説明

電子装置および半導体装置

【課題】半導体装置の外部配線基板への実装の信頼性を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】配線基板100上に実装された半導体素子200と配線基板100の一方の面側に配設され外部と接続される球状電極端子107とを有する半導体装置を、半田バンプ35を介して外部配線基板20に実装してなる電子装置であって、半導体装置と外部配線基板20との間に、半導体装置に対する外部配線基板20の変形量を緩和する緩衝部材としての中間部材30を介在させる。そして、中間部材30は外部配線基板20の板面に平行な方向に半導体装置よりも変形し易く外部配線基板20よりも変形し難くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体パッケージの小型化及び多ピン化のため、外部接続端子として半田によるボール状の電極(バンプ)を用いるBGA(Ball Grid Array)構造が注目を集めている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の半導体パッケージでは、半導体チップ(半導体素子)を搭載するためのキャリア基板(配線基板)の一方の面にランドを介して突出電極(半田バンプ)が装着されている。そして、半導体パッケージをマザーボードなどの外部配線基板に実装する際には、この突出電極(半田バンプ)をマザーボードの接続端子であるランドに接合することにより、半導体チップと配線基板との電気的な接続を確保する。
【0003】
この場合の半導体パッケージの実装構造は、半導体パッケージのほぼ平坦な配線基板の表面に格子状に配列された突出電極(半田バンプ)を、各突出電極とほぼ等距離で対向するようにして配列形成されたマザーボード等の外部配線基板の接続端子に接合させた構造である。すなわち、突出電極が設けられている半導体装置のほぼ平坦な絶縁基体の表面(通常は下面)と、接続端子が形成されたほぼ平坦な外部配線基板の表面(通常は上面)とがほぼ等距離で対面し、接続端子同士が半田バンプを介して接合されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−73954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置の半導体素子を搭載するための配線基板の基板基材は、一般にセラミックスなどを用いて成形され、半導体装置を実装する外部配線基板の基板基材は、一般にガラス−エポキシ樹脂などを用いて成形される。それゆえ、半導体装置が外部配線基板に実装された状態で対向して配置される半導体装置の配線基板と外部配線基板との材質が相違し、それぞれの基板の材質の熱膨張係数が相違する。そして、半導体装置の配線基板の基板基材の材質がセラミックスで、外部配線基板の基板基材の材質がガラス−エポキシ樹脂である場合、外部配線基板の基板基材の熱膨張係数が半導体装置の配線基板の基板基材の熱膨張係数よりも大きい。
【0006】
そのため、半導体素子の作動時に発する熱が半導体装置の配線基板と外部配線基板との両方に伝達すると、両者の熱膨張係数の相違に起因する応力が発生する。この応力によって、外部配線基板は、半導体装置の外周と対向する部位が中央部位よりも半導体装置側に引っ張り上げられるような応力を受けるため、外部配線基板の半導体装置が装着されていない側の面が凸状に反るように変形する。これに伴い、半導体装置の配線基板と外部配線基板とを接続している半田バンプには、せん断応力が生じることとなる。そして、半導体素子の作動のON・OFFが繰り返し行われることで、半導体装置の外周と対向する部位に配設された半田バンプに疲労破壊が生じ、半導体装置の外部配線基板への実装の信頼性が損なわれてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体装置の外部配線基板への実装の信頼性を向上させることができる電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用される電子装置は、第1の配線基板上に実装された半導体素子と当該第1の配線基板の一方の面側に配設され外部と接続される第1の電極端子とを有する半導体装置を、当該第1の電極端子を介して第2の配線基板に実装してなる電子装置であって、前記半導体装置と前記第2の配線基板との間に、当該半導体装置に対する当該第2の配線基板の変形量を緩和する緩衝部材を介在させることを特徴とする。
ここで、前記緩衝部材は、前記第2の配線基板の板面に平行な方向に、前記半導体装置よりも変形し易く、当該第2の配線基板よりも変形し難いことが好適である。
【0009】
また、前記半導体装置の第1の配線基板は、第1の基板基材と、当該第1の基板基材の一方の面に形成され前記第1の電極端子と接続する第1の接続端子とを有し、前記第2の配線基板は、第2の基板基材と、当該第2の基板基材に形成された第2の接続端子とを有し、前記緩衝部材は、第3の基板基材と、当該第3の基板基材の前記半導体装置側の面に形成され当該半導体装置の前記第1の電極端子が接続される第3の接続端子と、当該第3の基板基材の前記第2の配線基板側の面に形成され当該第3の接続端子と接続される第4の接続端子と、当該第4の接続端子上に設けられ当該第2の配線基板の前記第2の接続端子と接続する第2の電極端子とを有することが好適である。
【0010】
ここで、前記緩衝部材の前記第3の基板基材の厚さは、前記半導体装置の前記第1の基板基材の厚さまたは前記第2の配線基板の前記第2の基板基材の厚さよりも薄いことが好適である。
そして、前記緩衝部材の前記第3の基板基材の材質は前記第2の配線基板の前記第2の基板基材の材質と同一であり、当該第3の基板基材の厚さは、当該第2の基板基材の厚さよりも薄いことが好適である。
あるいは、前記緩衝部材の前記第3の基板基材の材質は前記半導体装置の第1の基板基材の材質と同一であり、当該第3の基板基材の厚さは、当該第1の基板基材の厚さよりも薄いことが好適である。
また、前記緩衝部材の前記第3の基板基材の熱膨張係数は、前記第2の配線基板の前記第2の基板基材の熱膨張係数よりも小さく、前記半導体装置の前記第1の基板基材の熱膨張係数よりも大きいことが好適である。
【0011】
また、本発明が適用される半導体装置は、第1の配線基板上に実装された半導体素子と、当該第1の配線基板の一方の面側に配設され外部と接続される電極端子とを有する半導体パッケージと、前記半導体パッケージと当該半導体パッケージが実装される第2の配線基板との間に介在し、当該半導体パッケージに対する当該第2の配線基板の変形量を緩和する緩衝部材とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体装置の配線基板への実装の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について詳細に説明する。
(電子装置)
図1は、本実施の形態に係る電子装置1の概略構成を示す図である。
電子装置1は、半導体装置の一例としての半導体パッケージ10と、いわゆるプリント基板である外部配線基板20と、半導体パッケージ10と外部配線基板20との間に介在する中間部材30とから構成される。つまり、半導体パッケージ10は、中間部材30を介して外部配線基板20に実装されている。
【0014】
(半導体パッケージ)
先ず、半導体パッケージ10について説明する。図2は、半導体パッケージ10の概略構成を示す図である。図2(a)は半導体パッケージ10を上から見た図であり、図2(b)は図2(a)におけるX−X断面図である。
半導体パッケージ10は、配線基板(第1の配線基板)100の一方の面(上面)に、半導体素子200がフェイスダウンで搭載(フリップチップ実装)されている。配線基板100は、セラミックスからなる基板基材101の両面に、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等からなる配線パターンが選択的に配設されている。
【0015】
この配線パターンの一部として、基板基材(第1の基板基材)101の一方の面(上面)には、配線基板100上にフリップチップ実装される半導体素子200の電極が接続される電極端子102、並びに配線基板100上に積層配置される半導体装置、例えば他の半導体パッケージを接続するための外部接続用端子103とが配設されている。また、基板基材101の他方の面(下面)には、配線基板100を外部の配線基板等へ接続するための電極端子が配設される外部接続用端子104が複数配設されている。さらに、配線基板100における、最上層には、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系等の樹脂、又はこれらの混合樹脂等からなる絶縁性樹脂層105が配設されている。
【0016】
絶縁性樹脂層105は、例えば感光性フォトレジスト材料を、印刷法、スプレーコート法等により配線基板100の表面に形成した後、フォトリソグラフィ法によって開口パターンが形成される。この結果、配線基板100の上面のほぼ中央部には電極端子102が露出し、外周縁部近傍において電極端子103が露出する。また、配線基板100の下面に於いては、外部接続用端子(第1の接続端子)104が露出する。
【0017】
配線基板100の表面に配設された電極端子102の表面には、接続される半導体素子200の電極形態などに対応して、半田、或いは導電性樹脂等からなる再溶融性の導電部材106が被覆されている。この導電部材106は、印刷法、転写法、蒸着法、或いは化学反応析出法等により被着される。また、配線基板100の他方の面(下面)に複数配設された外部接続用端子104には、半田又は金(Au)、銅(Cu)あるいはこれらの合金等からなる球状の外部電極端子である球状電極端子(半田バンプ)107が設けられている。
【0018】
半導体素子200は、いわゆるウェハプロセスが適用されて、シリコン(Si)或いはガリウム砒素(GaAs)等の半導体基板の一方の主面に、トランジスタ等の能動素子、コンデンサ等の受動素子並びにこれらの素子を接続する配線層をもって形成された電子回路を具備し、当該主面には、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)を主体とする金属からなる電極パッド201が配設されている。また、電極パッド201上には、金(Au)、銅(Cu)或いはこれらの合金又は半田等からなる凸状(突起状)の電極端子202が形成されている。この半導体素子200の電極端子202は、導電部材106を介して配線基板100の電極端子102と接続されている。
【0019】
そして、配線基板100と半導体素子200の電子回路形成面とが対向する間隙、並びに半導体素子200の外周部分には、アンダーフィル材300が配設されている。このアンダーフィル材300により、配線基板100と半導体素子200の電子回路形成面との間隙、および半導体素子200の外周部分が封止されて、半導体素子200は配線基板100上に固着されている。アンダーフィル材300は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、又はアクリル樹脂等からなる熱硬化性接着剤であり、硬化後の樹脂の熱膨張率、粘度或いは流動性を調整すべく、シリカ又はセラミックス等の無機物フィラーを含有してもよい。
【0020】
(外部配線基板)
次に、外部配線基板20について説明する。外部配線基板(第2の配線基板)20は、いわゆるプリント基板であり、図1に示すように、基板基材(第2の基板基材)21の表面にCu、Al、Au、Ni(ニッケル)、Pb(鉛)、Sn(錫)などの金属導体からなる配線パターンが形成されている。そして、配線パターンの一部として、基板基材21の一方の面(上面)には、この外部配線基板20上に実装される装置または部品の電極が接続される接続端子(第2の接続端子)22が配設されている。基板基材21は、少なくとも有機樹脂を含む絶縁材料から成形されている。絶縁材料は、例えば、ガラス−エポキシ樹脂複合材料、ガラス−ポリイミド樹脂複合材料などであり、一般には40〜150℃における熱膨張係数が10×10−6/℃以上、特に14〜18×10−6/℃である。
【0021】
(中間部材)
次に、中間部材30について説明する。中間部材30は、図1に示すように、絶縁材料からなる基板基材(第3の基板基材)31と、基板基材31の半導体パッケージ10側の面(上面)に設けられ半導体パッケージ10の球状電極端子107が接続される接続端子(第3の接続端子)32と、外部配線基板20側の面(下面)に設けられた接続端子(第4の接続端子)33とを有している。そして、接続端子32と接続端子33とは、スルーホール導体34にて接続されている。また、接続端子33には、外部の電極端子であり球状の電極端子である球状電極端子(第2の電極端子)35が設けられている。
【0022】
この中間部材30は、半導体パッケージ10が外部配線基板20に実装される際に、半導体パッケージ10と外部配線基板20との間に介在することから、接続端子32、接続端子33、スルーホール導体34および球状電極端子35は、半導体パッケージ10の球状電極端子107および外部配線基板20の接続端子22と同じ個数設けられている。
【0023】
基板基材31は、少なくとも有機樹脂を含む絶縁材料を用いて成形されている。絶縁材料としては、例えば、ガラス−エポキシ樹脂複合材料、ガラス−ポリイミド樹脂複合材料などの有機樹脂材、またはガラス等の無機材料、シリコン(Si)等の半導体材料などを例示することができる。本実施の形態に係る基板基材31は以下に記すように材料が選択される。接続端子32,33とスルーホール導体34とは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの導電性の材料から成形されている。また、球状電極端子35は、半田又は金(Au)、銅(Cu)あるいはこれらの合金等から形成されている。
【0024】
図3は、中間部材30の製造工程を説明する図である。
先ず、用意した基板基材31に対して、上述した球状電極端子107の位置に対応する位置に貫通孔(スルーホール)31aを形成する(図3(a))。その後、貫通孔31aを形成した基板基材31に対して無電解めっき処理及び電解めっき処理を施す(図3(b))。これにより貫通孔31aの内側および基板基材31の両面にめっきが施される。
【0025】
その後、基板基材31の両面の接続端子32,33に相当する部位にエッチングレジストを被覆し、基板基材31の両面に形成されためっき層であって、この接続端子32,33に相当する部位以外のめっき層をエッチング除去する(図3(c))。これにより、接続端子32,33とスルーホール導体34とが形成される。その後、基板基材31の外部配線基板20側の面に形成された接続端子33に球状電極端子(半田バンプ)35が設けられる(図3(d))。
【0026】
次に、中間部材30を介して、半導体パッケージ10を外部配線基板20に実装する方法について説明する。第1の方法としては、先ず、中間部材30の球状電極端子35と外部配線基板20の接続端子22とが接続するように、外部配線基板20上に中間部材30を装着する(実装し、リフロー炉等で加熱溶融接続する)。その後、半導体パッケージ10の球状電極端子(第1の電極端子)107と中間部材30の接続端子32とが接続するように、中間部材30上に半導体パッケージ10を装着する(実装し、リフロー炉等で加熱溶融接続する)。
【0027】
第2の方法としては、先ず、半導体パッケージ10の球状電極端子107と中間部材30の接続端子32とが接続するように、中間部材30上に半導体パッケージ10を装着する。その後、半導体パッケージ10と中間部材30とが積層された状態で、中間部材30の球状電極端子35と外部配線基板20の接続端子22とが接続するように、外部配線基板20上に装着する。
【0028】
次に、中間部材30の基板基材31の板厚および材質について詳しく説明する。
中間部材30は、例えば半導体素子200の作動に起因して熱が発生し、電子装置1の温度が上昇した場合においても、半導体パッケージ10と外部配線基板20との間に生じる伸縮差、言い換えれば、外部配線基板20の半導体パッケージ10に対する変形量を緩和する緩衝部材として設けられるものである。
【0029】
(比較例)
図4は、半導体パッケージ10と外部配線基板20との間に中間部材30を介在させていない電子装置500の概略図である。この電子装置500は、半導体パッケージ10の球状電極端子107が外部配線基板20の接続端子22に直接接続されている。このように構成された電子装置500においては、半導体パッケージ10の配線基板100の基板基材101の材質がセラミックであり、外部配線基板20の基板基材21の材質がガラス−エポキシ樹脂である場合には、それぞれの材質の熱膨張係数が相違し、この熱膨張係数の相違に起因する応力が発生する。これにより、外部配線基板20は、半導体パッケージ10の外周と対向する部位が中央部位よりも半導体パッケージ10側に引っ張り上げられように変形し、半導体パッケージ10の外周と対向する部位に配置された球状電極端子107の変形量が大きく、応力が高くなる。
【実施例1】
【0030】
そこで、本実施の形態に係る電子装置1においては、半導体パッケージ10を、中間部材30を介して外部配線基板20に実装し、外部配線基板20の半導体パッケージ10に対する変形量を緩和するようにする。そのために、温度変化が生じた場合に、中間部材30を、中間部材30の基板基材31(外部配線基板20の基板基材21)の板面に平行な方向に、半導体パッケージ10よりも変形し易くし、外部配線基板20よりも変形し難くする。
【0031】
中間部材30の基板基材31の材質を、半導体パッケージ10の配線基板100の基板基材101の材質と同じにするとともに、基板基材31の板厚t31(図1参照)を半導体パッケージ10の配線基板100の基板基材101の厚さt101(図1参照)よりも薄くする。例えば、基板基材31の材質と配線基板100の基板基材101の材質とをともにセラミックとし、基板基材31の板厚t31を0.8mm、基板基材101の厚さt101を1.0mmとする。
【0032】
上述した構成においては、温度変化が生じて外部配線基板20が伸縮する場合には、この外部配線基板20の伸縮に、配線基板100よりも中間部材30の方が追従する。それゆえ、温度変化が生じた場合における、半導体パッケージ10の球状電極端子107の変位量および中間部材30の球状電極端子35の変位量がともに、中間部材30を介さずに半導体パッケージ10を直接外部配線基板20に実装した場合における球状電極端子107の変位量よりも小さくなる。
【実施例2】
【0033】
中間部材30の基板基材31の材質を、外部配線基板20の基板基材21の材質と同じにするとともに、基板基材31の板厚t31(図1参照)を外部配線基板20の基板基材21の厚さt21(図1参照)よりも薄くする。例えば、基板基材31の材質と外部配線基板20の基板基材21の材質とをともにガラス−エポキシ樹脂のFR4とし、基板基材31の板厚t31を0.8mm、基板基材101の厚さt101を1.6mmとする。
【0034】
上述した構成においては、外部配線基板20よりも中間部材30の方が基板基材31の板面に垂直な方向の変位の自由度が大きい。つまり、中間部材30の方が、その板面に垂直方向に自在に変位可能である。そのため、温度変化により、外部配線基板20が伸縮したとしても、外部配線基板20よりも中間部材30の方が板面に垂直な方向により変形するため、板面に平行な方向へは変形し難くなる。それゆえ、温度変化が生じた場合における、半導体パッケージ10の球状電極端子107の変位量および中間部材30の球状電極端子35の変位量がともに、中間部材30を介さずに半導体パッケージ10を直接外部配線基板20に実装した場合における球状電極端子107の変位量よりも小さくなる。
【実施例3】
【0035】
基板基材31の板厚t31を配線基板100の基板基材101の板厚t101以下にするとともに、中間部材30の基板基材31の材質を、配線基板100の基板基材101の材質よりも熱膨張係数が大きい材質とする。例えば、基板基材31の板厚t31と配線基板100の基板基材101の板厚t101とをともに1.0mmとし、配線基板100の基板基材101の材質をセラミックとし、基板基材31の材質をガラス−エポキシ樹脂のFR5とする。
【0036】
上述した構成においては、温度変化が生じた場合には、配線基板100の基板基材101よりも基板基材31の方が基板基材31の板面に平行な方向に伸縮し易く、外部配線基板20の伸縮により追従する。それゆえ、温度変化が生じた場合における、半導体パッケージ10の球状電極端子107変位量および中間部材30の球状電極端子35の変位量がともに、中間部材30を介さずに半導体パッケージ10を直接外部配線基板20に実装した場合における球状電極端子107の変位量よりも小さくなる。
【実施例4】
【0037】
基板基材31の板厚t31を外部配線基板20の基板基材21の板厚t21以下にするとともに、中間部材30の基板基材31の材質を、外部配線基板20の基板基材21の材質よりも熱膨張係数が小さい材質とする。例えば、基板基材31の板厚t31と基板基材101の厚さt101とをともに1.6mmとし、外部配線基板20の基板基材21の材質をガラス−エポキシ樹脂のFR4とし、基板基材31の材質をガラス−エポキシ樹脂でもFR4よりも熱膨張係数が小さいFR5とする。
【0038】
上述した構成においては、温度変化が生じた場合には、外部配線基板20の配線基板21よりも中間部材30の方が基板基材31の板面に平行な方向に伸縮し難く、配線基板100の基板基材101の伸縮量により近くなる。それゆえ、温度変化が生じた場合における、半導体パッケージ10の球状電極端子107変位量および中間部材30の球状電極端子35の変位量がともに、中間部材30を介さずに半導体パッケージ10を直接外部配線基板20に実装した場合における球状電極端子107の変位量よりも小さくなる。
【0039】
前記したように、中間部材30を半導体パッケージ10と外部配線基板20との間に介在させることにより、温度変化が生じた場合に、外部配線基板20が半導体パッケージ10に対して相対的に延び若しくは縮みが生じても、球状電極端子35および球状電極端子107の変位量が、中間部材30を介さずに半導体パッケージ10を直接外部配線基板20に実装した場合における球状電極端子107の変位量よりも小さくなる。したがって、繰り返し温度変化が生じたとしても、球状電極端子35および球状電極端子107が破壊され難くなり、半導体パッケージ10の外部配線基板20への実装の信頼性が向上する。
【0040】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載から当事者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
【0041】
例えば、中間部材30と外部配線基板20との間の間隙、並びに中間部材30の外周部分に、アンダーフィル材を配設することも好適である。アンダーフィル材としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、又はアクリル樹脂等からなる熱硬化性接着剤を例示することができる。また、硬化後の樹脂の熱膨張率、粘度或いは流動性を調整すべく、シリカ又はセラミックス等の無機物フィラーを含有してもよい。
【0042】
また、中間部材30の基板基材31の両面の表面であって、接続端子32,33以外の部位を絶縁性樹脂で覆ってもよい。かかる場合、中間部材30を製造するにあたっては、図3(c)の工程で接続端子32,33とスルーホール導体34とを形成した後、絶縁性樹脂層を形成することが好適である。絶縁性樹脂層を形成する手法としては、例えば、熱硬化性樹脂を全面に塗布し、硬化させることにより形成する手法を例示することができる。そして、絶縁性樹脂層を形成した後、接続端子32,33を覆う樹脂性絶縁を、例えばレーザなどを用いて削除し、接続端子32,33を露出させる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施の形態に係る電子装置の概略構成を示す図である。
【図2】半導体パッケージの概略構成を示す図である。
【図3】中間部材の製造工程を説明する図である。
【図4】従来の半導体パッケージと外部配線基板との間に中間部材を介在させていない電子装置の概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1…電子装置、10…半導体パッケージ、20…外部配線基板、21…基板基材、30…中間部材、31…基板基材、32,33…接続端子、34…スルーホール導体、35…球状電極端子、100…配線基板、101…基板基材、107…球状電極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線基板上に実装された半導体素子と当該第1の配線基板の一方の面側に配設され外部と接続される第1の電極端子とを有する半導体装置を、当該第1の電極端子を介して第2の配線基板に実装してなる電子装置であって、
前記半導体装置と前記第2の配線基板との間に、当該半導体装置に対する当該第2の配線基板の変形量を緩和する緩衝部材を介在させる
ことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記第2の配線基板の板面に平行な方向に、前記半導体装置よりも変形し易く、当該第2の配線基板よりも変形し難い
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記半導体装置の第1の配線基板は、第1の基板基材と、当該第1の基板基材の一方の面に形成され前記第1の電極端子と接続する第1の接続端子とを有し、
前記第2の配線基板は、第2の基板基材と、当該第2の基板基材に形成された第2の接続端子とを有し、
前記緩衝部材は、第3の基板基材と、当該第3の基板基材の前記半導体装置側の面に形成され当該半導体装置の前記第1の電極端子が接続される第3の接続端子と、当該第3の基板基材の前記第2の配線基板側の面に形成され当該第3の接続端子と接続される第4の接続端子と、当該第4の接続端子上に設けられ当該第2の配線基板の前記第2の接続端子と接続する第2の電極端子とを有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記緩衝部材の前記第3の基板基材の厚さは、前記半導体装置の前記第1の基板基材の厚さまたは前記第2の配線基板の前記第2の基板基材の厚さよりも薄い
ことを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記緩衝部材の前記第3の基板基材の材質は前記第2の配線基板の前記第2の基板基材の材質と同一であり、当該第3の基板基材の厚さは、当該第2の基板基材の厚さよりも薄い
ことを特徴とする請求項3または4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記緩衝部材の前記第3の基板基材の材質は前記半導体装置の第1の基板基材の材質と同一であり、当該第3の基板基材の厚さは、当該第1の基板基材の厚さよりも薄い
ことを特徴とする請求項3または4に記載の電子装置。
【請求項7】
前記緩衝部材の前記第3の基板基材の熱膨張係数は、前記第2の配線基板の前記第2の基板基材の熱膨張係数よりも小さく、前記半導体装置の前記第1の基板基材の熱膨張係数よりも大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項8】
第1の配線基板上に実装された半導体素子と、当該第1の配線基板の一方の面側に配設され外部と接続される電極端子とを有する半導体パッケージと、
前記半導体パッケージと当該半導体パッケージが実装される第2の配線基板との間に介在し、当該半導体パッケージに対する当該第2の配線基板の変形量を緩和する緩衝部材と
を含む半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−129625(P2010−129625A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300436(P2008−300436)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)