電子部品
【課題】実装面への実装状態を容易に把握できる電子部品を提供する。
【解決手段】本電子部品1は、プリント基板の実装面に実装される電子部品であって、側壁21に開口部21Aを有するケース部材2と、ケース部材の内側に設けられる可動部材3と、を備え、可動部材は、ケース部材から外部へ突出する脚部32を有するとともに、電子部品の実装時に脚部が実装面に押し当てられることにより、側壁に沿って移動するように設けられており、可動部材には、開口部から露出することにより表示される表示部31が設けられており、表示部は、可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、開口部との相対位置が変化して、開口部からの露出状態が異なるように設けられている。
【解決手段】本電子部品1は、プリント基板の実装面に実装される電子部品であって、側壁21に開口部21Aを有するケース部材2と、ケース部材の内側に設けられる可動部材3と、を備え、可動部材は、ケース部材から外部へ突出する脚部32を有するとともに、電子部品の実装時に脚部が実装面に押し当てられることにより、側壁に沿って移動するように設けられており、可動部材には、開口部から露出することにより表示される表示部31が設けられており、表示部は、可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、開口部との相対位置が変化して、開口部からの露出状態が異なるように設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。更に詳しくは、実装面への実装状態を容易に把握できる電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板の実装面に実装される電子部品において、実装面に対しての浮きや傾きは作動不良や誤作動の原因となり問題となる。この実装面に対しての浮きや傾きは、部品実装時やはんだ付け時などに生じることが知られている。このため、はんだ付けされる前の状態において、電子部品がプリント基板に対してガタつくのを抑制し、これにより浮きや傾きが発生するのを防止しようとする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−294507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように電子部品のガタつきを抑制したとしても、浮きや傾きが生じてしまうことがあった。このため、電子部品の実装状態を確認するための検査が必要であり、実装状態を容易に把握することができる技術が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、実装面への実装状態を容易に把握することができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、プリント基板の実装面に実装される電子部品であって、側壁に開口部を有するケース部材と、前記ケース部材の内側に設けられる可動部材と、を備え、前記可動部材は、前記ケース部材から外部へ突出する脚部を有するとともに、前記電子部品の実装時に前記脚部が前記実装面に押し当てられることにより、前記側壁に沿って移動するように設けられており、前記可動部材には、前記開口部から露出することにより表示される表示部が設けられており、前記表示部は、前記可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、前記開口部との相対位置が変化して、前記開口部からの露出状態が異なるように設けられていることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記開口部は複数設けられており、前記可動部材は、前記開口部に対応するように複数設けられており、それぞれの可動部材は、互いに独立して前記側壁に対して移動可能であるとともに、互いに独立して前記開口部から露出して表示されることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記可動部材の移動量を前記表示部の前記露出状態から把握することを補助するための定量補助手段が備えられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子部品によると、側壁に開口部を有するケース部材と、前記ケース部材の内側に設けられる可動部材と、を備えている。可動部材は、ケース部材から外部へ突出する脚部を有するとともに、電子部品の実装時に脚部が実装面に押し当てられることにより、ケース部材の側壁に沿って移動するように設けられている。また、可動部材には、開口部から露出することにより表示される表示部が設けられている。そして、表示部は、可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、開口部との相対位置が変化して、開口部からの露出状態が異なるように設けられている。このような構成により、電子部品の実装面への実装状態を容易に把握することができ、実装時に浮きや傾きが発生したとしても、それを容易に確認することができる。
【0010】
また、前記開口部は複数設けられており、前記可動部材は、前記開口部に対応するように複数設けられており、それぞれの可動部材は、互いに独立して前記側壁に対して移動可能であるとともに、互いに独立して前記開口部から露出して表示される場合は、電子部品の基板面に対する浮きや傾きについて、その方向や量を把握することができる。
【0011】
更に、前記可動部材の移動量を前記表示部の前記露出状態から把握することを補助するための定量補助手段が備えられている場合は、電子部品の基板面に対する浮きや傾きについて、その方向や量をより容易に把握することができるので、浮きや傾きを定量化することができる。その結果、浮きや傾きに対するロバスト性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】プリント基板に電子部品が実装された例を示す斜視図である。
【図2】実施例に係る電子部品を示す斜視図である。
【図3】実施例に係る電子部品の縦断面図である。
【図4】実施例に係る電子部品の分解斜視図である。
【図5】実施例に係る電子部品の作用を説明するための説明図である。
【図6】実施例に係る電子部品の作用を説明するための説明図である。
【図7】実施例に係る電子部品の作用を説明するための説明図である。
【図8】他の実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【図9】他の実施形態に係る電子部品の可動部材を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態に係る電子部品の作用を説明するための説明図である。
【図11】他の実施形態に係る電子部品の可動部材を示す斜視図である。
【図12】他の実施形態に係る電子部品の可動部材を示す斜視図である。
【図13】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【図14】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【図15】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【図16】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【図17】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0014】
本実施形態に係る電子部品(1,101,102)は、プリント基板(100)の実装面(S)に実装される電子部品である(例えば、図1等参照)。この電子部品としては、例えば、ロックスイッチ、タクトスイッチ、ロータリースイッチ等の各種スイッチや、コネクタ、リレー、コンデンサ、抵抗、サーミスタ等を挙げることができる。
【0015】
上記電子部品は、側壁(21)に開口部(21A)を有するケース部材(2)と、ケース部材の内側に設けられる可動部材(3)と、を備えている(例えば、図2、図3、図4等参照)。可動部材は、ケース部材から外部へ突出する脚部(32)を有するとともに、電子部品の実装時に脚部が実装面に押し当てられることにより、ケース部材の側壁に沿って移動するように設けられている。また、可動部材には、開口部から露出することにより表示される表示部(31)が設けられている。そして、表示部は、可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、開口部との相対位置が変化して、開口部からの露出状態が異なるように設けられている(例えば、図2、図3、図4等参照)。
【0016】
上記「ケース部材」の構成、大きさ、材質、色等は特に問わない。ケース部材の立体形状も特に問わないが、例えば、有底の略角筒形状や、有底の略円筒形状等、通常の電子部品に用いられるケース部材の立体形状であることができる。また、上記側壁の形状も、通常の電子部品に用いられるケース部材の側壁の形状であることができる。
上記開口部の形状、大きさ等は特に問わない。この開口部は、例えば、複数設けられていることができる。
【0017】
上記「可動部材」の構成、大きさ、形状、材質等は特に問わない。この可動部材は、例えば、上記ケース部材の側壁に沿って一体的に設けられた1つの可動部材である形態であることができる(例えば、図4等参照)。また、可動部材は、例えば、複数設けられていることができる。可動部材が複数設けられる形態としては、例えば、上記ケース部材の側壁に沿うように、その全周に渡って並んで設けられる形態(例えば、図8、図9等参照)や、対向して設けられる形態(例えば、図11、図12等参照)等を挙げることができる。
上記脚部の大きさ、形状、個数、配設位置等は特に問わない。また、上記表示部の大きさ、形状、個数等は特に問わない。
【0018】
上記可動部材の色は特に問わないが、例えば、上記ケース部材の色とは異なる色であることができる。また、可動部材は、上記表示部の色のみが上記ケース部材の色と異なる色であってもよいし、表示部及び上記脚部の色が同じ色であり、且つケース部材の色と異なる色である形態であってもよい。更に、可動部材は、表示部の色と脚部の色とが異なる色であり、且つ表示部の色及び脚部の色それぞれがケース部材の色と異なる色である形態であってもよい。
【0019】
本実施形態に係る電子部品において、表示部が開口部から露出することにより表示される形態としては、例えば、(i)電子部品がプリント基板の実装面に実装されていない状態では、開口部には表示部が表示されていない部分が少なくとも一部存在し(例えば、図5、図13等参照)、電子部品がプリント基板の実装面に正しく実装された状態では、開口部にはその全面に表示部が表示されている(例えば、図7等参照)形態、(ii)電子部品がプリント基板の実装面に実装されていない状態では、開口部には表示部が表示されておらず(例えば、図5等参照)、電子部品がプリント基板の実装面に正しく実装された状態では、開口部には表示部が表示された部分が少なくとも一部存在する(例えば、図7、図14等参照)形態、等であることができる。
なお、上記「正しく実装された状態」とは、電子部品が浮きや傾きが生じていない状態で実装された状態を意図している。
【0020】
また、本実施形態に係る電子部品には、例えば、可動部材の移動量を表示部の露出状態から把握することを補助するための定量補助手段(31A)が備えられていることができる(例えば、図15、図16、図17等参照)。定量補助手段の形態は特に問わないが、例えば、表示部に、可動部材の移動量に応じて開口部からの露出状態が異なる段差状の目盛りが形成されている形態(例えば、図15等参照)や、上記側壁の上記開口部に隣接する部分及び上記表示部の少なくとも一方に、移動量を示すための目盛りが形成されている形態(例えば、図16、図17等参照)等であることができる。
【0021】
本実施形態に係る電子部品は、例えば、上記開口部は複数設けられており、上記可動部材は、開口部に対応するように複数設けられており、それぞれの可動部材は、互いに独立して側壁に対して移動可能であるとともに、互いに独立して開口部から露出して表示される形態であることができる(例えば、図8等参照)。
【実施例】
【0022】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「電子部品」としてロックスイッチを例示する。図1に示すように、ロックスイッチ1は、プリント基板100の実装面Sに実装される。なお、図1に示すプリント基板100には、2つのロックスイッチ1の他に、2つのタクトスイッチ101と、これらのスイッチに電源を供給するためのコネクタ102と、が、ロックスイッチ1と同様に実装されている。また、プリント基板100には、2つのバルブ取付け孔103が形成されており、各スイッチは、それぞれバルブ取付け孔103に取り付けられるバルブの点灯制御を行うためのスイッチである。
【0023】
(1)ロックスイッチの構成
本実施例に係るロックスイッチ1は、図2〜図4に示すように、ケース部材2と、可動部材3と、を備えている。
ケース部材2は、側壁21が上壁22の周縁から下方に延びるように形成され、これにより下方を開放した有底角筒状に設けられている。側壁21の各面には略矩形状の開口部21Aがそれぞれ形成されている。また、上壁22には貫通孔22Aが形成されている。本実施例において、ケース部材2は、白色の樹脂で一体形成されている。
【0024】
可動部材3はケース部材2の内側に設けられる。図2〜図4に示すように、可動部材3は、ケース部材2の側壁21の各面に沿うように形成された表示部31と、この表示部31から下方に延びるように形成された脚部32と、を有している。可動部材3は、プリント基板100の実装面Sに実装される前の状態において、表示部31がケース部材2内に収容されているとともに、脚部32がケース部材2から外部へ突出するように設けられている。また、可動部材3は、ロックスイッチ1の実装時に、脚部32がプリント基板100の実装面Sに押し当てられることにより、側壁21に沿って移動するように設けられている。そして、表示部31は、可動部材3が移動したときに、開口部21Aから露出することにより表示されるようになっている。
また、本実施例において、この可動部材3は、ケース部材2とは異なる色である赤色の樹脂で一体成形されている。
【0025】
本実施例において、表示部31は、ロックスイッチ1の実装前の状態では開口部21Aから露出せず、ロックスイッチ1が実装されて可動部材3が移動したときに、その少なくとも一部が開口部21Aから露出して表示されるように設けられている。そして、表示部31は、浮きや傾きが発生していない状態(正しい状態)でロックスイッチ1が実装された場合には、開口部21Aを全面的に塞ぐように、開口部21Aから露出するように設けられている。
【0026】
また、ロックスイッチ1は、図3及び図4に示すように、側壁21からケース部材2の内側方向へ所定の間隔を空けて設けられる内壁4を備えている。可動部材3は、この内壁4と側壁21との間の隙間を移動するように設けられている。また、内壁4には、固定接点41と、この固定接点41から下方に延びるように形成され、プリント基板100のプリント配線とはんだ付けされる端子42と、が設けられている。なお、内壁4の下面にはケース部材2の下面を封止するための底壁43が設けられている。
【0027】
内壁4の更に内側には操作部材5が設けられている。操作部材5は、ケース部材2の上壁22に形成された貫通孔22Aからケース部材2の外部に突出する操作部51を有している。そして、この操作部51が押圧操作されることにより、移動接点52が、操作部材5に伴って移動して固定接点41と導通、又は絶縁し、スイッチのオン/オフが切り換えられるようになっている。操作部材5は、操作部51が押圧操作されると、その側壁部に設けられたハート状カム53と、内壁4に設けられたロックピン44と、操作部材5を上方に付勢するスプリング6と、によりオルタネイト動作するようになっている。
【0028】
(2)ロックスイッチの作用
次に、上記構成のロックスイッチ1の作用について説明する。ロックスイッチ1は、プリント基板100の実装面Sに実装されていない状態では、図5に示すように、可動部材3の脚部32がケース部材2から突出した状態となっている。また表示部31は開口部21Aからは露出せず、表示されていない状態となっている。
ロックスイッチ1が実装面Sに実装されるときには、脚部32が実装面Sに押し当てられて可動部材3が側壁21に沿って移動する。すると、表示部31が開口部21Aから露出する。そして、ロックスイッチ1が浮きや傾き発生していない状態で実装面Sに実装されると、図6に示すように、表示部31は、開口部21Aを全面的に塞ぐように開口部21Aから露出する。一方、ロックスイッチ1が浮きや傾き発生した状態で実装面Sに実装されると、図7に示すように、表示部31は、開口部21Aを部分的に塞ぐように開口部21Aから露出した状態となる。
このように、開口部21Aからの表示部31の露出状態により、可動部材3の移動量を把握することができ、ロックスイッチ1の実装状態を把握することができる。
なお、可動部材3の移動量を詳細に把握するために、開口部21Aからの表示部31の露出量や開口部21Aの開口量を、ノギス等により計測するようにしてもよい。
【0029】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例のロックスイッチ1によると、側壁21に開口部21Aを有するケース部材2と、ロックスイッチ1の実装面Sへの実装状態に応じてケース部材2の内側を側壁21に沿って移動可能に設けられた可動部材3と、を備えている。そして、可動部材3には表示部31が設けられており、可動部材3の移動状態に応じた露出状態で、表示部31が開口部21Aから露出するようになっている。このような構成により、ロックスイッチ1の実装面Sへの実装状態を容易に把握することができ、実装時に浮きや傾きが発生したとしても、それを容易に確認することができる。
【0030】
また、本実施例では、可動部材3の色を赤色とし、ケース部材2の色である白色とは異なる色としたので、表示部31の開口部21Aからの露出状態を容易に把握することができるとともに、脚部32の突出状態も容易に把握することができる。その結果、ロックスイッチ1の実装状態をより容易に把握することができる。
【0031】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、一体成形された1つの可動部材3を備える場合を例示したが、これに限定されず、例えば、図8及び図9に示すように、可動部材3を複数(図8及び図9中4つ)設け、それらをケース部材の側壁に対してそれぞれ独立して移動可能であるとともに、それぞれ独立して開口部から露出して表示されるようにしてもよい。これにより、図10に示すように、各可動部材3の移動量に差が生じることにより、電子部品の基板面に対する浮きや傾きについて、その方向や量を把握することができる。
【0032】
なお、この場合、可動部材の個数は特に限定されるものではなく、図8及び図9に示すように、2つ以上の可動部材をケース部材の側壁に沿うように並んで設けるようにしてもよいし、図11及び図12に示すように、2つの可動部材3をケース部材の側壁の対向する位置に設けるようにしてもよい。
【0033】
また、脚部の配設形態も特に限定されず、上記実施例や図9及び図11に示すように、可動部材3の幅方向の略中央部に設けるようにしてもよいし、図12に示すように、可動部材3の幅方向の隅部近傍に設けるようにしてもよい。
【0034】
更に、上記実施例では、表示部が開口部から露出することにより表示される形態として、電子部品としてのロックスイッチ1がプリント基板100の実装面Sに実装されていない状態では、開口部21Aには表示部31が表示されておらず、ロックスイッチ1がプリント基板100の実装面Sに正しく実装された状態では、開口部21Aにはその全面に表示部31が表示される形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図13に示すように、電子部品がプリント基板100の実装面Sに実装されていない状態で、開口部21Aに表示部が表示されている部分が一部存在していてもよい。また、図14に示すように、電子部品がプリント基板100の実装面Sに正しく実装された状態で、開口部21Aに表示部が表示されていない部分が一部存在していてもよい。
【0035】
また、本発明に係る電子部品においては、可動部材の移動量を表示部の露出状態から把握することを補助するための定量補助手段が備えられているようにしてもよい。この定量補助手段としては、例えば、図15に示すように、表示部31に段差状の目盛り31Aを形成した形態とすることができる。この場合、目盛り31Aの開口部21Aからの露出状態の違いにより可動部材の移動量を容易に把握することができるので浮きや傾きを定量化することができる。その結果、浮きや傾きに対するロバスト性を向上させることができる。また、定量補助手段としては、図16及び図17に示すように、側壁21の開口部21Aに隣接する部分及び表示部31の少なくとも一方に形成された目盛り31Aとしてもよい。
【0036】
また、上記実施例では、本発明に係る電子部品としてロックスイッチ1を例示したが、これに限定されず、例えば、タクトスイッチ、ロータリースイッチ等の各種スイッチや、コネクタ、リレー、コンデンサ、抵抗、サーミスタなど、プリント基板の実装面に実装される電子部品であればどのような電子部品であってもよい。
【0037】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0038】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
電子部品の実装状態を確認するための技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0040】
1;ロックスイッチ、2;ケース部材、21;側壁、21A;開口部、22;上壁、22A;貫通孔、3;可動部材、31;表示部、32;脚部、4;内壁、41;固定接点、42;端子、43;底壁、44;ロックピン、5;操作部材、51;操作部、52;移動接点、53;ハート状カム、6;スプリング、100;プリント基板、101;タクトスイッチ、102;コネクタ、103;バルブ取付け孔、S;実装面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。更に詳しくは、実装面への実装状態を容易に把握できる電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板の実装面に実装される電子部品において、実装面に対しての浮きや傾きは作動不良や誤作動の原因となり問題となる。この実装面に対しての浮きや傾きは、部品実装時やはんだ付け時などに生じることが知られている。このため、はんだ付けされる前の状態において、電子部品がプリント基板に対してガタつくのを抑制し、これにより浮きや傾きが発生するのを防止しようとする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−294507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように電子部品のガタつきを抑制したとしても、浮きや傾きが生じてしまうことがあった。このため、電子部品の実装状態を確認するための検査が必要であり、実装状態を容易に把握することができる技術が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、実装面への実装状態を容易に把握することができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、プリント基板の実装面に実装される電子部品であって、側壁に開口部を有するケース部材と、前記ケース部材の内側に設けられる可動部材と、を備え、前記可動部材は、前記ケース部材から外部へ突出する脚部を有するとともに、前記電子部品の実装時に前記脚部が前記実装面に押し当てられることにより、前記側壁に沿って移動するように設けられており、前記可動部材には、前記開口部から露出することにより表示される表示部が設けられており、前記表示部は、前記可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、前記開口部との相対位置が変化して、前記開口部からの露出状態が異なるように設けられていることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記開口部は複数設けられており、前記可動部材は、前記開口部に対応するように複数設けられており、それぞれの可動部材は、互いに独立して前記側壁に対して移動可能であるとともに、互いに独立して前記開口部から露出して表示されることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記可動部材の移動量を前記表示部の前記露出状態から把握することを補助するための定量補助手段が備えられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子部品によると、側壁に開口部を有するケース部材と、前記ケース部材の内側に設けられる可動部材と、を備えている。可動部材は、ケース部材から外部へ突出する脚部を有するとともに、電子部品の実装時に脚部が実装面に押し当てられることにより、ケース部材の側壁に沿って移動するように設けられている。また、可動部材には、開口部から露出することにより表示される表示部が設けられている。そして、表示部は、可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、開口部との相対位置が変化して、開口部からの露出状態が異なるように設けられている。このような構成により、電子部品の実装面への実装状態を容易に把握することができ、実装時に浮きや傾きが発生したとしても、それを容易に確認することができる。
【0010】
また、前記開口部は複数設けられており、前記可動部材は、前記開口部に対応するように複数設けられており、それぞれの可動部材は、互いに独立して前記側壁に対して移動可能であるとともに、互いに独立して前記開口部から露出して表示される場合は、電子部品の基板面に対する浮きや傾きについて、その方向や量を把握することができる。
【0011】
更に、前記可動部材の移動量を前記表示部の前記露出状態から把握することを補助するための定量補助手段が備えられている場合は、電子部品の基板面に対する浮きや傾きについて、その方向や量をより容易に把握することができるので、浮きや傾きを定量化することができる。その結果、浮きや傾きに対するロバスト性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】プリント基板に電子部品が実装された例を示す斜視図である。
【図2】実施例に係る電子部品を示す斜視図である。
【図3】実施例に係る電子部品の縦断面図である。
【図4】実施例に係る電子部品の分解斜視図である。
【図5】実施例に係る電子部品の作用を説明するための説明図である。
【図6】実施例に係る電子部品の作用を説明するための説明図である。
【図7】実施例に係る電子部品の作用を説明するための説明図である。
【図8】他の実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【図9】他の実施形態に係る電子部品の可動部材を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態に係る電子部品の作用を説明するための説明図である。
【図11】他の実施形態に係る電子部品の可動部材を示す斜視図である。
【図12】他の実施形態に係る電子部品の可動部材を示す斜視図である。
【図13】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【図14】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【図15】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【図16】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【図17】他の実施形態に係る電子部品を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0014】
本実施形態に係る電子部品(1,101,102)は、プリント基板(100)の実装面(S)に実装される電子部品である(例えば、図1等参照)。この電子部品としては、例えば、ロックスイッチ、タクトスイッチ、ロータリースイッチ等の各種スイッチや、コネクタ、リレー、コンデンサ、抵抗、サーミスタ等を挙げることができる。
【0015】
上記電子部品は、側壁(21)に開口部(21A)を有するケース部材(2)と、ケース部材の内側に設けられる可動部材(3)と、を備えている(例えば、図2、図3、図4等参照)。可動部材は、ケース部材から外部へ突出する脚部(32)を有するとともに、電子部品の実装時に脚部が実装面に押し当てられることにより、ケース部材の側壁に沿って移動するように設けられている。また、可動部材には、開口部から露出することにより表示される表示部(31)が設けられている。そして、表示部は、可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、開口部との相対位置が変化して、開口部からの露出状態が異なるように設けられている(例えば、図2、図3、図4等参照)。
【0016】
上記「ケース部材」の構成、大きさ、材質、色等は特に問わない。ケース部材の立体形状も特に問わないが、例えば、有底の略角筒形状や、有底の略円筒形状等、通常の電子部品に用いられるケース部材の立体形状であることができる。また、上記側壁の形状も、通常の電子部品に用いられるケース部材の側壁の形状であることができる。
上記開口部の形状、大きさ等は特に問わない。この開口部は、例えば、複数設けられていることができる。
【0017】
上記「可動部材」の構成、大きさ、形状、材質等は特に問わない。この可動部材は、例えば、上記ケース部材の側壁に沿って一体的に設けられた1つの可動部材である形態であることができる(例えば、図4等参照)。また、可動部材は、例えば、複数設けられていることができる。可動部材が複数設けられる形態としては、例えば、上記ケース部材の側壁に沿うように、その全周に渡って並んで設けられる形態(例えば、図8、図9等参照)や、対向して設けられる形態(例えば、図11、図12等参照)等を挙げることができる。
上記脚部の大きさ、形状、個数、配設位置等は特に問わない。また、上記表示部の大きさ、形状、個数等は特に問わない。
【0018】
上記可動部材の色は特に問わないが、例えば、上記ケース部材の色とは異なる色であることができる。また、可動部材は、上記表示部の色のみが上記ケース部材の色と異なる色であってもよいし、表示部及び上記脚部の色が同じ色であり、且つケース部材の色と異なる色である形態であってもよい。更に、可動部材は、表示部の色と脚部の色とが異なる色であり、且つ表示部の色及び脚部の色それぞれがケース部材の色と異なる色である形態であってもよい。
【0019】
本実施形態に係る電子部品において、表示部が開口部から露出することにより表示される形態としては、例えば、(i)電子部品がプリント基板の実装面に実装されていない状態では、開口部には表示部が表示されていない部分が少なくとも一部存在し(例えば、図5、図13等参照)、電子部品がプリント基板の実装面に正しく実装された状態では、開口部にはその全面に表示部が表示されている(例えば、図7等参照)形態、(ii)電子部品がプリント基板の実装面に実装されていない状態では、開口部には表示部が表示されておらず(例えば、図5等参照)、電子部品がプリント基板の実装面に正しく実装された状態では、開口部には表示部が表示された部分が少なくとも一部存在する(例えば、図7、図14等参照)形態、等であることができる。
なお、上記「正しく実装された状態」とは、電子部品が浮きや傾きが生じていない状態で実装された状態を意図している。
【0020】
また、本実施形態に係る電子部品には、例えば、可動部材の移動量を表示部の露出状態から把握することを補助するための定量補助手段(31A)が備えられていることができる(例えば、図15、図16、図17等参照)。定量補助手段の形態は特に問わないが、例えば、表示部に、可動部材の移動量に応じて開口部からの露出状態が異なる段差状の目盛りが形成されている形態(例えば、図15等参照)や、上記側壁の上記開口部に隣接する部分及び上記表示部の少なくとも一方に、移動量を示すための目盛りが形成されている形態(例えば、図16、図17等参照)等であることができる。
【0021】
本実施形態に係る電子部品は、例えば、上記開口部は複数設けられており、上記可動部材は、開口部に対応するように複数設けられており、それぞれの可動部材は、互いに独立して側壁に対して移動可能であるとともに、互いに独立して開口部から露出して表示される形態であることができる(例えば、図8等参照)。
【実施例】
【0022】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「電子部品」としてロックスイッチを例示する。図1に示すように、ロックスイッチ1は、プリント基板100の実装面Sに実装される。なお、図1に示すプリント基板100には、2つのロックスイッチ1の他に、2つのタクトスイッチ101と、これらのスイッチに電源を供給するためのコネクタ102と、が、ロックスイッチ1と同様に実装されている。また、プリント基板100には、2つのバルブ取付け孔103が形成されており、各スイッチは、それぞれバルブ取付け孔103に取り付けられるバルブの点灯制御を行うためのスイッチである。
【0023】
(1)ロックスイッチの構成
本実施例に係るロックスイッチ1は、図2〜図4に示すように、ケース部材2と、可動部材3と、を備えている。
ケース部材2は、側壁21が上壁22の周縁から下方に延びるように形成され、これにより下方を開放した有底角筒状に設けられている。側壁21の各面には略矩形状の開口部21Aがそれぞれ形成されている。また、上壁22には貫通孔22Aが形成されている。本実施例において、ケース部材2は、白色の樹脂で一体形成されている。
【0024】
可動部材3はケース部材2の内側に設けられる。図2〜図4に示すように、可動部材3は、ケース部材2の側壁21の各面に沿うように形成された表示部31と、この表示部31から下方に延びるように形成された脚部32と、を有している。可動部材3は、プリント基板100の実装面Sに実装される前の状態において、表示部31がケース部材2内に収容されているとともに、脚部32がケース部材2から外部へ突出するように設けられている。また、可動部材3は、ロックスイッチ1の実装時に、脚部32がプリント基板100の実装面Sに押し当てられることにより、側壁21に沿って移動するように設けられている。そして、表示部31は、可動部材3が移動したときに、開口部21Aから露出することにより表示されるようになっている。
また、本実施例において、この可動部材3は、ケース部材2とは異なる色である赤色の樹脂で一体成形されている。
【0025】
本実施例において、表示部31は、ロックスイッチ1の実装前の状態では開口部21Aから露出せず、ロックスイッチ1が実装されて可動部材3が移動したときに、その少なくとも一部が開口部21Aから露出して表示されるように設けられている。そして、表示部31は、浮きや傾きが発生していない状態(正しい状態)でロックスイッチ1が実装された場合には、開口部21Aを全面的に塞ぐように、開口部21Aから露出するように設けられている。
【0026】
また、ロックスイッチ1は、図3及び図4に示すように、側壁21からケース部材2の内側方向へ所定の間隔を空けて設けられる内壁4を備えている。可動部材3は、この内壁4と側壁21との間の隙間を移動するように設けられている。また、内壁4には、固定接点41と、この固定接点41から下方に延びるように形成され、プリント基板100のプリント配線とはんだ付けされる端子42と、が設けられている。なお、内壁4の下面にはケース部材2の下面を封止するための底壁43が設けられている。
【0027】
内壁4の更に内側には操作部材5が設けられている。操作部材5は、ケース部材2の上壁22に形成された貫通孔22Aからケース部材2の外部に突出する操作部51を有している。そして、この操作部51が押圧操作されることにより、移動接点52が、操作部材5に伴って移動して固定接点41と導通、又は絶縁し、スイッチのオン/オフが切り換えられるようになっている。操作部材5は、操作部51が押圧操作されると、その側壁部に設けられたハート状カム53と、内壁4に設けられたロックピン44と、操作部材5を上方に付勢するスプリング6と、によりオルタネイト動作するようになっている。
【0028】
(2)ロックスイッチの作用
次に、上記構成のロックスイッチ1の作用について説明する。ロックスイッチ1は、プリント基板100の実装面Sに実装されていない状態では、図5に示すように、可動部材3の脚部32がケース部材2から突出した状態となっている。また表示部31は開口部21Aからは露出せず、表示されていない状態となっている。
ロックスイッチ1が実装面Sに実装されるときには、脚部32が実装面Sに押し当てられて可動部材3が側壁21に沿って移動する。すると、表示部31が開口部21Aから露出する。そして、ロックスイッチ1が浮きや傾き発生していない状態で実装面Sに実装されると、図6に示すように、表示部31は、開口部21Aを全面的に塞ぐように開口部21Aから露出する。一方、ロックスイッチ1が浮きや傾き発生した状態で実装面Sに実装されると、図7に示すように、表示部31は、開口部21Aを部分的に塞ぐように開口部21Aから露出した状態となる。
このように、開口部21Aからの表示部31の露出状態により、可動部材3の移動量を把握することができ、ロックスイッチ1の実装状態を把握することができる。
なお、可動部材3の移動量を詳細に把握するために、開口部21Aからの表示部31の露出量や開口部21Aの開口量を、ノギス等により計測するようにしてもよい。
【0029】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例のロックスイッチ1によると、側壁21に開口部21Aを有するケース部材2と、ロックスイッチ1の実装面Sへの実装状態に応じてケース部材2の内側を側壁21に沿って移動可能に設けられた可動部材3と、を備えている。そして、可動部材3には表示部31が設けられており、可動部材3の移動状態に応じた露出状態で、表示部31が開口部21Aから露出するようになっている。このような構成により、ロックスイッチ1の実装面Sへの実装状態を容易に把握することができ、実装時に浮きや傾きが発生したとしても、それを容易に確認することができる。
【0030】
また、本実施例では、可動部材3の色を赤色とし、ケース部材2の色である白色とは異なる色としたので、表示部31の開口部21Aからの露出状態を容易に把握することができるとともに、脚部32の突出状態も容易に把握することができる。その結果、ロックスイッチ1の実装状態をより容易に把握することができる。
【0031】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、一体成形された1つの可動部材3を備える場合を例示したが、これに限定されず、例えば、図8及び図9に示すように、可動部材3を複数(図8及び図9中4つ)設け、それらをケース部材の側壁に対してそれぞれ独立して移動可能であるとともに、それぞれ独立して開口部から露出して表示されるようにしてもよい。これにより、図10に示すように、各可動部材3の移動量に差が生じることにより、電子部品の基板面に対する浮きや傾きについて、その方向や量を把握することができる。
【0032】
なお、この場合、可動部材の個数は特に限定されるものではなく、図8及び図9に示すように、2つ以上の可動部材をケース部材の側壁に沿うように並んで設けるようにしてもよいし、図11及び図12に示すように、2つの可動部材3をケース部材の側壁の対向する位置に設けるようにしてもよい。
【0033】
また、脚部の配設形態も特に限定されず、上記実施例や図9及び図11に示すように、可動部材3の幅方向の略中央部に設けるようにしてもよいし、図12に示すように、可動部材3の幅方向の隅部近傍に設けるようにしてもよい。
【0034】
更に、上記実施例では、表示部が開口部から露出することにより表示される形態として、電子部品としてのロックスイッチ1がプリント基板100の実装面Sに実装されていない状態では、開口部21Aには表示部31が表示されておらず、ロックスイッチ1がプリント基板100の実装面Sに正しく実装された状態では、開口部21Aにはその全面に表示部31が表示される形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図13に示すように、電子部品がプリント基板100の実装面Sに実装されていない状態で、開口部21Aに表示部が表示されている部分が一部存在していてもよい。また、図14に示すように、電子部品がプリント基板100の実装面Sに正しく実装された状態で、開口部21Aに表示部が表示されていない部分が一部存在していてもよい。
【0035】
また、本発明に係る電子部品においては、可動部材の移動量を表示部の露出状態から把握することを補助するための定量補助手段が備えられているようにしてもよい。この定量補助手段としては、例えば、図15に示すように、表示部31に段差状の目盛り31Aを形成した形態とすることができる。この場合、目盛り31Aの開口部21Aからの露出状態の違いにより可動部材の移動量を容易に把握することができるので浮きや傾きを定量化することができる。その結果、浮きや傾きに対するロバスト性を向上させることができる。また、定量補助手段としては、図16及び図17に示すように、側壁21の開口部21Aに隣接する部分及び表示部31の少なくとも一方に形成された目盛り31Aとしてもよい。
【0036】
また、上記実施例では、本発明に係る電子部品としてロックスイッチ1を例示したが、これに限定されず、例えば、タクトスイッチ、ロータリースイッチ等の各種スイッチや、コネクタ、リレー、コンデンサ、抵抗、サーミスタなど、プリント基板の実装面に実装される電子部品であればどのような電子部品であってもよい。
【0037】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0038】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
電子部品の実装状態を確認するための技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0040】
1;ロックスイッチ、2;ケース部材、21;側壁、21A;開口部、22;上壁、22A;貫通孔、3;可動部材、31;表示部、32;脚部、4;内壁、41;固定接点、42;端子、43;底壁、44;ロックピン、5;操作部材、51;操作部、52;移動接点、53;ハート状カム、6;スプリング、100;プリント基板、101;タクトスイッチ、102;コネクタ、103;バルブ取付け孔、S;実装面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の実装面に実装される電子部品であって、
側壁に開口部を有するケース部材と、前記ケース部材の内側に設けられる可動部材と、を備え、
前記可動部材は、前記ケース部材から外部へ突出する脚部を有するとともに、前記電子部品の実装時に前記脚部が前記実装面に押し当てられることにより、前記側壁に沿って移動するように設けられており、
前記可動部材には、前記開口部から露出することにより表示される表示部が設けられており、
前記表示部は、前記可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、前記開口部との相対位置が変化して、前記開口部からの露出状態が異なるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【請求項2】
前記開口部は複数設けられており、
前記可動部材は、前記開口部に対応するように複数設けられており、
それぞれの可動部材は、互いに独立して前記側壁に対して移動可能であるとともに、互いに独立して前記開口部から露出して表示される請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記可動部材の移動量を前記表示部の前記露出状態から把握することを補助するための定量補助手段が備えられている請求項1又は2記載の電子部品。
【請求項1】
プリント基板の実装面に実装される電子部品であって、
側壁に開口部を有するケース部材と、前記ケース部材の内側に設けられる可動部材と、を備え、
前記可動部材は、前記ケース部材から外部へ突出する脚部を有するとともに、前記電子部品の実装時に前記脚部が前記実装面に押し当てられることにより、前記側壁に沿って移動するように設けられており、
前記可動部材には、前記開口部から露出することにより表示される表示部が設けられており、
前記表示部は、前記可動部材が移動する前の状態と移動した後の状態とでは、前記開口部との相対位置が変化して、前記開口部からの露出状態が異なるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【請求項2】
前記開口部は複数設けられており、
前記可動部材は、前記開口部に対応するように複数設けられており、
それぞれの可動部材は、互いに独立して前記側壁に対して移動可能であるとともに、互いに独立して前記開口部から露出して表示される請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記可動部材の移動量を前記表示部の前記露出状態から把握することを補助するための定量補助手段が備えられている請求項1又は2記載の電子部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−55260(P2013−55260A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193304(P2011−193304)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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