説明

電子記録媒体アクセス装置および報知システム

【課題】電子記録媒体アクセス装置に非接触型電子記録媒体をかざした位置が通信可能な位置ではない場合に、通信可能となる適切なかざし位置への方向をユーザに報知する電子記録媒体アクセス装置および報知システムを提供する。
【解決手段】電子記録媒体アクセス装置10に非接触型電子記録媒体20をかざした位置が通信可能な位置ではない場合に、位置検出部12は、非接触型電子記録媒体20がかざされている位置を判別する。そして、方向判別部13が、位置の情報に基づいて、通信可能となる位置への方向を判別する。制御部11は、判別した方向を示す情報を報知部15から出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触方式で記録媒体と通信を行う電子記録媒体アクセス装置および報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子マネーの普及に伴い、電子マネーが記録された非接触型ICカードなどと無線通信を行い、電子マネーを処理する電子マネー端末が普及している。例えば、電子マネー端末は、駅の改札、小売店舗などに備えられており、ユーザが利用できる電子マネー端末の数は増えつつある。
【0003】
電子マネー媒体と電子マネー端末とが通信するためには、両者の間で一定の距離が必要であり、一般的には数mmから10mm程度が必要である。そのため、ユーザが適切に電子マネー媒体をかざさないと、電子マネー端末と電子マネー媒体との間で通信できないことがある。
【0004】
そこで、特許文献1には、電子マネー端末と電子マネー媒体との距離を判別して、両者の距離が適切か否かをユーザに報知する装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−149072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている装置は、電子マネー端末と電子マネー媒体との垂直方向の関係(距離)を判別することができるが、電子マネー端末のかざし位置に対して水平方向がずれているかどうかを判別することができない。
【0007】
そのため、この装置によれば、ユーザは、電子マネー媒体を電子マネー端末からどれくらいの距離を保てばいいかはわかるが、通信可能となる位置に対して電子マネー媒体が水平方向にどれだけずれているかを知ることはできない。よって、両者の垂直方向の距離が適切な関係であっても、電子マネー媒体をかざしている位置が水平方向にずれている場合、ユーザは電子マネー媒体をかざす位置を試行錯誤して変える必要がある。
【0008】
同様の問題は、電子マネー端末に限らず、非接触式電子記録媒体とそのアクセス端末との間で発生する。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、非接触式記録媒体をかざした位置が適切なかざし位置に対して水平方向にずれている場合に、ずれの方向を報知することができる電子記録媒体のアクセス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第一の観点に係る電子記録媒体アクセス装置は、
非接触型電子記録媒体が所定の位置にかざされたときに該非接触型電子記録媒体と交信する電子記録媒体アクセス装置であって、
非接触型電子記録媒体がかざされている位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段が検出した位置から前記所定位置への方向を判別する方向判別手段と、
前記方向判別手段が判別した方向をユーザに報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第二の観点に係る報知システムは、
非接触型電子記録媒体が所定の位置にかざされたときに該非接触型電子記録媒体と交信する電子記録媒体アクセス装置と、出力装置と、がネットワークを介して相互に接続されている報知システムにおいて、
前記電子記録媒体アクセス装置は、
非接触型電子記録媒体がかざされている位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段が検出した位置から前記所定位置への方向を判別する方向判別手段と、
を備え、
前記方向判別手段が判別した方向を示す情報が、前記出力装置から出力される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
非接触型電子記録媒体をかざすべき位置への方向を報知するので、ユーザの利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第一の実施形態)
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る電子記録媒体アクセス装置(以下単にアクセス装置)10は、制御部11、位置検出部12、リード/ライト部14、および報知部15を有している。
【0015】
リード/ライト部14には、ICカード等の非接触型電子記録媒体20が備えるリード/ライト部21と無線で通信できるアンテナ(不図示)が設けられている。リード/ライト部14は、非接触型電子記録媒体20のリード/ライト部21と通信して、各種の情報を送受信する。
【0016】
なお、アクセス装置10のリード/ライト部14と非接触型電子記録媒体20のリード/ライト部21とが通信可能となるには、両者が一定の距離関係にある必要がある。例えば、図2に示すように、非接触型電子記録媒体20が通信可能範囲30内にかざされないと、両者は通信可能とはならない。
【0017】
具体的には、図3に示すように、位置(A)に非接触型電子記録媒体20がかざされても、アクセス装置10のリード/ライト部14と非接触型電子記録媒体20のリード/ライト部21とは通信可能とならない。一方、図3に示す位置(B)に非接触型電子記録媒体20がかざされれば、アクセス装置10のリード/ライト部14と非接触型電子記録媒体20のリード/ライト部21とは通信可能となる。
【0018】
位置検出部12は、アクセス装置10にかざされた非接触型電子記録媒体20の位置を検出するセンサなどから構成される。このセンサは、非接触型電子記録媒体20がアクセス装置10にかざされたときに、非接触型電子記録媒体20の位置を検出する。
【0019】
例えば、位置検出部12は、図4に示すように、アクセス装置10の筐体における非接触型電子記録媒体20がかざされる面のある一点をXY軸上の原点40とし、アクセス装置10の筐体の上方にかざされた非接触型電子記録媒体20のXY座標を検出する。なお、原点40は、通信可能範囲30の中心となる位置に設定される。
【0020】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などから構成され、アクセス装置10全体の動作を制御する。制御部11は、方向判別部13を備え、非接触型情報記憶媒体20がかざされた位置が通信可能となる位置ではない場合に、通信可能となる位置への方向を判別する。
【0021】
例えば、方向判別部13は、移動方向情報DB16を有しており、これを基に方向を判別する。
【0022】
移動方向情報DB16は、図5に示すように、「位置」と「移動方向」とを対応付けて設定されているデータテーブルである。「位置」の項目には、位置検出部12が検出しうるXY座標上の位置の情報が格納される。「移動方向」の項目には、「位置」に格納されているXY座標上の位置を基準としたときの、原点40への方向を示す情報(移動方向情報)が格納される。制御部11は、位置検出部12が検出した非接触型電子記録媒体20のXY座標上の位置の情報を取得した後、移動方向情報DB16を参照して、取得した非接触型電子記録媒体20のXY座標上の位置から原点40への方向を判別する。
【0023】
例えば、位置検出部12が、非接触型電子記録媒体20のXY座標上の位置を(X3、Y2)と検出した場合、図5に示す移動方向情報DB16には、非接触型電子記録媒体20を原点40に移動すべき方向が左斜め後方であることが示されている。なお、図5に示す「位置」の項目に格納されている(X0、Y0)は原点40を示しており、これに対応する「移動方向」の項目には移動すべき方向がないことを示す”0”が格納されている。
【0024】
報知部15は、表示装置や音声スピーカーなどから構成される。報知部15は、移動方向情報DB16の「移動方向」に格納されている移動方向情報を、画像または音声案内などの形式にして出力する。
【0025】
非接触型電子記録媒体20は、上記構成を備えるアクセス装置10にかざされる、非接触型ICカードや携帯電話端末などである。非接触型電子記録媒体20は、リード/ライト部21およびメモリ(不図示)を備えている。
【0026】
リード/ライト部21はアンテナを備え、アクセス装置10のリード/ライト部14と通信する。また、リード/ライト部21は、非接触型電子記録媒体20に備わるメモリから、例えば電子マネー残高などの各種の情報を読み出し、あるいは各種の情報を記憶させる。
【0027】
次に、アクセス装置10が、非接触型電子記録媒体20がかざされた位置において、通信可能であるか否かを判別して、通信可能でない場合に、通信可能となる原点40への方向を報知部15からユーザに報知する報知処理について説明する。
【0028】
非接触型電子記録媒体20がアクセス装置10にかざされたことを位置検出部12が検出して、検出があったことを示す情報が制御部11に送信されると、制御部11は、図6に示す報知処理に従って処理を開始する。
【0029】
まず、制御部11は、非接触型電子記録媒体20と通信可能であるか否かを、リード/ライト部14へ問い合わせる。問い合わせを受けたリード/ライト部14は、非接触型電子記録媒体20のリード/ライト部21と通信を確立できるか否かを確認する。通信可能であれば(ステップS201:YES)、ユーザに適切なかざし位置を報知する必要がないので、報知処理は終了する。
【0030】
通信可能でなければ(ステップS201:NO)、制御部11は、非接触型電子記録媒体20がアクセス装置10にかざされたXY座標上の位置の情報を位置検出部12から取得する(ステップS202)。そして、制御部11は、取得した位置の情報を方向判別部13へ送信して、適切なかざし位置への方向を方向判別部13に判別させる(ステップS203)。制御部11は、方向判別部13から移動方向情報を取得する(ステップS204)。
【0031】
次に、制御部11は、取得した移動方向情報に基づいて、ユーザに移動方向を報知するためのデータを作成し、作成したデータを報知部15から出力させる(ステップS205)。
【0032】
次に、制御部11は、非接触型電子記録媒体20がアクセス装置10にかざされているか否かを位置検出部12へ問い合わせる(ステップS206)。ユーザが非接触型電子記録媒体20をアクセス装置10にかざすのを止めている場合などのように、位置検出部12が非接触型電子記録媒体20を検出しなければ(ステップS206:NO)、報知処理は終了する。ユーザがアクセス装置10と通信するために引き続き非接触型電子記録媒体20をかざしている場合などのように、位置検出部12が非接触型電子記録媒体20を検出したならば(ステップS206:YES)、非接触型電子記録媒体20と通信可能であるか否かを確認するステップ(ステップS201)まで戻る。
【0033】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るアクセス装置10は、非接触型電子記録媒体20がかざされている位置が通信可能な位置ではない場合に、報知部15を介してユーザに非接触型電子記録媒体20を移動させるべき方向を報知する。これにより、ユーザは、非接触型電子記録媒体20のかざすべき適切な位置を容易に知ることができ、ユーザの利便性を向上させる。
【0034】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第一の実施形態をより具体化した第二の実施形態について、図面を用いて説明する。第二の実施形態では、本発明に係る電子記録媒体アクセス装置を電子マネー端末として説明する。
【0035】
図7に示すように、電子マネー端末100は、制御部101、ROM102、RAM103、センサ部104、リード/ライト部105、および表示部106から構成される。
【0036】
制御部101は、CPUなどから構成され、電子マネー端末100全体の動作を制御する。
【0037】
ROM(Read Only Memory)102は、データを保持することができる半導体記憶素子などから構成され、電子マネー端末100を制御するための実行プログラムが格納されている。制御部101は、電子マネー端末100が起動した際に、実行プログラムをROM102から読み出して、実行プログラムに含まれている命令を逐次解釈し、この命令に従って各種の処理を実行する。
【0038】
RAM(Random Access Memory)103は、データの読み書きができる半導体記憶素子などから構成される。RAM103は、制御部101の指示に従って、上記実行プログラムの動作に必要となる各種のデータを必要に応じて書き込みし、あるいは書き込んだデータを必要に応じて読み出す。
【0039】
センサ部104は、センサ110、および制御回路(不図示)などから構成される。センサ110は、発光素子111および受光素子112の一対から構成され、センサ部104はセンサ110を複数個備えている。
【0040】
発光素子111は、特定の波長の光を発するLEDなどから構成される。受光素子112は、発光素子111が発する特定の波長の光のみを受光する半導体素子などから構成される。
【0041】
リード/ライト部105は、制御部101とは異なる制御部(不図示)およびアンテナ120などから構成される。リード/ライト部105は、電子マネー記録媒体200のリード/ライト部210と通信して、電子マネーの残高を読み出し、あるいは読み出した電子マネーの残高から取引に応じて減じた額を送信する。
【0042】
表示部106は、液晶表示装置などの表示画面を有する装置から構成される。表示部106は、電子マネー記録媒体200と電子マネー端末100とが適切に通信できる位置の方向を示す画像や、電子マネーの残額を示す画像などを画面に表示する。
【0043】
電子マネー記録媒体200は、例えば、電車の自動改札システムで利用されている非接触ICカードや、電子マネー決済機能を有する携帯電話端末などである。これら電子マネー記録媒体200は、電子マネー端末100のリード/ライト部105と通信するためのリード/ライト部210を備えている。リード/ライト部210は、制御部211、記憶部212、アンテナ213を有している。
【0044】
制御部211は、データの送受信アンテナ213を介して、電子マネー端末100のリード/ライト部105とのデータの送受信を制御する。また、制御部211は、記憶部212から電子マネー残高を読み出し、あるいは電子マネー残高を記憶部212へ書き込む。
【0045】
記憶部212は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリなどから構成され、電子マネー残高等の情報を記憶する。
【0046】
次に、電子マネー端末100の外観について、図8を用いて説明する。
【0047】
図8に示すように、電子マネー端末100の筐体400には、かざし位置401、センサ穴402、および表示部106の画面403が配置されている。
【0048】
かざし位置401は、この位置に電子マネー記録媒体200がかざされると、電子マネー端末100と電子マネー記録媒体200とが通信可能となるおおよその位置をユーザに示すために配置されたものである。かざし位置401の真下には、筐体400の内側にリード/ライト部105のアンテナ120が配置されている。
【0049】
センサ穴402は、図9に示すように、筐体400に空けられた微小な穴である。センサ穴402の真下には、センサ110が配置されている。図9に示すように、発光素子111は常時あるいは必要に応じて光を発光しており、この光がセンサ穴402を通過して筐体400の外部に放射される。センサ穴402の上部で、電子マネー記録媒体200がかざされている場合、発光素子111から発せられた光が電子マネー記録媒体200によって反射されて、この反射光を受光素子112が受光する。このようにして、発光素子111が発した光を受光素子112が受光する受光反応により、電子マネー記録媒体200が電子マネー端末100にかざされていることが検出される。
【0050】
なお、理解を容易にするため、図8においてセンサ穴402は、大きさを強調して図示されている。
【0051】
画面403は、表示部106の構成部品である表示装置の画面である。
【0052】
次に、電子マネー記録媒体200がかざされた位置が電子マネー端末100と通信可能となる適切な位置であるか否かを判別し、不適切な位置の場合には通信可能となる適切な位置への方向を報知する電子マネー端末100の動作について、図10を用いて具体的に説明する。なお、図10の(A)から(E)には、図8で示した電子マネー端末100の平面図が示されている。
【0053】
図10(A)に示すように、筐体400の上面にセンサ穴402a〜402kが配置されている。センサ穴402a〜402kの下には、それぞれ、センサ110a〜110kが設けられている。
【0054】
図10(B)に示すように、電子マネー記録媒体200が破線で示される位置(電子マネー記録媒体のかざし位置500)にかざされているとき、センサ110a、110110b、110dは、電子マネー記録媒体200によって反射された光を受光する。そして、センサ部104は、センサ110a、110b、110dのそれぞれが反射光を受光したことを示す情報を制御部101へ送信する。この情報を制御部101が受信すると、ROM102に記録されている移動方向情報DB107(参照、図11)の「受光したセンサ」の項目の中から、受光反応のあったセンサの種類に一致する項目を選び出し、当該選び出した項目に対応する「移動方向」に格納されている情報(移動方向情報)を読み出す。
【0055】
例えば、図11に示す移動方向情報DB107には、受光反応のあったセンサ110が”センサ110a、110b、110d”であれば、電子マネー記録媒体200を移動させるべき方向が”左斜め後方”であることが示されている。
【0056】
移動方向情報DB107では、電子マネー記録媒体200からの反射光を受光したセンサ110(受光反応のあったセンサ110)のパターンごとに、「受光したセンサ」の項目で分類される。そして、「受光したセンサ」の各項目に対応させて、電子マネー記録媒体200を移動させるべき方向を示す移動方向情報が「移動方向」の各項目に格納される。
【0057】
移動方向情報DB107から移動方向情報(左斜め後方)を読み出した制御部101は、図10(C)に示すように、左斜め後方を表す画像を画面403に表示させる。
【0058】
ユーザが画面403に表示されている移動方向情報(左斜め後方)を視認して、図10(D)のように、電子マネー記録媒体のかざし位置500を変更すると、今度は、センサ110d、110e、110f、110g、110hが、電子マネー記録媒体200によって反射された光を受光する。
【0059】
このとき、制御部101は、電子マネー記録媒体200と通信可能であるか否かをリード/ライト部105に判別させる。電子マネー記録媒体200と通信可能であれば、商取引について電子マネーで決済される。
【0060】
図10(E)は、画面403には電子マネーによる取引がなされた後の画面例を示す。画面403には、電子マネーによる決済が行われ、電子マネー媒体の残高額を示す”残高:1969円”が表示されている。
【0061】
このようにして、電子マネー端末100の制御部101は、センサ部104から送られてきた応答のあったセンサの情報を入手する。そして、ROM102に記録されている移動方向情報DB107を参照して、電子マネー記録媒体200がかざされている位置が通信可能となる適切な位置であるか否かを判別する。適切な位置でない場合には、移動方向情報DB107の「移動方向」に格納されている移動方向情報に従って、表示部106の画面に適切なかざし位置への方向を表示させる。
【0062】
次に、電子マネー端末100に電子マネー記録媒体200がかざされている位置が不適切な位置の場合、適切なかざし位置への方向を報知する報知処理について、図12のフローチャートを用いて説明する。制御部101が、センサ110が反射光を受光したことを示す情報をセンサ部104から受信すると、図12に示す報知処理が開始する。
【0063】
まず、制御部101は、電子マネー記録媒体200と通信できるか否かをリード/ライト部105へ問い合わせる(ステップS601)。問い合わせを受けたリード/ライト部105は、電子マネー記録媒体200のリード/ライト部210と通信が確立できるか否かを判別する。
【0064】
通信が確立できれば(ステップS601:YES)、報知処理は終了する。一方、通信が確立できなければ(ステップS601:NO)、制御部101は、センサ部104から受光反応のあるセンサ110の情報を取得する(ステップS602)。
【0065】
次に、制御部101は、移動方向情報DB107を参照して(ステップS603)、受光反応のあるセンサ110に対応する「受光したセンサ」の項目を判別し、当該項目に対応付けられた「移動方向」に格納されている情報(移動方向情報)を取得する(ステップS604)。
【0066】
次に、制御部101は、取得した移動方向情報を表す画像を作成して、これを表示部106の画面から出力する(ステップS605)。
【0067】
次に、制御部101は、センサ110から受光反応があるか否かをセンサ部104に問い合わせる(ステップS606)。受光反応がなければ(ステップS606:NO)、報知処理は終了する。受光反応があれば(ステップS606:YES)、ステップS601に戻り、制御部101は、電子マネー記録媒体200と通信できるか否かを確認する(ステップS601)。
【0068】
なお、第二の実施形態において、センサ穴の数を11個としたが、本発明を実施にあたり、この数に限定されない。すなわち、センサの数を増やして、より厳密に電子マネー媒体がかざされている位置を検出するようにしてもよい。また、第二の実施形態では、移動方向を示す矢印の画面によってユーザに移動方向が報知されているが、電子マネー端末100が音声出力部を備えて、音声による報知をするようにしてもよい。
【0069】
(第三の実施形態)
次に、第二の実施形態に係る電子マネー端末100をLANなどのネットワークに接続させて、ユーザに適切なかざし位置の方向を報知するシステムを説明する。
【0070】
図13に示すように、第三の実施形態に係る電子マネー端末100は、LAN600に接続されている。第三の実施形態における電子マネー端末100は、図7に示す構成に加えて通信部を更に備え、図13に示すようにLAN600に接続されている。
【0071】
LAN600は、LAN(Local Area Network)であるが、これに限定されず、接続された装置との間でデータのやり取りを行えればどのような通信形態でもよい。
【0072】
表示装置610は、LCD(Liquid Crystal Display)表示装置や有機EL(Electro Luminescence)表示装置など、画像を表示する画面を有しており、LAN600に接続されている。
【0073】
音声出力装置620は、アンプやスピーカーを備えて、外部に対して特定音声を出力する装置であり、LAN600に接続されている。
【0074】
次に、これらの装置がLAN600を介して相互に接続されているシステムにおいて、ユーザが電子マネー端末100に電子マネー記録媒体200をかざしたとき、かざした位置が通信可能ではない不適切なかざし位置であった場合に、適切なかざし位置の方向を報知する報知処理について説明する。
【0075】
電子マネー端末100に電子マネー記録媒体200がかざされたときに、制御部101が、センサ110で受光反応があったことを示す情報をセンサ部104から受信すると、図14に示す報知処理が開始する。
【0076】
なお、図14に示す報知処理では、図12に示す第二の実施形態における報知処理のステップS601からステップS604までと同一の処理内容である。
【0077】
制御部101は、センサ部104に問い合わせて、電子マネー記録媒体200と通信できないとき(ステップS601:No)、センサ部104から受光反応のあったセンサ110を示す情報を取得する(ステップS602)。そして、制御部101は、移動方向情報DB107を参照して(ステップS603)、受光反応のあったセンサ110に一致する「受光したセンサ」の項目を判別し、当該項目に対応する移動方向を示す情報を「移動方向」から読み出す(ステップS604)。
【0078】
次に、制御部101は、読み出した移動方向を示す情報に対応する画像を、LAN600を介して接続されている表示装置610から出力させ、あるいは読み出した移動方向を示す情報に対応する音声(例えば、「カードを右に移動させて下さい」)を音声出力装置620から出力させる(ステップS701)。
【0079】
次に、制御部101は、センサ部104に問い合わせて、センサ110で受光反応があるか否かを問い合わせて、受光反応がなければ(ステップS606:NO)報知処理は終了する。受光反応があれば(ステップS606:YES)、ステップS601まで戻り、制御部101は、電子マネー記録媒体200と通信ができるか否かを判別する。
【0080】
以上説明したように、本発明の第三の実施形態に係るシステムは、電子マネー記録媒体200が電子マネー端末100にかざされた位置が通信可能ではない不適切な位置である場合に、LAN600に接続されている表示装置610または音声出力装置620からユーザに移動方向を報知させる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るアクセス端末および非接触型電子記録媒体のブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るアクセス端末に非接触型電子記録媒体がかざされる様子を説明するための図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る通信可能範囲を説明するための図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係るアクセス装置に非接触型電子記録媒体がかざされたときの位置関係を説明するための図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る移動方向情報を示す図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係る報知処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る電子マネー端末および非接触型電子記録媒体のブロック図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る電子マネー端末の外観を示す図である。
【図9】本発明の第二の実施形態に係るセンサによる受光反応を説明するための図である。
【図10】本発明の第二の実施形態に係る電子マネー端末の動作を説明するための図である。
【図11】本発明の第二の実施形態に係る移動方向情報を示す図である。
【図12】本発明の第二の実施形態に係る報知処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第三の実施形態に係る報知システムを示す図である。
【図14】本発明の第三の実施形態に係る報知処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
10 電子記録媒体アクセス装置
11、101 制御部
12 位置検出部
13 方向判別部
14、21 リード/ライト部
15 報知部
16、107 移動方向情報DB
20 非接触型電子記録媒体
30 通信可能範囲
40 原点
100 電子マネー端末
102 ROM
103 RAM
104 センサ部
105 リード/ライト部
106 表示部
110 センサ
111 発光素子
112 受光素子
120 アンテナ
200 電子マネー記録媒体
210 リード/ライト部
211 制御部
212 記憶部
213 アンテナ
400 筐体
401 かざし位置
402 センサ穴
403 画面
500 電子マネー記録媒体のかざし位置
600 LAN
610 表示装置
620 音声出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型電子記録媒体が所定の位置にかざされたときに該非接触型電子記録媒体と交信する電子記録媒体アクセス装置であって、
非接触型電子記録媒体がかざされている位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段が検出した位置から前記所定位置への方向を判別する方向判別手段と、
前記方向判別手段が判別した方向をユーザに報知する報知手段と、
を備えた電子記録媒体アクセス装置。
【請求項2】
前記報知手段は表示画面を備え、前記方向判別手段により判別された方向を示す画像を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子記録媒体アクセス装置。
【請求項3】
前記報知手段は音声出力装置を備え、前記音声出力装置から方向を示す音声を出力する、 ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子記録媒体アクセス装置。
【請求項4】
前記位置検出手段は、検出対象領域に光を発する発光素子と、前記非接触型記録媒体で反射されて、反射された光を受光する受光素子と、から構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の電子記録媒体アクセス装置。
【請求項5】
前記方向判別手段は、前記位置検出手段が非接触型記録媒体を検出可能な位置と、その位置から前記所定位置への方向をデータテーブルとして記憶し、このデータテーブルを参照して、電子マネー媒体がかざされている位置から所定位置への方向を判別する、
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の電子記録媒体アクセス装置。
【請求項6】
非接触型電子記録媒体が所定の位置にかざされたときに該非接触型電子記録媒体と交信する電子記録媒体アクセス装置と、出力装置と、がネットワークを介して相互に接続されている報知システムにおいて、
前記電子記録媒体アクセス装置は、
非接触型電子記録媒体がかざされている位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段が検出した位置から前記所定位置への方向を判別する方向判別手段と、
を備え、
前記方向判別手段が判別した方向を示す情報が、前記出力装置から出力される、
ことを特徴とする報知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−97322(P2010−97322A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266255(P2008−266255)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】