説明

電子部品、コネクタおよびコンタクトピン

【課題】コンタクトピンを基板に抜き差し可能に取り付けること。
【解決手段】コンタクト脚部111は、コンタクトピン110の先端部および根元部の間から先端部に向けてコンタクトピンの中心軸方向に沿って延びるように、コンタクトピン110に形成される。湾曲部112は、コンタクトピン110の中心軸から外方に湾曲状に広がるようにコンタクト脚部111に形成され、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入されたときに貫通穴210の内壁を押圧する。湾曲部112は、コンタクトピン110の中心軸に沿う方向で、当該湾曲部110の中央部から両端部に向けて、コンタクトピン110の中心軸からの距離が小さくなるように形成されている。湾曲部112の中央部は、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入された際に、貫通穴210内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、コネクタおよびコンタクトピンに関し、例えば、基板に形成された貫通穴に取り付けられる電子部品、コネクタおよびコンタクトピンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンタクトピンを用いてプリント配線基板に電気的に接続するコネクタが知られている。このコネクタ等の電子部品を基板(例えばプリント配線基板)に実装するには、基板に形成されて貫通穴にコンタクトピンを挿入した後にはんだ付けをして、コンタクトピンを基板に取り付ける(例えば、特許文献1)。また、コンタクトピンを基板に取り付けるために、コンタクトピンの外径を貫通穴の内径よりも大きくして、コンタクトピンを圧入することにより、コンタクトピンが貫通穴から抜けないようにしている(例えば特許文献2、3、4および5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−17163号公報
【特許文献2】実開平4−102571号公報
【特許文献3】特開昭62−136779号公報
【特許文献4】特開平3−17971号公報
【特許文献5】特表2009−529686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、コンタクトピンが基板にはんだ付けされるため、例えば電子部品を基板から取り外したい場合に、はんだを除去する必要があるという問題があった。また、特許文献3〜5に記載の技術では、コンタクトピンが貫通穴から抜けないようにコンタクトピンを圧入するため、例えば電子部品を基板から取り外したい場合に、コンタクトピンを基板から抜くことが難しいという問題があった。また、無理にコンタクトピンを基板から抜こうとすれば、コンタクトピンや基板の貫通穴を損傷してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、コンタクトピンを基板に抜き差し可能に取り付けることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品は、基板に形成された貫通穴に挿入されるコンタクトピンと、前記コンタクトピンの根元部側を保持するハウジングを有する電子部品であって、前記コンタクトピンの先端部および根元部の間から前記先端部に向けて前記コンタクトピンの中心軸方向に沿って延びるように、前記コンタクトピンに形成された複数のコンタクト脚部と、前記コンタクトピンの中心軸から外方に湾曲状に広がるように前記コンタクト脚部に形成され、前記コンタクトピンが前記貫通穴に挿入されたときに前記貫通穴の内壁を押圧する湾曲部とを備え、前記湾曲部は、前記コンタクトピンの中心軸に沿う方向で、当該湾曲部の中央部から両端部に向けて、前記コンタクトピンの中心軸からの距離が小さくなるように形成され、前記湾曲部の中央部は、前記コンタクトピンが前記貫通穴に挿入された際に、前記貫通穴内に配置されるように設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる技術によれば、コンタクトピンを基板に抜き差し可能に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるコネクタの取り付け構造を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるコネクタの外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるコネクタが取り付けられるプリント配線基板の一例を示す平面図である。
【図4A】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンの構成を示す側面図である。
【図4B】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンを図4AのA−A切断面で切断したときの断面図である。
【図4C】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンを図4Aの矢視Bの方向で見たときの外観図である。
【図5A】本発明の第1の実施の形態におけるコネクタピンをプリント配線基板の貫通穴に挿入する前の状態を模式的に示す断面図である。
【図5B】本発明の第1の実施の形態におけるコネクタピンをプリント配線基板の貫通穴に挿入した後の状態を模式的に示す断面図である。
【図6A】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンの第1の変形例の構成を示す側面図である。
【図6B】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンの第1の変形例を図6AのC−C切断面で切断したときの断面図である。
【図6C】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンの第1の変形例を図6Aの矢視Dの方向で見たときの外観図である。
【図7A】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンの第2の変形例の構成を示す側面図である。
【図7B】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンの第2の変形例を図7AのE−E切断面で切断したときの断面図である。
【図7C】本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピンの第2の変形例を図7Aの矢視Fの方向で見たときの外観図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるコネクタの外観を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるコネクタが取り付けられるプリント配線基板の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100の構成について、図に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100の取り付け構造を示す。図2は、コネクタ100の外観を示す斜視図である。図3は、コネクタ100が取り付けられるプリント配線基板200の一例を示す平面図である。
【0011】
図1および図2に示されるように、コネクタ100は、コンタクトピン110と、ハウジング120とを含んで構成されている。ここでは、コンタクトピン110は複数本あるものとして説明するが、コンタクトピン110は少なくとも1本以上あればよい。ハウジング120は、コンタクトピン110の根元部110a(図1および図2の紙面上側)を保持する。ハウジング120は、例えば樹脂により形成される。
【0012】
なお、ハウジング120には、コンタクトピン110の周囲を囲うように凹部121が形成されている。このように、凹部121を設けることにより、コンタクトピン110とプリント配線基板200の上面(図1の紙面の上側)とが交差する部分に、ハウジング120を形成するための樹脂などが回りこまないようにすることができる。この結果、コネクタ100の高さ方向(図1の紙面の上下方向)の実装精度を高めることができる。
【0013】
また、図2に示されるように、ケーブル300がハウジング120を介してコンタクトピン110に電気的に接続されている。なお、図2に示す点線は、プリント配線基板200上に実装した際のコネクタ100の外形を示す。
【0014】
図3に示されるように、プリント配線基板200は、複数の貫通穴210を有している。複数の貫通穴210には、コネクタ100のコンタクトピン110が挿入される。このため、貫通穴210は、コンタクトピン110が配置されている位置に対応するように、形成されている。したがって、コンタクトピン110が1本である場合には、貫通穴210は1つとなる。また、各貫通穴210の内壁には、銅合金などの導電性部材(不図示)が塗布されており、導電層220が形成される(図1を参照)。この導電層220はプリント配線基板200内に形成されているパターン配線(不図示)などに電気的に接続されている。
【0015】
次に、コンタクトピン110の構成について具体的に説明する。図4Aは、本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピン110の構成を示す側面図である。図4Bは、コンタクトピン110を図4AのA−A切断面で切断したときの断面図である。図4Cは、コンタクトピン110を図4Aの矢視Bの方向で見たときの外観図である。
【0016】
図4A〜図4Cに示されるように、コンタクトピン110は、2本のコンタクト脚部111と、軸部112とを含んで構成されている。軸部112は、コンタクトピン110の根元部110a側を構成する。コンタクト脚部111は、コンタクトピン110の先端部110bおよび根元部110aの間から先端部110bに向けてコンタクトピン110の中心軸CL方向に沿って延びるように、コンタクトピン110に形成されている。なお、ここでは、コンタクト脚部111を2本としたが、3本以上のコンタクト脚部111でコンタクトピン110を構成してもよい。また、コンタクト脚部111は、軸部112(コンタクトピン10の根元部110a)と一体で構成してもよいし、別体で構成してもよい。コンタクトピン110の材料は、例えばリン青銅のように、導電性および弾性を有する金属部材により構成される。
【0017】
さらに、湾曲部113がコンタクト脚部111に形成されている。この湾曲部113は、コンタクトピン110の軸部112中心軸CLから外方に湾曲状に広がるようにコンタクト脚部111に形成されている。また、次に詳細に説明するように、湾曲部113は、コンタクトピンがプリント配線基板200の貫通穴210に挿入されたときに、貫通穴210の内壁を押圧するように構成されている。
【0018】
ここで、コネクタ100をプリント配線基板200に取り付ける方法について、図に基づいて説明する。
【0019】
まず、コネクタ100をプリント配線基板200に取り付ける前の状態について、説明する。図5Aは、コネクタピン110をプリント配線基板200の貫通穴210に挿入する前の状態の断面を模式的に示す。
【0020】
図5Aに示されるように、湾曲部113の長手方向(コンタクトピン110の中心軸CLに沿う方向)における中央部113aは隆起するように形成されている。プリント配線基板200の貫通穴210には、前述の通り、例えば銅合金などの導電性部材が塗布されるころにより、導電層220が形成されている。湾曲部113の中央部113aの最大外径Xは、プリント配線基板200の貫通穴210の内径Yよりも大きい。また、前述の通りコンタクト脚部111は弾性を有するので、コネクタピン110が貫通穴210に挿入されたときに、湾曲部113の中央部113aがプリント配線基板220の貫通穴210の内壁を押圧する。
【0021】
また、湾曲部113の中央部113aは、上端部113bおよび下端部113cよりも、コンタクトピン110の中心軸CLからの距離が大きくなるように形成されている。具体的には、湾曲部113は、コンタクトピン113の中心軸CLに沿う方向で、当該湾曲部113の中央部113aから両端部113b、113cの双方に向けて、コンタクトピン110の中心軸CLからの距離が小さくなるように形成されている。より簡単な言葉に換言すれば、湾曲部113の外形は涙滴状あるいは樽状に形成されている。
【0022】
次に、コネクタ100をプリント配線基板200に取り付けた後の状態について、説明する。図5Bは、コネクタピン110をプリント配線基板200の貫通穴210に挿入した後の状態の断面を模式的に示す。
【0023】
図5Bに示されるように、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入される。このとき、湾曲部113の一部または全部は、貫通穴210の板厚方向における両端部210b、210c(図5Aを参照)の間に挟まれた空間内に配置されるように設けられる。すなわち、少なくとも、湾曲部113の中央部113aは、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入された際に、貫通穴210内(より具体的には、貫通穴210の板厚方向における両端部210b、210cの間に挟まれた空間内)に配置されるように設けられている。
【0024】
次に、図5Aおよび図5Bに基づいて、コネクタ100をプリント配線基板200に取り付ける方法を説明する。
【0025】
図5Aに示されるように、コンタクトピン110を貫通穴210に挿入する際には、まず、コンタクトピン110の先端部110bから湾曲部113の下端部113bにわたる部分を、貫通穴210に差し込む(矢印Zの方向)。このとき、涙滴形状または樽形状の湾曲部113がコンタクトピン110に形成されている。このため、仮にコンタクトピン111の先端部110bが貫通穴210の中心部からずれた状態にあっても、コンタクトピンの先端部110bを貫通穴210の中心部に向けて移動させながら、当該コンタクトピン110を貫通穴210に深く円滑に挿入することができる。そして、さらにコンタクトピン110を貫通穴210に押し込むことにより、湾曲部113の中央部113aが、貫通穴210の内壁に接触した後、弾性変形しながら徐々に貫通穴210の内壁を押圧し、図5Bの状態になる。なお、ハウジング120の下面がプリント配線基板210の表面に当接することで(図1を参照)、図5Bの状態となる。すなわち、ハウジング120の下面がストッパーの役割を果たしている。このように、湾曲部113は、コンタクトピン113の中心軸CLに沿う方向で、当該湾曲部113の中央部113aから下端部113cに向けて、コンタクトピン110の中心軸CLからの距離が小さくなるように形成されているので、コンタクトピン110を貫通穴210に円滑に挿入することができる。
【0026】
また、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入された状態では、湾曲部113の中央部113aの最大外径Xは、貫通穴210の内径Yよりも大きいので、コンタクト脚部111の湾曲部113の中央部113aには、貫通穴210の内壁に押しつぶされるように弾性変形が生じ、逆に元の形状に戻ろうとする力が反力となって、貫通穴210の内壁を押圧する。このため、コンタクトピン110が、貫通穴210の内壁に接触した状態で、貫通穴210内に安定して保持される。この結果、コンタクトピン110と貫通穴210の内壁に塗布された導電性部材とが、安定して電気的に接続される。
【0027】
また、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入された状態では、図5Bに示されるように、湾曲部113のうちで最も隆起した中央部113aが、貫通穴210の板厚方向における両端部210b、210cの間に配置されるので、コンタクトピン110を貫通穴210に挿入した後であっても、コンタクトピン110を貫通穴210から円滑に抜くことができる。
【0028】
以上の通り、本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100は、コンタクトピン110と、ハウジング120とを含んで構成されている。コンタクトピン110は、プリント配線基板200に形成された貫通穴210に挿入される。ハウジング120は、コンタクトピン110の根元部110a側を保持する。
【0029】
また、コネクタ100のコンタクトピン110は、複数のコンタクト脚部111と、湾曲部113とを備えている。コンタクト脚部111は、コンタクトピン110の先端部110bおよび根元部110aの間から先端部110bに向けてコンタクトピン110の中心軸CL方向に沿って延びるように、コンタクトピン110に形成されている。
【0030】
湾曲部113は、コンタクトピン110の中心軸CLから外方に湾曲状に広がるようにコンタクト脚部111に形成されている。湾曲部113は、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入されたときに、貫通穴210の内壁を押圧する。これにより、コンタクトピン110が、貫通穴210の内壁に接触した状態で、貫通穴210内に安定して保持される。この結果、コンタクトピン110と貫通穴210の内壁に塗布された導電性部材とが、安定して電気的に接続される。
【0031】
また、湾曲部113は、コンタクトピン110の中心軸CLに沿う方向で、当該湾曲部113の中央部113aから両端部113b、113cに向けて、コンタクトピン110の中心軸CLからの距離が小さくなるように形成されている。さらに、湾曲部113の中央部113aは、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入された際に、貫通穴210内に配置されるように設けられている。このように、湾曲部113は、コンタクトピン113の中心軸CLに沿う方向で、当該湾曲部113の中央部113aから両端部113b、113cに向けて、コンタクトピン110の中心軸CLからの距離が小さくなるように形成されているので、湾曲部113の外形は涙滴形状または樽形状となる。したがって、コンタクトピン110を貫通穴210に挿入する際には、コンタクトピン110を貫通穴210に円滑に挿入することができる。特に、多数のコンタクトピン110がコネクタ100に設けられている場合、コンタクトピン110の先端部110bの寸法のばらつきを吸収しながら、コンタクトピン110の先端部110bを効率よく貫通穴210に導くことができる。
【0032】
また、湾曲部113のうちで最も隆起した中央部113aが、貫通穴210内に配置されるので、コンタクトピン110を貫通穴210に挿入した後であっても、コンタクトピン110を貫通穴210から抜くことができる。これに対して、特許文献3〜5に記載の技術では、本発明のように、涙滴形状または樽形状の湾曲部113がコンタクトピン110に設けられておらず、当該湾曲部113のうちで最も隆起した中央部113aが貫通穴210内に配置される構成を有しておらず、コンタクトピンを抜くことが想定されていなかった。このため、無理にコンタクトピンを抜こうとすれば、コンタクトピンやプリント配線基板の貫通穴を損傷してしまう場合があった。
【0033】
以上のように、本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100によれば、湾曲部113の中央部113aが最も隆起するように、湾曲部113をコンタクトピン113のコンタクト軸部111に形成し、湾曲部113の中央部113aが貫通穴210内に配置されている。これにより、コンタクトピン110をプリント配線基板200に抜き差し可能に取り付けることができる。
【0034】
また、本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100において、コンタクト脚部113は、弾性部材により形成されている。これにより、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入されたときに、湾曲部113により貫通穴210の内壁を確実に押圧することができる。
【0035】
本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100において、コンタクトピン110は、導電性部材により形成されている。これにより、貫通穴210の内壁に導電性部材が塗布されているときには、貫通穴210の内壁に塗布された導電性部材とコンタクトピン110との間で電気的な接続をとることができる。また、コンタクトピン110を貫通穴210に挿入する際に、コンタクトピン110の先端部110bから湾曲部113の中央部113aの部分が、貫通穴210の内壁面を摺動しながら両者が接触するので、両者間の接触部分を洗浄することができる。このため、電気的により安定して両者を接続することができる。この結果、コネクタ100の製品として、電気的な信頼性を向上することができる。
【0036】
本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100において、コンタクトピン110の中心軸CLに対してほぼ垂直方向で切断した際の前記コンタクトピン110の断面は、貫通穴210の形状に対応するように形成されている。これにより、コンタクトピン110の湾曲部113と貫通穴210の内壁との間の接触面積を大きくすることができる。この結果、コンタクトピン110が貫通穴210に挿入されたときに、湾曲部113により貫通穴210の内壁をより確実に押圧することができる。また、貫通穴210の内壁に導電性部材が塗布されているときには、貫通穴210の内壁に塗布された導電性部材とコンタクトピン110との間で電気的な接続をより確実にとることができる。
【0037】
なお、本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100において、コンタクト脚部113は、コンタクトピン110の根元部110a(軸部112)と別体で形成されてもよい。この場合であっても、前述した効果と同様の効果を奏する。
【0038】
本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピン110は、プリント配線基板200の形成された貫通穴210に挿入される。このコンタクトピン110は、前述した通りの構成を有するので、前述したコネクタ100と同様の効果を奏する。
【0039】
次に、本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピン110の第1の変形例110Aについて説明する。図6Aは、コンタクトピン110Aの構成を示す側面図である。図6Bは、コンタクトピン110Aを図6AのC−C切断面で切断したときの断面図である。図6Cは、コンタクトピン110Aを図6Aの矢視Dの方向で見たときの外観図である。
【0040】
ここで、コンタクトピン110(図3A〜図3C)とコンタクトピン110A(図6A〜図6C)とを比較すると、コンタクトピン110の断面形状がほぼ円形であるのに対して、コンタクトピン110Aの断面形状は楕円形状である点で、両者は互いに相違する。図6A〜図6Cでは、図3A〜図3Cで示された構成と同等の構成に対して、図3A〜図3Cに示された符号に準じた符号を付している。このように、コンタクトピン110Aの断面形状を楕円形状に形成した場合であっても、前述した効果と同様の効果を奏する。なお、好ましくは、コンタクトピン110Aが挿入される貫通穴の形状を、コンタクトピン110Aの断面形状に対応して楕円形状に形成する。これにより、特に、コンタクトピン110Aの湾曲部113Aと貫通穴の内壁との間の接触面積を大きくすることができる。この結果、コンタクトピン110Aが貫通穴に挿入されたときに、湾曲部113Aにより貫通穴の内壁をより確実に押圧することができる。
【0041】
次に、本発明の第1の実施の形態におけるコンタクトピン110の第2の変形例110Bについて説明する。図7Aは、コンタクトピン110Bを示す側面図である。図7Bは、コンタクトピン110を図7AのE−E切断面で切断したときの断面図である。図7Cは、コンタクトピン110Bを図7Aの矢視Fの方向で見たときの外観図である。
【0042】
ここで、コンタクトピン110(図3A〜図3C)とコンタクトピン110B(図7A〜図7C)とを比較すると、コンタクトピン110の断面形状がほぼ円形であるのに対して、コンタクトピン110Bの断面形状は多角形状(図7A〜図7Cの例では8角形状)である点で、両者は互いに相違する。図7A〜図7Cでは、図3A〜図3Cで示された構成と同等の構成に対して、図3A〜図3Cに示された符号に準じた符号を付している。このように、コンタクトピン110Bの断面形状を多角形状に形成した場合であっても、前述した効果と同様の効果を奏する。なお、好ましくは、コンタクトピン110Bが挿入される貫通穴の形状を、コンタクトピン110Bの断面形状に対応して、多角形状に形成する。これにより、特に、コンタクトピン110Aの湾曲部113Aと貫通穴の内壁との間の接触面積を大きくすることができる。この結果、コンタクトピン110Aが貫通穴に挿入されたときに、湾曲部113Aにより貫通穴の内壁をより確実に押圧することができる。
【0043】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態におけるコネクタ100Aの構成について、図に基づいて説明する。
【0044】
図8は、本発明の第2の実施の形態におけるコネクタ100Aの外観を示す斜視図である。図9は、本発明の第2の実施の形態におけるコネクタ100Aが取り付けられるプリント配線基板200Aの一例を示す平面図である。
【0045】
ここで、本発明の第1の実施の形態におけるコネクタ100と、本発明の第2の実施の形態におけるコネクタ100Aとを対比する。図2および図8に示されるように、コネクタ100Aは、保持部130がハウジング120の両端部に設けられている点で、コネクタ100と相違する。
【0046】
図8に示されるように、保持部130は、コネクタ100Aをプリント配線基板200Aに保持するために、ハウジング120の両端部に設けられている。保持部130は、ハウジング120との結合部131を支点に回転可能に取り付けられている。また、保持部130の先端部には、嵌合爪132が形成されている。
【0047】
次に、プリント配線基板200とプリント配線基板200Aとを対比する。図3および図9に示されるように、プリント配線基板200Aは、嵌合穴230が形成されている点で、プリント配線基板200と相違する。
【0048】
図9に示されるように、嵌合爪230は、直線上に配列された複数の貫通穴210を挟むように、コネクタ100Aの保持部130に対応した位置に形成されている。
【0049】
コネクタ100Aをプリント配線基板200Aに取り付ける際には、コンタクトピン110を貫通穴210に挿入しながら、保持部130の嵌合爪132を嵌合穴230に嵌め込む。
【0050】
以上の通り、本発明の第2の実施の形態におけるコネクタ100Aは、ハウジング120に設けられ、プリント配線基板200Aにコネクタ100Aを固定するための保持部130を備える。これにより、コネクタ100Aが、保持部130によって、プリント配線基板200Aに保持される。この結果、例えば振動などによって、コネクタ100Aがプリント配線基板200Aから外れてしまうことを抑制することができる。また、コネクタ100Aが、保持部130によって、プリント配線基板200Aに保持されるので、コンタクトピン110も貫通穴210内で安定して保持される。さらに、貫通穴210の内壁に導電性部材が塗布されているときには、貫通穴210の内壁に塗布された導電性部材とコンタクトピン110との間で電気的な接続をさらに確実にとることができる。このように保持部130を有するコネクタ100Aは、通常はコンタクトピン110をプリント配線基板200Aの貫通穴210に挿入して、例えばコンタクトピン110および貫通穴210の間で電気的な接続を確保するが、一時的にコンタクトピン110を貫通穴から抜き出して、前記電気的な接続を切り離す必要がある場合などに有用となる。
【0051】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0052】
前述の各実施の形態では、コネクタ100、100Aについて説明した。しかしながら、コンタクトピン110、110A、110Bおよびハウジング120が前述したように構成されていれば、コネクタ100、110Aに限らず、例えば半導体素子など、様々な電子部品に適用することができる。
【0053】
前述の各実施の形態では、コンタクトピン110、110A、110Bの材料は、導電性および弾性を有する金属部材により構成されると説明した。しかし、これに限らず、コンタクトピン110、110A、110Bの材料を、弾性を有する樹脂部材で構成してもよい。この場合、コンタクトピン110、110A、110Bの外周に銅合金などのメッキを施すことにより、コンタクトピン110、110A、110Bに導電性を持たせることができる。また、例えば、コネクタ100、100Aに含まれるコンタクトピン110、110A、110Bのうち、電気的な接続を必要としない場合もある。この場合、コネクタ100、110Aの一部または全部のコンタクトピン110、110A、110Bを、導電性を有さないもので形成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
100、110A コネクタ
110、110A、110B コンタクトピン
110a、110Aa、110Ba コンタクトピンの根元部
110b、110Ab、110Bb コンタクトピンの先端部
111、111A、111B コンタクト脚部
112、112A、112B 軸部
113、113A、113B 湾曲部
113a 湾曲部の中央部
113b 湾曲部の上端部
113c 湾曲部の下端部
120 ハウジング
130 保持部
131 結合部
132 嵌合爪
200、200A プリント配線基板
210 貫通穴
210a 貫通穴の中央部
210b 貫通穴の上端部
210c 貫通穴の下端部
220 導電層
230 嵌合穴
300 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された貫通穴に挿入されるコンタクトピンと、前記コンタクトピンの根元部側を保持するハウジングを有する電子部品であって、
前記コンタクトピンの先端部および根元部の間から前記先端部に向けて前記コンタクトピンの中心軸方向に沿って延びるように、前記コンタクトピンに形成された複数のコンタクト脚部と、
前記コンタクトピンの中心軸から外方に湾曲状に広がるように前記コンタクト脚部に形成され、前記コンタクトピンが前記貫通穴に挿入されたときに前記貫通穴の内壁を押圧する湾曲部とを備え、
前記湾曲部は、前記コンタクトピンの中心軸に沿う方向で、当該湾曲部の中央部から両端部に向けて、前記コンタクトピンの中心軸からの距離が小さくなるように形成され、
前記湾曲部の中央部は、前記コンタクトピンが前記貫通穴に挿入された際に、前記貫通穴内に配置されるように設けられた電子部品。
【請求項2】
前記コンタクト脚部は、弾性部材により形成された請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記コンタクトピンは、導電性部材により形成された請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記コンタクトピンの中心軸に対してほぼ垂直方向で切断した際の前記コンタクトピンの断面は、前記貫通穴の形状に対応するように形成された請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品。
【請求項5】
前記コンタクト脚部は、前記コンタクトピンの根元部と別体で形成された請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品。
【請求項6】
前記ハウジングに設けられ、前記基板に前記コネクタを固定するための保持部を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品。
【請求項7】
基板に形成された貫通穴に挿入されるコンタクトピンと、前記コンタクトピンの根元部側を保持するハウジングを有するコネクタであって、
前記コンタクトピンの先端部および根元部の間から前記先端部に向けて前記コンタクトピンの中心軸方向に沿って延びるように、前記コンタクトピンに形成された複数のコンタクト脚部と、
前記コンタクトピンの中心軸から外方に湾曲状に広がるように前記コンタクト脚部に形成され、前記コンタクトピンが前記貫通穴に挿入されたときに前記貫通穴の内壁を押圧する湾曲部とを備え、
前記湾曲部は、前記コンタクトピンの中心軸に沿う方向で、当該湾曲部の中央部から両端部に向けて、前記コンタクトピンの中心軸からの距離が小さくなるように形成され、
前記湾曲部の中央部は、前記コンタクトピンが前記貫通穴に挿入された際に、前記貫通穴内に配置されるように設けられたコネクタ。
【請求項8】
基板の形成された貫通穴に挿入されるコンタクトピンであって、
前記コンタクトピンの先端部および根元部の間から前記先端部に向けて前記コンタクトピンの中心軸方向に沿って延びるように、前記コンタクトピンに形成された複数のコンタクト脚部と、
前記コンタクトピンの中心軸から外方に湾曲状に広がるように前記コンタクト脚部に形成され、前記コンタクトピンが前記貫通穴に挿入されたときに前記貫通穴の内壁を押圧する湾曲部とを備え、
前記湾曲部は、前記コンタクトピンの中心軸に沿う方向で、当該湾曲部の中央部から両端部に向けて、前記コンタクトピンの中心軸からの距離が小さくなるように形成され、
前記湾曲部の中央部は、前記コンタクトピンが前記貫通穴に挿入された際に、前記貫通穴内に配置されるように設けられたコンタクトピン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−16394(P2013−16394A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149254(P2011−149254)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(390001074)NECネットワークプロダクツ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】