説明

電子POPシステム、サーバ、プログラム

【課題】 人の位置と滞留時間に基づいた人の関心度に応じたコンテンツを提供可能な電子POPシステムを提供する。
【解決手段】 POP端末10の近くに設置された距離センサ20は、商品棚60と人50との距離を測定し、そのレベル値L351をサーバ30に送る。サーバ30の距離データ受信手段310は、レベル値351とその継続時間T353を元に人50の興味度K359を判定し、興味度K359およびその変化に応じたコンテンツをPOP端末10に出力させる。POP端末10にICカード・リーダ/ライタ70を接続し、人50がかざしたICタグまたはICカードの識別IDをサーバ30に送り、ICタグまたはICカードに応じたコンテンツをPOP端末10に出力させるとともに、興味度K359を引き継ぐ処理を行う。距離センサ20を複数設置し、人50の移動を考慮した興味度I375を求め、最適なコンテンツをPOP端末10に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子POPシステムに関し、さらに詳しくは、人の接近度と滞留時間を基に求めた興味度の変化に応じてコンテンツを提供する電子POPシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗の商品棚近くに設置され、商品の情報をインタラクティブに提供する電子POP(Point of Purchase)広告装置が提案され、実用化されつつある(特許文献1、特許文献2)。
これらの装置は、商品を見たり、手に触れたりして得られる以上の情報を提供することにより、顧客の購買意欲を高めることが可能である。
【0003】
特許文献1に提案されている電子POPシステムは、動画の広告情報と、静止画のインタラクティブな広告情報からなる複数のコンテンツの再生を管理するものであり、電子POP装置の画面(タッチパネル)のタッチを検出するまで、または、人感センサが人の接近を感知するまではスクリーンセーバのコンテンツを再生しておき、その後はインタラクティブにコンテンツを再生するものである。
【0004】
また、特許文献2に提案されている電子POPシステムは、電子POP端末で再生するコンテンツを、顧客の関心度に応じた優先順位で再生するものである。この優先順位は、顧客による選択回数の多寡、または/および、閲覧時間の長さに応じて決定される。
【特許文献1】特開2004−191666号公報
【特許文献2】特開2002−245340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献2のように、顧客の関心度、興味度に応じたコンテンツを提供することは、顧客の購買意欲をそそるのに効果的ではあるが、顧客の総体的な関心度によって優先順位が決められるため、個々の顧客のリアルタイムの関心・興味に応じたコンテンツを提供することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、人の位置と滞留時間に基づいた人の関心度に応じたコンテンツを提供可能な電子POPシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための第1の発明は、コンテンツを再生するPOP端末と、前記POP端末とネットワークを介して接続されているサーバと、前記POP端末の近辺に設置された距離センサとからなる電子POPシステムであって、前記サーバは、前記距離センサにより測定された距離データを受信し、人の位置および滞留時間を算出する距離データ受信手段と、前記人の位置および滞留時間から人が持つ興味度を判定する興味度判定手段と、前記興味度判定手段により求められた前記興味度および前記興味度の変化に応じたコンテンツを選択するモード判定手段と、前記モード判定手段によって選択されたコンテンツを、前記ネットワークを介して前記POP端末に提供するコンテンツ提供手段と、を有することを特徴とする電子POPシステムである。
【0008】
前記距離センサは、商品棚に設置され、商品棚の前に立っている人までの距離を測定する。また、前記距離センサは、測定した前記距離データに応じて、人の商品棚への接近度を表すレベル値を前記サーバに送信することが好ましく、前記レベル値は、遠距離、中距離、接近の3レベルである。
そして、前記興味度判定手段は、前記レベル値の継続時間と、前記レベル値の変化に基づいて興味度の高さを高、低、無のいずれかに判定する。
【0009】
上記の構成により、距離センサは、商品棚の所定の位置から顧客までの距離のレベル値を測定してサーバに送信し、距離のレベル値はサーバの距離データ受信手段によって受信され、距離のレベル値とその継続時間が算出される。
距離のレベル値とその継続時間を元に、興味度判定手段が距離センサが設置されている商品棚の商品への興味度を判定し、モード判定手段は、興味度とその変化によってコンテンツを選択するためのモード情報を判定する。
このモード情報に応じて、コンテンツ提供手段がコンテンツをPOP端末にネットワークを介して送信し、顧客の興味度に応じたコンテンツをPOP端末に出力することが可能になる。
【0010】
上記の構成に加えて、前記POP端末はICカード・リーダ/ライタを備え、前記ICカード・リーダ/ライタにかざされたICタグまたはICカードに応じたコンテンツを提供するとともに、前記POP端末による前記コンテンツ再生後に、前記ICタグまたはICカードに応じて、前記興味度判定手段が判定に用いる前記レベル値と、前記レベル値の継続時間を変更するICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段を更に有するようにしてもよい。
前記ICタグは、前記POP端末近辺に置かれ、商品の識別情報、または、提供するコンテンツの識別情報が予め記録されており、前記ICカード向けコンテンツ提供手段は、前記商品の識別情報または前記コンテンツの識別情報に対応するコンテンツを提供することが好ましい。
また、前記ICカードは、顧客の識別情報を格納し、前記ICカード向けコンテンツ提供手段は、前記顧客に適したコンテンツを提供することが好ましい。
【0011】
このような構成によって、顧客が情報を得たい商品に対応するICタグをICカード・リーダ/ライタにかざすことにより、その商品のコンテンツがPOP端末に出力されるとともに、コンテンツ再生後にも、そのコンテンツへの興味度を引き継いだコンテンツを提供することが可能になる。
また、顧客の識別情報が格納されたICカードをICカード・リーダ/ライタにかざすことにより、バックグラウンドで管理されている顧客の購買情報に応じたコンテンツ等の顧客に適したコンテンツを提供することが可能になる。
【0012】
上記の構成に加えて、更に、複数の距離センサを設置し、前記複数の距離センサからの距離データから得られる人の移動情報によって前記興味度の変化を判定する複数センサ興味度判定手段と、前記複数センサ興味度判定手段によって得られた前記興味度の変化に関する情報から、前記POP端末によって再生されるコンテンツを選択する複数センサコンテンツ提供手段と、を更に有するようにしてもよい。
上記の構成により、人の移動を考慮したコンテンツを提供することが可能になる。
【0013】
第2の発明は、コンテンツを再生するPOP端末とネットワークを介して接続されたサーバであって、POP端末の近辺に設置された距離センサにより測定された距離データを受信し、人の位置および滞留時間を算出する距離データ受信手段と、前記人の位置および滞留時間から人が持つ興味度を判定する興味度判定手段と、前記興味度判定手段により求められた前記興味度および前記興味度の変化に応じたコンテンツを選択するモード判定手段と、前記モード判定手段によって選択されたコンテンツを、前記ネットワークを介して前記POP端末に提供するコンテンツ提供手段と、を有することを特徴とするサーバである。
【0014】
第3の発明は、コンピュータを請求項10から請求項12のいずれかに記載のサーバとして機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、人の位置と滞留時間に基づいた人の関心度に応じたコンテンツを提供可能な電子POPシステムを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態の電子POPシステム1のシステム構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態の電子POPシステム1は、コンテンツを再生するPOP端末10とLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワーク40で接続されたサーバ30、および、POP端末10の近辺に設置された距離センサ20等で構成される。
【0018】
POP端末1は、例えば、スーパーマーケット等の小売店における商品の販売促進情報や、図書館、博物館等の施設内の情報をコンテンツとして再生する。例えば、小売店では、POP端末1は、販売促進対象商品の商品棚近くに設置される。距離センサ20も、販売促進対象商品の商品棚に設置され、商品棚から顧客までの距離を測定する。
距離センサ20により測定された距離についてのデータは、例えば、無線通信手段によりサーバ30に送られる。
サーバ30は、距離データ受信手段310、興味度判定手段320、モード判定手段330、コンテンツ提供手段340を有し、コンテンツ提供手段340により、ネットワーク40を介して商品棚の商品に関するコンテンツを送る。POP端末1は、受け取ったコンテンツを再生する。
【0019】
距離データ受信手段310は、受信した距離についてのデータを元に、商品棚と顧客の接近度合および滞留時間を求める。興味度判定手段320は、距離データ受信手段310によって求めた顧客の接近度合と滞留時間を元に、商品棚に置かれた商品への顧客の興味度を判定する。モード判定手段330は、興味度判定手段320によって求めた顧客の興味度の情報を元にコンテンツを選択するためのモードを決定する。コンテンツ提供手段340は、興味度判定手段320により求めたモードに従って、ネットワーク40を介してコンテンツをPOP端末10に送る。
距離データ受信手段310、興味度判定手段320、モード判定手段330、コンテンツ提供手段340については後で詳述する。
【0020】
図2は、POP端末10のハードウエア構成例を示す図である。
図2に示すように、POP端末10は、制御部101、記憶部103、通信制御部105、表示部107、入力部109、音声出力部111等がバス113を介して接続された構成を採る。
【0021】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
CPUは、記憶部103、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス113を介して接続された各装置を駆動制御し、POP端末10が処理する。例えば、制御部101は、コンテンツの表示処理や、サーバ30からのコンテンツの受信処理等を実行する。
ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持し、RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部101が各種処理を行なうために使用するワークエリアを備える。
【0022】
記憶部103は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部101が実行する処理プログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティング・システム)等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部101により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。サーバ30から送信されたコンテンツ情報等は記憶部103に格納される。
【0023】
通信制御部105は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク40との通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を実行する。サーバ30からネットワーク40を介して送られるコンテンツ情報は通信制御部105によってPOP端末10が受信する。
【0024】
表示部107は、液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部101の制御により記憶部103に格納されているコンテンツの表示を行なう。
入力部109は、例えば、表示部107のディスプレイ装置に設置されたタッチパネルや、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置である。
音声出力部111は、例えばスピーカーであり、音声や音楽等の音情報が出力される。
【0025】
このほか、図2には図示しないが、POP端末10は、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、PDドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等のメディア入出力装置や、印刷出力処理を行う印刷部を備えてもよい。
【0026】
図3は、距離センサ20のハードウエア構成例を示す図である。
図3に示すように、距離センサ20は、例えば、センサ・モジュール201、タイマ203、無線通信インタフェース205、CPU207、ROM209、RAM211等がバス213に接続された構成を採る。
【0027】
センサ・モジュール201は、赤外線や超音波等による距離センサであり、所定の間隔で距離を測定する。センサ・モジュール20は、距離センサ20が設置された商品棚の前に人がいない場合は、対面する商品棚や壁面までの距離が測定結果となり、商品棚の前に人が立った場合には、商品棚と人との距離が測定結果となる。
タイマ203は、センサ・モジュール201による距離測定の時間間隔や、距離センサ20からサーバ30へのデータ送信タイミングを計測する。
【0028】
無線通信インタフェース205は、センサ・モジュール201から取得し処理した距離情報をサーバ30に送信するための通信インタフェースである。通信インタフェース規格の種類は問わないが、例えば、無線LAN、ZigBee、Bluetooth、315MHz対の微弱無線等がある。
【0029】
CPU207は、ROM209に格納されるプログラムをRAM211上のワークエリアに呼び出して実行し、バス213を介して接続されたセンサ・モジュール201や無線通信インタフェース205を制御したり、後述する距離センサ20の処理を実行する。
ROM209は、距離センサ20が実行するプログラムやデータを保持する。一方、RAM211は、ROM209からロードしたプログラムや、プログラムの処理に必要なデータ、センサ・モジュール201から取得したデータ等を一時的に保持する。
【0030】
次に、サーバ30のハードウエア構成例を図4に沿って説明する。
図4に示すように、サーバ30は、一般的なコンピュータを利用して構成され、制御部301、記憶部302、メディア入出力部303、通信制御部304、入力部305、印刷部306、表示部307等がバス308を介して接続された構成を採る。
【0031】
制御部301は、CPU、ROM、RAM等で構成される。
CPUは、記憶部302、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス308を介して接続された各装置を駆動制御し、サーバ30が行なう後述する処理を実現する。
ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持し、RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部301が各種処理を行なうために使用するワークエリアを備える。
【0032】
記憶部302は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部301が実行する後述する処理プログラムや、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティング・システム)等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部301により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0033】
メディア入出力部303(ドライブ装置)は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、PDドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行なう。
通信制御部304は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク60との通信、および、距離センサ20との無線通信を媒介する通信インタフェースであり、通信制御を実行する。
【0034】
入力部305は、例えば、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、データの入力を行う。
印刷部306は、プリンタであり、印刷出力処理を行う。
表示部307は、液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成される。
【0035】
図5は、距離センサ20の処理を説明する図である。
図5(b)に示すように、商品棚60の近辺にPOP端末10および距離センサ20が設置される。距離センサ20のセンサ・モジュール201は、商品棚60の対面にある商品棚/壁61方向の対象物との距離を測定する。
すなわち、人50が商品棚60および商品棚/壁61の間の距離センサ20の前方に立った場合、距離センサ20は、距離センサ20と人50の距離xを計測する。一方、人50がいない場合には、計測値xは、商品棚60の対面の商品棚/壁61の距離となり、商品棚60―商品棚/壁61間の距離が150cmならば、x=150(cm)となる。
【0036】
図5(a)は、距離センサ20の処理の流れを示すフローチャートである。
距離センサ20の処理プログラムは、ROM209に格納されており、RAM211にロードされ、CPU207により実行される。
まず、タイマ203を起動し、タイマ203が計測する所定の間隔(例えば100ms)でセンサ・モジュール201に距離測定値xを出力させる(ステップ2001)。
図5(b)に示す商品棚60に距離センサ20を設置した場合を例とすると、0≦x≦150(cm)の距離測定値xを距離センサ20が出力する。
【0037】
次に、CPU207は、距離センサ20が出力した距離測定値xをレベル値Lに変換する(ステップ2002)。
例えば、図5(c)に示すように、距離測定値xが100cmよりも大きい場合には距離レベル値L=0とし、50≦x<100の場合はL=1、距離測定値が50cmよりも小さい場合にはL=2というように、距離測定値xをレベル値Lに変換すればよい。レベル値は3レベルに限らず、例えば4レベルや2レベルにしてもよい。
【0038】
次に、CPU207は、レベル値Lを無線通信インタフェース205を介してサーバ30に送る(ステップ2003)。このとき、距離センサ20を識別するためのセンサIDをレベル値Lのデータに付加して送信してもよい。
以上の構成によって、距離センサ20からサーバ30に対して、100msごとの距離レベル値Lが送信される。
【0039】
以上の構成では、距離センサ20内で距離測定値xをレベル値Lに変換してからサーバ30に送信したが、距離測定値xそのものをサーバ30に送信してもよい。この場合、サーバ30側で距離測定値xをレベル値Lに変換する処理(ステップ2002)が実行されることになる。
【0040】
次に、図6〜図9に従って、本実施の形態の電子POPシステム1のサーバ30の処理を説明する。
図6は、サーバ30の距離データ受信手段310の説明図である。
図6(a)は、距離データ受信手段310の処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
サーバ30の制御部301は、通信制御部304により距離センサ20が送信する距離レベルLのデータを受信する(ステップ3101)。
このとき、距離センサ20の識別情報である(センサID)をレベル値Lとともに受信する。また、受信時刻tを受信した各レベル値Lに付与する。この受信時刻は、距離センサ20側で付与してもよい。
【0042】
次に、レベル値L=1およびレベル値L=2のデータについて、その継続時間Tを受信時刻tから求める(ステップ3102)。
距離センサ20によるレベル値Lの送信が100msごとに行なわれていたとすると1秒間に10個のレベル値Lが受信されるが、人50の動きや、無線送信の具合等によりレベル値Lの抜け等が発生する場合が考えられるので、この抜け等を補完する処理を加えてもよい。
【0043】
ステップ3102で求めたレベル値Lの現状の値およびその継続時間は、図6(c)に示すように、現状データ350として制御部301のRAM上等に格納される。
図6(c)は、現状データ350の構成を示す図である。
現状データ350として、レベル値L351とその継続時間T353が格納される。このほか、現状データ350には、この後説明する興味度判定手段320およびモード判定手段330で使用されるフラグ(FA355、FB357)や興味度K359、モードM361の値が格納される。
【0044】
図7は、興味度判定手段320の処理の流れを示すフローチャートである。
興味判定手段320は、距離データ受信手段310で求めた距離のレベル値L351とその継続時間T353から興味度K359を求め、現状データ350に格納する処理を行う。この処理では、便宜的にフラグA(FA355)およびフラグB(FB357)を使用する。
まず、フラグA(FA355)およびフラグB(FB357)の初期値を0に設定する(ステップ3201)。
【0045】
サーバ30の制御部301は、現状データ350のレベル値L351および継続時間T353を参照し、そのどちらかに変化があるか否かを判定する(ステップ3202)。変化がない場合(ステップ3202のNo)には、変化があるまでステップ3202の処理を繰り返す。
レベル値351または継続時間T353に変化があった場合(ステップ3202のYes)には、それ以降の処理によってレベル値Lおよびその継続時間Tに応じて興味度K359の値をK=‘高’またはK=‘低’またはK=‘0’に決定する。
興味度K=‘高’は興味度が高いことを、興味度K=‘低’は低いが興味があることを、興味度K=‘0’は興味が無いことを示す。
【0046】
まず、レベル値L=1、且つ、継続時間Tが10秒以上の場合(ステップ3203のYes)、低い興味度があると判定される。便宜上、現状データ350のフラグA(FA355)の値に1(ステップ3204)、フラグB(FB357)の値に0(ステップ3205)を格納し、ステップ3207に進んで現状データ350の興味度K357に値‘低’を格納する。
すなわち、人50が商品棚60から50〜100cmの距離に10秒以上いる場合には低い興味があると判定する。
ここで、フラグA(FA355)はレベル値L=1が10秒以上継続したときに‘1’、それ以外のときには‘0’とするフラグである。また、フラグB(FB357)はレベル値L=2が10秒以上継続したときに‘1’、それ以外のときには‘0’とするフラグである。
【0047】
次に、レベル値L=2、且つ、継続時間Tが10秒未満、且つ、フラグFA=1でない場合(ステップ3210のYes)、制御部301は、継続時間Tが3秒未満ならば(ステップ3206のYes)興味が無いと判断し、レベル値L=2の継続時間Tが3秒以上10秒未満ならば低い興味があると判断する。
すなわち、便宜的に現状データ350のフラグB(FB357)に0を記入したうえで(ステップ3206)、ステップ3206で継続時間Tが3秒未満か3秒以上かを判定し、3秒未満の場合(ステップ3206のYes)、ステップ3241に進んで現状データ350の興味度K359の値に‘0’を格納する。一方、継続時間Tが3秒以上の場合(ステップ3206のNo)、現状データ350の興味度Kの値に‘低’を格納する(ステップ3207)。
以上の処理によって、人50が商品棚60から50cm未満の距離に3秒以上いると低い興味があると判定する。
【0048】
次に(ステップ3210のNo)、レベル値L=2の継続時間Tが10秒以上の場合(ステップ3220のYes)、すなわち、商品棚60から50cm未満の距離に10秒以上留まっている場合、制御部301は、高い興味度Kがあると判断する。
すなわち、レベル値L=2の継続時間Tが10秒以上になったことを示すフラグB(FB359)の値に‘1’を、フラグA(FA357)の値に‘0’を格納し(ステップ3221)、興味度K359の値に‘高’を格納する(ステップ3222)。
【0049】
次に(ステップ3220のNo)、ステップ3230では、レベル値L=1の継続時間Tが10秒以上になってフラグA(FA355)の値が‘1’の状態で、レベル値L=2になった場合(ステップ3230のYes)に制御部301は興味度が高いと判定し、現状データ350の興味度K359に値‘高’を格納する(ステップ3222)。
以上の処理により、人50が商品棚60から50〜100cmの距離に10秒以上留まった後、更に50cm未満の距離に近づいた場合には興味度K359を‘高’にする。これによって、人50が初めから50cm未満の距離に近づいた場合(ステップ3206)の興味度(3秒未満は興味無し、3秒以上10秒未満で低い興味)と区別する役割を持つ。
【0050】
次に(ステップ3230のNo)、ステップ3240では、レベル値L=2の継続時間Tが10秒以上になってフラグB(FB357)の値が‘1’の状態で、レベル値L=1になった場合(ステップ3240のYes)に、制御部301は低い興味度があると判定し、現状データ350の興味度K359に値‘低’を格納する(ステップ3207)。
以上の処理により、人が商品棚60から50cm未満の距離に10秒以上留まった後、50〜100cmの距離に少し離れた場合の興味度を‘低’に保つ。これは、通常、50〜100cmの距離に10秒未満留まっている場合の興味度は‘0’であるのと区別する役割を持つ。
【0051】
以上の場合以外の場合(ステップ3240のNo)制御部301は興味なしと判定し、現状データ350の興味度K359の値に‘0’を格納し、フラグA(FA355)およびフラグB(FB357)に‘0’を挿入する。
【0052】
現状データ350の興味度K359に値を格納する処理を行った後(ステップ3222、ステップ3242、ステップ3207)、制御部301はステップ3202に戻り、レベル値Lまたは継続時間Tの変化を検出する処理を行う。
【0053】
以上の処理により、現状データ350の興味度K359として、距離のレベル値Lおよび継続時間Tを考慮した興味度の値(‘0’、‘低’、‘高’)が格納される。
【0054】
図8は、モード判定手段330の説明図である。
興味度判定手段320で定まった興味度K359の値により、コンテンツを選択するモードが決定される。
【0055】
例えば、図8に示すように、興味度K=‘0’の場合を呼びかけモード331とする。例えば、商品棚60の前を通る人50や短時間佇む人が商品に興味を持つように呼びかけるモードである。
また、興味度Kが‘0’から‘低’になった場合には、例えば、商品棚60の商品の概要を説明するコンテンツを提供する概要モード333とする。
さらに、興味度Kが‘高’の場合は、商品の詳細を示すコンテンツを提供する詳細モード335とする。
【0056】
このほか、興味度Kが‘高’から‘低’になった場合には、商品棚60から少し遠のいた人50の興味を逃さないようなコンテンツを提供するフォローモード337とする。
興味度Kが‘高’から‘0’になった場合や、‘低’から‘0’になった場合は呼びかけモード331とする。
【0057】
モード判定手段330は、現状データ350の興味度K359の値を参照し、例えば図8に示すような基準に従ってモードM361を決定し、現状データ350に格納する。
【0058】
図9は、コンテンツ提供手段340を説明する図である。
図9(a)は、コンテンツ例を示す図である。
サーバ30の記憶部302には、各モードM361に対応したコンテンツ343が格納される。例えば、「呼びかけモード」の場合はコンテンツA1を、「概要モード」の場合はコンテンツA2を、「詳細モード」の場合はコンテンツA3とコンテンツA4の2つを交互に、「フォローモード」の場合はコンテンツA5を、制御部301が選択し、通信制御部304がネットワーク40を介してPOP端末10に送信する。
POP端末10は、受け取ったコンテンツを表示部107および音声出力部111によって出力する。
【0059】
図9(b)は、コンテンツ提供手段340の処理の流れを示すフローチャートである。
制御部301は、現状データ350のモードM361を参照し、モードMに応じたコンテンツ343を図9(a)に示すようなコンテンツ例341から選択してPOP端末10に送信し、再生を指示する(ステップ3401)。
【0060】
制御部301は、さらに、現状データ350のモードMが変化を検出し、変化した場合(ステップ3402のYes)には、ステップ3401に戻り、モードM361に応じたコンテンツ343の再生をPOP端末10に指示する。
一方、モードMが変化しない場合は、コンテンツ343の再生の終了を検出し(ステップ3403)、終了した場合(Yes)にはステップ3401に戻る。コンテンツ343の再生が終了するまでの間(ステップ3403のNo)は、モードM361の変化を検出する処理(ステップ3402)を実行する。
【0061】
以上の処理により、モードMの変化に応じたコンテンツの再生が可能になる。
【0062】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図10は、第2の実施形態の電子POPシステム1のシステム構成図である。
第1の実施例のシステム構成に加えて、POP端末10にICカード・リーダ/ライタ70が接続された構成である。また、サーバ30は、第1の実施例と同様の距離データ受信手段310、興味度判定手段320、モード判定手段330、コンテンツ提供手段340に加えて、ICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段360を備える。
【0063】
以上の構成により、商品棚60等の商品についてのICタグや、顧客50が所有するICカードがICカード・リーダ/ライタ70にかざされた場合に、ICタグやICカードの識別IDを読み取り、ICタグの商品についてのコンテンツや、顧客50に適したコンテンツを選択してPOP端末10に出力することを可能にする。また、コンテンツ再生終了時点で、ICタグやICカードの識別IDに紐付いた仮想的な興味度を設定可能にする。これについては後述する。
ICタグやICカードがかざされない通常の場合は、第1の実施例で説明した人50の距離に応じた興味度によって選択されたコンテンツの再生を行なう。
【0064】
図11に沿って、第2の実施例の電子POPシステム1について詳しく説明する。
図11(a)は、第2の実施例の電子POPシステム1の設置例を示す図である。
商品棚60の近辺に設置されたPOP端末10にはICカード・リーダ/ライタ70が接続されており、商品棚60には距離センサ20も第1の実施例と同様に設置されている。
また、商品棚60または商品棚/壁61の近辺には、周辺に置かれている商品についての情報をPOP端末10に表示させるためのICタグの設置場所(ICタグ入れ)80が設けられる。
【0065】
近辺の商品に興味を持った人50は、ICタグ入れ80からICタグを取り、ICカード・リーダ/ライタ70にかざして、ICタグの識別ID等を読み込ませる。これによって、本実施の形態の電子POPシステム1は図11(c)に示すICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段360の処理を実行し、人50が興味を持った商品についてのコンテンツをPOP端末10で再生することが可能になる。
【0066】
また、人50が自身の所有するICカード(例えばポイントカード等)をICカード・リーダ/ライタ70にかざすことも可能であり、ICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段360は、ICカードの識別IDから人50の購入履歴情報等から選択された人50に適するコンテンツをPOP端末10で再生することが可能になる。
【0067】
図11(b)は、サーバ30の記憶部302に格納されたICタグ・ICカード向けコンテンツ例361を示す図である。
ICタグ・ICカードの識別ID363に対応したコンテンツ367が紐付けられている。
例えば、識別ID「1001」のICタグは、商品棚60周辺の商品の売れ筋ランキングのコンテンツB1を再生するためのランキングカードであり、識別ID「2001」、「2002」のICタグは、それぞれ、商品A、商品Bを説明するコンテンツB2、B3を再生するための説明カードである。
【0068】
また、識別ID「3001」のICカードは、例えば、ユーザAのICカードであり、ユーザAの購入履歴や年齢、性別等に応じて選択されたコンテンツC1が紐付けられている。
【0069】
図11(c)は、ICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段360の処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
サーバ30の制御部301は、ICカード・リーダ/ライタ70によって読み込まれたカードIDがPOP端末10から送られてくるのを検出する(ステップ3601)。
カードIDを受信した場合には(ステップ3601のYes)、第1の実施例で説明したコンテンツ提供手段340によって再生されていたコンテンツの再生を停止させ(ステップ3602)、ICタグ・ICカード向けコンテンツ例361を検索し、カードID363に応じたコンテンツ367の再生をPOP端末10に指示する(ステップ3603)。
【0071】
その後、制御部301は、コンテンツ367の終了を検出し(ステップ3604のYes)、カードID363に応じた興味度情報369を現状データ350に強制的に格納し(ステップ3605)、第1の実施例で説明した興味度判定手段320、モード判定手段330、コンテンツ提供手段340の処理に復帰する(ステップ3606)。
【0072】
興味度情報369は、ICタグ・ICカード向けコンテンツ例361とともにカードID363に対応して記憶部302に予め格納しておく。
例えば、カードID363「1001」のランキングカードの場合、距離レベルL=1、継続時間T=5(秒)をランキング情報のコンテンツB1再生後に現状データ350として格納する。
この現状データ350を元に、第1の実施例で説明した興味度判定手段320(図7)による興味度K359の判定が引き継がれる。
【0073】
例えば、カードID363「2001」の商品A説明カードの場合、コンテンツB2再生後に、制御部301は強制的に距離レベルL=2、継続時間T=15(秒)を現状データ350に書込み、興味度K359が高く保たれるように引き継ぐ。
ユーザが所有するICカードの場合も同様に、興味度Kを高く保つような現状データ350の距離レベルLおよび継続時間Tを書きこむようにする。
例えば、カードID363「3001」のユーザAのICカードの場合、コンテンツC1再生後に、強制的に距離レベルL=2、継続時間T=30(秒)を現状データ350に書き込む。これにより、高い興味度が引き継がれることになる。
【0074】
次に、第3の実施例を図12から図15に沿って説明する。
図12(a)は、第3の実施形態の電子POPシステム1のシステム構成図である。
POP端末10とサーバ30がネットワーク40を介して接続される構成は第1、第2の実施例と同様である。
第3の実施例の場合、図12に示すように、複数の距離センサ20が設置され、人50の移動を考慮したコンテンツをPOP端末10で再生させる。
例えば、3個の距離センサ20を設置し、それぞれ、距離センサα(20−1)、距離センサβ(20−2)、距離センサγ(20−3)とする。
【0075】
図12(b)は、店舗の商品棚60近辺にPOP端末10を設置する場合の設置例を示す図である。
商品棚60の近辺にPOP端末10を設置するとともに、距離センサα(20−1)、距離センサβ(20−2)、距離センサγ(20−3)を、例えば1.5mずつ離して商品棚60に設置する。
複数の距離センサ20を設置することにより、人50が商品棚60と商品棚/壁61の間の通路を移動する状況を把握することが可能になる。
【0076】
図12(a)に示すように、サーバ30は、各距離センサ20から送られる距離データを受信する距離データ受信手段310と、各距離センサ20に関する距離レベル値L351および継続時間T353から興味度K359を判定する興味度判定手段320とともに、複数センサ興味度判定手段370および複数センサコンテンツ提供手段380を備える。
【0077】
距離データ受信手段310および興味度判定手段320は、第1の実施例で説明したものと同様であるが、複数のそれぞれの距離センサ20について並行して処理を実行する。
複数センサ興味度判定手段370は、それぞれの距離センサ20について判定された興味度359と、各距離センサ20の距離レベルL351の変化を元に、総合的な興味度I375を求める。
複数センサコンテンツ提供手段380は、複数センサ興味度判定手段370によって求めた総合的な興味度I375を元に、最適なコンテンツをPOP端末10に再生させる。
【0078】
次に、第3の実施例のデータの構成を図13に沿って説明する。
図13(a)は、現状データ350の構成を示す図である。
図6(b)に示した第1の実施例の現状データ350と同様の構成であるが、各距離センサ20のセンサID358とともに、各距離センサ20についてのレベル値L351、継続時間T353、興味度K359、および、フラグ(FA355、FB357)の値が格納される。
【0079】
図13(b)は、複数センサ興味度判定手段370によって判定される現在興味度情報371のデータ構成を示す図である。
それぞれの時点で、どの距離センサ373が主体となっているかをセンサID373で示し、その興味度I375が格納される。
通常は、各距離センサ20について興味度判定手段320によって求められた興味度K359のなかで最も高い興味度を示すセンサID358が現在興味度情報371のセンサID373に書き込まれ、そのセンサID373の興味度K359の値が興味度I375として書き込まれる。
【0080】
図13(c)は、複数センサコンテンツ提供手段380が提供するコンテンツ例377である。
図13(b)の現在興味度情報371に従って、センサID373のセンサIDについての興味度I375に応じたモードM379のコンテンツが選択される。
モードM379は、第1の実施の形態で説明したモードM361と同様に、呼びかけモード381、概要モード383、詳細モード385、フォローモード387等が設けられ、それぞれのモードで再生するコンテンツが格納される。
【0081】
図14は、複数センサ興味度判定手段370の処理の流れを示すフローチャートである。
複数センサ興味度判定手段370では、現在興味度情報371に格納されているセンサID373の興味度K359が‘0’になる際、すなわち、センサID373に対応する距離センサ20の前から人が移動した際に、他の距離センサ20の値の変化から、人の動きを把握し、興味度を引き継ぐ処理を行う。
【0082】
まず、制御部301は、現在興味度情報371の内容を書き換え可能な時間(書き換え許可時間)と、書き変えた内容を維持する時間(興味度維持時間)からなる興味度維持設定データを設定する(ステップ3701)。
【0083】
次に、制御部301は、現状データ350の興味度K359の値の変化を検出する(ステップ3702)。いずれかの距離センサ20の興味度K359の変化を検出した場合(ステップ3703のYes)、現在興味度情報371のセンサID373についての現状データ350の興味度K359が‘0’に変化したのか否かを判定する(ステップ3703)。
現在興味度情報371のセンサID383以外の距離センサ20の興味度K359が変化した場合、あるいは、現在興味度情報371のセンサID383の距離センサ20の興味度K359の値が‘0’以外(すなわち‘低’または‘高’)に変化した場合(ステップ3703のNo)、制御部301は、現状データ350の興味度K359が最も高いセンサID358を現在興味度情報371のセンサID373とし、その興味度K359を現在興味度情報371の興味度I375として格納する(ステップ3713)。
【0084】
すなわち、例えば、現在興味度情報371に格納されているセンサID373がβ(距離センサβ20−2)の場合、距離センサα20−1または距離センサγ20−3の現状データ350の興味度K359が変化した場合、あるいは、距離センサβ20−2の現状データ350の興味度K359が‘0’以外の値で変化した場合には、制御部301は3つの距離センサ20の中で最も高い興味度K359の値を取る距離センサ20のセンサID373を現在興味度情報371のセンサID373とし、そのセンサID373の興味度K359の値を興味度I375とする。
【0085】
一方、ステップ3703がYesの場合、すなわち、例えば、現在興味度情報371のセンサID373(例えばβ)の興味度K359が‘0’に変化していた場合、制御部301は書き換え許可時間内に、現状データ350のそれ以外の距離センサ(距離センサα20−1、距離センサγ20−3)のレベル値L351が‘0’以外になったか否かを判定する(ステップ3704)。
すなわち、人50が距離センサβ20−2の位置からそれ以外の距離センサα20−1またはγ20−3の前方に書き換え許可時間内に移動したか否かを判定する。
【0086】
ステップ3704がNoの場合、すなわち、距離センサβ20−2以外の距離センサ20の距離レベル値L351が‘0’のままである場合には、制御部301は人50が距離センサβ20−2の前から移動し、商品棚60から遠ざかったと判定し、現在興味度情報371のセンサID373はそのまま維持し(βのまま)、興味度I375の値に‘0’(興味なし)を格納する。
【0087】
ステップ3705がYesの場合、すなわち、距離センサβ20−2以外の距離センサ(α20−1またはγ20−3)の距離レベル値L351が‘1’または‘2’に変化した場合、制御部301は人50が距離センサβ20−2の前から移動し、それ以外の距離センサ(α20−1またはγ20−3)に接近したと判定し、現在興味度情報371のセンサID373を距離レベル値Lが‘0’以外になった距離センサ(例えばα)のセンサIDに書き変える(ステップ3705)。このとき、興味度I375の値はそのまま維持する。
【0088】
この後、現状興味度情報371のデータは、ステップ3701で設定された興味度維持時間の間維持される(ステップ3706)。
【0089】
興味度維持時間が経過した後、制御部301は維持されていた現状興味度情報371のセンサID373の距離センサ20(例えばα)の興味度K359の値を現状データ350から求め、‘0(興味なし)’か否かを判定する(ステップ3707)。
‘0’になっていた場合(ステップ3707のYes)には、ステップ3702に戻り、処理を続ける。これは、人50が距離センサα20−1の前に接近した後、どの距離センサ20からも遠ざかったことを意味する。
【0090】
一方、‘0’以外の値であった場合(ステップ3707のNo)には、人50が距離センサα20−1の前にまだ留まっていることを示すので、制御部301は現状興味度情報371の興味度I375の値を興味度K359の値に書き換え、ステップ3702の処理に戻る。
【0091】
以上の処理により、人50の移動を認識し、興味度の引継ぎを行なうことが可能になる。
【0092】
図15は、複数センサコンテンツ提供手段380の説明図である。
複数センサ興味度判定手段370で定まった興味度I375の値により、コンテンツを選択するモードが決定される。
例えば、図15(a)に示すように、興味度I=‘0’の場合を呼びかけモード381とする。例えば、商品棚60の前を通る人50や短時間佇む人が商品に興味を持つように呼びかけるモードである。
また、興味度Iが‘0’から‘低’になった場合には、例えば、商品棚60の商品の概要を説明するコンテンツを提供する概要モード383とする。
さらに、興味度Iが‘高’の場合は、商品の詳細を示すコンテンツを提供する詳細モード385とする。
【0093】
このほか、興味度Iが‘高’から‘低’になった場合には、商品棚60から少し遠のいた人50の興味を逃さないようなコンテンツを提供するフォローモード387とする。
興味度Iが‘高’から‘0’になった場合や、‘低’から‘0’になった場合は呼びかけモード381とする。
【0094】
図15(b)は、複数センサコンテンツ提供手段380の処理の流れを示すフローチャートである。
制御部301は、現在興味度情報371のセンサID373および興味度I375を参照し、コンテンツ例377からそのモードMに応じたコンテンツを選択してPOP端末10に送信し、再生を指示する(ステップ3801)。
【0095】
制御部301は、さらに、現在興味度情報371の興味度I375の変化を検出し、変化した場合(ステップ3802のYes)には、ステップ3801に戻り、現在興味度情報371の興味度Iに応じたコンテンツの再生をPOP端末10に指示する。
一方、現在興味度情報371の興味度375が変化しない場合(ステップ3802のNo)は、コンテンツ再生の終了を検出し(ステップ3803)、終了した場合(ステップ3803のYes)にはステップ3801に戻る。コンテンツの再生が終了するまでの間(ステップ3803のNo)は、現在興味度情報371の変化を検出する処理(ステップ3802)を実行する。
【0096】
以上の処理により、人50の移動を考慮した興味度Iの変化に応じてコンテンツを切り替え、再生することが可能になる。
【0097】
尚、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能であり、それらも、本発明の技術範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施形態の電子POPシステム1の構成を示す図
【図2】POP端末10のハードウエア構成図
【図3】距離センサ20のハードウエア構成図
【図4】サーバ30のハードウエア構成図
【図5】距離センサ20の処理の説明図
【図6】距離データ受信手段310の説明図
【図7】興味度判定手段320の処理の流れを示すフローチャート
【図8】モード判定手段330の説明図
【図9】コンテンツ提供手段340の説明図
【図10】第2の実施形態の電子POPシステム1の構成を示す図
【図11】ICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段360の説明図
【図12】第3の実施形態の電子POPシステム1の構成を示す図
【図13】複数センサによる電子POPシステム1のデータ構成を示す図
【図14】複数センサ興味度判定手段370の処理の流れを示すフローチャート
【図15】複数センサコンテンツ提供手段380の説明図
【符号の説明】
【0099】
1………電子POPシステム
10………POP端末
20………距離センサ
30………サーバ
40………ネットワーク
50………人
60………商品棚
70………ICカード・リーダ/ライタ
80………スキャナ
310………距離データ受信手段
320………興味度判定手段
330………モード判定手段
340………コンテンツ提供手段
360………ICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段
370………複数センサ興味度判定手段
380………複数センサコンテンツ提供手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを再生するPOP端末と、前記POP端末とネットワークを介して接続されているサーバと、前記POP端末の近辺に設置された距離センサとからなる電子POPシステムであって、
前記サーバは、前記距離センサにより測定された距離データを受信し、人の位置および滞留時間を算出する距離データ受信手段と、
前記人の位置および滞留時間から人が持つ興味度を判定する興味度判定手段と、
前記興味度判定手段により求められた前記興味度および前記興味度の変化に応じたコンテンツを選択するモード判定手段と、
前記モード判定手段によって選択されたコンテンツを、前記ネットワークを介して前記POP端末に提供するコンテンツ提供手段と、
を有することを特徴とする電子POPシステム。
【請求項2】
前記距離センサは、商品棚に設置され、商品棚の前に立っている人までの距離を測定することを特徴とする請求項1記載の電子POPシステム。
【請求項3】
前記距離センサは、測定した前記距離データに応じて、人の商品棚への接近度を表すレベル値を前記サーバに送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子POPシステム。
【請求項4】
前記レベル値は、遠距離、中距離、接近の3レベルであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子POPシステム。
【請求項5】
前記興味度判定手段は、前記レベル値の継続時間と、前記レベル値の変化に基づいて興味度の高さを高、低、無のいずれかに判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子POPシステム。
【請求項6】
前記POP端末はICカード・リーダ/ライタを備え、
前記ICカード・リーダ/ライタにかざされたICタグまたはICカードに応じたコンテンツを提供するとともに、前記POP端末による前記コンテンツ再生後に、前記ICタグまたはICカードに応じて、前記興味度判定手段が判定に用いる前記レベル値と、前記レベル値の継続時間を変更するICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電子POPシステム。
【請求項7】
前記ICタグは、前記POP端末近辺に置かれ、商品の識別情報、または、提供するコンテンツの識別情報が記録され予め記録されており、前記ICカード向けコンテンツ提供手段は、前記商品の識別情報または前記コンテンツの識別情報に対応するコンテンツを提供することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子POPシステム。
【請求項8】
前記ICカードは、顧客の識別情報を格納し、前記ICカード向けコンテンツ提供手段は、前記顧客に適したコンテンツを提供することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子POPシステム。
【請求項9】
複数の距離センサを設置し、
前記複数の距離センサからの距離データから得られる人の移動情報によって前記興味度の変化を判定する複数センサ興味度判定手段と、
前記複数センサ興味度判定手段によって得られた前記興味度の変化に関する情報から、前記POP端末によって再生されるコンテンツを選択する複数センサコンテンツ提供手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子POPシステム。
【請求項10】
コンテンツを再生するPOP端末とネットワークを介して接続されたサーバであって、
POP端末の近辺に設置された距離センサにより測定された距離データを受信し、人の位置および滞留時間を算出する距離データ受信手段と、
前記人の位置および滞留時間から人が持つ興味度を判定する興味度判定手段と、
前記興味度判定手段により求められた前記興味度および前記興味度の変化に応じたコンテンツを選択するモード判定手段と、
前記モード判定手段によって選択されたコンテンツを、前記ネットワークを介して前記POP端末に提供するコンテンツ提供手段と、
を有することを特徴とするサーバ。
【請求項11】
前記POP端末はICカード・リーダ/ライタを備え、
前記ICカード・リーダ/ライタにかざされたICタグまたはICカードに応じたコンテンツを提供するとともに、前記POP端末による前記コンテンツ再生後に、前記ICタグまたはICカードに応じて、前記興味度判定手段が判定に用いる前記レベル値と、前記レベル値の継続時間を変更するICタグ・ICカード向けコンテンツ提供手段を更に有することを特徴とする請求項10記載のサーバ。
【請求項12】
複数の距離センサを設置し、
前記複数の距離センサからの距離データから得られる人の移動情報によって前記興味度の変化を判定する複数センサ興味度判定手段と、
前記複数センサ興味度判定手段によって得られた前記興味度の変化に関する情報から、前記POP端末によって再生されるコンテンツを選択する複数センサコンテンツ提供手段と、
を更に有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載のサーバ。
【請求項13】
コンピュータを請求項10から請求項12のいずれかに記載のサーバとして機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−244553(P2009−244553A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90345(P2008−90345)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】