説明

電極受入孔への部品供給装置

【課題】簡素化された構造で電極の受入孔に軸状部品を正確に挿入することができる電極受入孔への部品供給装置の提供
【解決手段】軸状部品は、軸部と円形のフランジ部と溶着用突起から構成され、電極5の端面に受入孔が開口しており、この受入孔に軸部が挿入されるものであって、電極5の進退空間に対して進退するガイド部材23に軸部を受入孔に導くテーパ孔24が形成され、ガイド部材23は片側ガイド部材27と他側ガイド部材28に2分割された開閉構造とされ、所定位置に進出した片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が閉じているときテーパ孔24と受入孔が同軸状態となるようにした。こうすることにより、軸部が確実に受入孔内に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気抵抗溶接のような電極の受入孔にプロジェクションボルトなどの軸部を挿入する電極受入孔への部品供給装置に関している。
【背景技術】
【0002】
特許第2509103号公報には、プロジェクションボルトの軸部を電気抵抗溶接用電極の受入孔に挿入することが記載されている。ここでの挿入の仕方は、斜め方向に進退する副供給ロッドにプロジェクションボルトを保持し、この副供給ロッドを進出させてボルト軸部が受入孔と同軸になった箇所で停止し、次いで副供給ロッド全体を上昇させてボルト軸部を受入孔に挿入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2509103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されている技術においては、ボルト軸部と受入孔が離隔した状態で両者の位置関係を同軸にする必要があるので、副供給ロッドや電極の位置関係を高精度に設定しなければならない。そして、副供給ロッドの動作長さが長くなるので、上記の同軸精度を求めることが行いにくいという問題がある。また、副供給ロッドを進退させたり副供給ロッド全体を上昇させたりしなければならないので、可動構造として複雑になる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、簡素化された構造で電極の受入孔に軸状部品を正確に挿入することができる電極受入孔への部品供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、軸状部品は、軸部とこの軸部と同軸の状態で一体に設けられた円形のフランジ部とこのフランジ部に形成された溶着用突起から構成されたものであり、進退動作をする電極の端面に受入孔が開口しており、この受入孔に軸状部品の軸部が挿入されるものであって、電極の進退空間に対して進退するガイド部材に前記軸部を受入孔に導くテーパ孔が形成され、前記ガイド部材は片側ガイド部材と他側ガイド部材に2分割された開閉構造とされ、所定位置に進出した片側ガイド部材と他側ガイド部材が閉じているときテーパ孔と受入孔が同軸状態となるように構成したことを特徴とする電極受入孔への部品供給装置である。
【発明の効果】
【0007】
開閉式の片側ガイド部材と他側ガイド部材が閉じているとき、テーパ孔と電極の受入孔が同軸状態となるものであるから、進入してきた軸部はその先端部がテーパ孔のテーパ部に接触し案内されて受入孔に導かれ、正確に受入孔内に挿入される。挿入後は、片側ガイド部材と他側ガイド部材が開いてフランジ部の通過に要する空間が形成されるので、軸状部品は完全に受入孔内に挿入される。その後、電極は受入孔に軸状部品を保持した状態で鋼板部品のような相手方部材に到達または相手方部材側から到達し、軸状部品は相手方部材に加圧され、溶接電流が通電されて電気抵抗溶接が完了する。
【0008】
上記のように、電極の進出空間に対して進退するガイド部材に前記軸部を受入孔に導くテーパ孔が形成され、前記ガイド部材は片側ガイド部材と他側ガイド部材に2分割された開閉構造とされ、所定位置に進出した片側ガイド部材と他側ガイド部材が閉じているときテーパ孔と受入孔が同軸状態となるように構成したものであるから、軸状部品をテーパ孔に到達させるだけの構造とすることができ、構造簡素化において効果的である。つまり、従来技術のように供給ロッドを進退動作させるような構造ではないので、装置規模を小型化し簡素化することができる。そして、ガイド部材を受入孔の近傍に位置させることができるので、テーパ孔で中心位置が定められた軸部はそのまま引き続いて受入孔に進入するので、軸部は確実に受入孔内へ挿入される。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記テーパ孔は、軸部が通過するガイド孔とフランジ部の周縁が接触するテーパ部によって構成されている請求項1記載の電極受入孔への部品供給装置である。
【0010】
前記フランジ部の周縁がテーパ面に接触するものであるから、軸状部品は安定した状態で支持され、ガイド孔を通過している軸部は受入孔と同軸状態で正確に挿入される。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記電極が案内管に挿入され、電極が案内管に対して進退可能な状態とされている請求項1または請求項2記載の電極受入孔への部品供給装置である。
【0012】
軸状部品は、その先端部が案内管にガイドされながらテーパ部に達するので、確実に受入孔に挿入することができる。高速で軸状部品が搬送されてきても、案内管でガイドされるので、軸状部品はテーパ部以外の箇所へ外れて移動することがない。そして、案内管を静止した機枠部材などに固定し、電極を進退動作させるものであるから、固定状態が安定した案内管で電極を確実に保持することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記電極が案内管に挿入され、案内管が電極に対して進退可能な状態とされている請求項1または請求項2記載の電極受入孔への部品供給装置である。
【0014】
軸状部品は、その先端部が案内管にガイドされながらテーパ部に達するので、確実に受入孔に挿入することができる。高速で軸状部品が搬送されてきても、案内管でガイドされるので、軸状部品はテーパ部以外の箇所へ外れて移動することがない。そして、電極を静止した機枠部材などに固定し、案内管を進退動作させるものであるから、固定状態が安定した電極で案内管を確実に保持することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記片側ガイド部材と他側ガイド部材は、案内管の外側から進退するように構成されている請求項3または請求項4記載の電極受入孔への部品供給装置である。
【0016】
前記案内管の外側から片側ガイド部材と他側ガイド部材が進退するので、案内管内の電極進退空間に片側ガイド部材と他側ガイド部材が進入して確実にテーパ孔を形成することができる。そして、両ガイド部材が電極進退空間から退避することによって、電極の進出空間が確実に形成される。
【0017】
請求項6記載の発明は、前記片側ガイド部材と他側ガイド部材が開いたときに軸部を受入孔の奥の方へ引き込む吸引手段が電極内に配置してある請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電極受入孔への部品供給装置である。
【0018】
テーパ孔にガイドされた軸部が受入孔内に完全に進入しきらない状態であっても、片側ガイド部材と他側ガイド部材が開いたときに軸部は吸引手段によって受入孔の奥の方へ引き込まれる。したがって、受入孔内への軸部の進入が確実に達成される。また、軸部が上方へ挿入される場合であっても、吸引手段の引き込みによって、軸状部品が落下するようなことが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】装置の側面図であり、軸状部品送給を待機している状態である。
【図2】装置の側面図であり、軸状部品が挿入されている状態である。
【図3】装置の側面図であり、装置が原位置に復帰した状態である。
【図4】電極とガイド部材の断面図である。
【図5】他の装置の断面図である。
【図6】案内管の断面図とガイド部材の平面図である。
【図7】他の装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明の電極受入孔への部品供給装置を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図4は、本発明の実施例1を示す。
【0022】
まず、軸状部品について説明する。
【0023】
軸状部品としては、頭部付きのボルト、頭部なしのボルト、真っ直ぐなパイプ部材など種々なものがある。この実施例では頭部付きのボルトである。これを図4(B)にしたがって説明する。この軸状部品は鉄製のプロジェクションボルト1であり、雄ねじが切られた軸部2と、この軸部2と同軸の状態で一体に設けられた円形のフランジ部3と、このフランジ部3に形成された溶着用突起4から構成されている。以下の説明において、プロジェクションボルトを単にボルトと表現する場合もある。
【0024】
ボルト1の各部の寸法は、軸部2の長さと直径がそれぞれ23mmと5mm、フランジ部3の直径が13mmである。
【0025】
つぎに、電極について説明する。
【0026】
電極5は、電気抵抗溶接に使用されるものであり、断面円形である。図4(B)に示すように、電極5の端面6の中央部に電極5と同軸状態で設けられた受入孔7が開口している。この受入孔7に軸部2が挿入される。受入孔7に挿入された軸部2はその先端部がストッパ部材8に受止められる。このストッパ部材8は鉄のような磁性材料で作られ、永久磁石9を収容する容器10と一体に形成された軸状の部材であり、受入孔7内に奥の方から進入している。
【0027】
電極5内に、受入孔7よりも大径の収容孔12が受入孔7に連続した状態で設けられ、ここに摺動可能な状態で容器10が収容されている。そして、容器10と収容孔12の内端面13の間に圧縮コイルスばね14が挿入してある。この圧縮コイルスばね14の張力によって、容器10の一部が受入孔7と収容孔12との境界部に設けた段部15に押し付けられている。この状態で軸部2が受入孔7に挿入されると、軸部2の端部がストッパ部材8に受け止められる。この受け止められた状態では、端面6とフランジ部3の間に隙間Lが形成されるように、ストッパ部材8の位置が設定されている。
【0028】
永久磁石9の磁力はストッパ部材8にも及んでいるので、受入孔7に挿入された軸部2はストッパ部材8に吸引されて落下したりしないようになっている。この永久磁石9は、軸部2を受入孔7の奥の方へ吸引する機能を果たしているものであり、吸引手段である。このような機能を果たす吸引手段としては、永久磁石9以外に種々なものが採用できる。例えば図示していないが、ストッパ部材8に空気吸引用の吸引孔をあけてバキューム作用で軸状部品1の落下を防止することも可能である。
【0029】
つぎに、装置構造を説明する。
【0030】
図1〜図3は、動作状態を含めて装置16の全体構造を示す断面図であるが、そこに平面図として記載された進退ユニット17は、作動状態を理解しやすくするために添え書きしたものである。
【0031】
上述のような構成により、前記電極5は可動電極18であり、その断面構造は図4(B)に示したものと同じである。可動電極18は支持部材19に固定され、この支持部材19がエアシリンダのような進退駆動手段(図示していない)に結合されている。一方、可動電極18と対をなす固定電極20が配置され、その上に鋼板部品21が載せられている。
【0032】
ガイド部材23の機能は、前記軸部2を案内して受入孔7に挿入するものである。そこで、図4(A)に示すように、軸部2を受入孔7に導く円形のテーパ孔24が形成され、このテーパ孔24はテーパ部25とそれに連なるガイド孔26から成っている。ガイド孔26の内径は、軸部2の直径よりもわずかに大きく定められている。ここでは、ガイド孔26の内径は、5.5mmである。
【0033】
前記ガイド部材23は、片側ガイド部材27と他側ガイド部材28に2分割された開閉構造とされ、片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が閉じているときには、図1や図2に示すように、完全な円形孔を構成している。そして、片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が開いているときには、両部材27、28間に図3に示すように、フランジ部3が通過できる空間が確保されるようになっている。
【0034】
図4(A)は、閉じた状態のガイド部材23にボルト1が支持され、フランジ部3の周縁がテーパ部に接触し、受入孔7に進入した軸部2の端部とストッパ部材8との間に空間11が残った状態であり、このときには永久磁石9の吸引力が軸部2に作用して、ボルト1が落下しないようになっている。このように軸部2の端部とストッパ部材8の間に空間11が形成されるように、テーパ孔24とストッパ部材8との間隔を設定してあるので、永久磁石9の吸引力はフランジ部3がテーパ面に当たることによって受け止められ、したがって、ボルト1は傾くことがなく受入孔7と同軸状態で正確に支持される。
【0035】
片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が閉じているときにボルト1が送られてくると、フランジ部3の周縁がテーパ部25に接触するようになっている。
【0036】
片側ガイド部材27と他側ガイド部材28の開閉構造としては、一つの軸部材を中心にして両部材27と28を鋏のように開閉させてもよく、また、両部材を平行に移動させて開閉するようにしてもよく、一般的に知られている色々な構造が採用できる。ここでは後者のタイプであり、これも一般的に市販され採用されている。この市販されている開閉機構は、エアシリンダ29のピストンロッドが進退すると、その動きの方向を直角に変換する機構である。この変換機構の例としては、一対のベルクランクの一端にエアシリンダ29のピストンロッドの変位を伝え、両ベルクランクの他端に現れた相反する方向の変位によって片側ガイド部材27と他側ガイド部材28を開閉させるのである。
【0037】
前記ガイド部材23は、電極5(可動電極18)の進退空間に対して進退する。装置16の機枠で構成されている静止部材30にエアシリンダ31が固定され、このエアシリンダ31のピストンロッド32の進退軸線は可動電極18の進退軸線に対して直交している。ピストンロッド32にL字型の支持部材33が結合され、この支持部材33に前記エアシリンダ29が固定されている。したがって、エアシリンダ29のピストンロッドもエアシリンダ31ピストンロッド32と同方向に進退する。したがって、ガイド部材23の進退方向は、可動電極18の進退軸線に対して直交している。
【0038】
片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が閉じた状態で電極5の進退空間に進出したときには、テーパ孔24が受入孔7と同軸となるように両者の送出位置が設定されている。そして、このような進出時には、図2や図4(A)に示すように、ガイド部材23の上面が電極5の端面6の間近に位置するようになっている。ガイド部材23の上面と端面6との間の間隔は1.5mmである。この間隔は1〜3mmの範囲内で設定するのが望ましい。この間隔が大きすぎると、図4(A)に示した軸部2の挿入長さが短くなり、挿入安定性が悪くなる。
【0039】
テーパ孔24にボルト1を到達させるために、供給通路35が設けられている。この供給通路35は、テーパ孔24の間近に開口しているガイド管36と、ガイド管36に連なっている支持管37と、支持管37に接続されパーツフィーダ(図示していない)から延びてきている供給管38によって形成されている。ガイド管36は湾曲しており、支持管37が結合部材39によって前記支持部材33に結合してある。こうすることにより、ピストンロッド32が進退すると、ガイド部材23とガイド管36は相対位置が不変のまま進退する。
【0040】
つぎに、上述の装置の動作を説明する。
【0041】
図1は、エアシリンダ31が後退位置にあるとともに、ガイド部材23が閉じている状態である。ここでエアシリンダ31が動作してガイド部材23とエアシリンダ29が一緒に進出する。
【0042】
この進出により、図2に示すように、ガイド部材23は可動電極18の直近に停止し、テーパ孔24と受入孔7が同軸状態になる。この状態でボルト1が空気搬送などで供給通路35を通ってくると、軸部2の先端部がテーパ部25に当たってガイド孔26の方へ案内される。このような軸部2の変位により軸部2の先端部が受入孔7内に挿入される。このときにはフランジ部3の周縁がテーパ部25に接触して、ボルト1とテーパ孔24が同軸状態とされている(図4(A)参照)。
【0043】
ついで、エアシリンダ29の動作によって図3に示すように、片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が開くと、テーパ部25に当たっていたフランジ部3の周縁が開放されるので、軸部2は永久磁石9によって吸引され、図4(B)に示すように、軸部2の端部がストッパ部材8に受け止められて、軸部2の挿入が完了する。片側ガイド部材27と他側ガイド部材28の開放と同時に、エアシリンダ31が動作してガイド部材23は図1に示した原位置に復帰する。
【0044】
その後、可動電極18が進出して鋼板部品21に加圧されると、圧縮コイルスばね14の張力に抗してストッパ部材8や容器10が押し込まれ、フランジ部3が端面6に密着する。この状態で溶接電流が通電され、溶着用突起4が鋼板部品21に溶着する。
【0045】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0046】
開閉式の片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が閉じているときテーパ孔24と電極の受入孔7が司軸状態となるものであるから、進入してきた軸部2はその先端部がテーパ孔24のテーパ部25に接触し案内されて受入孔7に導かれ、正確に受入孔7内に挿入される。挿入後は、片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が開いてフランジ部3の通過に要する空間が形成されるので、ボルト1は完全に受入孔7内に挿入される。その後、可動電極18は受入孔7にボルト1を保持した状態で鋼板部品21に到達し、ボルト1は鋼板部品21に加圧され、溶接電流が通電されて電気抵抗溶接が完了する。
【0047】
上記のように、可動電極18の進出空間に対して進退するガイド部材23に前記軸部2を受入孔7に導くテーパ孔24が形成され、前記ガイド部材23は片側ガイド部材27と他側ガイド部材28に2分割された開閉構造とされ、所定位置に進出した片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が閉じているときテーパ孔24と受入孔7が同軸状態となるように構成したものであるから、ボルト1をテーパ孔24に到達させるだけの構造とすることができ、構造簡素化において効果的である。つまり、従来技術のように供給ロッドを進退動作させるような構造ではないので、装置規模を小型化し簡素化することができる。そして、ガイド部材23を受入孔7の近傍に位置させることができるので、テーパ孔24で中心位置が定められた軸部2はそのまま引き続いて受入孔7に進入するので、軸部2は確実に受入孔7内へ挿入される。
【0048】
前記テーパ孔24は、軸部2が通過するガイド孔26とフランジ部3の周縁が接触するテーパ部25によって構成されている。
【0049】
前記フランジ部3の周縁がテーパ面に接触するものであるから、ボルト1は安定した状態で支持され、ガイド孔26を通過している軸部2は受入孔7と同軸状態で正確に挿入される。
【0050】
前記片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が開いたときに軸部2を受入孔7の奥の方へ引き込む吸引手段、すなわち永久磁石9が電極5内に配置してある。
【0051】
テーパ孔24にガイドされた軸部2が受入孔7内に完全に進入しきらない状態であっても、片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が開いたときに、軸部2は吸引手段である永久磁石9によって受入孔7の奥の方へ引き込まれる。したがって、受入孔7内への軸部2の進入が確実に達成される。また、軸部2が上方へ挿入される場合であっても、永久磁石9の引き込みによって、ボルト1が落下するようなことが防止できる。
【実施例2】
【0052】
図5および図6は、本発明の実施例2を示す。
【0053】
この実施例2は、前記電極5(可動電極18)が案内管40に挿入され、電極5が案内管40に対して進退可能な状態とされているものである。図5(A)の(6A)−(6A)断面が図6(A)に示されている。前記案内管40は、四角い断面形状でありその中に進退摺動が可能な状態で電極5が挿入されている。L字型のブラケット41が静止部材30に固定され、このブラケット41に案内管40が固定されている。一方、ブラケット41にエアシリンダ42が結合され、そのピストンロッド43が電極5の端部に結合してある。
【0054】
電極5の内部構造は、実施例1に示したものと同じであり、図5(D)に図示したとおりである。なお、案内管40の上端に断面円形の保護管44が接続され、四角い断面の案内管40の先端部分が保護管44によってスリムな形状とされて、周辺部材との干渉を避けるようになっている。
【0055】
まず、ガイド部材の配置構造を説明する。
【0056】
ガイド部材23を構成する片側ガイド部材27と他側ガイド部材28は、案内管40の外側から進退するように構成されている。そのために、案内管40の左右から進退孔46、47(図5(C)、図6(B)参照)があけられ、そこに片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が進退可能な状態で差し込んである。両部材27、28は、エアシリンダ48、49によって進退するようになっている。これらのエアシリンダ48、49はL字型のブラケット50、51を介して案内管40に固定されている。また、ガイド部材23は案内管40の全長の中間部に配置してある。ここでは案内管40の全長のほぼ中央部である。
【0057】
ガイド部材が案内管40のほぼ中央部に配置してあるので、ボルト1はガイド部材23の上側に送給される。そのために斜め向きの供給孔52が案内管40にあけられ、ここに実施例1と同様のガイド管36が接続してある。供給孔52に換えて保護管44の上端開口部からボルト1を供給してもよい。
【0058】
それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の実施例1と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0059】
つぎに、上述の装置の動作を説明する。
【0060】
図5(A)は、送給されてきたボルト1が実施例1と同様にして受入孔7に挿入された状態である。図5(B)は、片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が開いてボルト1が受入孔7内に完全に入りきった状態である。また、図5(C)は、ボルト1を保持した電極5が上昇し、溶着用突起4の上に鋼板部品21が載置された状態である。
【0061】
各部材の動作順序やボルト1の挙動は、実施例1の動作から容易に理解できるので、詳細な説明は省略してある。
【0062】
以上に説明した実施例2の作用効果は、つぎのとおりである。
【0063】
前記電極5が案内管40に挿入され、電極5が案内管40に対して進退可能な状態とされている。
【0064】
ボルト1は、その先端部が案内管40にガイドされながらテーパ部25に達するので、確実に受入孔7に挿入することができる。高速でボルト1が搬送されてきても、案内管40でガイドされるので、ボルト1はテーパ部25以外の箇所へ外れて移動することがない。そして、案内管40を静止部材30に固定し、電極5を進退動作させるものであるから、固定状態が安定した案内管40で電極5を確実に保持することができる。
【0065】
前記片側ガイド部材27と他側ガイド部材28は、案内管40の外側から進退するように構成されている。
【0066】
前記案内管40の外側から片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が進退するので、案内管40内の電極進退空間に片側ガイド部材27と他側ガイド部材28が進入して確実にテーパ孔24を形成することができる。そして、両ガイド部材27、28が電極進退空間から退避することによって、電極5の進出空間が確実に形成される。
【0067】
それ以外の作用効果は、先の実施例1と同じである。
【実施例3】
【0068】
図7は、本発明の実施例3を示す。
【0069】
この実施例3は、電極5が静止し、案内管40が進退するものである。したがって、ここでは電極5が固定電極20となる。そのために、電極5は基部材53に結合され、この基部材53が静止部材30に固定されている。そして、案内管40が上下に進退するものであり、案内管40の下端部がブラケット54を介してエアシリンダ55のピストンロッド56に結合されている。エアシリンダ55は、基部材53に固定されている。
【0070】
それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の各実施例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0071】
以上に説明した実施例3の作用効果は、つぎのとおりである。
【0072】
前記電極5が案内管40に挿入され、案内管40が電極5に対して進退可能な状態とされている。
【0073】
ボルト1は、その先端部が案内管40にガイドされながらテーパ部25に達するので、確実に受入孔7に挿入することができる。高速でボルト1が搬送されてきても、案内管40でガイドされるので、ボルト1はテーパ部25以外の箇所へ外れて移動することがない。そして、電極5を静止部材30に固定し、案内管40を進退動作させるものであるから、固定状態が安定した電極5で案内管40を確実に保持することができる。
【0074】
上述の各実施例における動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行わせることが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
【0075】
なお、上述の各実施例における各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記永久磁石を電磁石に置き換えることも可能である。
【0076】
また、上述の各実施例では、電極5が上下方向に進退するものであるが、これを水平方向や傾斜方向に進退させるように、配置形態を変えることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
上述のように、本発明の装置は、簡素化された構造で電極の受入孔に軸状部品を正確に挿入することができる。したがって、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
【符号の説明】
【0078】
1 磁気吸引部材、プロジェクションボルト
2 軸部
3 フランジ部
4 溶着用突起
5 電極
7 受入孔
9 永久磁石
16 装置
17 進退ユニット
18 可動電極
23 ガイド部材
24 テーパ孔
25 テーパ部
26 ガイド孔
27 片側ガイド部材
28 他側ガイド部材
30 静止部材
35 供給通路
40 案内管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状部品は、軸部とこの軸部と同軸の状態で一体に設けられた円形のフランジ部とこのフランジ部に形成された溶着用突起から構成されたものであり、進退動作をする電極の端面に受入孔が開口しており、この受入孔に軸状部品の軸部が挿入されるものであって、電極の進退空間に対して進退するガイド部材に前記軸部を受入孔に導くテーパ孔が形成され、前記ガイド部材は片側ガイド部材と他側ガイド部材に2分割された開閉構造とされ、所定位置に進出した片側ガイド部材と他側ガイド部材が閉じているときテーパ孔と受入孔が同軸状態となるように構成したことを特徴とする電極受入孔への部品供給装置。
【請求項2】
前記テーパ孔は、軸部が通過するガイド孔とフランジ部の周縁が接触するテーパ部によって構成されている請求項1記載の電極受入孔への部品供給装置。
【請求項3】
前記電極が案内管に挿入され、電極が案内管に対して進退可能な状態とされている請求項1または請求項2記載の電極受入孔への部品供給装置。
【請求項4】
前記電極が案内管に挿入され、案内管が電極に対して進退可能な状態とされている請求項1または請求項2記載の電極受入孔への部品供給装置。
【請求項5】
前記片側ガイド部材と他側ガイド部材は、案内管の外側から進退するように構成されている請求項3または請求項4記載の電極受入孔への部品供給装置。
【請求項6】
前記片側ガイド部材と他側ガイド部材が開いたときに軸部を受入孔の奥の方へ引き込む吸引手段が電極内に配置してある請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電極受入孔への部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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