説明

電子部品用トレイ

【課題】複数種の電子部品を夫々確実に保持可能であって、複数種の電子部品を同時に収納可能なトレイを提供することを目的とする。そして、電子部品が実装される製品の製造ラインの単純化、効率化が図られると共に、トレイの設計、金型製造等の費用を抑制することを目的とする。
【解決手段】平板体の表面に、夫々重なることなく別個独立の収納空間を形成する凹状の収納部であって、夫々異なる形状の第一収納部、第二収納部及び第三収納部を夫々複数設けると共に、同一形状の各収納部毎にまとめて配置したことを特徴とする電子部品用トレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品収納用トレイに関し、特に形状の異なる複数種の電子部品を同時に収納可能なトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ICや半導体モジュール等の電子部品を収納して、保管、運搬する容器として従来から、同一形状の収納凹部を複数設けたトレイが用いられている。このような従来のトレイは、複数設けれた収納凹部が同一形状であるために、収納する電子部品も同一形状のものに限定されていた。
【0003】
しかし、このような従来のトレイを用いて複数種の電子部品がセットで実装される製品を製造する場合には、異なる電子部品が収納された複数のトレイが必要となり、製造ラインが複雑で非効率となり、又、複数のトレイの設計、金型製造が必要となり、多大な費用が必要であった。
【0004】
そこで、収納凹部を複数の形状を組み合わせた平面形状に形成し、複数種類の電子部品を収納可能な電子部品用トレイが提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、このトレイでは、組み合わされて重なる部分以下の大きさの電子部品を確実に保持して破損を防止することが出来ず、セットで実装される電子部品の形状の違い、例えば大小の差によっては、やはり複数種類のトレイが必要とされ、従来と同様の問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−59472
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願発明は複数種の電子部品を夫々確実に保持可能であって、複数種の電子部品を同時に収納可能なトレイを提供することを目的とする。そして、電子部品が実装される製品の製造ラインの単純化、効率化が図られると共に、トレイの設計、金型製造等の費用を抑制することを目的とする。又、電子部品のトレーへの出し入れが容易、確実なトレイを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本願発明は、電子部品を収納する複数の収納部を有するトレイであって、複数種類の形状の収納部を備え、夫々の収納部は画設されていることを特徴とする電子部品用トレイである。
【0009】
又、平板体の表面に、夫々画設された凹状の収納部であって、複数種類の形状の収納部を夫々複数設けると共に、同一形状の収納部毎に夫々まとめて配置したことを特徴とする電子部品用トレイである。
【0010】
又、平板体の表面に、夫々重なることなく別個独立の収納空間を形成する凹状の収納部であって、夫々異なる形状の第一収納部、第二収納部及び第三収納部を夫々複数設けると共に、同一形状の各収納部毎にまとめて配置したことを特徴とする電子部品用トレイである。
【0011】
更に、上記トレイは、収納部の側壁は上方に広がる傾斜状に形成されていることを特徴とする電子部品用トレイである。
【発明の効果】
【0012】
以上のような請求項1乃至3記載の本願発明によれば、複数種の電子部品を夫々確実に保持可能であって、複数種の電子部品を同時に収納可能となった。そして、電子部品が実装される製品の製造ラインの単純化、効率化が図られると共に、トレイの設計、金型製造等の費用を抑制することが可能となった。又、請求項4記載の発明によれば、電子部品のトレーへの出し入れが容易、確実となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態を図に従って説明する。電子部品用トレイ1は略正方形の平板体2と平板体2の下部外周に外方へ延設した縁部3、縁部3から下方へ延設した脚部4を備え、平板体2の表面21には電子部品を収納する複数の凹状の収納部5,5…が設けられている。脚部4の内周は平板体2が嵌合可能な形状としている。収納部5,5…は夫々画設されて互いの収納空間を侵すことがない。即ち、収納部5,5…は夫々重なることなく別個独立の収納空間を形成し、一の収納部5に一個の電子部品を収納可能としている。収納部5として第一収納部51、第二収納部52、第三収納部53の三種類が夫々異なる形状で、夫々複数設けられている。このことにより、異なる形状の電子部品を同時に収納可能となっている。尚、平板体2は正方形に限定されず、長方形状等としてもよい。
【0014】
電子部品用トレイ1はポリスチレン(PS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂を用いて射出成形等により形成する。又、電子部品用トレイ1の帯電防止のためにこれらの合成樹脂にカーボンブラック等を混合することが望ましく、より好ましくは発塵性のないカーボンナノチューブや高分子導電材等を混合することが望ましい。その他耐熱性、寸法安定性、硬さ等電子部品用トレイ1の性能の向上のために周知の各種充填材を用いることとしてもよい。
【0015】
第一収納部51、第二収納部52、第三収納部53は夫々異なる形状に形成するが、その平面形状及び深さは夫々収納する電子部品に応じて決定し、いずれの収納部5も一種類の対応する形状の電子部品のみ収納可能とすることにより、異なる電子分品を収納し、保持可能としている。通常その平面形状は正方形又は長方形であるが、これに限定されるものではない。収納部の形状は三種類ではなく、二種類或いは四種類以上としてもよい。夫々異なる形状の第一収納部51、第二収納部52、第三収納部53は夫々同一数を設けてもよく、異なる数を設けてもよい。
【0016】
夫々異なる形状の第一収納部51、第二収納部52、第三収納部53は同一形状の収納部5,5…毎にまとめて配置し、同一形状の収納部5,5…は隣接して設けるが、セットとして用いられる電子部品を収納する場合等には、これらの電子部品を収納する収納部5,5…を隣接させて配置してもよく、又、ランダムに配置してもよい。
【0017】
第一収納部51部分及び第三収納部53部分の断面図である図2によく示すように、第一収納部51及び第三収納部53を囲む側壁25には一部切欠部6を設けている。勿論第二収納部52にも切欠部を設けてもよく、或いは切欠部を全く設けない構成としてもよい。又、電子部品用トレイ1に収納する電子部品の出し入れを容易とすると共に、電子部品が収納部5に確実に収納されるようにするために、側壁25は底面22方向へ収納部5内方へ傾斜させて、言い換えれば、上方に広がる傾斜状に形成することは推奨される。
【0018】
又、電子部品用トレイ1,1…は下段の平板体2の上部を上段の脚部4に嵌合することにより重ねて固定可能となっている。
【0019】
電子部品用トレイ1の使用に際しては、第一収納部51,51…、第二収納部52,52…、第三収納部53,53…に夫々形状の異なる電子部品を収納することが出来るが、第一収納部51、第二収納部52、第三収納部53から選ばれた任意の形状の収納部5にのみ電子部品を収納することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明一実施例斜視図
【図2】本発明一実施例の部分断面図であり、(a)は収納部51部分の断面図、(b)は収納部53部分の断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 電子部品用トレイ
2 平板体
22 底面
25 側壁
3 縁部
4 脚部
5 収納部
51 第一収納部
52 第二収納部
53 第三収納部
6 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納する複数の収納部を有するトレイであって、複数種類の形状の収納部を備え、夫々の収納部は画設されていることを特徴とする電子部品用トレイ。
【請求項2】
平板体の表面に、夫々画設された凹状の収納部であって、複数種類の形状の収納部を夫々複数設けると共に、同一形状の収納部毎に夫々まとめて配置したことを特徴とする電子部品用トレイ。
【請求項3】
平板体の表面に、夫々重なることなく別個独立の収納空間を形成する凹状の収納部であって、夫々異なる形状の第一収納部、第二収納部及び第三収納部を夫々複数設けると共に、同一形状の各収納部毎にまとめて配置したことを特徴とする電子部品用トレイ。
【請求項4】
収納部の側壁は上方に広がる傾斜状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の電子部品用トレイ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−137446(P2006−137446A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327459(P2004−327459)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000222749)東洋樹脂株式会社 (6)
【Fターム(参考)】