説明

電極装置およびそれを搭載する半導体装置のパッケージ組立装置

【課題】被溶接物の組み立て精度を高くすることができ、かつ、被溶接物の歪みを防止できて、メンテナンス性が良好な電極装置およびそれを搭載する半導体装置のパッケージ組立装置を提供する。
【解決手段】電極装置は、第1電極1と、この第1電極1の先端面に着脱可能に取り付けられた環状の第2電極2とを備えている。第1電極1の先端面には穴1aが設けられている。この穴1aにはキャップ4の胴部4aを収容する。穴1aの径はキャップ4の胴部4aの外径と略同じになっている。一方、第2電極2の内周縁の径は、第1電極1の穴1aの径より大きくなっている。つまり、第2電極2の内周縁は第1電極1の穴1aの周縁よりも径方向外側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置のキャンパッケージの抵抗溶接等で使用される電極装置およびそれを搭載する半導体装置のパッケージ組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体レーザ装置のパッケージの組み立てにおいては、図10に示すように、上部電極101の先端面の円筒形状の穴101aにキャップ201の胴部201aを収容した後、図示しないが、下部電極上に載置したステムにキャップ201のフランジ部201bを押し付ける。そして、上記上部電極101と下部電極との間に通電することにより、キャップ201のフランジ部201bと、ステムにおいてフランジ部201bと接触する部分とが加熱され、溶接される。
【0003】
上記パッケージの組み立ては、上部電極101の穴101aの径とキャップ201の胴部201aの外径との差が小さくすると、精度が高くなるが、キャップ溶接部近傍の屈曲部(R部)201cと上部電極101との接触度合いが大きくなってしまう。
【0004】
その結果、上記キャップ201が歪んでしまう。このキャップ201の歪みは、キャップ201の図中上側の部分に取り付けたキャップガラス301の脱落の要因となる。
【0005】
また、上記屈曲部201cと上部電極101との接触度合いが大きくなると、上部電極101の先端面がキャップ溶接部に対して均一に接触しないため、シール品質に悪影響を及ぼす。
【0006】
このような問題を防ぐため、実開平2−148789号公報(特許文献1)では、上部電極の穴の先端側の部分(開口部)の径を大きくすると共に、上部電極の穴の底側(先端側とは反対側)の部分の径を小さくしている。これにより、上記上部電極の穴の底側の部分によって、パッケージの組み立ての精度を高くすると共に、上部電極の穴の先端側の部分によって、キャップ溶接部近傍の屈曲部と上部電極との接触度合いが大きくならないようにしている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、上部電極においてキャップと接触する部分が経時変形するため、研磨や再加工を上部電極に適宜行う必要があるが、上部電極の研磨や再加工は困難である。すなわち、上記上部電極はメンテナンス性が悪いという問題がある。
【特許文献1】実開平2−148789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、被溶接物の組み立て精度を高くすることができ、かつ、被溶接物の歪みを防止できて、メンテナンス性が良好な電極装置およびそれを搭載する半導体装置のパッケージ組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の電極装置は、
被溶接物の一部が入る穴を先端面に有する第1電極と、
上記第1電極の先端面に着脱可能に取り付けられ、内周縁が上記第1電極の上記穴の周縁よりも外方に位置する環状の第2電極と
を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成の電極装置によれば、上記第1電極の穴の周縁と被溶接物との間の隙間を小さくした場合、被溶接物の位置は第1電極の穴内において大きくずれない。この場合、上記第2電極の内周縁は第1電極の穴の周縁よりも外方に位置するので、第2電極が被溶接物の溶接の必要の無い部分(被溶接物が例えばキャップとするなら屈曲部)に接触しない。
【0011】
したがって、上記被溶接物の組み立て精度を高くすることができ、かつ、被溶接物の歪みを防止できる。
【0012】
また、上記第2電極は第1電極の先端面に着脱可能に取り付けられているので、第1電極の先端面から第2電極を取り外せば、第2電極のメンテナンスは容易である。つまり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0013】
一実施形態の電極装置では、
上記第1電極の上記穴は略円柱形状であり、
上記第2電極の内周縁は略円形状であり、径が上記第1電極の上記穴の径よりも大きい。
【0014】
上記実施形態の電極装置によれば、上記第2電極の内周縁は略円形状であり、第2電極の内周縁の径が第1電極の穴の径よりも大きいので、円筒形状の部分を有する例えばキャップの溶接に好適である。
【0015】
一実施形態の電極装置では、
上記第1,第2電極を保持するホルダを備えている。
【0016】
上記実施形態の電極装置によれば、上記ホルダが第1,第2電極を保持するので、第1電極と第2電極との位置関係を適切に保つことができる。
【0017】
一実施形態の電極装置では、
上記第1電極および第2電極の外周面は円周面であり、
上記ホルダは、上記第1電極および第2電極の外径と略同じ径の内周面を有する。
【0018】
上記実施形態の電極装置によれば、上記ホルダは第1,第2電極の外径と略同じ径の内周面を有するので、ホルダに対して第1,第2電極を高精度に位置決めすることができる。
【0019】
一実施形態の電極装置では、
上記第1電極の先端面には、位置決め用軸の一部が嵌合する第1位置決め用穴が設けられ、
上記第2電極の上記第1電極側の端面には、上記位置決め用の軸の他の一部が嵌合する第2位置決め用穴が設けられている。
【0020】
上記実施形態の電極装置によれば、上記第1電極の先端面には、位置決め用軸の一端部が嵌合する位置決め用穴が設けられる一方、第2電極の第1電極側の端面には、位置決め用の軸の他の一部が嵌合する位置決め用穴が設けられているので、第1位置決め用穴を位置決め用軸の一部を嵌合させ、かつ、第2位置決め用穴に位置決め用の軸の他の一部を嵌合させることにより、第1電極に対して第2電極を高精度に位置決めすることができる。
【0021】
一実施形態の電極装置では、
上記第1電極の先端面には、位置決め用軸の一部が嵌合する第1位置決め用穴が設けられ、
上記第2電極の上記第1電極側の端面には、上記位置決め用の軸の他の一部が嵌合する第2位置決め用穴が設けられている。
【0022】
上記実施形態の電極装置によれば、上記第1電極の先端面には第1位置決め用穴を設け、かつ、第2電極の第1電極側の端面には第2位置決め用穴を設けているので、第1位置決め用穴に位置決め用軸の一部を嵌合させ、かつ、第2位置決め用穴に位置決め用の軸の他の一部を嵌合させることにより、第1電極に対して第2電極を高精度に位置決めすることができる。
【0023】
一実施形態の電極装置では、
上記第1電極の先端面には位置決め用凹部が設けられ、
上記第2電極の上記第1電極側の端面には、上記位置決め用凹部に嵌合する位置決め用凸部が設けられている。
【0024】
上記実施形態の電極装置によれば、上記第2電極の第1電極側の端面には、第1電極の位置決め用凹部に嵌合する位置決め用凸部を設けているので、第1電極の位置決め用凹部に第2電極の位置決め用凸部を嵌合させることにより、第1電極に対して第2電極を高精度に位置決めすることができる。
【0025】
一実施形態の電極装置では、
上記第1電極の先端面と、上記第2電極の上記第1電極側の端面との少なくとも一方には、高導電性の材料がコーティングされている。
【0026】
上記実施形態の電極装置によれば、上記第1電極の先端面と、第2電極の第1電極側の端面との少なくとも一方には、高導電性の材料がコーティングされているので、第1電極と第2電極との接触電気抵抗を低減でき、溶接時の電流損失を少なくすることができる。
【0027】
一実施形態の電極装置では、
上記第1電極の先端面には凹凸形状が設けられ、
上記第2電極の上記第1電極側の端面には、上記凹凸形状の凹部に嵌合する凸部と、上記凹凸形状の凸部が嵌合する凹部とからなる凹凸形状が設けられている。
【0028】
上記実施形態の電極装置によれば、上記第2電極の第1電極側の端面には、凹凸形状の凹部に嵌合する凸部と、凹凸形状の凸部が嵌合する凹部とからなる凹凸形状が設けられているので、第1電極と第2電極との接触面積を大きくすることができる。
【0029】
したがって、上記第1電極と第2電極との接触電気抵抗を低減でき、溶接時の電流損失を少なくすることができる。
【0030】
一実施形態の電極装置では、
上記第2電極において上記第1電極側とは反対側の端面の内周縁近傍には凸部が設けられている。
【0031】
上記実施形態の電極装置によれば、上記被溶接物が例えばフランジ付のキャップである場合、第2電極において第1電極側とは反対側の端面の内周縁近傍には凸部が設けられているので、その凸部でキャップのフランジ部の内周縁部を押圧する。
【0032】
したがって、上記フランジ部の外周縁部が溶融して一部が飛散しても、その一部がキャップ内に入るのを防ぐことができる。
【0033】
このような効果は、キャップ内に半導体レーザ素子を配置している場合において極めて有益な効果である。
【0034】
本発明の半導体装置のパッケージ組立装置は、本発明の電極装置を搭載することを特徴としている。
【0035】
上記構成の半導体装置のパッケージ組立装置によれば、上記電極装置を搭載するので、被溶接物の組み立て精度を高くすることができ、かつ、被溶接物の歪みを防止でき、その上、メンテナンス性が良好である。
【発明の効果】
【0036】
本発明の電極装置によれば、第1電極の穴の周縁と被溶接物との間の隙間を小さくして、被溶接物の位置は第1電極の穴内において大きくずれるのを防いでも、第1電極の先端面に取り付けた第2電極の内周縁は第1電極の穴の周縁よりも外方に位置するので、第2電極が被溶接物の溶接の必要の無い部分に接触しない。
【0037】
したがって、上記被溶接物の組み立て精度を高くすることができ、かつ、被溶接物の歪みを防止できる。
【0038】
また、上記第2電極は第1電極の先端面に着脱可能に取り付けられているので、第1電極の先端面から第2電極を取り外せば、第2電極のメンテナンスは容易である。つまり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0039】
本発明の半導体装置のパッケージ組立装置によれば、上記電極装置を搭載するので、被溶接物の組み立て精度を高くすることができ、かつ、被溶接物の歪みを防止でき、その上、メンテナンス性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の電極装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0041】
図1は本発明の一実施の形態の電極装置の要部の模式断面図である。上記電極装置は、半導体レーザ装置のパッケージ組立装置に搭載されているものとする。そのパッケージ組立装置はシール装置を含んでいる。なお、上記半導体レーザ装置は半導体装置の一例である。
【0042】
上記電極装置は、略円柱形状の第1電極1と、この第1電極1の先端面に着脱可能に取り付けられた環状の第2電極2と、第1,第2電極1,2を保持するホルダ3とを備えている。
【0043】
上記第1電極1の先端面には略円柱形状の穴1aが設けられている。この穴1aは、略円筒形状のキャップ4の胴部4aを収容する。また、上記穴1aの径はキャップ4の胴部4aの外径と略同じなっている。つまり、上記穴1aの周面とキャップ4の胴部4aの外周面との間の隙間が極めて小さくなっている。なお、上記キャップ4は被溶接物の一例である。
【0044】
上記第2電極2の内外周縁は共に略円形状である。この第2電極2は、円板形状の部材に円柱形状の貫通孔を設けることにより得られる。また、上記第2電極2の内周縁の径は、第1電極1の穴1aの径より大きくなっている。そして、上記第2電極2の内周縁は、第1電極1の穴1aの周縁つまり開口縁よりも径方向外側に位置している。一方、上記第2電極2の外周縁の径は第1電極1の外周面の径と略一致している。
【0045】
上記キャップ4は、胴部4aと、この胴部4aの一端部に連なる底部4bと、この胴部4aの他端部に屈曲部4dを介して連なるフランジ部4cとを有している。このキャップ4内には図示しない半導体レーザ素子が設置される。このため、上記キャップ4の底部4bには、半導体レーザ素子のレーザ光を取り出すための開口が設けられている。そして、上記開口にはキャップガラス5を取り付けている。
【0046】
上記ホルダ3は第1,第2電極1,2を収容する円筒形状の収容部3aを有する。この収容部3aの内周面の径は、第1電極1の外周面の外径と略同じであり、かつ、第2電極2の外周面の外径とも略同じである。また、上記収容部3aの先端部の全周にわたって、径方向内側に向かって張り出した張り出し部3bを設けている。この張り出し部3bが第2電極2の外周縁部に当接している。
【0047】
上記構成の電極装置によれば、第1,第2電極1,2と下部電極6との間にキャップ4およびステム7を挟み、キャップ4のフランジ部4cをステム7に押し付ける。そして、上記第2電極2と下部電極6との間に通電を行う。これにより、上記フランジ部4cおよびステム7において加圧されている部分が加熱され、溶接される。
【0048】
このように、上記キャップ4をステム7に溶接するが、第1電極1の穴1aの径はキャップ4の胴部4aの外径と略同じなっているので、第1電極1の穴1aとキャップ4の胴部4aとの偏心量が小さく、キャップ4の組み立て精度を高くすることができる。
【0049】
また、上記第2電極2の内周縁の径は第1電極1の穴1aの径より大きくて、第2電極2の内周縁が第1電極1の穴1aの開口縁よりも径方向外側に位置しているので、第2電極2はキャップ4の屈曲部4dに接触しない。その結果、上記第2電極2がキャップ4の屈曲部4dに接触することに伴う歪みがキャップ4に生じず、キャップガラス5の脱落を防ぐことができる。
【0050】
また、上記第2電極2は第1電極1の先端面に着脱可能に取り付けられているので、第2電極2に経時変形が生じても、第1電極1の先端面から第2電極2を取り外せば、第2電極2の研磨や再加工は容易である。したがって、上記第2電極2のメンテナンス性は良好である。
【0051】
また、上記ホルダ3が第1,第2電極1,2を保持するので、第1電極1と第2電極2との位置関係を適切に保つことができる。したがって、上記第1電極1に対する第2電極2の位置がずれて、第2電極2がキャップ4の屈曲部4dに接触するのを防ぐことができる。
【0052】
また、上記ホルダ3の内周面の径は第1,第2電極1,2の外径と略同じであるので、ホルダ3に対して第1,第2電極1,2を高精度に位置決めすることができる。
【0053】
上記実施の形態では、第1電極1の先端面に、略円柱形状の穴1aが設けていたが、略角柱形状の穴を設けてもよい。つまり、上記第1電極1の先端面は、被溶接物の形状に応じた形状の穴を設ければよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、電極装置は、第1,第2電極1,2を備えていたが、この第1,第2電極1,2の代わりに、図2に示す第1,第2電極21,22を備えてもよい。
【0055】
上記第1電極21の先端面には、位置決め用軸8の一部が嵌合する第1位置決め用穴21bが設けられている。この第1電極21は、第1位置決め用穴21bが設けられている点以外は、図1の第1電極1と同じ構成である。例えば、上記第1電極21の先端面にも、図1の第1電極1の穴1aと同じ構成の穴21aを設けている。
【0056】
上記第2電極22の第1電極21側の端面には、位置決め用軸8の他の一部が嵌合する第2位置決め用穴22aが設けられている。この第2電極22は、第2位置決め用穴22aが設けられている点以外は、図1の第2電極2と同じ構成である。
【0057】
上記第1,第2電極21,22によれば、第1位置決め用穴21bに位置決め用軸8の一部を嵌合させ、かつ、第2位置決め用穴22aに位置決め用軸8の他の一部を嵌合させることにより、第1電極21に対して第2電極22を高精度に位置決めすることができる。
【0058】
また、上記電極装置は、第1,第2電極1,2の代わりに、図3に示す第1,第2電極31,32を備えてもよい。
【0059】
上記第1電極31の先端面には位置決め用凹部31bが設けられている。この第1電極31は、位置決め用凹部31bが設けられている点以外は、図1の第1電極1と同じ構成である。例えば、上記第1電極31の先端面にも、図1の第1電極1の穴1aと同じ構成の穴31aを設けている。
【0060】
上記第2電極32の第1電極31側の端面には、位置決め用凹部31bに嵌合する断面略矩形状の位置決め用凸部32aが設けられている。この第2電極32は、位置決め用凸部32aが設けられている点以外は、図1の第2電極2と同じ構成である。
【0061】
上記第1,第2電極31,32によれば、第1電極31の位置決め用凹部31bに第2電極32の位置決め用凸部32aを嵌合させることにより、第1電極31に対して第2電極32を高精度に位置決めすることができる。
【0062】
図3では、位置決め用凹部31bを有する第1電極31と、位置決め用凸部32aを有する第2電極32とを用いていたが、位置決め用凸部32aと同じ凸部を有する第1電極と、位置決め用凹部31bと同じ凹部を有する第2電極とを用いてもよい。
【0063】
また、上記第1電極1の先端面には、図4に示すように、高導電性の材料40をコーティングしもよい。このようなコーティングを行った場合、第1電極1と第2電極2との接触電気抵抗を低減でき、溶接時の電流損失を少なくすることができる。
【0064】
図4においては、第1電極1の先端面に材料40をコーティングしていたが、第1電極1の先端面と、第2電極2の第1電極1側の端面との少なくとも一方に材料40をコーティングしてもよい。
【0065】
また、上記電極装置は、第1,第2電極1,2の代わりに、図5に示す第1,第2電極51,52を備えてもよい。
【0066】
上記第1電極51の先端面には凹凸形状51bが設けられている。この凹凸形状51bの凹部,凸部は、それぞれ、断面略三角形状となっている。この第1電極51は、凹凸形状51bが設けられている点以外は、図1の第1電極1と同じ構成である。例えば、上記第1電極51の先端面にも、図1の第1電極1の穴1aと同じ構成の穴51aを設けている。
【0067】
また、上記第2電極52の第1電極51側の端面にも凹凸形状52aが設けられているこの凹凸形状52aは、凹凸形状51bの凹部に嵌合する断面略三角形状の凸部と、凹凸形状51bの凸部が嵌合する断面略三角形状の凹部とからなっている。この第2電極52は、凹凸形状が設けられている点以外は、図1の第2電極2と同じ構成である。
【0068】
上記第1,第2電極51,52によれば、第1電極51の凹凸形状51bの凹部に第2電極52の凹凸形状52aの凸部を嵌合させ、かつ、第2電極52の凹凸形状52aの凹部に第1電極51の凹凸形状51bの凸部を嵌合させることにより、第1電極51と第2電極52との接触面積を大きくすることができる。
【0069】
したがって、上記第1電極51と第2電極52との接触電気抵抗を低減でき、溶接時の電流損失を少なくすることができる。
【0070】
また、図6に示すように、上記第2電極2において第1電極1側とは反対側の端面に、凸部9を設けてもよい。この凸部9は、第2電極2の内周縁の全周に沿って設けられている。
【0071】
上記凸部9は、第2電極2において第1電極1側とは反対側の端面の内周縁近傍に位置している。また、上記凸部9は溶接用プロジェクション10とに重ならないように設けられている。
【0072】
上記溶接用プロジェクション10は、キャップ4のフランジ部4cにおけるステム7側の端面に設けられている。
【0073】
上記第2電極2が凸部9を有する場合、凸部9は、溶接時、第2電極2と共に下降して、図7に示すように、フランジ部4cの屈曲部近傍に当接する。つまり、上記凸部9はキャップ4の屈曲部4dに当接しない。そして、上記凸部9は、図8に示すように、フランジ部4cの内周縁部を屈曲させてステム7に食い込ませる。この状態で、図9に示すように、上記第2電極2と下部電極6(図1参照)との間に通電を行って、フランジ部4cの外周縁部が溶融して一部が飛散しても、フランジ部4cの内周縁部がステムに食い込んでいるので、その一部がキャップ4内に入るのを防ぐことができる。
【0074】
したがって、上記キャップ4内の半導体レーザ素子がその飛散した一部で汚染されず、半導体レーザ装置の信頼性が低下するのを防ぐことができる。
【0075】
また、上述した構成を適宜組み合わせたものを本発明の一実施形態の電極装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は本発明の一実施の形態の電極装置の模式端面図である。
【図2】図2は本発明の一変形例の電極装置の模式端面図である。
【図3】図3は本発明の一変形例の電極装置の模式端面図である。
【図4】図4は本発明の一変形例の電極装置の模式端面図である。
【図5】図5は本発明の一変形例の電極装置の模式端面図である。
【図6】図6は本発明の一変形例の電極装置の模式端面図である。
【図7】図7は図6の電極装置による溶接工程を説明するための模式図である。
【図8】図8は図6の電極装置による溶接工程を説明するための模式図である。
【図9】図9は図6の電極装置による溶接工程を説明するための模式図である。
【図10】図10は従来の電極装置の模式端面図である。
【符号の説明】
【0077】
1,21,31,51 第1電極
2,22,32,52 第2電極
8 位置決め用軸
9 凸部
10 溶接用プロジェクション
21b 第1位置決め用穴
22a 第2位置決め用穴
31b 位置決め用凹部
32a 位置決め用凸部
40 高導電性の材料
51b,52a 凹凸形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被溶接物の一部が入る穴を先端面に有する第1電極と、
上記第1電極の先端面に着脱可能に取り付けられ、内周縁が上記第1電極の上記穴の周縁よりも外方に位置する環状の第2電極と
を備えたことを特徴とする電極装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電極装置において、
上記第1電極の上記穴は略円柱形状であり、
上記第2電極の内周縁は略円形状であり、径が上記第1電極の上記穴の径よりも大きいことを特徴とする電極装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電極装置において、
上記第1,第2電極を保持するホルダを備えていることを特徴とする電極装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電極装置において、
上記第1電極および第2電極の外周面は円周面であり、
上記ホルダは、上記第1電極および第2電極の外径と略同じ径の内周面を有することを特徴とする電極装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の電極装置において、
上記第1電極の先端面には、位置決め用軸の一部が嵌合する第1位置決め用穴が設けられ、
上記第2電極の上記第1電極側の端面には、上記位置決め用の軸の他の一部が嵌合する第2位置決め用穴が設けられていることを特徴とする電極装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の電極装置において、
上記第1電極の先端面には位置決め用凹部が設けられ、
上記第2電極の上記第1電極側の端面には、上記位置決め用凹部に嵌合する位置決め用凸部が設けられていることを特徴とする電極装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の電極装置において、
上記第1電極の先端面と、上記第2電極の上記第1電極側の端面との少なくとも一方には、高導電性の材料がコーティングされていることを特徴とする電極装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の電極装置において、
上記第1電極の先端面には凹凸形状が設けられ、
上記第2電極の上記第1電極側の端面には、上記凹凸形状の凹部に嵌合する凸部と、上記凹凸形状の凸部が嵌合する凹部とからなる凹凸形状が設けられていることを特徴とする電極装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の電極装置において、
上記第2電極において上記第1電極側とは反対側の端面の内周縁近傍には凸部が設けられていることを特徴とする電極装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の電極装置を搭載することを特徴とする半導体装置のパッケージ組立装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−190057(P2009−190057A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33084(P2008−33084)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)