説明

電子顕微鏡

【課題】試料ダメージ及びコンタミネーションを増加させることなく、加速電圧の使用範囲が比較的大きい電子顕微鏡を提供する。
【解決手段】電子顕微鏡は、電子銃からの電子線を試料に照射する電子線光学系と、試料からの電子を検出する電子検出器とを有する。電子検出器は、セラミックシンチレータと、該セラミックシンチレータからの光を電流に変換する光電変換素子とを有し、前記セラミックシンチレータは、蛍光体を焼結して形成したセラミック蛍光体を含み、該セラミック蛍光体の厚さは、200〜300μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子顕微鏡に関し、特に、電子顕微鏡に設けられる電子検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡に用いられる電子検出器では、シンチレータが用いられる。シンチレータは、ガラス板に蛍光体を塗布したものである。蛍光膜の厚さは通常、30μm程度である。蛍光体に電子線が照射されると発光する。この光をライトガイド等により光電子倍増管に導き、光を電流に変換する。電子検出用のシンチレータに用いられる蛍光体として、残像時間が短いp47:Y2SiO5;Ce、p43:Gd2O2S;Tb等が知られている。
【0003】
特許文献1には、走査透過電子顕微鏡に用いられるシンチレータ方式の電子検出器の例が記載されている。特許文献2には、走査電子顕微鏡に用いられるシンチレータ方式の反射電子検出器の例が記載されている。
【0004】
X線、γ線等の検出にもシンチレータが用いられる。特許文献3、4には、X線CT装置において、セラミックシンチレータを用いてX線を測定する例が記載されている。X線は、電子線に比べて透過性が高い。従って、X線測定用のセラミックシンチレータは、電子検出器のシンチレータと比較して、蛍光材料、形状、寸法等が異なる。例えば、X線測定用のセラミックシンチレータは、X線に対する発光効率が高いPr、Gd等を含む蛍光体を用い、厚さ1〜2mm程度の積層焼結体によって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−167591号公報
【特許文献2】特開平11−273608号公報
【特許文献3】特開2000−178547号公報
【特許文献4】特開2004−101367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高画質の電子顕微鏡像を得るには、電子検出器から出力される信号量が大きいほうがよい。信号量を増加させるために、加速電圧を増加させると、試料ダメージが増加し、コンタミネーションが発生する。従って、検出信号量を増加させることと、試料ダメージ及びコンタミネーションを抑制することは、トレードオフの関係にある。
【0007】
そこで本願の発明者が鋭意に考察した結果、次のような知見を得ることができた。試料ダメージ及びコンタミネーションを増加させることなく検出信号量を増加させるには、電子検出器に用いるシンチレータの感度を増加させればよい。即ち、シンチレータにおける電子線から光への変換効率を増加させればよい。
【0008】
そこで、先ず、蛍光膜の厚さを増加させることが考えられる。蛍光膜の厚さを大きくすると、蛍光体に衝突する電子が増加する。しかしながら、蛍光膜から外部に放出される発光量は必ずしも増加するわけではない。一方、蛍光膜の厚さを小さくすると、蛍光体に衝突しないで透過する電子が増加する。従って、発光量は減少する。従って、従来の電子検出装置では、蛍光膜の厚さが略決まっており、通常、30μmm程度であり、白色を呈している。そのため、加速電圧の使用範囲に制限がある。
【0009】
本発明の目的は、試料ダメージ及びコンタミネーションを増加させることなく、加速電圧の使用範囲が比較的大きい電子顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、電子顕微鏡は、電子銃からの電子線を試料に照射する電子線光学系と、試料からの電子を検出する電子検出器とを有する。電子検出器は、セラミックシンチレータと、該セラミックシンチレータからの光を電流に変換する光電変換素子とを有し、前記セラミックシンチレータは、蛍光体を焼結して形成したセラミック蛍光体を含み、該セラミック蛍光体の厚さは、200〜300μmである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、試料ダメージ及びコンタミネーションを増加させることなく、加速電圧の使用範囲が比較的大きい電子顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の透過走査型電子顕微鏡の構成例を示す図である。
【図2】本発明の透過走査型電子顕微鏡の主要部の構成を示す図である。
【図3】従来のシンチレータの構造の例を示す図である。
【図4】本発明のセラミックシンチレータのセラミック蛍光体の構造の例を示す図である。
【図5】本発明のセラミックシンチレータの加速電圧と電子線進入深さの関係を示す図である。
【図6A】本発明のセラミックシンチレータの構造の例を示す図である。
【図6B】本発明のセラミックシンチレータの構造の例を示す図である。
【図7】本発明の明視野像検出器の構成を示す図である。
【図8】本発明の暗視野像検出器の構成を示す図である。
【図9】本発明の二次電子検出器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して本発明による透過走査型電子顕微鏡の例を説明する。本例の透過走査型電子顕微鏡装置は、電子銃1、第1及び第2の照射レンズコイル2,3、第1及び第2の偏向コイル4,5、対物レンズコイル6、第1及び第2の電磁式試料イメージ移動用コイル7,8、第1及び第2の中間レンズコイル9,10、第1及び第2の投射レンズコイル11,12、励磁電源13〜23、デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34、マイクロプロッセサ35、記憶装置36、演算装置37、CRTコントローラ38、モニタ(CRT)39、インターフェース(I/F)40〜41、倍率切替用ロータリーエンコーダ42、入力用ロータリーエンコーダ43、キーボード44、マウス45、RAM46、ROM47、及び、画像取込みインターフェース48を有する。対物レンズコイル6は強励磁レンズのため、試料の上側と下側にレンズが形成される。光軸上には、試料ステージ53が設けられている。
【0014】
本例の透過走査型電子顕微鏡装置は、更に、2次電子検出器61、暗視野像検出器64、及び、明視野像検出器65を有する。2次電子検出器61によって検出された2次電子信号によって走査像が得られる。暗視野像検出器64、及び、明視野像検出器65によって検出された電子信号によって走査透過像が得られる。
【0015】
本例の2次電子検出器61、暗視野像検出器64及び明視野像検出器65は、セラミックシンチレータと光電変換素子を有する。光電変換素子として光電子増倍管が用いられてよい。これらの検出器の構造は、後に、図7〜図9を参照して説明する。
【0016】
尚、ここでは、電子顕微鏡について説明するが、本発明は電子顕微鏡ばかりでなく荷電粒子線装置にも適用可能である。
【0017】
図2は、本例の電子顕微鏡装置のうち透過走査像を得るために使用する透過走査型電子顕微鏡部を示す。透過走査型電子顕微鏡部は、電子銃1、収束電子レンズ、偏向コイル4,5、2次電子検出器61、暗視野像検出器64、及び、明視野像検出器65を有する。
【0018】
走査像及び透過走査像を得る手順を簡単に説明する。観察者は、キーボード44及びマウス45を使用して、視野より撮像対象を探す。ROM47に格納された走査像又は透過走査像用のレンズデータを読み出し、デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34に供給する。デジタルアナログ変換器(DAC)24〜34は、レンズ系のデータをアナログ信号に変換し、励磁電源13〜23に供給する。励磁電源13〜23は、各レンズ系のレンズコイル2,3,6,9〜12に電流を出力する。
【0019】
電子銃1によって生成された電子線は、第1及び第2の照射レンズコイル2,3により収束され、第1及び第2の偏向コイル4,5によって走査され、対物レンズコイル6によって結像され、試料ステージ53上の試料に照射される。試料から発生する2次電子は、2次電子検出器61によって検出され、走査像が得られる。走査像は、モニタ(CRT)39によって表示される。
【0020】
試料からの透過電子は明視野像検出器65によって検出され、試料からの散乱電子は暗視野像検出器64によって検出される。明視野像検出器65によって得られた明視野像及び暗視野像検出器64によって得られた暗視野像は、モニタ(CRT)39によって表示される。
【0021】
図3は従来のシンチレータの断面構造を示す。シンチレータは、粒子状の蛍光体p47とその間に充填されたバインダからなる蛍光体層を含み、白色を呈する。バインダは乾燥したコロジオン膜である。蛍光体層はガラス板の上に支持されている。蛍光体層の厚さは、電子線が十分に透過できるように、通常30μmm程度である。蛍光体層の表面に、厚さが約20nmのアルミニウムコーティングが形成されている。図示のように、電子線が蛍光体層に進入すると、蛍光が発生し、それは、蛍光体層の内部にて三角錐状に広がる。
【0022】
図4は、本発明のセラミックシンチレータのセラミック蛍光体の断面構造を示す。本発明のセラミックシンチレータは、セラミック蛍光体を含む。セラミック蛍光体は、蛍光体p47を数千℃、例えば、5000℃程度まで加熱してガラス化した焼結体である。加熱及び加圧により、バインダは完全に焼失し、蛍光体のみからなる半透明の焼結体が形成される。セラミックシンチレータに用いる蛍光体として、残像時間が200nsec以下であるp47:Y2SiO5;Ceがよい。しかしながら、残像時間が短い他の蛍光体、例えば、p43:Gd2O2S;Tb等を用いてもよい。
【0023】
図5は、本願発明者が、様々な条件でセラミック蛍光体を製造し、それを用いて電子検出の実験を行った結果を示す。横軸は電子線の加速電圧(kV)、縦軸はセラミック蛍光体に対する電子線の侵入深さ(μm)である。本願発明者は、この結果から次の知見を得た。
【0024】
(1)加速電圧が300kVのとき、セラミック蛍光体の深さ200μmまで電子線が進入する。従って、本発明では、セラミック蛍光体の厚さを、200μm以上とすることが可能である。従来のシンチレータの蛍光膜は白色であるが、本発明のセラミック蛍光体は半透明である。従って、本発明のセラミック蛍光体では、電子線が進入した分だけ蛍光を発生させ、それを外部に取り出すことができる。
【0025】
(2)セラミック蛍光体の厚さを大きくすると、それに比例して発光量が増加すると考えられる。しかしながら、セラミック蛍光体の厚さが200〜300μm程度になると、それ以上セラミック蛍光体の厚さを増加させても、取り出される蛍光量は増加しないことが判った。これは、セラミック蛍光体が透明ではなく、半透明であることに起因すると思われる。従って、本発明によると、セラミック蛍光体の厚さは200〜300μm程度が好ましい。
【0026】
(3)本発明のセラミック蛍光体では、電子線の照射によって発生した蛍光が、蛍光体層の内部にて3次元的に広がっているのが観察された。図3に示した従来のシンチレータでは、蛍光は三角錐状に広がるが、本発明のセラミック蛍光体では、蛍光は横方向に広がり、3次元的に伝播する。従って、セラミック蛍光体の全体から蛍光が発生する。これは、ガラス状の焼結体となった蛍光体が、光ファイバのように光導波路として機能するためであると思われる。
【0027】
従来のシンチレータの蛍光膜の厚さは、約30μmである。従って、本発明のセラミック蛍光体の厚さは、従来のシンチレータの蛍光膜の厚さの約10倍である。しかしながら、本発明のセラミック蛍光体の感度は、従来のシンチレータの感度の1000倍以上であった。これは本発明のセラミック蛍光体では蛍光が3次元的に広がって伝播することによるものと思われる。
【0028】
(4)本発明のセラミック蛍光体では、加速電圧として、数kV〜100kVの低電圧を用いても、十分な蛍光量を取り出すことができることが判った。これは、本発明のセラミック蛍光体の感度が極めて高いからである。勿論、加速電圧として、数100kV〜200kVの中電圧を用いても、十分な蛍光量が得られる。従来のシンチレータでは、加速電圧の範囲が狭かったが、本発明では、加速電圧の範囲を広くとることができる。即ち、本発明によると、セラミック蛍光体の厚さを200〜300μm程度に設定することにより、数kV〜100kVの低電圧から200〜350kVの高電圧まで広い範囲の加速電圧を使用することができる。
従って、本発明のセラミックシンチレータにおける電子線の加速電圧の使用範囲は、従来のシンチレータにおける電子線の加速電圧の使用範囲より3〜5倍となる。
【0029】
(5)本発明によると、加速電圧として、200〜350kVの高電圧を用いることができるため、高画質の画像を得ることができる。例えば、試料ダメージとコンタミネーションの発生を考慮に入れない場合には、高画質を得るために、加速電圧を高くすることができる。
【0030】
(6)本発明のセラミック蛍光体では、蛍光は3次元的に伝播し、横方向に広がり、セラミック蛍光体の端面まで伝播する。蛍光を効率的に取り出すには、セラミック蛍光体の端面における蛍光の漏洩を防止する必要がある。そこで、本発明のセラミック蛍光体の端面には、蛍光の漏洩を防止するための蛍光漏洩防止材が設けられている。蛍光漏洩防止材はアルミニウムリングであってよい。
【0031】
本発明のセラミック蛍光体の表面は、アルミニウムコーティングによって覆われる。アルミニウムコーティングはアルミニウム蒸着によって形成される。アルミニウムコーティングの厚さは、10〜30nmであり、特に約20nmであってよい。セラミック蛍光体の端面に設けられる蛍光漏洩防止材として、アルミニウムリングを設ける代わりに、アルミニウムコーティングを形成してもよい。但し、このアルミニウムコーティングの厚さは、蛍光の漏洩を防止することができるように十分大きく、例えば、数100μm〜数mmとするとよい。
【0032】
図6Aは、本発明のセラミックシンチレータの第1の例の構造を示す。本例のセラミックシンチレータは、セラミック蛍光体54aと、その主面(電子線入射面)に形成されたアルミニウムコーティング54bと、その周囲の端面に形成された蛍光漏洩防止材54cを有する。セラミック蛍光体54aは透明なガラス板58、又は、石英板によって支持されてよい。尚、ガラス板58は、光電子増倍管の光入射面に設けられたガラス板であってよい。
【0033】
セラミック蛍光体54aの主面のアルミニウムコーティング54bの厚さt1はt1=10〜30nm、好ましくは約20nmである。アルミニウムコーティング54bはアルミニウムの蒸着によって形成される。蛍光漏洩防止材54cは、アルミニウムリング、又は、アルミニウムコーティングによって構成される。蛍光漏洩防止材54cの厚さt2は、例えば、t2=数百μm〜数mmである。
【0034】
図6Bは、本発明のセラミックシンチレータの第2の例の構造を示す。本例のセラミックシンチレータでは、セラミック蛍光体54aの主面(電子線入射面)は、凹レンズのように湾曲面となっている。本例のセラミック蛍光体54aは、中心部では厚さが小さく周縁部では厚さが大きい。本例のセラミックシンチレータでは、セラミック蛍光体54aの主面(電子線入射面)が湾曲した凹面となっているので、電子線を効率的に捕獲することができる。
【0035】
図7は、本発明の明視野像検出器の例を示す。明視野像検出器65は、試料からの透過電子を検出する。明視野像検出器65は、セラミックシンチレータ54、及び、光電子増倍管55を有する。光電子増倍管55の上端には、通常、透明なガラス板又は石英板が設けられている。このガラス板又は石英板の上に、セラミックシンチレータ54が配置されている。セラミックシンチレータ54は、図6A及び図6Bに示したように、セラミック蛍光体54aと、その主面(電子線入射面)に形成されたアルミニウムコーティング54bと、その周囲の端面に形成された蛍光漏洩防止材54cを有する。
【0036】
図8は、本発明の暗視野像検出器の例を示す。暗視野像検出器64は、試料からの散乱電子を検出する。暗視野像検出器64は、セラミックシンチレータ54、光電子増倍管55、及び、ライトガイド57を有する。光電子増倍管55の上端には、通常、透明なガラス板又は石英板が設けられている。このガラス板又は石英板の上に、セラミックシンチレータ54が配置されている。セラミックシンチレータ54は、図6A及び図6Bに示したように、セラミック蛍光体54aと、その主面(電子線入射面)に形成されたアルミニウムコーティング54bと、その周囲の端面に形成された蛍光漏洩防止材54cを有する。
【0037】
図9は、本発明の二次電子検出器の例を示す。二次電子検出器61は、セラミックシンチレータ54、光電子増倍管55、及び、ライトガイド57を有する。セラミックシンチレータ54の構造は、図6A及び図6Bに示した。
【0038】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0039】
1:電子銃、2:第1照射レンズコイル、3:第2照射レンズコイル、4:第1偏向コイル、5:第2偏向コイル、6:対物レンズコイル、7:第1電磁式試料イメージ移動用コイル、8:第2電磁式試料イメージ移動用コイル、9:第1中間レンズコイル、10:第2中間レンズコイル、11:第1投射レンズコイル、12:第2投射レンズコイル、13〜23:励磁電源、24〜34:デジタルアナログ変換器(DAC)、35:マイクロプロッセサ、36:記憶装置、37:演算装置、38:CRTコントローラ、39:モニタ(CRT)、40〜41:I/F、42:倍率切替用ロータリーエンコーダ、43:入力用ロータリーエンコーダ、44:キーボード、45:マウス、46:RAM、47:ROM、48:画像取込みインターフェース、53:試料ステージ、54:セラミックシンチレータ、55:光電子増倍管、57:ライトガイド、61:2次電子検出器、64:暗視野像検出器、65:明視野像検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子銃からの電子線を試料に照射する電子線光学系と、試料からの電子を検出する電子検出器と、を有する電子顕微鏡において、
前記電子検出器は、セラミックシンチレータと、該セラミックシンチレータからの光を電流に変換する光電変換素子とを有し、
前記セラミックシンチレータは、蛍光体p47:Y2SiO5;Ceを焼結して形成したセラミック蛍光体を含み、該セラミック蛍光体の厚さは、200〜300μmであることを特徴とする電子顕微鏡。
【請求項2】
請求項1記載の電子顕微鏡において、
前記セラミック蛍光体の周囲の端面に蛍光の漏洩を防止する蛍光漏洩防止材が設けられていることを特徴とする電子顕微鏡。
【請求項3】
請求項1記載の電子顕微鏡において、
前記セラミック蛍光体の表面はアルミニウムコーティングによって覆われ、該アルミニウムコーティングの厚さは10〜30nmであることを特徴とする電子顕微鏡。
【請求項4】
請求項1記載の電子顕微鏡において、
前記セラミック蛍光体の表面は凹面を有しており、前記セラミック蛍光体の厚さは、中心部で小さく周縁部で大きいことを特徴とする電子顕微鏡。
【請求項5】
請求項1記載の電子顕微鏡において、
前記電子検出器は、2次電子像を得るために試料からの2次電子を検出する2次電子検出器、明視野像を得るために試料からの透過電子を検出する明視野像検出器、及び、暗視野像を得るために試料からの散乱電子を検出する暗視野像検出器、の少なくとも1つを含むことを特徴とする電子顕微鏡。
【請求項6】
電子銃からの電子線を試料に照射する電子線光学系と、試料からの2次電子を検出する2次電子検出器と、試料からの透過電子を検出する明視野像検出器と、試料からの散乱電子を検出する暗視野像検出器と、を有する透過走査型電子顕微鏡において、
前記2次電子検出器、前記明視野像検出器及び前記暗視野像検出器の少なくとも1つは、セラミックシンチレータと、該セラミックシンチレータからの光を電流に変換する光電変換素子とを有し、
前記セラミックシンチレータは、蛍光体を焼結して形成したセラミック蛍光体を含み、該セラミック蛍光体の厚さは、200〜300μmであることを特徴とする透過走査型電子顕微鏡。
【請求項7】
請求項6記載の透過走査型電子顕微鏡において、
前記セラミック蛍光体の周囲の端面に蛍光の漏洩を防止する蛍光漏洩防止材が設けられていることを特徴とする透過走査型電子顕微鏡。
【請求項8】
請求項6記載の透過走査型電子顕微鏡において、
前記セラミック蛍光体の表面はアルミニウムコーティングによって覆われ、該アルミニウムコーティングの厚さは10〜30nmであることを特徴とする透過走査型電子顕微鏡。
【請求項9】
請求項6記載の透過走査型電子顕微鏡において、
前記セラミック蛍光体の表面は凹面を有しており、前記セラミック蛍光体の厚さは、中心部で小さく周縁部で大きいことを特徴とする透過走査型電子顕微鏡。
【請求項10】
請求項6記載の透過走査型電子顕微鏡において、
前記蛍光体は、p47:Y2SiO5;Ceであることを特徴とする透過走査型電子顕微鏡。
【請求項11】
電子顕微鏡に用いられる、試料からの電子を検出する電子検出器において、
セラミックシンチレータと、該セラミックシンチレータからの光を電流に変換する光電変換素子とを有し、
前記セラミックシンチレータは、蛍光体を焼結して形成したセラミック蛍光体を含み、該セラミック蛍光体の厚さは、200〜300μmであることを特徴とする電子検出器。
【請求項12】
請求項11記載の電子検出器において、
前記セラミック蛍光体の表面はアルミニウムコーティングによって覆われ、該アルミニウムコーティングの厚さは10〜30nmであることを特徴とする電子検出器。
【請求項13】
請求項11記載の電子検出器において、前記セラミック蛍光体の端面に蛍光の漏洩を防止する蛍光漏洩防止材が設けられていることを特徴とする電子検出器。
【請求項14】
請求項13記載の電子検出器において、前記蛍光漏洩防止材はアルミニウムリングによって構成されていることを特徴とする電子検出器。
【請求項15】
請求項13記載の電子検出器において、前記蛍光漏洩防止材はアルミニウムコーティングによって構成され、該アルミニウムコーティングの厚さは数100μm〜数mmであることを特徴とする電子検出器。
【請求項16】
請求項11記載の電子検出器において、
前記蛍光体は、p47:Y2SiO5;Ceであることを特徴とする電子検出器。
【請求項17】
請求項11記載の電子検出器において、
前記セラミック蛍光体の表面は凹面を有しており、前記セラミック蛍光体の厚さは、中心部で小さく周縁部で大きいことを特徴とする電子検出器。
【請求項18】
請求項11記載の電子検出器において、
前記セラミックシンチレータは、2次電子像を得るために試料からの2次電子を受け入れるように構成されていることを特徴とする電子検出器。
【請求項19】
請求項11記載の電子検出器において、
前記セラミックシンチレータは、明視野像を得るために試料からの透過電子を受け入れるように構成されていることを特徴とする電子検出器。
【請求項20】
請求項11記載の電子検出器において、
前記セラミックシンチレータは、暗視野像を得るために試料からの散乱電子を受け入れるように構成されていることを特徴とする電子検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−26152(P2013−26152A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162409(P2011−162409)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】