説明

電子電力量計の変流器の磁気シールド

【課題】外部磁石が電子電力量計に近接して配置されても外部磁石磁界の影響を受けない電子電力計を提供する。
【解決手段】電子電力量計102に動作可能に結合される変流器104と変流器104の第1の側部に第1のシールド110と変流器の第2の側部に第2のシールド120を備え、第2の側部は第1の側部に実質的に平行であり、第1のシールド110および第2のシールド120は、実質的に透磁性かつ伝導性の金属をそれぞれ含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子電力量計に関し、より具体的には、電子電力量計の変流器のシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、既知の電子電力量計102の上面図が示されており、図2はその斜視図である。電子電力量計102は、電気の使用量を測定するのに使用する。電子電力量計102は、電子電力量計基部103、および少なくとも1つの変流器104を含むことができる。変流器104は、各変流器104を通り抜けるポテンシャルリンク(potential link)106を有する。電子電力量計102に含まれる他の構成要素には、例えば、サージサプレッサ105、変流器ケーブル107および計測回路ブラケット109があり得る。電流は、電子電力量計102内の計測回路(図示せず)によって測定され、エネルギ使用量の計算に使用される。
【0003】
図3を参照すると、既知の変流器104および既知のポテンシャルリンク106の斜視図が示されている。ポテンシャルリンク106を通る(矢印で示される)ポテンシャルリンク電流流れ122によって、変流器104内に変流器磁界116が生成され得る。変流器磁界116は、変流器のフェライト磁心(図示せず)中を円を描くように動くことができる。変流器磁界116によって、変流器104内に、変流器104の巻線119の数およびポテンシャルリンク電流流れ122に直接比例する変流器電流流れ117が引き起こされ得る。
【0004】
図4を参照すると、説明のため、電力量計102の簡略化された上面図が示されている。外部磁石108が変流器104に近接して配置される場合、変流器104は、外部磁石108からの外部磁石磁界115による影響を受ける。外部磁石108は、変流器104を飽和させることができ、それによって変流器104の巻線(図示せず)の比例電流を正確に誘導する機能が低下する。この性能の低下によって、結果的に、変流器104を流れる電流値がより低くなり、電気使用量の計算が不正確になる。これを目的に外部磁石108を使用すると、電気窃盗罪になる恐れもある。変流器104を遮蔽することによって、変流器104に対する外部磁石108の影響を低減することができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様は、電子電力量計に動作可能に結合される変流器、変流器の第1の側部の第1のシールド、および変流器の第2の側部の第2のシールドを備える、電子電力量計を含む。第2の側部は、実質的に、第1の側部に平行である。第1のシールドおよび第2のシールドは、実質的に透磁性かつ伝導性の金属をそれぞれ含む。
【0006】
本発明の第2の態様は、電子電力量計に動作可能に結合される変流器、変流器の第1の側部の第1のシールド、変流器の第2の側部の第2のシールドを備える、電子電力量計を含む。第2の側部は、実質的に、第1の側部に平行である。第1のシールドおよび第2のシールドの少なくとも一方が、実質的に、外部磁石から約5000ガウスまで遮蔽する。
【0007】
本発明の第3の態様は、実質的にディスク形の本体、本体のほぼ中心を通る開口、および本体にありその縁部から開口まで延在する間隙を備える、変流器の第1の磁気シールドを含む。本体は、実質的に透磁性かつ伝導性の金属を含む。
【0008】
本発明の上記およびその他の特徴は、本発明の様々な実施形態を示す添付の図面と併せて本発明の様々な態様の以下の詳細な説明を読めばより容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】既知の電子電力量計の上面図である。
【図2】既知の電子電力量計の斜視図である。
【図3】既知の変流器および既知のポテンシャルリンクの斜視図である。
【図4】既知の電子電力量計の簡略上面図である。
【図5】本発明による、第1のシールドおよび第2のシールドを含む電子電力量計の一実施形態の上面図である。
【図6】本発明による、第1のシールドの一実施形態の斜視図である。
【図7】本発明による、第1のシールドの一実施形態の斜視図である。
【図8】本発明による、第1のシールドの一実施形態の斜視図である。
【図9】本発明による、第1のシールドの一実施形態の斜視図である。
【図10】本発明による、変流器の第1のシールドおよび第2のシールドの一実施形態の側面図である。
【図11】本発明による第3のシールドの一実施形態の斜視図である。
【図12】本発明による、変流器の第1のシールド、第2のシールドおよび第3のシールドの一実施形態の上面図である。
【図13】本発明による、変流器の第1のシールド、第2のシールドおよび第3のシールドを含む電子電力量計の一実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の図面は、一定の縮尺で描かれていないことに留意されよう。図面は、本発明の典型的な態様を示すためのものにすぎず、したがって、本発明の範囲の限定としてみなされるべきではない。図面において、諸図面間で同じ番号は同じ要素を表している。
【0011】
図5を参照すると、本発明による、第1のシールド110および同様の構造の第2のシールド120を含む電子電力量計の一実施形態の上面図が示されている。第1のシールド110は、第2のシールド120よりも外部磁石108の近くに図示されている。外部磁石108の予想位置に第1のシールド110または第2のシールド120のどちらが最も近いかによって、第1のシールド110または第2のシールド120の一方を他方よりも厚くすることができる。第1のシールド110および/または第2のシールド120は、変流器104、電子電力量計またはその両方の製造の間に変流器104に配置してよい。あるいは、第1のシールド110および/または第2のシールド120は、電子電力量計の製造の後に変流器140に配置してもよい。本発明の一実施形態では、変流器140の形状は、実質的にトロイド状(torodial)であってよく、ポテンシャルリンク106の形状は棒様であってよい。一実施形態では、外部磁石108が例えば変流器104から約1.27cm(0.5インチ)以上離れて配置されるとき、第1のシールド110または第2のシールド120は、実質的に、外部磁石磁界115から約5000ガウスまで変流器104を保護することができる。
【0012】
図6を参照すると、本発明による第1のシールド110の一実施形態の斜視図が示されている。第1のシールド110は、縁部112を有する実質的にディスク形の本体111を含むことができる。変流器104の形は、トロイド状であってよい。実質的にディスク形の本体111は、変流器104を物理的に覆うことができる。第1のシールド110は、例えば正方形、三角形または他の多角形である他の形状を含むこともできる。第1のシールド110は、本体111のほぼ中心を通って延在することができる開口114を含むことができる。第1のシールド110および第2のシールド120は、開口114を通してポテンシャルリンク106を配置することによって変流器104に配置することができる。
【0013】
第1のシールド110は、実質的に、透磁性かつ伝導性の金属を含むことができる。透磁率は、材料自体の中における磁界の形成を助ける材料の能力である。それは、材料が、加えられた磁界に応答して得る磁化の度合いである。実質的に透磁性かつ伝導性の金属は、冷延鋼板および/または熱延鋼板などの低炭素鋼を含むことができる。低炭素鋼は、アメリカ鉄鋼協会(AISI)1005〜AISI1026鋼など、炭素含有量が0.05%〜0.26%の範囲であってよい。本体111の厚さ113は、例えば、約0.15cm〜0.64cm(約0.060インチ〜0.250インチ)の範囲であってよい。
【0014】
図7を参照すると、本発明による第1のシールド210の他の実施形態の斜視図が示されている。第1のシールド210は、縁部212から開口214に延在する間隙216を含むことができる。間隙216は、縁部212から開口214まで延在する2つの実質的に平行な直線側部218を含むことができ、結果的に概ね直線の間隙216になる。(間隙がない)第1のシールド110を通って流れる電流は、熱の形のエネルギ損失を生成し、電子電力量計102の効率を低減させることがある。間隙216は、第1のシールド210を通って流れる電流を遮り、エネルギ損失を低減することができる。図8を参照すると、第1のシールド210は、側部218に凹凸を含むことができる。例えば、側部218は、電子電力量計の構成要素を収容する目的で、直線でなくてもよく、例えば曲線状側部、切欠きなどを含むこともできる。
【0015】
図9を参照すると、本発明による第1のシールド310の他の実施形態の斜視図が示されている。この場合、間隙316は、縁部312から開口314に延在する、2つの非平行の直線側部318を含むことができ、結果的に実質的にパイの形の間隙316になる。図8に示される実施形態と同様に、側部318は直線でなくてもよい。
【0016】
図10を参照すると、本発明による、変流器104の、第1のシールド110、210、310(簡潔にするため、以下では1つの参照番号しか使用しない)および第1のシールド110と同様の構造の第2のシールド120の一実施形態の斜視図が示されている。第1のシールド110は、変流器104の第1の側部111に配置することができる。第2のシールド120は、変流器104の第2の側部121に配置することができる。第2の側部121は、実質的に、第1の側部111に平行であってよい。開口114は、変流器104を通って延在するポテンシャルリンク106を収容する。開口114は、実質的に円形として図示されている。当業者なら、開口114はポテンシャルリンク106を収容できるどんな形状であってもよいことが容易に理解できるであろう。間隙116は、電子電力量計内に例えば計測回路(図示せず)および計測回路ブラケット109である構成要素を収容するのに使用可能である。
【0017】
第1のシールド110および/または第2のシールド120における間隙116、216(図7〜9)は、外部磁石108の予想位置から離れた方に向けてよい。あるいは、間隙116は、第1のシールド110(および第2のシールド120)がポテンシャルリンク106上を滑動するのに十分な幅であってよい。
【0018】
図11を参照すると、本発明による第3のシールド128の一実施形態の斜視図が示されている。第3のシールド128は、実質的に曲線の平面形状を含むことができる。図示の一例では、第3のシールド128は、断面が「C」字形になるように細長い溝が付いた管状形状を有する。例えば閉じた管状形状および半円の管状形状である、この形状の別の形も可能であってよい。第3のシールド128の2つの端部132は、第3のシールド間隙130を作り出すことができる。第3のシールド128は、第1のシールド110と同じ実質的に透磁性かつ伝導性の金属を含むことができ、本明細書で第1のシールド110について述べたのと同じ厚さ113であり外部磁石108の磁界からの変流器104の保護を特徴とすることができる。
【0019】
図12を参照すると、本発明による変流器104の、第1のシールド110、第2のシールド120および第3のシールド128の一実施形態の斜視図が示されている。第3のシールド128は、変流器104の例えば外周である、第3の側部129に配置することができる。第3のシールド128は、第1のシールド110または第2のシールド120の少なくとも一方に連結することができる。第1のシールド110、第2のシールド120および第3のシールド128は、まとめて変流器104の実質的なエンクロージャを形成することができる。
【0020】
図13を参照すると、本発明による電子電力量計の第1のシールド110、第2のシールド120および第3のシールド128の一実施形態の斜視図が示されている。第3のシールド128は、外部磁石108の予想位置にかなり近接して変流器104に配置することができる。
【0021】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本開示の限定を意図するものではない。本明細書で使用される、単数形態は前後関係から明らかに別の意味を示さない限り、複数形態も含むものとする。さらに、本明細書で使用する場合の「備える」および/または「備えている」という用語は、そこに述べた特徴、整数、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を明示しているが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはそのグループの存在または付加を排除するものではないと理解されよう。
【0022】
本明細書に書かれた説明は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、さらに、あらゆる当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを実施かつ使用し、あらゆる包含の方法を実施することを含む、本発明の実施も可能にする。本発明の特許保護される範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い浮かぶ他の実施例も含むことができる。そうした他の実施例は、特許請求の範囲の文言と差異のない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言とわずかな差異がある均等な構造要素を含む場合には、本発明の特許請求の範囲に入るものとする。
【符号の説明】
【0023】
102 電子電力量計
103 電子電力量計基部
104 変流器
105 サージサプレッサ
106 ポテンシャルリンク
107 変流器ケーブル
108 外部磁石
109 計測回路ブラケット
110、210、310 第1のシールド
111 第1の側部
112、212、312 縁部
113 厚さ
114、214、314 開口
115 外部磁石磁界
116 変流器磁界
117 変流器電流流れ
119 巻線
120 第2のシールド
121 第2の側部
122 ポテンシャルリンク電流流れ
128 第3のシールド
129 第3の側部
130 第3のシールド間隙
132 端部
216、316 間隙
218、318 側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子電力量計(102)であって、
前記電子電力量計(102)に動作可能に結合される変流器(104)と、
前記変流器(104)の第1の側部(111)の第1のシールド(110)と、
前記変流器(104)の第2の側部(121)の第2のシールド(120)と
を備え、
前記第2の側部(121)が前記第1の側部(111)に実質的に平行であり、
前記第1のシールド(110)および前記第2のシールド(120)が、実質的に透磁性かつ伝導性の金属をそれぞれ含む、
電子電力量計(102)。
【請求項2】
前記変流器(104)の第3の側部(129)の一部に第3のシールド(128)をさらに備え、前記第3のシールド(128)が、前記第1のシールド(110)および前記第2のシールド(120)に実質的に垂直であり、
前記第3のシールド(128)が実質的に透磁性かつ伝導性の金属を含む、
請求項1記載の電子電力量計(102)。
【請求項3】
前記第3のシールド(128)が、実質的に曲線の平面形状を有する、請求項2記載の電子電力量計(102)。
【請求項4】
前記第1のシールド(110)および前記第2のシールド(120)が、実質的にディスク形である、請求項1記載の電子電力量計(102)。
【請求項5】
前記実質的に透磁性かつ伝導性の金属が、低炭素鋼を含む、請求項1記載の電子電力量計(102)。
【請求項6】
前記低炭素鋼の炭素含有量が、約0.26%未満である、請求項5記載の電子電力量計(102)。
【請求項7】
前記変流器(104)の形状が、実質的にトロイド状である、請求項1記載の電子電力量計(102)。
【請求項8】
前記第1のシールド(110)および前記第2のシールド(120)のうちの一方が、前記第1のシールド(110)および前記第2のシールド(120)のうちの他方よりも厚い、請求項1記載の電子電力量計(102)。
【請求項9】
前記第1のシールド(110)および前記第2のシールド(120)のうちの少なくとも一方が、実質的に、外部磁石(108)から約5000ガウスまで遮蔽する、請求項1記載の電子電力量計(102)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−112947(P2012−112947A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−252144(P2011−252144)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】