説明

電子部品収納用パッケージおよび電子装置

【課題】 低背化が容易な電子部品収納用パッケージおよび電子装置を提供する。
【解決手段】 上面に電子部品5を収容するための凹部2が設けられた絶縁基体1と、絶縁基体1に接合されて凹部2を封止する板状の蓋体3とを含み、蓋体3の側面が、蓋体3の上面側から下面側に向かって内側に傾斜しているとともに、凹部2の内側面の上端部が蓋体3の側面に沿うように傾斜しており、蓋体3の傾斜した側面が、凹部2の傾斜した内側面に対向して接合される電子部品収納用パッケージ9である。蓋体3の厚み方向の少なくとも一部が凹部2内に入り込んで絶縁基体1に接合されるため、低背化が可能な電子部品収納用パッケージ9を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を気密封止するための電子部品収納用パッケージ、および電子部品収納用パッケージに電子部品が気密封止されてなる電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や容量素子,SAW(表面弾性波)フィルタ等の電子部品は、一般に、半導体材料やセラミック圧電材料等からなる板状の本体の一方主面に外部接続用の電極が配置されている。このような電子部品は、セラミック焼結体等からなる絶縁基体の上面に凹部が設けられた電子部品収納用パッケージの凹部内に気密封止されて電子装置となり、コンピュータや通信機器等の各種の電子機器に実装される。
【0003】
凹部内への電子部品の気密封止は、一般に、凹部を塞ぐようにして平板状の蓋体を絶縁基体の上面(凹部を取り囲む枠状の部分の上面)に接合することによって行なわれる。すなわち、絶縁基体の凹部と蓋体とにより構成される容器内に電子部品が気密封止されて電子装置が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−16163号公報
【特許文献2】特開2005−203485号公報
【特許文献3】特開2011−114192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電子部品収納用パッケージおよび電子装置においては、蓋体を絶縁基体の上面に接合するため、蓋体の厚みの分、薄型化が妨げられる可能性があった。
【0006】
本発明は上記従来の技術の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、低背化が容易な電子部品収納用パッケージおよび電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品収納用パッケージは、上面に電子部品を収容するための凹部が設けられた絶縁基体と、該絶縁基体に接合されて前記凹部を封止する板状の蓋体とを含む電子部品収納用パッケージであって、前記蓋体の側面が、該蓋体の上面側から下面側に向かって内側に傾斜しているとともに、前記凹部の内側面の上端部が前記蓋体の前記側面に沿うように傾斜しており、前記蓋体の傾斜した前記側面が、前記凹部の傾斜した前記内側面に対向して接合されることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の電子部品収納用パッケージは、上記構成において、前記凹部の前記内側面に、傾斜した前記上端部の下端に沿って窪みが形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の電子部品収納用パッケージは、上記構成において、前記凹部の前記内側面に、傾斜した前記上端部の下端に沿って凸状部が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の電子部品収納用パッケージは、上記構成において、前記蓋体の前記側面は、途中で傾斜の角度が変化していることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の電子装置は、上記いずれかの構成の電子部品収納用パッケージと、前記凹部内に収容された電子部品とを含み、前記蓋体の傾斜した前記側面と前記凹部の傾斜した前記内側面とが互いに対向し合うように接合されて、前記凹部内に前記電子部品が気密封止されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子部品収納用パッケージによれば、蓋体の側面が、蓋体の上面側から下面側に向かって内側に傾斜しているとともに、凹部の内側面の上端部が蓋体の側面に沿うように傾斜しており、蓋体の傾斜した側面が、凹部の傾斜した内側面に対向して接合されることから、蓋体の絶縁基体に対する接合は、厚み方向の少なくとも一部が凹部内に入り込んだ蓋体の側面を介して行なわれる。つまり、絶縁基体に蓋体を接合したときに、絶縁基体の上面から上側に出ている蓋体の厚みを従来よりも小さく抑えることができる。したがって、薄型化に有効な電子部品収納用パッケージを提供することができる。
【0013】
また、蓋体の側面と凹部の内側面との接合面が傾斜しているため、蓋体と絶縁基体との接合面積を大きくして、蓋体と絶縁基体との接合強度を高める上で有利である。
【0014】
また、本発明の電子部品収納用パッケージにおいて、凹部の内側面に、傾斜した上端部の下端に沿って窪みが形成されている場合には、例えばろう材やガラス等の接合材を介して蓋体の側面を凹部の内側面に接合するときに、余計な接合材を窪み内に収めることができる。そのため、余計な接合材が凹部内に垂れこむようなことを、より効果的に抑制することができる。
【0015】
また、本発明の電子部品収納用パッケージにおいて、凹部の内側面に、傾斜した上端部の下端に接して凸状部が形成されている場合には、例えばろう材やガラス等の接合材を介して蓋体の側面を凹部の内側面に接合するときに、余計な接合材の下方への流れを凸状部で遮ることができる。そのため、余計な接合材が凹部内に垂れこむようなことを、より効果的に抑制することができる。
【0016】
また、本発明の電子部品収納用パッケージにおいて、蓋体の側面が、途中で傾斜の角度が変化している場合には、角度の変化に応じて蓋体の側面と凹部の内側面との間に、他の部分よりも両者の間の間隔が広い部分を形成することができる。そのため、例えばろう材やガラス等の接合材を介して蓋体の側面を凹部の内側面に接合するときに、この間隔が広い部分により多くの接合材の溜まりを形成することができる。したがって、この場合には、蓋体と絶縁基体との接合強度を向上させる上でも有利な電子部品収納用パッケージを提供することができる。
【0017】
本発明の電子装置によれば、上記いずれかの構成の電子部品収納用パッケージと、凹部内に収容された電子部品とを含み、蓋体の傾斜した側面と凹部の傾斜した内側面とが互いに対向し合って接合されて、凹部内に電子部品が気密封止されていることから、低背化に有効な電子部品収納用パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の電子部品収納用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】(a)は図1に示す電子部品収納用パッケージに電子部品が収容されてなる電子装置の一例を示す断面図であり、(b)は(a)の上面図である。
【図3】本発明の電子部品収納用パッケージの実施の形態の他の例における要部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の電子部品収納用パッケージの実施の形態の他の例における要部を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の電子部品収納用パッケージの実施の形態の他の例における要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の電子部品収納用パッケージを添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の電子部品収納用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図であり、図2(a)は図1に示す電子部品収納用パッケージに電子部品が収容されてなる電子装置の一例を示す断面図であり、図2(b)は図2(a)の上面図である。電子部品5を収容するための凹部2が設けられた絶縁基体1と、絶縁基体1に接合されて凹部2を塞ぐ蓋体3とにより電子部品収納用パッケージ9が基本的に構成されている。なお、図2(b)においては蓋体3を省略している。
【0020】
絶縁基体1は、例えば直方体状であり、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミック焼結体等のセラミック材料や、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂材料等の絶縁材料からなる。
【0021】
図1に示した例では、絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック材料からなる複数の絶縁層(符号なし)が積層されて形成されている。このような絶縁基体1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。すなわち、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末に適当な有機バインダおよび有機溶剤を添加混合して作製したスラリーをドクターブレード法やリップコータ法等のシート成形技術でシート状に成形することによって複数枚のセラミックグリーンシートを作製して、その後、セラミックグリーンシートを切断加工や打ち抜き加工によって適当な形状とするとともにこれを複数枚積層し、最後にこの積層したセラミックグリーンシートを還元雰囲気中において約1300〜1500℃の温度で焼成することによって製作することができる。
【0022】
絶縁基体1は、上面に電子部品5を収容するための凹部2が設けられている。また、図1に示す例では、凹部2の底面から絶縁基体1の下面にかけて配線導体4が配置されている。
【0023】
電子部品5は、例えば四角板状の半導体基板やセラミック圧電基板等からなる本体5の一方主面に電極6を有している。このような電子部品5としては、ICやLSI等の半導体集積回路素子、およびLED(発光ダイオード)やPD(フォトダイオード),CCD(電荷結合素子)等の光半導体素子を含む半導体素子,弾性表面波素子や水晶振動子等の圧電素子,容量素子,抵抗器,半導体基板の表面に微小な電子機械機構が形成されてなるマイクロマシン(いわゆるMEMS素子)等の種々の電子部品5が挙げられる。
【0024】
凹部2は、上記の電子部品5を収容するのに適した形状であり、例えば開口が四角形状である。このような凹部2を有する絶縁基体1は、例えば、絶縁層となる複数のセラミックグリーンシートのうち所定のものに金型等で打ち抜き加工を施して枠状に加工しておいて、この枠状のセラミックグリーンシートを、打ち抜き加工を施していない平板状のセラミックグリーンシートの上面に積層し、その後、この積層体を一体焼成する方法で製作することができる。
【0025】
配線導体4は、凹部2内に収容される電子部品5の電極(図示せず)とはんだや導電性
接着剤,ボンディングワイヤ等の導電性接続材6を介して電気的に接続される。この配線導体4は、電子部品5を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続するための導電路として機能する。配線導体4のうち凹部2内に配置された部分に電子部品5の電極を電気的に接続し、絶縁基体1の下面に形成された部分を外部電気回路にはんだ等(図示せず)を介して接続すれば、配線導体4を介して電子部品5の電極と外部電気回路とが電気的に接続される。なお、図1および図2において、配線導体4のうち凹部2内に配置された部分と絶縁基体1の下面に配置された部分との間を接続する部分は省略している。このような接続をする配線導体4は、例えば絶縁基体1の内部や外側面に内部配線や側面導体(いわゆるキャスタレーション導体)や貫通導体等の形態で配置されている。
【0026】
配線導体4は、タングステンやモリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料からなり、メタライズ層やめっき層等の形態で絶縁基体1の所定部位に被着されている。
【0027】
蓋体3は、凹部2を塞ぐように絶縁基体1に接合されて、凹部2内に電子部品5を気密封止するためのものである。蓋体3は、鉄−ニッケル−コバルト等の鉄系合金や銅,アルミニウム等の金属材料,酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体等のセラミック材料,ガラス材料等により形成されている。
【0028】
また、蓋体3の側面が、蓋体3の上面側から下面側に向かって内側に傾斜しているとともに、凹部2の内側面の上端部が蓋体3の側面に沿うように傾斜しており、蓋体3の傾斜した側面が、凹部2の傾斜した内側面に対向して接合される。
【0029】
この電子部品収納用パッケージ9において、蓋体3の絶縁基体1に対する接合は、厚み方向の少なくとも一部が凹部2内に入り込んだ蓋体3の側面が凹部2の傾斜した内側面に接合することによって行なわれる。つまり、絶縁基体1に蓋体3を接合したときに、絶縁基体1の上面から上側に出ている蓋体3の厚みを従来よりも小さく抑えることができる。したがって、薄型化に有効な電子部品収納用パッケージ9を提供することができる。
【0030】
また、蓋体3の側面と凹部2の内側面との接合面が傾斜しているため、蓋体3と絶縁基体1との接合面積を大きくして、蓋体3と絶縁基体1との接合強度を高める上で有利である。すなわち、従来の電子部品収納用パッケージ(図示せず)のように絶縁基体の上面に板状の蓋体3の下面の外周部が接合される場合(蓋体3と絶縁基体1との接合面が水平である場合)に比べて、平面視における蓋体3と絶縁基体1との枠状の接合面の幅が同じであれば、上記傾斜の角度に応じて接合面積を大きくすることができる。
【0031】
なお、絶縁基体1(凹部2の傾斜した内側面)と蓋体3(傾斜した側面)との接合は、例えば、スズ−銀−銅(いわゆる鉛フリーはんだ等)や金−スズ等のろう材,ガラス,有機樹脂接着剤等の接合材7を介して行なわれる。
【0032】
接合材7を介した絶縁基体1と蓋体3との接合は、例えばペースト状のはんだを介して蓋体3の側面を凹部2の内側面に位置合わせした後、これらを電気炉等の炉内で所定の温度に加熱することによって行なわれる。絶縁基体1のうち蓋体3が接合材7を介して接合される部分(凹部2の内側面の上端の傾斜した部分)には、ろう材等の接合材7の接合のために、下地金属層(図示せず)を被着させておいてもよい。また、ろう材7にチタン等のいわゆる活性金属材料を添加して、下地金属層を不要としてもよい。下地金属層は、例えば配線導体4と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。
【0033】
この場合、蓋体3を凹部2の内側にはめるだけで、容易かつ確実に、凹部2を塞ぐ位置に蓋体3を位置合わせすることができる。そのため、例えば上記のように接合材7を介し
て蓋体3を絶縁基体1に接合する際の作業性が高く、電子装置の生産性が高い電子部品収納用パッケージ9とすることもできる。つまり、蓋体3を凹部2内にはめるだけで、蓋体3が凹部2内の所定位置に仮固定された状態になる。そのため、接合材7を加熱して接合を行なう前の取り扱い等による蓋体3の位置ずれが発生しにくい。なお、接合材7を溶融させて蓋体3を絶縁基体1に接合する際には、蓋体3に作用する重力に対して凹部2の傾斜した内側面から受ける抗力(凹部2の内側に向かう方向)による、いわゆるセルフアライメントの効果を得ることもできる。
【0034】
蓋体3の側面の傾斜角度(蓋体3の側面と上面との間の角度)は、使用する接合材7の量や種類,蓋体3の厚み,絶縁基体1の蓋体3との接合面積および経済性等の条件に応じて、適宜設定すればよい。例えば、蓋体3が鉄−ニッケル−コバルト合金等の鉄系合金からなる、厚みが約0.5〜1mm程度のものであり、接合材7がろう材であり、絶縁基体1
が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、傾斜角度は約45〜60度程度になるようにすればよい。この角度が大きい(側面が垂直に近い)と、接合材7が凹部2内に流れ込みやすくなる可能性がある。また、角度が小さいと、蓋体3の厚みを十分に確保することが難しくなる可能性がある。
【0035】
なお、凹部2の内側面の上端部は、上記蓋体3の側面の傾斜に沿うように傾斜した面とする必要がある。この場合、凹部2の内側面の傾斜角度(凹部2の内側面と絶縁基体1の上面との間の角度)は、この傾斜した内側面が蓋体3の側面に対して平行、または平行に近くなるような角度に設定する。凹部2の内側面と蓋体3の側面とが互いに平行に近い状態とは、例えば、蓋体3の側面の傾斜の角度と、これに対向する凹部2の内側面の傾斜の角度との差が10度程度以下の状態である。
【0036】
側面が傾斜した蓋体3は、例えば、まず、鉄−ニッケル−コバルト合金の板材料に打ち抜き加工やエッチング加工等の加工を施して、平板状(薄い直方体状)の蓋体用板材を作製した後、その蓋体用板材の側面に研磨加工を施して所定の角度に傾斜させることによって作製することができる。
【0037】
また、凹部2の内側面の上端が、蓋体3の側面に沿って傾斜した絶縁基体1は、例えば、凹部2の内側面が絶縁基体1の上面に対して垂直な絶縁基体1を作製した後、その内側面の上端部分に研磨加工を施して傾斜した面に加工すればよい。また、絶縁基体1となるセラミックグリーンシートのうち凹部2の内側面の上端に相当する部分に、あらかじめ切断加工等の加工を施してセラミックグリーンシートの積層体の上面に対して傾斜した面としておいて、その後に焼成するようにしてもよい。
【0038】
また、蓋体3は、前述した薄型化の効果を得る上では、側面の上端から下端まで傾斜した面として、その厚み方向の全部が凹部2内に入り込むように、つまり、蓋体3の全部がちょうど凹部2の上端部分に収まるようにすることが好ましい。
【0039】
また、前述したように、蓋体3の絶縁基体1(凹部2)に対する位置合わせを容易かつ確実とする効果を得るようにするときには、少なくとも、蓋体3の側面の下端から厚み方向に、少なくとも蓋体3の厚みの1/2程度の範囲(つまり蓋体3の側面の下半分)を、傾斜した面とすることが好ましい。この場合、蓋体3が十分な深さで凹部2内に収まるため、凹部2内に蓋体3をはめる作業が容易であり、また、はめた後の仮固定時の蓋体3の位置ずれもより効果的に抑制される。
【0040】
ここで、本発明の電子部品収納用パッケージの効果について、具体例を挙げて説明する。具体例の電子部品収納用パッケージ9は、絶縁基体1が酸化アルミニウム質焼結体からなり、蓋体3が鉄−ニッケル−コバルト合金からなるものであった。絶縁基体1の厚みは
約1mmであり、蓋体3の厚みは約0.2mmであり、凹部2の深さは約0.6mmであった。
【0041】
蓋体3の側面は、上端から下端にかけて傾斜角度約60度で傾斜させた。凹部2の内側面は、上端から蓋体3の厚みに対応した深さまでの範囲を、傾斜角度60度で傾斜させた。凹部2内に電子部品5として半導体素子を収容した後、蓋体3の側面を凹部2の傾斜した内側面に、スズ−銀系ろう材を介して接合して電子装置を作製した。また、比較例として、蓋体3の傾斜した側面および凹部2の傾斜した内側面以外は上記具体例の電子部品収納用パッケージ9と同様である従来技術の電子部品収納用パッケージ(図示せず)を準備し、凹部2内に上記と同様の電子部品(図示せず)を収容した後、蓋体3下面の外周部を絶縁基体の上面に接合して比較例の電子装置を作製した。
【0042】
その結果、上記具体例の電子部品収納用パッケージ9を用いて作製した電子装置は高さが約1mm程度であったのに対して、比較例の電子部品収納用パッケージを用いて作製した電子装置は高さが約1.2mmであり、本発明の電子部品収納用パッケージ(例えば図1
に示す電子部品収納用パッケージ9)における薄型化の効果が確認された。なお、薄型化は約0.2mm程度であり、一見効果が小さいようにも思われるが、厚みの比率では約17%
の薄型化であり、近年の薄型化が著しい電子機器(携帯電話等)に対して十分に有効である。
【0043】
なお、上記具体例の電子部品収納用パッケージ9を用いて作製した電子装置について、温度サイクル試験(−40℃〜+125℃、1000サイクル)およびグロスリーク試験を順次行
なって、気密封止の信頼性を確認した。その結果、試験した500個の電子装置においてリ
ーク不良は検出されず、気密封止の信頼性を確認することができた。
【0044】
また、上記具体例および比較例の電子部品収納用パッケージ(9)を用いてそれぞれの電子装置を作製する際の作業性、特に蓋体(3)と絶縁基体(1)との位置合わせについても比較した。その結果、具体例の電子部品収納用パッケージ9を用いて電子装置を作製したときには、500個の電子装置の作製(蓋体3の位置合わせ)に要する時間が約10分で
あったのに対し、比較例の電子部品収納用パッケージを用いて電子装置を作製したときには、500個の電子装置の作製(蓋体の位置合わせ)に要する時間が約18分であった。この
結果から、本発明の電子部品収納用パッケージにおける、気密封止の信頼性に優れた電子装置を作製する際作業性の向上等の効果を確認することができた。
【0045】
また、このような電子部品収納用パッケージ9において、例えば図3に示すように、凹部2の内側面に、傾斜した上端部の下端に沿って窪み2aが形成されていてもよい。この場合には、例えばろう材やガラス等の接合材7を介して蓋体3の側面を凹部2の内側面に接合するときに、余計な接合材7を窪み2a内に収めることができる。そのため、余計な接合材7が凹部2内に垂れこむようなことを、より効果的に抑制することができる。なお、図3は、本発明の電子部品収納用パッケージの実施の形態の他の例における要部を拡大して示す断面図である。図3において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
【0046】
窪み2aは、凹部2の内側面の傾斜した部分に設けられていてもよく、また、傾斜した部分よりも下側(垂直な部分)に設けられていてもよい。すなわち、接合材7を介して蓋体3を絶縁基体1に接合する際に、重力に従って凹部2内に移動しようとする接合材7を内側に収容し得るような位置に、窪み2aを設ければよい。なお、図3では、窪み2aは、凹部2の内側面の傾斜した部分と、傾斜した部分よりも下側(垂直な部分)との両方に設けられているが、いずれか一方のみであっても構わない。また、生産性や経済性を考慮すれば、いずれか一方のみであることが好ましい。
【0047】
また、窪み2aは、凹部2の内側面の全周にわたって一続きの溝状のものであってもよ
く、円形状等の穴状のものであってもよい。窪み2aは、上記余計な接合材7の流れの抑制効果を得る上では、凹部2の内側面の全周にわたって(溝状に、平面視で環状に)形成されていることが、より好ましい。
【0048】
窪み2aは、例えば凹部2の内側面に切削加工を施す方法や、凹部2を形成する絶縁層のうち1層の内周を他のものよりも外側に位置させる(引っ込ませる)ようにすることによって形成することができる。また、個々の窪み2aの深さや内面の形状等は、上記加工の都合や接合材7の量および粘度(加熱前)等の条件に応じて適宜設定すればよく、例えば図3に示したような三角形状や円弧状のものが挙げられる。
【0049】
また、このような電子部品収納用パッケージ9において、例えば図4に示すように、凹部2の内側面に、傾斜した上端部の下端に接して凸状部2bが形成されていてもよい。この場合には、例えばろう材やガラス等の接合材7を介して蓋体3の側面を凹部2の内側面に接合するときに、余計な接合材7の下方への流れを凸状部2bで遮ることができる。そのため、余計な接合材7が凹部2内に垂れこむようなことを、より効果的に抑制することができる。なお、図4は、本発明の電子部品収納用パッケージの実施の形態の他の例における要部を拡大して示す断面図である。図4において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
【0050】
凸状部2bも、窪み2aと同様に、接合材7を介して蓋体3を絶縁基体1に接合する際に、重力に従って凹部2内に移動しようとする接合材7の流れを止められるような位置に設ければよい。
【0051】
凸状部2bについても、凹部2の内側面の全周にわたって一続きの、いわゆるひさし状のものであってもよく、断続しているようなものであってもよい。凸状部2bは、凹部2の内側面の全周にわたって(平面視で環状に)形成されていることが、より好ましい。
【0052】
凸状部2bは、例えば凹部2を形成する絶縁層のうち1層の内周を他のものよりも内側に位置させる(凹部2側に突出させる)ようにすることによって形成することができる。また、個々の凸状部2bの突出の寸法や形状等は、上記加工の都合や接合材7の量および粘度(加熱前)等の条件に応じて適宜設定すればよく、例えば図3に示したような、四角形状のものが挙げられる。
【0053】
また、このような電子部品収納用パッケージ9において、例えば図5に示すように、蓋体3の側面が、途中で傾斜の角度が変化していてもよい。この場合には、角度の変化に応じて蓋体3の側面と凹部2の内側面との間に、他の部分よりも両者の間の間隔が広い部分を形成することができる。そのため、例えばろう材やガラス等の接合材7を介して蓋体3の側面を凹部2の内側面に接合するときに、この間隔が広い部分により多くの接合材7の溜まりを形成することができる。したがって、この場合には、蓋体3と絶縁基体1との接合強度を向上させる上でも有利な電子部品収納用パッケージ9を提供することができる。なお、図5は、本発明の電子部品収納用パッケージの実施の形態の他の例における要部を拡大して示す断面図である。図5において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
【0054】
なお、凹部2の内側面の傾斜角度は、図5に示した例では、その内側面の上側で小さく、下側で大きくなっている。この傾斜角度の差に応じて、蓋体3の側面の中央部分(厚み方向)が凹部2側に凸になっている。蓋体3の側面の傾斜角度は、凹部2の傾斜した内側面のうち下側の傾斜角度とほぼ同じであり、それよりも上側に、より多くの接合材7の溜まりが生じるようになっている。この場合には、絶縁基体1と蓋体3との接合面の下側において隙間がより狭いため、余計な接合材7が凹部2内に入り込むことを抑制する上で有
利である。
【0055】
凹部2の内側面の傾斜角度を途中で変化させる場合、その内側面の上側で大きく、下側で小さくなるようにしてもよい。この場合には、蓋体3の側面の中央部分(厚み方向)が外側に凸(つまり凹部2側に凹)になる。この凹状になった部分に接合材7の溜まりが形成される。なお、この場合には、蓋体3の側面の傾斜角度は、上記接合材7の溜まりが十分に形成されるように適宜調節されることが好ましい。
【0056】
上記いずれかの構成の電子部品収納用パッケージ9に電子部品5が収容され、気密封止されて本発明の電子装置が形成される。すなわち、例えば図2に示した本発明の電子装置の一例は、上記いずれかの構成の電子部品収納用パッケージ9と、凹部2内に収容された電子部品5とを含み、蓋体3の傾斜した側面と凹部2の傾斜した内側面とが互いに対向し合って接合されて、凹部2内に電子部品5が気密封止されている。このような構成であることから、低背化に有効な電子部品収納用パッケージ9を提供することができる。
【0057】
図2に示す例においては、凹部2の底面に形成された配線導体4に、電子部品5の下面に配置された電極が対向して、導電性接続材6であるはんだを介して電気的および機械的に接続されている。この場合、電子部品5の下面と凹部2の底面と間の空間に樹脂材料(いわゆるアンダーフィル)を充填して、電子部品5の接続信頼性を高めるようにしてもよい。
【0058】
また、導電性接続材6がボンディングワイヤである場合や、電子部品5が赤外線センサの場合等であれば、蓋体3の下面と電子部品5の上面との間の隙間をより大きくして、ボンディングワイヤの蓋体3との接触の防止や、電子部品5が封止される容器の体積をより大きくして容器内の真空度の向上等を図るようにしてもよい。この場合にも、蓋体3の厚みに応じて、従来よりも薄型化が可能な電子部品収納用パッケージ9を提供することができる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・絶縁基体
2・・・凹部
2a・・窪み
2b・・凸状部
3・・・蓋体
4・・・配線導体
5・・・電子部品
6・・・導電性接続材
7・・・接合材
9・・・電子部品収納用パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に電子部品を収容するための凹部が設けられた絶縁基体と、該絶縁基体に接合されて前記凹部を封止する板状の蓋体とを含む電子部品収納用パッケージであって、
前記蓋体の側面が、該蓋体の上面側から下面側に向かって内側に傾斜しているとともに、前記凹部の内側面の上端部が前記蓋体の前記側面に沿うように傾斜しており、前記蓋体の傾斜した前記側面が、前記凹部の傾斜した前記内側面に対向して接合されることを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
【請求項2】
前記凹部の前記内側面に、傾斜した前記上端部の下端に沿って窪みが形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項3】
前記凹部の前記内側面に、傾斜した前記上端部の下端に沿って凸状部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項4】
前記蓋体の前記側面は、途中で傾斜の角度が変化していることを特徴とする請求項1記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージと、前記凹部内に収容された電子部品とを含み、前記蓋体の傾斜した前記側面と前記凹部の傾斜した前記内側面とが互いに対向し合うように接合されて、前記凹部内に前記電子部品が気密封止されていることを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−26506(P2013−26506A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161071(P2011−161071)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)