電子辞書、辞書検索方法及びプログラム
【課題】予め決められた辞書データ量でより多くの辞書の機能を操作性良く提供する。
【解決手段】電子辞書1は、文字データの入力を行う文字入力手段と、見出し語と、当該見出し語に対応する訳データを保持する辞書データを記憶する辞書データ記憶手段と、前記文字入力手段により入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出する第1の抽出手段と、前記第1の抽出手段により抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出する第2の抽出手段と、前記第2の抽出手段により抽出された訳データを表示する表示手段と、を備える。
【解決手段】電子辞書1は、文字データの入力を行う文字入力手段と、見出し語と、当該見出し語に対応する訳データを保持する辞書データを記憶する辞書データ記憶手段と、前記文字入力手段により入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出する第1の抽出手段と、前記第1の抽出手段により抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出する第2の抽出手段と、前記第2の抽出手段により抽出された訳データを表示する表示手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子辞書、辞書検索方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、和英辞書、英和辞書、英仏辞書等の複数の辞書の内容を電子データとして保持し、入力された語句の訳、品詞、類語、例文等を表示する電子辞書が広く普及している。
特許文献1に記載された電子辞書は、ある1種類の辞書により検索して表示された訳や例文の中から、さらに調べたい単語を使用者が任意に選択すると、選択された単語をキーに他の辞書を検索する、所謂ジャンプ機能を備えている。例えば、和英辞書を使用して検索した英語の訳から単語を選択すると、英和辞書、英仏辞書などにジャンプすることができる。
【特許文献1】特開2007−241683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば、和英辞書、英和辞書及び英仏辞書が搭載された電子辞書を用いて日本語からフランス語を検索する場合、特許文献1に記載の電子辞書では、一旦和英辞書で日本語から英語を検索し、検索結果の英単語を用いてジャンプ機能で英仏辞書を検索しなければならず、手間がかかる、という問題がある。
また、電子辞書に和仏辞書を搭載することも考えられるが、電子辞書に記憶する辞書データが膨大になる、という問題がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め決められた辞書データ量でより多くの辞書の機能を操作性良く提供することができる電子辞書、辞書検索方法及びプログラムを提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、文字データの入力を行う文字入力手段と、見出し語と、当該見出し語に対応する訳データを保持する辞書データを記憶する辞書データ記憶手段と、前記文字入力手段により入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出する第1の抽出手段と、前記第1の抽出手段により抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出する第2の抽出手段と、前記第2の抽出手段により抽出された訳データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする電子辞書である。
【0005】
また、本発明の一態様は、上記の電子辞書において、前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組毎にルールを記憶する変換テーブル記憶手段と、前記変換テーブル記憶手段から前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組に対応するルールを取得し、当該取得したルールに従って前記第1の抽出手段により抽出された訳データから見出し語を抽出する見出し語抽出手段と、を備え、前記第2の抽出手段は、前記見出し語抽出手段により抽出された見出し語を用いて第2の辞書種別に対応する辞書データから訳データを抽出する
ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の一態様は、上記の電子辞書において、前記第2の抽出手段は、抽出した訳データに対応する見出し語が前記辞書データにある限り、当該抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出し、前記表示手段は、前記第1の抽出手段及び第2の抽出手段により抽出された全ての訳データの一覧を表示する
ことを特徴とする。訳データに対応する見出し語とは、訳データと語と言語が一致する見出し語である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の電子辞書において、辞書種別を選択する辞書種別選択手段を備え、前記第2の抽出手段は、前記辞書種別選択手段により選択された辞書種別に対応する訳データを抽出するまで、抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出することを特徴とする。辞書種別に対応する訳データとは、辞書種別の訳データ言語と言語が一致する訳データである。
【0008】
また、本発明の一態様は、見出し語と、当該見出し語に対応した訳データを保持する辞書データを記憶する電子辞書が、文字データの入力を行うステップと、前記電子辞書が、前記入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出するステップと、前記電子辞書が、前記抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出するステップと、前記電子辞書が、前記第2の辞書種別に対応する辞書データから抽出された訳データを表示するステップと、を有することを特徴とする辞書検索方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、見出し語と、当該見出し語に対応した訳データを保持する辞書データを記憶するコンピュータに、文字データの入力を行うステップと、前記入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出するステップと、前記抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出するステップと、前記第2の辞書種別に対応する辞書データから抽出された訳データを表示するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出した訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから訳データを抽出するので、辞書の切り替えやジャンプ機能を使用することなく、辞書データがない辞書の機能を実現することができる。例えば、和英辞書と英中辞書の辞書データを保持する場合、電子辞書は和中辞書の辞書データがなくとも日本語の見出し語から中国語の訳データを検索することができる。これにより電子辞書の操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による電子辞書1の外観構成を示す概略図である。
この図において、表示部14は、例えば液晶表示装置などにより構成され、文字キー21から入力された文字や単語及び、検索された訳や例文、成句等を表示する。文字キー21(文字入力手段)は、文字データを入力する。電源キー20は、電源のオンオフを行う。辞書Aキー24、辞書Bキー23、辞書Cキー26及びマルチ検索キー27は、使用する辞書を選択する。カーソルキー22は、表示部14に表示されたカーソルの移動を行う。訳画面表示キー25は、入力文字を確定させて入力に対する検索結果の表示を指示する。
【0012】
図2は、本実施形態における電子辞書1の機能構成を示すブロック図である。
電子辞書1は、制御部11と、入力部12と、使用辞書選択部13と、表示部14と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、を含んで構成される。制御部11は、CPU(中央演算装置)を備えており、電子辞書1全体の制御や演算処理を行う。入力部11は、図1における文字キー21、電源キー20、カーソルキー22及び訳画面表示キー25を備えている。使用辞書選択部13(使用辞書選択手段)は、図1における辞書Aキー24、辞書Bキー23、辞書Cキー26及びマルチ検索キー27を備えている。ROM15は、辞書本体データ記憶手段15a及びプログラム記憶手段15bを含む。辞書本体データ記憶手段15aには、辞書データ、辞書種別テーブル、変換テーブル及び経路テーブルが格納されている。プログラム記憶手段15bには、制御部11が実行するプログラムが格納されている。また、RAM16は、文字データ一時記憶手段16aを含む。文字データ一時記憶手段16aは、入力文字や入力文字をキーに辞書本体データ記憶手段15aから検索された訳や例文等を記憶する。なお、制御部11、入力部12、使用辞書選択部13と、表示部14と、ROM15及びRAM16は、バスを介して接続されており相互に通信可能となっている。
【0013】
図3は、本実施形態における辞書種別テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図示するように、辞書種別テーブルは、辞書種別と、見出し言語と、訳データ言語の各項目の列を有している。この辞書種別テーブルの主キーは辞書種別である。辞書種別は、電子辞書1が保持する辞書データの種別を表わす。図3に示す例では、電子辞書1は、和英辞書、英中辞書、中独辞書、西仏辞書及び仏和辞書に対応する辞書データを保持している。見出し言語は、見出し語が何語で書かれているかを表わすデータである。見出し語とは、辞書データを検索するキーである。訳データ言語は、訳データが何語で書かれているかを表わすデータである。訳データとは、辞書データを検索した結果である訳、品詞、類語、例文などである。
図3に示す例では、和英辞書の見出し語は日本語であり、訳データは英語である。また、英中辞書の見出し語は英語であり、訳データは中国語である。また、中独辞書の見出し語は中国語であり、訳データはドイツ語である。また、西仏辞書の見出し語はスペイン語であり、訳データはフランス語である。また、仏和辞書の見出し語はフランス語であり、訳データは日本語である。
【0014】
図4は、本実施形態における各辞書の辞書データ例を示す概略図である。辞書データは、見出し語と、当該見出し語に対応する訳データを保持する。辞書データは、XML(eXtensible Markup Language)形式で記述されており、タグ<Hw>は見出し語を表わす。また、タグ<sb>は補足データを表わす。また、タグ<Kj>は漢字データを表わす。また、タグ<Tr>は訳データを表わす。また、<Kw>はキーワードデータを表わす。
図4に示す和英辞書の辞書データ例では、「でんしゃ」が見出し語であり、「電車」が漢字データである。また、「a train」が訳データであり、「train」がキーワードデータである。
【0015】
図5は、本実施形態における経路テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図示するように、経路テーブルは、辞書種別と、経路の各項目の列を有している。この経路テーブルの主キーは辞書種別である。経路には、直前にある辞書種別の目的言語と元言語が一致するような辞書種別が直列に並んでいる。元言語とは、辞書を引く際に用いる言語である。また、目的言語とは、辞書を引いた結果得られる言語である。図5に示す例では、和中辞書に対する経路は「和英,英中」である。また、和独辞書に対する経路は「和英,英中,英独」である。また、英独辞書に対する経路は「英中,中独」である。
【0016】
図6は、本実施形態における変換テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図示するように、変換テーブルは、第1の辞書種別と、第2の辞書種別と、ルールの各項目の列を有している。この変換テーブルの主キーは、第1の辞書種別と第2の辞書種別の組である。第1の辞書種別及び第2の辞書種別には、辞書種別を格納する。ルールには、第1の辞書種別と第2の辞書種別の組に対応するルールを格納する。
図に示す例では、和英辞書と英中辞書の組に対応するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」である。英中辞書と中独辞書の組に対応するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」である。また、西仏辞書と仏和辞書の組に対応するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」である。また、仏和辞書と和英辞書の組に対応するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」である。
【0017】
次に、図7及び図8を参照して、上述した本実施形態の電子辞書1の動作を説明する。図7は、本実施形態における電子辞書1の動作の手順を示すフローチャートであり、電子辞書1が辞書データを保持しない辞書種別が使用辞書選択部13から選択された場合の処理である。以下、ユーザが和中辞書を選択した場合を例に説明する。
【0018】
まず、ステップS1では、ユーザが使用辞書選択部13を操作して使用辞書の辞書種別を選択する。制御部11は、ユーザにより辞書種別が選択されたことを検知する。
次に、ステップS2では、制御部11は、ステップS1にて選択された辞書種別に対応する経路を経路テーブルから取得する。本例では、和中辞書が選択されたので、制御部11は、経路「和英、英中」を取得する。
次に、ステップS3では、制御部11は、ステップS2で取得した経路の先頭に設定されている辞書種別に対応する辞書データを検索対象として選択する。本例では、経路が「和英、英中」であるため、制御部11は、和英辞書を検索対象とする。
【0019】
次に、ステップS4では、制御部11は、見出し語の入力を受け付ける。つまり、制御部11は、見出し語を入力する入力画面を表示部14に表示する。ユーザは文字キー21を操作して文字データを入力する。制御部11は、入力された文字データを見出し語とする。
次に、ステップS5では、制御部11は、入力された見出し語をキーとして、検索対象の辞書データを検索して、訳データを抽出する。
つまり、制御部11(第1の抽出手段)は、入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出する。
【0020】
次に、ステップS6では、制御部11は、次の辞書種別が経路に設定されているか否かを判定する。次の辞書種別が設定されている場合には、ステップS7へ進む。一方、次の辞書種別が設定されていない場合には、ステップS8へ進む。本例では、和英辞書の次に英中辞書が経路に設定されているため、制御部11は、次の辞書種別があると判定してステップS7へ進む。
【0021】
ステップS7では、制御部11は、経路に設定されている次の辞書種別に対応する辞書データを検索対象として選択する。本例では、制御部11は英中辞書を検索対象とする。
次に、ステップS8では、制御部11は、ステップS5で抽出した訳データから見出し語を抽出する。具体的には、まず、制御部11は、ステップS5で検索した辞書データに対応する辞書種別を第1の辞書種別とし、検索対象の辞書データに対応する辞書種別を第2の辞書種別とする。そして、当該第1の辞書種別と当該第2の辞書種別の組に対応するルールを変換テーブルから取得する。次に、制御部11は、取得したルールに従って訳データから見出し語を抽出する。本例では、第1の辞書種別は和英辞書であり、第2の辞書種別は英中辞書である。このため、制御部11が取得するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれている文字列」、つまりキーワードである。よって、制御部11は、訳データからキーワードを抽出し、抽出したキーワードを見出し語とする。
つまり、制御部11(見出し語抽出手段)は、変換テーブルから前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組に対応するルールを取得し、当該取得したルールに従って前記第1の抽出手段により抽出された訳データから見出し語を抽出する。
そして、制御部11は、ステップS5に戻り、抽出した見出し語をキーとして、検索対象の辞書データを検索して訳データを抽出する。本例では、制御部11は、英語の見出し語をキーとして、英中辞書の辞書データを検索して中国語の訳データを抽出する。
つまり、制御部11(第2の抽出手段)は、抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出する。また、制御部11(第2の抽出手段)は、前記見出し語抽出手段により抽出された見出し語を用いて第2の辞書種別に対応する辞書データから訳データを抽出する。また、制御部11(第2の抽出手段)は、選択された辞書種別に対応する訳データを抽出するまで、抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出する。
【0022】
一方、ステップS9では、制御部11(表示手段)は、ステップS5で抽出した使用辞書に対応する訳データを表示部14に表示する。使用辞書に対応する訳データとは、使用辞書の目的言語と言語が一致する訳データである。本例では、使用辞書が和中辞書であるため、制御部11は、中国語の訳データを表示部14に表示する。
次に、ステップS10では、制御部11は、ユーザが別の検索を行う操作を開始したか否か、すなわち文字キー21が押下されたか否かを判定する。文字キー21が押下された場合には、ステップS4に戻る。一方、制御部11は、電源キー20又は使用辞書選択部13が押下された場合、或いはある一定の時間ユーザが入力を行わなかった場合には、処理を終了する。
【0023】
このように、本発明の電子辞書1では、複数の辞書種別(和英辞書及び英中辞書)に対応する辞書データを使用して、辞書データがない辞書(和中辞書)の機能を実現することができる。なお、本実施形態では、経路テーブルに従って検索対象の辞書種別を選択しているが、経路テーブルを用いなくともよい。この場合、制御部11は、使用辞書に対応する訳データ(例えば、和中辞書の場合には中国語の訳データ)が取得されるまで、順次辞書データを検索する。このとき、制御部11は、取得した訳データの言語を見出し語言語とする辞書種別に対応する辞書データを次の検索対象とする。
【0024】
図8は、本実施形態における電子辞書1の動作の手順を示すフローチャートであり、電子辞書1が辞書データを保持する辞書種別が使用辞書選択部13から選択された場合の処理である。
まず、ステップS101では、ユーザが使用辞書選択部13を操作して使用言語の辞書種別を選択する。制御部11は、ユーザにより辞書種別が選択されたことを検知する。
次に、ステップS102では、制御部11は、ステップS101にて選択された辞書種別に対応する辞書データを検索対象として選択する。
次に、ステップS103では、制御部11は、見出し語の入力を受け付ける。つまり、制御部11は、見出し語を入力する入力画面を表示部14に表示する。ユーザは文字キー21を操作して文字データを入力する。制御部11は、入力された文字データを見出し語とする。
【0025】
次に、ステップS104では、制御部11は、入力された見出し語をキーとして、検索対象の辞書データを検索して、訳データを抽出する。
次に、ステップS105では、制御部11は、ステップS104で抽出した訳データを表示部14に表示する。
【0026】
次に、ステップS106では、制御部11は、ユーザによりマルチ検索キー27が押下されたか否かを判定する。マルチ検索キー27が押下された場合には、ステップS107に進む。一方、マルチ検索キー27が押下されていない場合には、ステップS113へ進む。
【0027】
ステップS107では、制御部11は、入力された見出し語に対応する全ての辞書データを検索対象として選択する。具体的には、制御部11は、ステップS101で選択された辞書種別と見出し言語が一致する辞書種別を辞書種別テーブルから全て選択する。
次に、ステップS108では、制御部11は、入力された見出し語をキーとして、検索対象の辞書データを検索し、訳データを取得する。そして、制御部11は、取得した訳データを全て検索結果として文字データ一時記憶手段16aに一時記憶する。
【0028】
次に、ステップS109では、制御部11は、辞書種別テーブルを参照して、取得した訳データの言語が見出し言語である辞書種別があるか否かを判定する。ただし、制御部11は、既に検索済みである辞書データに対応する辞書種別を判定対象から除く。辞書種別が1つ以上ある場合には、ステップS110へ進む。一方、辞書種別がない場合には、ステップS112へ進む。
【0029】
ステップS110では、制御部11は、取得した訳データの言語が見出し言語である辞書種別を辞書種別テーブルから全て選択し、選択した辞書の辞書データを検索対象とする。ただし、制御部11は、既に検索済みである辞書データを検索対象から除く。
次に、ステップS111では、制御部11は、ステップS108で取得した訳データから見出し語を抽出し、ステップS108へ戻る。具体的には、まず、制御部11は、ステップS108で検索した辞書データに対応する辞書種別を第1の辞書種別とし、検索対象の辞書データに対応する辞書種別を第2の辞書種別とする。そして、当該第1の辞書種別と当該第2の辞書種別の組に対応するルールを変換テーブルから取得する。次に、制御部11は、ルールに従って訳データから見出し語を抽出する。
つまり、制御部11(第2の抽出手段)は、抽出した訳データに対応する見出し語が前記辞書データにある限り、当該抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出する。
【0030】
一方、ステップS112では、制御部11(表示手段)は、文字データ一時記憶手段16aに検索結果として一時記憶した全ての訳データの一覧を表示部14に表示する。
次に、ステップS113では、制御部11は、ユーザが別の検索を行う操作を開始したか否か、すなわち文字キー21が押下されたか否かを判定する。文字キー21が押下された場合には、制御部11は、文字データ一時記憶手段16aに一時記憶した訳データを消去して、ステップS103へ戻る。一方、制御部11は、電源キー20又は使用辞書選択部13が押下された場合、或いはある一定の時間ユーザが入力を行わなかった場合には、処理を終了する。
【0031】
なお、上述した処理では使用辞書が選択された後にマルチ検索処理を行っているが、マルチ検索画面から見出し語が入力された場合であっても、制御部11は上述したステップS107からS112までのマルチ検索処理を行って複数の言語の訳データを表示部14に表示する。なお、制御部11は、マルチ検索キー27が押下されるとマルチ検索画面を表示する。
【0032】
次に、図9を参照して本実施形態における電子辞書1のマルチ検索処理の具体例を説明する。図9は、本実施形態におけるマルチ検索処理において、日本語の見出し語から直接的又は間接的にどの言語に辿り着けるかを示す概略図である。この図における白矢印は、電子辞書1が保持する辞書データの辞書種別を表わす。また、この図における細い矢印は、日本語の見出し語から直接的又は間接的に辿り着ける言語を表わす。この図における例では、電子辞書1は、和英辞書、英中辞書及び中独辞書の辞書データを保持する。また、電子辞書1は、日本語の見出し語から直接的又は間接的に英語、中国語及びドイツ語の訳データに辿り着ける。
(1)まず、制御部11は、日本語を見出しとする和英辞書を辞書種別テーブルから選択し、選択した和英辞書に対応する辞書データを検索対象とする。そして、制御部11は、入力された見出し語をキーとして、和英辞書に対応する辞書データから英語の訳データを取得する。
(2)続いて、制御部11は、英語を見出し語とする英中辞書を検索対象とする。次に、制御部11は、前辞書を和英辞書とし、後辞書を英中辞書として、ルール「<Kw>と</Kw>で囲まれている文字列」を変換テーブルから取得する。そして、制御部11は、ルールに従って英語の見出し語を抽出する。
(3)続いて、制御部11は、英語の見出し語をキーとして、英中辞書に対応する辞書データから中国語の訳データを取得する。
【0033】
(4)続いて、制御部11は、中国語を見出し語とする中独辞書を検索対象とする。次に、制御部11は、前辞書を英中辞書とし、後辞書を中独辞書として、ルール「<Kw>と</Kw>で囲まれている文字列」を変換テーブルから取得する。そして、制御部11は、ルールに従って中国語の見出し語を抽出する。
(4)続いて、制御部11は、中国語の見出しをキーとして、中独辞書の電子データからドイツ語の訳データを取得する。
(5)ドイツ語が見出し語言語である辞書種別に対応する辞書データを電子辞書1が保持していないため、制御部11は、検索を終了する。そして、制御部11は、取得した英語、中国語及びドイツ語の訳データを表示部14に表示する。
このように、日本語の見出し語が入力された場合には、電子辞書1は、英語、中国語及びドイツ語の訳データを表示することができる。
【0034】
次に、図10を参照して本実施形態における電子辞書1の見出し語抽出処理の具体例を説明する。図10は、本実施形態における見出し語抽出処理を説明するための概念図である。電子辞書1は、変換テーブルを参照して、この図に示す見出し語抽出処理を行う。符号100は、電子辞書1が保持する辞書データの辞書種別を表わす。また、この図に示す細い矢印は、訳データの「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」が対応する辞書種別の見出し語となることを表す。
和英辞書の訳データから英中辞書の見出し語を抽出する場合を例に説明する。電子辞書1は、第1の辞書種別である和英辞書と第2の辞書種別である英和辞書の組に対応するルール「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」を変換テーブルから取得する。そして、電子辞書1は、取得したルールに従って訳データから英中辞書の見出し語を抽出する。和英辞書を用いた見出し語「でんしゃ」の検索結果は訳データ「a <Kw>train</Kw>」である。このため、電子辞書1は、図6に示すルールに従って、<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列「train」を英中辞書の見出し語とする。
また、英中辞書の訳データから中独辞書の見出しを抽出する場合は、電子辞書1は、<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列を中独辞書の見出し語とする。また、西仏辞書の訳データから仏和辞書の見出し語を抽出する場合は、電子辞書1は、<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列を仏和辞書の見出し語とする。また、仏和辞書の訳データから和英辞書の見出し語を抽出する場合は、電子辞書1は、<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列を和英辞書の見出し語とする。
【0035】
図11は、本実施形態における表示部14に表示される検索結果の画面例である。
電子辞書1は、見出し語が入力されると、入力された見出し語をキーに辞書データを検索し、その検索結果である訳データを表示部14に表示する。
図11(a)は、和英辞書の検索結果の画面例である。図11(a)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応する英語の訳データが表示されている。また、図11(b)は、英中辞書の検索結果の画面例である。図11(b)に示す画面には、英語の見出し語と、当該見出し語に対応する中国語の訳データが表示されている。また、図11(c)は、中独辞書の検索結果の画面例である。図11(c)に示す画面には、中国語の見出し語と、当該見出し語に対応するドイツ語の訳データが表示されている。
また、図11(d)は、マルチ検索処理における検索結果の画面例である。図11(d)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応する英語、中国語及びドイツ語の訳データが表示されている。なお、図11(a)に示す画面を表示した後に、マルチ検索キー27が押下されると、電子辞書1は図11(d)に示す画面を表示する。
【0036】
図12は、本実施形態における表示部14に表示される検索結果の別の画面例である。
この図に示す例では、電子辞書1は、和中辞書、和仏辞書、仏英辞書及び英西辞書の辞書データを保持している。電子辞書1は、見出し語が入力されると、入力された見出し語をキーに辞書データを検索し、その検索結果である訳データを表示部14に表示する。
図12(a)は、和中辞書の検索結果の画面例である。図12(a)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応する中国語の訳データが表示されている。また、図12(b)は、和仏辞書の検索結果の画面例である。図12(b)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応するフランス語の訳データが表示されている。また、図12(c)は、仏英辞書の検索結果の画面例である。図12(c)に示す画面には、フランス語の見出し語と、当該見出し語に対応する英語の訳データが表示されている。図12(d)は、英西辞書の検索結果の画面例である。図12(d)に示す画面には、英語の見出し語と、当該見出し語に対応するスペイン語の訳データが表示されている。
また、図12(e)は、マルチ検索処理における検索結果の画面例である。図12(d)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応する中国語、フランス語、英語及びスペイン語の訳データが表示されている。なお、図12(a)に示す画面を表示した後に、マルチ検索キー27が押下されると、電子辞書1は図12(e)に示す画面を表示する。
【0037】
このように、本実施形態によれば、入力された文字データから訳データを検索し、検索した訳データから見出し語を抽出して、他の辞書の辞書データから訳データを検索するので、辞書の切り替えやジャンプ機能を使用することなく、辞書データがない辞書の機能を実現することができる。また、マルチ検索処理により、1つの言語から対訳辞書のない言語を含む複数の言語を検索することができる。図11に示す例では、日本語から対訳辞書(和中辞書、日独辞書)のない中国語、ドイツ語を含んで検索することができる。これにより電子辞書1の操作性が向上する。
【0038】
また、図7及び8に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、検索処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0039】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0040】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、変換テーブルを用いて訳データから見出し語を抽出しているが、変換テーブルを用いずに、常に訳データのキーワードを見出し語とする、としてもよい。或いは、訳データを見出し語としても良い。
また、本実施形態では、マルチ検索処理において、検索可能な候補(訳データ)を全て表示しているが、ユーザが特定の言語を選択するとその言語に至るルートのみを検索して、ユーザが選択した言語の訳データのみを表示するようにしてもよい。例えば、図11(a)の画面が表示されている状態でユーザがドイツ語を選択すると、電子辞書1は日本語からドイツ語に至るルートのみを検索して、ドイツ語の訳データを表示する。
また、マルチ検索処理において、複数の候補(訳データ)が検索された場合には、候補のリストを表示してユーザが選択できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態による電子辞書の外観構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態における電子辞書の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における辞書種別テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
【図4】本実施形態における各辞書の辞書データ例を示す概略図である。
【図5】本実施形態における経路テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
【図6】本実施形態における変換テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
【図7】本実施形態における電子辞書の動作の手順を示すフローチャートであり、辞書データを保持しない辞書種別が使用辞書選択部から選択された場合の処理である。
【図8】本実施形態における電子辞書の動作の手順を示すフローチャートであり、辞書データを保持する辞書種別が使用辞書選択部から選択された場合の処理である。
【図9】本実施形態におけるマルチ検索処理を説明するための概念図である。
【図10】本実施形態における見出し語抽出処理を説明するための概念図である。
【図11】本実施形態における表示部に表示される検索結果の画面例である。
【図12】本実施形態における表示部に表示される検索結果の別の画面例である。
【符号の説明】
【0042】
1…電子辞書 11…制御部 12…入力部 13…使用辞書選択部 14…表示部 15…ROM 15a…辞書本体データ記憶手段 15b…プログラム記憶手段 16…RAM 16a…文字データ一時記憶手段 21…文字キー 22…カーソルキー 23…辞書Bキー 24…辞書Aキー 25…訳画面表示キー 26…辞書Cキー 27…マルチ検索キー
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子辞書、辞書検索方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、和英辞書、英和辞書、英仏辞書等の複数の辞書の内容を電子データとして保持し、入力された語句の訳、品詞、類語、例文等を表示する電子辞書が広く普及している。
特許文献1に記載された電子辞書は、ある1種類の辞書により検索して表示された訳や例文の中から、さらに調べたい単語を使用者が任意に選択すると、選択された単語をキーに他の辞書を検索する、所謂ジャンプ機能を備えている。例えば、和英辞書を使用して検索した英語の訳から単語を選択すると、英和辞書、英仏辞書などにジャンプすることができる。
【特許文献1】特開2007−241683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば、和英辞書、英和辞書及び英仏辞書が搭載された電子辞書を用いて日本語からフランス語を検索する場合、特許文献1に記載の電子辞書では、一旦和英辞書で日本語から英語を検索し、検索結果の英単語を用いてジャンプ機能で英仏辞書を検索しなければならず、手間がかかる、という問題がある。
また、電子辞書に和仏辞書を搭載することも考えられるが、電子辞書に記憶する辞書データが膨大になる、という問題がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め決められた辞書データ量でより多くの辞書の機能を操作性良く提供することができる電子辞書、辞書検索方法及びプログラムを提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、文字データの入力を行う文字入力手段と、見出し語と、当該見出し語に対応する訳データを保持する辞書データを記憶する辞書データ記憶手段と、前記文字入力手段により入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出する第1の抽出手段と、前記第1の抽出手段により抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出する第2の抽出手段と、前記第2の抽出手段により抽出された訳データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする電子辞書である。
【0005】
また、本発明の一態様は、上記の電子辞書において、前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組毎にルールを記憶する変換テーブル記憶手段と、前記変換テーブル記憶手段から前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組に対応するルールを取得し、当該取得したルールに従って前記第1の抽出手段により抽出された訳データから見出し語を抽出する見出し語抽出手段と、を備え、前記第2の抽出手段は、前記見出し語抽出手段により抽出された見出し語を用いて第2の辞書種別に対応する辞書データから訳データを抽出する
ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の一態様は、上記の電子辞書において、前記第2の抽出手段は、抽出した訳データに対応する見出し語が前記辞書データにある限り、当該抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出し、前記表示手段は、前記第1の抽出手段及び第2の抽出手段により抽出された全ての訳データの一覧を表示する
ことを特徴とする。訳データに対応する見出し語とは、訳データと語と言語が一致する見出し語である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の電子辞書において、辞書種別を選択する辞書種別選択手段を備え、前記第2の抽出手段は、前記辞書種別選択手段により選択された辞書種別に対応する訳データを抽出するまで、抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出することを特徴とする。辞書種別に対応する訳データとは、辞書種別の訳データ言語と言語が一致する訳データである。
【0008】
また、本発明の一態様は、見出し語と、当該見出し語に対応した訳データを保持する辞書データを記憶する電子辞書が、文字データの入力を行うステップと、前記電子辞書が、前記入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出するステップと、前記電子辞書が、前記抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出するステップと、前記電子辞書が、前記第2の辞書種別に対応する辞書データから抽出された訳データを表示するステップと、を有することを特徴とする辞書検索方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、見出し語と、当該見出し語に対応した訳データを保持する辞書データを記憶するコンピュータに、文字データの入力を行うステップと、前記入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出するステップと、前記抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出するステップと、前記第2の辞書種別に対応する辞書データから抽出された訳データを表示するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出した訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから訳データを抽出するので、辞書の切り替えやジャンプ機能を使用することなく、辞書データがない辞書の機能を実現することができる。例えば、和英辞書と英中辞書の辞書データを保持する場合、電子辞書は和中辞書の辞書データがなくとも日本語の見出し語から中国語の訳データを検索することができる。これにより電子辞書の操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による電子辞書1の外観構成を示す概略図である。
この図において、表示部14は、例えば液晶表示装置などにより構成され、文字キー21から入力された文字や単語及び、検索された訳や例文、成句等を表示する。文字キー21(文字入力手段)は、文字データを入力する。電源キー20は、電源のオンオフを行う。辞書Aキー24、辞書Bキー23、辞書Cキー26及びマルチ検索キー27は、使用する辞書を選択する。カーソルキー22は、表示部14に表示されたカーソルの移動を行う。訳画面表示キー25は、入力文字を確定させて入力に対する検索結果の表示を指示する。
【0012】
図2は、本実施形態における電子辞書1の機能構成を示すブロック図である。
電子辞書1は、制御部11と、入力部12と、使用辞書選択部13と、表示部14と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、を含んで構成される。制御部11は、CPU(中央演算装置)を備えており、電子辞書1全体の制御や演算処理を行う。入力部11は、図1における文字キー21、電源キー20、カーソルキー22及び訳画面表示キー25を備えている。使用辞書選択部13(使用辞書選択手段)は、図1における辞書Aキー24、辞書Bキー23、辞書Cキー26及びマルチ検索キー27を備えている。ROM15は、辞書本体データ記憶手段15a及びプログラム記憶手段15bを含む。辞書本体データ記憶手段15aには、辞書データ、辞書種別テーブル、変換テーブル及び経路テーブルが格納されている。プログラム記憶手段15bには、制御部11が実行するプログラムが格納されている。また、RAM16は、文字データ一時記憶手段16aを含む。文字データ一時記憶手段16aは、入力文字や入力文字をキーに辞書本体データ記憶手段15aから検索された訳や例文等を記憶する。なお、制御部11、入力部12、使用辞書選択部13と、表示部14と、ROM15及びRAM16は、バスを介して接続されており相互に通信可能となっている。
【0013】
図3は、本実施形態における辞書種別テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図示するように、辞書種別テーブルは、辞書種別と、見出し言語と、訳データ言語の各項目の列を有している。この辞書種別テーブルの主キーは辞書種別である。辞書種別は、電子辞書1が保持する辞書データの種別を表わす。図3に示す例では、電子辞書1は、和英辞書、英中辞書、中独辞書、西仏辞書及び仏和辞書に対応する辞書データを保持している。見出し言語は、見出し語が何語で書かれているかを表わすデータである。見出し語とは、辞書データを検索するキーである。訳データ言語は、訳データが何語で書かれているかを表わすデータである。訳データとは、辞書データを検索した結果である訳、品詞、類語、例文などである。
図3に示す例では、和英辞書の見出し語は日本語であり、訳データは英語である。また、英中辞書の見出し語は英語であり、訳データは中国語である。また、中独辞書の見出し語は中国語であり、訳データはドイツ語である。また、西仏辞書の見出し語はスペイン語であり、訳データはフランス語である。また、仏和辞書の見出し語はフランス語であり、訳データは日本語である。
【0014】
図4は、本実施形態における各辞書の辞書データ例を示す概略図である。辞書データは、見出し語と、当該見出し語に対応する訳データを保持する。辞書データは、XML(eXtensible Markup Language)形式で記述されており、タグ<Hw>は見出し語を表わす。また、タグ<sb>は補足データを表わす。また、タグ<Kj>は漢字データを表わす。また、タグ<Tr>は訳データを表わす。また、<Kw>はキーワードデータを表わす。
図4に示す和英辞書の辞書データ例では、「でんしゃ」が見出し語であり、「電車」が漢字データである。また、「a train」が訳データであり、「train」がキーワードデータである。
【0015】
図5は、本実施形態における経路テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図示するように、経路テーブルは、辞書種別と、経路の各項目の列を有している。この経路テーブルの主キーは辞書種別である。経路には、直前にある辞書種別の目的言語と元言語が一致するような辞書種別が直列に並んでいる。元言語とは、辞書を引く際に用いる言語である。また、目的言語とは、辞書を引いた結果得られる言語である。図5に示す例では、和中辞書に対する経路は「和英,英中」である。また、和独辞書に対する経路は「和英,英中,英独」である。また、英独辞書に対する経路は「英中,中独」である。
【0016】
図6は、本実施形態における変換テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図示するように、変換テーブルは、第1の辞書種別と、第2の辞書種別と、ルールの各項目の列を有している。この変換テーブルの主キーは、第1の辞書種別と第2の辞書種別の組である。第1の辞書種別及び第2の辞書種別には、辞書種別を格納する。ルールには、第1の辞書種別と第2の辞書種別の組に対応するルールを格納する。
図に示す例では、和英辞書と英中辞書の組に対応するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」である。英中辞書と中独辞書の組に対応するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」である。また、西仏辞書と仏和辞書の組に対応するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」である。また、仏和辞書と和英辞書の組に対応するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」である。
【0017】
次に、図7及び図8を参照して、上述した本実施形態の電子辞書1の動作を説明する。図7は、本実施形態における電子辞書1の動作の手順を示すフローチャートであり、電子辞書1が辞書データを保持しない辞書種別が使用辞書選択部13から選択された場合の処理である。以下、ユーザが和中辞書を選択した場合を例に説明する。
【0018】
まず、ステップS1では、ユーザが使用辞書選択部13を操作して使用辞書の辞書種別を選択する。制御部11は、ユーザにより辞書種別が選択されたことを検知する。
次に、ステップS2では、制御部11は、ステップS1にて選択された辞書種別に対応する経路を経路テーブルから取得する。本例では、和中辞書が選択されたので、制御部11は、経路「和英、英中」を取得する。
次に、ステップS3では、制御部11は、ステップS2で取得した経路の先頭に設定されている辞書種別に対応する辞書データを検索対象として選択する。本例では、経路が「和英、英中」であるため、制御部11は、和英辞書を検索対象とする。
【0019】
次に、ステップS4では、制御部11は、見出し語の入力を受け付ける。つまり、制御部11は、見出し語を入力する入力画面を表示部14に表示する。ユーザは文字キー21を操作して文字データを入力する。制御部11は、入力された文字データを見出し語とする。
次に、ステップS5では、制御部11は、入力された見出し語をキーとして、検索対象の辞書データを検索して、訳データを抽出する。
つまり、制御部11(第1の抽出手段)は、入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出する。
【0020】
次に、ステップS6では、制御部11は、次の辞書種別が経路に設定されているか否かを判定する。次の辞書種別が設定されている場合には、ステップS7へ進む。一方、次の辞書種別が設定されていない場合には、ステップS8へ進む。本例では、和英辞書の次に英中辞書が経路に設定されているため、制御部11は、次の辞書種別があると判定してステップS7へ進む。
【0021】
ステップS7では、制御部11は、経路に設定されている次の辞書種別に対応する辞書データを検索対象として選択する。本例では、制御部11は英中辞書を検索対象とする。
次に、ステップS8では、制御部11は、ステップS5で抽出した訳データから見出し語を抽出する。具体的には、まず、制御部11は、ステップS5で検索した辞書データに対応する辞書種別を第1の辞書種別とし、検索対象の辞書データに対応する辞書種別を第2の辞書種別とする。そして、当該第1の辞書種別と当該第2の辞書種別の組に対応するルールを変換テーブルから取得する。次に、制御部11は、取得したルールに従って訳データから見出し語を抽出する。本例では、第1の辞書種別は和英辞書であり、第2の辞書種別は英中辞書である。このため、制御部11が取得するルールは「<Kw>と</Kw>で囲まれている文字列」、つまりキーワードである。よって、制御部11は、訳データからキーワードを抽出し、抽出したキーワードを見出し語とする。
つまり、制御部11(見出し語抽出手段)は、変換テーブルから前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組に対応するルールを取得し、当該取得したルールに従って前記第1の抽出手段により抽出された訳データから見出し語を抽出する。
そして、制御部11は、ステップS5に戻り、抽出した見出し語をキーとして、検索対象の辞書データを検索して訳データを抽出する。本例では、制御部11は、英語の見出し語をキーとして、英中辞書の辞書データを検索して中国語の訳データを抽出する。
つまり、制御部11(第2の抽出手段)は、抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出する。また、制御部11(第2の抽出手段)は、前記見出し語抽出手段により抽出された見出し語を用いて第2の辞書種別に対応する辞書データから訳データを抽出する。また、制御部11(第2の抽出手段)は、選択された辞書種別に対応する訳データを抽出するまで、抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出する。
【0022】
一方、ステップS9では、制御部11(表示手段)は、ステップS5で抽出した使用辞書に対応する訳データを表示部14に表示する。使用辞書に対応する訳データとは、使用辞書の目的言語と言語が一致する訳データである。本例では、使用辞書が和中辞書であるため、制御部11は、中国語の訳データを表示部14に表示する。
次に、ステップS10では、制御部11は、ユーザが別の検索を行う操作を開始したか否か、すなわち文字キー21が押下されたか否かを判定する。文字キー21が押下された場合には、ステップS4に戻る。一方、制御部11は、電源キー20又は使用辞書選択部13が押下された場合、或いはある一定の時間ユーザが入力を行わなかった場合には、処理を終了する。
【0023】
このように、本発明の電子辞書1では、複数の辞書種別(和英辞書及び英中辞書)に対応する辞書データを使用して、辞書データがない辞書(和中辞書)の機能を実現することができる。なお、本実施形態では、経路テーブルに従って検索対象の辞書種別を選択しているが、経路テーブルを用いなくともよい。この場合、制御部11は、使用辞書に対応する訳データ(例えば、和中辞書の場合には中国語の訳データ)が取得されるまで、順次辞書データを検索する。このとき、制御部11は、取得した訳データの言語を見出し語言語とする辞書種別に対応する辞書データを次の検索対象とする。
【0024】
図8は、本実施形態における電子辞書1の動作の手順を示すフローチャートであり、電子辞書1が辞書データを保持する辞書種別が使用辞書選択部13から選択された場合の処理である。
まず、ステップS101では、ユーザが使用辞書選択部13を操作して使用言語の辞書種別を選択する。制御部11は、ユーザにより辞書種別が選択されたことを検知する。
次に、ステップS102では、制御部11は、ステップS101にて選択された辞書種別に対応する辞書データを検索対象として選択する。
次に、ステップS103では、制御部11は、見出し語の入力を受け付ける。つまり、制御部11は、見出し語を入力する入力画面を表示部14に表示する。ユーザは文字キー21を操作して文字データを入力する。制御部11は、入力された文字データを見出し語とする。
【0025】
次に、ステップS104では、制御部11は、入力された見出し語をキーとして、検索対象の辞書データを検索して、訳データを抽出する。
次に、ステップS105では、制御部11は、ステップS104で抽出した訳データを表示部14に表示する。
【0026】
次に、ステップS106では、制御部11は、ユーザによりマルチ検索キー27が押下されたか否かを判定する。マルチ検索キー27が押下された場合には、ステップS107に進む。一方、マルチ検索キー27が押下されていない場合には、ステップS113へ進む。
【0027】
ステップS107では、制御部11は、入力された見出し語に対応する全ての辞書データを検索対象として選択する。具体的には、制御部11は、ステップS101で選択された辞書種別と見出し言語が一致する辞書種別を辞書種別テーブルから全て選択する。
次に、ステップS108では、制御部11は、入力された見出し語をキーとして、検索対象の辞書データを検索し、訳データを取得する。そして、制御部11は、取得した訳データを全て検索結果として文字データ一時記憶手段16aに一時記憶する。
【0028】
次に、ステップS109では、制御部11は、辞書種別テーブルを参照して、取得した訳データの言語が見出し言語である辞書種別があるか否かを判定する。ただし、制御部11は、既に検索済みである辞書データに対応する辞書種別を判定対象から除く。辞書種別が1つ以上ある場合には、ステップS110へ進む。一方、辞書種別がない場合には、ステップS112へ進む。
【0029】
ステップS110では、制御部11は、取得した訳データの言語が見出し言語である辞書種別を辞書種別テーブルから全て選択し、選択した辞書の辞書データを検索対象とする。ただし、制御部11は、既に検索済みである辞書データを検索対象から除く。
次に、ステップS111では、制御部11は、ステップS108で取得した訳データから見出し語を抽出し、ステップS108へ戻る。具体的には、まず、制御部11は、ステップS108で検索した辞書データに対応する辞書種別を第1の辞書種別とし、検索対象の辞書データに対応する辞書種別を第2の辞書種別とする。そして、当該第1の辞書種別と当該第2の辞書種別の組に対応するルールを変換テーブルから取得する。次に、制御部11は、ルールに従って訳データから見出し語を抽出する。
つまり、制御部11(第2の抽出手段)は、抽出した訳データに対応する見出し語が前記辞書データにある限り、当該抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出する。
【0030】
一方、ステップS112では、制御部11(表示手段)は、文字データ一時記憶手段16aに検索結果として一時記憶した全ての訳データの一覧を表示部14に表示する。
次に、ステップS113では、制御部11は、ユーザが別の検索を行う操作を開始したか否か、すなわち文字キー21が押下されたか否かを判定する。文字キー21が押下された場合には、制御部11は、文字データ一時記憶手段16aに一時記憶した訳データを消去して、ステップS103へ戻る。一方、制御部11は、電源キー20又は使用辞書選択部13が押下された場合、或いはある一定の時間ユーザが入力を行わなかった場合には、処理を終了する。
【0031】
なお、上述した処理では使用辞書が選択された後にマルチ検索処理を行っているが、マルチ検索画面から見出し語が入力された場合であっても、制御部11は上述したステップS107からS112までのマルチ検索処理を行って複数の言語の訳データを表示部14に表示する。なお、制御部11は、マルチ検索キー27が押下されるとマルチ検索画面を表示する。
【0032】
次に、図9を参照して本実施形態における電子辞書1のマルチ検索処理の具体例を説明する。図9は、本実施形態におけるマルチ検索処理において、日本語の見出し語から直接的又は間接的にどの言語に辿り着けるかを示す概略図である。この図における白矢印は、電子辞書1が保持する辞書データの辞書種別を表わす。また、この図における細い矢印は、日本語の見出し語から直接的又は間接的に辿り着ける言語を表わす。この図における例では、電子辞書1は、和英辞書、英中辞書及び中独辞書の辞書データを保持する。また、電子辞書1は、日本語の見出し語から直接的又は間接的に英語、中国語及びドイツ語の訳データに辿り着ける。
(1)まず、制御部11は、日本語を見出しとする和英辞書を辞書種別テーブルから選択し、選択した和英辞書に対応する辞書データを検索対象とする。そして、制御部11は、入力された見出し語をキーとして、和英辞書に対応する辞書データから英語の訳データを取得する。
(2)続いて、制御部11は、英語を見出し語とする英中辞書を検索対象とする。次に、制御部11は、前辞書を和英辞書とし、後辞書を英中辞書として、ルール「<Kw>と</Kw>で囲まれている文字列」を変換テーブルから取得する。そして、制御部11は、ルールに従って英語の見出し語を抽出する。
(3)続いて、制御部11は、英語の見出し語をキーとして、英中辞書に対応する辞書データから中国語の訳データを取得する。
【0033】
(4)続いて、制御部11は、中国語を見出し語とする中独辞書を検索対象とする。次に、制御部11は、前辞書を英中辞書とし、後辞書を中独辞書として、ルール「<Kw>と</Kw>で囲まれている文字列」を変換テーブルから取得する。そして、制御部11は、ルールに従って中国語の見出し語を抽出する。
(4)続いて、制御部11は、中国語の見出しをキーとして、中独辞書の電子データからドイツ語の訳データを取得する。
(5)ドイツ語が見出し語言語である辞書種別に対応する辞書データを電子辞書1が保持していないため、制御部11は、検索を終了する。そして、制御部11は、取得した英語、中国語及びドイツ語の訳データを表示部14に表示する。
このように、日本語の見出し語が入力された場合には、電子辞書1は、英語、中国語及びドイツ語の訳データを表示することができる。
【0034】
次に、図10を参照して本実施形態における電子辞書1の見出し語抽出処理の具体例を説明する。図10は、本実施形態における見出し語抽出処理を説明するための概念図である。電子辞書1は、変換テーブルを参照して、この図に示す見出し語抽出処理を行う。符号100は、電子辞書1が保持する辞書データの辞書種別を表わす。また、この図に示す細い矢印は、訳データの「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」が対応する辞書種別の見出し語となることを表す。
和英辞書の訳データから英中辞書の見出し語を抽出する場合を例に説明する。電子辞書1は、第1の辞書種別である和英辞書と第2の辞書種別である英和辞書の組に対応するルール「<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列」を変換テーブルから取得する。そして、電子辞書1は、取得したルールに従って訳データから英中辞書の見出し語を抽出する。和英辞書を用いた見出し語「でんしゃ」の検索結果は訳データ「a <Kw>train</Kw>」である。このため、電子辞書1は、図6に示すルールに従って、<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列「train」を英中辞書の見出し語とする。
また、英中辞書の訳データから中独辞書の見出しを抽出する場合は、電子辞書1は、<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列を中独辞書の見出し語とする。また、西仏辞書の訳データから仏和辞書の見出し語を抽出する場合は、電子辞書1は、<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列を仏和辞書の見出し語とする。また、仏和辞書の訳データから和英辞書の見出し語を抽出する場合は、電子辞書1は、<Kw>と</Kw>で囲まれた文字列を和英辞書の見出し語とする。
【0035】
図11は、本実施形態における表示部14に表示される検索結果の画面例である。
電子辞書1は、見出し語が入力されると、入力された見出し語をキーに辞書データを検索し、その検索結果である訳データを表示部14に表示する。
図11(a)は、和英辞書の検索結果の画面例である。図11(a)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応する英語の訳データが表示されている。また、図11(b)は、英中辞書の検索結果の画面例である。図11(b)に示す画面には、英語の見出し語と、当該見出し語に対応する中国語の訳データが表示されている。また、図11(c)は、中独辞書の検索結果の画面例である。図11(c)に示す画面には、中国語の見出し語と、当該見出し語に対応するドイツ語の訳データが表示されている。
また、図11(d)は、マルチ検索処理における検索結果の画面例である。図11(d)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応する英語、中国語及びドイツ語の訳データが表示されている。なお、図11(a)に示す画面を表示した後に、マルチ検索キー27が押下されると、電子辞書1は図11(d)に示す画面を表示する。
【0036】
図12は、本実施形態における表示部14に表示される検索結果の別の画面例である。
この図に示す例では、電子辞書1は、和中辞書、和仏辞書、仏英辞書及び英西辞書の辞書データを保持している。電子辞書1は、見出し語が入力されると、入力された見出し語をキーに辞書データを検索し、その検索結果である訳データを表示部14に表示する。
図12(a)は、和中辞書の検索結果の画面例である。図12(a)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応する中国語の訳データが表示されている。また、図12(b)は、和仏辞書の検索結果の画面例である。図12(b)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応するフランス語の訳データが表示されている。また、図12(c)は、仏英辞書の検索結果の画面例である。図12(c)に示す画面には、フランス語の見出し語と、当該見出し語に対応する英語の訳データが表示されている。図12(d)は、英西辞書の検索結果の画面例である。図12(d)に示す画面には、英語の見出し語と、当該見出し語に対応するスペイン語の訳データが表示されている。
また、図12(e)は、マルチ検索処理における検索結果の画面例である。図12(d)に示す画面には、日本語の見出し語と、当該見出し語に対応する中国語、フランス語、英語及びスペイン語の訳データが表示されている。なお、図12(a)に示す画面を表示した後に、マルチ検索キー27が押下されると、電子辞書1は図12(e)に示す画面を表示する。
【0037】
このように、本実施形態によれば、入力された文字データから訳データを検索し、検索した訳データから見出し語を抽出して、他の辞書の辞書データから訳データを検索するので、辞書の切り替えやジャンプ機能を使用することなく、辞書データがない辞書の機能を実現することができる。また、マルチ検索処理により、1つの言語から対訳辞書のない言語を含む複数の言語を検索することができる。図11に示す例では、日本語から対訳辞書(和中辞書、日独辞書)のない中国語、ドイツ語を含んで検索することができる。これにより電子辞書1の操作性が向上する。
【0038】
また、図7及び8に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、検索処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0039】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0040】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、変換テーブルを用いて訳データから見出し語を抽出しているが、変換テーブルを用いずに、常に訳データのキーワードを見出し語とする、としてもよい。或いは、訳データを見出し語としても良い。
また、本実施形態では、マルチ検索処理において、検索可能な候補(訳データ)を全て表示しているが、ユーザが特定の言語を選択するとその言語に至るルートのみを検索して、ユーザが選択した言語の訳データのみを表示するようにしてもよい。例えば、図11(a)の画面が表示されている状態でユーザがドイツ語を選択すると、電子辞書1は日本語からドイツ語に至るルートのみを検索して、ドイツ語の訳データを表示する。
また、マルチ検索処理において、複数の候補(訳データ)が検索された場合には、候補のリストを表示してユーザが選択できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態による電子辞書の外観構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態における電子辞書の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における辞書種別テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
【図4】本実施形態における各辞書の辞書データ例を示す概略図である。
【図5】本実施形態における経路テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
【図6】本実施形態における変換テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
【図7】本実施形態における電子辞書の動作の手順を示すフローチャートであり、辞書データを保持しない辞書種別が使用辞書選択部から選択された場合の処理である。
【図8】本実施形態における電子辞書の動作の手順を示すフローチャートであり、辞書データを保持する辞書種別が使用辞書選択部から選択された場合の処理である。
【図9】本実施形態におけるマルチ検索処理を説明するための概念図である。
【図10】本実施形態における見出し語抽出処理を説明するための概念図である。
【図11】本実施形態における表示部に表示される検索結果の画面例である。
【図12】本実施形態における表示部に表示される検索結果の別の画面例である。
【符号の説明】
【0042】
1…電子辞書 11…制御部 12…入力部 13…使用辞書選択部 14…表示部 15…ROM 15a…辞書本体データ記憶手段 15b…プログラム記憶手段 16…RAM 16a…文字データ一時記憶手段 21…文字キー 22…カーソルキー 23…辞書Bキー 24…辞書Aキー 25…訳画面表示キー 26…辞書Cキー 27…マルチ検索キー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字データの入力を行う文字入力手段と、
見出し語と、当該見出し語に対応する訳データを保持する辞書データを記憶する辞書データ記憶手段と、
前記文字入力手段により入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出する第1の抽出手段と、
前記第1の抽出手段により抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出する第2の抽出手段と、
前記第2の抽出手段により抽出された訳データを表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子辞書。
【請求項2】
前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組毎にルールを記憶する変換テーブル記憶手段と、
前記変換テーブル記憶手段から前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組に対応するルールを取得し、当該取得したルールに従って前記第1の抽出手段により抽出された訳データから見出し語を抽出する見出し語抽出手段と、
を備え、
前記第2の抽出手段は、前記見出し語抽出手段により抽出された見出し語を用いて第2の辞書種別に対応する辞書データから訳データを抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子辞書。
【請求項3】
前記第2の抽出手段は、抽出した訳データに対応する見出し語が前記辞書データにある限り、当該抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出し、
前記表示手段は、前記第1の抽出手段及び第2の抽出手段により抽出された全ての訳データの一覧を表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子辞書。
【請求項4】
辞書種別を選択する辞書種別選択手段を備え、
前記第2の抽出手段は、前記辞書種別選択手段により選択された辞書種別に対応する訳データを抽出するまで、抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出する
ことを特徴とする請求項1から3いずれか1の項に記載の電子辞書。
【請求項5】
見出し語と、当該見出し語に対応した訳データを保持する辞書データを記憶する電子辞書が、文字データの入力を行うステップと、
前記電子辞書が、前記入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出するステップと、
前記電子辞書が、前記抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出するステップと、
前記電子辞書が、前記第2の辞書種別に対応する辞書データから抽出された訳データを表示するステップと、
を有することを特徴とする辞書検索方法。
【請求項6】
見出し語と、当該見出し語に対応した訳データを保持する辞書データを記憶するコンピュータに、
文字データの入力を行うステップと、
前記入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出するステップと、
前記抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出するステップと、
前記第2の辞書種別に対応する辞書データから抽出された訳データを表示するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
文字データの入力を行う文字入力手段と、
見出し語と、当該見出し語に対応する訳データを保持する辞書データを記憶する辞書データ記憶手段と、
前記文字入力手段により入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出する第1の抽出手段と、
前記第1の抽出手段により抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出する第2の抽出手段と、
前記第2の抽出手段により抽出された訳データを表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子辞書。
【請求項2】
前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組毎にルールを記憶する変換テーブル記憶手段と、
前記変換テーブル記憶手段から前記第1の辞書種別と前記第2の辞書種別の組に対応するルールを取得し、当該取得したルールに従って前記第1の抽出手段により抽出された訳データから見出し語を抽出する見出し語抽出手段と、
を備え、
前記第2の抽出手段は、前記見出し語抽出手段により抽出された見出し語を用いて第2の辞書種別に対応する辞書データから訳データを抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子辞書。
【請求項3】
前記第2の抽出手段は、抽出した訳データに対応する見出し語が前記辞書データにある限り、当該抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出し、
前記表示手段は、前記第1の抽出手段及び第2の抽出手段により抽出された全ての訳データの一覧を表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子辞書。
【請求項4】
辞書種別を選択する辞書種別選択手段を備え、
前記第2の抽出手段は、前記辞書種別選択手段により選択された辞書種別に対応する訳データを抽出するまで、抽出した訳データを見出し語として、前記辞書データから訳データを繰り返して順次抽出する
ことを特徴とする請求項1から3いずれか1の項に記載の電子辞書。
【請求項5】
見出し語と、当該見出し語に対応した訳データを保持する辞書データを記憶する電子辞書が、文字データの入力を行うステップと、
前記電子辞書が、前記入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出するステップと、
前記電子辞書が、前記抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出するステップと、
前記電子辞書が、前記第2の辞書種別に対応する辞書データから抽出された訳データを表示するステップと、
を有することを特徴とする辞書検索方法。
【請求項6】
見出し語と、当該見出し語に対応した訳データを保持する辞書データを記憶するコンピュータに、
文字データの入力を行うステップと、
前記入力された文字データを見出し語として、当該見出し語に対応する訳データを第1の辞書種別に対応する辞書データから抽出するステップと、
前記抽出された訳データを見出し語として、第2の辞書種別に対応する辞書データから当該見出し語に対応する訳データを抽出するステップと、
前記第2の辞書種別に対応する辞書データから抽出された訳データを表示するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−61267(P2010−61267A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224673(P2008−224673)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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