電子装置及びその製造方法
【課題】Fan−out型のWLPにおいて、金属バンプの接合を確実に行う。
【解決手段】電子装置1は、回路基板2上にパッケージ部品5が金属バンプ4を介して実装されている。パッケージ部品5は、半導体チップ11を樹脂21で覆うと共に、再配線層31によって半導体チップ11の領域の外側に金属バンプ4を配置することが可能になっている。樹脂21内には、銅製の柱25が複数配置されており、各柱25の下方に金属バンプ4が1つずつ配置されている。パッケージ部品5を回路基板2に実装するときは、パッケージ部品5の上方から超音波を印加すると、柱25によって超音波が損失なく伝播させられ、金属バンプ4を溶融させる。
【解決手段】電子装置1は、回路基板2上にパッケージ部品5が金属バンプ4を介して実装されている。パッケージ部品5は、半導体チップ11を樹脂21で覆うと共に、再配線層31によって半導体チップ11の領域の外側に金属バンプ4を配置することが可能になっている。樹脂21内には、銅製の柱25が複数配置されており、各柱25の下方に金属バンプ4が1つずつ配置されている。パッケージ部品5を回路基板2に実装するときは、パッケージ部品5の上方から超音波を印加すると、柱25によって超音波が損失なく伝播させられ、金属バンプ4を溶融させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップをパッケージするときには、ワイヤボンディングを用いずに、殆ど半導体チップのサイズで実装するCSP(Chip-Size Package)が採用されることがある。CSPを採用することで、高密度の実装と、製造の低コスト化とを両立できる。近年では、CSP自体のファインピッチ化が加速しており、実装形態も樹脂インターポーザを用いたものから、WLP(Wafer Level Package)へと変化している。
【0003】
ここで、WLPは、ウェハのレベルでパッケージの最終工程まで処理し、良否判定の最終試験後にダイシングして個片化するCSPの一形態である。このために、従来のパッケージ技術を用いた場合に比べて、より低コストで、かつ実装面積を実際のチップサイズまで小さくできる。ここで、WLPは、WL−CSP(Wafer Level CSP)、W−CSP(Wafer CSP)と呼ばれることもある。
【0004】
従来のWLPは、例えば、半導体チップの端子をチップの全面に配置(Fan−in)していた。ところが、半導体チップの多端子化に伴ってチップ領域だけでは端子の配置が困難になっていた。このために、近年では、半導体チップのエリアの外側に端子を再配置(Fan−out)する方法が開発されている。Fan−out型のWLPは、半導体チップをモールド樹脂組成物に埋め込むと共に、半導体チップの回路の最表層とモールド樹脂組成物の表面とを面一にし、樹脂に半導体チップが埋め込まれた擬似的な基板を再構築する。さらに、半導体チップの領域を越えてモールド樹脂組成物の上にも配線層(Fan−out層)を形成する。続いて、Fan−out層の表面層の全面にわたって電極パッドを配置させ、各電極パッド上に金属バンプを形成した後、個片化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−217381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、Fan−out型のWLPでは、半導体チップと、半導体チップを囲む樹脂の熱膨張率が異なるため、150℃以下の低温で半導体チップと回路基板を接合してクラックの発生等を防止することが好ましい。半導体チップと回路基板を低温で接合する方法としては、超音波接合がある。しかしながら、Fan−out型のWLPでは、弾性率が大きい半導体チップの部分は超音波が伝播し易いが、樹脂部分は柔らかくて弾性率が低いので超音波が伝播し難い。このように、従来のFan−out型のWLPでは、場所によって超音波の伝播にムラが生じ易かったので、複数の金属バンプを均一に接合することが難しかった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、Fan−out型のWLPにおいて、金属バンプの接合を確実に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一観点によれば、半導体回路を含む配線層を有する半導体チップと、前記半導体チップを覆い、前記配線層の最表層を露出させる樹脂と、前記樹脂及び前記配線層を覆う再配線層と、前記再配線層の配線に接続され、導電性を有するバンプと、前記樹脂内
に配置され、前記バンプの上方で、かつ前記再配線層の絶縁膜上に形成され、前記樹脂より弾性率が大きい超音波伝播部材と、を含むことを特徴とする電子装置が提供される。
【0008】
また、実施形態の別の観点によれば、支持部材の上方に超音波伝播部材を形成する工程と、前記支持部材の上方に、半導体回路が形成された配線層を下向きにして半導体チップを配置する工程と、前記超音波伝播部材より弾性率が低い樹脂で前記超音波伝播部材及び前記半導体チップを覆う工程と、前記支持部材から前記樹脂で覆われた前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を取り外し、前記半導体チップの配線層及び前記樹脂面を覆う再配線層を形成する工程と、前記再配線層上に導電性のバンプを、少なくとも1つの前記バンプが前記超音波伝播部材の下方に位置されるように形成する工程と、前記バンプを他の基板の電極パッドの上に載置し、前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を通して超音波を前記バンプに印加して溶融させ、前記他の基板の前記電極パッドと前記再配線層の回路とを電気的に接続させる工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
超音波伝播部材を通して超音波が金属バンプに伝播されることによって、超音波の減衰を抑制できる。従って、金属バンプを低温で確実に溶融させることができる。金属バンプを用いた接合の信頼性が向上し、金属バンプごとの接合強度のばらつきを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の一例を示す平面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図3B】図3Bは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図3C】図3Cは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図3D】図3Dは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る樹脂基板の一例を示す平面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図5B】図5Bは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図5C】図5Cは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図5D】図5Dは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図5E】図5Eは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その5)である。
【図5F】図5Fは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その6)である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図7B】図7Bは、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図7C】図7Cは、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図7D】図7Dは、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図8A】図8Aは、本発明の第3の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図8B】図8Bは、本発明の第3の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図8C】図8Cは、本発明の第3の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図8D】図8Dは、本発明の第3の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の一例を示す平面図である。
【図11A】図11Aは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図11B】図11Bは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図11C】図11Cは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図11D】図11Dは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図11E】図11Eは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その5)である。
【図12A】図12Aは、本発明の第5の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図12B】図12Bは、本発明の第5の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の目的及び利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素及び組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、典型例及び説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1に断面構造を示すように、電子装置1は、回路基板2を有し、回路基板2上の電極パッド3に導電性を有する金属バンプ4を用いてパッケージ部品5(半導体装置)が実装されている。ここで、回路基板2は、樹脂基板又はセラミック基板を用いて製造されており、その厚さは例えば0.1mm以上であることが好ましい。電極パッド3は、回路基板2上に複数配列されており、回路基板2に形成された不図示の回路に電気的に接続されている。
【0013】
パッケージ部品5は、半導体チップ11が樹脂21に埋め込まれている。半導体チップ11は、シリコンなどの基板12の一方の面上に少なくとも1層の回路を有する配線層1
3が形成されている。配線層13には、トランジスタなどの半導体素子やその他の半導体回路が形成されている。半導体チップ11は、配線層13が回路基板2に向かうように、即ちフェイスダウン状態で配置されており、半導体チップ11の全ての側面と、配線層13が形成されている面の反対側の面(他方の面)が樹脂21で覆われている。樹脂21の下面と半導体チップ11の配線層13の最表層とは同一面上に配置されている。樹脂21は、モールド樹脂組成物を硬化させることで形成され、モールド樹脂組成物には例えば最大粒径が75μm程度のシリカフィラーに代表される無機フィラーが含まれている。
【0014】
さらに、パッケージ部品5には、配線層13及び樹脂21の表面を覆うように、再配線層31が形成されている。再配線層31は、配線パターン32が形成された多層の配線構造を有する。再配線層31によって、半導体チップ11の配線層13に形成されている電極パッド14と金属バンプ4とが電気的に接続される。従って、半導体チップ11の配線層13は、再配線層31及び金属バンプ4を介して回路基板2の不図示の回路に電気的に接続されている。再配線層31の最表層は、金属バンプ4の配置位置を除いて樹脂製の保護膜71で覆われている。このように、パッケージ部品5は、再配線層31によって半導体チップ11の領域の外側に複数の金属バンプ4が配置されている。
【0015】
ここで、図1と、図2の平面図に示すように、樹脂21には、超音波振動の伝搬用の柱25(超音波伝播部材)が複数埋め込まれている。各柱25は、円柱形状を有し、半導体チップ11を囲むように、複数配置されている。各柱25の配置は、下方の金属バンプ4の配置に一致させている。即ち、1つの金属バンプ4の上方には、柱25が1つ配置されている。各柱25の上端は、樹脂21から露出している。各柱25の下端は、再配線層31の絶縁膜51に接しており、この部分には配線パターン32が形成されていない。このために、柱25は、半導体チップ11や再配線層31とは電気的に接続されていない。このような柱25は、例えば、少なくとも銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、コバルト、タングステンを含む金属材料から製造されている。平面視における柱25の外径は、金属バンプ4の最大径より大きい。柱25の平面形状は、三角柱や多角柱などの他の形状でも良い。また、柱25の配置は、図2に示す例に限定されない。
【0016】
次に、電子装置1の製造工程について以下に説明する。
最初に、図3Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
例えば、ステンレス製の支持基板41(支持部材)の上に、両面に粘着層を有する粘着シート42を貼り付ける。粘着シート42の上には、例えば、厚さが0.45mmの銅箔43を張り付ける。さらに、銅箔43上に、不図示のレジスト膜を塗布した後、レジスト膜を露光及び現像してレジストパターン44を形成する。レジストパターン44は、図1に示す柱25の形成位置に併せてアイランド状に形成される。
【0017】
続いて、図3Bに示す構造を得るまでの工程について説明する。
レジストパターン44を用いて銅箔43をエッチングして柱25を複数形成する。残存するレジストパターン44は、アッシングや薬液処理によって除去する。柱25の外径は、例えば直径(φ)0.1mmで、高さは0.4mm以上であることが好ましい。
【0018】
次に、半導体チップ11をフェイスダウン状態で粘着シート42の所定位置に貼り付ける。半導体チップ11は、複数の柱25の間のスペースに位置決めして配置される。半導体チップ11は、例えば、5mm×5mmのサイズで、0.1mm〜0.5mmの厚さを有する。
【0019】
続いて、図3Cに示す構造を得るまでの工程について説明する。
粘着シート42の上にモールド樹脂組成物を供給し、複数の柱25と半導体チップ11をモールド樹脂組成物で埋める。この後に熱処理によってモールド樹脂組成物を固める。
これによって、複数の柱25と半導体チップ11が樹脂21内に埋め込まれた樹脂基板45が形成される。例えば、粘着シート42上に、複数の半導体チップ11を所定の間隔で配置した場合には、図4に平面図を示すような樹脂基板45が形成される。樹脂基板45は、複数の半導体チップ11が等間隔に配置されており、各々の半導体チップ11の周囲に複数の柱25が配置されている。樹脂基板の厚さは、半導体チップ11の厚さより0.1mm以上厚いことが好ましいが、同程度の厚さでも良い。半導体チップ11の数や配置は、図4に限定されない。
【0020】
樹脂基板45は、例えば、直径(φ)100mmで、厚さは、半導体チップ11の厚さ以上で、例えば0.5mmとする。次に、図3Dに示すように、樹脂基板45の上面を例えば0.05mmだけバックグラインドし、柱25を樹脂21の上面から露出させる。このとき、半導体チップ11の高さは柱25より低いので、半導体チップ11は樹脂21内に埋められたままである。この後、樹脂基板45を粘着シート42及び支持基板41から取り外す。
【0021】
次に、樹脂基板45の下面、即ち半導体チップ11の配線層13側の面に、再配線層31を形成する。再配線層31の形成方法の一例について以下に説明する。
最初に、図5Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。図5Aは、半導体チップ11の配線層13の部分と、柱25の一部を拡大して示す断面図であり、半導体チップ11は、配線層13を上に向けて配置されている。
【0022】
まず、半導体チップ11の配線層13の最表層の上に絶縁膜51をスピンコート法によって形成する。絶縁膜51は、電極パッド14を含む配線層13上だけでなく、柱25及び樹脂21の上にも形成される。絶縁膜51の材料としては、例えば、感光性エポキシや、感光性ポリベンゾオキサゾール、感光性ポリイミドのような感光性樹脂がある。また、絶縁膜51は、その他の樹脂材料を用いて形成しても良い。
【0023】
例えば、絶縁膜51を感光性エポキシワニスで形成する場合には、感光性エポキシワニスを塗布してからプリベークする。この後、感光性エポキシワニスを不図示のレジストパターンを用いて露光及び現像する。これによって、電極パッド14上に開口部51Aが直径(φ)40μmの大きさに形成される。この後、感光性エポキシワニスを熱処理してキュアする。さらに、必要に応じて感光性エポキシワニスを酸素プラズマに晒す。この結果、絶縁膜51が、例えば8μmの厚さに形成される。
【0024】
続いて、図5Bに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、絶縁膜51の上に、金属密着層53としてチタンを0.1μmの厚さにスパッタ法を用いて形成する。金属密着層53は、チタン、クロム等から選択される。さらに、金属密着層53の上に、シード層54として、例えば、銅をスパッタ法によって0.3μmの厚さに堆積させる。その後、シード層54上に、フォトレジストパターン55を形成する。フォトレジストパターン55は、例えば、シード層54の全面にレジスト膜を塗布し、レジスト膜を露光及び現像して形成する。このフォトレジストパターン55は、電極パッド15の形成位置に併せて少なくとも1つ開口部55Aを有する。ここで、柱25上には、開口部55Aは形成されない。これは、柱25には回路パターンが電気的に接続されないためである。
【0025】
さらに、図5Cに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
シード層54を用いた電解めっき法によって、開口部55A内に銅膜を成長させる。これによって、電極パッド14に電気的に接続されるビア57と、ビア57を介して電極パッド14に接続される銅配線58とが形成される。この後、フォトレジストパターン55をアッシング又は薬液処理によって剥離する。さらに、フォトレジストパターン55の下
に残存していたシード層54及び金属密着層53をウエットエッチングやドライエッチングで除去する。必要に応じて銅配線58を密着性向上等の目的で表面処理等を加えても良い。これによって、電極パッド14にビア57を介して電気的に接続された銅配線58を有する1層目の配線層59が形成される。
【0026】
また、図5Dに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
1層目の配線層59の上に、絶縁膜61を形成する。絶縁膜61は、第1層目の絶縁膜51と同様の材料、例えば感光性エポキシワニスを用い、同様のプロセスによって形成する。さらに、絶縁膜61をパターニングして、銅配線58の上の所定位置に開口部61Aを形成する。開口部61Aによって、銅配線58の一部が露出させられる。
【0027】
この後、銅配線58の露出部分を含む絶縁膜61の全面に、チタン等の金属密着膜62と、銅からなるシード層63を順番にスパッタ法によって形成する。さらに、その上に、レジスト膜を塗布によって形成した後、レジスト膜を露光及び現像してフォトレジストパターン64を形成する。フォトレジストパターン64には、少なくとも1つの開口部64Aが銅配線58の上方に形成される。
【0028】
続いて、図5Eに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
フォトレジストパターン64の開口部64A内に銅を電解めっき法によって成長させる。これによって、銅配線58の上に、電極パッド69が形成される。この後、フォトレジストパターン64と、フォトレジストパターン64の下のシード層63及び金属密着層53を例えばウエットエッチングによって除去する。これによって、配線58に電気的に接続される電極パッド69が形成される。
【0029】
次に、図5Fに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
電極パッド69を含む絶縁膜61の全面に、保護膜71を形成する。保護膜71は、第1層目の絶縁膜51と同様の材料、例えば感光性エポキシワニスを用い、同様のプロセスによって形成する。さらに、保護膜71をパターニングして、電極パッド69を露出させる開口部71Aを形成する。
【0030】
さらに、電極パッド69及び保護膜71の全面に、シード層75として金をスパッタ法によって形成する。シード層75の上には、厚さ30μmのレジスト膜を形成する。レジスト膜をパターニングしてレジストパターン76を形成する。レジストパターン76は、電極パッド69の上方に開口部76Aを有する。さらに、レジストパターン76を用いてシード層75の上に金膜77を電解めっき法によって成長させる。
【0031】
この後、レジストパターン76と、レジストパターン76の下のシード層75を例えばウエットエッチングによって除去する。これによって、電極パッド69の上に、金膜77からなる金属バンプ4が形成される。金属バンプ4は、例えば直径(φ)40μm、高さ25μmに形成される。ここで、金属バンプ4は、少なくとも金、又は、銅を含んだめっきバンプ又はスタッドバンプとして形成される。ここまでの工程で、再配線層31が形成される。
【0032】
ここで、再配線層31の配線層数は、任意に変更できる。配線総数を増やす場合には、感光性樹脂の塗布、現像及びキュアから、銅配線58の表面処理までの工程を所望の回数繰り返し、所望の多層配線を形成する。樹脂基板45を半導体チップ11の数に応じて個片化すると、複数のパッケージ部品5が形成される。
【0033】
次に、図6に示すように、個片化したパッケージ部品5を回路基板2の上に載置する。このとき、回路基板2上の電極パッド3に、パッケージ部品5の金属バンプ4を位置決め
して載せる。
【0034】
この状態で、超音波をパッケージ部品5の上方から印加して金属バンプ4を溶解させ、図1に示すように金属バンプ4と電極パッド3とを接合させる。超音波接合の条件は、例えば、荷重20N〜50N、周波数40kHz〜100kHz、温度25℃〜150℃、超音波印加時間0.5秒〜3秒とする。半導体チップ11が配置されている領域は、半導体チップ11の弾性率が樹脂21より大きいので、樹脂21だけの領域に比べて超音波が伝播され易い。従って、半導体チップ11の下方の金属バンプ4が超音波印加によって確実に溶融して電極パッド3に接合される。
【0035】
さらに、半導体チップ11の外側に配置されている金属バンプ4は、それぞれの上方に柱25が配置されている。柱25の弾性率は半導体チップ11より大きいので、樹脂21だけの領域に比べて超音波が伝播され易い。柱25の部分の超音波の伝播し易さは、半導体チップ11と同程度かそれ以上である。従って、柱25の下方の金属バンプ4が超音波印加によって確実に溶融して電極パッド3に接合される。柱25のサイズ及び半導体チップ11のサイズは、金属バンプ4の最大径に比べて大きいので、上方から照射された超音波は確実に金属バンプ4の全体に伝播され、金属バンプ4を溶融させる。これによって、超音波で溶融させられた金属バンプ4を介して回路基板2にパッケージ部品5が実装され、電子装置1が形成される。
【0036】
ここで、実施例として、厚さ0.4mmで5mm×5mmの半導体チップ11の周囲に、直径0.1mmで高さ0.45mmの銅製の柱25を複数形成し、厚さ0.5μmの直径100mmの樹脂基板45を作製して接合実験を行った。再配線層31の絶縁膜51、61、71には、感光性エポキシワニスを用い、金属密着層53,62にチタン、シード層54,63に銅を用いて配線パターンを形成した。金属バンプ4は、直径(φ)40μm、高さ25μmとし、金属バンプ4の形成後にバックグラインドして柱25の上端を露出させ、厚さ0.45mmとした後に個片化した。
【0037】
超音波接合時には、基板温度を100℃、荷重を40Nとし、60kHzの超音波を2秒間印加した。その結果、金属バンプ4が十分な強度で接合された。従来では、樹脂21内と半導体チップ11の超音波の伝播に差が有ったので、半導体チップ11の下方の金属バンプ4の接合強度に対して、樹脂21の下方の金属バンプ4の接合強度が低下したり、接合強度がばらついたりし易かった。また、樹脂21の下の一部の金属バンプ4に剥離が生じることもあった。これに対し、この実施の形態では、超音波振動の損失を低下させると共に、溶融状態のばらつきを抑えることができるので、全ての金属バンプ4において、均一で、かつ高い接合強度が得られる。
【0038】
以上、説明したように、この実施の形態では、樹脂21より超音波を伝播させ易い柱25を金属バンプ4の上方に配置するようにしたので、超音波を少ない損失で伝播させることができる。このために、柱25の下方に配置された金属バンプ4を超音波印加によって確実に溶融させられる。従って、半導体チップ11の下方の領域以外であっても回路基板2とパッケージ部品5を場所に依らずに確実に、均等な強度で接合できる。また、超音波印加による接合が確実に行えることから、パッケージ部品5と回路基板2の実装を低温で実施できるようになる。
【0039】
さらに、柱25の直径は、金属バンプ4の最大径以上としたので、金属バンプ4を介して伝播される超音波を金属バンプ4の全体に照射することができる。このために、金属バンプ4を確実に溶融させられる。柱25は、樹脂21を貫通しているので、樹脂21で柱25を覆った場合に比べて超音波の伝播ロスを少なくできる。柱25は、半導体チップ11及び再配線層31に電気的に接続されていないので、電子装置1の回路の特性に影響を
与えることはない。
また、柱25は銅箔をエッチングすることで形成されるので、多数の柱25を所望の形状及び配置に簡単に形成できる。
【0040】
ここで、電子装置1は、半導体素子、MEMS素子、センサー素子、受動部品、無機材料上に薄膜の受動部品を形成した素子、の少なくとも1つから選ばれる電子部品であることが好ましい。個片化したパッケージ部品に含まれる電子部品の数は、1個でも良いし、複数個でも良い。
【0041】
さらに、図3Cに示す工程の後、樹脂21をバックグラインドする前に支持基板41及び粘着シート42を外し、図5Aから図5Fに示す工程を経て再配線層31を形成しても良い。この場合は、金属バンプ4を形成した後、又は金属バンプ4を形成する直前に、反対側の樹脂21をバックグラインドする。
【0042】
また、樹脂21の厚さと半導体チップ11の厚さを同じにしても良い。この場合は、樹脂基板45を一旦形成した後、樹脂基板45の背面を半導体チップ11が露出するまで研磨又は研削する。
また、超音波伝播用の柱25を利用した接合は、パッケージ部品5同士の接合や、回路基板同士の接合に用いることもできる。これらのケースでは、超音波を印加する側に配置される基板に柱25が、金属バンプの配置に一致させて形成される。
【0043】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1の実施の形態と同じの構成要素には同一の符号を付してある。また、第1の実施の形態と重複する説明は省略する。
図1に示すように、この実施の形態の電子装置1は、絶縁体からなる柱81が樹脂21に埋め込まれている。柱81の材料は、樹脂21より弾性率が大きい材料であれば良く、より好ましくは半導体チップ11の弾性率に近い材料が用いられる。
【0044】
次に、この実施の形態の電子装置1の製造方法について以下に説明する。
まず、図7Aに示すように、支持基板41の上に粘着シート42を貼り付けたら、粘着シート42の上に半導体チップ11を位置決めして取り付ける。続いて、図7Bに示すように、粘着シート42の上に複数の柱81を取り付ける。柱81は、例えば、セラミックスから製造されており、不図示のマウンターによって位置決めして配置される。
【0045】
続いて、図7Cに示すように、粘着シート42の上に、樹脂21を半導体チップ11及び柱81を覆うように形成する。これによって、樹脂基板45が形成される。次に、図7Dに示すように、樹脂基板45の上面をバックグラインドし、柱81を上面から露出させる。このとき、半導体チップ11の高さは柱25より低いので、半導体チップ11は樹脂21内に埋められたままである。この後、樹脂基板45を粘着シート42及び支持基板41から取り外す。以降のプロセスは、第1の実施の形態と同様である。
【0046】
ここで、実施例として、厚さ0.4mmで5mm×5mmの半導体チップ11の周囲に、直径0.1mmで高さ0.45mmのセラミックス製の柱25を複数形成し、厚さ0.5μmの直径100mmの樹脂基板45を作製して接合実験を行った。再配線層31の絶縁膜51、61、71には感光性ポリベンゾオキサゾールワニスを用い、金属密着層53,62にクロム、シード層54,63に銅を用いて配線パターンを形成した。再配線層31上に形成される金属バンプ4は、直径(φ)40μm、高さ25μmとし、金属バンプ4の形成後にバックグラインドして柱25の上端を露出させ、厚さ0.45mmとした後に個片化した。超音波接合時には、基板加熱を100℃、荷重を40Nとし、60kHz
の超音波を2秒間印加した。その結果、金属バンプ4が十分な強度で接合された。
【0047】
以上、説明したように、この実施の形態では、絶縁材料からなる柱25で超音波振動の損失を抑制するようにしたので、金属バンプ4の接合強度のばらつきを抑えることができる。これによって、全ての金属バンプ4において、均一で、かつ高い接合強度が得られる。その他の作用及び効果は、第1の実施の形態と同様である。ここで、柱81は、セラミックスなどの絶縁材料から製造されているので、電子装置1が高周波デバイスであった場合においても柱81が電子装置1の回路の特性に影響を与えることはない。
【0048】
ここで、図7Cに示す工程の後で、樹脂21をバックグラインドする前に支持基板41及び粘着シート42を外し、図5Aから図5Fに示す工程を経て再配線層31を形成しても良い。この場合は、金属バンプ4を形成した後、又は金属バンプ4を形成する直前に、反対側の樹脂21をバックグラインドして柱81の端部を露出させる。
【0049】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1及び第2の実施の形態と同じの構成要素には同一の符号を付してある。また、第1及び第2の実施の形態と重複する説明は省略する。
この実施の形態は、半導体チップ11に加えて他の回路部品を実装することを特徴とする。
【0050】
図8Aに示すように、支持基板41の上に粘着シート42を貼り付けた後、粘着シート42の上に半導体チップ11と電子部品91,92を位置決めして配置する。電子部品91,92は、例えば、コンデンサや、キャパシタ、抵抗などで、樹脂21より大きい弾性率を有する部品が用いられる。続いて、図8Bに示すように、柱81を不図示のマウンターを用いて予め定められた位置に少なくとも1つ配置する。
さらに、図8Cに示すように、粘着シート42の上にモールド樹脂組成物を塗布してから硬化させ、樹脂21を形成する。この後、樹脂21から支持基板41及び粘着シート42を除去する。
【0051】
続いて、図8Dに示すように、半導体チップ11の再配線層31上と、その周囲の樹脂21の表面上に再配線層95を形成する。再配線層95の形成方法は、第1の実施の形態の再配線層31と同様である。再配線層95は、半導体チップ11に接続される配線32に加えて、電子部品91,92に電気的に接続される配線33が形成される。さらに、金属バンプ4は、半導体チップ11の下方、柱81の下方、又は電子部品91,92の下方のいずれかに形成される。即ち、半導体チップ11と、柱81と、電子部品91,92の配置に併せて金属バンプ4の配置が決定されている。以降の工程は、第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0052】
以上、説明したように、この実施の形態では、金属バンプ4の上方に、弾性率が樹脂21より大きい電子部品91,92を配置したので、第1及び第2の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。
ここで、超音波伝播部材は、第1の実施の形態の柱25でも良い。この場合には、図3A及び図3Bを用いて説明した製造方法で粘着シート42上に複数の柱25を形成し、その後に半導体チップ11及び電子部品91,92を実装する。
【0053】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1〜第3のいずれかの実施の形態と同じの構成要素には同一の符号を付してある。また、第1〜第3のいずれかの実施の形態と重複する説明は省略する。
【0054】
図9に示すように、この実施の形態の電子装置100は、樹脂21内に半導体チップ11と電子部品91,92が埋め込まれている。さらに、樹脂21内には、超音波伝播部材として枠体101が半導体チップ11及び電子部品91,92を囲むように埋め込まれている。
【0055】
図10に平面図を示すように、枠体101は、外形が四角形になっており、中央には開口部101Aが1つ形成されており、開口部101A内に半導体チップ11及び電子部品91,92が配置されている。枠体101の高さは、例えば0.4mm以上である。枠体101を金属から製造する場合は、少なくとも銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、コバルト、タングステンが含む材料が用いられる。また、枠体101を半導体材料から製造する場合は、少なくともシリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、シリコンゲルマニウムを含む材料が用いられる。枠体101の材料は、樹脂21より弾性率が大きい材料であれば良く、より好ましくは半導体チップ11の弾性率に近い材料が用いられる。
【0056】
この実施の形態の電子装置1の製造方法について以下に説明する。
最初に、図11Aに示す構造を得るまでの工程について説明する。
ステンレス製の支持基板41の上に、粘着シート42を貼り付ける。さらに、粘着シート42の上に例えば、厚さが0.45mmの銅箔43を張り付ける。銅箔43上に、不図示のレジスト膜を塗布した後、レジスト膜を露光及び現像してフォトレジストパターン102を形成する。フォトレジストパターン102は、図10に示す枠体101の形成位置に併せて枠形に形成される。
【0057】
続いて、図11Bに示す構造を得るまでの工程について説明する。
フォトレジストパターン102を用いて銅箔43をエッチングして枠体101を形成する。残存するレジストパターン44は、アッシングや薬液処理によって除去する。さらに、半導体チップ11と電子部品91,92が不図示にマウンターによって枠体101の開口部101Aの中に挿入され、粘着シート42に貼り付けられる。
【0058】
以降は、第1の実施の形態と同様の工程を実施する。即ち、図11Cに断面構造を示すように、粘着シート42の上にモールド樹脂組成物を供給し、半導体チップ11、電子部品91,92、及び枠体101を埋めた後、熱硬化させて樹脂21を形成する。このようにして形成した樹脂基板45の上面を例えば0.05mmだけバックグラインドし、図11Dに示すように枠体101を樹脂基板45の上面から露出させる。半導体チップ11及び電子部品91,92は樹脂21内に埋められたままである。さらに、樹脂基板45を粘着シート42から剥がし、樹脂基板45の半導体チップ11が露出する面45A上に再配線層31を図5A〜図5F及び図6に示す工程と同様に形成する。
【0059】
この後、樹脂基板45を半導体チップ11の数に応じて個片化すると、図11Eに示すようなパッケージ部品105が複数形成される。その後、個片化したパッケージ部品105を回路基板2の上に載置する。このとき、回路基板2上の電極パッド3に、パッケージ部品105の金属バンプ4を位置決めして載せる。
【0060】
この状態で、超音波をパッケージ部品105の上方から印加して金属バンプ4を溶解させると、図9に示すように、金属バンプ4と電極パッド3とが接合する。超音波接合の条件は、例えば、荷重40N、周波数60kHz、温度100℃で2秒間、超音波を印加する。
【0061】
ここで、枠体101は、複数の金属バンプ4の上方を覆っており、枠体101の弾性率
は半導体チップ11より大きい。従って、枠体101が配置されている領域は、樹脂21だけの領域に比べて超音波が伝播され易い。枠体101における超音波の伝播し易さは、半導体チップ11と同程度かそれ以上である。従って、柱25の下方の金属バンプ4が超音波照射によって確実に溶融して電極パッド3に接合される。枠体101のサイズ及び半導体チップ11のサイズは、金属バンプ4の最大径に比べて大きいので、上方から印加された超音波は確実に金属バンプ4の全体に伝播され、金属バンプ4を溶融させる。これによって、超音波で溶融させられた金属バンプ4を介して回路基板2にパッケージ部品5が実装され、電子装置1が形成される。
【0062】
以上、説明したように、この実施の形態では、複数の金属バンプ4を覆うように1つの枠体101を配置したので、枠体101の下方の金属バンプ4に超音波を伝播し易くなる。これによって、金属バンプ4を確実に他の部品、例えば回路基板2に確実に接合させることができる。
【0063】
ここで、電子装置100及びパッケージ部品105は、樹脂21の上面に枠体101を露出させずに、樹脂21で覆っても良い。このような電子装置100においても前記と同様の作用及び効果が得られる。さらに、樹脂21の研削量を減少できるので作業効率が向上する。
【0064】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1〜第4のいずれかの実施の形態と同じの構成要素には同一の符号を付してある。また、第1〜第4のいずれかの実施の形態と重複する説明は省略する。
【0065】
この実施の形態は、第4の実施の形態と製造方法が異なることを特徴とする。即ち、図12Aに示すように、支持基板41に貼り付けた粘着シート42上に、最初に半導体チップ11と電子部品91,92を位置決めして取り付ける。続いて、図12Bに示すように、粘着シート42の上にマウンターを用いて予め所定の形状に成型された枠体111を配置する。枠体111は、例えば、アルミニウムやシリコンから製造されている。
【0066】
以降は、第1の実施の形態と同様の工程を実施する。即ち、図11Cに示すように粘着シート42の上にモールド樹脂組成物を供給し、半導体チップ11、電子部品91,92、及び枠体111を埋めた後、熱硬化させて樹脂21を形成する。さらに、図11Dに示すように樹脂基板45の上面を例えば0.05mmだけバックグラインドし、枠体111を上面から露出させる。続いて、樹脂基板45の半導体チップ11が露出する面上に再配線層31を図5A〜図5F及び図6に示す工程と同様に形成する。
【0067】
この後、樹脂基板45を半導体チップ11の数に応じて個片化し、複数のパッケージ部品105を形成する。その後、個片化したパッケージ部品105を回路基板2の上に載置する。このとき、回路基板2上の電極パッド3に、パッケージ部品105の金属バンプ4を位置決めして載せる。
【0068】
以上、説明したように、この実施の形態では、複数の金属バンプ4を覆うように1つの枠体111を配置したので、枠体111の下方の金属バンプ4に超音波を伝播し易くなる。これによって、金属バンプ4を確実に他の部品、例えば回路基板2に確実に接合させることができる。予め形成した枠体111を粘着シート42上に配置するようにしたので、エッチングプロセスを省略でき、製造効率が良い。
【0069】
ここで、電子装置1,100は、超音波伝播部材として、柱25,81と枠体101,111の両方を備えても良い。樹脂25は、半導体チップ10が露出するまでバックグラ
インドしても良い。この場合のパッケージ部品5,105は、半導体チップ10の側面のみが樹脂25で覆われる。
【0070】
ここで挙げた全ての例及び条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明及び概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例及び条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換及び変形を施すことができる。
【0071】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 半導体回路を含む配線層を有する半導体チップと、前記半導体チップを覆い、前記配線層の最表層を露出させる樹脂と、前記樹脂及び前記配線層を覆う再配線層と、前記再配線層の配線に接続され、導電性を有するバンプと、前記樹脂内に配置され、前記バンプの上方で、かつ前記再配線層の絶縁膜上に形成され、前記樹脂より弾性率が大きい超音波伝播部材と、を含むことを特徴とする電子装置。
(付記2) 前記超音波伝播部材が金属、セラミックス、又は半導体材料を用いて製造されていることを特徴とする付記1に記載の電子装置。
(付記3) 前記超音波伝播部材の幅は、前記バンプの最大径より大きいことを特徴とする付記1又は付記2に記載の電子装置。
(付記4) 前記超音波伝播部材は、前記樹脂を貫通していることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか一項に記載の電子装置。
(付記5) 前記超音波伝播部材は、1つの前記バンプの上方に1つずつ配置される柱であることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか一項に記載の電子装置。
(付記6) 前記超音波伝播部材は、複数の前記バンプの上方を覆い、中央に前記半導体チップを配置可能な開口部が形成された枠体であることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか一項に記載の電子装置。
(付記7) 支持部材の上方に超音波伝播部材を形成する工程と、前記支持部材の上方に、半導体回路が形成された配線層を下向きにして半導体チップを配置する工程と、前記超音波伝播部材より弾性率が低い樹脂で前記超音波伝播部材及び前記半導体チップを覆う工程と、前記支持部材から前記樹脂で覆われた前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を取り外し、前記半導体チップの配線層及び前記樹脂面を覆う再配線層を形成する工程と、前記再配線層上に導電性のバンプを、少なくとも1つの前記バンプが前記超音波伝播部材の下方に位置されるように形成する工程と、前記バンプを他の基板の電極パッドの上に載置し、前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を通して超音波を前記バンプに印加して溶融させ、前記他の基板の前記電極パッドと前記再配線層の回路とを電気的に接続させる工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記8) 前記超音波伝播部材は、前記支持部材の上方に導電性の膜を配置した後、前記膜をパターニングして形成し、前記超音波伝播部材の形成後に前記半導体チップを前記支持部材の上方に配置することを特徴とする付記7に記載の電子装置の製造方法。
(付記9) 前記半導体チップを前記支持部材の上方に配置した後、前記超音波伝播部材を前記支持部材の上方に配置することを特徴とする付記7に記載の電子装置の製造方法。(付記10) 前記バンプの直径を前記超音波伝播部材より小さく形成することを特徴とする付記6乃至付記8のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法。
【符号の説明】
【0072】
1,100 電子装置
4 金属バンプ
5,105パッケージ部品
10 半導体チップ
13 配線層
21 樹脂
25 柱(超音波伝播部材)
31 再配線層
32 配線パターン
41 支持基板(支持部材)
51 絶縁膜
101,111 超音波伝播部材
101A 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップをパッケージするときには、ワイヤボンディングを用いずに、殆ど半導体チップのサイズで実装するCSP(Chip-Size Package)が採用されることがある。CSPを採用することで、高密度の実装と、製造の低コスト化とを両立できる。近年では、CSP自体のファインピッチ化が加速しており、実装形態も樹脂インターポーザを用いたものから、WLP(Wafer Level Package)へと変化している。
【0003】
ここで、WLPは、ウェハのレベルでパッケージの最終工程まで処理し、良否判定の最終試験後にダイシングして個片化するCSPの一形態である。このために、従来のパッケージ技術を用いた場合に比べて、より低コストで、かつ実装面積を実際のチップサイズまで小さくできる。ここで、WLPは、WL−CSP(Wafer Level CSP)、W−CSP(Wafer CSP)と呼ばれることもある。
【0004】
従来のWLPは、例えば、半導体チップの端子をチップの全面に配置(Fan−in)していた。ところが、半導体チップの多端子化に伴ってチップ領域だけでは端子の配置が困難になっていた。このために、近年では、半導体チップのエリアの外側に端子を再配置(Fan−out)する方法が開発されている。Fan−out型のWLPは、半導体チップをモールド樹脂組成物に埋め込むと共に、半導体チップの回路の最表層とモールド樹脂組成物の表面とを面一にし、樹脂に半導体チップが埋め込まれた擬似的な基板を再構築する。さらに、半導体チップの領域を越えてモールド樹脂組成物の上にも配線層(Fan−out層)を形成する。続いて、Fan−out層の表面層の全面にわたって電極パッドを配置させ、各電極パッド上に金属バンプを形成した後、個片化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−217381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、Fan−out型のWLPでは、半導体チップと、半導体チップを囲む樹脂の熱膨張率が異なるため、150℃以下の低温で半導体チップと回路基板を接合してクラックの発生等を防止することが好ましい。半導体チップと回路基板を低温で接合する方法としては、超音波接合がある。しかしながら、Fan−out型のWLPでは、弾性率が大きい半導体チップの部分は超音波が伝播し易いが、樹脂部分は柔らかくて弾性率が低いので超音波が伝播し難い。このように、従来のFan−out型のWLPでは、場所によって超音波の伝播にムラが生じ易かったので、複数の金属バンプを均一に接合することが難しかった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、Fan−out型のWLPにおいて、金属バンプの接合を確実に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一観点によれば、半導体回路を含む配線層を有する半導体チップと、前記半導体チップを覆い、前記配線層の最表層を露出させる樹脂と、前記樹脂及び前記配線層を覆う再配線層と、前記再配線層の配線に接続され、導電性を有するバンプと、前記樹脂内
に配置され、前記バンプの上方で、かつ前記再配線層の絶縁膜上に形成され、前記樹脂より弾性率が大きい超音波伝播部材と、を含むことを特徴とする電子装置が提供される。
【0008】
また、実施形態の別の観点によれば、支持部材の上方に超音波伝播部材を形成する工程と、前記支持部材の上方に、半導体回路が形成された配線層を下向きにして半導体チップを配置する工程と、前記超音波伝播部材より弾性率が低い樹脂で前記超音波伝播部材及び前記半導体チップを覆う工程と、前記支持部材から前記樹脂で覆われた前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を取り外し、前記半導体チップの配線層及び前記樹脂面を覆う再配線層を形成する工程と、前記再配線層上に導電性のバンプを、少なくとも1つの前記バンプが前記超音波伝播部材の下方に位置されるように形成する工程と、前記バンプを他の基板の電極パッドの上に載置し、前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を通して超音波を前記バンプに印加して溶融させ、前記他の基板の前記電極パッドと前記再配線層の回路とを電気的に接続させる工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
超音波伝播部材を通して超音波が金属バンプに伝播されることによって、超音波の減衰を抑制できる。従って、金属バンプを低温で確実に溶融させることができる。金属バンプを用いた接合の信頼性が向上し、金属バンプごとの接合強度のばらつきを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の一例を示す平面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図3B】図3Bは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図3C】図3Cは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図3D】図3Dは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る樹脂基板の一例を示す平面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図5B】図5Bは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図5C】図5Cは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図5D】図5Dは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図5E】図5Eは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その5)である。
【図5F】図5Fは、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の再配線層の製造工程の一例を示す断面図(その6)である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図7B】図7Bは、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図7C】図7Cは、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図7D】図7Dは、本発明の第2の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図8A】図8Aは、本発明の第3の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図8B】図8Bは、本発明の第3の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図8C】図8Cは、本発明の第3の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図8D】図8Dは、本発明の第3の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の一例を示す平面図である。
【図11A】図11Aは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図11B】図11Bは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【図11C】図11Cは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【図11D】図11Dは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【図11E】図11Eは、本発明の第4の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その5)である。
【図12A】図12Aは、本発明の第5の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【図12B】図12Bは、本発明の第5の実施の形態に係る電子装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の目的及び利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素及び組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、典型例及び説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1に断面構造を示すように、電子装置1は、回路基板2を有し、回路基板2上の電極パッド3に導電性を有する金属バンプ4を用いてパッケージ部品5(半導体装置)が実装されている。ここで、回路基板2は、樹脂基板又はセラミック基板を用いて製造されており、その厚さは例えば0.1mm以上であることが好ましい。電極パッド3は、回路基板2上に複数配列されており、回路基板2に形成された不図示の回路に電気的に接続されている。
【0013】
パッケージ部品5は、半導体チップ11が樹脂21に埋め込まれている。半導体チップ11は、シリコンなどの基板12の一方の面上に少なくとも1層の回路を有する配線層1
3が形成されている。配線層13には、トランジスタなどの半導体素子やその他の半導体回路が形成されている。半導体チップ11は、配線層13が回路基板2に向かうように、即ちフェイスダウン状態で配置されており、半導体チップ11の全ての側面と、配線層13が形成されている面の反対側の面(他方の面)が樹脂21で覆われている。樹脂21の下面と半導体チップ11の配線層13の最表層とは同一面上に配置されている。樹脂21は、モールド樹脂組成物を硬化させることで形成され、モールド樹脂組成物には例えば最大粒径が75μm程度のシリカフィラーに代表される無機フィラーが含まれている。
【0014】
さらに、パッケージ部品5には、配線層13及び樹脂21の表面を覆うように、再配線層31が形成されている。再配線層31は、配線パターン32が形成された多層の配線構造を有する。再配線層31によって、半導体チップ11の配線層13に形成されている電極パッド14と金属バンプ4とが電気的に接続される。従って、半導体チップ11の配線層13は、再配線層31及び金属バンプ4を介して回路基板2の不図示の回路に電気的に接続されている。再配線層31の最表層は、金属バンプ4の配置位置を除いて樹脂製の保護膜71で覆われている。このように、パッケージ部品5は、再配線層31によって半導体チップ11の領域の外側に複数の金属バンプ4が配置されている。
【0015】
ここで、図1と、図2の平面図に示すように、樹脂21には、超音波振動の伝搬用の柱25(超音波伝播部材)が複数埋め込まれている。各柱25は、円柱形状を有し、半導体チップ11を囲むように、複数配置されている。各柱25の配置は、下方の金属バンプ4の配置に一致させている。即ち、1つの金属バンプ4の上方には、柱25が1つ配置されている。各柱25の上端は、樹脂21から露出している。各柱25の下端は、再配線層31の絶縁膜51に接しており、この部分には配線パターン32が形成されていない。このために、柱25は、半導体チップ11や再配線層31とは電気的に接続されていない。このような柱25は、例えば、少なくとも銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、コバルト、タングステンを含む金属材料から製造されている。平面視における柱25の外径は、金属バンプ4の最大径より大きい。柱25の平面形状は、三角柱や多角柱などの他の形状でも良い。また、柱25の配置は、図2に示す例に限定されない。
【0016】
次に、電子装置1の製造工程について以下に説明する。
最初に、図3Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
例えば、ステンレス製の支持基板41(支持部材)の上に、両面に粘着層を有する粘着シート42を貼り付ける。粘着シート42の上には、例えば、厚さが0.45mmの銅箔43を張り付ける。さらに、銅箔43上に、不図示のレジスト膜を塗布した後、レジスト膜を露光及び現像してレジストパターン44を形成する。レジストパターン44は、図1に示す柱25の形成位置に併せてアイランド状に形成される。
【0017】
続いて、図3Bに示す構造を得るまでの工程について説明する。
レジストパターン44を用いて銅箔43をエッチングして柱25を複数形成する。残存するレジストパターン44は、アッシングや薬液処理によって除去する。柱25の外径は、例えば直径(φ)0.1mmで、高さは0.4mm以上であることが好ましい。
【0018】
次に、半導体チップ11をフェイスダウン状態で粘着シート42の所定位置に貼り付ける。半導体チップ11は、複数の柱25の間のスペースに位置決めして配置される。半導体チップ11は、例えば、5mm×5mmのサイズで、0.1mm〜0.5mmの厚さを有する。
【0019】
続いて、図3Cに示す構造を得るまでの工程について説明する。
粘着シート42の上にモールド樹脂組成物を供給し、複数の柱25と半導体チップ11をモールド樹脂組成物で埋める。この後に熱処理によってモールド樹脂組成物を固める。
これによって、複数の柱25と半導体チップ11が樹脂21内に埋め込まれた樹脂基板45が形成される。例えば、粘着シート42上に、複数の半導体チップ11を所定の間隔で配置した場合には、図4に平面図を示すような樹脂基板45が形成される。樹脂基板45は、複数の半導体チップ11が等間隔に配置されており、各々の半導体チップ11の周囲に複数の柱25が配置されている。樹脂基板の厚さは、半導体チップ11の厚さより0.1mm以上厚いことが好ましいが、同程度の厚さでも良い。半導体チップ11の数や配置は、図4に限定されない。
【0020】
樹脂基板45は、例えば、直径(φ)100mmで、厚さは、半導体チップ11の厚さ以上で、例えば0.5mmとする。次に、図3Dに示すように、樹脂基板45の上面を例えば0.05mmだけバックグラインドし、柱25を樹脂21の上面から露出させる。このとき、半導体チップ11の高さは柱25より低いので、半導体チップ11は樹脂21内に埋められたままである。この後、樹脂基板45を粘着シート42及び支持基板41から取り外す。
【0021】
次に、樹脂基板45の下面、即ち半導体チップ11の配線層13側の面に、再配線層31を形成する。再配線層31の形成方法の一例について以下に説明する。
最初に、図5Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。図5Aは、半導体チップ11の配線層13の部分と、柱25の一部を拡大して示す断面図であり、半導体チップ11は、配線層13を上に向けて配置されている。
【0022】
まず、半導体チップ11の配線層13の最表層の上に絶縁膜51をスピンコート法によって形成する。絶縁膜51は、電極パッド14を含む配線層13上だけでなく、柱25及び樹脂21の上にも形成される。絶縁膜51の材料としては、例えば、感光性エポキシや、感光性ポリベンゾオキサゾール、感光性ポリイミドのような感光性樹脂がある。また、絶縁膜51は、その他の樹脂材料を用いて形成しても良い。
【0023】
例えば、絶縁膜51を感光性エポキシワニスで形成する場合には、感光性エポキシワニスを塗布してからプリベークする。この後、感光性エポキシワニスを不図示のレジストパターンを用いて露光及び現像する。これによって、電極パッド14上に開口部51Aが直径(φ)40μmの大きさに形成される。この後、感光性エポキシワニスを熱処理してキュアする。さらに、必要に応じて感光性エポキシワニスを酸素プラズマに晒す。この結果、絶縁膜51が、例えば8μmの厚さに形成される。
【0024】
続いて、図5Bに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、絶縁膜51の上に、金属密着層53としてチタンを0.1μmの厚さにスパッタ法を用いて形成する。金属密着層53は、チタン、クロム等から選択される。さらに、金属密着層53の上に、シード層54として、例えば、銅をスパッタ法によって0.3μmの厚さに堆積させる。その後、シード層54上に、フォトレジストパターン55を形成する。フォトレジストパターン55は、例えば、シード層54の全面にレジスト膜を塗布し、レジスト膜を露光及び現像して形成する。このフォトレジストパターン55は、電極パッド15の形成位置に併せて少なくとも1つ開口部55Aを有する。ここで、柱25上には、開口部55Aは形成されない。これは、柱25には回路パターンが電気的に接続されないためである。
【0025】
さらに、図5Cに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
シード層54を用いた電解めっき法によって、開口部55A内に銅膜を成長させる。これによって、電極パッド14に電気的に接続されるビア57と、ビア57を介して電極パッド14に接続される銅配線58とが形成される。この後、フォトレジストパターン55をアッシング又は薬液処理によって剥離する。さらに、フォトレジストパターン55の下
に残存していたシード層54及び金属密着層53をウエットエッチングやドライエッチングで除去する。必要に応じて銅配線58を密着性向上等の目的で表面処理等を加えても良い。これによって、電極パッド14にビア57を介して電気的に接続された銅配線58を有する1層目の配線層59が形成される。
【0026】
また、図5Dに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
1層目の配線層59の上に、絶縁膜61を形成する。絶縁膜61は、第1層目の絶縁膜51と同様の材料、例えば感光性エポキシワニスを用い、同様のプロセスによって形成する。さらに、絶縁膜61をパターニングして、銅配線58の上の所定位置に開口部61Aを形成する。開口部61Aによって、銅配線58の一部が露出させられる。
【0027】
この後、銅配線58の露出部分を含む絶縁膜61の全面に、チタン等の金属密着膜62と、銅からなるシード層63を順番にスパッタ法によって形成する。さらに、その上に、レジスト膜を塗布によって形成した後、レジスト膜を露光及び現像してフォトレジストパターン64を形成する。フォトレジストパターン64には、少なくとも1つの開口部64Aが銅配線58の上方に形成される。
【0028】
続いて、図5Eに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
フォトレジストパターン64の開口部64A内に銅を電解めっき法によって成長させる。これによって、銅配線58の上に、電極パッド69が形成される。この後、フォトレジストパターン64と、フォトレジストパターン64の下のシード層63及び金属密着層53を例えばウエットエッチングによって除去する。これによって、配線58に電気的に接続される電極パッド69が形成される。
【0029】
次に、図5Fに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
電極パッド69を含む絶縁膜61の全面に、保護膜71を形成する。保護膜71は、第1層目の絶縁膜51と同様の材料、例えば感光性エポキシワニスを用い、同様のプロセスによって形成する。さらに、保護膜71をパターニングして、電極パッド69を露出させる開口部71Aを形成する。
【0030】
さらに、電極パッド69及び保護膜71の全面に、シード層75として金をスパッタ法によって形成する。シード層75の上には、厚さ30μmのレジスト膜を形成する。レジスト膜をパターニングしてレジストパターン76を形成する。レジストパターン76は、電極パッド69の上方に開口部76Aを有する。さらに、レジストパターン76を用いてシード層75の上に金膜77を電解めっき法によって成長させる。
【0031】
この後、レジストパターン76と、レジストパターン76の下のシード層75を例えばウエットエッチングによって除去する。これによって、電極パッド69の上に、金膜77からなる金属バンプ4が形成される。金属バンプ4は、例えば直径(φ)40μm、高さ25μmに形成される。ここで、金属バンプ4は、少なくとも金、又は、銅を含んだめっきバンプ又はスタッドバンプとして形成される。ここまでの工程で、再配線層31が形成される。
【0032】
ここで、再配線層31の配線層数は、任意に変更できる。配線総数を増やす場合には、感光性樹脂の塗布、現像及びキュアから、銅配線58の表面処理までの工程を所望の回数繰り返し、所望の多層配線を形成する。樹脂基板45を半導体チップ11の数に応じて個片化すると、複数のパッケージ部品5が形成される。
【0033】
次に、図6に示すように、個片化したパッケージ部品5を回路基板2の上に載置する。このとき、回路基板2上の電極パッド3に、パッケージ部品5の金属バンプ4を位置決め
して載せる。
【0034】
この状態で、超音波をパッケージ部品5の上方から印加して金属バンプ4を溶解させ、図1に示すように金属バンプ4と電極パッド3とを接合させる。超音波接合の条件は、例えば、荷重20N〜50N、周波数40kHz〜100kHz、温度25℃〜150℃、超音波印加時間0.5秒〜3秒とする。半導体チップ11が配置されている領域は、半導体チップ11の弾性率が樹脂21より大きいので、樹脂21だけの領域に比べて超音波が伝播され易い。従って、半導体チップ11の下方の金属バンプ4が超音波印加によって確実に溶融して電極パッド3に接合される。
【0035】
さらに、半導体チップ11の外側に配置されている金属バンプ4は、それぞれの上方に柱25が配置されている。柱25の弾性率は半導体チップ11より大きいので、樹脂21だけの領域に比べて超音波が伝播され易い。柱25の部分の超音波の伝播し易さは、半導体チップ11と同程度かそれ以上である。従って、柱25の下方の金属バンプ4が超音波印加によって確実に溶融して電極パッド3に接合される。柱25のサイズ及び半導体チップ11のサイズは、金属バンプ4の最大径に比べて大きいので、上方から照射された超音波は確実に金属バンプ4の全体に伝播され、金属バンプ4を溶融させる。これによって、超音波で溶融させられた金属バンプ4を介して回路基板2にパッケージ部品5が実装され、電子装置1が形成される。
【0036】
ここで、実施例として、厚さ0.4mmで5mm×5mmの半導体チップ11の周囲に、直径0.1mmで高さ0.45mmの銅製の柱25を複数形成し、厚さ0.5μmの直径100mmの樹脂基板45を作製して接合実験を行った。再配線層31の絶縁膜51、61、71には、感光性エポキシワニスを用い、金属密着層53,62にチタン、シード層54,63に銅を用いて配線パターンを形成した。金属バンプ4は、直径(φ)40μm、高さ25μmとし、金属バンプ4の形成後にバックグラインドして柱25の上端を露出させ、厚さ0.45mmとした後に個片化した。
【0037】
超音波接合時には、基板温度を100℃、荷重を40Nとし、60kHzの超音波を2秒間印加した。その結果、金属バンプ4が十分な強度で接合された。従来では、樹脂21内と半導体チップ11の超音波の伝播に差が有ったので、半導体チップ11の下方の金属バンプ4の接合強度に対して、樹脂21の下方の金属バンプ4の接合強度が低下したり、接合強度がばらついたりし易かった。また、樹脂21の下の一部の金属バンプ4に剥離が生じることもあった。これに対し、この実施の形態では、超音波振動の損失を低下させると共に、溶融状態のばらつきを抑えることができるので、全ての金属バンプ4において、均一で、かつ高い接合強度が得られる。
【0038】
以上、説明したように、この実施の形態では、樹脂21より超音波を伝播させ易い柱25を金属バンプ4の上方に配置するようにしたので、超音波を少ない損失で伝播させることができる。このために、柱25の下方に配置された金属バンプ4を超音波印加によって確実に溶融させられる。従って、半導体チップ11の下方の領域以外であっても回路基板2とパッケージ部品5を場所に依らずに確実に、均等な強度で接合できる。また、超音波印加による接合が確実に行えることから、パッケージ部品5と回路基板2の実装を低温で実施できるようになる。
【0039】
さらに、柱25の直径は、金属バンプ4の最大径以上としたので、金属バンプ4を介して伝播される超音波を金属バンプ4の全体に照射することができる。このために、金属バンプ4を確実に溶融させられる。柱25は、樹脂21を貫通しているので、樹脂21で柱25を覆った場合に比べて超音波の伝播ロスを少なくできる。柱25は、半導体チップ11及び再配線層31に電気的に接続されていないので、電子装置1の回路の特性に影響を
与えることはない。
また、柱25は銅箔をエッチングすることで形成されるので、多数の柱25を所望の形状及び配置に簡単に形成できる。
【0040】
ここで、電子装置1は、半導体素子、MEMS素子、センサー素子、受動部品、無機材料上に薄膜の受動部品を形成した素子、の少なくとも1つから選ばれる電子部品であることが好ましい。個片化したパッケージ部品に含まれる電子部品の数は、1個でも良いし、複数個でも良い。
【0041】
さらに、図3Cに示す工程の後、樹脂21をバックグラインドする前に支持基板41及び粘着シート42を外し、図5Aから図5Fに示す工程を経て再配線層31を形成しても良い。この場合は、金属バンプ4を形成した後、又は金属バンプ4を形成する直前に、反対側の樹脂21をバックグラインドする。
【0042】
また、樹脂21の厚さと半導体チップ11の厚さを同じにしても良い。この場合は、樹脂基板45を一旦形成した後、樹脂基板45の背面を半導体チップ11が露出するまで研磨又は研削する。
また、超音波伝播用の柱25を利用した接合は、パッケージ部品5同士の接合や、回路基板同士の接合に用いることもできる。これらのケースでは、超音波を印加する側に配置される基板に柱25が、金属バンプの配置に一致させて形成される。
【0043】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1の実施の形態と同じの構成要素には同一の符号を付してある。また、第1の実施の形態と重複する説明は省略する。
図1に示すように、この実施の形態の電子装置1は、絶縁体からなる柱81が樹脂21に埋め込まれている。柱81の材料は、樹脂21より弾性率が大きい材料であれば良く、より好ましくは半導体チップ11の弾性率に近い材料が用いられる。
【0044】
次に、この実施の形態の電子装置1の製造方法について以下に説明する。
まず、図7Aに示すように、支持基板41の上に粘着シート42を貼り付けたら、粘着シート42の上に半導体チップ11を位置決めして取り付ける。続いて、図7Bに示すように、粘着シート42の上に複数の柱81を取り付ける。柱81は、例えば、セラミックスから製造されており、不図示のマウンターによって位置決めして配置される。
【0045】
続いて、図7Cに示すように、粘着シート42の上に、樹脂21を半導体チップ11及び柱81を覆うように形成する。これによって、樹脂基板45が形成される。次に、図7Dに示すように、樹脂基板45の上面をバックグラインドし、柱81を上面から露出させる。このとき、半導体チップ11の高さは柱25より低いので、半導体チップ11は樹脂21内に埋められたままである。この後、樹脂基板45を粘着シート42及び支持基板41から取り外す。以降のプロセスは、第1の実施の形態と同様である。
【0046】
ここで、実施例として、厚さ0.4mmで5mm×5mmの半導体チップ11の周囲に、直径0.1mmで高さ0.45mmのセラミックス製の柱25を複数形成し、厚さ0.5μmの直径100mmの樹脂基板45を作製して接合実験を行った。再配線層31の絶縁膜51、61、71には感光性ポリベンゾオキサゾールワニスを用い、金属密着層53,62にクロム、シード層54,63に銅を用いて配線パターンを形成した。再配線層31上に形成される金属バンプ4は、直径(φ)40μm、高さ25μmとし、金属バンプ4の形成後にバックグラインドして柱25の上端を露出させ、厚さ0.45mmとした後に個片化した。超音波接合時には、基板加熱を100℃、荷重を40Nとし、60kHz
の超音波を2秒間印加した。その結果、金属バンプ4が十分な強度で接合された。
【0047】
以上、説明したように、この実施の形態では、絶縁材料からなる柱25で超音波振動の損失を抑制するようにしたので、金属バンプ4の接合強度のばらつきを抑えることができる。これによって、全ての金属バンプ4において、均一で、かつ高い接合強度が得られる。その他の作用及び効果は、第1の実施の形態と同様である。ここで、柱81は、セラミックスなどの絶縁材料から製造されているので、電子装置1が高周波デバイスであった場合においても柱81が電子装置1の回路の特性に影響を与えることはない。
【0048】
ここで、図7Cに示す工程の後で、樹脂21をバックグラインドする前に支持基板41及び粘着シート42を外し、図5Aから図5Fに示す工程を経て再配線層31を形成しても良い。この場合は、金属バンプ4を形成した後、又は金属バンプ4を形成する直前に、反対側の樹脂21をバックグラインドして柱81の端部を露出させる。
【0049】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1及び第2の実施の形態と同じの構成要素には同一の符号を付してある。また、第1及び第2の実施の形態と重複する説明は省略する。
この実施の形態は、半導体チップ11に加えて他の回路部品を実装することを特徴とする。
【0050】
図8Aに示すように、支持基板41の上に粘着シート42を貼り付けた後、粘着シート42の上に半導体チップ11と電子部品91,92を位置決めして配置する。電子部品91,92は、例えば、コンデンサや、キャパシタ、抵抗などで、樹脂21より大きい弾性率を有する部品が用いられる。続いて、図8Bに示すように、柱81を不図示のマウンターを用いて予め定められた位置に少なくとも1つ配置する。
さらに、図8Cに示すように、粘着シート42の上にモールド樹脂組成物を塗布してから硬化させ、樹脂21を形成する。この後、樹脂21から支持基板41及び粘着シート42を除去する。
【0051】
続いて、図8Dに示すように、半導体チップ11の再配線層31上と、その周囲の樹脂21の表面上に再配線層95を形成する。再配線層95の形成方法は、第1の実施の形態の再配線層31と同様である。再配線層95は、半導体チップ11に接続される配線32に加えて、電子部品91,92に電気的に接続される配線33が形成される。さらに、金属バンプ4は、半導体チップ11の下方、柱81の下方、又は電子部品91,92の下方のいずれかに形成される。即ち、半導体チップ11と、柱81と、電子部品91,92の配置に併せて金属バンプ4の配置が決定されている。以降の工程は、第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0052】
以上、説明したように、この実施の形態では、金属バンプ4の上方に、弾性率が樹脂21より大きい電子部品91,92を配置したので、第1及び第2の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。
ここで、超音波伝播部材は、第1の実施の形態の柱25でも良い。この場合には、図3A及び図3Bを用いて説明した製造方法で粘着シート42上に複数の柱25を形成し、その後に半導体チップ11及び電子部品91,92を実装する。
【0053】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1〜第3のいずれかの実施の形態と同じの構成要素には同一の符号を付してある。また、第1〜第3のいずれかの実施の形態と重複する説明は省略する。
【0054】
図9に示すように、この実施の形態の電子装置100は、樹脂21内に半導体チップ11と電子部品91,92が埋め込まれている。さらに、樹脂21内には、超音波伝播部材として枠体101が半導体チップ11及び電子部品91,92を囲むように埋め込まれている。
【0055】
図10に平面図を示すように、枠体101は、外形が四角形になっており、中央には開口部101Aが1つ形成されており、開口部101A内に半導体チップ11及び電子部品91,92が配置されている。枠体101の高さは、例えば0.4mm以上である。枠体101を金属から製造する場合は、少なくとも銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、コバルト、タングステンが含む材料が用いられる。また、枠体101を半導体材料から製造する場合は、少なくともシリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、シリコンゲルマニウムを含む材料が用いられる。枠体101の材料は、樹脂21より弾性率が大きい材料であれば良く、より好ましくは半導体チップ11の弾性率に近い材料が用いられる。
【0056】
この実施の形態の電子装置1の製造方法について以下に説明する。
最初に、図11Aに示す構造を得るまでの工程について説明する。
ステンレス製の支持基板41の上に、粘着シート42を貼り付ける。さらに、粘着シート42の上に例えば、厚さが0.45mmの銅箔43を張り付ける。銅箔43上に、不図示のレジスト膜を塗布した後、レジスト膜を露光及び現像してフォトレジストパターン102を形成する。フォトレジストパターン102は、図10に示す枠体101の形成位置に併せて枠形に形成される。
【0057】
続いて、図11Bに示す構造を得るまでの工程について説明する。
フォトレジストパターン102を用いて銅箔43をエッチングして枠体101を形成する。残存するレジストパターン44は、アッシングや薬液処理によって除去する。さらに、半導体チップ11と電子部品91,92が不図示にマウンターによって枠体101の開口部101Aの中に挿入され、粘着シート42に貼り付けられる。
【0058】
以降は、第1の実施の形態と同様の工程を実施する。即ち、図11Cに断面構造を示すように、粘着シート42の上にモールド樹脂組成物を供給し、半導体チップ11、電子部品91,92、及び枠体101を埋めた後、熱硬化させて樹脂21を形成する。このようにして形成した樹脂基板45の上面を例えば0.05mmだけバックグラインドし、図11Dに示すように枠体101を樹脂基板45の上面から露出させる。半導体チップ11及び電子部品91,92は樹脂21内に埋められたままである。さらに、樹脂基板45を粘着シート42から剥がし、樹脂基板45の半導体チップ11が露出する面45A上に再配線層31を図5A〜図5F及び図6に示す工程と同様に形成する。
【0059】
この後、樹脂基板45を半導体チップ11の数に応じて個片化すると、図11Eに示すようなパッケージ部品105が複数形成される。その後、個片化したパッケージ部品105を回路基板2の上に載置する。このとき、回路基板2上の電極パッド3に、パッケージ部品105の金属バンプ4を位置決めして載せる。
【0060】
この状態で、超音波をパッケージ部品105の上方から印加して金属バンプ4を溶解させると、図9に示すように、金属バンプ4と電極パッド3とが接合する。超音波接合の条件は、例えば、荷重40N、周波数60kHz、温度100℃で2秒間、超音波を印加する。
【0061】
ここで、枠体101は、複数の金属バンプ4の上方を覆っており、枠体101の弾性率
は半導体チップ11より大きい。従って、枠体101が配置されている領域は、樹脂21だけの領域に比べて超音波が伝播され易い。枠体101における超音波の伝播し易さは、半導体チップ11と同程度かそれ以上である。従って、柱25の下方の金属バンプ4が超音波照射によって確実に溶融して電極パッド3に接合される。枠体101のサイズ及び半導体チップ11のサイズは、金属バンプ4の最大径に比べて大きいので、上方から印加された超音波は確実に金属バンプ4の全体に伝播され、金属バンプ4を溶融させる。これによって、超音波で溶融させられた金属バンプ4を介して回路基板2にパッケージ部品5が実装され、電子装置1が形成される。
【0062】
以上、説明したように、この実施の形態では、複数の金属バンプ4を覆うように1つの枠体101を配置したので、枠体101の下方の金属バンプ4に超音波を伝播し易くなる。これによって、金属バンプ4を確実に他の部品、例えば回路基板2に確実に接合させることができる。
【0063】
ここで、電子装置100及びパッケージ部品105は、樹脂21の上面に枠体101を露出させずに、樹脂21で覆っても良い。このような電子装置100においても前記と同様の作用及び効果が得られる。さらに、樹脂21の研削量を減少できるので作業効率が向上する。
【0064】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1〜第4のいずれかの実施の形態と同じの構成要素には同一の符号を付してある。また、第1〜第4のいずれかの実施の形態と重複する説明は省略する。
【0065】
この実施の形態は、第4の実施の形態と製造方法が異なることを特徴とする。即ち、図12Aに示すように、支持基板41に貼り付けた粘着シート42上に、最初に半導体チップ11と電子部品91,92を位置決めして取り付ける。続いて、図12Bに示すように、粘着シート42の上にマウンターを用いて予め所定の形状に成型された枠体111を配置する。枠体111は、例えば、アルミニウムやシリコンから製造されている。
【0066】
以降は、第1の実施の形態と同様の工程を実施する。即ち、図11Cに示すように粘着シート42の上にモールド樹脂組成物を供給し、半導体チップ11、電子部品91,92、及び枠体111を埋めた後、熱硬化させて樹脂21を形成する。さらに、図11Dに示すように樹脂基板45の上面を例えば0.05mmだけバックグラインドし、枠体111を上面から露出させる。続いて、樹脂基板45の半導体チップ11が露出する面上に再配線層31を図5A〜図5F及び図6に示す工程と同様に形成する。
【0067】
この後、樹脂基板45を半導体チップ11の数に応じて個片化し、複数のパッケージ部品105を形成する。その後、個片化したパッケージ部品105を回路基板2の上に載置する。このとき、回路基板2上の電極パッド3に、パッケージ部品105の金属バンプ4を位置決めして載せる。
【0068】
以上、説明したように、この実施の形態では、複数の金属バンプ4を覆うように1つの枠体111を配置したので、枠体111の下方の金属バンプ4に超音波を伝播し易くなる。これによって、金属バンプ4を確実に他の部品、例えば回路基板2に確実に接合させることができる。予め形成した枠体111を粘着シート42上に配置するようにしたので、エッチングプロセスを省略でき、製造効率が良い。
【0069】
ここで、電子装置1,100は、超音波伝播部材として、柱25,81と枠体101,111の両方を備えても良い。樹脂25は、半導体チップ10が露出するまでバックグラ
インドしても良い。この場合のパッケージ部品5,105は、半導体チップ10の側面のみが樹脂25で覆われる。
【0070】
ここで挙げた全ての例及び条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明及び概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例及び条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換及び変形を施すことができる。
【0071】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 半導体回路を含む配線層を有する半導体チップと、前記半導体チップを覆い、前記配線層の最表層を露出させる樹脂と、前記樹脂及び前記配線層を覆う再配線層と、前記再配線層の配線に接続され、導電性を有するバンプと、前記樹脂内に配置され、前記バンプの上方で、かつ前記再配線層の絶縁膜上に形成され、前記樹脂より弾性率が大きい超音波伝播部材と、を含むことを特徴とする電子装置。
(付記2) 前記超音波伝播部材が金属、セラミックス、又は半導体材料を用いて製造されていることを特徴とする付記1に記載の電子装置。
(付記3) 前記超音波伝播部材の幅は、前記バンプの最大径より大きいことを特徴とする付記1又は付記2に記載の電子装置。
(付記4) 前記超音波伝播部材は、前記樹脂を貫通していることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか一項に記載の電子装置。
(付記5) 前記超音波伝播部材は、1つの前記バンプの上方に1つずつ配置される柱であることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか一項に記載の電子装置。
(付記6) 前記超音波伝播部材は、複数の前記バンプの上方を覆い、中央に前記半導体チップを配置可能な開口部が形成された枠体であることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか一項に記載の電子装置。
(付記7) 支持部材の上方に超音波伝播部材を形成する工程と、前記支持部材の上方に、半導体回路が形成された配線層を下向きにして半導体チップを配置する工程と、前記超音波伝播部材より弾性率が低い樹脂で前記超音波伝播部材及び前記半導体チップを覆う工程と、前記支持部材から前記樹脂で覆われた前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を取り外し、前記半導体チップの配線層及び前記樹脂面を覆う再配線層を形成する工程と、前記再配線層上に導電性のバンプを、少なくとも1つの前記バンプが前記超音波伝播部材の下方に位置されるように形成する工程と、前記バンプを他の基板の電極パッドの上に載置し、前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を通して超音波を前記バンプに印加して溶融させ、前記他の基板の前記電極パッドと前記再配線層の回路とを電気的に接続させる工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記8) 前記超音波伝播部材は、前記支持部材の上方に導電性の膜を配置した後、前記膜をパターニングして形成し、前記超音波伝播部材の形成後に前記半導体チップを前記支持部材の上方に配置することを特徴とする付記7に記載の電子装置の製造方法。
(付記9) 前記半導体チップを前記支持部材の上方に配置した後、前記超音波伝播部材を前記支持部材の上方に配置することを特徴とする付記7に記載の電子装置の製造方法。(付記10) 前記バンプの直径を前記超音波伝播部材より小さく形成することを特徴とする付記6乃至付記8のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法。
【符号の説明】
【0072】
1,100 電子装置
4 金属バンプ
5,105パッケージ部品
10 半導体チップ
13 配線層
21 樹脂
25 柱(超音波伝播部材)
31 再配線層
32 配線パターン
41 支持基板(支持部材)
51 絶縁膜
101,111 超音波伝播部材
101A 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体回路を含む配線層を有する半導体チップと、
前記半導体チップを覆い、前記配線層の最表層を露出させる樹脂と、
前記樹脂及び前記配線層を覆う再配線層と、
前記再配線層の配線に接続され、導電性を有するバンプと、
前記樹脂内に配置され、前記バンプの上方で、かつ前記再配線層の絶縁膜上に形成され、前記樹脂より弾性率が大きい超音波伝播部材と、
を含むことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記超音波伝播部材が金属、セラミックス、又は半導体材料を用いて製造されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記超音波伝播部材の幅は、前記バンプの最大径より大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記超音波伝播部材は、1つの前記バンプの上方に1つずつ配置される柱であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記超音波伝播部材は、複数の前記バンプの上方を覆い、中央に前記半導体チップを配置可能な開口部が形成された枠体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項6】
支持部材の上方に超音波伝播部材を形成する工程と、
前記支持部材の上方に、半導体回路が形成された配線層を下向きにして半導体チップを配置する工程と、
前記超音波伝播部材より弾性率が低い樹脂で前記超音波伝播部材及び前記半導体チップを覆う工程と、
前記支持部材から前記樹脂で覆われた前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を取り外し、前記半導体チップの配線層及び前記樹脂面を覆う再配線層を形成する工程と、
前記再配線層上に導電性のバンプを、少なくとも1つの前記バンプが前記超音波伝播部材の下方に位置されるように形成する工程と、
前記バンプを他の基板の電極パッドの上に載置し、前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を通して超音波を前記バンプに印加して溶融させ、前記他の基板の前記電極パッドと前記再配線層の回路とを電気的に接続させる工程と、
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項1】
半導体回路を含む配線層を有する半導体チップと、
前記半導体チップを覆い、前記配線層の最表層を露出させる樹脂と、
前記樹脂及び前記配線層を覆う再配線層と、
前記再配線層の配線に接続され、導電性を有するバンプと、
前記樹脂内に配置され、前記バンプの上方で、かつ前記再配線層の絶縁膜上に形成され、前記樹脂より弾性率が大きい超音波伝播部材と、
を含むことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記超音波伝播部材が金属、セラミックス、又は半導体材料を用いて製造されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記超音波伝播部材の幅は、前記バンプの最大径より大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記超音波伝播部材は、1つの前記バンプの上方に1つずつ配置される柱であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記超音波伝播部材は、複数の前記バンプの上方を覆い、中央に前記半導体チップを配置可能な開口部が形成された枠体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項6】
支持部材の上方に超音波伝播部材を形成する工程と、
前記支持部材の上方に、半導体回路が形成された配線層を下向きにして半導体チップを配置する工程と、
前記超音波伝播部材より弾性率が低い樹脂で前記超音波伝播部材及び前記半導体チップを覆う工程と、
前記支持部材から前記樹脂で覆われた前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を取り外し、前記半導体チップの配線層及び前記樹脂面を覆う再配線層を形成する工程と、
前記再配線層上に導電性のバンプを、少なくとも1つの前記バンプが前記超音波伝播部材の下方に位置されるように形成する工程と、
前記バンプを他の基板の電極パッドの上に載置し、前記半導体チップ及び前記超音波伝播部材を通して超音波を前記バンプに印加して溶融させ、前記他の基板の前記電極パッドと前記再配線層の回路とを電気的に接続させる工程と、
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図12A】
【図12B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図12A】
【図12B】
【公開番号】特開2013−110213(P2013−110213A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252778(P2011−252778)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
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