説明

電子装置

【課題】信頼性や製造歩留り等を損なうことなく、電気的特性を向上し得る電子装置を提供する。
【解決手段】第1の絶縁層14の下層側に位置する第1の接地導体層24と、第1の絶縁層の上層側に位置する第2の接地導体層26と、第2の接地導体層の上層側に位置する第2の絶縁層16と、第1の絶縁層と第2の絶縁層とを貫く第1の開口部22bの内壁に形成され、第1の接地導体層と第2の接地導体層とを接続する第1の接続パターン34と、第1の開口部に配され、第1の接地導体層に接続された導電性の部材36と、部材上に配され、部材に接地された電子素子37a,37bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大電力の高周波を扱う電子装置においては、増幅器等から発せられる熱を効果的に放熱することが重要である。
【0003】
そこで、基板に形成した開口部内に金属部材を配し、かかる金属部材上に増幅器等を配することにより、増幅器等から発せられる熱を効果的に放熱することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−179181号公報
【特許文献2】特開平10−242377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、提案されている電子装置では、必ずしも十分な信頼性、製造歩留り、電気的特性等が得られるとは限らない。
【0006】
本発明の目的は、信頼性や製造歩留り等を損なうことなく、電気的特性を向上し得る電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一観点によれば、第1の絶縁層の下層側に位置する第1の接地導体層と、前記第1の絶縁層の上層側に位置する第2の接地導体層と、前記第2の接地導体層の上層側に位置する第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とを貫く第1の開口部の内壁に形成され、前記第1の接地導体層と前記第2の接地導体層とを接続する第1の接続パターンと、前記第1の開口部に配され、前記第1の接地導体層に接続された導電性の部材と、前記部材上に配され、前記部材に接地された電子素子とを有することを特徴とする電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の電子装置によれば、第1の絶縁層の下層側に位置する第1の接地導体層と、第1の絶縁層の上層側に位置する第2の接地導体層とが、第1の開口部の内壁に形成された第1の接続パターンにより接続されている。そして、第1の開口部に配された導電性の部材が、第1の接地導体層に接続されている。導電性の部材が接続される第1の接地導体層上に複数の絶縁層が存在するため、十分な機械的強度が得られ、信頼性や製造歩留りが損なわれることはない。しかも、第1の接続パターンが第1の開口部内に形成されているため、電子素子の接地導体と第2の接地導体層との間の接続経路の引き回しは比較的短く、電子素子の接地導体と第2の接地導体層との間のインピーダンスは比較的小さい。このため、信頼性や製造歩留りを損なうことなく、広帯域化、低損失化等、電気的特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1実施形態による電子装置を示す断面図及び平面図である。
【図2】図2は、第1実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その1)である。
【図3】図3は、第1実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その2)である。
【図4】図4は、第1実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その3)である。
【図5】図5は、第1実施形態による電子装置の接続パターンの側面図である。
【図6】図6は、接地導体及び放熱体として機能する部材を示す平面図及び側面図である。
【図7】図7は、参考例(その1)による電子装置を示す断面図及び平面図である。
【図8】図8は、参考例(その2)による電子装置を示す断面図及び平面図である。
【図9】図9は、反射特性の測定結果を示すグラフである。
【図10】図10は、第2実施形態による電子装置を示す断面図及び平面図である。
【図11】図11は、第2実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その1)である。
【図12】図12は、第2実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その2)である。
【図13】図13は、第2実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その3)である。
【図14】図14は、第2実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その4)である。
【図15】図15は、第2実施形態による電子装置の接続パターンの側面図である。
【図16】図16は、第3実施形態による電子装置を示す断面図及び平面図である。
【図17】図17は、第3実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その1)である。
【図18】図18は、第3実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その2)である。
【図19】図19は、第3実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その3)である。
【図20】図20は、第3実施形態による電子装置の各部を示す平面図(その4)である。
【図21】図21は、第3実施形態による電子装置の接続パターンの側面図(その1)である。
【図22】図22は、第3実施形態による電子装置の接続パターンの側面図(その2)である。
【図23】図23は、第4実施形態による電子装置の回路構成を示すブロック図である。
【図24】図24は、第4実施形態による電子装置を示す断面図である。
【図25】図25は、第4実施形態による電子装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態による電子装置を図1乃至図6を用いて説明する。図1は、本実施形態による電子装置を示す断面図及び平面図である。図1(b)は平面図であり、図1(a)は図1(b)のA−A′線断面図である。図2乃至図4は、本実施形態による電子装置の各部を示す平面図である。図2(a)は、最上層の絶縁層の上面側に位置するパターンを示している。図2(b)は、最上層の絶縁層の下面側に位置するパターンを示している。図3(a)は、第2層目の絶縁層の主面に平行な面における第2層目の絶縁層と接続パターンの断面を示している。図3(b)は、第2層目の絶縁層の下面側に位置するパターンを示している。図4(a)は、第1層目の絶縁層を示している。図4(b)は、基体を示している。図5は、開口部内から見たときの本実施形態による電子装置の接続パターンの側面図である。図6は、接地導体及び放熱体として機能する部材を示す平面図及び側面図である。図6(a)は、かかる部材の平面図であり、図6(b)は、かかる部材の側面図である。
【0011】
本実施形態による電子装置は、高周波用の電子装置(高周波パッケージ)である。本実施形態による電子装置は、例えば、通信、レーダ、センサ、電波妨害器等に適宜適用し得る。
【0012】
なお、ここでは、高周波用の電子装置を例に説明するが、高周波用の電子装置に限定されるものではなく、様々な電子装置に適用可能である。
【0013】
図1に示すように、基体(基板、支持体、支持基板)10上には、複数の絶縁層12,14,16が形成されている。基体10の四隅には、基体10をねじ止めにより固定するための固定部(突出部)11が形成されている。突出部11には、ねじ止め用の孔13が形成されている。基体10を接地導体に固定することにより、基体10を接地電位に接続し得る。基体10の材料としては、複数の絶縁層12,14,16よりも熱伝導率が高く、導電性を有する材料が用いられている。より具体的には、基体10の材料として、例えば金属が用いられている。ここでは、基体10の材料として、例えばコバールが用いられている。基体10の厚さは、例えば0.5mm程度とする。
【0014】
絶縁層12,14,16の材料としては、例えばセラミックスが用いられている。ここでは、絶縁層12,14,16の材料として、例えばアルミナセラミックスが用いられている。絶縁層12,14,16の厚さは、例えば0.25mm程度とする。
【0015】
高温焼成を要するアルミナセラミックス等を絶縁層として用い、高温焼成を行うことにより形成される多層配線基板は、高温焼成セラミックス多層基板、即ち、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)基板と称される。
【0016】
基体10及び絶縁層12,14,16には、基体10と複数の絶縁層12,14,16とを貫く開口部(貫通孔)22が形成されている。即ち、開口部22は、基体10及び複数の絶縁層12,14,16を含むセラミックス多層基板2を貫いている。
【0017】
開口部22は、基体10と第1層目の絶縁層12とを貫く部分開口部(第1の開口部)22aと、第2層目の絶縁層14と第3層目の絶縁層16とを貫く部分開口部(第2の開口部)22bとを有している。部分開口部22bは部分開口部22a上に位置しており、部分開口部22aと部分開口部22bとは繋がっている。部分開口部22bの径(開口寸法)は、部分開口部22aの径(開口寸法)より小さく設定されている。
【0018】
図1(a)及び図3(b)に示すように、第2層目の絶縁層14の下面側(下層側)には、接地導体層(グラウンド層、グラウンドパターン、接地パターン)24と電源配線33a,33bとが形成されている。なお、図3(b)は、接地導体層24及び電源配線33a,33bを下面側から見た図である。接地導体層24の下面は、部分開口部22a内に露出している。電源配線33a,33bの一方の端部は、絶縁層14の縁部の近傍に位置している。電源配線33a,33bの他方の端部は、部分開口部22bの近傍に位置している。接地導体層24及び電源配線33a,33bの材料としては、例えばタングステンが用いられている。
【0019】
図1(a)及び図2(b)に示すように、第3層目(最上層)の絶縁層16の下面側(下層側)、即ち、第2層目の絶縁層14の上面側(上層側)には、接地導体層(グラウンド層)26が形成されている。接地導体層26は、ビア31を配するための領域を除く領域の全面に形成されている。接地導体層26の材料としては、例えばタングステンが用いられている。
【0020】
図1(b)及び図2(a)に示すように、最上層の絶縁層16の上面側(上層側)には、信号パターン(信号線)28a,28b、電源端子27a,27b、及び、電源配線29a,29bが形成されている。信号パターン28a,28b、電源端子27a,27b、及び、電源配線29a,29bの材料としては、例えば金めっきが施されたタングステンが用いられている。信号パターン28a,28bの一方の端部は、開口部22の近傍に位置している。信号パターン28a,28bの他方の端部は、絶縁層16の縁部の近傍に位置している。電源端子27a,27bは、絶縁層16の縁部の近傍に位置している。電源端子27aは、例えば電子素子37a,37bにゲート電源を印加するためのものである。電源端子27bは、例えば電子素子37a,37bにドレイン電源を印加するためのものである。電源配線29a,29bは、部分開口部22bの近傍に位置している。
【0021】
信号パターン28a,28bと接地導体層26とにより伝送線路(マイクロストリップ線路)30a,30bがそれぞれ形成されている。
【0022】
最上層の絶縁層16の上面側に形成された電源端子27a,27bと第2層目の絶縁層14の下面側に形成された電源配線33a,33bの一方の端部とは、第2層目の絶縁層14及び最上層の絶縁層16に埋め込まれたビア31を介して電気的に接続されている。第2層目の絶縁層14の下面側に形成された電源配線33a,33bの他方の端部と最上層の絶縁層16の上面側に形成された電源配線29a,29bの一方の端部とは、絶縁層14,16に埋め込まれたビア31を介して電気的に接続されている。
【0023】
こうして、最上層の絶縁層16の上面側に形成された電源端子27a,27bと電源配線29a,29bとが電気的に接続されている。
【0024】
図3及び図5に示すように、開口部22の内壁(側壁)には、溝32が形成されている。溝32の長手方向は、絶縁層14の主面に対して垂直な方向となっている。溝32は、絶縁層14に形成されている。
【0025】
図1(a)、図3(a)及び図5に示すように、溝32には、接続パターン(キャスタレーション、接地配線)34が形成されている。接続パターン34は、第2層目の絶縁層14の下面側に形成された接地導体層24と最上層の絶縁層16の下面側に形成された接地導体層26とを接続している。接続パターン34の材料としては、例えばタングステンが用いられている。
【0026】
開口部22内には、絶縁層12,14,16よりも熱伝導率が高く、導電性を有する部材(ステージ、ブロック)36が配されている。部材36は、接地導体として機能するとともに、放熱体(ヒートシンク、放熱器、放熱板、熱伝導体)としても機能する。部材36が接地導体として機能するため、部材36上に配される電子素子(電子部品、半導体素子、半導体装置)37a,37bの接地導体を、部材36を介して接地電位に接続し得る。また、部材36が放熱体としても機能するため、電子素子37a,37bから発せられる熱を、部材36を介して効率的に放熱し得る。部材36の材料としては、例えば金属が用いられている。ここでは、部材36の材料として、例えばCuW(銅タングステン)が用いられている。
【0027】
図6に示すように、部材36は、径が比較的大きい部分35aと、かかる部分35a上に位置し、かかる部分35aより径が小さい部分35bとを有している。径が比較的大きい部分35aは、径が比較的大きい部分開口部22a内に位置している。径が比較的小さい部分35bは、径が比較的小さい部分開口部22b内に位置している。基材10の主面に対して垂直な方向における部材36の断面の形状は、凸形状となっている。部材36のうちの径が比較的大きい部分35aの上面は、接地導体層24の下面に接続されている。部材36のうちの径が比較的大きい部分35aの上面と接地導体層24の下面とは、例えば半田付け等により接合されている。部材36のうちの径が比較的大きい部分35aの上面と接地導体層24の下面とを接合する半田材料としては、例えばAuSn等が用いられている。
【0028】
接地導体及び放熱体として機能する部材36は、第2層目の絶縁層14の下面側に位置する接地導体層24と、開口部22の内壁に形成された接続パターン34とを介して、最上層の絶縁層16の下面側に位置する接地導体層26に電気的に接続されている。
【0029】
図7は、参考例(その1)による電子装置を示す断面図及び平面図である。図7(b)は平面図であり、図7(a)は図7(b)のA−A′線断面図である。
【0030】
参考例(その1)による電子装置では、開口寸法が比較的大きい部分開口部22aが基体10を貫いており、開口寸法が比較的小さい部分開口部22bが絶縁層12,14,16を貫いている。そして、接地導体及び放熱体として機能する部材36aと基体10とが、部分開口部22aの内壁において銀ろう等により接続されている。そして、最上層の絶縁層16の下面側に位置する接地導体層26と基体10とが、絶縁層12,14に埋め込まれたビア54により電気的に接続されている。このような参考例(その1)による電子装置では、電子素子37a,37bと接地導体層26とが、部材36a,基体10及びビア54を介して電気的に接続される。より具体的には、電子素子37a,37bの接地導体(図示せず)と接地導体層26とが、部材36a,基体10及びビア54を介して電気的に接続される。このため、参考例(その1)による電子装置では、電子素子37a,37bと接地導体層26との接続経路の引き回しが比較的長くなり、電子素子37a,37bと接地導体層26との間のインダクタンスは比較的大きくなる。電子素子37a,37bと接地導体層26との間のインダクタンスが比較的大きいため、参考例(その1)による電子装置では、必ずしも十分に広い帯域幅が得られず、伝送損失も比較的大きい。
【0031】
図8は、参考例(その2)による電子装置を示す断面図及び平面図である。図8(b)は平面図であり、図8(a)は図8(b)のA−A′線断面図である。
【0032】
参考例(その2)による電子装置では、開口寸法の比較的大きい部分開口部22aが基体10及び絶縁層12,14を貫いており、開口寸法の比較的小さい部分開口部22bが絶縁層16を貫いている。そして、接地導体及び放熱体として機能する部材36bが最上層の絶縁層16の下面側に位置する接地導体層26に直接接続されている。また、接地導体及び放熱体として機能する部材36bと基体10とが、部分開口部22aの内壁において銀ろう等により接続されている。参考例(その2)による電子装置によれば、部材36bが接地導体層26に直接接続されているため、電子素子37a,37bと接地導体層26とは部材36bを介して接続され、電子素子37a,37bと接地導体層26との間の接続経路の引き回しは比較的短い。
【0033】
しかしながら、参考例(その2)による電子装置では、部材36bが当接する接地導体層26上に存在する絶縁層16は1層のみである。部材36bが当接する接地導体層26上に1層の絶縁層16しか存在しないため、参考例(その2)による電子装置では、十分な機械的強度が得られず、絶縁層16が破損する虞がある。
【0034】
絶縁層16の厚さを厚く設定すれば、絶縁層16の機械的強度を向上させることは可能であるが、高周波化の観点からは、絶縁層16の厚さを厚くすることは好ましくない。むしろ、更なる高周波化を実現すべく、絶縁層16の厚さを更に薄くすることも要求され得る。
【0035】
そこで、本実施形態では、最上層の絶縁層16の下面側に位置する接地導体層26と第2層目の絶縁層14の下面側に位置する接地導体層24とを、開口部22の内壁に形成した接続パターン34により接続し、部材36を接地導体層24に接続している。
【0036】
本実施形態では、2層目の絶縁層14の下面側に位置する接地導体層24に部材36を当接するため、部材36が当接する接地導体層24上には複数の絶縁層14,16が存在する。部材36が当接する接地導体層24上に複数の絶縁層14,16が存在するため、本実施形態による電子装置では、十分な機械的強度が得られ、絶縁層14,16は破損しにくい。
【0037】
しかも、本実施形態では、開口部22の内壁に形成された接続パターン34を介して部材36と接地導体層26とを電気的に接続するため、部材36と接地導体層26との接続経路の引き回しは比較的短い。このため、本実施形態によれば、電子回路37a,37bと接地導体層26との間のインダクタンスを十分に小さくすることができる。
【0038】
従って、本実施形態によれば、信頼性や製造歩留り等を損なうことなく、帯域幅の向上や伝送損失の低減等、電気的特性の向上を図ることができる。
【0039】
接地導体及び放熱体として機能する部材36上には、電子素子37a,37b及びキャパシタ43が配されている。電子素子37aは、例えば前置増幅器である。電子装置37bは、例えば高出力増幅器である。電子素子37a,37bは、部材36に固定されている。電子素子37a,37bの接地導体(図示せず)は、部材36と電気的に接続されている。より具体的には、電子素子37a,37bの接地導体(図示せず)が、電子素子37a,37bの基板(図示せず)の下面側に形成された導電膜(接地導体)(図示せず)に電気的に接続されており、かかる導電膜が部材36に接続されている。電子素子37a,37bの基板の下面側に形成された導電膜と部材36とは、例えば、半田付け等により接合されている。電子部品37a,37bと部材36とを接合する半田材料としては、例えばAuSn等が用いられている。
【0040】
キャパシタ43は、下部電極(図示せず)と、下部電極上に形成された誘電体膜(図示せず)と、誘電体膜上に形成された上部電極39とを有している。キャパシタ43の下部電極は、部材36と電気的に接続されている。キャパシタ43の下部電極と部材36とは、例えば半田付け等により接合されている。キャパシタ43の下部電極と部材36とを接合する半田材料としては、例えばAuSn等が用いられている。
【0041】
開口部22内に配された部材36と基体10とは、例えば、銀ろう等を用いて接合されている。銀ろう等を用いて接合することにより、気密性を確保するとともに、部材36と基体10とを電気的に接続し得る。
【0042】
信号パターン28aと電子素子37aの信号入力端子38aとは、例えばボンディングワイヤ(電線)40により接続されている。また、電子素子37aの信号出力端子38bと電子素子37bの信号入力端子38cとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。また、電子素子37bの信号出力端子38dと信号パターン28bとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。
【0043】
電源配線29a,29bの他方の端部とキャパシタ43の上部電極とは、例えばボンディングワイヤ40によりそれぞれ接続されている。また、キャパシタ43の上部電極39と電子素子37a,37bの電源端子41a〜41dとは、例えばボンディングワイヤ40によりそれぞれ接続されている。
【0044】
信号パターン28a,28bが形成された最上層の絶縁層16上には、最上層の絶縁層16上の所定領域を囲む封止用構造物42が形成されている。封止用構造物42は、枠状に形成されている。封止用構造物42の材料としては、例えば絶縁性の材料が用いられている。封止用構造物42の材料として絶縁性の材料を用いるのは、封止用構造物42と信号パターン28a,28bとが短絡するのを防止するためである。ここでは、封止用構造物42の材料として、例えばアルミナセラミックスが用いられている。信号パターン28a,28bが形成された最上層の絶縁層16上に絶縁性の封止用構造物42を設けることにより、フィードスルーが形成されている。即ち、気密状態を保持した状態で信号の入出力を行うことが可能となっている。
【0045】
封止用構造物42上には、封止用構造物44が更に形成されている。封止用構造物44も、封止用構造物42と同様に、枠状に形成されている。封止用構造物44の材料としては、金属が用いられている。ここでは、封止用構造物44の材料として、例えばコバールが用いられている。封止用構造物42と封止用構造物44とは、例えば銀ろう等を用いて固定されている。
【0046】
封止用構造物44上には、封止用の蓋部46が配されている。蓋部46は、例えば、半田付け等により封止用構造物44に接合されている。蓋部46と封止用構造物44とを接合する半田材料としては、例えばAuSn半田が用いられている。蓋部46の厚さは、例えば0.3mm程度とする。
【0047】
封止用構造物42,44と封止用の蓋部46とにより、気密封止が為されている。
【0048】
こうして本実施形態による電子装置が形成されている。
【0049】
(評価結果)
次に、本実施形態による電子装置の評価結果について説明する。図9は、反射特性の測定結果を示すグラフである。図9における横軸は周波数を示しており、図9における縦軸は反射量を示している。図9(a)は、実施例の場合、即ち、本実施形態による電子装置の場合の測定結果を示している。図9(b)は、比較例の場合、即ち、図7に示す参考例(その1)による電子装置の場合の測定結果を示している。反射特性の測定を行う際には、図1,図7においてそれぞれ破線で囲まれている部分を、高周波プローブを用いてオン・ウェハにてそれぞれ測定した。
【0050】
図7に示すように、比較例、即ち、参考例(その1)による電子装置には、開口部22の内壁に接続パターン34(図1参照)は設けられていない。比較例では、接地導体及び放熱体として機能する部材36aと接地導体層26とは、基体10及びビア54を介して電気的に接続されている。
【0051】
図9(b)に示すように、比較例の場合には、反射量が−15dB以下となる帯域幅は、8GHz程度と比較的狭かった。比較例の場合において帯域幅が狭くなるのは、伝送線路の接地の連続性が不十分なためと考えられる。
【0052】
これに対し、図9(a)に示すように、実施例、即ち、本実施形態による電子装置の場合には、反射量が−15dB以下となる帯域幅は25GHz程度と極めて広かった。実施例において帯域幅が極めて広くなるのは、伝送線路の接地が十分に連続的になるためと考えられる。
【0053】
このことから、本実施形態によれば、帯域幅の大幅な向上を実現し得ることが分かる。
【0054】
このように、本実施形態によれば、第2層目の絶縁層14の下面側に形成された接地導体層24と最上層の絶縁層16の下面側に形成された接地導体層26とが、開口部22の内壁に形成された接続パターン34により接続されている。そして、接地導体及び放熱体として機能する部材36が、接地導体層24の下面側に接続されている。本実施形態によれば、部材36が当接する接地導体層24上に複数の絶縁層14,16が存在するため、十分な機械的強度が得られ、信頼性や製造歩留りが損なわれることはない。しかも、接続パターン34が開口部22内に形成されているため、電子素子37a,37bと接地導体層26との間の接続経路の引き回しは比較的短く、電子素子37a,37bと接地導体層26との間のインピーダンスは比較的小さい。このため、本実施形態によれば、信頼性や製造歩留りを損なうことなく、広帯域化、低損失化等、電気的特性の向上を図ることができる。
【0055】
[第2実施形態]
第2実施形態による電子装置を図10乃至図15を用いて説明する。図10は、本実施形態による電子装置を示す断面図及び平面図である。図10(b)は平面図であり、図10(a)は図10(b)のA−A′線断面図である。図11乃至図14は、本実施形態による電子装置の各部を示す平面図である。図11(a)は、最上層の絶縁層の上面側に位置するパターンを示している。図11(b)は、最上層の絶縁層の主面に平行な面における最上層の絶縁層と接続パターンの断面を示している。図12(a)は、最上層の絶縁層の下面側に位置するパターンを示している。図12(b)は、第2層目の絶縁層の主面に平行な面における第2層目の絶縁層と接続パターンの断面を示している。図13(a)は、第2層目の絶縁層の下面側に位置するパターンを示している。図13(b)は、第1層目の絶縁層を示している。図14は、基体を示している。図15は、開口部内から見たときの本実施形態による電子装置の接続パターンの側面図である。図1乃至図9に示す第1実施形態による電子装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0056】
本実施形態による電子装置は、最上層の絶縁層16上に接地導体パターン48a〜48dが形成されており、開口部22の内壁に形成された接続パターン34aが接地導体パターン48a〜48dに更に接続されているものである。
【0057】
図10(b)及び図11(a)に示すように、信号パターン28aの両側には、接地導体パターン(接地パターン、グラウンドパターン)48a,48bが形成されている。接地導体パターン48a,48bは、開口部22の近傍において、信号パターン28aの一部に沿うように形成されている。接地導体パターン48a,48bは、信号パターン28aと同様に、最上層の絶縁層16の上面側(上層側)に位置している。信号パターン28aと接地導体パターン48a,48bとにより、伝送線路(コプレーナ線路)50aが形成されている。
【0058】
信号パターン28bの両側には、接地導体パターン48c,48dが形成されている。接地導体パターン48c,48dは、開口部22の近傍において、信号パターン28bの一部に沿うように形成されている。接地導体パターン48c,48dは、信号パターン28bと同様に、最上層の絶縁層16の上面側(上層側)に位置している。信号パターン28bと接地導体パターン48c,48dとにより、伝送線路(コプレーナ線路)50bが形成されている。
【0059】
信号パターン28aの一方の端部と電子素子37aの信号入力端子38aとは、例えばボンディングワイヤ40を用いて接続されている。接地導体パターン48c,48dと電子素子37aの接地端子52a,52bとは、例えばボンディングワイヤ40を用いてそれぞれ接続されている。
【0060】
電子素子37aの信号出力端子38bと電子素子37bの信号入力端子38cとは、例えばボンディングワイヤ40を用いて接続されている。電子素子37aの接地端子52c,52dと電子素子37bの接地端子52e,52fとは、例えばボンディングワイヤ40を用いてそれぞれ接続されている。
【0061】
信号パターン28bの一方の端部と電子素子37bの信号出力端子38dとは、例えばボンディングワイヤ40を用いて接続されている。接地導体パターン48c,48dと電子素子37bの接地端子52g,52hとは、例えばボンディングワイヤ40を用いてそれぞれ接続されている。
【0062】
図10乃至図13及び図15に示すように、開口部22内の内壁には、溝32aが形成されている。溝32aは、絶縁層14と絶縁層16とに形成されている。溝32aのうちの絶縁層14に形成された部分と、溝32bのうちの絶縁層16に形成された部分とは、繋がっている。溝32aの長手方向は、絶縁層14,16の主面に対して垂直な方向となっている。なお、図13(a)は、接地導体層24及び電源配線33a,33bを下面側から見た図である。
【0063】
溝32aには、接続パターン(キャスタレーション、接地配線)34aが形成されている。接続パターン34aは、接地導体層26と接地導体層24とを接続するのみならず、接地導体パターン48a〜48dにもそれぞれ接続されている。
【0064】
こうして、本実施形態による電子装置が形成されている。
【0065】
このように、最上層の絶縁層16上に接地導体パターン48a〜48dを形成し、開口部22の内壁に形成された接続パターン34aを接地導体パターン48a〜48dに更に接続するようにしてもよい。本実施形態によれば、電子素子37a、37bの接地端子52a,52b,52g,52hが、接地導体パターン48a〜48d及び接続パターン34aを介して接地導体層26等に電気的に接続されているため、伝送線路30a,30b,50a,50bの接地電位と電子素子37a,37bの接地電位とを、互いにより安定化することができる。このため、本実施形態によれば、広帯域化、低損失化等、電気的特性の更なる向上を図ることができる。
【0066】
[第3実施形態]
第3実施形態による電子装置を図16乃至図22を用いて説明する。図16は、本実施形態による電子装置を示す断面図及び平面図である。図16(b)は平面図であり、図16(a)は図16(b)のA−A′線断面図である。図17乃至図20は、本実施形態による電子装置の各部を示す平面図である。図17(a)は、最上層の絶縁層の上面側に位置するパターンを示している。図17(b)は、最上層の絶縁層の主面に平行な面における最上層の絶縁層と接続パターンの断面を示している。図18(a)は、最上層の絶縁層の下面側に位置するパターンを示している。図18(b)は、第2層目の絶縁層の主面に平行な面における第2層目の絶縁層と接続パターンの断面を示している。図19(a)は、第2層目の絶縁層の下面側に位置するパターンを示している。図19(b)は、第1層目の絶縁層の主面に平行な面における第1層目の絶縁層と接続パターンの断面を示している。図20は、基体を示している。図21は、開口部内から見たときの本実施形態による電子装置の接続パターンの側面図(その1)である。図22は、本実施形態による電子装置の接続パターンの側面図(その2)である。図1乃至図15に示す第1又は第2実施形態による電子装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0067】
本実施形態による電子装置は、絶縁層16の縁部の近傍に接地導体パターン58a〜58dが形成され、接地導体パターン58a〜58dが絶縁層12,14,16の縁部の側壁に形成された接続パターン56により接地導体層26等に接続されているものである。また、本実施形態による電子装置は、最上層の絶縁層16の下面側に位置する接地導体層26と、第2層目の絶縁層14の下面側に位置する接地導体層24aとが、ビア54により基体10に更に接続されているものである。
【0068】
図19(a)に示すように、第2層目の絶縁層14の下面側(下層側)には、接地導体層24a及び電源配線33a,33bが形成されている。接地導体層24aは、電源配線33a,33bが配される領域を除く領域の全面に形成されている。なお、図19(a)は、接地導体層24a及び電源配線33a,33bを下面側から見た図である。
【0069】
図18(b)及び図19(b)に示すように、絶縁層12と絶縁層14には、複数のビア54が形成されている。最上層の絶縁層16の下面側に位置する接地導体層26と、第2層目の絶縁層14の下面側に位置する接地導体層24aとは、ビア54により基体10に接続されている。
【0070】
図16乃至図19及び図21に示すように、開口部22の内壁には、第2実施形態による電子装置と同様に、接続パターン34aが形成されている。即ち、開口部22内の内壁には、溝32aが形成されている。溝32aは、第4層目の絶縁層14と第5層目の絶縁層16とに形成されている。溝32aのうちの絶縁層14に形成された部分と、溝32bのうちの絶縁層16に形成された部分とは、繋がっている。溝32aの長手方向は、絶縁層14,16の主面に対して垂直な方向となっている。溝32aには、接続パターン(キャスタレーション、接地配線)34aが形成されている。接続パターン34aは、接地導体層26と接地導体層24aとを接続するのみならず、接地導体パターン48a〜48dにもそれぞれ接続されている。
【0071】
図16に示すように、信号パターン28aの両側には、接地導体パターン58a,58bが形成されている。接地導体パターン58a,58bは、外部の接地線を接続するためのものである。接地導体パターン58a,58bは、絶縁層12,14,16の縁部(外縁部)の近傍において、信号パターン28aの一部に沿うように形成されている。接地導体パターン58a,58bは、信号パターン28aと同様に、最上層の絶縁層16の上面側(上層側)に位置している。信号パターン28aと接地導体パターン48a,48bとにより、伝送線路(コプレーナ線路)50cが形成されている。
【0072】
信号パターン28bの両側には、接地導体パターン58c,58dが形成されている。接地導体パターン58c,58dは、外部の接地線を接続するためのものである。接地導体パターン58c,58dは、絶縁層12,14,16の縁部の近傍において、信号パターン28bの一部に沿うように形成されている。接地導体パターン58c,58dは、信号パターン28bと同様に、最上層の絶縁層16の上面側(上層側)に位置している。信号パターン28bと接地導体パターン48c,48dとにより、伝送線路(コプレーナ線路)50dが形成されている。
【0073】
図16乃至図19及び図22に示すように、絶縁層12,14,16の縁部には、溝60が形成されている。溝60の長手方向は、絶縁層12,14,16の主面に対して垂直な方向となっている。溝60は、絶縁層12、絶縁層14及び絶縁層16に形成されている。溝60のうちの絶縁層12に形成されている部分と、溝60のうちの絶縁層14に形成されている部分と、溝60のうちの絶縁層16に形成されている部分とは繋がっている。溝60には、接続パターン(キャスタレーション)56が形成されている。接続パターン56は、接地導体パターン58a〜58dと接地導体層26と接地導体層24aと基体10とを互いに接続している。
【0074】
こうして、本実施形態による電子装置が形成されている。
【0075】
このように、本実施形態によれば、絶縁層16の縁部の近傍における絶縁層16上に接地導体パターン58a〜58dが形成されている。そして、接地導体パターン58a〜58dが、絶縁層12,14,16の縁部の側壁に形成された接続パターン56により、接地導体層26等に接続されている。このため、本実施形態によれば、接続経路を大きく引き回すことなく、外部からの接地線(図示せず)を接地導体層26等に電気的に接続することができる。このため、広帯域化、低損失化等の電気的特性の向上により寄与することができる。
【0076】
また、本実施形態による電子装置は、最上層の絶縁層16の下面側に位置する接地導体層26と、第2層目の絶縁層14の下面側に位置する接地導体層24aとが、ビア54により基体10に接続されている。このため、本実施形態によれば、接地導体層26等の電位をより安定化することができ、広帯域化、低損失化等の電気的特性の向上により寄与することができる。
【0077】
[第4実施形態]
第4実施形態による電子装置を図23乃至図25を用いて説明する。図23は、本実施形態による電子装置の回路構成を示すブロック図である。図24は、本実施形態による電子装置を示す断面図である。図25は、本実施形態による電子装置を示す平面図である。図24は、図25のB−B′線断面に対応している。図1乃至図22に示す第1乃至第3実施形態による電子装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0078】
本実施形態による電子装置は、モノリシックマイクロ波集積回路(Monolithic Microwave Integrated Circuit、MMIC)モジュールに適用したものである。
【0079】
図23に示すように、本実施形態による電子装置は、電力増幅器62と低雑音増幅器64と送受切替器66と信号制御回路(位相器、可変減衰器、スイッチ、制御回路、信号制御部)68とを有している。送受切替器66は、送信と受信とを切り替えるためのものである。
【0080】
送受切替器66が送信側に設定されている場合には、端子70を介して入力され、信号制御回路68により処理された信号は、電力増幅器62により増幅され、送受信切替器66を介して端子72に達する。端子72は例えばアンテナ(図示せず)に接続されており、電力増幅器62により増幅された信号は、例えばアンテナを介して送信される。
【0081】
送受切替器66が受信側に設定されている場合には、外部出力端子72を介して入力された受信信号は、送受切替器66を介し、低雑音増幅器64により増幅され、信号制御回路68により信号処理され、端子70に達する。端子70は、例えば図示しない信号処理回路(信号処理部)に接続されており、信号制御回路68により信号処理された信号は、例えば信号処理回路に入力される。
【0082】
電力増幅器62は、信号制御回路68から出力された信号を増幅する前置増幅器74と、前置増幅器74により増幅された信号を更に増幅する増幅器(電子素子)37aと、増幅器76により増幅された信号を更に増幅する高出力増幅器(電子素子)37bとを有している。
【0083】
低雑音増幅器64は、受信信号を増幅する低雑音増幅器76と、低雑音増幅器76により増幅された信号を更に増幅する高利得増幅器78とを有している。
【0084】
図24に示すように、基体10上には、複数の絶縁層80,82,12,14,16が形成されている。絶縁層80,82の材料としては、絶縁層12,14,16の材料と同様に、例えばセラミックスが用いられている。
【0085】
第1層目の絶縁層80の上面側には、接地導体層84及び電源配線(図示せず)が形成されている。接地導体層84は、電源配線を形成するための領域を除く領域の全面に形成されている。
【0086】
第2層目の絶縁層82の上面側には、接地導体層86が形成されている。接地導体層86は、電源配線用のビア(図示せず)を配するための領域を除く領域の全面に形成されている。
【0087】
第4層目の絶縁層14の下面側(下層側)には、接地導体層24a及び電源配線(図示せず)が形成されている。接地導体層24aは、開口部22が形成された領域を含む所定領域内に形成されている。
【0088】
第5層目の絶縁層16の下面側(下層側)には、接地導体層26が形成されている。接地導体層26は、電源配線用のビア(図示せず)を配するための領域を除く領域の全面に形成されている。
【0089】
図24及び図25に示すように、第5層目、即ち、最上層の絶縁層16の上面側(上層側)には、信号パターン28c〜28j及び電源端子(図示せず)が形成されている。
【0090】
また、開口部22の近傍における絶縁層16の上には、第2実施形態による電子装置と同様に、接地導体パターン48a〜48dが形成されている。
【0091】
比較的径の大きい部分開口部22aは、絶縁層80、絶縁層82及び絶縁層12を貫いている。
【0092】
比較的径の小さい部分開口部22bは、絶縁層14及び絶縁層16を貫いている
第4層目の絶縁層14の下面側に位置する接地導体層24aの一部は、開口部22内に露出している。
【0093】
開口部22内の内壁には、第3実施形態による電子装置と同様に、溝32aが形成されている(図21参照)。本実施形態では、第4層目の絶縁層14と第5層目の絶縁層16とに溝32aが形成されている。溝32aのうちの絶縁層14に形成された部分と、溝32bのうちの絶縁層16に形成された部分とは、繋がっている。溝32aの長手方向は、絶縁層14,16の主面に対して垂直な方向となっている。溝32aには、第2実施形態による電子装置と同様に、接続パターン(キャスタレーション、接地配線)34aが形成されている。接続パターン34aは、接地導体層26と接地導体層24aとを接続するのみならず、接地導体パターン48a〜48dにもそれぞれ接続されている。
【0094】
接地導体及び放熱体として機能する部材36は、第4層目の絶縁層14の下面側に位置する接地導体層24aの下面側に接続されている。
【0095】
また、基体10を貫く開口部22a内において、部材36と基体10とが銀ろう等により接続されている。
【0096】
また、絶縁層12,14,16には、接地導体層86を露出する開口部84が形成されている。開口部84内における接地導体層86上には、送受切替器(電子素子)66が配されている。送受切替器66の下面は、例えば半田付け等により接地導体層86に接続されている。より具体的には、送受切替器66の接地導体(図示せず)が送受切替器66の基板(図示せず)の下面に形成された導電膜(図示せず)に電気的に接続されており、かかる導電膜の下面と接地導体層86の上面とが半田付け等により接合されている。送受切替器66の下面と接地導体層86とを接合する半田材料としては、例えばAuSn等が用いられている。
【0097】
絶縁層80,82,12,14には、ビア54が埋め込まれている。ビア54は、基体10と接地導体層84と接地導体層86と接地導体層24aと接地導体層26とを電気的に接続している。なお、送受切替器66の下方に位置するビア54は、基体10と接地導体層84と接地導体層86とを電気的に接続している。
【0098】
信号パターン28cの一方の端部と信号制御回路68の信号入出力端子87aとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。また、信号制御回路68の信号出力端子87bと信号パターン28dの一方の端部とは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。
【0099】
また、信号パターン28dの他方の端部と前置増幅器74の信号入力端子88aとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。また、前置増幅器74の信号出力端子88bと信号パターン28eの一方の端部とは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。
【0100】
信号パターン28eの他方の端部と増幅器37aの信号入力端子38aとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。また、増幅器37bの信号出力端子38bと信号パターン28fの一方の端部とは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。
【0101】
信号パターン28fの他方の端部と送受切替器66の信号入力端子90aとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。送受切替器66の信号入出力端子90bと信号パターン28gの一方の端部とは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。送受切替器66の信号出力端子90cと信号パターン28hの一方の端部とは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。
【0102】
信号パターン28hの他方の端部と増幅器76の信号入力端子92aとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。また、増幅器76の信号出力端子92bと信号パターン28iの一方の端部とは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。
【0103】
信号パターン28iの他方の端部と増幅器78の信号入力端子92aとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。また、増幅器78の信号出力端子94bと信号パターン28jの一方の端部とは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。
【0104】
信号パターン28jの他方の端部と信号制御回路68の信号入力端子87cとは、例えばボンディングワイヤ40により接続されている。
【0105】
なお、本実施形態においても、第1乃至第3実施形態において上述した電源端子27a,27b、電源配線29a,29b,33a,33b、キャパシタ43、及び、ビア31等は形成されているが、図示を省略している。
【0106】
こうして本実施形態による電子装置が形成されている。
【0107】
このように、MMICモジュール等の送受信装置等に適用するようにしてもよい。本実施形態によれば、信頼性や製造歩留りを損なうことなく、広帯域化、低損失化等の電気的特性の向上を実現し得る送受信装置等を提供することができる。
【0108】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0109】
例えば、第1乃至第3実施形態では、基体10上に3層の絶縁層12,14,16が設けられた基板2を用いる場合を例に説明したが、絶縁層の総数は3層に限定されるものではない。例えば、絶縁層の総数が4層以上であってもよい。例えば、第1実施形態において絶縁層の総数を4層とする場合、基体10と絶縁層12との間、又は、絶縁層12と絶縁層14との間に、絶縁層を更に形成すればよい。
【0110】
また、上記実施形態では、接地導体及び放熱体として機能する部材36の材料としてCuWを用いる場合を例に説明したが、かかる部材36の材料はCuWに限定されるものではない。例えば、CuやCuMo(銅モリブデン)等を部材36の材料として用いてもよい。また、ダイヤモンドを混入させたCu、Agを混入させたCu、又は、Alを混入させたCu等を、部材36の材料として用いてもよい。また、カーボンナノチューブ等を、部材36の材料として用いることも可能である。
【0111】
また、上記実施形態では、電子素子37a,37bやキャパシタ43を半田付けにより部材36に接合する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、導電性の接着剤等を用いて電子素子37a,37bやキャパシタ43を部材36に接続するようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、送受切替器66を半田付けにより接地導体層86に接合する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、導電性の接着剤等を用いて送受切替器66を接地導体層86に接続するようにしてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、部材36と基体10とを銀ろうを用いて接続する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、導電性の接着剤等を用いて部材36と基体10とを接続するようにしてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、絶縁層12,14,16,80,82の材料としてアルミナセラミックスを用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、絶縁層12,14,16,80,82の材料としてガラスセラミックス等を用いてもよい。ガラスセラミックス等を用いて低温焼成された多層配線基板は、低温焼成セラミックス多層基板、即ち、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板と称される。
【0115】
また、第4実施形態では、MMICモジュールに適用する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ハイブリッドIC等に適用するようにしてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、ボンディングワイヤ40を用いて接続する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、ボンディングリボン等を用いて接続するようにしてもよい。
【0117】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0118】
(付記1)
第1の絶縁層の下層側に位置する第1の接地導体層と、
前記第1の絶縁層の上層側に位置する第2の接地導体層と、
前記第2の接地導体層の上層側に位置する第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とを貫く第1の開口部の内壁に形成され、前記第1の接地導体層と前記第2の接地導体層とを接続する第1の接続パターンと、
前記第1の開口部に配され、前記第1の接地導体層に接続された導電性の部材と、
前記部材上に配され、前記部材に接地された電子素子と
を有することを特徴とする電子装置。
【0119】
(付記2)
付記1記載の電子装置において、
前記第1の開口部の近傍における前記第2の絶縁層上に形成された第1の接地導体パターンを更に有し、
前記第1の接続パターンは、前記第1の接地導体パターンに更に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【0120】
(付記3)
付記1又は2記載の電子装置において、
前記第2の絶縁層の縁部における前記第2の絶縁層上に形成された第2の接地導体パターンと、
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の側壁に形成され、前記第2の接地導体層と前記第2の接地導体パターンとを接続する第2の接続パターンとを更に有する
ことを特徴とする電子装置。
【0121】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の電子装置において、
前記第1の接地導体層の下層側に位置する第3の絶縁層であって、前記第1の開口部より開口寸法が大きい第2の開口部が形成された第3の絶縁層を更に有し、
前記部材は、前記第1の開口部内及び前記第2の開口部内に位置しており、
前記部材のうちの前記第2の開口部内に位置する部分の径は、前記部材のうちの前記第1の開口部内に位置する部分の径より大きく、
前記部材のうちの前記第2の開口部内に位置する部分の上面が、前記第1の接地導体層の下面に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【0122】
(付記5)
付記2記載の電子装置において、
前記第2の絶縁層上に形成された信号パターンを更に有し、
前記第1の接地導体パターンは、前記信号パターンの一部に沿うように形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【0123】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の電子装置において、
前記第1の接地導体層と前記第2の接地導体層とを接続するビアを更に有する
ことを特徴とする電子装置。
【0124】
(付記7)
付記3記載の電子装置において、
前記第1の絶縁層の下方に位置する導電性の基体を更に有し、
前記第2の接続パターンは、前記基体に更に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【0125】
(付記8)
付記6記載の電子装置において、
前記複数の絶縁層の下方に位置する導電性の基体を更に有し、
前記ビアは、前記基体に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【0126】
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載の電子装置において、
前記第1の接続パターンは、前記第1の開口部の前記内壁に形成された溝に形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【0127】
(付記10)
付記3又は7記載の電子装置において、
前記第2の接続パターンは、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の前記側壁に形成された溝に形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【0128】
(付記11)
付記1乃至10のいずれかに記載の電子装置において、
前記部材は、金属により形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【0129】
(付記12)
付記7又は8記載の電子装置において、
前記基体は、金属により形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【0130】
(付記13)
付記1乃至12のいずれかに記載の電子装置において、
前記複数の絶縁層は、セラミックスにより形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【符号の説明】
【0131】
2…基板
10…基体
11…固定部
12…絶縁層
13…孔
14…絶縁層
16…絶縁層
22…開口部
22a…部分開口部、第1の開口部
22b…部分開口部、第2の開口部
24…接地導体層
26…接地導体層
27a,27b…電源端子
28a〜28j…信号パターン
29a,29b…電源配線
30a,30b…伝送線路
31…ビア
32…溝
33a,33b…電源配線
34、34a…接続パターン
35a、36b…部分
36,36a,36b…部材
37a,37b…電子素子、増幅器
38a,38c…信号入力端子
38c,38d…信号出力端子
39…上部電極
40…ボンディングワイヤ
41a〜41d…電源端子
42…封止用構造物
43…キャパシタ
44…封止用構造物
46…蓋部
48a〜48d…接地導体パターン
50a,50b…伝送線路
52a〜52h…接地端子
54…ビア
56…接続パターン
58a〜58d…接地導体パターン
60…溝
62…電力増幅器
64…低雑音増幅器
66…送受切替器
68…信号制御回路
70…端子
72…端子
74…前置増幅器
76…低雑音増幅器
78…高利得増幅器
80…絶縁層
82…絶縁層
84…接地導体層
86…接地導体層
87a…信号入出力端子
87b…信号出力端子
87c…信号入力端子
88a…信号入力端子
88b…信号出力端子
90a…信号入力端子
90b…信号入出力端子
90c…信号出力端子
92a…信号入力端子
92b…信号出力端子
94a…信号入力端子
94b…信号出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層の下層側に位置する第1の接地導体層と、
前記第1の絶縁層の上層側に位置する第2の接地導体層と、
前記第2の接地導体層の上層側に位置する第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とを貫く第1の開口部の内壁に形成され、前記第1の接地導体層と前記第2の接地導体層とを接続する第1の接続パターンと、
前記第1の開口部に配され、前記第1の接地導体層に接続された導電性の部材と、
前記部材上に配され、前記部材に接地された電子素子と
を有することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置において、
前記第1の開口部の近傍における前記第2の絶縁層上に形成された第1の接地導体パターンを更に有し、
前記第1の接続パターンは、前記第1の接地導体パターンに更に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電子装置において、
前記第2の絶縁層の縁部における前記第2の絶縁層上に形成された第2の接地導体パターンと、
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の側壁に形成され、前記第2の接地導体層と前記第2の接地導体パターンとを接続する第2の接続パターンとを更に有する
ことを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子装置において、
前記第1の接地導体層の下層側に位置する第3の絶縁層であって、前記第1の開口部より開口寸法が大きい第2の開口部が形成された第3の絶縁層を更に有し、
前記部材は、前記第1の開口部内及び前記第2の開口部内に位置しており、
前記部材のうちの前記第2の開口部内に位置する部分の径は、前記部材のうちの前記第1の開口部内に位置する部分の径より大きく、
前記部材のうちの前記第2の開口部内に位置する部分の上面が、前記第1の接地導体層の下面に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項2記載の電子装置において、
前記第2の絶縁層上に形成された信号パターンを更に有し、
前記第1の接地導体パターンは、前記信号パターンの一部に沿うように形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子装置において、
前記第1の接地導体層と前記第2の接地導体層とを接続するビアを更に有する
ことを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項3記載の電子装置において、
前記第1の絶縁層の下方に位置する導電性の基体を更に有し、
前記第2の接続パターンは、前記基体に更に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項6記載の電子装置において、
前記複数の絶縁層の下方に位置する導電性の基体を更に有し、
前記ビアは、前記基体に接続されている
ことを特徴とする電子装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子装置において、
前記第1の接続パターンは、前記第1の開口部の前記内壁に形成された溝に形成されている
ことを特徴とする電子装置。
【請求項10】
請求項3又は7記載の電子装置において、
前記第2の接続パターンは、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の前記側壁に形成された溝に形成されている
ことを特徴とする電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2013−77746(P2013−77746A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217484(P2011−217484)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)