電子装置の製造方法
【課題】本発明は、電子装置の製造方法に関し、電子装置のコストを低減できると共に、電子装置の歩留まりを向上させることのできる電子装置の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】接続部材16の形成領域に対応する部分の基板14に、ワイヤボンディング法により第1の金属からなる金属部材61を形成し、接続部材16の形成領域に対応する部分の配線基板11に、第1の金属よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金を形成する第2の金属からなる金属層63を形成し、金属部材61と金属層63とが接触するように、配線基板11と基板14とを対向配置させ、加熱により金属層63を溶融させて合金からなる接続部材16を形成し、接続部材16により配線基板11と基板14とを接続する。
【解決手段】接続部材16の形成領域に対応する部分の基板14に、ワイヤボンディング法により第1の金属からなる金属部材61を形成し、接続部材16の形成領域に対応する部分の配線基板11に、第1の金属よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金を形成する第2の金属からなる金属層63を形成し、金属部材61と金属層63とが接触するように、配線基板11と基板14とを対向配置させ、加熱により金属層63を溶融させて合金からなる接続部材16を形成し、接続部材16により配線基板11と基板14とを接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の製造方法に関し、特に、対向配置された2つの基板と、2つの基板を接続する接続部材と、2つの基板及び接続部材により形成された空間に収容される電子部品と、を備えた電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対向配置された2つの基板と、2つの基板を接続する接続部材と、2つの基板及び接続部材により形成された空間に収容される電子部品とを備えた電子装置(図1参照)がある。
【0003】
図1は、従来の電子装置の断面図である。
【0004】
図1を参照するに、従来の電子装置200は、配線基板201と、基板204と、接続部材であるAu−Snはんだ206と、電子部品208と、外部接続端子209とを有する。
【0005】
配線基板201は、シリコンから構成されると共に、凹部216及び貫通孔217を有した基板本体215と、基板本体215の表面を覆う絶縁膜219と、絶縁膜219を介して貫通孔217に設けられた貫通電極221と、貫通電極221の上端と接続されたパッド223と、貫通電極221の下端と接続された外部接続用パッド224と、密着層225とを有する。
【0006】
密着層225は、Au−Snはんだ206の形成領域に対応する部分の絶縁膜219に設けられている。密着層225は、絶縁膜219に、Ti層226と、Pt層227と、Au層228とが順次積層された構成とされている。
【0007】
基板204は、シリコンから構成された板体231と、板体231の表面を覆う絶縁膜232と、密着層233とを有する。
【0008】
密着層233は、Au−Snはんだ206の形成領域に対応する部分の絶縁膜232に設けられている。密着層233は、絶縁膜232に、Ti層234と、Pt層235と、Au層236とが順次積層された構成とされている。
【0009】
Au−Snはんだ206は、配線基板201と基板204とを接続するためのものである。Au−Snはんだ206は、配線基板201、基板204、及びAu−Snはんだ206により形成される空間241を気密するように配置されている。Au−Snはんだ206の融点は、280℃である。Au−Snはんだ206の厚さは、例えば、4μmとすることができる。
【0010】
電子部品208は、空間241に配置されると共に、パッド223に実装されている。これにより、電子部品208は、配線基板201と電気的に接続されている。電子部品208は、300℃以上の温度で加熱されると破損する虞がある。外部接続用端子209は、外部接続用パッド224に設けられている。
【0011】
図2〜図10は、従来の電子装置の製造工程を示す図である。図2〜図10において、従来の電子装置200と同一構成部分には同一符号を付す。
【0012】
始めに、図2に示す工程では、周知の手法により、配線基板201を形成する。次いで、図3に示す工程では、スパッタ法により、絶縁膜219上に、Ti層226と、Pt層227と、Au層228とを順次積層して、密着層225を形成する。これにより、配線基板201が製造される。
【0013】
次いで、図4に示す工程では、Au層228の上面を覆うように、めっき法によりAu−Snはんだ241(融点は280度)を形成する。Au−Snはんだ241は、先に説明したAu−Snはんだ206の一部となるものである。Au−Snはんだ241の厚さは、例えば、2μmとすることができる。
【0014】
次いで、図5に示す工程では、電子部品208をパッド223に実装する。次いで、図6に示す工程では、周知の手法により、シリコンから構成された板体231の表面を覆うように絶縁膜232を形成する。
【0015】
次いで、図7に示す工程では、スパッタ法により、絶縁膜232上に、Ti層234と、Pt層235と、Au層236とを順次積層して、密着層233を形成する。これにより、基板204が製造される。
【0016】
次いで、図8に示す工程では、Au層236の上面を覆うように、めっき法によりAu−Snはんだ242(融点は280度)を形成する。Au−Snはんだ242は、先に説明したAu−Snはんだ206の一部となるものである。Au−Snはんだ242の厚さは、例えば、2μmとすることができる。
【0017】
次いで、図9に示す工程では、Au−Snはんだ241とAu−Snはんだ242とが接触するように、図5に示す構造体上に図8に示す構造体を配置し、その後、Au−Snはんだ241,242の融点280℃よりも高い温度(例えば、320℃)により、図5及び図8に示す構造体を加熱することで、Au−Snはんだ241,242を溶融させてAu−Snはんだ206を形成して、配線基板201と基板204とを接続する。これにより、電子部品208は、気密された空間241に収容される。
【0018】
次いで、図10に示す工程では、外部接続用パッド224に外部接続用端子209を形成する。これにより、従来の電子装置200が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−110726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、従来の電子装置200では、Au−Snはんだ206の母材であるAu−Snはんだ241,242をめっき法により形成していたため、Au−Snはんだ241,242を形成する際に多くの時間が必要となり、電子装置200の製造コストが増加してしまうという問題があった。特に、接続部材であるAu−Snはんだ206の厚さを厚くしたい場合、上記問題が顕著となる。
【0020】
また、Au−Snはんだ241,242を溶融させる際、高い温度(例えば、320℃)で加熱する必要があるため、熱の影響によりパッド223、貫通電極221、外部接続用パッド224、及びパッド電子部品208が破損して、電子装置200の歩留まりが低下してしまうという問題があった。
【0021】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、電子装置のコストを低減できると共に、電子装置の歩留まりを向上させることのできる電子装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一観点によれば、第1の基板と、前記第1の基板に対して対向配置された第2の基板と、前記第1及び第2の基板と接触すると共に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する接続部材と、前記第1及び第2の基板と前記接続部材とにより形成される空間と、前記空間に収容された電子部品と、を備えた電子装置の製造方法であって、前記接続部材の形成領域に対応する部分の前記第1の基板に、ワイヤボンディング法により第1の金属からなる金属部材を形成する金属部材形成工程と、前記接続部材の形成領域に対応する部分の前記第2の基板に、前記第1の金属よりも融点が低く、かつ前記第1の金属と合金を形成する第2の金属からなる金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属部材と前記金属層とが接触するように、前記第1の基板と前記第2の基板とを対向配置させ、前記金属層のみが溶融する温度で前記金属部材及び前記金属層を加熱して前記合金からなる前記接続部材を形成し、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する基板接続工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法が提供される。
【0023】
本発明によれば、接続部材の形成領域に対応する部分の第1の基板に、ワイヤボンディング法により第1の金属からなる金属部材(接続部材の母材)を形成することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだをめっき法により形成する場合と比較して、短時間で金属部材を形成することが可能となるため、電子装置のコストを低減することができる。また、接続部材の厚さを容易に厚くすることができる。
【0024】
また、接続部材の形成領域に対応する部分の第2の基板に、金属部材を構成する第1の金属よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金を形成する第2の金属からなる金属層を形成し、金属部材と金属層とが接触するように、第1の基板と第2の基板とを対向配置させ、金属層のみが溶融する温度で金属部材及び金属層を加熱して合金からなる接続部材を形成し、第1の基板と第2の基板とを接続することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ(融点が280℃)を溶融させる際の温度(例えば、320℃)よりも低い温度(例えば、300℃以下の温度)の加熱により、第1の基板と第2の基板とを接続することが可能となる。
【0025】
これにより、第1の基板と第2の基板とを接続する際の熱の影響により、第1の基板及び/又は第2の基板に設けられた配線パターン(例えば、パッド、貫通電極、配線等)及び電子部品が破損することがなくなるため、電子装置の歩留まりを向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子装置のコストを低減できると共に、電子装置の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の断面図である。
【0029】
図11を参照するに、第1の実施の形態の電子装置10は、第2の基板である配線基板11と、第1の基板である基板14と、接続部材16と、空間18と、電子部品19と、外部接続端子21とを有する。
【0030】
配線基板11は、基板本体25と、絶縁膜26と、貫通電極28と、パッド29と、外部接続用パッド31と、密着層32とを有する。
【0031】
基板本体25は、板状とされており、貫通孔33を有する。基板本体25の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。
【0032】
例えば、電子部品19の材料がシリコンの場合、基板本体25の材料としてシリコンを用いるとよい。これにより、配線基板11と電子部品19との間の熱膨張係数の差を緩和することが可能となるため、配線基板11と電子部品19との間の電気的接続信頼性を向上させることができる。基板本体25の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体25の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0033】
図1では、基板本体25の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて図示している。本実施の形態では、基板本体25の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。なお、基板本体25の材料としてガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミックを用いる場合、絶縁膜26は不要となる。
【0034】
絶縁膜26は、基板本体25の表面(貫通孔33の側面に対応する部分の基板本体25の面も含む)を覆うように、基板本体25に設けられている。絶縁膜26としては、例えば、酸化膜を用いることができる。絶縁膜26として酸化膜を用いる場合、絶縁膜26の厚さは、例えば、1μmとすることができる。
【0035】
貫通電極28は、絶縁膜26が形成された貫通孔33に設けられている。貫通電極28の上端面は、絶縁膜26の面26A(電子部品が実装される側の絶縁膜26の面)と略面一とされている。貫通電極28の下端面は、絶縁膜26の面26B(外部接続端子21が配設される側の絶縁膜26の面)と略面一とされている。貫通電極28の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0036】
パッド29は、絶縁膜26の面26A及び貫通電極28の上端面に設けられている。これにより、パッド29は、貫通電極28と接続されている。パッド29の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0037】
外部接続用パッド31は、絶縁膜26の面26B及び貫通電極28の下端面に設けられている。これにより、外部接続用パッド31は、貫通電極28と接続されると共に、貫通電極28を介して、パッドと電気的に接続されている。外部接続用パッド31の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0038】
密着層32は、電子部品19が収容される領域を囲むように、絶縁膜26の面26Aに設けられている。密着層32は、絶縁膜26の面26A上に、Ti層35(例えば、厚さ0.1μm)と、Pt層36(例えば、厚さ0.2μm)と、Au層37(例えば、厚さ0.5μm)とを順次積層した構成とされている。
【0039】
基板14は、電子部品19が実装された配線基板11の上方に配置されており、接続部材16を介して、配線基板11と接続されている。基板14は、基板本体39と、絶縁膜41と、密着層42とを有する。
【0040】
基板本体39は、板状とされている。基板本体39の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。
【0041】
例えば、基板本体25の材料としてシリコンを用いる場合、基板本体39の材料としてシリコンを用いるとよい。これにより、配線基板11と基板14との間の熱膨張係数の差を緩和することが可能となるため、配線基板11と基板14との間の接続信頼性を向上できる。基板本体39の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体39の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0042】
図1では、基板本体39の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて図示している。本実施の形態では、基板本体39の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。なお、基板本体39の材料としてガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミックを用いる場合、絶縁膜41は不要となる。
【0043】
絶縁膜41は、基板本体39の表面を覆うように、基板本体39に形成されている。絶縁膜41としては、例えば、酸化膜を用いることができる。絶縁膜41として酸化膜を用いた場合、絶縁膜41の厚さは、例えば、1μmとすることができる。
【0044】
密着層42は、絶縁膜41の面41A(配線基板11と対向する側の絶縁膜41の面)を覆うように設けられている。密着層42は、絶縁膜41の面41Aに、Ti層43(例えば、厚さ0.1μm)と、Pt層44(例えば、厚さ0.2μm)と、Au層45(例えば、厚さ0.5μm)とを順次積層した構成とされている。
【0045】
接続部材16は、Au層37,45と接触するように、Au層37とAu層45との間に設けられている。接続部材16は、電子部品19を囲むように配置されている。つまり、接続部材16は、額縁形状とされている。接続部材16は、配線基板11と基板14とを接続するための部材である。接続部材16としては、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)等を用いることができる。接続部材16としてAu−In合金を用いた場合、接続部材16の厚さは、例えば、15μmとすることができる。
【0046】
空間18は、配線基板11、基板14、及び電子部品19により形成されている。空間18は、電子部品19を収容するための気密された空間である。空間18の圧力は、必要に応じて(電子部品19の特性に応じて)、低圧(真空)にしてもよい。また、ガスを導入した状態で空間18を気密してもよい。
【0047】
電子部品19は、パッド29に実装されている。これにより、電子部品19は、配線基板11と電気的に接続されている。電子部品19としては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、加速度センサ、発光ダーオード、半導体チップ等を用いることができる。このような電子部品19は、300℃以上の温度で加熱されると破損する虞がある。
【0048】
外部接続端子21は、外部接続用パッド31に設けられている。外部接続端子21は、電子部品19と電気的に接続されている。外部接続端子21は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と接続される端子である。外部接続端子21としては、例えば、はんだボールを用いることができる。
【0049】
なお、本実施の形態の電子装置10では、第2の基板として配線基板11を用いると共に、第1の基板として基板14を用いた場合を例に挙げて説明したが、第2の基板として基板14を用いると共に、第1の基板として配線基板11を用いてもよい。言い換えれば、貫通電極28、電子部品19が実装されるパッド29、及び外部接続用パッド31は、第1の基板に設けてもよいし、第2の基板に設けてもよい。
【0050】
図12は、本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る電子装置の断面図である。図12において、第1の実施の形態の電子装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0051】
図12を参照するに、第1の実施の形態の第1変形例の電子装置50は、第1の実施の形態の電子装置10に設けられた基板14の代わりに、基板51を設けた以外は電子装置10と同様に構成される。
【0052】
基板51は、電子部品19と対向する部分の密着層42を除去した以外は基板14と同様に構成される。
【0053】
このように、電子部品19と対向する部分の密着層42を除去することにより、空間18の高さを高くすることが可能となるため、高さの高い電子部品19を空間18に収容することができる。
【0054】
図13は、本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る電子装置の断面図である。図13において、第1の実施の形態の電子装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0055】
図13を参照するに、第1の実施の形態の第2変形例の電子装置55は、第1の実施の形態の電子装置10に設けられた配線基板11の代わりに、配線基板56を設けた以外は電子装置10と同様に構成される。
【0056】
配線基板56は、配線基板11に設けられた基板本体25の代わりに、電子部品19の一部を収容する凹部58を有した基板本体57を設けた以外は配線基板11と同様に構成される。凹部58の深さは、電子部品19の高さに応じて適宜選択することができる。
【0057】
このように、配線基板56に電子部品19の一部を収容するための凹部58を配線基板56に設けることにより、高さの高い電子部品19を空間18に収容することができる。
【0058】
なお、第1の実施の形態の第2変形例の電子装置55において、基板本体57に凹部58を形成する代わりに、基板本体39に凹部58を形成してもよい。また、基板本体39,57の両方に凹部を形成してもよい。さらに、第1の実施の形態の第2変形例の電子装置55において、電子部品19と対向する部分の密着層42を除去してもよい。
【0059】
図14〜図24は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図である。図25は、図16に示す構造体を平面視した図であり、図26は、図25に示す構造体のA−A線方向の断面図である。図14〜図26において、第1の実施の形態の電子装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0060】
図14〜図26を参照して、第1の実施の形態の電子装置10の製造方法について説明する。なお、本実施の形態の電子装置10の製造方法では、基板本体25,39の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。
【0061】
始めに、図14に示す工程では、基板本体39に、基板本体39の表面を覆う絶縁膜41を形成する。基板本体39の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。基板本体39の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体39の厚さは、例えば、200μmとすることができる。絶縁膜41としては、例えば、酸化膜を用いることができる。基板本体39の材料がシリコンの場合、絶縁膜41は、例えば、基板本体39を熱酸化することで形成することができる。絶縁膜41として酸化膜を用いた場合、絶縁膜41の厚さは、例えば、1μmとすることができる。
【0062】
次いで、図15に示す工程では、図14に示す構造体に設けられた絶縁膜41の面41Aに、Ti層43(例えば、厚さ0.1μm)と、Pt層44(例えば、厚さ0.2μm)と、Au層45(例えば、厚さ0.5μm)とを順次積層することで密着層42を形成する。これにより、密着層42を備えた基板14が製造される。具体的には、例えば、スパッタ法により、絶縁膜41の面41Aに、Ti層43と、Pt層44と、Au層45とを順次積層させることで密着層42を形成する。
【0063】
次いで、図16に示す工程では、接続部材16(図11参照)の形成領域に対応する部分のAu層45に、ワイヤボンディング法により、第1の金属からなる金属部材61を形成する(金属部材形成工程)。金属部材61は、接続部材16の母材となる部材である。第1の金属としては、例えば、Au(融点は1064.4℃)、Cu(融点は1083℃)、Ag(融点は961℃)のうちのいずれかを用いることができる。
【0064】
このように、第1の金属として、Au、Cu、Agを用いることにより、ワイヤボンディング装置を用いて、Auワイヤ、Cuワイヤ、及びAgワイヤを形成することが可能となる。これにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ206をめっき法により形成する場合と比較して、短時間で多くの量の金属部材61を形成することが可能となるため、電子装置10のコストを低減することができる。また、電子部品19の高さに応じて、接続部材16の厚さを容易に厚くすることができる。
【0065】
ここで、図25及び図26を参照して、金属部材61について説明する。図25に示すように、金属部材61として金属ワイヤを用いる場合、金属部材61は、例えば、ワイヤボンディング装置を用いて、密着層42の外周部に額縁形状となるようにステッチボンディングすることで形成する。また、金属ワイヤの直径は、例えば、15μm〜30μmとすることができる。
【0066】
なお、図16及び図25では、金属部材61を1本の金属ワイヤにより構成した場合を例に挙げて図示したが、複数本の金属ワイヤにより金属部材61を構成してもよい。このように、複数本の金属ワイヤにより金属部材61を構成することにより、接続部材16の厚さが厚くなるため、空間18の高さを高くすることができる。これにより、空間18に高さの高い電子部品19を収容することができる。
【0067】
次いで、図17に示す工程では、周知の手法により、基板本体25に、絶縁膜26、貫通電極28、パッド29、及び外部接続用パッド31を形成する。基板本体25の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。基板本体25の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体25の厚さは、例えば、200μmとすることができる。絶縁膜26としては、例えば、酸化膜を用いることができる。絶縁膜26として酸化膜を用いる場合、例えば、基板本体25を熱酸化することで酸化膜を形成する。絶縁膜26として酸化膜を用いた場合、絶縁膜26の厚さは、例えば、1μmとすることができる。貫通電極28、パッド29、及び外部接続用パッド31は、例えば、めっき法により形成することができる。貫通電極28、パッド29、及び外部接続用パッド31の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0068】
次いで、図18に示す工程では、図17に示す構造体に設けられた絶縁膜26の面26Aを覆うように、Ti層35(例えば、厚さ0.1μm)と、Pt層36(例えば、厚さ0.2μm)と、Au層37(例えば、厚さ0.5μm)とを順次積層して、Ti/Pt/Au積層膜62を形成する。Ti/Pt/Au積層膜62は、後述する図20に示す工程において、その一部がエッチングされることにより、密着層32となる積層膜である。
【0069】
次いで、図19に示す工程では、接続部材16(図11参照)の形成領域に対応する部分のAu層37に、Ti/Pt/Au積層膜62を給電層とする電解めっき法により、第1の金属よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金(接続部材16となる合金)を形成する第2の金属からなる金属層63を形成する(金属層形成工程)。
【0070】
具体的には、Au層37上に、接続部材16の形成領域に対応する部分のAu層37を露出する開口部を有しためっき用レジスト膜(図示せず)を形成し、次いで、Ti/Pt/Au積層膜62を給電層とする電解めっき法により、Au層37上にめっき膜(金属層63の母材)を析出成長させ、その後、めっき用レジスト膜を除去することで金属層63を形成する。
【0071】
金属層63は、後述する図23に示す工程(基板接続工程)において、加熱により溶融させられることで、金属部材61と反応して接続部材16となる合金を形成するための金属層である。したがって、金属層63の融点は、貫通電極28、パッド29、外部接続用パッド31、及び配線基板11に実装された電子部品19が破損しない温度(具体的には、300℃以下)が好ましい。金属層63の融点が300℃以下となるような第2の金属としては、例えば、In(融点は156.6℃)又はSn(融点は231.97℃)を用いることができる。
【0072】
このように、金属層63の材料となる第2の金属として、融点が300℃以下とされたIn(融点は156.6℃)又はSn(融点は231.97℃)を用いることにより、配線基板11と基板14とを接続する図23に示す工程(基板接続工程)において、貫通電極28、パッド29、外部接続用パッド31、及び配線基板11に実装された電子部品19が破損することを防止できる。
【0073】
金属部材61として直径が15μm〜30μmのAuワイヤを用いると共に、第2の金属としてInを用いた場合の金属層63の厚さは、例えば、2μmにすることができる。
【0074】
ここで、金属部材61の材料となる第1の金属と、金属層63の材料となる第2の金属との組み合わせ、及びこれらの組み合わせにより形成される合金について説明する。
【0075】
第1の金属がAuの場合、第2の金属としては、例えば、Inを用いることができる。この場合、合金としては、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))が形成される。第1の金属がCuの場合、第2の金属としては、例えば、Snを用いることができる。この場合、合金としては、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))が形成される。
【0076】
第1の金属がAgの場合、第2の金属としては、例えば、SnやInを用いることができる。第2の金属としてSnを用いた場合、合金としては、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)が形成される。第2の金属としてInを用いた場合、合金としては、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)が形成される。
【0077】
次いで、図20に示す工程では、エッチングにより、金属層63が形成されていない部分の不要なTi/Pt/Au積層膜62を除去して、Ti層35(例えば、厚さ0.1μm)、Pt層36(例えば、厚さ0.2μm)、及びAu層37(例えば、厚さ0.5μm)が積層された密着層32を形成する。これにより、配線基板11が形成される。
【0078】
次いで、図21に示す工程では、配線基板11に設けられたパッド29に、電子部品19を実装する。電子部品19としては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、加速度センサ、発光ダーオード、半導体チップ等を用いることができる。このような電子部品19は、300℃以上の温度で加熱されると破損する虞がある。
【0079】
次いで、図22に示す工程では、金属部材61と金属層63とが接触するように、金属層63が形成されると共に、電子部品19が実装された配線基板11と、金属部材16が形成された基板14とを対向配置させる。
【0080】
次いで、図23に示す工程では、図22に示す構造体を、金属層63のみが溶融する温度で加熱して、金属部材61と金属層63とを反応させて、接続部材16となる合金を形成し、接続部材16により配線基板11と基板14とを接続する(図22及び図23に示す工程が「基板接続工程」に相当する)。これにより、配線基板11、基板14、及び接続部材16により気密された空間18が形成される。
【0081】
接続部材16を構成する合金としては、後述する図24に示す工程(外部接続端子形成工程)において、外部接続端子21を形成するときの温度よりも高い再溶融温度を有する合金を用いるとよい。具体的には、例えば、外部接続端子21としてはんだボールを用いた場合(この場合の外部接続端子形成工程の処理温度は245℃)、接続部材16を構成する合金としては、再溶融温度が260℃以上の合金を用いるとよい。
【0082】
具体的には、接続部材16としては、例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)等を用いることができる。
【0083】
このように、接続部材16を構成する合金として、外部接続端子21を形成するときの温度よりも高い再溶融温度を有する合金を用いることにより、後述する図24に示す工程(外部接続端子形成工程)において、配線基板11と基板14とを接続する接続部材16が再溶融することを防止できる。
【0084】
次いで、図24に示す工程では、図23に示す構造体に設けられた外部接続用パッド31に外部接続端子21を形成する(外部接続端子形成工程)。これにより、第1の実施の形態の電子装置10が製造される。外部接続端子21としては、例えば、はんだボールを用いることができる。外部接続端子21としてはんだボールを形成する場合の処理温度としては、例えば、245℃を用いることができる。
【0085】
本実施の形態の電子装置によれば、接続部材16の形成領域に対応する部分の基板14に、ワイヤボンディング法により第1の金属(例えば、Au、Cu、Ag)からなる金属部材61(接続部材16の母材)を形成することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ206をめっき法により形成する場合と比較して、短時間で多くの量の金属部材61を形成することが可能となるため、電子装置10のコストを低減することができる。また、電子部品19の高さに応じて、接続部材16の厚さを容易に厚くすることができる。
【0086】
また、接続部材16の形成領域に対応する部分の基板14に、金属部材61を構成する第1の金属(例えば、Au、Cu、Ag)よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金を形成する第2の金属(例えば、In(融点は156.6℃)、Sn(融点は231.97℃))からなる金属層63を形成し、金属部材61と金属層63とが接触するように、配線基板11と基板14とを対向配置させ、金属層63のみが溶融する温度で金属部材61及び金属層63を加熱して合金(例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃)、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃))からなる接続部材16を形成し、配線基板11と基板14とを接続することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ(融点は280℃)を溶融させる際の温度(例えば、320℃)よりも低い温度(例えば、300℃以下の温度)の加熱により、配線基板11と基板14とを接続することが可能となる。
【0087】
これにより、配線基板11と基板14とを接続する際の熱の影響により、貫通電極28、パッド29、外部接続用パッド31、及び電子部品19が破損することがなくなるため、電子装置10の歩留まりを向上させることができる。
【0088】
さらに、接続部材16を構成する合金として、外部接続端子21を形成するときの温度(例えば、245℃)よりも高い再溶融温度を有する合金(例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃))を用いることにより、外部接続端子形成工程(図24に示す工程)において、配線基板11と基板14とを接続する接続部材16が再溶融することを防止できる。
【0089】
図27は、他の金属部材の例を示す図であり、図28は、図27に示す構造体を平面視した図である。図27及び図28において、先に説明した基板14と同一構成部分には同一符号を付す。
【0090】
なお、本実施の形態の電子装置10の製造方法では、金属部材61として金属ワイヤを用いた場合を例に挙げて説明したが、金属部材61の代わりに、ワイヤボンディング法により、基板14に、図27及び図28に示すようなバンプからなる金属部材71を複数形成し、その後、先に説明した図17〜図24に示す工程と同様な処理を行うことにより、電子装置10を製造してもよい。この場合、本実施の形態の電子装置10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0091】
金属部材71の材料としては、先に説明した金属部材61の材料と同様な金属(例えば、Au、Cu、Ag)を用いることができる。また、図27及び図28では、金属部材71を2列で配置した場合を例に挙げて図示したが、金属部材71を配置する際の列の数はこれに限定されない。金属部材71を配置する際の列の数は、1列でもよいし、2列以上でもよい。金属部材71を配置する際の列の数は、接続部材16の厚さに応じて適宜選択することができる。
【0092】
また、本実施の形態の第1及び第2変形例の電子装置50,55は、第1の実施の形態の電子装置10と同様な手法により製造することが可能であり、第1の実施の形態の電子装置10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0093】
(第2の実施の形態)
図29は、本発明の第2の実施の形態の電子装置の断面図である。図29において、第1の実施の形態の電子装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0094】
図29を参照するに、第2の実施の形態の電子装置80は、第1の基板である配線基板81と、第2の基板である枠状とされた基板82と、接続部材16と、電子部品84,85と、空間86と、外部接続端子21とを有する。
【0095】
配線基板81は、第1の実施の形態で説明した配線基板11(図11参照)に設けられた基板本体25に、電子部品85を収容する凹部87を形成した以外は、配線基板11と同様に構成される。凹部87の深さは、電子部品85の大きさにより適宜選択することができる。電子部品85の高さが80μmの場合、凹部87の深さは、例えば、100μmとすることができる。
【0096】
基板82は、枠状とされた基板本体88と、基板本体88の表面を覆う絶縁膜41と、絶縁膜41の面41A(接続部材16と対向する側の絶縁膜41の面)に設けられた密着層42とを有する。基板本体88の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。基板本体88の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体25の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0097】
図29では、基板本体88の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて図示している。本実施の形態では、基板本体88の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。なお、基板本体88の材料としてガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミックを用いる場合、絶縁膜41は不要となる。
【0098】
接続部材16は、Au層37,45と接触するように、Au層37とAu層45との間に設けられている。接続部材16は、電子部品84を囲むように配置されている。つまり、接続部材16は、額縁形状とされている。接続部材16は、配線基板81と基板82とを接続するための部材である。接続部材16としては、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃)、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃)、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)等を用いることができる。接続部材16としてAu−In合金を用いた場合、接続部材16の厚さは、例えば、15μmとすることができる。
【0099】
電子部品84は、配線基板81に設けられたパッド29に実装されている。これにより、電子部品84は、配線基板81と電気的に接続されている。電子部品84は、電子部品84の下方に配置された電子部品85と電気的に接続されている。電子部品84としては、例えば、電子部品85の特性を調整する部品を用いることができる。具体的には、電子部品85が加速度センサの場合、電子部品84としては、例えば、加速度センサのアンプ或いは加速度センサのドライバとして機能する部品を用いることができる。
【0100】
電子部品85は、電子部品84の下方に形成された凹部87に収容されている。電子部品85は、電子部品84と電気的接続されている。電子部品84としては、例えば、加速度センサを用いることができる。
【0101】
空間86は、開放された空間であり、配線基板81、基板82、及び接続部材16により形成されている。空間86は、電子部品84を収容するための空間である。外部接続端子21は、配線基板81に設けられた外部接続用パッド31に配設されている。
【0102】
図30は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る電子装置の断面図である。図30において、第2の実施の形態の電子装置80と同一構成部分には同一符号を付す。
【0103】
図30を参照するに、第2の実施の形態の変形例の電子装置95は、第2の実施の形態の電子装置80の構成に、さらに蓋体96を設けると共に、基板本体88に設けられた絶縁膜41の一部を除去(蓋体96の配設領域に対応する部分の絶縁膜41を除去)した以外は、電子装置80と同様に構成される。
【0104】
蓋体96は、板状とされた基板であり、基板本体88上に配置されている。蓋体96は、陽極接合により、基板本体88に接合されている。これにより、配線基板81、基板82、接続部材16、及び蓋体96により形成される空間86は、気密されている。蓋体96の材料としては、例えば、シリコンやガラス等を用いることができる。蓋体96の材料としてシリコンを用いた場合、蓋体96の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0105】
図31〜図38は、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図である。図31〜図38において、第2の実施の形態の電子装置80と同一構成部分には同一符号を付す。
【0106】
図31〜図38を参照して、第2の実施の形態の電子装置80の製造方法について説明する。始めに、図31に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図17及び図18に示す工程と同様な手法により、配線基板81を形成する。凹部87は、例えば、絶縁膜26を形成する前に、基板本体25をエッチングすることで形成する。
【0107】
次いで、図32に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図16に示す工程と同様な手法により、接続部材16(図29参照)の形成領域に対応する部分のAu層37に、ワイヤボンディング法により、第1の金属からなる金属部材61を形成する(金属部材形成工程)。金属部材61は、接続部材16の母材となる部材である。第1の金属としては、例えば、Au(融点は1064.4℃)、Cu(融点は1083℃)、Ag(融点は961℃)のうちのいずれかを用いることができる。
【0108】
このように、第1の金属として、Au、Cu、Agを用いることにより、ワイヤボンディング装置を用いて、Auワイヤ、Cuワイヤ、及びAgワイヤを形成することが可能となる。これにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ206をめっき法により形成する場合と比較して、短時間で多くの量の金属部材61を形成することが可能となるため、電子装置80のコストを低減することができる。
【0109】
次いで、図33に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図14及び図15に示す工程と同様な処理を行うことにより、基板82を形成する。
【0110】
次いで、図34に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図19に示す工程と同様な処理を行うことにより、接続部材19の形成領域に対応する部分のAu層45に、第1の金属よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金(接続部材16となる合金)を形成する第2の金属からなる金属層63を形成する(金属層形成工程)。第2の金属としては、例えば、第1の実施の形態で説明した融点が300℃以下とされた金属(例えば、In(融点は156.6℃)、Sn(融点は231.97℃))を用いることができる。金属部材61として直径が15μm〜30μmのAuワイヤを用いると共に、第2の金属としてInを用いた場合の金属層63の厚さは、例えば、2μmにすることができる。
【0111】
次いで、図35に示す工程では、金属部材61と金属層63とが接触するように、電子部品84,85が実装されていない配線基板81と基板82とを対向配置させる。
【0112】
次いで、図36に示す工程では、図35に示す構造体を、金属層63のみが溶融する温度で加熱して、溶融した金属部材61と金属層63とを反応させて、接続部材16となる合金を形成し、接続部材16により、電子部品84,85が実装されていない配線基板81と基板82とを接続する(図35及び図36に示す工程が「基板接続工程」に相当する)。これにより、配線基板81、基板82、及び接続部材16により、開放された空間86が形成される。
【0113】
このように、電子部品84,85が実装されていない配線基板81と基板82とを接続することにより、電子部品84,85が基板接続工程における熱の影響を受けることがなくなるため、電子部品84,85が破損することを防止できる。
【0114】
接続部材16を構成する合金としては、後述する図38に示す工程(外部接続端子形成工程)において、外部接続端子21を形成するときの温度よりも高い再溶融温度を有する合金を用いるとよい。具体的には、例えば、外部接続端子21としてはんだボールを用いた場合(この場合の外部接続端子形成工程の処理温度は245℃)、接続部材16を構成する合金としては、再溶融温度が260℃以上の合金を用いるとよい。
【0115】
具体的には、接続部材16としては、例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)等を用いることができる。
【0116】
このように、接続部材16を構成する合金として、外部接続端子21を形成するときの温度よりも高い再溶融温度を有する合金を用いることにより、後述する図38に示す工程(外部接続端子形成工程)において、配線基板81と基板82とを接続する接続部材16が再溶融することを防止できる。また、配線基板81に設けられた貫通ビア28、パッド29、及び外部接続用パッド31が破損することがなくなるため、電子装置80の歩留まりを向上させることができる。
【0117】
次いで、図37に示す工程では、電子部品84を電子部品85に実装し、その後、電子部品85が実装された電子部品84をパッド29に実装する。これにより、電子部品84,85は、配線基板81と電気的に接続される。電子部品85として、加速度センサを用いた場合、電子部品84としては、例えば、加速度センサのアンプ或いは加速度センサのドライバとして機能する部品を用いることができる。
【0118】
次いで、図38に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図24に示す工程と同様な処理を行うことで、図37に示す構造体に設けられた外部接続用パッド31に外部接続端子21を形成する(外部接続端子形成工程)。これにより、第2の実施の形態の電子装置80が製造される。外部接続端子21としては、例えば、はんだボールを用いることができる。外部接続端子21としてはんだボールを形成する場合の処理温度としては、例えば、245℃を用いることができる。
【0119】
本実施の形態の電子装置によれば、接続部材16の形成領域に対応する部分の配線基板81に、ワイヤボンディング法により第1の金属(例えば、Au、Cu、Ag)からなる金属部材61(接続部材16の母材)を形成することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ206をめっき法により形成する場合と比較して、短時間で多くの量の金属部材61を形成することが可能となるため、電子装置80のコストを低減することができる。
【0120】
また、接続部材16の形成領域に対応する部分の基板82に、金属部材61を構成する第1の金属(例えば、Au、Cu、Ag)よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金を形成する第2の金属(例えば、In(融点は156.6℃)、Sn(融点は231.97℃))からなる金属層63を形成し、金属部材61と金属層63とが接触するように、配線基板81と基板82とを対向配置させ、金属層63のみが溶融する温度で金属部材61及び金属層63を加熱して合金(例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃))からなる接続部材16を形成し、配線基板81と基板82とを接続することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ(融点は280℃)を溶融させる際の温度(例えば、320℃)よりも低い温度(例えば、300℃以下の温度)の加熱により、配線基板81と基板82とを接続することが可能となる。
【0121】
これにより、配線基板81と基板82とを接続する際の熱の影響により、貫通電極28、パッド29、外部接続用パッド31、及び電子部品19が破損することがなくなるため、電子装置80の歩留まりを向上させることができる。
【0122】
さらに、接続部材16により、配線基板81と基板82とを接続後に、配線基板81に設けられたパッド29に電子部品84,85を実装することにより、電子部品84,85が基板接続工程における熱の影響を受けることがなくなるため、電子部品84,85の破損を防止することができる。
【0123】
なお、本実施の形態の電子装置80の製造方法では、金属ワイヤからなる金属部材61を用いて接続部材16を形成することで、配線基板81と基板82とを接続したが、金属部材61の代わりに、図27及び図28において説明したバンプからなる金属部材71を複数設けて、接続部材16を形成してもよい。この場合、本実施の形態の電子装置80と同様な効果を得ることができる。
【0124】
また、第2の実施の形態の変形例の電子装置95は、図33に示す工程において、蓋体96を基板本体88に陽極接合させるか、或いは、図37に示す工程において、蓋体96を基板本体88に陽極接合させる工程を別途設ける以外は、第2の実施の形態の電子装置80の製造方法と同様な処理を行うことで製造できる。
【0125】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、電子装置の製造方法に関し、特に、対向配置された2つの基板と、2つの基板を接続する接続部材と、2つの基板及び接続部材により形成された空間に収容される電子部品と、を備えた電子部品の製造方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】従来の電子装置の断面図である。
【図2】従来の電子装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図3】従来の電子装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図4】従来の電子装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図5】従来の電子装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図6】従来の電子装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図7】従来の電子装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図8】従来の電子装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図9】従来の電子装置の製造工程を示す図(その8)である。
【図10】従来の電子装置の製造工程を示す図(その9)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の断面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る電子装置の断面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る電子装置の断面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その8)である。
【図22】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その9)である。
【図23】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その10)である。
【図24】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その11)である。
【図25】図16に示す構造体を平面視した図である。
【図26】図25に示す構造体のA−A線方向の断面図である。
【図27】他の金属部材の例を示す図である。
【図28】図27に示す構造体を平面視した図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態の電子装置の断面図である。
【図30】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る電子装置の断面図である。
【図31】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図32】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図33】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図34】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図35】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図36】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図37】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図38】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その8)である。
【符号の説明】
【0128】
10,50,55,80,95 電子装置
11,56,81 配線基板
14,51,82 基板
16 接続部材
18,86 空間
19,84,85 電子部品
21 外部接続端子
25,39,57,88 基板本体
26,41 絶縁膜
26A,26B,41A 面
28 貫通電極
29 パッド
31 外部接続用パッド
32,42 密着層
33 貫通孔
35,43 Ti層
36,44 Pt層
37,45 Au層
58,87 凹部
61,71 金属部材
62 Ti/Pt/Au積層膜
63 金属層
96 蓋体
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の製造方法に関し、特に、対向配置された2つの基板と、2つの基板を接続する接続部材と、2つの基板及び接続部材により形成された空間に収容される電子部品と、を備えた電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対向配置された2つの基板と、2つの基板を接続する接続部材と、2つの基板及び接続部材により形成された空間に収容される電子部品とを備えた電子装置(図1参照)がある。
【0003】
図1は、従来の電子装置の断面図である。
【0004】
図1を参照するに、従来の電子装置200は、配線基板201と、基板204と、接続部材であるAu−Snはんだ206と、電子部品208と、外部接続端子209とを有する。
【0005】
配線基板201は、シリコンから構成されると共に、凹部216及び貫通孔217を有した基板本体215と、基板本体215の表面を覆う絶縁膜219と、絶縁膜219を介して貫通孔217に設けられた貫通電極221と、貫通電極221の上端と接続されたパッド223と、貫通電極221の下端と接続された外部接続用パッド224と、密着層225とを有する。
【0006】
密着層225は、Au−Snはんだ206の形成領域に対応する部分の絶縁膜219に設けられている。密着層225は、絶縁膜219に、Ti層226と、Pt層227と、Au層228とが順次積層された構成とされている。
【0007】
基板204は、シリコンから構成された板体231と、板体231の表面を覆う絶縁膜232と、密着層233とを有する。
【0008】
密着層233は、Au−Snはんだ206の形成領域に対応する部分の絶縁膜232に設けられている。密着層233は、絶縁膜232に、Ti層234と、Pt層235と、Au層236とが順次積層された構成とされている。
【0009】
Au−Snはんだ206は、配線基板201と基板204とを接続するためのものである。Au−Snはんだ206は、配線基板201、基板204、及びAu−Snはんだ206により形成される空間241を気密するように配置されている。Au−Snはんだ206の融点は、280℃である。Au−Snはんだ206の厚さは、例えば、4μmとすることができる。
【0010】
電子部品208は、空間241に配置されると共に、パッド223に実装されている。これにより、電子部品208は、配線基板201と電気的に接続されている。電子部品208は、300℃以上の温度で加熱されると破損する虞がある。外部接続用端子209は、外部接続用パッド224に設けられている。
【0011】
図2〜図10は、従来の電子装置の製造工程を示す図である。図2〜図10において、従来の電子装置200と同一構成部分には同一符号を付す。
【0012】
始めに、図2に示す工程では、周知の手法により、配線基板201を形成する。次いで、図3に示す工程では、スパッタ法により、絶縁膜219上に、Ti層226と、Pt層227と、Au層228とを順次積層して、密着層225を形成する。これにより、配線基板201が製造される。
【0013】
次いで、図4に示す工程では、Au層228の上面を覆うように、めっき法によりAu−Snはんだ241(融点は280度)を形成する。Au−Snはんだ241は、先に説明したAu−Snはんだ206の一部となるものである。Au−Snはんだ241の厚さは、例えば、2μmとすることができる。
【0014】
次いで、図5に示す工程では、電子部品208をパッド223に実装する。次いで、図6に示す工程では、周知の手法により、シリコンから構成された板体231の表面を覆うように絶縁膜232を形成する。
【0015】
次いで、図7に示す工程では、スパッタ法により、絶縁膜232上に、Ti層234と、Pt層235と、Au層236とを順次積層して、密着層233を形成する。これにより、基板204が製造される。
【0016】
次いで、図8に示す工程では、Au層236の上面を覆うように、めっき法によりAu−Snはんだ242(融点は280度)を形成する。Au−Snはんだ242は、先に説明したAu−Snはんだ206の一部となるものである。Au−Snはんだ242の厚さは、例えば、2μmとすることができる。
【0017】
次いで、図9に示す工程では、Au−Snはんだ241とAu−Snはんだ242とが接触するように、図5に示す構造体上に図8に示す構造体を配置し、その後、Au−Snはんだ241,242の融点280℃よりも高い温度(例えば、320℃)により、図5及び図8に示す構造体を加熱することで、Au−Snはんだ241,242を溶融させてAu−Snはんだ206を形成して、配線基板201と基板204とを接続する。これにより、電子部品208は、気密された空間241に収容される。
【0018】
次いで、図10に示す工程では、外部接続用パッド224に外部接続用端子209を形成する。これにより、従来の電子装置200が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−110726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、従来の電子装置200では、Au−Snはんだ206の母材であるAu−Snはんだ241,242をめっき法により形成していたため、Au−Snはんだ241,242を形成する際に多くの時間が必要となり、電子装置200の製造コストが増加してしまうという問題があった。特に、接続部材であるAu−Snはんだ206の厚さを厚くしたい場合、上記問題が顕著となる。
【0020】
また、Au−Snはんだ241,242を溶融させる際、高い温度(例えば、320℃)で加熱する必要があるため、熱の影響によりパッド223、貫通電極221、外部接続用パッド224、及びパッド電子部品208が破損して、電子装置200の歩留まりが低下してしまうという問題があった。
【0021】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、電子装置のコストを低減できると共に、電子装置の歩留まりを向上させることのできる電子装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一観点によれば、第1の基板と、前記第1の基板に対して対向配置された第2の基板と、前記第1及び第2の基板と接触すると共に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する接続部材と、前記第1及び第2の基板と前記接続部材とにより形成される空間と、前記空間に収容された電子部品と、を備えた電子装置の製造方法であって、前記接続部材の形成領域に対応する部分の前記第1の基板に、ワイヤボンディング法により第1の金属からなる金属部材を形成する金属部材形成工程と、前記接続部材の形成領域に対応する部分の前記第2の基板に、前記第1の金属よりも融点が低く、かつ前記第1の金属と合金を形成する第2の金属からなる金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属部材と前記金属層とが接触するように、前記第1の基板と前記第2の基板とを対向配置させ、前記金属層のみが溶融する温度で前記金属部材及び前記金属層を加熱して前記合金からなる前記接続部材を形成し、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する基板接続工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法が提供される。
【0023】
本発明によれば、接続部材の形成領域に対応する部分の第1の基板に、ワイヤボンディング法により第1の金属からなる金属部材(接続部材の母材)を形成することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだをめっき法により形成する場合と比較して、短時間で金属部材を形成することが可能となるため、電子装置のコストを低減することができる。また、接続部材の厚さを容易に厚くすることができる。
【0024】
また、接続部材の形成領域に対応する部分の第2の基板に、金属部材を構成する第1の金属よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金を形成する第2の金属からなる金属層を形成し、金属部材と金属層とが接触するように、第1の基板と第2の基板とを対向配置させ、金属層のみが溶融する温度で金属部材及び金属層を加熱して合金からなる接続部材を形成し、第1の基板と第2の基板とを接続することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ(融点が280℃)を溶融させる際の温度(例えば、320℃)よりも低い温度(例えば、300℃以下の温度)の加熱により、第1の基板と第2の基板とを接続することが可能となる。
【0025】
これにより、第1の基板と第2の基板とを接続する際の熱の影響により、第1の基板及び/又は第2の基板に設けられた配線パターン(例えば、パッド、貫通電極、配線等)及び電子部品が破損することがなくなるため、電子装置の歩留まりを向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子装置のコストを低減できると共に、電子装置の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の断面図である。
【0029】
図11を参照するに、第1の実施の形態の電子装置10は、第2の基板である配線基板11と、第1の基板である基板14と、接続部材16と、空間18と、電子部品19と、外部接続端子21とを有する。
【0030】
配線基板11は、基板本体25と、絶縁膜26と、貫通電極28と、パッド29と、外部接続用パッド31と、密着層32とを有する。
【0031】
基板本体25は、板状とされており、貫通孔33を有する。基板本体25の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。
【0032】
例えば、電子部品19の材料がシリコンの場合、基板本体25の材料としてシリコンを用いるとよい。これにより、配線基板11と電子部品19との間の熱膨張係数の差を緩和することが可能となるため、配線基板11と電子部品19との間の電気的接続信頼性を向上させることができる。基板本体25の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体25の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0033】
図1では、基板本体25の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて図示している。本実施の形態では、基板本体25の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。なお、基板本体25の材料としてガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミックを用いる場合、絶縁膜26は不要となる。
【0034】
絶縁膜26は、基板本体25の表面(貫通孔33の側面に対応する部分の基板本体25の面も含む)を覆うように、基板本体25に設けられている。絶縁膜26としては、例えば、酸化膜を用いることができる。絶縁膜26として酸化膜を用いる場合、絶縁膜26の厚さは、例えば、1μmとすることができる。
【0035】
貫通電極28は、絶縁膜26が形成された貫通孔33に設けられている。貫通電極28の上端面は、絶縁膜26の面26A(電子部品が実装される側の絶縁膜26の面)と略面一とされている。貫通電極28の下端面は、絶縁膜26の面26B(外部接続端子21が配設される側の絶縁膜26の面)と略面一とされている。貫通電極28の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0036】
パッド29は、絶縁膜26の面26A及び貫通電極28の上端面に設けられている。これにより、パッド29は、貫通電極28と接続されている。パッド29の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0037】
外部接続用パッド31は、絶縁膜26の面26B及び貫通電極28の下端面に設けられている。これにより、外部接続用パッド31は、貫通電極28と接続されると共に、貫通電極28を介して、パッドと電気的に接続されている。外部接続用パッド31の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0038】
密着層32は、電子部品19が収容される領域を囲むように、絶縁膜26の面26Aに設けられている。密着層32は、絶縁膜26の面26A上に、Ti層35(例えば、厚さ0.1μm)と、Pt層36(例えば、厚さ0.2μm)と、Au層37(例えば、厚さ0.5μm)とを順次積層した構成とされている。
【0039】
基板14は、電子部品19が実装された配線基板11の上方に配置されており、接続部材16を介して、配線基板11と接続されている。基板14は、基板本体39と、絶縁膜41と、密着層42とを有する。
【0040】
基板本体39は、板状とされている。基板本体39の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。
【0041】
例えば、基板本体25の材料としてシリコンを用いる場合、基板本体39の材料としてシリコンを用いるとよい。これにより、配線基板11と基板14との間の熱膨張係数の差を緩和することが可能となるため、配線基板11と基板14との間の接続信頼性を向上できる。基板本体39の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体39の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0042】
図1では、基板本体39の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて図示している。本実施の形態では、基板本体39の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。なお、基板本体39の材料としてガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミックを用いる場合、絶縁膜41は不要となる。
【0043】
絶縁膜41は、基板本体39の表面を覆うように、基板本体39に形成されている。絶縁膜41としては、例えば、酸化膜を用いることができる。絶縁膜41として酸化膜を用いた場合、絶縁膜41の厚さは、例えば、1μmとすることができる。
【0044】
密着層42は、絶縁膜41の面41A(配線基板11と対向する側の絶縁膜41の面)を覆うように設けられている。密着層42は、絶縁膜41の面41Aに、Ti層43(例えば、厚さ0.1μm)と、Pt層44(例えば、厚さ0.2μm)と、Au層45(例えば、厚さ0.5μm)とを順次積層した構成とされている。
【0045】
接続部材16は、Au層37,45と接触するように、Au層37とAu層45との間に設けられている。接続部材16は、電子部品19を囲むように配置されている。つまり、接続部材16は、額縁形状とされている。接続部材16は、配線基板11と基板14とを接続するための部材である。接続部材16としては、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)等を用いることができる。接続部材16としてAu−In合金を用いた場合、接続部材16の厚さは、例えば、15μmとすることができる。
【0046】
空間18は、配線基板11、基板14、及び電子部品19により形成されている。空間18は、電子部品19を収容するための気密された空間である。空間18の圧力は、必要に応じて(電子部品19の特性に応じて)、低圧(真空)にしてもよい。また、ガスを導入した状態で空間18を気密してもよい。
【0047】
電子部品19は、パッド29に実装されている。これにより、電子部品19は、配線基板11と電気的に接続されている。電子部品19としては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、加速度センサ、発光ダーオード、半導体チップ等を用いることができる。このような電子部品19は、300℃以上の温度で加熱されると破損する虞がある。
【0048】
外部接続端子21は、外部接続用パッド31に設けられている。外部接続端子21は、電子部品19と電気的に接続されている。外部接続端子21は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と接続される端子である。外部接続端子21としては、例えば、はんだボールを用いることができる。
【0049】
なお、本実施の形態の電子装置10では、第2の基板として配線基板11を用いると共に、第1の基板として基板14を用いた場合を例に挙げて説明したが、第2の基板として基板14を用いると共に、第1の基板として配線基板11を用いてもよい。言い換えれば、貫通電極28、電子部品19が実装されるパッド29、及び外部接続用パッド31は、第1の基板に設けてもよいし、第2の基板に設けてもよい。
【0050】
図12は、本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る電子装置の断面図である。図12において、第1の実施の形態の電子装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0051】
図12を参照するに、第1の実施の形態の第1変形例の電子装置50は、第1の実施の形態の電子装置10に設けられた基板14の代わりに、基板51を設けた以外は電子装置10と同様に構成される。
【0052】
基板51は、電子部品19と対向する部分の密着層42を除去した以外は基板14と同様に構成される。
【0053】
このように、電子部品19と対向する部分の密着層42を除去することにより、空間18の高さを高くすることが可能となるため、高さの高い電子部品19を空間18に収容することができる。
【0054】
図13は、本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る電子装置の断面図である。図13において、第1の実施の形態の電子装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0055】
図13を参照するに、第1の実施の形態の第2変形例の電子装置55は、第1の実施の形態の電子装置10に設けられた配線基板11の代わりに、配線基板56を設けた以外は電子装置10と同様に構成される。
【0056】
配線基板56は、配線基板11に設けられた基板本体25の代わりに、電子部品19の一部を収容する凹部58を有した基板本体57を設けた以外は配線基板11と同様に構成される。凹部58の深さは、電子部品19の高さに応じて適宜選択することができる。
【0057】
このように、配線基板56に電子部品19の一部を収容するための凹部58を配線基板56に設けることにより、高さの高い電子部品19を空間18に収容することができる。
【0058】
なお、第1の実施の形態の第2変形例の電子装置55において、基板本体57に凹部58を形成する代わりに、基板本体39に凹部58を形成してもよい。また、基板本体39,57の両方に凹部を形成してもよい。さらに、第1の実施の形態の第2変形例の電子装置55において、電子部品19と対向する部分の密着層42を除去してもよい。
【0059】
図14〜図24は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図である。図25は、図16に示す構造体を平面視した図であり、図26は、図25に示す構造体のA−A線方向の断面図である。図14〜図26において、第1の実施の形態の電子装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0060】
図14〜図26を参照して、第1の実施の形態の電子装置10の製造方法について説明する。なお、本実施の形態の電子装置10の製造方法では、基板本体25,39の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。
【0061】
始めに、図14に示す工程では、基板本体39に、基板本体39の表面を覆う絶縁膜41を形成する。基板本体39の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。基板本体39の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体39の厚さは、例えば、200μmとすることができる。絶縁膜41としては、例えば、酸化膜を用いることができる。基板本体39の材料がシリコンの場合、絶縁膜41は、例えば、基板本体39を熱酸化することで形成することができる。絶縁膜41として酸化膜を用いた場合、絶縁膜41の厚さは、例えば、1μmとすることができる。
【0062】
次いで、図15に示す工程では、図14に示す構造体に設けられた絶縁膜41の面41Aに、Ti層43(例えば、厚さ0.1μm)と、Pt層44(例えば、厚さ0.2μm)と、Au層45(例えば、厚さ0.5μm)とを順次積層することで密着層42を形成する。これにより、密着層42を備えた基板14が製造される。具体的には、例えば、スパッタ法により、絶縁膜41の面41Aに、Ti層43と、Pt層44と、Au層45とを順次積層させることで密着層42を形成する。
【0063】
次いで、図16に示す工程では、接続部材16(図11参照)の形成領域に対応する部分のAu層45に、ワイヤボンディング法により、第1の金属からなる金属部材61を形成する(金属部材形成工程)。金属部材61は、接続部材16の母材となる部材である。第1の金属としては、例えば、Au(融点は1064.4℃)、Cu(融点は1083℃)、Ag(融点は961℃)のうちのいずれかを用いることができる。
【0064】
このように、第1の金属として、Au、Cu、Agを用いることにより、ワイヤボンディング装置を用いて、Auワイヤ、Cuワイヤ、及びAgワイヤを形成することが可能となる。これにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ206をめっき法により形成する場合と比較して、短時間で多くの量の金属部材61を形成することが可能となるため、電子装置10のコストを低減することができる。また、電子部品19の高さに応じて、接続部材16の厚さを容易に厚くすることができる。
【0065】
ここで、図25及び図26を参照して、金属部材61について説明する。図25に示すように、金属部材61として金属ワイヤを用いる場合、金属部材61は、例えば、ワイヤボンディング装置を用いて、密着層42の外周部に額縁形状となるようにステッチボンディングすることで形成する。また、金属ワイヤの直径は、例えば、15μm〜30μmとすることができる。
【0066】
なお、図16及び図25では、金属部材61を1本の金属ワイヤにより構成した場合を例に挙げて図示したが、複数本の金属ワイヤにより金属部材61を構成してもよい。このように、複数本の金属ワイヤにより金属部材61を構成することにより、接続部材16の厚さが厚くなるため、空間18の高さを高くすることができる。これにより、空間18に高さの高い電子部品19を収容することができる。
【0067】
次いで、図17に示す工程では、周知の手法により、基板本体25に、絶縁膜26、貫通電極28、パッド29、及び外部接続用パッド31を形成する。基板本体25の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。基板本体25の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体25の厚さは、例えば、200μmとすることができる。絶縁膜26としては、例えば、酸化膜を用いることができる。絶縁膜26として酸化膜を用いる場合、例えば、基板本体25を熱酸化することで酸化膜を形成する。絶縁膜26として酸化膜を用いた場合、絶縁膜26の厚さは、例えば、1μmとすることができる。貫通電極28、パッド29、及び外部接続用パッド31は、例えば、めっき法により形成することができる。貫通電極28、パッド29、及び外部接続用パッド31の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0068】
次いで、図18に示す工程では、図17に示す構造体に設けられた絶縁膜26の面26Aを覆うように、Ti層35(例えば、厚さ0.1μm)と、Pt層36(例えば、厚さ0.2μm)と、Au層37(例えば、厚さ0.5μm)とを順次積層して、Ti/Pt/Au積層膜62を形成する。Ti/Pt/Au積層膜62は、後述する図20に示す工程において、その一部がエッチングされることにより、密着層32となる積層膜である。
【0069】
次いで、図19に示す工程では、接続部材16(図11参照)の形成領域に対応する部分のAu層37に、Ti/Pt/Au積層膜62を給電層とする電解めっき法により、第1の金属よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金(接続部材16となる合金)を形成する第2の金属からなる金属層63を形成する(金属層形成工程)。
【0070】
具体的には、Au層37上に、接続部材16の形成領域に対応する部分のAu層37を露出する開口部を有しためっき用レジスト膜(図示せず)を形成し、次いで、Ti/Pt/Au積層膜62を給電層とする電解めっき法により、Au層37上にめっき膜(金属層63の母材)を析出成長させ、その後、めっき用レジスト膜を除去することで金属層63を形成する。
【0071】
金属層63は、後述する図23に示す工程(基板接続工程)において、加熱により溶融させられることで、金属部材61と反応して接続部材16となる合金を形成するための金属層である。したがって、金属層63の融点は、貫通電極28、パッド29、外部接続用パッド31、及び配線基板11に実装された電子部品19が破損しない温度(具体的には、300℃以下)が好ましい。金属層63の融点が300℃以下となるような第2の金属としては、例えば、In(融点は156.6℃)又はSn(融点は231.97℃)を用いることができる。
【0072】
このように、金属層63の材料となる第2の金属として、融点が300℃以下とされたIn(融点は156.6℃)又はSn(融点は231.97℃)を用いることにより、配線基板11と基板14とを接続する図23に示す工程(基板接続工程)において、貫通電極28、パッド29、外部接続用パッド31、及び配線基板11に実装された電子部品19が破損することを防止できる。
【0073】
金属部材61として直径が15μm〜30μmのAuワイヤを用いると共に、第2の金属としてInを用いた場合の金属層63の厚さは、例えば、2μmにすることができる。
【0074】
ここで、金属部材61の材料となる第1の金属と、金属層63の材料となる第2の金属との組み合わせ、及びこれらの組み合わせにより形成される合金について説明する。
【0075】
第1の金属がAuの場合、第2の金属としては、例えば、Inを用いることができる。この場合、合金としては、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))が形成される。第1の金属がCuの場合、第2の金属としては、例えば、Snを用いることができる。この場合、合金としては、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))が形成される。
【0076】
第1の金属がAgの場合、第2の金属としては、例えば、SnやInを用いることができる。第2の金属としてSnを用いた場合、合金としては、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)が形成される。第2の金属としてInを用いた場合、合金としては、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)が形成される。
【0077】
次いで、図20に示す工程では、エッチングにより、金属層63が形成されていない部分の不要なTi/Pt/Au積層膜62を除去して、Ti層35(例えば、厚さ0.1μm)、Pt層36(例えば、厚さ0.2μm)、及びAu層37(例えば、厚さ0.5μm)が積層された密着層32を形成する。これにより、配線基板11が形成される。
【0078】
次いで、図21に示す工程では、配線基板11に設けられたパッド29に、電子部品19を実装する。電子部品19としては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、加速度センサ、発光ダーオード、半導体チップ等を用いることができる。このような電子部品19は、300℃以上の温度で加熱されると破損する虞がある。
【0079】
次いで、図22に示す工程では、金属部材61と金属層63とが接触するように、金属層63が形成されると共に、電子部品19が実装された配線基板11と、金属部材16が形成された基板14とを対向配置させる。
【0080】
次いで、図23に示す工程では、図22に示す構造体を、金属層63のみが溶融する温度で加熱して、金属部材61と金属層63とを反応させて、接続部材16となる合金を形成し、接続部材16により配線基板11と基板14とを接続する(図22及び図23に示す工程が「基板接続工程」に相当する)。これにより、配線基板11、基板14、及び接続部材16により気密された空間18が形成される。
【0081】
接続部材16を構成する合金としては、後述する図24に示す工程(外部接続端子形成工程)において、外部接続端子21を形成するときの温度よりも高い再溶融温度を有する合金を用いるとよい。具体的には、例えば、外部接続端子21としてはんだボールを用いた場合(この場合の外部接続端子形成工程の処理温度は245℃)、接続部材16を構成する合金としては、再溶融温度が260℃以上の合金を用いるとよい。
【0082】
具体的には、接続部材16としては、例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)等を用いることができる。
【0083】
このように、接続部材16を構成する合金として、外部接続端子21を形成するときの温度よりも高い再溶融温度を有する合金を用いることにより、後述する図24に示す工程(外部接続端子形成工程)において、配線基板11と基板14とを接続する接続部材16が再溶融することを防止できる。
【0084】
次いで、図24に示す工程では、図23に示す構造体に設けられた外部接続用パッド31に外部接続端子21を形成する(外部接続端子形成工程)。これにより、第1の実施の形態の電子装置10が製造される。外部接続端子21としては、例えば、はんだボールを用いることができる。外部接続端子21としてはんだボールを形成する場合の処理温度としては、例えば、245℃を用いることができる。
【0085】
本実施の形態の電子装置によれば、接続部材16の形成領域に対応する部分の基板14に、ワイヤボンディング法により第1の金属(例えば、Au、Cu、Ag)からなる金属部材61(接続部材16の母材)を形成することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ206をめっき法により形成する場合と比較して、短時間で多くの量の金属部材61を形成することが可能となるため、電子装置10のコストを低減することができる。また、電子部品19の高さに応じて、接続部材16の厚さを容易に厚くすることができる。
【0086】
また、接続部材16の形成領域に対応する部分の基板14に、金属部材61を構成する第1の金属(例えば、Au、Cu、Ag)よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金を形成する第2の金属(例えば、In(融点は156.6℃)、Sn(融点は231.97℃))からなる金属層63を形成し、金属部材61と金属層63とが接触するように、配線基板11と基板14とを対向配置させ、金属層63のみが溶融する温度で金属部材61及び金属層63を加熱して合金(例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃)、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃))からなる接続部材16を形成し、配線基板11と基板14とを接続することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ(融点は280℃)を溶融させる際の温度(例えば、320℃)よりも低い温度(例えば、300℃以下の温度)の加熱により、配線基板11と基板14とを接続することが可能となる。
【0087】
これにより、配線基板11と基板14とを接続する際の熱の影響により、貫通電極28、パッド29、外部接続用パッド31、及び電子部品19が破損することがなくなるため、電子装置10の歩留まりを向上させることができる。
【0088】
さらに、接続部材16を構成する合金として、外部接続端子21を形成するときの温度(例えば、245℃)よりも高い再溶融温度を有する合金(例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃))を用いることにより、外部接続端子形成工程(図24に示す工程)において、配線基板11と基板14とを接続する接続部材16が再溶融することを防止できる。
【0089】
図27は、他の金属部材の例を示す図であり、図28は、図27に示す構造体を平面視した図である。図27及び図28において、先に説明した基板14と同一構成部分には同一符号を付す。
【0090】
なお、本実施の形態の電子装置10の製造方法では、金属部材61として金属ワイヤを用いた場合を例に挙げて説明したが、金属部材61の代わりに、ワイヤボンディング法により、基板14に、図27及び図28に示すようなバンプからなる金属部材71を複数形成し、その後、先に説明した図17〜図24に示す工程と同様な処理を行うことにより、電子装置10を製造してもよい。この場合、本実施の形態の電子装置10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0091】
金属部材71の材料としては、先に説明した金属部材61の材料と同様な金属(例えば、Au、Cu、Ag)を用いることができる。また、図27及び図28では、金属部材71を2列で配置した場合を例に挙げて図示したが、金属部材71を配置する際の列の数はこれに限定されない。金属部材71を配置する際の列の数は、1列でもよいし、2列以上でもよい。金属部材71を配置する際の列の数は、接続部材16の厚さに応じて適宜選択することができる。
【0092】
また、本実施の形態の第1及び第2変形例の電子装置50,55は、第1の実施の形態の電子装置10と同様な手法により製造することが可能であり、第1の実施の形態の電子装置10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0093】
(第2の実施の形態)
図29は、本発明の第2の実施の形態の電子装置の断面図である。図29において、第1の実施の形態の電子装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0094】
図29を参照するに、第2の実施の形態の電子装置80は、第1の基板である配線基板81と、第2の基板である枠状とされた基板82と、接続部材16と、電子部品84,85と、空間86と、外部接続端子21とを有する。
【0095】
配線基板81は、第1の実施の形態で説明した配線基板11(図11参照)に設けられた基板本体25に、電子部品85を収容する凹部87を形成した以外は、配線基板11と同様に構成される。凹部87の深さは、電子部品85の大きさにより適宜選択することができる。電子部品85の高さが80μmの場合、凹部87の深さは、例えば、100μmとすることができる。
【0096】
基板82は、枠状とされた基板本体88と、基板本体88の表面を覆う絶縁膜41と、絶縁膜41の面41A(接続部材16と対向する側の絶縁膜41の面)に設けられた密着層42とを有する。基板本体88の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミック等を用いることができる。基板本体88の材料としてシリコンを用いた場合、基板本体25の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0097】
図29では、基板本体88の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて図示している。本実施の形態では、基板本体88の材料としてシリコンを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。なお、基板本体88の材料としてガラス、絶縁樹脂(例えば、ガラスエポキシ樹脂)、セラミックを用いる場合、絶縁膜41は不要となる。
【0098】
接続部材16は、Au層37,45と接触するように、Au層37とAu層45との間に設けられている。接続部材16は、電子部品84を囲むように配置されている。つまり、接続部材16は、額縁形状とされている。接続部材16は、配線基板81と基板82とを接続するための部材である。接続部材16としては、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃)、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃)、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)等を用いることができる。接続部材16としてAu−In合金を用いた場合、接続部材16の厚さは、例えば、15μmとすることができる。
【0099】
電子部品84は、配線基板81に設けられたパッド29に実装されている。これにより、電子部品84は、配線基板81と電気的に接続されている。電子部品84は、電子部品84の下方に配置された電子部品85と電気的に接続されている。電子部品84としては、例えば、電子部品85の特性を調整する部品を用いることができる。具体的には、電子部品85が加速度センサの場合、電子部品84としては、例えば、加速度センサのアンプ或いは加速度センサのドライバとして機能する部品を用いることができる。
【0100】
電子部品85は、電子部品84の下方に形成された凹部87に収容されている。電子部品85は、電子部品84と電気的接続されている。電子部品84としては、例えば、加速度センサを用いることができる。
【0101】
空間86は、開放された空間であり、配線基板81、基板82、及び接続部材16により形成されている。空間86は、電子部品84を収容するための空間である。外部接続端子21は、配線基板81に設けられた外部接続用パッド31に配設されている。
【0102】
図30は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る電子装置の断面図である。図30において、第2の実施の形態の電子装置80と同一構成部分には同一符号を付す。
【0103】
図30を参照するに、第2の実施の形態の変形例の電子装置95は、第2の実施の形態の電子装置80の構成に、さらに蓋体96を設けると共に、基板本体88に設けられた絶縁膜41の一部を除去(蓋体96の配設領域に対応する部分の絶縁膜41を除去)した以外は、電子装置80と同様に構成される。
【0104】
蓋体96は、板状とされた基板であり、基板本体88上に配置されている。蓋体96は、陽極接合により、基板本体88に接合されている。これにより、配線基板81、基板82、接続部材16、及び蓋体96により形成される空間86は、気密されている。蓋体96の材料としては、例えば、シリコンやガラス等を用いることができる。蓋体96の材料としてシリコンを用いた場合、蓋体96の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0105】
図31〜図38は、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図である。図31〜図38において、第2の実施の形態の電子装置80と同一構成部分には同一符号を付す。
【0106】
図31〜図38を参照して、第2の実施の形態の電子装置80の製造方法について説明する。始めに、図31に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図17及び図18に示す工程と同様な手法により、配線基板81を形成する。凹部87は、例えば、絶縁膜26を形成する前に、基板本体25をエッチングすることで形成する。
【0107】
次いで、図32に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図16に示す工程と同様な手法により、接続部材16(図29参照)の形成領域に対応する部分のAu層37に、ワイヤボンディング法により、第1の金属からなる金属部材61を形成する(金属部材形成工程)。金属部材61は、接続部材16の母材となる部材である。第1の金属としては、例えば、Au(融点は1064.4℃)、Cu(融点は1083℃)、Ag(融点は961℃)のうちのいずれかを用いることができる。
【0108】
このように、第1の金属として、Au、Cu、Agを用いることにより、ワイヤボンディング装置を用いて、Auワイヤ、Cuワイヤ、及びAgワイヤを形成することが可能となる。これにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ206をめっき法により形成する場合と比較して、短時間で多くの量の金属部材61を形成することが可能となるため、電子装置80のコストを低減することができる。
【0109】
次いで、図33に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図14及び図15に示す工程と同様な処理を行うことにより、基板82を形成する。
【0110】
次いで、図34に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図19に示す工程と同様な処理を行うことにより、接続部材19の形成領域に対応する部分のAu層45に、第1の金属よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金(接続部材16となる合金)を形成する第2の金属からなる金属層63を形成する(金属層形成工程)。第2の金属としては、例えば、第1の実施の形態で説明した融点が300℃以下とされた金属(例えば、In(融点は156.6℃)、Sn(融点は231.97℃))を用いることができる。金属部材61として直径が15μm〜30μmのAuワイヤを用いると共に、第2の金属としてInを用いた場合の金属層63の厚さは、例えば、2μmにすることができる。
【0111】
次いで、図35に示す工程では、金属部材61と金属層63とが接触するように、電子部品84,85が実装されていない配線基板81と基板82とを対向配置させる。
【0112】
次いで、図36に示す工程では、図35に示す構造体を、金属層63のみが溶融する温度で加熱して、溶融した金属部材61と金属層63とを反応させて、接続部材16となる合金を形成し、接続部材16により、電子部品84,85が実装されていない配線基板81と基板82とを接続する(図35及び図36に示す工程が「基板接続工程」に相当する)。これにより、配線基板81、基板82、及び接続部材16により、開放された空間86が形成される。
【0113】
このように、電子部品84,85が実装されていない配線基板81と基板82とを接続することにより、電子部品84,85が基板接続工程における熱の影響を受けることがなくなるため、電子部品84,85が破損することを防止できる。
【0114】
接続部材16を構成する合金としては、後述する図38に示す工程(外部接続端子形成工程)において、外部接続端子21を形成するときの温度よりも高い再溶融温度を有する合金を用いるとよい。具体的には、例えば、外部接続端子21としてはんだボールを用いた場合(この場合の外部接続端子形成工程の処理温度は245℃)、接続部材16を構成する合金としては、再溶融温度が260℃以上の合金を用いるとよい。
【0115】
具体的には、接続部材16としては、例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃)等を用いることができる。
【0116】
このように、接続部材16を構成する合金として、外部接続端子21を形成するときの温度よりも高い再溶融温度を有する合金を用いることにより、後述する図38に示す工程(外部接続端子形成工程)において、配線基板81と基板82とを接続する接続部材16が再溶融することを防止できる。また、配線基板81に設けられた貫通ビア28、パッド29、及び外部接続用パッド31が破損することがなくなるため、電子装置80の歩留まりを向上させることができる。
【0117】
次いで、図37に示す工程では、電子部品84を電子部品85に実装し、その後、電子部品85が実装された電子部品84をパッド29に実装する。これにより、電子部品84,85は、配線基板81と電気的に接続される。電子部品85として、加速度センサを用いた場合、電子部品84としては、例えば、加速度センサのアンプ或いは加速度センサのドライバとして機能する部品を用いることができる。
【0118】
次いで、図38に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図24に示す工程と同様な処理を行うことで、図37に示す構造体に設けられた外部接続用パッド31に外部接続端子21を形成する(外部接続端子形成工程)。これにより、第2の実施の形態の電子装置80が製造される。外部接続端子21としては、例えば、はんだボールを用いることができる。外部接続端子21としてはんだボールを形成する場合の処理温度としては、例えば、245℃を用いることができる。
【0119】
本実施の形態の電子装置によれば、接続部材16の形成領域に対応する部分の配線基板81に、ワイヤボンディング法により第1の金属(例えば、Au、Cu、Ag)からなる金属部材61(接続部材16の母材)を形成することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ206をめっき法により形成する場合と比較して、短時間で多くの量の金属部材61を形成することが可能となるため、電子装置80のコストを低減することができる。
【0120】
また、接続部材16の形成領域に対応する部分の基板82に、金属部材61を構成する第1の金属(例えば、Au、Cu、Ag)よりも融点が低く、かつ第1の金属と合金を形成する第2の金属(例えば、In(融点は156.6℃)、Sn(融点は231.97℃))からなる金属層63を形成し、金属部材61と金属層63とが接触するように、配線基板81と基板82とを対向配置させ、金属層63のみが溶融する温度で金属部材61及び金属層63を加熱して合金(例えば、Au−In合金(例えば、AuIn2(再溶融温度は495℃))、Cu−Sn合金(例えば、Cu6Sn5(再溶融温度は415℃))、Ag−Sn合金(再溶融温度は600℃)、Ag−In合金(再溶融温度は880℃))からなる接続部材16を形成し、配線基板81と基板82とを接続することにより、従来の接続部材であるAu−Snはんだ(融点は280℃)を溶融させる際の温度(例えば、320℃)よりも低い温度(例えば、300℃以下の温度)の加熱により、配線基板81と基板82とを接続することが可能となる。
【0121】
これにより、配線基板81と基板82とを接続する際の熱の影響により、貫通電極28、パッド29、外部接続用パッド31、及び電子部品19が破損することがなくなるため、電子装置80の歩留まりを向上させることができる。
【0122】
さらに、接続部材16により、配線基板81と基板82とを接続後に、配線基板81に設けられたパッド29に電子部品84,85を実装することにより、電子部品84,85が基板接続工程における熱の影響を受けることがなくなるため、電子部品84,85の破損を防止することができる。
【0123】
なお、本実施の形態の電子装置80の製造方法では、金属ワイヤからなる金属部材61を用いて接続部材16を形成することで、配線基板81と基板82とを接続したが、金属部材61の代わりに、図27及び図28において説明したバンプからなる金属部材71を複数設けて、接続部材16を形成してもよい。この場合、本実施の形態の電子装置80と同様な効果を得ることができる。
【0124】
また、第2の実施の形態の変形例の電子装置95は、図33に示す工程において、蓋体96を基板本体88に陽極接合させるか、或いは、図37に示す工程において、蓋体96を基板本体88に陽極接合させる工程を別途設ける以外は、第2の実施の形態の電子装置80の製造方法と同様な処理を行うことで製造できる。
【0125】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、電子装置の製造方法に関し、特に、対向配置された2つの基板と、2つの基板を接続する接続部材と、2つの基板及び接続部材により形成された空間に収容される電子部品と、を備えた電子部品の製造方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】従来の電子装置の断面図である。
【図2】従来の電子装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図3】従来の電子装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図4】従来の電子装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図5】従来の電子装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図6】従来の電子装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図7】従来の電子装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図8】従来の電子装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図9】従来の電子装置の製造工程を示す図(その8)である。
【図10】従来の電子装置の製造工程を示す図(その9)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の断面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る電子装置の断面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る電子装置の断面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その8)である。
【図22】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その9)である。
【図23】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その10)である。
【図24】本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その11)である。
【図25】図16に示す構造体を平面視した図である。
【図26】図25に示す構造体のA−A線方向の断面図である。
【図27】他の金属部材の例を示す図である。
【図28】図27に示す構造体を平面視した図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態の電子装置の断面図である。
【図30】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る電子装置の断面図である。
【図31】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図32】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図33】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図34】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図35】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図36】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図37】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図38】本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程を示す図(その8)である。
【符号の説明】
【0128】
10,50,55,80,95 電子装置
11,56,81 配線基板
14,51,82 基板
16 接続部材
18,86 空間
19,84,85 電子部品
21 外部接続端子
25,39,57,88 基板本体
26,41 絶縁膜
26A,26B,41A 面
28 貫通電極
29 パッド
31 外部接続用パッド
32,42 密着層
33 貫通孔
35,43 Ti層
36,44 Pt層
37,45 Au層
58,87 凹部
61,71 金属部材
62 Ti/Pt/Au積層膜
63 金属層
96 蓋体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、前記第1の基板に対して対向配置された第2の基板と、前記第1及び第2の基板と接触すると共に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する接続部材と、前記第1及び第2の基板と前記接続部材とにより形成される空間と、前記空間に収容された電子部品と、を備えた電子装置の製造方法であって、
前記接続部材の形成領域に対応する部分の前記第1の基板に、ワイヤボンディング法により第1の金属からなる金属部材を形成する金属部材形成工程と、
前記接続部材の形成領域に対応する部分の前記第2の基板に、前記第1の金属よりも融点が低く、かつ前記第1の金属と合金を形成する第2の金属からなる金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属部材と前記金属層とが接触するように、前記第1の基板と前記第2の基板とを対向配置させ、前記金属層のみが溶融する温度で前記金属部材及び前記金属層を加熱して前記合金からなる前記接続部材を形成し、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する基板接続工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の金属は、Au、Cu、Agのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の金属は、In又はSnであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記合金は、Au−In合金、Cu−Sn合金、Ag−Sn合金、Ag−In合金のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の基板は、前記電子部品が実装されるパッドと、前記パッドと電気的に接続された外部接続用パッドとを有することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2の基板は、前記電子部品が実装されるパッドと、前記パッドと電気的に接続された外部接続用パッドとを有することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の電子装置の製造方法。
【請求項7】
前記外部接続用パッドに外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程を有し、
前記合金の再溶融温度は、前記外部接続端子を形成するときの温度よりも高いことを特徴とする請求項5又は6記載の電子装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の基板及び/又は前記第2の基板に、凹部を形成することを特徴とする請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の電子装置の製造方法。-
【請求項9】
前記第1の基板又は前記第2の基板の形状は、枠状であることを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の電子装置の製造方法。
【請求項1】
第1の基板と、前記第1の基板に対して対向配置された第2の基板と、前記第1及び第2の基板と接触すると共に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する接続部材と、前記第1及び第2の基板と前記接続部材とにより形成される空間と、前記空間に収容された電子部品と、を備えた電子装置の製造方法であって、
前記接続部材の形成領域に対応する部分の前記第1の基板に、ワイヤボンディング法により第1の金属からなる金属部材を形成する金属部材形成工程と、
前記接続部材の形成領域に対応する部分の前記第2の基板に、前記第1の金属よりも融点が低く、かつ前記第1の金属と合金を形成する第2の金属からなる金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属部材と前記金属層とが接触するように、前記第1の基板と前記第2の基板とを対向配置させ、前記金属層のみが溶融する温度で前記金属部材及び前記金属層を加熱して前記合金からなる前記接続部材を形成し、前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する基板接続工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の金属は、Au、Cu、Agのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の金属は、In又はSnであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記合金は、Au−In合金、Cu−Sn合金、Ag−Sn合金、Ag−In合金のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の基板は、前記電子部品が実装されるパッドと、前記パッドと電気的に接続された外部接続用パッドとを有することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2の基板は、前記電子部品が実装されるパッドと、前記パッドと電気的に接続された外部接続用パッドとを有することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の電子装置の製造方法。
【請求項7】
前記外部接続用パッドに外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程を有し、
前記合金の再溶融温度は、前記外部接続端子を形成するときの温度よりも高いことを特徴とする請求項5又は6記載の電子装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の基板及び/又は前記第2の基板に、凹部を形成することを特徴とする請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の電子装置の製造方法。-
【請求項9】
前記第1の基板又は前記第2の基板の形状は、枠状であることを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の電子装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
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【図18】
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【図23】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2009−260049(P2009−260049A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107582(P2008−107582)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
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