒンジフレーム22には、支持壁14−1の固定部84−1のねじ孔90−1に対応する透孔110−1、位置決め突部92−1を挿通させる透孔112−1、複数の透孔114−1、116−1が形成されている。同様に、支持壁14−2の固定部84−21のねじ孔90−2に対応する透孔110−2、位置決め突部92−2を挿通させる透孔112−2、複数の透孔114−2、116−2が形成されている。さらに、ヒンジフレーム22の中央には透孔117が形成されている。
【0074】
シールドフレーム20には、設置エリア52がリブ119によって包囲されている。このリブ119によって設置エリア52が補強されている。リブ119の外側には、支持壁14−1の固定部84−1のねじ孔88−1に対応する透孔118−1、支持壁14−2の固定部84−22のねじ孔88−2に対応する透孔118−2が形成されている。また、設置エリア52には、既述の透孔110−1に対応する透孔120−1、透孔112−1に対応する透孔122−1、透孔114−1に対応する透孔124−1、透孔116−1に対応する透孔126−1が形成されている。同様に、既述の透孔110−2に対応する透孔120−2、透孔112−2に対応する透孔122−2、透孔114−2に対応する透孔124−2、透孔116−2に対応する透孔126−2が形成されている。既述の透孔117に対応するねじ孔127が形成されている。
【0075】
このような対応関係により、シールドフレーム20から突出する支持壁14−1、14−2の位置決め突部92−1、92−2を透孔112−1、112−2に挿通させることにより、ヒンジフレーム22がシールドフレーム20上に位置決めされる。
【0076】
シールドフレーム20は固定ねじ128により支持壁14−1、14−2に固定される。また、ヒンジフレーム22は、複数の固定ねじ130によりシールドフレーム20を介して支持壁14−1、14−2に固定されるとともに、固定ねじ131、132によりシールドフレーム20に固定される。
【0077】
図18は、シャーシ12に固定されたシールドフレーム20およびヒンジ部10を示している。図19は図18のXIX −XIX 線断面を示している。図20は図18のXX−XX線断面を示している。図21は図18のXXI −XXI 線断面を示している。図22は図18のXXII−XXII線断面を示している。
【0078】
シャーシ12の中心部に立設された支持壁14−1、14−2の間にはHDDユニット4がブラケット18を介して固定ねじ130により取り付けられている。ブラケット18の背面にはシールドフレーム20およびヒンジフレーム22が重ねられ、固定ねじ130により支持壁14−1、14−2に一括して固定されている。また、ヒンジフレーム22およびシールドフレーム20の中央部は固定ねじ132により固定され、一体化されている。
【0079】
図23は図18のXXIII −XXIII 線断面を示している。HDDユニット4はヒンジ部10の固定位置の上方に固定されている。
【0080】
図24は図18のXXIV−XXIV線断面を示している。図25は図24のXXV 部を拡大して示している。シャーシ12にリベット16により固定された支持壁14−1、14−2には固定ねじ128によりHDDユニット4のブラケット18が固定されている。支持壁14−2の固定部86にはブラケット18の仮固定片64が重ねられ、固定ねじ100により固定されている。
【0081】
図26はシールドフレーム20の着脱を示している。支持壁14−2の固定部86にブラケット18の仮固定片64が固定ねじ100により固定されているので、固定ねじ128を外せば、シールドフレーム20を支持壁14−1、14−2から離脱させることができる。この場合、図26には図示しないが、一括締めの固定ねじ130を外す必要がある。つまり、シールドフレーム20をブラケット18と独立して外すことができる。
【0082】
係る構成では、ブラケット18の固定片62−1、62−21、62−22側の透孔78−1、78−2と支持壁14−1、14−2側の位置決め突部92−1、92−2との係合によりHDDユニット4が位置決め(バーリング位置決め)されている。固定ねじ100によって仮固定されているので、シールドフレーム20で装置本体6を分離し、シールドフレーム20が外された状態でHDDユニット4の動作確認やHDDユニット4のリペアなどを容易に行える。これは組立途上、組立後の何れでも行える。
【0083】
図27は図18のXXVII −XXVII 線断面を示している。図28は図27のXXVIII部を拡大して示している。
【0084】
シャーシ12に立設されている支持壁14−1、14−2には既述の通りブラケット18によりHDDユニット4が仮固定される。支持壁14−1、14−2のブラケット18にはシールドフレーム20が重ねられ、このシールドフレーム20の上にはヒンジフレーム22が重ねられている。シールドフレーム20およびヒンジフレーム22は、支持壁14−1、14−2にある位置決め突部92−1、92−2およびブラケット18の透孔78−1、78−2、112−1、112−2の係合により一括締めの前に位置決めされる。このような位置決めの後、各透孔76−1、120−1に固定ねじ130を挿通させて支持壁14−1のねじ孔90−1にねじ込む。同様に、各透孔76−2、120−2に固定ねじ130を挿通させて支持壁14−2のねじ孔90−2にねじ込む。これにより、各支持壁14−1、14−2のそれぞれに一本の固定ねじ130の一括締めにより、ブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が一括固定されている。
【0085】
ヒンジフレーム22は、中心線Oから左右の幅をW6 とすれば、全幅はW6×2である。この幅W6×2は支持壁14−1、14−2の設置幅W5×2(<W6×2)より大きく設定されている。したがって、ヒンジフレーム22は支持壁14−1、14−2間を橋絡している。
【0086】
シールドフレーム20およびヒンジフレーム22の中央には固定ねじ132が取り付けられ、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が一体化されている。ヒンジフレーム22によりシールドフレーム20の補強とともに、共鳴が阻止されている。この実施の形態では、中心線O上に固定ねじ132を取り付けているが、中心線Oからずれた位置でもよいし、複数の固定ねじ132で数カ所を固定してもよい。
【0087】
HDDユニット4と支持壁14−1、14−2およびシャーシ12との間には空間部28が形成されている。HDDユニット4に固定されたブラケット18の左右に屈曲部30が形成されている。この屈曲部30の段差Dにより、ブラケット18を備えるHDDユニット4とシールドフレーム20との間に空間部32が形成されている。つまり、ブラケット18によって支持されたHDDユニット4は、シャーシ12、支持壁14−1、14−2およびシールドフレーム20と非接触である。また、HDDユニット4はブラケット18により吊り下げられ、片持ち梁構造でシールドフレーム20を含むフレーム筐体構造により支持されている。
【0088】
図29は図18のXXIX−XXIX線断面の中心部を省略して示している。ヒンジフレーム22はシールドフレーム20の設置エリア52に設置されている。この設置エリア52は、ヒンジフレーム22を背面側に部分的に膨出させて周回するリブ119によって包囲されている。このリブ119によりシールドフレーム20が補強され、ヒンジフレーム22の接合によって強化されている。リブ119の突出量をW7とすると、この実施の形態では、ヒンジフレーム22の厚さt2 より小さく設定されている(W7<t2 )。これにより、厚さのあるヒンジフレーム22がリブ119によりシールドフレーム20の背面からの突出量が低減されている。この場合、リブ119の突出量W7をヒンジフレーム22の厚さt2 より大きくすれば、リブ119の頂面部内にヒンジフレーム22を収めることができる。
【0089】
図30は第2の実施の形態の組立て手順を示している。この組立て手順は本開示の電子装置の製造方法の一例であり、係る手順に本開示の電子装置の製造方法が限定されるものではない。
【0090】
この組立て手順では、シャーシ12および支持壁14−1、14−2が板金加工により形成される。シャーシ12には支持壁14−1、14−2がリベット16により固定される。HDDユニット4にはブラケット18を予め取り付ける。HDDユニット4に取り付けられたブラケット18を支持壁14−1、14−2に設置する(S21)。
【0091】
支持壁14−2にHDDユニット4のブラケット18を固定ねじ100により仮固定する(S22)。
【0092】
支持壁14−2に設置したHDDユニット4のブラケット18の上からシールドフレーム20を設置する(S23)。
【0093】
シールドフレーム20の上にヒンジ部10のヒンジフレーム22を設置する(S24)。このヒンジフレーム22の背面側から固定ねじ128、130、131、132を固定する。これらにより、支持壁14−1、14−2にブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が固定される(S25)。この場合、支持壁14−1、14−2にブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が固定ねじ130の一括締めにより、一括固定される。
【0094】
ヒンジ部10にスタンド8を取り付ける(S15)。これによりPC2が完成する。
【0095】
図31は、図5のXXXI−XXXI線断面から前面カバーおよびLCDユニットを除いて示している。図32は、図5のXXXII −XXXII 線断面から前面カバー、LCDユニットおよびHDDユニットを除いて示している。
【0096】
装置本体6の前面カバー34およびLCDユニット38を固定ねじにより取り外すことが可能であり、LCDユニット38を容易に交換や点検することができる。その際、シャーシ12をスタンド8で支持することができる。シャーシ12上の部品交換や点検をすることができる。つまり、スタンド8を取り外す必要がない。
【0097】
シャーシ12からシールドフレーム20を分離すれば、図32に示すように、スタンド8側にシールドフレーム20を残すことができる。シールドフレーム20から分離されたシャーシ12には、HDDユニット4が設置された状態であり、その交換や調整など、メンテナンスが容易である。
【0098】
<第2の実施の形態の効果>
【0099】
(1) ブラケット18に形成された屈曲部30により、HDDユニット4とシールドフレーム20との間に空間部32が形成されている。つまり、空間部32によりHDDユニット4がシールドフレーム20から離間している。これにより、シールドフレーム20への直接の振動伝播を防止でき、屈曲部30によってブラケット18の機械強度が増加し、HDDユニット4およびブラケット18の防振性が向上する。
【0100】
(2) HDDユニット4は取り付けの際、仮固定片64により支持壁14−2に固定ねじ100により仮固定される。HDDユニット4を外す場合、支持壁14−2に固定ねじ100により固定が維持される。このため、装置本体6に固定する際や組立後の保守時などにHDDユニット4の脱落を防止でき、組立てや保守が容易になる。
【0101】
(3) 仮固定片64は他の固定片62−21、62−22より低い位置、すなわち、ブラケット本体60と同一平面に形成されている。固定ねじ100は固定片62−21、62−22より低い位置、すなわち、固定片62−21、62−22から逃げた平面で支持壁14−2と固定される。このため、シャーシ12およびヒンジフレーム22とブラケット本体60との干渉が避けられる。つまり、HDDユニット4およびブラケット18の固定ねじ100の頭部の高さ分だけ、薄く形成できる。
【0102】
(4) 平行に配置された支持壁14−1、14−2に対して位置決め突部92−1、92−2が形成され、これにより、HDDユニット4のブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が高精度に位置決めされる。しかも、位置決め突部92−1、92−2はバーリング加工によって形成された突出部である。この突出部とHDDユニット4のブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22との係合と、固定ねじ130による共締めとによって強固な筐体構造および固定強度が得られる。
【0103】
(5) HDDユニット4の側面に対してブラケット18は、ブラケット本体60から切り起こされた固定片66−1、66−2の間に挟み込んで固定されている。このような固定構造は、従来のような箱型に比較し、軽量小型化を図ることができるとともに、HDDユニット4の振動に対する耐力の向上を図ることができる。
【0104】
(6) HDDユニット4に取り付けられたブラケット18は、支持壁14−1、14−2に固定ねじ130により固定され、シャーシ12との接触部分はブラケット18に限定されている。つまり、ゴムブッシュやガスケットなどの振動対策部品が不要である。
【0105】
(7) HDDユニット4を特別な振動対策部品を使用することなく固定し、耳障りな振動音を抑制でき、振動対策部材を削減できる。
【0106】
(8) 従来のシャーシとHDDユニットのブラケットの間にガスケットを配置する構造に対し、接触安定化を図ることができ、板金の絞り高さ、曲げの安定性、反り等により隙間の変化による挟み込み部での振動音発生を防止できる。従来の挟み込み構造は、締結部の接触面積が狭く、固定力が小さいが、振動を抑制できないという不都合があったが、これらを解消することができる。
【0107】
〔他の実施の形態〕
【0108】
(1) 図33は、一括締めの変形例を示している。図33において、図28と同一部分には同一符号を付してある。第2の実施の形態では固定ねじ130を用いているが、この固定ねじ130に代え、固定ねじ134を支持壁14−1、14−2に取り付けてもよい。この固定ねじ134をブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22に貫通させ、ナット136を固定ねじ134に取り付けて一括締めしてもよい。斯かる構成によっても、同様の効果が得られる。
【0109】
(2) 上記実施の形態では、電子装置としてPC2を例示したが、PC以外の電子装置であってもよい。また、振動部品としてHDDユニットを例示したが、HDDユニット以外の振動構造を持つ部品であってもよい。
【0110】
(3) 上記実施の形態では、シャーシにシールドフレームやヒンジフレームを共締めする構造を例示したが、HDDユニットをブラケットにつり下げ、装置本体のフレーム構造体にねじ止めする構造であればよい。HDDユニットの接触部分をブラケット部分に限定すれば、装置本体との接触を回避でき、HDDユニットの振動による不具合を防止することができる。
【0111】
(4) 上記実施の形態では、シールドフレーム20を支持部の一例である支持壁14−1、14−2に固定しているが、シャーシ12に固定してもよい。つまり、シャーシ12または支持壁14−1、14−2のいずれか一方または双方にシールドフレーム20を固定してもよい。シールドフレーム20で振動部品であるHDDユニット4を非接触で覆っているが、シールドフレーム20からブラケット18を露出させ、シャーシ12のみを覆う構成としてもよい。
【0112】
(5) ブラケット18をHDDユニット4のシールド部材としてもよい。
【0113】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0114】
(付記1) 装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部と、
前記ヒンジ部を支持する支持部を備えたシャーシと、
ブラケットが取り付けられ、該ブラケットによって前記支持部に取り付けられた振動部品と、
前記シャーシに取り付けられ、前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆うシールド部材と、
を備える電子装置。
【0115】
(付記2) 前記ブラケット、前記シールド部材または前記ヒンジ部のヒンジフレームの2以上が一括して前記支持部に固定されている、
付記1に記載の電子装置。
【0116】
(付記3) 前記振動部品は、前記ブラケットにより吊り下げられ、前記シャーシおよび前記シールド部材との間に空間部を介在させて非接触である、
付記1または2に記載の電子装置。
【0117】
(付記4) 前記ヒンジ部のヒンジフレームは、前記シャーシまたは前記シールド部材の2倍以上の厚さの肉厚材料で形成されている、
付記1ないし3のいずれかに記載の電子装置。
【0118】
(付記5) 前記振動部品および前記ヒンジ部は、装置本体の中心部に設置されている、
付記1ないし4のいずれかに記載の電子装置。
【0119】
(付記6) 前記振動部品がHDDユニットである、
付記1ないし5のいずれかに記載の電子装置。
【0120】
(付記7) 装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部を支持する支持部を備えるシャーシを形成し、
前記支持部に固定されるブラケットを振動部品に取り付け、
前記振動部品に前記ブラケットを取り付け、該ブラケットによって前記支持部に前記振動部品を取り付け、
前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆うシールド部材を前記シャーシに取り付ける、
電子装置の製造方法。
【0121】
以上説明したように、本開示の電子装置およびその製造方法の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0122】
2 PC
4 HDDユニット
6 装置本体
8 スタンド
10 ヒンジ部
12 シャーシ
14−1、14−2 支持壁
18 ブラケット
20 シールドフレーム
22 ヒンジフレーム
24 固定ねじ
28 空間部
30 屈曲部
32 空間部
34 前面カバー
52 設置エリア
60 ブラケット本体
62−1、62−21、62−22 第1の固定片
64 仮固定片
66−1、66−2 第2の固定片
68 透孔部
70 通気孔
72 リブ
74−1、76−1、78−1 透孔
74−2、76−2、78−2 透孔
80 透孔
82 固定ねじ
84−1、84−21、84−22、86 固定部
88−1、88−2 ねじ孔
90−1、90−2 ねじ孔
92−1、92−2 位置決め突部
94 ねじ孔
96 配置エリア
98 通気孔
100 固定ねじ
102 可動フレーム
104−1、104−2 軸受部
106 固定部
108−1、108−2 支持軸
110−1、112−1、114−1、116−1 透孔
110−2、112−2、114−2、116−2 透孔
117 透孔
118−1、120−1、122−1、124−1、126−1 透孔
118−2、120−2、122−2、124−2、126−2 透孔
127 ねじ孔
128 固定ねじ
130 固定ねじ
131 固定ねじ
132 固定ねじ
134 固定ねじ
136 ナット
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive :HDD)ユニットなどの振動部品を備えるパーソナルコンピュータなどの電子装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDDユニットなどの振動部品を備える電子装置としてパーソナルコンピュータ(PC)がある。このPCにはLCD(Liquid Crystal Display)一体型PCが普及している。このPCの構成を概略すると、前面カバー、LCDユニット、シャーシ、シールド部材、ヒンジ部、スタンドを備える。LCDユニットは、情報表示部である。シャーシはLCDユニットの背面に配置され、回路基板やHDDユニットなどの各種ユニットを搭載する。シールド部材は回路基板やユニットをシールドする。ヒンジ部はPC本体とスタンドとを連結し、PC本体のチルト機能などを担う。スタンドはヒンジ部に取り付けられ、PC本体を支える。このようなPCにおいて、HDDユニットなどの振動部品の取付けには、ゴムブッシュやガスケットなどの振動吸収材が設置されている。
【0003】
HDDユニットの取付けに関し、特許文献1には、ほぼΩ形形状の取付け金具内にHDDユニットを吊り下げ状態で固定し、取付け金具には切り曲げなどでバネ部を構成することが記載されている。また、特許文献2には、防振材を併用してHDDユニットを吊り下げることにより、外部圧力からHDDユニットを保護することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−44761号公報
【特許文献2】特開平11−86519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PCなどの電子装置において、HDDユニットは高速回転による回転振動を生ずる振動部品である。このような振動部品をシャーシに固定すると、その固定方法によっては、シャーシが回転振動により共振し、耳障り音が生じる場合がある。このような振動や不要音を抑制するため、取り付けには従来、ゴムブッシュやガスケットが用いられている。
【0006】
ゴムブッシュやガスケットは、シャーシなどの金属部品と異なるうえ、筐体構造と別部材であるため、部品点数や設置工数を増加させる。また、ゴムブッシュやガスケットは輸送の際、緩衝部材として応力を受け、また、永年使用により劣化し、メンテナンスの際には取り外されるおそれもあり、信頼性に欠ける。また、作業者はゴムブッシュやガスケットの取付け位置を考慮しなければならず、剥離テープを用いた接着作業では手数を要する。また、ゴムブッシュやガスケットでは、経年変化によって設置当初の弾性が低下すると、安定した振動抑制が果たせないという課題もある。
【0007】
振動部品側の部材とシャーシ側部材との間に配置したガスケットで部材間接触の安定化を図る構造がある。係る構造では、金属部材の絞り高さ、金属部材の曲げ、反りなどによりガスケットが設置される隙間が変化する。このため、ガスケットを挟み込んでも振動の吸収機能が損なわれ、振動音を発生するおそれがある。また、ガスケットの挟み込み構造では、締結部分のガスケットとの接触面積が狭く、固定力が小さく、振動抑制が不十分であるなどの課題もある。
【0008】
そこで、本開示の電子装置およびその製造方法の目的は、ゴムブッシュやガスケットなどの部品を用いることなく、安定した振動抑制を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の構成は、装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部と、該ヒンジ部を支持する支持部を備えたシャーシと、シールド部材とを備える。振動部品にはブラケットが取り付けられ、該ブラケットによって前記支持部に振動部品が取り付けられている。シールド部材は、前記シャーシに取り付けられ、前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆っている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の電子装置またはその製造方法によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0011】
(1) ゴムブッシュやガスケットに代えて金属部材による筐体構造のみで振動抑制や共鳴振動が抑制される。
【0012】
(2) ゴムブッシュやガスケットを除くことにより、部品点数や、製造工数を削減することができる。
【0013】
(3) 共鳴部分を削除した金属結合構造により安定した振動抑制や共鳴振動の抑制が図られる。
【0014】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係るパーソナルコンピュータを示す側面図である。
【図2】パーソナルコンピュータを示す背面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係る組立て手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係るパーソナルコンピュータを示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面を示す図である。
【図7】装置本体およびスタンドを示す分解斜視図である。
【図8】HDDユニットおよびブラケットを示す斜視図である。
【図9】ブラケットが取り付けられたHDDユニットを示す斜視図である。
【図10】HDDユニットのブラケットの側面形状を示す図である。
【図11】支持壁を備えたシャーシの背面を示す図である。
【図12】支持壁を備えたシャーシの一部を示す斜視図である。
【図13】支持壁を備えたシャーシとHDDユニットを示す図である。
【図14】HDDユニットを配置したシャーシを示す図である。
【図15】図14のXV−XV線断面を示す図である。
【図16】図15のXVI 部を拡大して示す図である。
【図17】ヒンジ部およびシールドフレームの一部を示す斜視図である。
【図18】シャーシ、シールドフレームおよびヒンジ部を示す図である。
【図19】図18のXIX −XIX 線断面を示す図である。
【図20】図18のXX−XX線断面を示す図である。
【図21】図18のXXI −XXI 線断面を示す図である。
【図22】図18のXXII−XXII線断面を示す図である。
【図23】図18のXXIII −XXIII 線断面を示す図である。
【図24】図18のXXIV−XXIV線断面を示す図である。
【図25】図24のXXV 部を示す拡大断面図である。
【図26】シールドフレームの着脱を示す図である。
【図27】図18のXXVII −XXVII 線断面を示す図である。
【図28】図27のXXVIII部を示す拡大断面図である。
【図29】図18のXXIX−XXIX線断面の中心部を省略して示す図である。
【図30】第2の実施の形態に係る組立手順を示すフローチャートである。
【図31】図5のXXXI−XXXI線断面から前面カバーおよびLCDユニットを除いて示す図である。
【図32】図5のXXXII −XXXII 線断面から前面カバー、LCDユニットおよびHDDユニットを除いて示す図である。
【図33】一括締めの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施の形態〕
【0017】
図1は、第1の実施の形態に係るパーソナルコンピュータ(PC)を示している。図2はPCを背面側から示している。図1および図2に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の電子装置およびその製造方法が限定されるものではない。
【0018】
図1および図2に示すPC(パーソナルコンピュータ)2は、本開示の電子装置の一例であり、振動部品の一例としてハードディスクドライブ(Hard Disk Drive :HDD)ユニット4を備えている。HDDユニット4は高速で回転する回転機構部を備えており、その回転で振動を生じる振動部品であるが、該振動部品をHDDユニット4に限定するものではない。
【0019】
この装置本体6の背面側にはスタンド8がヒンジ部10を介して取り付けられている。このスタンド8はたとえば、設置台や床面などの水平面部に設置される。装置本体6はスタンド8に対してヒンジ部10により回動し、上下方向の向きを変更可能である。
【0020】
HDDユニット4は装置本体6の中心線O上に設置されている。この実施形態では、HDDユニット4が中心線Oを中心に左右対象またはほぼ左右対象となるように配置されている。HDDユニット4は装置本体6の重心位置に配置され、この重心位置でスタンド8に支持されている。
【0021】
図3は装置本体6のIII − III線断面を示している。装置本体6にはシャーシ12が内蔵されている。このシャーシ12には一対の支持壁14−1、14−2が備えられている。支持壁14−1、14−2は、HDDユニット4の支持部の一例である。支持壁14−1、14−2はシャーシ12の平面方向と直行方向に立設され、一例であるリベット16でシャーシ12に固定されている。これら支持壁14−1、14−2によって支持されるHDDユニット4にはブラケット18が取り付けられ、HDDユニット4の側面に突出している。
【0022】
支持壁14−1、14−2には、HDDユニット4のブラケット18が重ねられ、その上にシールドフレーム20が重ねられている。シールドフレーム20はシャーシ12およびHDDユニット4を覆うシールド部材の一例である。このシールドフレーム20の背面にはヒンジ部10のヒンジフレーム22が設置されている。つまり、支持壁14−1、14−2とヒンジフレーム22との間にはブラケット18およびシールドフレーム20が挟み込まれている。
【0023】
支持壁14−1、14−2にブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22を一括固定する固定手段の一例として固定ねじ24が用いられている。固定ねじ24は、ヒンジフレーム22側から挿通させて支持壁14−1、14−2のねじ孔26にねじ込まれている。これにより、支持壁14−1、14−2にはブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が固定ねじ24により一括固定されている。
【0024】
シャーシ12やシールドフレーム20を構成する素材の厚さをt1 、ヒンジフレーム22の厚さをt2 とすると、t2 >t1 であり、たとえば、t2 >t1 ×2に設定されている。このような厚さに設定されたヒンジフレーム22が中心線Oに跨がって取り付けられている。これにより、シールドフレーム20、シャーシ12、支持壁14−1、14−2など、フレーム部材が補強されている。
【0025】
図4は、このPC2の組立て手順の一例を示している。この組立て手順は本開示の電子装置の製造方法の一例であり、係る手順に本開示の電子装置の製造方法が限定されるものではない。
【0026】
この組立て手順では、シャーシ12にリベット16により固定された支持壁14−1、14−2にHDDユニット4のブラケット18を設置する(S11)。HDDユニット4には予めブラケット18が固定されているものとする。
【0027】
支持壁14−1、14−2に載せられたHDDユニット4のブラケット18の上からシールドフレーム20を設置する(S12)。
【0028】
シールドフレーム20の上にヒンジ部10のヒンジフレーム22を設置し(S13)、このヒンジフレーム22の背面側から固定ねじ24を既述の支持壁14−1、14−2に固定する(S14)。これにより、支持壁14−1、14−2にブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が固定ねじ24により一体的に固定される。
【0029】
ヒンジ部10にスタンド8を取り付ける(S15)。これによりPC2が完成する。
【0030】
このような構成では、ヒンジ部10のヒンジフレーム22に振動部品であるHDDユニット4がシャーシ12とともに固定され、このHDDユニット4はヒンジ部10を介してスタンド8に支持されている。
【0031】
HDDユニット4は、ブラケット18により支持壁14−1、14−2、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22と固定されている。つまり、HDDユニット4はブラケット18による片持ち梁構造によりスタンド8に支持されている。
【0032】
HDDユニット4はブラケット18を介して支持壁14−1、14−2およびヒンジフレーム22に支持され、その固定部分がブラケット18に限定されている。つまり、HDDユニット4と各支持壁14−1、14−2およびシャーシ12との間には空間部28が形成されている。また、ブラケット18側にも、ブラケット18の屈曲部30による段差により、シールドフレーム20との間に空間部32が形成されている。つまり、各空間部28、32によりHDDユニット4はシャーシ12、支持壁14−1、14−2およびシールドフレーム20と非接触状態である。そして、各空間部28、32の空気層がHDDユニット4の振動伝達の負荷として機能する。しかも、HDDユニット4の固定がブラケット18による部分的な金属間結合に限定されているので、HDDユニット4の振動伝達が制限され、HDDの片持ち梁構造および既述の空間部の空気層の介在によりシャーシ12やシールドフレーム20の共鳴が防止されている。
【0033】
以上の構成により、従来のガスケットやゴムブッシュを用いることなく、HDDユニット4の振動や共鳴による耳障り音が抑制される。しかも、ガスケットやゴムブッシュを用いることなく固定ねじ24で一括固定であるから、部品点数や組立工数が削減される。
【0034】
〔第2の実施の形態〕
【0035】
図5は、第2の実施の形態に係るPC(パーソナルコンピュータ)の一例を示している。図5に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の電子装置およびその製造方法が限定されるものではない。
【0036】
図5に示すPC2は、本開示の電子装置の一例である。このPC2の装置本体6の前面部に設置された前面カバー34は装置本体6の周縁部を被覆している。この前面カバー34には画面表示窓36が形成されている。この画面表示窓36にはLCD(Liquid Crystal Display)ユニット38(図6)の表示画面40が配置されている。
【0037】
PC2の背面部にはスタンド8が取り付けられている。このスタンド8は支柱部42と台座部44とを備えている。台座部44は既述の設置台や床面に設置される。
【0038】
<装置本体の内部構造>
【0039】
図6は図5のVI−VI線断面を示している。装置本体6にはシャーシ12が内蔵されている。このシャーシ12の前面にはLCDユニット38が設置されている。このLCDユニット38はシャーシ12と前面カバー34との間に配置されている。シャーシ12の背面側にはHDDユニット4が配置されている。このHDDユニット4の背面側にはシールドフレーム20が設置されている。HDDユニット4およびシャーシ12の背面の一部がこのシールドフレーム20により覆われている。シャーシ12およびシールドフレーム20はたとえば、導電性を持つ金属板を板金加工したものである。シールドフレーム20は、シールド部材の一例であり、シールド機能を備える。
【0040】
ヒンジ部10は板状のヒンジフレーム22を備えている。このヒンジフレーム22は、シールドフレーム20の背面に配置され、既述のシャーシ12に固定されている。このヒンジフレーム22は、ヒンジ部10の固定手段であるとともに、シャーシ12やシールドフレーム20の補強手段を構成している。
【0041】
ヒンジ部10にはスタンド8の支柱部42が取り付けられている。装置本体6の背面側には背面カバー48が設置されている。この背面カバー48により、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22の背面側が覆われている。
【0042】
PC2の装置本体6は、スタンド8の支柱部42にヒンジ部10により回動可能に支持されている。また、支柱部42と台座部44との間には回転機構50が設置されている。既述したように、装置本体6は、ヒンジ部10により上下方向に回動し、回転機構50により支柱部42とともに水平方向に回動させることができる。
【0043】
スタンド8の台座部44は、支柱部42の中心位置から前方側の張出幅をW1、後方側の張出幅をW2とすると、W1>W2であり、W1=W2×nに設定されている。nは正の数である。また、垂直に維持されたシャーシ12の中心位置と支柱部42の中心位置との間隔をW3とすると、この実施の形態ではW3≒W1/2に設定されている。また、W3>W2に設定されている。HDDユニット4は、支柱部42にヒンジ部10を介して片持ち梁構造で、間隔W3内で支持されている。
【0044】
<装置本体6およびスタンド8の構成部材>
【0045】
図7は装置本体6およびスタンド8を分解して背面側から示している。装置本体6の前面側には前面カバー34が設置されている。この前面カバー34とシャーシ12との間にはLCDユニット38が設置されている。LCDユニット38は長方形状の板状部材である。このLCDユニット38は前面カバー34とシャーシ12とにより防護され、シャーシ12により補強されている。
【0046】
シャーシ12の背面側中央部には一対の支持壁14−1、14−2が一定の間隔を設けて平行に配置されている。支持壁14−1、14−2にはHDDユニット4がブラケット18により取り付けられる。
【0047】
このHDDユニット4の背面側にはシールドフレーム20が設置される。シールドフレーム20はHDDユニット4を覆うとともに、シャーシ12の背面の一部を覆う。
【0048】
シールドフレーム20の背面には、ヒンジ部10のヒンジフレーム22が配置される。シールドフレーム20の背面にはヒンジフレーム22の設置エリア52が形成されている。
【0049】
ヒンジ部10にはスタンド8の支柱部42が取り付けられる。この支柱部42の背面部には支柱背面カバー54が取り付けられる。
【0050】
<HDDユニット4およびブラケット18>
【0051】
図8はHDDユニット4およびブラケット18を示している。図9および図10はブラケット18が取り付けられたHDDユニット4を示している。
【0052】
HDDユニット4は偏平な直方体の筐体56を備えている。この筐体56はたとえば、合成樹脂で成形されている。この筐体56には、記録媒体やヘッドが設置され、記録媒体を回転する回転機構部などが内蔵されている。この筐体56の側面部には、複数のねじ孔58が形成されている。
【0053】
ブラケット18はHDDユニット4を他の部材に固定する手段であり、シャーシ12と同様に金属板で成形されている。このブラケット18には筐体56を覆う長方形状のブラケット本体60が設けられ、このブラケット本体60の各長辺側に第1の固定片62−1、62−21、62−22が形成されている。各固定片62−1、62−21、62−22はブラケット本体60の縁部より筐体56と離間する方向に屈曲させて形成されており、各固定片62−1、62−21、62−22とブラケット本体60との間には屈曲部30により段差Dが形成されている。
【0054】
固定片62−21、62−22の間には、HDDユニット4を支持壁14−2に位置決めするために仮固定する仮固定片64が形成されている。この仮固定片64はブラケット本体60と同一面である。このため、仮固定片64と固定片62−21、62−22との間に既述の段差Dが設けられている。
【0055】
ブラケット本体60には、切り起こしにより、各固定片62−1、62−21、62−22と直交方向に第2の固定片66−1、66−2が長手方向の二箇所、つまり、HDDユニット4のねじ孔58に対応する位置に形成されている。対向する固定片66−1、66−2の間隔はHDDユニット4の幅に一致している。
【0056】
ブラケット本体60には、各固定片66−1、66−2の形成により開口された透孔部68、スリット状の複数の通気孔70、補強のためのリブ72が形成されている。
【0057】
固定片62−1には透孔74−1、76−1、78−1が形成されている。同様に、固定片62−21、62−22には透孔74−2、76−2、78−2が形成されている。また、仮固定片64には透孔80が形成されている。
【0058】
各固定片66−1、66−2に挿通させた固定ねじ82をHDDユニット4の側面にあるねじ孔58にねじ込むことにより、ブラケット18がHDDユニット4に固定されている(図9)。
【0059】
ブラケット18が固定されたHDDユニット4は図10に示すように、ブラケット18に形成されている屈曲部30により、各固定片62−1、62−21、62−22と固定片64との間には段差Dが形成されている。この段差Dが、シールドフレーム20との間に空間部32(図3)を形成する。
【0060】
<シャーシ12>
【0061】
図11は支持壁14−1、14−2を備えたシャーシ12を示している。図12は支持壁14−1、14−2およびその固定部分を拡大して示している。この実施の形態では、シャーシ12と支持壁14−1、14−2は別部材で構成されているが、支持壁14−1、14−2をシャーシ12の一部で構成してもよい。
【0062】
シャーシ12に対し既述の中心線Oを取ると、各支持壁14−1、14−2は、図11に示すように、中心線Oを中心に等距離W5の位置で平行に設置されている。したがって、支持壁14−1、14−2間の距離2×W5は、HDDユニット4の幅W4(図10)より大きい幅(2×W5>W4)に設定されている。
【0063】
各支持壁14−1、14−2はシャーシ12に複数のリベット16により固定されている。各支持壁14−1、14−2の頂部にはブラケット18の固定片62−1を固定する固定部84−1、固定片62−21を固定する固定部84−21、固定片62−22を固定する固定部84−22が形成されている。仮固定片64を固定する固定部86が形成されている。これら固定部84−1、84−21、84−22、86は、支持壁14−1、14−2のいずれかを対向方向に折曲げ、シャーシ12と平行面に加工したものである。
【0064】
固定部84−1にはブラケット18の透孔74−1に対応するねじ孔88−1、透孔76−1に対応するねじ孔90−1、透孔78−1に挿通させる位置決め突部92−1が形成されている。位置決め突部92−1は固定部84−1、84−21の素材にバーリング加工により形成された円筒状の突部である。固定部84−22には透孔74−2に対応するねじ孔88−2、固定部84−21には透孔76−2に対応するねじ孔90−2、透孔78−2に挿通させる位置決め突部92−2が形成されている。また、固定部86には透孔80に対応するねじ孔94が形成されている。
【0065】
このように、支持壁14−1、14−2で挟まれたシャーシ12にはHDDユニット4の配置エリア96が設定されている。この配置エリア96のシャーシ12には、スリット状の複数の通気孔98が形成されている。
【0066】
<シャーシ12に対するHDDユニット4の配置形態>
【0067】
図13は支持壁14−1、14−2とHDDユニット4の配置関係を示している。支持壁14−1、14−2に対し、固定部86にブラケット18の仮固定片64を合せ、固定ねじ100を透孔80に挿通させ、固定部86にあるねじ孔94にねじ込むことにより、HDDユニット4が支持壁14−1、14−2に仮固定される。その際、位置決め突部92−1を透孔78−1に挿通させ、位置決め突部92−2を透孔78−2に挿通させることにより、ブラケット18とともにHDDユニット4が所定位置に高精度に位置決めされる。この位置決めにより、ねじ孔88−1には透孔74−1、ねじ孔90−1には透孔76−1、ねじ孔88−2には透孔74−2、ねじ孔90−2には透孔76−2を自動的に一致させることができる。
【0068】
したがって、シャーシ12には図14に示すように、支持壁14−1、14−2上にHDDユニット4が位置決めされて配置される。図15は図14のXV−XV線断面を示している。また、図16は図15のXVI 部を拡大して示している。このように、HDDユニット4がシャーシ12上に仮固定される。
【0069】
<ヒンジ部10およびシールドフレーム20>
【0070】
図17は、ヒンジ部10とシールドフレーム20の一部を示している。
【0071】
ヒンジ部10は、シールドフレーム20に設置されるヒンジフレーム22と、スタンド8の支柱部42に取り付けられる可動フレーム102を備えている。ヒンジフレーム22は可動フレーム102より大きい板状部材であり、この板状部材から切り起こされた一対の軸受部104−1、104−2を備えている。可動フレーム102は軸受部104−1、104−2の内側に設置されるコ字形の枠部材であって、スタンド8の支柱部42に固定する固定部106を備えている。軸受部104−1、104−2には可動フレーム102が支持軸108−1、108−2により回動可能に取り付けられている。
【0072】
シャーシ12やシールドフレーム20を構成する素材の厚さをt1 、ヒンジフレーム22をシャーシ12やシールドフレーム20と同一素材で形成し、その厚さをt2 とすると、t2 >t1 であり、たとえば、t2 >t1 ×2に設定されている。一例として、t1 =0.8〔mm〕であり、t2 =2〔mm〕である。このような厚さ設定により、ヒンジフレーム22の取付けにより、シールドフレーム20、シャーシ12、支持壁14−1、14−2など、フレーム部材が強化されている。
【0073】
ヒンジフレーム22には、支持壁14−1の固定部84−1のねじ孔90−1に対応する透孔110−1、位置決め突部92−1を挿通させる透孔112−1、複数の透孔114−1、116−1が形成されている。同様に、支持壁14−2の固定部84−21のねじ孔90−2に対応する透孔110−2、位置決め突部92−2を挿通させる透孔112−2、複数の透孔114−2、116−2が形成されている。さらに、ヒンジフレーム22の中央には透孔117が形成されている。
【0074】
シールドフレーム20には、設置エリア52がリブ119によって包囲されている。このリブ119によって設置エリア52が補強されている。リブ119の外側には、支持壁14−1の固定部84−1のねじ孔88−1に対応する透孔118−1、支持壁14−2の固定部84−22のねじ孔88−2に対応する透孔118−2が形成されている。また、設置エリア52には、既述の透孔110−1に対応する透孔120−1、透孔112−1に対応する透孔122−1、透孔114−1に対応する透孔124−1、透孔116−1に対応する透孔126−1が形成されている。同様に、既述の透孔110−2に対応する透孔120−2、透孔112−2に対応する透孔122−2、透孔114−2に対応する透孔124−2、透孔116−2に対応する透孔126−2が形成されている。既述の透孔117に対応するねじ孔127が形成されている。
【0075】
このような対応関係により、シールドフレーム20から突出する支持壁14−1、14−2の位置決め突部92−1、92−2を透孔112−1、112−2に挿通させることにより、ヒンジフレーム22がシールドフレーム20上に位置決めされる。
【0076】
シールドフレーム20は固定ねじ128により支持壁14−1、14−2に固定される。また、ヒンジフレーム22は、複数の固定ねじ130によりシールドフレーム20を介して支持壁14−1、14−2に固定されるとともに、固定ねじ131、132によりシールドフレーム20に固定される。
【0077】
図18は、シャーシ12に固定されたシールドフレーム20およびヒンジ部10を示している。図19は図18のXIX −XIX 線断面を示している。図20は図18のXX−XX線断面を示している。図21は図18のXXI −XXI 線断面を示している。図22は図18のXXII−XXII線断面を示している。
【0078】
シャーシ12の中心部に立設された支持壁14−1、14−2の間にはHDDユニット4がブラケット18を介して固定ねじ130により取り付けられている。ブラケット18の背面にはシールドフレーム20およびヒンジフレーム22が重ねられ、固定ねじ130により支持壁14−1、14−2に一括して固定されている。また、ヒンジフレーム22およびシールドフレーム20の中央部は固定ねじ132により固定され、一体化されている。
【0079】
図23は図18のXXIII −XXIII 線断面を示している。HDDユニット4はヒンジ部10の固定位置の上方に固定されている。
【0080】
図24は図18のXXIV−XXIV線断面を示している。図25は図24のXXV 部を拡大して示している。シャーシ12にリベット16により固定された支持壁14−1、14−2には固定ねじ128によりHDDユニット4のブラケット18が固定されている。支持壁14−2の固定部86にはブラケット18の仮固定片64が重ねられ、固定ねじ100により固定されている。
【0081】
図26はシールドフレーム20の着脱を示している。支持壁14−2の固定部86にブラケット18の仮固定片64が固定ねじ100により固定されているので、固定ねじ128を外せば、シールドフレーム20を支持壁14−1、14−2から離脱させることができる。この場合、図26には図示しないが、一括締めの固定ねじ130を外す必要がある。つまり、シールドフレーム20をブラケット18と独立して外すことができる。
【0082】
係る構成では、ブラケット18の固定片62−1、62−21、62−22側の透孔78−1、78−2と支持壁14−1、14−2側の位置決め突部92−1、92−2との係合によりHDDユニット4が位置決め(バーリング位置決め)されている。固定ねじ100によって仮固定されているので、シールドフレーム20で装置本体6を分離し、シールドフレーム20が外された状態でHDDユニット4の動作確認やHDDユニット4のリペアなどを容易に行える。これは組立途上、組立後の何れでも行える。
【0083】
図27は図18のXXVII −XXVII 線断面を示している。図28は図27のXXVIII部を拡大して示している。
【0084】
シャーシ12に立設されている支持壁14−1、14−2には既述の通りブラケット18によりHDDユニット4が仮固定される。支持壁14−1、14−2のブラケット18にはシールドフレーム20が重ねられ、このシールドフレーム20の上にはヒンジフレーム22が重ねられている。シールドフレーム20およびヒンジフレーム22は、支持壁14−1、14−2にある位置決め突部92−1、92−2およびブラケット18の透孔78−1、78−2、112−1、112−2の係合により一括締めの前に位置決めされる。このような位置決めの後、各透孔76−1、120−1に固定ねじ130を挿通させて支持壁14−1のねじ孔90−1にねじ込む。同様に、各透孔76−2、120−2に固定ねじ130を挿通させて支持壁14−2のねじ孔90−2にねじ込む。これにより、各支持壁14−1、14−2のそれぞれに一本の固定ねじ130の一括締めにより、ブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が一括固定されている。
【0085】
ヒンジフレーム22は、中心線Oから左右の幅をW6 とすれば、全幅はW6×2である。この幅W6×2は支持壁14−1、14−2の設置幅W5×2(<W6×2)より大きく設定されている。したがって、ヒンジフレーム22は支持壁14−1、14−2間を橋絡している。
【0086】
シールドフレーム20およびヒンジフレーム22の中央には固定ねじ132が取り付けられ、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が一体化されている。ヒンジフレーム22によりシールドフレーム20の補強とともに、共鳴が阻止されている。この実施の形態では、中心線O上に固定ねじ132を取り付けているが、中心線Oからずれた位置でもよいし、複数の固定ねじ132で数カ所を固定してもよい。
【0087】
HDDユニット4と支持壁14−1、14−2およびシャーシ12との間には空間部28が形成されている。HDDユニット4に固定されたブラケット18の左右に屈曲部30が形成されている。この屈曲部30の段差Dにより、ブラケット18を備えるHDDユニット4とシールドフレーム20との間に空間部32が形成されている。つまり、ブラケット18によって支持されたHDDユニット4は、シャーシ12、支持壁14−1、14−2およびシールドフレーム20と非接触である。また、HDDユニット4はブラケット18により吊り下げられ、片持ち梁構造でシールドフレーム20を含むフレーム筐体構造により支持されている。
【0088】
図29は図18のXXIX−XXIX線断面の中心部を省略して示している。ヒンジフレーム22はシールドフレーム20の設置エリア52に設置されている。この設置エリア52は、ヒンジフレーム22を背面側に部分的に膨出させて周回するリブ119によって包囲されている。このリブ119によりシールドフレーム20が補強され、ヒンジフレーム22の接合によって強化されている。リブ119の突出量をW7とすると、この実施の形態では、ヒンジフレーム22の厚さt2 より小さく設定されている(W7<t2 )。これにより、厚さのあるヒンジフレーム22がリブ119によりシールドフレーム20の背面からの突出量が低減されている。この場合、リブ119の突出量W7をヒンジフレーム22の厚さt2 より大きくすれば、リブ119の頂面部内にヒンジフレーム22を収めることができる。
【0089】
図30は第2の実施の形態の組立て手順を示している。この組立て手順は本開示の電子装置の製造方法の一例であり、係る手順に本開示の電子装置の製造方法が限定されるものではない。
【0090】
この組立て手順では、シャーシ12および支持壁14−1、14−2が板金加工により形成される。シャーシ12には支持壁14−1、14−2がリベット16により固定される。HDDユニット4にはブラケット18を予め取り付ける。HDDユニット4に取り付けられたブラケット18を支持壁14−1、14−2に設置する(S21)。
【0091】
支持壁14−2にHDDユニット4のブラケット18を固定ねじ100により仮固定する(S22)。
【0092】
支持壁14−2に設置したHDDユニット4のブラケット18の上からシールドフレーム20を設置する(S23)。
【0093】
シールドフレーム20の上にヒンジ部10のヒンジフレーム22を設置する(S24)。このヒンジフレーム22の背面側から固定ねじ128、130、131、132を固定する。これらにより、支持壁14−1、14−2にブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が固定される(S25)。この場合、支持壁14−1、14−2にブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が固定ねじ130の一括締めにより、一括固定される。
【0094】
ヒンジ部10にスタンド8を取り付ける(S15)。これによりPC2が完成する。
【0095】
図31は、図5のXXXI−XXXI線断面から前面カバーおよびLCDユニットを除いて示している。図32は、図5のXXXII −XXXII 線断面から前面カバー、LCDユニットおよびHDDユニットを除いて示している。
【0096】
装置本体6の前面カバー34およびLCDユニット38を固定ねじにより取り外すことが可能であり、LCDユニット38を容易に交換や点検することができる。その際、シャーシ12をスタンド8で支持することができる。シャーシ12上の部品交換や点検をすることができる。つまり、スタンド8を取り外す必要がない。
【0097】
シャーシ12からシールドフレーム20を分離すれば、図32に示すように、スタンド8側にシールドフレーム20を残すことができる。シールドフレーム20から分離されたシャーシ12には、HDDユニット4が設置された状態であり、その交換や調整など、メンテナンスが容易である。
【0098】
<第2の実施の形態の効果>
【0099】
(1) ブラケット18に形成された屈曲部30により、HDDユニット4とシールドフレーム20との間に空間部32が形成されている。つまり、空間部32によりHDDユニット4がシールドフレーム20から離間している。これにより、シールドフレーム20への直接の振動伝播を防止でき、屈曲部30によってブラケット18の機械強度が増加し、HDDユニット4およびブラケット18の防振性が向上する。
【0100】
(2) HDDユニット4は取り付けの際、仮固定片64により支持壁14−2に固定ねじ100により仮固定される。HDDユニット4を外す場合、支持壁14−2に固定ねじ100により固定が維持される。このため、装置本体6に固定する際や組立後の保守時などにHDDユニット4の脱落を防止でき、組立てや保守が容易になる。
【0101】
(3) 仮固定片64は他の固定片62−21、62−22より低い位置、すなわち、ブラケット本体60と同一平面に形成されている。固定ねじ100は固定片62−21、62−22より低い位置、すなわち、固定片62−21、62−22から逃げた平面で支持壁14−2と固定される。このため、シャーシ12およびヒンジフレーム22とブラケット本体60との干渉が避けられる。つまり、HDDユニット4およびブラケット18の固定ねじ100の頭部の高さ分だけ、薄く形成できる。
【0102】
(4) 平行に配置された支持壁14−1、14−2に対して位置決め突部92−1、92−2が形成され、これにより、HDDユニット4のブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22が高精度に位置決めされる。しかも、位置決め突部92−1、92−2はバーリング加工によって形成された突出部である。この突出部とHDDユニット4のブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22との係合と、固定ねじ130による共締めとによって強固な筐体構造および固定強度が得られる。
【0103】
(5) HDDユニット4の側面に対してブラケット18は、ブラケット本体60から切り起こされた固定片66−1、66−2の間に挟み込んで固定されている。このような固定構造は、従来のような箱型に比較し、軽量小型化を図ることができるとともに、HDDユニット4の振動に対する耐力の向上を図ることができる。
【0104】
(6) HDDユニット4に取り付けられたブラケット18は、支持壁14−1、14−2に固定ねじ130により固定され、シャーシ12との接触部分はブラケット18に限定されている。つまり、ゴムブッシュやガスケットなどの振動対策部品が不要である。
【0105】
(7) HDDユニット4を特別な振動対策部品を使用することなく固定し、耳障りな振動音を抑制でき、振動対策部材を削減できる。
【0106】
(8) 従来のシャーシとHDDユニットのブラケットの間にガスケットを配置する構造に対し、接触安定化を図ることができ、板金の絞り高さ、曲げの安定性、反り等により隙間の変化による挟み込み部での振動音発生を防止できる。従来の挟み込み構造は、締結部の接触面積が狭く、固定力が小さいが、振動を抑制できないという不都合があったが、これらを解消することができる。
【0107】
〔他の実施の形態〕
【0108】
(1) 図33は、一括締めの変形例を示している。図33において、図28と同一部分には同一符号を付してある。第2の実施の形態では固定ねじ130を用いているが、この固定ねじ130に代え、固定ねじ134を支持壁14−1、14−2に取り付けてもよい。この固定ねじ134をブラケット18、シールドフレーム20およびヒンジフレーム22に貫通させ、ナット136を固定ねじ134に取り付けて一括締めしてもよい。斯かる構成によっても、同様の効果が得られる。
【0109】
(2) 上記実施の形態では、電子装置としてPC2を例示したが、PC以外の電子装置であってもよい。また、振動部品としてHDDユニットを例示したが、HDDユニット以外の振動構造を持つ部品であってもよい。
【0110】
(3) 上記実施の形態では、シャーシにシールドフレームやヒンジフレームを共締めする構造を例示したが、HDDユニットをブラケットにつり下げ、装置本体のフレーム構造体にねじ止めする構造であればよい。HDDユニットの接触部分をブラケット部分に限定すれば、装置本体との接触を回避でき、HDDユニットの振動による不具合を防止することができる。
【0111】
(4) 上記実施の形態では、シールドフレーム20を支持部の一例である支持壁14−1、14−2に固定しているが、シャーシ12に固定してもよい。つまり、シャーシ12または支持壁14−1、14−2のいずれか一方または双方にシールドフレーム20を固定してもよい。シールドフレーム20で振動部品であるHDDユニット4を非接触で覆っているが、シールドフレーム20からブラケット18を露出させ、シャーシ12のみを覆う構成としてもよい。
【0112】
(5) ブラケット18をHDDユニット4のシールド部材としてもよい。
【0113】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0114】
(付記1) 装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部と、
前記ヒンジ部を支持する支持部を備えたシャーシと、
ブラケットが取り付けられ、該ブラケットによって前記支持部に取り付けられた振動部品と、
前記シャーシに取り付けられ、前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆うシールド部材と、
を備える電子装置。
【0115】
(付記2) 前記ブラケット、前記シールド部材または前記ヒンジ部のヒンジフレームの2以上が一括して前記支持部に固定されている、
付記1に記載の電子装置。
【0116】
(付記3) 前記振動部品は、前記ブラケットにより吊り下げられ、前記シャーシおよび前記シールド部材との間に空間部を介在させて非接触である、
付記1または2に記載の電子装置。
【0117】
(付記4) 前記ヒンジ部のヒンジフレームは、前記シャーシまたは前記シールド部材の2倍以上の厚さの肉厚材料で形成されている、
付記1ないし3のいずれかに記載の電子装置。
【0118】
(付記5) 前記振動部品および前記ヒンジ部は、装置本体の中心部に設置されている、
付記1ないし4のいずれかに記載の電子装置。
【0119】
(付記6) 前記振動部品がHDDユニットである、
付記1ないし5のいずれかに記載の電子装置。
【0120】
(付記7) 装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部を支持する支持部を備えるシャーシを形成し、
前記支持部に固定されるブラケットを振動部品に取り付け、
前記振動部品に前記ブラケットを取り付け、該ブラケットによって前記支持部に前記振動部品を取り付け、
前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆うシールド部材を前記シャーシに取り付ける、
電子装置の製造方法。
【0121】
以上説明したように、本開示の電子装置およびその製造方法の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0122】
2 PC
4 HDDユニット
6 装置本体
8 スタンド
10 ヒンジ部
12 シャーシ
14−1、14−2 支持壁
18 ブラケット
20 シールドフレーム
22 ヒンジフレーム
24 固定ねじ
28 空間部
30 屈曲部
32 空間部
34 前面カバー
52 設置エリア
60 ブラケット本体
62−1、62−21、62−22 第1の固定片
64 仮固定片
66−1、66−2 第2の固定片
68 透孔部
70 通気孔
72 リブ
74−1、76−1、78−1 透孔
74−2、76−2、78−2 透孔
80 透孔
82 固定ねじ
84−1、84−21、84−22、86 固定部
88−1、88−2 ねじ孔
90−1、90−2 ねじ孔
92−1、92−2 位置決め突部
94 ねじ孔
96 配置エリア
98 通気孔
100 固定ねじ
102 可動フレーム
104−1、104−2 軸受部
106 固定部
108−1、108−2 支持軸
110−1、112−1、114−1、116−1 透孔
110−2、112−2、114−2、116−2 透孔
117 透孔
118−1、120−1、122−1、124−1、126−1 透孔
118−2、120−2、122−2、124−2、126−2 透孔
127 ねじ孔
128 固定ねじ
130 固定ねじ
131 固定ねじ
132 固定ねじ
134 固定ねじ
136 ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部と、
前記ヒンジ部を支持する支持部を備えたシャーシと、
ブラケットが取り付けられ、該ブラケットによって前記支持部に取り付けられた振動部品と、
前記シャーシに取り付けられ、前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆うシールド部材と、
を備える電子装置。
【請求項2】
前記振動部品は、前記ブラケットにより吊り下げられ、前記シャーシおよび前記シールド部材との間に空間部を介在させて非接触である、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ヒンジ部のヒンジフレームは、前記シャーシまたは前記シールド部材の2倍以上の厚さの肉厚材料で形成されている、
請求項1または2のいずれかに記載の電子装置。
【請求項4】
前記振動部品および前記ヒンジ部は、装置本体の中心部に設置されている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の電子装置。
【請求項5】
装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部を支持する支持部を備えるシャーシを形成し、
前記支持部に固定されるブラケットを振動部品に取り付け、
前記振動部品に前記ブラケットを取り付け、該ブラケットによって前記支持部に前記振動部品を取り付け、
前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆うシールド部材を前記シャーシに取り付ける、
電子装置の製造方法。
【請求項1】
装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部と、
前記ヒンジ部を支持する支持部を備えたシャーシと、
ブラケットが取り付けられ、該ブラケットによって前記支持部に取り付けられた振動部品と、
前記シャーシに取り付けられ、前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆うシールド部材と、
を備える電子装置。
【請求項2】
前記振動部品は、前記ブラケットにより吊り下げられ、前記シャーシおよび前記シールド部材との間に空間部を介在させて非接触である、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ヒンジ部のヒンジフレームは、前記シャーシまたは前記シールド部材の2倍以上の厚さの肉厚材料で形成されている、
請求項1または2のいずれかに記載の電子装置。
【請求項4】
前記振動部品および前記ヒンジ部は、装置本体の中心部に設置されている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の電子装置。
【請求項5】
装置本体にスタンドを取り付けるヒンジ部を支持する支持部を備えるシャーシを形成し、
前記支持部に固定されるブラケットを振動部品に取り付け、
前記振動部品に前記ブラケットを取り付け、該ブラケットによって前記支持部に前記振動部品を取り付け、
前記振動部品と非接触で少なくとも前記シャーシの一部または全部を覆うシールド部材を前記シャーシに取り付ける、
電子装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2013−77354(P2013−77354A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217449(P2011−217449)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
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