電気かみそり
【課題】ヘッドユニットの首振りのための浮動支持構造の小型化を図る。
【解決手段】この浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下部と本体部1の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム45と、左右水平方向に配されて各アーム45の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与えるコイルばね46とを含む。アーム45の上端は、ヘッドユニット2の下部に設けられた軸47に揺動可能に枢支連結されており、アーム45の下端は、本体部1の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔49に沿って、スライド移動可能に案内支持されている。常態においては、コイルばね46の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存している。ヘッドユニット2が肌面に押し当てられたとき、コイルばね46の移動付勢力に抗しながら各アーム45の下端が軸47まわりにスライド孔49に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット2が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できる。
【解決手段】この浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下部と本体部1の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム45と、左右水平方向に配されて各アーム45の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与えるコイルばね46とを含む。アーム45の上端は、ヘッドユニット2の下部に設けられた軸47に揺動可能に枢支連結されており、アーム45の下端は、本体部1の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔49に沿って、スライド移動可能に案内支持されている。常態においては、コイルばね46の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存している。ヘッドユニット2が肌面に押し当てられたとき、コイルばね46の移動付勢力に抗しながら各アーム45の下端が軸47まわりにスライド孔49に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット2が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターおよび可動内刃を含むヘッドユニットが本体部に対して傾動可能に浮動支持してある電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気かみそりは、例えば特許文献1に公知である。そこでは、ヘッドユニットの下部に左右一対の逆門形のフロート枠を連結し、各フロート枠を本体部に設けた上下方向のガイド溝で案内し、各フロート枠を上下方向に向かって配置された前後一対の圧縮コイルばねで押し上げ付勢することにより、ヘッドユニットを傾動可能に浮動支持している。
【0003】
本出願人の出願に係る特許文献2、3では、筒枠状のモーターホルダーの左右側面に前後一対ずつの脚片(可動係合片)を下向きに突設してあり、これら4個の脚片を、シール枠の内底壁に設けた前後一対ずつの受爪(固定係合片)で抜け外れ不能に受け止めている。前後の受爪の間にはばね座が設けてあり、ばね座とモーターホルダーとの間に、ヘッドユニット全体を支持する圧縮コイルばねを左右に配置している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−210872号公報(段落番号0016、図6)
【特許文献2】特開2002−325984号公報(段落番号0038、図10)
【特許文献3】特開2003−117268号公報(段落番号0028、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1ないし3の揺動支持構造の問題は、構造全体が大掛かりで、その設置に要するスペースが大きなものとなることが避けられず、結果として電気かみそりのコンパクト化を図ることが困難なことにある。つまり上記の浮動支持構造は、フロート枠と圧縮コイルばねの長さ寸法の和(特許文献1)、あるいは脚片と圧縮コイルばねの長さ寸法の和(特許文献2、3)などのように嵩高なものであるため、電気かみそり全体に占める浮動支持機構の占めるスペースが大きくなることが避けられず、電気かみそりのコンパクト化を図るうえで大きな障害となっていた。
【0006】
本発明の目的は、ヘッドユニットの首振りのための浮動支持構造の小型化を図り、以て首振り機能を備えた電気かみそりのコンパクト化に貢献することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、図2に示すごとく、モーター11および可動内刃16を含む左右横長のヘッドユニット2が、本体部1とヘッドユニット2との間に設けた浮動支持構造Fで、少なくとも左右および上下方向へ傾動可能に浮動支持されている電気かみそりを対象とする。図1、図11、図12に示すごとく、前記浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下部と本体部1の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム45と、左右水平方向に配されて各アーム45の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与えるコイルばね46とを含む。アーム45の上端は、ヘッドユニット2の下部に設けられた軸47に揺動可能に枢支連結されており、アーム45の下端は、本体部1の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔49に沿って、スライド移動可能に案内支持されている。そして、常態においては、コイルばね46の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存しており、ヘッドユニット2が肌面に押し当てられたとき、コイルばね46の移動付勢力に抗しながら各アーム45の下端が軸47まわりにスライド孔49に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット2が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できるようにしてあることを特徴とする。
【0008】
図1および図11には、各アーム45の下部を繋ぐように、左右方向にコイルばね46が配された形態を示しており、図12には、各アーム45の左右外側にコイルばね46が配された形態を示している。いずれのコイルばね46もアーム45に対して左右内向きの付勢力を発揮しており、本発明の浮動支持構造Fは両形態を含む。換言すれば、コイルばね46は、左右の水平方向に配されていて、アーム45の下端部に対して左右内向きの付勢力を与えるものであれば良く、その配置位置や長さ寸法は問わない。
【0009】
また本発明は図2に示すごとく、モーター11および可動内刃16を含む左右横長のヘッドユニット2が、本体部1とヘッドユニット2との間に設けた浮動支持構造Fで、少なくとも左右および上下方向へ傾動可能に浮動支持されている電気かみそりを対象とする。図13、図14、図15および図16に示すごとく、前記浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下部と本体部1の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム45と、前後水平方向に配されて各アーム45の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与える左右一対の板ばね80あるいは棒状ばね90とを含み、アーム45の上端は、ヘッドユニット2の下部に設けられた軸47に揺動可能に枢支連結されており、アーム45の下端は、本体部1の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔49に沿って、スライド移動可能に案内支持されている。そして、常態においては、板ばね80あるいは棒状ばね90の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存しており、ヘッドユニット2が肌面に押し当てられたとき、板ばね80あるいは棒状ばね90の移動付勢力に抗しながら各アーム45の下端が軸47まわりにスライド孔49に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット2が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できるようにしてあることを特徴とする。なお、図13および図14には、板ばね80を付勢要素とする形式を、図15および図16には棒状ばね90を付勢要素する形式を示す。
【0010】
本発明における浮動支持構造Fは、図1ないし図6に示すように、左右一対、前後二組の計四個のアーム45を備えるものとすることができる。図11および図13に示すように、四角枠状の左右一対のアーム45を備えるものとしてもよい。かかる四角枠状のアーム45を左右に二つずつ、計4個備えるものとしてもよい。すなわち、本発明におけるアーム45は、図1ないし図6に示すような板状のほか、図11および図13に示すような四角枠状の形態を含む概念である。さらに言うとアーム45は、図11の下方の水平リンク74と縦リンク71・72で構成されるような、コ字状であってもよい。
【0011】
また、図11および図13に示すアーム45の形態においては、前後に走る上方の水平リンク73を揺動支点として、該アーム45は揺動自在なものとなる。したがって、本発明における「ヘッドユニット2の下部に設けられた軸47」とは、図11および図13のようなヘッドユニット2に装着された水平リンク73を軸47として、アーム45が揺動可能な構成を含む概念である。
【0012】
図1、図11、図12および図13に示すように、左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着された形態を採ることが好ましい。
【0013】
図1、図11および図13に示すように、ヘッドユニット2の下端の前後には、左右方向に所定間隔を置いて一対の軸47が設けられており、これら軸47にアーム45の上端部が揺動自在に枢支連結されており、左右のアーム45が下拡がりの「ハ」字状の姿勢形態で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着された形態を採ることが好ましい。
【0014】
少なくとも軸47とアーム45とはフレキシブルに連結されていることが好ましい。具体的には、図6に示すように、アーム45の軸受孔52を、前後方向の内径寸法が中央部に行くに従って漸次小さくなる異形テーパー孔とした形態を採ることができる。そこでは、軸受孔52の中央部53の内径寸法を軸47の外径寸法と一致させている。これによれば、軸47は軸受孔52の中央部53で外嵌保持された状態で、軸受孔52内で傾動自在となる。したがって、アーム45と軸47とはフレキシブルに連結されたものとなる。
【0015】
図1および図11に示すように、左右のアーム45を連結するように、コイルばね46が装着されており、このコイルばね46の中央部が、本体部1に固定された形態を採ることができる。具体的には、図3に示すように、本体部1の上部に左右一対の壁57を備える係止座58を設けて、これら壁57の間にコイルばね46を挟持保持する形態を採ることができる。
【0016】
本発明においては、図9に示すごとく、ヘッドユニット2の本体部1に対する傾斜角度を検出するセンシング手段61と、該センシング手段61によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度に応じて、モーター11の回転速度を制御する回転制御手段62とを備えるものとすることができる。
【0017】
図2に示すごとく、本体部1に、センシング手段61によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度を表示する表示パネル10を設けることができる。
【0018】
図10に示すごとく、表示パネル10の一部又は全部が透明材で形成されていて、表示パネル10に表示された傾斜角度表示を表裏から視認できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電気かみそりの浮動支持構造Fは、左右の水平方向に配されたコイルばね46(請求項1:図1、図11、図12等参照)、あるいは前後の水平方向に配された板ばね80(請求項2:図13参照)、あるいは前後の水平方向に配された棒状ばね90(請求項2:図15参照)をアーム45に対する付勢要素とする。したがって、従来の特許文献1ないし3に示す浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくすることが容易である。したがって、電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースを可及的に小さくできるので、首振り機構を備える電気かみそりのコンパクト化を図ることができる。
【0020】
左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されていると、アーム45をスムーズに揺動させることができる。つまり、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。これにて、ヘッドユニット2の傾動動作が軽滑なものとなるため、電気かみそりの操作性が格段に向上する。
【0021】
図1、図11および図13に示すように、ヘッドユニット2の下端の前後に、左右方向に所定間隔を置いて設けられた軸47に、左右のアーム45が下拡がりの「ハ」字状となるように装着してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態(図12参照)に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定する。したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合を一掃できる。図12に示すような、ヘッドユニット2を中立の浮動姿勢で安定されるためのコイルばね76のような付勢手段を廃することができるので、部品点数を削減して、電気かみそりの製造コストの低減化に貢献できる利点もある。
【0022】
少なくとも軸47とアーム45とがフレキシブルに連結されていると、上下および左右方向だけでなく、前後方向にもヘッドユニット2を傾動させることができる(図6参照)。つまり、ヘッドユニット2を上下、左右、前後の全方位に傾動可能とできる。これにて、ヘッドユニット2を肌面の変化に対して、よりスムーズに追随させることができるので、肌面を傷つけることなく、髭切断をより適正に行うことができる。
【0023】
コイルばね46の左右中央部が本体部1に固定されていると、この固定部を支点とする内向きの付勢力を左右のアーム45に対して均等に作用させることができる。これによれば、浮動支持構造Fの動作が格段に安定するため、その信頼性が向上する。コイルばね46の個数を減らすことができるので、電気かみそりの製造コストの低減化に貢献できる利点もある。
【0024】
ヘッドユニット2の本体部1に対する傾斜角度を検出するセンシング手段61と、該センシング手段61によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度に応じて、モーター11の回転速度を制御する回転制御手段62とを設けてあると、ヘッドユニット2の姿勢変化に応じた、より効率的な髭切断を行うことができる。制御方法の一例を挙げると、ヘッドユニット2の全体が本体部1に近付くように姿勢変位したときには、ヘッドユニット2の髭剃り面(具体的には固定外刃)が肌面に強く押し当てられており、切断対象である「髭」が多いと判断して、モーター11の回転速度を上げる(図9の表のNo.2参照)。これにて、単位時間あたりの可動内刃16の駆動回数を上げることができるので、より効率的に髭切断を行うことができる。
【0025】
本体部1にセンシング手段61によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度を表示する表示パネル10が設けられていると、電気かみそりの本体部1を握り保持して使用する際に、表示パネル10に表示されたヘッドユニット2の傾斜角度の情報を視認することにより、電気かみそりの運転状態などを明確に知ることができる。
【0026】
表示パネル10の一部又は全部が透明材で形成されていて、表示パネル10に表示された傾斜角度表示を表裏から視認できるようにしてあると、図10に示すごとく、鏡69に映った傾斜角度表示によって運転状態を確認することができる。さらに、傾斜角度表示等を非表示状態に切り換えると、透明な表示パネル10を介して肌の状態を鏡に移すことができるので、肌の状態や剃り残した髭の有無を確認しながら的確に髭剃りを行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
図1ないし図10は、本発明をロータリー式の電気かみそりに適用した実施形態を示す。図2において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体部1と、その上部に設けられるヘッドユニット2とからなる。
【0028】
図8に示すように、本体部1は、半割り状に分割構成されたプラスチック製の前後のケース3a・3bと、これらケース3a・3bの表面を覆うプラスチック製の前後の化粧パネル5a・5bとからなり、その内部に前後一対の2次電池6・6と、制御基板7などが組み込まれている(図2参照)。ケース3a・3bおよび化粧パネル5a・5bの上端には、逆三角形状の窓9が開設されており、この窓9を塞ぐ状態で透明の表示パネル10が嵌め込まれている。この表示パネル10には、各種機器情報が表示される。
【0029】
図2に示すように、本体部1の前面上部には、ヘッドユニット2内に配置されたモーター11の通電状態をオン状態とオフ状態に切り換え操作するスイッチボタン12と、スイッチボタン12がオン操作されたときに点灯する表示灯13とが配置されている。スイッチボタン12は、押しボタン構造になっており、押し込み操作することにより、モーター11をオン状態と、オフ状態とに切り換えることができる。
【0030】
図4においてヘッドユニット2は、前後に分割される半円筒状の前ハーフ15aおよび後ハーフ15bを蓋合わせ状に結合してなる左右横長のヘッドケース15と、ヘッドケース15に組み込まれる可動内刃16、固定外刃17および外刃ホルダー19と、可動内刃駆動用のモーター11と、モーター11を収容するハウジング20と、モーター11の回転動力を可動内刃に伝動するギヤ機構21などで構成する。
【0031】
図1に示すように、可動内刃16はロータリー刃であり、その両端の軸部分が、ハウジング20の上部に装着した可動内刃支持台22に回転自在に軸支されている。固定外刃17は網刃で形成されており、外刃ホルダー19によって左右横長のアーチ状に保形支持されている。モーター11はハウジング20内に横置き配置されており、当該配置箇所を水密状に封止することにより、水洗い可能である。モーター11の出力軸23は、ハウジング20の両側から突設されており、その右端側に前記ギヤ機構21が設けられている。
【0032】
ハウジング20は有底筒状の主ケース25と、主ケース25の開口を塞ぐキャップ26と、両者を分離不能に挟持固定するクリップ27とを含む。図1に示すように、主ケース25とキャップ26との接合部分は、パッキン29でシールする。主ケース25と出力軸23の間はパッキン30でシールする。両パッキン29・30は、それぞれ成形パッキンからなる。
【0033】
上記のようにモーター11が収容されたハウジング20は、図4に示すように前ハーフ15aと後ハーフ15bとで前後に挟み、両ハーフ15a・15bの接合面を互いに係合し、さらに上側接合面の左右を一対のビス31・31(図1参照)で締結することにより、ハウジング20をヘッドケース15と一体化できる。
【0034】
図1においてギヤ機構21は、モーター11の出力軸23に固定した原動ギヤ32と、可動内刃16の一方の軸端に固定した終段ギヤ33と、両ギヤ32・33の間に配置される3個の中間ギヤ35とで構成してあり、出力軸23の回転動力を、終段ギヤ33に減速した状態で伝動する。これらギヤ群の外側面は、ギヤカバー36で覆われている。
【0035】
ヘッドケース15に装着の外刃ホルダー19をロック保持するために、ヘッドケース15の側壁の内面には左右一対のロック解除ボタン37・37を配置し、同ボタン37を圧縮コイル形のばね39でロック付勢している。ばね39の付勢力に抗してロック解除ボタン37を押し込み操作すると、ロック解除ボタン37に設けたロック爪40と、外刃ホルダー19に設けたロック凹部41との係合状態が解除されるので、外刃ホルダー19をヘッドケース15から取り外すことができる。
【0036】
上記のヘッドユニット2は、該ヘッドユニット2と本体部1との間に設けられた浮動支持構造Fによって、上下、左右、前後の全方位に傾動可能に浮動支持される。この浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下端と本体部の上端とを連結する、左右一対、前後一組の計四本のアーム45と、左右のアーム45の下端部どうしを連結するように左右の水平方向に配設された、前後一対のコイルばね46・46とを主要構成要素とする。
【0037】
図3に示すように、各アーム45の上端はヘッドユニット2に設けられた軸47に揺動自在に枢支連結されており、その下端は本体部1に左右方向に長く開設されたスライド孔49に沿って左右方向にスライド移動可能に案内支持されている。アーム45は、帯板状の基体部50と、基体部50の下端に前後方向に向かって突設されたピポット軸51と一体に成形したプラスチック成形品であり、基体部50の上端に軸47用の軸受孔52を前後方向に通設してある。図6に示すごとく、軸受孔52は前後方向の内径寸法が中央部に行くに従って漸次小さくなる異形テーパー孔とされている。この軸受孔52の中央部53の内径寸法は軸47の外径寸法と一致しており、軸47は中央部53で外嵌保持された状態で、軸受孔52内で傾動自在に構成されている。つまり、軸47とアーム45とはフレキシブルな状態に連結されている。
【0038】
図3において、符号55は、本体部1の前後ケース3a・3bの上面56から上方に向かって一体的に張り出し形成された左右一対、前後二組の軸受壁を示しており、この軸受壁55にピポット軸51の左右方向のスライド移動を許すスライド孔49が左右方向に長く開設されている。各スライド孔49の左右両端部は、ピポット軸51との接当干渉を避けるために丸めてある。
【0039】
コイルばね46は、左右のアーム45のピポット軸51どうしを連結しており、これらアーム45の下端に対して、互いの対向間隔寸法が小さくなるような内向きに付勢力を発揮する。コイルばね46の左右の長さ方向の中央部は、前後ケース3a・3bの上面56の左右方向の中央部に上向きに突設された二つの壁57で構成される係止座58に、挟持状に係止固定されており、該係止座58による係止固定部を支点として、左右のアーム45に対して内向きの付勢力を均等に発揮する。
【0040】
符号Sは、ヘッドユニット2と本体部1との間に設けられた、該ヘッドユニット2の傾動を許す隙間を示す。この隙間Sは、ヘッドユニット2の下端縁の内面から本体部1の上端縁の内面に至る、筒状の弾性カバー59で塞がれている。この弾性カバー59はヘッドユニット2を上方に押し上げ付勢しており、したがってヘッドユニット2の不用意なふら付きを防止する効果も期待できる。なお、図外の給電リードは、この隙間Sを通って、モーター11と制御板7との間に配されている。
【0041】
図3に示すように、左右の軸47・47は、ヘッドユニット2の中央部に所定間隔を置いて配置されている。これら軸47・47の左右方向の対向間隔寸法は、スライド孔49・49の左右方向の対向間隔寸法よりも小さく設定されている。したがって、アーム45・45は、常に左右の対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような下拡がりの「ハ」字状の姿勢形態で、軸47まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動できる。
【0042】
以上のような構成からなる浮動支持構造Fにおいて、ヘッドユニット2に一切の力が加わらない、図1、図3および図4のような「常態」においては、コイルばね46の左右内向きの移動付勢力を受けて、各アーム45はその下端部がスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置しており、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存している。この状態からヘッドユニット2があごや頬などに押し当てられると、アーム45はコイルばね46の移動付勢力に抗しながら軸47まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動し、これにてヘッドユニット2を上下、左右、前後の全方位に傾動させることができる。
【0043】
具体的には、図5に示すように、ヘッドユニット2の左上部に下方向への力が加わったときには、左側のアーム45は、コイルばね46の移動付勢力に抗しながら、その下端部がスライド孔49の左外側部に位置するように軸47まわりに揺動し、これにてヘッドユニット2は左下がりの傾動姿勢となる。ヘッドユニット2に対する下向きの力が解かれると、各アーム45は、コイルばね46の移動付勢力を受けて図1、図3および図4に示すような常態に復帰する。なお、図5においては、前側のアーム45の状態を示しているが、後側のアーム45も同様に姿勢変位することは言うまでもない。
【0044】
ヘッドユニット2の全体に下方向への力が加わったときには、左右および前後の全てのアーム45が、その下端部どうしの対向間隔寸法が大きくなるような拡開状にスライド孔49に沿って揺動する。これにてヘッドユニット2の全体が、本体部1に近づくように下方向に姿勢変位する。
【0045】
図6に示すように、ヘッドユニット2に対して前方向の力が加わったときには、前方側の左右のアーム45が、その下端部どうしの対向間隔寸法が大きくなるような拡開状にスライド孔49に沿って揺動する。同時に、前方の軸47が軸受孔52に外嵌保持されながら、水平方向から後ろ上がりの傾斜姿勢に変位する。これにて、ヘッドユニット2は、図6に示すように、前方向に傾いた傾斜姿勢に変位する。これとは逆に、ヘッドユニット2に対して後方向の力が加わったときには、後方側の左右のアームが軸47まわりに拡開状に揺動するとともに、軸47が軸受孔52に外嵌保持されながら、水平方向から前上がりの傾斜姿勢に変位し、これにてヘッドユニット2は、後方向に傾いた傾斜姿勢に変位する。なお、この浮動支持構造Fでは、前後および左右の位置に配置した四本のアーム45が独立に動くことで、左斜め前、左斜め後ろ、右斜め前、および右斜め後ろ方向にもヘッドユニット2を傾けることが可能であることは言うまでもない。
【0046】
以上のように、ヘッドユニット2を浮動支持構造Fで上下、左右、前後の全方位に傾動可能に浮動支持してあると、ヘッドユニット2を肌面の変化に追随して傾動させることができるので、肌面を傷つけることなく、ひげ切断をより適正に行うことができる。また、この浮動支持構造Fでは、四本のアーム45を前後および左右の位置に独立配置してあるため、左斜め前、左斜め後ろ、右斜め前、右斜め後ろ方向にもヘッドユニット2を傾動させることが可能である。何よりも、この浮動支持構造Fは、左右の水平方向に配されたコイルばね46をアーム45に対する付勢要素とするものであるため、従来の浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくして、その小型化を図ることができる。これにて、電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースを小さくできるので、首振り機構を備えた電気かみそりのコンパクト化に貢献できる。
【0047】
左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような「ハ」字状の傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されていると、アーム45をスムーズに揺動できる。つまり、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。これにて、ヘッドユニット2の傾動動作が軽滑なものとなるため、電気かみそりの操作性が向上する。
【0048】
ヘッドユニット2の下端の前後に、左右方向に所定間隔を置いて一対の軸47を設けて、これら軸47にアーム45の上端部を揺動自在に枢支連結してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態(図12参照)に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定する。したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合を良く抑えることができる。
【0049】
コイルばね46の左右中央部を、本体部1の上部に設けられた係止座58に係止固定してあると、該係止座58による係止固定部を支点とする内向きの付勢力を左右のアーム45に対して均等に作用させることができるので、浮動支持構造Fの動作が格段に安定する。コイルばね46の個数を減らすことができるので、部品点数の削減化を図り、電気かみそりの製造コストの低減化に貢献できる。
【0050】
そのうえで本実施形態に係る電気かみそりにおいては、ヘッドユニット2の本体部1に対する傾斜角度を検出するセンシング手段を設け、該センシング手段によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度に応じて、モーター11への負荷電流を変更して可動内刃16の駆動回転数を制御部(回転制御手段)62(図9参照)で自動制御するようにしてある。また、ヘッドユニット2の姿勢状態や、可動内刃16の駆動回転速度などを表示パネル10に表示するようにしている。
【0051】
図3および図4において、符号61は、各アーム45に対応して前後ケース3a・3bの上面56に埋設固定されたリードスイッチを、符号60は、各アーム45の下端に埋設固定されて、リードスイッチ61をオン操作するマグネットを示しており、これらでセンシング手段を構成する。図3に示すごとく、リードスイッチ61は、アーム45の下端の揺動軌跡に臨む左右外方寄りに配置してあり、図5に示すようにヘッドユニット2が左右方向に傾動変位して、アーム45がスライド孔49内をスライド移動し、その下端がリードスイッチ61の対向位置に至ったときに、リードスイッチ61の接点がマグネット60により通電状態とされ、制御部62に対してオン信号が発信されるようにしている。制御部62は、実質的に制御基板7に実装されたマイクロチップである。
【0052】
図9の表は、四つのリードスイッチ61のオン・オフ状態と、これらリードスイッチ61からの検出信号に基づく、制御部62による可動内刃16の制御形態を示している。ここでは、高速モード、標準モード、低速モードの三段階に、可動内刃16の駆動回転数を制御する。なお「標準」の回転数とは、ヘッドユニット2が、図1に示すような常態にあるときの可動内刃16の駆動回転数を意味しており、この回転数よりも高い回転数を「高速」、「標準」よりも遅い回転数を「低速」と規定する。具体的には、標準モードにおける可動内刃16の駆動回転数は、3000rpm、高速モードでは3500rpm、低速モードでは2500rpmとすることができる。
【0053】
まずヘッドユニット2が図1のような常態にあるときには、コイルばね46の左右内向きの移動付勢力を受けて、全てのアーム45はスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置しているため、いずれのリードスイッチ61もマグネット60の影響を受けないオフ状態にある。したがって、このときは標準モードで可動内刃16を回転させる(No.1)。全てのリードスイッチ61がオン状態となったときには、ヘッドユニット2の髭剃り面(具体的には固定外刃)が肌面に強く押し当てられており、切断対象である「髭」が多いと判断して、高速モードで可動内刃16を回転させる(No.2)。
【0054】
前側、あるいは後側の左右のリードスイッチ61のみがオン状態となったときには、標準モードで可動内刃16を回転させる(No.3、No.4)。これは、ヘッドユニット2が左右方向に伸びる水平姿勢で髭剃り動作が行われており、ヘッドユニット2の髭剃り面は肌面に広く面接触していると判断できるからである。一方、左側、あるいは右側に存する前後一組のリードスイッチ61のみがオン状態となったときには、低速モードで可動内刃16を回転させる(No.5、No.6)。これは、ヘッドユニット2が上下方向に長くなるような縦の傾斜姿勢とされていて、ヘッドユニット2の髭剃り面が肌面に点接触している状態にあるため、肌を噛み込んで傷付けるおそれがあると判断したことによる。
【0055】
図7に、表示パネル10の機器情報表示形態を示す。そこでは、表示パネル10は透明な液晶パネルで構成して、機器情報表示を文字や図形で表示できるようにしている。詳しくは、スイッチボタン12をオン操作すると、電池残量を棒グラフ65および数値66(パーセント)で表示する。さらに、ヘッドユニット2の傾斜姿勢を図形67で表示し、該ヘッドユニット2の傾斜姿勢に伴う可動内刃16の駆動回転モードを文字68で表示する。図示例では、ヘッドユニット2が左前方方向に傾斜変位しており、低速モードで可動内刃16が駆動されていることを示している。
【0056】
このように表示パネル10を透明の液晶パネルとしてあると、図10に示すように、表示パネル10の表裏面から機器情報表示を見ることができるので、喉から顎にかけて髭剃りを行うような場合でも、鏡69に映った機器情報表示によって電気かみそりの運転状態を確認することができる。機器情報表示を非表示状態に切り換えると、透明な表示パネル10を介して肌の状態を鏡69に写すことができるので、肌の状態や剃り残した髭の有無を確認しながら髭剃りを行える。
【0057】
表示パネル10が液晶パネルで構成されていると、運転状態情報はもちろんのこと、主な仕様や製造情報などの電気かみそりの固有情報や、電気かみそりのメンテナンス情報、例えば充電時期が近づいていること、可動内刃16や外刃17の交換時期が近づいていること、毛屑清掃が必要であること、あるいは電気かみそりの累積使用時間などの情報を必要に応じて表示することができる。
【0058】
この第1実施形態においては、ヘッドユニット2に設けられた軸47に、軸受孔52を有するアーム45を装着していたが、これとは逆に、アーム45側に軸を設けるとともに、ヘッドユニット2側に、該軸の挿入を許す軸受孔を設ける形式としてもよい。
【0059】
(第2実施形態)
図11に本発明の第2実施形態に係る電気かみそりを示す。そこでは、四角枠状の左右一対のアーム45と、アーム45の下端どうしを連結する一つのコイルばね46とで、浮動支持構造Fを構成してある点が先の第1実施形態と相違する。詳しくは、各アーム45は、ヘッドユニット2と本体部1とを連結する前後一対の縦リンク71・72と、縦リンク71・72の上下端を繋ぐように前後方向に走る上下一対の水平リンク73・74とで構成する。上方の水平リンク73は、ヘッドユニット2に設けられた不図示の軸受孔に揺動可能に枢支連結されている。下方の水平リンク74は、その前後端が軸受壁55に設けられたスライド孔49に挿通されている。しかるに、各アーム45の縦リンク71・72は、水平リンク73まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動できる。換言すれば、水平リンク73を本発明で言うところの軸47として、アーム45は該軸47まわりに揺動可能である。
【0060】
コイルばね46は、下方の水平リンク74・74の前後中央部どうしを繋ぐように配されており、これら水平リンク74・74に対して、互いの対向間隔寸法が小さくなるような左右内向きの移動付勢力を与える。なお、先の第1実施形態と同様に、コイルばね46の左右中央部は、係止座58に係止固定されている。
【0061】
左右の水平リンク73・73の間隔寸法は、スライド孔49・49の左右方向の間隔寸法よりも小さく設定されている。したがって、アーム45・45は、常に左右の対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような下拡がりの「ハ」字状の姿勢形態で、水平リンク73まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動できる。
【0062】
以上のような構成からなる浮動支持構造Fにおいては、ヘッドユニット2に一切の力が加わらない「常態」では、コイルばね46の左右内向きの移動付勢力を受けて、各アーム45はその下端部がスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置しており、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存している。この状態からヘッドユニット2があごや頬などに押し当てられると、アーム45はコイルばね46の移動付勢力に抗しながら水平リンク73まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動し、これにてヘッドユニット2を上下および左右方向に傾動させることができる。つまり、この浮動支持構造Fでは、ヘッドユニット2は、本体部1に対して上下および左右方向に傾動可能である。
【0063】
この第2実施形態に係る浮動支持構造Fにおいても、先の第1実施形態の浮動支持構造Fと同様の作用効果が得られる。すなわち、左右の水平方向に配されたコイルばね46をアーム45に対する付勢要素とするものであるため、従来の浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくすることが容易であり、したがって電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースが小さくして、首振り機構を備えた電気かみそりのコンパクト化を図ることができる。左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような「ハ」字状の傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されているので、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。左右のアーム45・45を左右方向に所定間隔を置いて配置された水平リンク73・73まわりに揺動可能に構成してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定し、したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合がない。
【0064】
加えて、コイルばね46の左右中央部を、本体部1の上部に設けられた係止座58に係止固定してあると、該係止座58による係止固定部を支点とする内向きの付勢力を左右のアーム45に対して均等に作用させることができるので、浮動支持構造Fの動作が格段に安定する。この第2実施形態に係る構成では、一本のコイルばね46で左右のアーム45・45に対して内向きの付勢力を与えることができるので、先の第1実施形態に係る構成に比べて、部品点数の削減化を図ることができる点でも優れている。
【0065】
何よりもアーム45を四角枠状としてあると、ヘッドユニット2と本体部1とを強固に連結できるので、上記第1実施形態の帯板状の四本のアーム45でヘッドユニット2と本体部1とを連結する形態に比べて、電気かみそりの全体剛性の格段の向上を図ることできる。したがって、動作不良のおそれの少ない信頼性に富んだ電気かみそりを得ることができる。
【0066】
(第3実施形態)
図12に本発明の第3実施形態を示す。そこでの浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下端に設けられた一本の軸47に、左右のアーム45が揺動可能に枢支連結されている点、各アーム2の下端にローラー75が回転自在に装着されており、該ローラ75が本体部1の上端に設けられた左右に長いスライド孔49に沿ってスライド移動可能に案内支持されている点、各アーム45の下端外面と本体部1のケース3a・3bの内面との間にコイルばね46が組み付けられており、該コイルばね46で各アーム45の下端に対して、左右内向きの付勢力が与えられている点、ヘッドユニット2を常態へ復帰させることを目的として、本体部1の左右両端に、ヘッドユニット2を押し上げ付勢する上下向きのコイルばね76・76が装着されている点などが、先の第1実施形態の浮動支持構造Fと相違する。それ以外の点は、第1実施形態と略同様であるので、同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。この第3実施形態に係る浮動支持構造Fは、四本のアーム45を前後および左右の位置に独立配置してあるため、第1実施形態に係る浮動支持構造Fと同様に、上下、左右、前後方向だけでなく、左斜め前、左斜め後ろ、右斜め前、右斜め後ろ方向にもヘッドユニット2を傾動させることが可能できる。また、この浮動支持構造Fの動作および作用効果も、先の第1実施形態のそれと同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
上記第3実施形態においては、各アーム45の下端にローラー75を回転自在に装着していたが、本発明はこれに限らず、例えば楕円形の摺動体をアーム45の下端に取り付けても良い。要は各アーム45の下端がスライド孔49に沿って、スムーズにスライド移動できるものであればよい。
【0068】
(第4実施形態)
図13および図14に本発明の第4実施形態に係る電気かみそりを示す。そこでの浮動支持構造Fは、コイルばね46に替えて、前後水平方向に配されて各アーム45の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与える左右一対の弾性材製の板ばね80を付勢要素とする点が、先の第2実施形態と大きく相違する。符号81は、前後の軸受壁55の左右端部を繋ぐ連結壁を、符号82は、連結壁81よりも左右内寄りに前後内向きに突設形成された一対の係止壁を示し、板ばね80の前後端は、これら連結壁81と係止壁82との対向隙間の間に差し込み装着されている。
【0069】
この浮動支持構造Fにおいては、ヘッドユニット2に一切の力が加わらない常態においては、内向きに突出する板ばね80の波の凸部83がアーム45の水平リンク74に対して左右内向きの移動付勢力を付与しており、これにて、水平リンク74はスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置している。そして、かかる常態からヘッドユニット2に力が加わると、アーム45が板ばね80の移動付勢力に抗しながら水平リンク73まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動し、これにて、ヘッドユニット2を上下および左右方向に傾動させることができる。
【0070】
この第4実施形態に係る浮動支持構造Fにおいても、先の第2実施形態の浮動支持構造Fと同様の作用効果が得られる。すなわち、前後の水平方向に配された板ばね80をアーム45に対する付勢要素とするものであるため、従来の浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくすることが容易であり、したがって電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースが小さくして、首振り機構を備えた電気かみそりのコンパクト化を図ることができる。左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような「ハ」字状の傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されているので、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。左右のアーム45・45を左右方向に所定間隔を置いて配置された水平リンク73・73まわりに揺動可能に構成してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定し、したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合がない。アーム45を四角枠状としてあると、ヘッドユニット2と本体部1とを強固に連結できるので、上記第1実施形態の帯板状の四本のアーム45でヘッドユニット2と本体部1とを連結する形態に比べて、電気かみそりの全体剛性の格段の向上を図ることできる。したがって、動作不良のおそれの少ない信頼性に富んだ電気かみそりを得ることができる。
【0071】
(第5実施形態)
図15および図16に本発明の第5実施形態に係る電気かみそりを示す。そこでの浮動支持構造Fは、板ばね80に替えて、前後水平方向に配された左右一対の棒状ばね90を付勢要素とする点が先の第4実施形態と大きく相違する。符号91は、前後ケース3a・3bの上端に形成された、棒状ばね90を支持する支持体を示す。支持体91には、棒状ばね90の挿通を許す通孔92が、前後貫通状に設けられている。浮動支持構造Fは、左右一対、前後二組の計四本のアーム45を備えており、各アーム45の下端部に設けられた軸51がスライド孔49に案内支持されながら、軸47まわりに揺動自在に構成されている。棒状ばね90は、ピアノ線のような金属線が好適に採用できる。ゴムのような弾性材からなるものであってもよい。
【0072】
棒状ばね90は、前後の縦リンク71・72の下端部どうしを連結しており、ヘッドユニット2に一切の力が加わらない常態においては、軸51がスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置するように付勢力を発揮し、これにてヘッドユニット2は中立姿勢にある。そして、かかる常態からヘッドユニット2に力が加わると、アーム45は、棒状ばね90が撓み変形することによって生じる移動付勢力に抗しながら、軸47まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動し、これにて、ヘッドユニット2を上下および左右方向に傾動させることができる。また、ヘッドユニット2への力が解かれると、棒状ばね90の付勢力により、ヘッドユニット2は中立姿勢に復帰する。また、この浮動支持構造Fでは、四本のアーム45を前後および左右の位置に独立配置してあるため、上下、左右、前後方向だけでなく、左斜め前、左斜め後ろ、右斜め前、右斜め後ろ方向にもヘッドユニット2を傾動させることが可能である。
【0073】
この第5実施形態に係る浮動支持構造Fにおいても、先の第4実施形態の浮動支持構造Fと同様の作用効果が得られる。すなわち、前後の水平方向に配された棒状ばね90をアーム45に対する付勢要素とするものであるため、従来の浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくすることが容易であり、したがって電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースが小さくして、首振り機構を備えた電気かみそりのコンパクト化を図ることができる。左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような「ハ」字状の傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されているので、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。左右のアーム45・45を左右方向に所定間隔を置いて配置された軸47・47まわりに揺動可能に構成してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定し、したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合がない。
【0074】
なお、上記第5実施形態においては、アーム45は帯板状としていたが、アーム45は、図4に示すような四角枠状としてもよい。棒状ばね45は、図示例のような線状体に限られず、薄い板状の金属片やゴム片などであってもよく、本発明で言う「棒状ばね」は、これらを含む概念である。
【0075】
上記の実施形態では、本発明をロータリー式の電気かみそりに適用した場合について説明したが、可動内刃が左右方向へ往復摺動される往復動式の電気かみそりにも等しく適用できる。上記の各実施形態には、2個あるいは4個のアーム45を備える浮動支持構造Fを示したが、アーム45の数は、これ以上であってもよい。スライド孔49は、軸受壁55に設ける必要はなく、前後ケース3a・3bの上端に開設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す縦断正面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】要部の正面図である。
【図4】電気かみそりの縦断側面図である。
【図5】浮動支持構造の動作を示す図であり、ヘッドユニットが左方向に傾いた状態を示している。
【図6】浮動支持構造の動作を示す図であり、ヘッドユニットが前方に傾いた状態を示している。
【図7】表示パネルの表示態様を示す正面図である。
【図8】本体部の横断平面図である。
【図9】制御部による制御方法を説明するための図である。
【図10】表示パネルの表示態様を説明するための図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す縦断正面図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す横断平面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す斜視図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す横断平面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 本体部
2 ヘッドユニット
10 表示パネル
11 モーター
16 可動内刃
45 アーム
46 コイルばね
47 軸
49 スライド孔
61 センシング手段(リードスイッチ)
62 回転制御手段(制御部)
80 板ばね
90 棒状ばね
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターおよび可動内刃を含むヘッドユニットが本体部に対して傾動可能に浮動支持してある電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気かみそりは、例えば特許文献1に公知である。そこでは、ヘッドユニットの下部に左右一対の逆門形のフロート枠を連結し、各フロート枠を本体部に設けた上下方向のガイド溝で案内し、各フロート枠を上下方向に向かって配置された前後一対の圧縮コイルばねで押し上げ付勢することにより、ヘッドユニットを傾動可能に浮動支持している。
【0003】
本出願人の出願に係る特許文献2、3では、筒枠状のモーターホルダーの左右側面に前後一対ずつの脚片(可動係合片)を下向きに突設してあり、これら4個の脚片を、シール枠の内底壁に設けた前後一対ずつの受爪(固定係合片)で抜け外れ不能に受け止めている。前後の受爪の間にはばね座が設けてあり、ばね座とモーターホルダーとの間に、ヘッドユニット全体を支持する圧縮コイルばねを左右に配置している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−210872号公報(段落番号0016、図6)
【特許文献2】特開2002−325984号公報(段落番号0038、図10)
【特許文献3】特開2003−117268号公報(段落番号0028、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1ないし3の揺動支持構造の問題は、構造全体が大掛かりで、その設置に要するスペースが大きなものとなることが避けられず、結果として電気かみそりのコンパクト化を図ることが困難なことにある。つまり上記の浮動支持構造は、フロート枠と圧縮コイルばねの長さ寸法の和(特許文献1)、あるいは脚片と圧縮コイルばねの長さ寸法の和(特許文献2、3)などのように嵩高なものであるため、電気かみそり全体に占める浮動支持機構の占めるスペースが大きくなることが避けられず、電気かみそりのコンパクト化を図るうえで大きな障害となっていた。
【0006】
本発明の目的は、ヘッドユニットの首振りのための浮動支持構造の小型化を図り、以て首振り機能を備えた電気かみそりのコンパクト化に貢献することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、図2に示すごとく、モーター11および可動内刃16を含む左右横長のヘッドユニット2が、本体部1とヘッドユニット2との間に設けた浮動支持構造Fで、少なくとも左右および上下方向へ傾動可能に浮動支持されている電気かみそりを対象とする。図1、図11、図12に示すごとく、前記浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下部と本体部1の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム45と、左右水平方向に配されて各アーム45の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与えるコイルばね46とを含む。アーム45の上端は、ヘッドユニット2の下部に設けられた軸47に揺動可能に枢支連結されており、アーム45の下端は、本体部1の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔49に沿って、スライド移動可能に案内支持されている。そして、常態においては、コイルばね46の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存しており、ヘッドユニット2が肌面に押し当てられたとき、コイルばね46の移動付勢力に抗しながら各アーム45の下端が軸47まわりにスライド孔49に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット2が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できるようにしてあることを特徴とする。
【0008】
図1および図11には、各アーム45の下部を繋ぐように、左右方向にコイルばね46が配された形態を示しており、図12には、各アーム45の左右外側にコイルばね46が配された形態を示している。いずれのコイルばね46もアーム45に対して左右内向きの付勢力を発揮しており、本発明の浮動支持構造Fは両形態を含む。換言すれば、コイルばね46は、左右の水平方向に配されていて、アーム45の下端部に対して左右内向きの付勢力を与えるものであれば良く、その配置位置や長さ寸法は問わない。
【0009】
また本発明は図2に示すごとく、モーター11および可動内刃16を含む左右横長のヘッドユニット2が、本体部1とヘッドユニット2との間に設けた浮動支持構造Fで、少なくとも左右および上下方向へ傾動可能に浮動支持されている電気かみそりを対象とする。図13、図14、図15および図16に示すごとく、前記浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下部と本体部1の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム45と、前後水平方向に配されて各アーム45の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与える左右一対の板ばね80あるいは棒状ばね90とを含み、アーム45の上端は、ヘッドユニット2の下部に設けられた軸47に揺動可能に枢支連結されており、アーム45の下端は、本体部1の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔49に沿って、スライド移動可能に案内支持されている。そして、常態においては、板ばね80あるいは棒状ばね90の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存しており、ヘッドユニット2が肌面に押し当てられたとき、板ばね80あるいは棒状ばね90の移動付勢力に抗しながら各アーム45の下端が軸47まわりにスライド孔49に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット2が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できるようにしてあることを特徴とする。なお、図13および図14には、板ばね80を付勢要素とする形式を、図15および図16には棒状ばね90を付勢要素する形式を示す。
【0010】
本発明における浮動支持構造Fは、図1ないし図6に示すように、左右一対、前後二組の計四個のアーム45を備えるものとすることができる。図11および図13に示すように、四角枠状の左右一対のアーム45を備えるものとしてもよい。かかる四角枠状のアーム45を左右に二つずつ、計4個備えるものとしてもよい。すなわち、本発明におけるアーム45は、図1ないし図6に示すような板状のほか、図11および図13に示すような四角枠状の形態を含む概念である。さらに言うとアーム45は、図11の下方の水平リンク74と縦リンク71・72で構成されるような、コ字状であってもよい。
【0011】
また、図11および図13に示すアーム45の形態においては、前後に走る上方の水平リンク73を揺動支点として、該アーム45は揺動自在なものとなる。したがって、本発明における「ヘッドユニット2の下部に設けられた軸47」とは、図11および図13のようなヘッドユニット2に装着された水平リンク73を軸47として、アーム45が揺動可能な構成を含む概念である。
【0012】
図1、図11、図12および図13に示すように、左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着された形態を採ることが好ましい。
【0013】
図1、図11および図13に示すように、ヘッドユニット2の下端の前後には、左右方向に所定間隔を置いて一対の軸47が設けられており、これら軸47にアーム45の上端部が揺動自在に枢支連結されており、左右のアーム45が下拡がりの「ハ」字状の姿勢形態で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着された形態を採ることが好ましい。
【0014】
少なくとも軸47とアーム45とはフレキシブルに連結されていることが好ましい。具体的には、図6に示すように、アーム45の軸受孔52を、前後方向の内径寸法が中央部に行くに従って漸次小さくなる異形テーパー孔とした形態を採ることができる。そこでは、軸受孔52の中央部53の内径寸法を軸47の外径寸法と一致させている。これによれば、軸47は軸受孔52の中央部53で外嵌保持された状態で、軸受孔52内で傾動自在となる。したがって、アーム45と軸47とはフレキシブルに連結されたものとなる。
【0015】
図1および図11に示すように、左右のアーム45を連結するように、コイルばね46が装着されており、このコイルばね46の中央部が、本体部1に固定された形態を採ることができる。具体的には、図3に示すように、本体部1の上部に左右一対の壁57を備える係止座58を設けて、これら壁57の間にコイルばね46を挟持保持する形態を採ることができる。
【0016】
本発明においては、図9に示すごとく、ヘッドユニット2の本体部1に対する傾斜角度を検出するセンシング手段61と、該センシング手段61によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度に応じて、モーター11の回転速度を制御する回転制御手段62とを備えるものとすることができる。
【0017】
図2に示すごとく、本体部1に、センシング手段61によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度を表示する表示パネル10を設けることができる。
【0018】
図10に示すごとく、表示パネル10の一部又は全部が透明材で形成されていて、表示パネル10に表示された傾斜角度表示を表裏から視認できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電気かみそりの浮動支持構造Fは、左右の水平方向に配されたコイルばね46(請求項1:図1、図11、図12等参照)、あるいは前後の水平方向に配された板ばね80(請求項2:図13参照)、あるいは前後の水平方向に配された棒状ばね90(請求項2:図15参照)をアーム45に対する付勢要素とする。したがって、従来の特許文献1ないし3に示す浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくすることが容易である。したがって、電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースを可及的に小さくできるので、首振り機構を備える電気かみそりのコンパクト化を図ることができる。
【0020】
左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されていると、アーム45をスムーズに揺動させることができる。つまり、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。これにて、ヘッドユニット2の傾動動作が軽滑なものとなるため、電気かみそりの操作性が格段に向上する。
【0021】
図1、図11および図13に示すように、ヘッドユニット2の下端の前後に、左右方向に所定間隔を置いて設けられた軸47に、左右のアーム45が下拡がりの「ハ」字状となるように装着してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態(図12参照)に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定する。したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合を一掃できる。図12に示すような、ヘッドユニット2を中立の浮動姿勢で安定されるためのコイルばね76のような付勢手段を廃することができるので、部品点数を削減して、電気かみそりの製造コストの低減化に貢献できる利点もある。
【0022】
少なくとも軸47とアーム45とがフレキシブルに連結されていると、上下および左右方向だけでなく、前後方向にもヘッドユニット2を傾動させることができる(図6参照)。つまり、ヘッドユニット2を上下、左右、前後の全方位に傾動可能とできる。これにて、ヘッドユニット2を肌面の変化に対して、よりスムーズに追随させることができるので、肌面を傷つけることなく、髭切断をより適正に行うことができる。
【0023】
コイルばね46の左右中央部が本体部1に固定されていると、この固定部を支点とする内向きの付勢力を左右のアーム45に対して均等に作用させることができる。これによれば、浮動支持構造Fの動作が格段に安定するため、その信頼性が向上する。コイルばね46の個数を減らすことができるので、電気かみそりの製造コストの低減化に貢献できる利点もある。
【0024】
ヘッドユニット2の本体部1に対する傾斜角度を検出するセンシング手段61と、該センシング手段61によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度に応じて、モーター11の回転速度を制御する回転制御手段62とを設けてあると、ヘッドユニット2の姿勢変化に応じた、より効率的な髭切断を行うことができる。制御方法の一例を挙げると、ヘッドユニット2の全体が本体部1に近付くように姿勢変位したときには、ヘッドユニット2の髭剃り面(具体的には固定外刃)が肌面に強く押し当てられており、切断対象である「髭」が多いと判断して、モーター11の回転速度を上げる(図9の表のNo.2参照)。これにて、単位時間あたりの可動内刃16の駆動回数を上げることができるので、より効率的に髭切断を行うことができる。
【0025】
本体部1にセンシング手段61によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度を表示する表示パネル10が設けられていると、電気かみそりの本体部1を握り保持して使用する際に、表示パネル10に表示されたヘッドユニット2の傾斜角度の情報を視認することにより、電気かみそりの運転状態などを明確に知ることができる。
【0026】
表示パネル10の一部又は全部が透明材で形成されていて、表示パネル10に表示された傾斜角度表示を表裏から視認できるようにしてあると、図10に示すごとく、鏡69に映った傾斜角度表示によって運転状態を確認することができる。さらに、傾斜角度表示等を非表示状態に切り換えると、透明な表示パネル10を介して肌の状態を鏡に移すことができるので、肌の状態や剃り残した髭の有無を確認しながら的確に髭剃りを行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
図1ないし図10は、本発明をロータリー式の電気かみそりに適用した実施形態を示す。図2において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体部1と、その上部に設けられるヘッドユニット2とからなる。
【0028】
図8に示すように、本体部1は、半割り状に分割構成されたプラスチック製の前後のケース3a・3bと、これらケース3a・3bの表面を覆うプラスチック製の前後の化粧パネル5a・5bとからなり、その内部に前後一対の2次電池6・6と、制御基板7などが組み込まれている(図2参照)。ケース3a・3bおよび化粧パネル5a・5bの上端には、逆三角形状の窓9が開設されており、この窓9を塞ぐ状態で透明の表示パネル10が嵌め込まれている。この表示パネル10には、各種機器情報が表示される。
【0029】
図2に示すように、本体部1の前面上部には、ヘッドユニット2内に配置されたモーター11の通電状態をオン状態とオフ状態に切り換え操作するスイッチボタン12と、スイッチボタン12がオン操作されたときに点灯する表示灯13とが配置されている。スイッチボタン12は、押しボタン構造になっており、押し込み操作することにより、モーター11をオン状態と、オフ状態とに切り換えることができる。
【0030】
図4においてヘッドユニット2は、前後に分割される半円筒状の前ハーフ15aおよび後ハーフ15bを蓋合わせ状に結合してなる左右横長のヘッドケース15と、ヘッドケース15に組み込まれる可動内刃16、固定外刃17および外刃ホルダー19と、可動内刃駆動用のモーター11と、モーター11を収容するハウジング20と、モーター11の回転動力を可動内刃に伝動するギヤ機構21などで構成する。
【0031】
図1に示すように、可動内刃16はロータリー刃であり、その両端の軸部分が、ハウジング20の上部に装着した可動内刃支持台22に回転自在に軸支されている。固定外刃17は網刃で形成されており、外刃ホルダー19によって左右横長のアーチ状に保形支持されている。モーター11はハウジング20内に横置き配置されており、当該配置箇所を水密状に封止することにより、水洗い可能である。モーター11の出力軸23は、ハウジング20の両側から突設されており、その右端側に前記ギヤ機構21が設けられている。
【0032】
ハウジング20は有底筒状の主ケース25と、主ケース25の開口を塞ぐキャップ26と、両者を分離不能に挟持固定するクリップ27とを含む。図1に示すように、主ケース25とキャップ26との接合部分は、パッキン29でシールする。主ケース25と出力軸23の間はパッキン30でシールする。両パッキン29・30は、それぞれ成形パッキンからなる。
【0033】
上記のようにモーター11が収容されたハウジング20は、図4に示すように前ハーフ15aと後ハーフ15bとで前後に挟み、両ハーフ15a・15bの接合面を互いに係合し、さらに上側接合面の左右を一対のビス31・31(図1参照)で締結することにより、ハウジング20をヘッドケース15と一体化できる。
【0034】
図1においてギヤ機構21は、モーター11の出力軸23に固定した原動ギヤ32と、可動内刃16の一方の軸端に固定した終段ギヤ33と、両ギヤ32・33の間に配置される3個の中間ギヤ35とで構成してあり、出力軸23の回転動力を、終段ギヤ33に減速した状態で伝動する。これらギヤ群の外側面は、ギヤカバー36で覆われている。
【0035】
ヘッドケース15に装着の外刃ホルダー19をロック保持するために、ヘッドケース15の側壁の内面には左右一対のロック解除ボタン37・37を配置し、同ボタン37を圧縮コイル形のばね39でロック付勢している。ばね39の付勢力に抗してロック解除ボタン37を押し込み操作すると、ロック解除ボタン37に設けたロック爪40と、外刃ホルダー19に設けたロック凹部41との係合状態が解除されるので、外刃ホルダー19をヘッドケース15から取り外すことができる。
【0036】
上記のヘッドユニット2は、該ヘッドユニット2と本体部1との間に設けられた浮動支持構造Fによって、上下、左右、前後の全方位に傾動可能に浮動支持される。この浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下端と本体部の上端とを連結する、左右一対、前後一組の計四本のアーム45と、左右のアーム45の下端部どうしを連結するように左右の水平方向に配設された、前後一対のコイルばね46・46とを主要構成要素とする。
【0037】
図3に示すように、各アーム45の上端はヘッドユニット2に設けられた軸47に揺動自在に枢支連結されており、その下端は本体部1に左右方向に長く開設されたスライド孔49に沿って左右方向にスライド移動可能に案内支持されている。アーム45は、帯板状の基体部50と、基体部50の下端に前後方向に向かって突設されたピポット軸51と一体に成形したプラスチック成形品であり、基体部50の上端に軸47用の軸受孔52を前後方向に通設してある。図6に示すごとく、軸受孔52は前後方向の内径寸法が中央部に行くに従って漸次小さくなる異形テーパー孔とされている。この軸受孔52の中央部53の内径寸法は軸47の外径寸法と一致しており、軸47は中央部53で外嵌保持された状態で、軸受孔52内で傾動自在に構成されている。つまり、軸47とアーム45とはフレキシブルな状態に連結されている。
【0038】
図3において、符号55は、本体部1の前後ケース3a・3bの上面56から上方に向かって一体的に張り出し形成された左右一対、前後二組の軸受壁を示しており、この軸受壁55にピポット軸51の左右方向のスライド移動を許すスライド孔49が左右方向に長く開設されている。各スライド孔49の左右両端部は、ピポット軸51との接当干渉を避けるために丸めてある。
【0039】
コイルばね46は、左右のアーム45のピポット軸51どうしを連結しており、これらアーム45の下端に対して、互いの対向間隔寸法が小さくなるような内向きに付勢力を発揮する。コイルばね46の左右の長さ方向の中央部は、前後ケース3a・3bの上面56の左右方向の中央部に上向きに突設された二つの壁57で構成される係止座58に、挟持状に係止固定されており、該係止座58による係止固定部を支点として、左右のアーム45に対して内向きの付勢力を均等に発揮する。
【0040】
符号Sは、ヘッドユニット2と本体部1との間に設けられた、該ヘッドユニット2の傾動を許す隙間を示す。この隙間Sは、ヘッドユニット2の下端縁の内面から本体部1の上端縁の内面に至る、筒状の弾性カバー59で塞がれている。この弾性カバー59はヘッドユニット2を上方に押し上げ付勢しており、したがってヘッドユニット2の不用意なふら付きを防止する効果も期待できる。なお、図外の給電リードは、この隙間Sを通って、モーター11と制御板7との間に配されている。
【0041】
図3に示すように、左右の軸47・47は、ヘッドユニット2の中央部に所定間隔を置いて配置されている。これら軸47・47の左右方向の対向間隔寸法は、スライド孔49・49の左右方向の対向間隔寸法よりも小さく設定されている。したがって、アーム45・45は、常に左右の対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような下拡がりの「ハ」字状の姿勢形態で、軸47まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動できる。
【0042】
以上のような構成からなる浮動支持構造Fにおいて、ヘッドユニット2に一切の力が加わらない、図1、図3および図4のような「常態」においては、コイルばね46の左右内向きの移動付勢力を受けて、各アーム45はその下端部がスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置しており、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存している。この状態からヘッドユニット2があごや頬などに押し当てられると、アーム45はコイルばね46の移動付勢力に抗しながら軸47まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動し、これにてヘッドユニット2を上下、左右、前後の全方位に傾動させることができる。
【0043】
具体的には、図5に示すように、ヘッドユニット2の左上部に下方向への力が加わったときには、左側のアーム45は、コイルばね46の移動付勢力に抗しながら、その下端部がスライド孔49の左外側部に位置するように軸47まわりに揺動し、これにてヘッドユニット2は左下がりの傾動姿勢となる。ヘッドユニット2に対する下向きの力が解かれると、各アーム45は、コイルばね46の移動付勢力を受けて図1、図3および図4に示すような常態に復帰する。なお、図5においては、前側のアーム45の状態を示しているが、後側のアーム45も同様に姿勢変位することは言うまでもない。
【0044】
ヘッドユニット2の全体に下方向への力が加わったときには、左右および前後の全てのアーム45が、その下端部どうしの対向間隔寸法が大きくなるような拡開状にスライド孔49に沿って揺動する。これにてヘッドユニット2の全体が、本体部1に近づくように下方向に姿勢変位する。
【0045】
図6に示すように、ヘッドユニット2に対して前方向の力が加わったときには、前方側の左右のアーム45が、その下端部どうしの対向間隔寸法が大きくなるような拡開状にスライド孔49に沿って揺動する。同時に、前方の軸47が軸受孔52に外嵌保持されながら、水平方向から後ろ上がりの傾斜姿勢に変位する。これにて、ヘッドユニット2は、図6に示すように、前方向に傾いた傾斜姿勢に変位する。これとは逆に、ヘッドユニット2に対して後方向の力が加わったときには、後方側の左右のアームが軸47まわりに拡開状に揺動するとともに、軸47が軸受孔52に外嵌保持されながら、水平方向から前上がりの傾斜姿勢に変位し、これにてヘッドユニット2は、後方向に傾いた傾斜姿勢に変位する。なお、この浮動支持構造Fでは、前後および左右の位置に配置した四本のアーム45が独立に動くことで、左斜め前、左斜め後ろ、右斜め前、および右斜め後ろ方向にもヘッドユニット2を傾けることが可能であることは言うまでもない。
【0046】
以上のように、ヘッドユニット2を浮動支持構造Fで上下、左右、前後の全方位に傾動可能に浮動支持してあると、ヘッドユニット2を肌面の変化に追随して傾動させることができるので、肌面を傷つけることなく、ひげ切断をより適正に行うことができる。また、この浮動支持構造Fでは、四本のアーム45を前後および左右の位置に独立配置してあるため、左斜め前、左斜め後ろ、右斜め前、右斜め後ろ方向にもヘッドユニット2を傾動させることが可能である。何よりも、この浮動支持構造Fは、左右の水平方向に配されたコイルばね46をアーム45に対する付勢要素とするものであるため、従来の浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくして、その小型化を図ることができる。これにて、電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースを小さくできるので、首振り機構を備えた電気かみそりのコンパクト化に貢献できる。
【0047】
左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような「ハ」字状の傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されていると、アーム45をスムーズに揺動できる。つまり、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。これにて、ヘッドユニット2の傾動動作が軽滑なものとなるため、電気かみそりの操作性が向上する。
【0048】
ヘッドユニット2の下端の前後に、左右方向に所定間隔を置いて一対の軸47を設けて、これら軸47にアーム45の上端部を揺動自在に枢支連結してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態(図12参照)に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定する。したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合を良く抑えることができる。
【0049】
コイルばね46の左右中央部を、本体部1の上部に設けられた係止座58に係止固定してあると、該係止座58による係止固定部を支点とする内向きの付勢力を左右のアーム45に対して均等に作用させることができるので、浮動支持構造Fの動作が格段に安定する。コイルばね46の個数を減らすことができるので、部品点数の削減化を図り、電気かみそりの製造コストの低減化に貢献できる。
【0050】
そのうえで本実施形態に係る電気かみそりにおいては、ヘッドユニット2の本体部1に対する傾斜角度を検出するセンシング手段を設け、該センシング手段によって検出されたヘッドユニット2の傾斜角度に応じて、モーター11への負荷電流を変更して可動内刃16の駆動回転数を制御部(回転制御手段)62(図9参照)で自動制御するようにしてある。また、ヘッドユニット2の姿勢状態や、可動内刃16の駆動回転速度などを表示パネル10に表示するようにしている。
【0051】
図3および図4において、符号61は、各アーム45に対応して前後ケース3a・3bの上面56に埋設固定されたリードスイッチを、符号60は、各アーム45の下端に埋設固定されて、リードスイッチ61をオン操作するマグネットを示しており、これらでセンシング手段を構成する。図3に示すごとく、リードスイッチ61は、アーム45の下端の揺動軌跡に臨む左右外方寄りに配置してあり、図5に示すようにヘッドユニット2が左右方向に傾動変位して、アーム45がスライド孔49内をスライド移動し、その下端がリードスイッチ61の対向位置に至ったときに、リードスイッチ61の接点がマグネット60により通電状態とされ、制御部62に対してオン信号が発信されるようにしている。制御部62は、実質的に制御基板7に実装されたマイクロチップである。
【0052】
図9の表は、四つのリードスイッチ61のオン・オフ状態と、これらリードスイッチ61からの検出信号に基づく、制御部62による可動内刃16の制御形態を示している。ここでは、高速モード、標準モード、低速モードの三段階に、可動内刃16の駆動回転数を制御する。なお「標準」の回転数とは、ヘッドユニット2が、図1に示すような常態にあるときの可動内刃16の駆動回転数を意味しており、この回転数よりも高い回転数を「高速」、「標準」よりも遅い回転数を「低速」と規定する。具体的には、標準モードにおける可動内刃16の駆動回転数は、3000rpm、高速モードでは3500rpm、低速モードでは2500rpmとすることができる。
【0053】
まずヘッドユニット2が図1のような常態にあるときには、コイルばね46の左右内向きの移動付勢力を受けて、全てのアーム45はスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置しているため、いずれのリードスイッチ61もマグネット60の影響を受けないオフ状態にある。したがって、このときは標準モードで可動内刃16を回転させる(No.1)。全てのリードスイッチ61がオン状態となったときには、ヘッドユニット2の髭剃り面(具体的には固定外刃)が肌面に強く押し当てられており、切断対象である「髭」が多いと判断して、高速モードで可動内刃16を回転させる(No.2)。
【0054】
前側、あるいは後側の左右のリードスイッチ61のみがオン状態となったときには、標準モードで可動内刃16を回転させる(No.3、No.4)。これは、ヘッドユニット2が左右方向に伸びる水平姿勢で髭剃り動作が行われており、ヘッドユニット2の髭剃り面は肌面に広く面接触していると判断できるからである。一方、左側、あるいは右側に存する前後一組のリードスイッチ61のみがオン状態となったときには、低速モードで可動内刃16を回転させる(No.5、No.6)。これは、ヘッドユニット2が上下方向に長くなるような縦の傾斜姿勢とされていて、ヘッドユニット2の髭剃り面が肌面に点接触している状態にあるため、肌を噛み込んで傷付けるおそれがあると判断したことによる。
【0055】
図7に、表示パネル10の機器情報表示形態を示す。そこでは、表示パネル10は透明な液晶パネルで構成して、機器情報表示を文字や図形で表示できるようにしている。詳しくは、スイッチボタン12をオン操作すると、電池残量を棒グラフ65および数値66(パーセント)で表示する。さらに、ヘッドユニット2の傾斜姿勢を図形67で表示し、該ヘッドユニット2の傾斜姿勢に伴う可動内刃16の駆動回転モードを文字68で表示する。図示例では、ヘッドユニット2が左前方方向に傾斜変位しており、低速モードで可動内刃16が駆動されていることを示している。
【0056】
このように表示パネル10を透明の液晶パネルとしてあると、図10に示すように、表示パネル10の表裏面から機器情報表示を見ることができるので、喉から顎にかけて髭剃りを行うような場合でも、鏡69に映った機器情報表示によって電気かみそりの運転状態を確認することができる。機器情報表示を非表示状態に切り換えると、透明な表示パネル10を介して肌の状態を鏡69に写すことができるので、肌の状態や剃り残した髭の有無を確認しながら髭剃りを行える。
【0057】
表示パネル10が液晶パネルで構成されていると、運転状態情報はもちろんのこと、主な仕様や製造情報などの電気かみそりの固有情報や、電気かみそりのメンテナンス情報、例えば充電時期が近づいていること、可動内刃16や外刃17の交換時期が近づいていること、毛屑清掃が必要であること、あるいは電気かみそりの累積使用時間などの情報を必要に応じて表示することができる。
【0058】
この第1実施形態においては、ヘッドユニット2に設けられた軸47に、軸受孔52を有するアーム45を装着していたが、これとは逆に、アーム45側に軸を設けるとともに、ヘッドユニット2側に、該軸の挿入を許す軸受孔を設ける形式としてもよい。
【0059】
(第2実施形態)
図11に本発明の第2実施形態に係る電気かみそりを示す。そこでは、四角枠状の左右一対のアーム45と、アーム45の下端どうしを連結する一つのコイルばね46とで、浮動支持構造Fを構成してある点が先の第1実施形態と相違する。詳しくは、各アーム45は、ヘッドユニット2と本体部1とを連結する前後一対の縦リンク71・72と、縦リンク71・72の上下端を繋ぐように前後方向に走る上下一対の水平リンク73・74とで構成する。上方の水平リンク73は、ヘッドユニット2に設けられた不図示の軸受孔に揺動可能に枢支連結されている。下方の水平リンク74は、その前後端が軸受壁55に設けられたスライド孔49に挿通されている。しかるに、各アーム45の縦リンク71・72は、水平リンク73まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動できる。換言すれば、水平リンク73を本発明で言うところの軸47として、アーム45は該軸47まわりに揺動可能である。
【0060】
コイルばね46は、下方の水平リンク74・74の前後中央部どうしを繋ぐように配されており、これら水平リンク74・74に対して、互いの対向間隔寸法が小さくなるような左右内向きの移動付勢力を与える。なお、先の第1実施形態と同様に、コイルばね46の左右中央部は、係止座58に係止固定されている。
【0061】
左右の水平リンク73・73の間隔寸法は、スライド孔49・49の左右方向の間隔寸法よりも小さく設定されている。したがって、アーム45・45は、常に左右の対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような下拡がりの「ハ」字状の姿勢形態で、水平リンク73まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動できる。
【0062】
以上のような構成からなる浮動支持構造Fにおいては、ヘッドユニット2に一切の力が加わらない「常態」では、コイルばね46の左右内向きの移動付勢力を受けて、各アーム45はその下端部がスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置しており、ヘッドユニット2は浮動の中立位置に存している。この状態からヘッドユニット2があごや頬などに押し当てられると、アーム45はコイルばね46の移動付勢力に抗しながら水平リンク73まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動し、これにてヘッドユニット2を上下および左右方向に傾動させることができる。つまり、この浮動支持構造Fでは、ヘッドユニット2は、本体部1に対して上下および左右方向に傾動可能である。
【0063】
この第2実施形態に係る浮動支持構造Fにおいても、先の第1実施形態の浮動支持構造Fと同様の作用効果が得られる。すなわち、左右の水平方向に配されたコイルばね46をアーム45に対する付勢要素とするものであるため、従来の浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくすることが容易であり、したがって電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースが小さくして、首振り機構を備えた電気かみそりのコンパクト化を図ることができる。左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような「ハ」字状の傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されているので、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。左右のアーム45・45を左右方向に所定間隔を置いて配置された水平リンク73・73まわりに揺動可能に構成してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定し、したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合がない。
【0064】
加えて、コイルばね46の左右中央部を、本体部1の上部に設けられた係止座58に係止固定してあると、該係止座58による係止固定部を支点とする内向きの付勢力を左右のアーム45に対して均等に作用させることができるので、浮動支持構造Fの動作が格段に安定する。この第2実施形態に係る構成では、一本のコイルばね46で左右のアーム45・45に対して内向きの付勢力を与えることができるので、先の第1実施形態に係る構成に比べて、部品点数の削減化を図ることができる点でも優れている。
【0065】
何よりもアーム45を四角枠状としてあると、ヘッドユニット2と本体部1とを強固に連結できるので、上記第1実施形態の帯板状の四本のアーム45でヘッドユニット2と本体部1とを連結する形態に比べて、電気かみそりの全体剛性の格段の向上を図ることできる。したがって、動作不良のおそれの少ない信頼性に富んだ電気かみそりを得ることができる。
【0066】
(第3実施形態)
図12に本発明の第3実施形態を示す。そこでの浮動支持構造Fは、ヘッドユニット2の下端に設けられた一本の軸47に、左右のアーム45が揺動可能に枢支連結されている点、各アーム2の下端にローラー75が回転自在に装着されており、該ローラ75が本体部1の上端に設けられた左右に長いスライド孔49に沿ってスライド移動可能に案内支持されている点、各アーム45の下端外面と本体部1のケース3a・3bの内面との間にコイルばね46が組み付けられており、該コイルばね46で各アーム45の下端に対して、左右内向きの付勢力が与えられている点、ヘッドユニット2を常態へ復帰させることを目的として、本体部1の左右両端に、ヘッドユニット2を押し上げ付勢する上下向きのコイルばね76・76が装着されている点などが、先の第1実施形態の浮動支持構造Fと相違する。それ以外の点は、第1実施形態と略同様であるので、同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。この第3実施形態に係る浮動支持構造Fは、四本のアーム45を前後および左右の位置に独立配置してあるため、第1実施形態に係る浮動支持構造Fと同様に、上下、左右、前後方向だけでなく、左斜め前、左斜め後ろ、右斜め前、右斜め後ろ方向にもヘッドユニット2を傾動させることが可能できる。また、この浮動支持構造Fの動作および作用効果も、先の第1実施形態のそれと同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
上記第3実施形態においては、各アーム45の下端にローラー75を回転自在に装着していたが、本発明はこれに限らず、例えば楕円形の摺動体をアーム45の下端に取り付けても良い。要は各アーム45の下端がスライド孔49に沿って、スムーズにスライド移動できるものであればよい。
【0068】
(第4実施形態)
図13および図14に本発明の第4実施形態に係る電気かみそりを示す。そこでの浮動支持構造Fは、コイルばね46に替えて、前後水平方向に配されて各アーム45の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与える左右一対の弾性材製の板ばね80を付勢要素とする点が、先の第2実施形態と大きく相違する。符号81は、前後の軸受壁55の左右端部を繋ぐ連結壁を、符号82は、連結壁81よりも左右内寄りに前後内向きに突設形成された一対の係止壁を示し、板ばね80の前後端は、これら連結壁81と係止壁82との対向隙間の間に差し込み装着されている。
【0069】
この浮動支持構造Fにおいては、ヘッドユニット2に一切の力が加わらない常態においては、内向きに突出する板ばね80の波の凸部83がアーム45の水平リンク74に対して左右内向きの移動付勢力を付与しており、これにて、水平リンク74はスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置している。そして、かかる常態からヘッドユニット2に力が加わると、アーム45が板ばね80の移動付勢力に抗しながら水平リンク73まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動し、これにて、ヘッドユニット2を上下および左右方向に傾動させることができる。
【0070】
この第4実施形態に係る浮動支持構造Fにおいても、先の第2実施形態の浮動支持構造Fと同様の作用効果が得られる。すなわち、前後の水平方向に配された板ばね80をアーム45に対する付勢要素とするものであるため、従来の浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくすることが容易であり、したがって電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースが小さくして、首振り機構を備えた電気かみそりのコンパクト化を図ることができる。左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような「ハ」字状の傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されているので、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。左右のアーム45・45を左右方向に所定間隔を置いて配置された水平リンク73・73まわりに揺動可能に構成してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定し、したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合がない。アーム45を四角枠状としてあると、ヘッドユニット2と本体部1とを強固に連結できるので、上記第1実施形態の帯板状の四本のアーム45でヘッドユニット2と本体部1とを連結する形態に比べて、電気かみそりの全体剛性の格段の向上を図ることできる。したがって、動作不良のおそれの少ない信頼性に富んだ電気かみそりを得ることができる。
【0071】
(第5実施形態)
図15および図16に本発明の第5実施形態に係る電気かみそりを示す。そこでの浮動支持構造Fは、板ばね80に替えて、前後水平方向に配された左右一対の棒状ばね90を付勢要素とする点が先の第4実施形態と大きく相違する。符号91は、前後ケース3a・3bの上端に形成された、棒状ばね90を支持する支持体を示す。支持体91には、棒状ばね90の挿通を許す通孔92が、前後貫通状に設けられている。浮動支持構造Fは、左右一対、前後二組の計四本のアーム45を備えており、各アーム45の下端部に設けられた軸51がスライド孔49に案内支持されながら、軸47まわりに揺動自在に構成されている。棒状ばね90は、ピアノ線のような金属線が好適に採用できる。ゴムのような弾性材からなるものであってもよい。
【0072】
棒状ばね90は、前後の縦リンク71・72の下端部どうしを連結しており、ヘッドユニット2に一切の力が加わらない常態においては、軸51がスライド孔49の左右内向きの奥端部に位置するように付勢力を発揮し、これにてヘッドユニット2は中立姿勢にある。そして、かかる常態からヘッドユニット2に力が加わると、アーム45は、棒状ばね90が撓み変形することによって生じる移動付勢力に抗しながら、軸47まわりにスライド孔49に沿って左右方向に揺動し、これにて、ヘッドユニット2を上下および左右方向に傾動させることができる。また、ヘッドユニット2への力が解かれると、棒状ばね90の付勢力により、ヘッドユニット2は中立姿勢に復帰する。また、この浮動支持構造Fでは、四本のアーム45を前後および左右の位置に独立配置してあるため、上下、左右、前後方向だけでなく、左斜め前、左斜め後ろ、右斜め前、右斜め後ろ方向にもヘッドユニット2を傾動させることが可能である。
【0073】
この第5実施形態に係る浮動支持構造Fにおいても、先の第4実施形態の浮動支持構造Fと同様の作用効果が得られる。すなわち、前後の水平方向に配された棒状ばね90をアーム45に対する付勢要素とするものであるため、従来の浮動支持構造のように上下方向に長く配されたばねを付勢要素とするものと比べて、浮動支持構造F自身の上下寸法を小さくすることが容易であり、したがって電気かみそりに占める浮動支持構造Fの占めるスペースが小さくして、首振り機構を備えた電気かみそりのコンパクト化を図ることができる。左右のアーム45が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような「ハ」字状の傾斜姿勢で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されているので、常態姿勢から傾斜姿勢へのヘッドユニット2の傾動変位に伴うアーム45のスライド孔49に沿った軸47まわりの揺動を、がた付きなくスムーズに行うことができる。左右のアーム45・45を左右方向に所定間隔を置いて配置された軸47・47まわりに揺動可能に構成してあると、一つの軸で左右のアーム45の上端を枢支連結する形態に比べて、常態における中立姿勢が格段に安定し、したがって、不用意にヘッドユニット2が傾動変位することがなく、電気かみそりの操作性が損なわれる不具合がない。
【0074】
なお、上記第5実施形態においては、アーム45は帯板状としていたが、アーム45は、図4に示すような四角枠状としてもよい。棒状ばね45は、図示例のような線状体に限られず、薄い板状の金属片やゴム片などであってもよく、本発明で言う「棒状ばね」は、これらを含む概念である。
【0075】
上記の実施形態では、本発明をロータリー式の電気かみそりに適用した場合について説明したが、可動内刃が左右方向へ往復摺動される往復動式の電気かみそりにも等しく適用できる。上記の各実施形態には、2個あるいは4個のアーム45を備える浮動支持構造Fを示したが、アーム45の数は、これ以上であってもよい。スライド孔49は、軸受壁55に設ける必要はなく、前後ケース3a・3bの上端に開設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す縦断正面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】要部の正面図である。
【図4】電気かみそりの縦断側面図である。
【図5】浮動支持構造の動作を示す図であり、ヘッドユニットが左方向に傾いた状態を示している。
【図6】浮動支持構造の動作を示す図であり、ヘッドユニットが前方に傾いた状態を示している。
【図7】表示パネルの表示態様を示す正面図である。
【図8】本体部の横断平面図である。
【図9】制御部による制御方法を説明するための図である。
【図10】表示パネルの表示態様を説明するための図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す縦断正面図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す横断平面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す斜視図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る電気かみそりの浮動支持構造を示す横断平面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 本体部
2 ヘッドユニット
10 表示パネル
11 モーター
16 可動内刃
45 アーム
46 コイルばね
47 軸
49 スライド孔
61 センシング手段(リードスイッチ)
62 回転制御手段(制御部)
80 板ばね
90 棒状ばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター(11)および可動内刃(16)を含む左右横長のヘッドユニット(2)が、本体部(1)とヘッドユニット(2)との間に設けた浮動支持構造(F)で、少なくとも左右および上下方向へ傾動可能に浮動支持されている電気かみそりにおいて、
前記浮動支持構造(F)は、ヘッドユニット(2)の下部と本体部(1)の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム(45)と、左右水平方向に配されて各アーム(45)の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与えるコイルばね(46)とを含み、
アーム(45)の上端は、ヘッドユニット(2)の下部に設けられた軸(47)に揺動可能に枢支連結されており、アーム(45)の下端は、本体部(1)の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔(49)に沿って、スライド移動可能に案内支持されており、
常態においては、コイルばね(46)の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット(2)は浮動の中立位置に存しており、
ヘッドユニット(2)が肌面に押し当てられたとき、コイルばね(46)の移動付勢力に抗しながら各アーム(45)の下端が軸(47)まわりにスライド孔(49)に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット(2)が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できるようにしてあることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
モーター(11)および可動内刃(16)を含む左右横長のヘッドユニット(2)が、本体部(1)とヘッドユニット(2)との間に設けた浮動支持構造(F)で、少なくとも左右および上下方向へ傾動可能に浮動支持されている電気かみそりにおいて、
前記浮動支持構造(F)は、ヘッドユニット(2)の下部と本体部(1)の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム(45)と、前後水平方向に配されて各アーム(45)の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与える左右一対の板ばね(80)あるいは棒状ばね(90)とを含み、
アーム(45)の上端は、ヘッドユニット(2)の下部に設けられた軸(47)に揺動可能に枢支連結されており、アーム(45)の下端は、本体部(1)の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔(49)に沿って、スライド移動可能に案内支持されており、
常態においては、板ばね(80)あるいは棒状ばね(90)の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット(2)は浮動の中立位置に存しており、
ヘッドユニット(2)が肌面に押し当てられたとき、板ばね(80)あるいは棒状ばね(90)の移動付勢力に抗しながら各アーム(45)の下端が軸(47)まわりにスライド孔(49)に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット(2)が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できるようにしてあることを特徴とする電気かみそり。
【請求項3】
左右のアーム(45)が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような傾斜姿勢で、ヘッドユニット(2)と本体部(1)との間に装着されている請求項1又は2記載の電気かみそり。
【請求項4】
ヘッドユニット(2)の下端の前後には、左右方向に所定間隔を置いて一対の軸(47)が設けられており、これら軸(47)にアーム(45)の上端部が揺動自在に枢支連結されており、
左右のアーム(45)が下拡がりの「ハ」字状の姿勢状態で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されている請求項1又は2又は3記載の電気かみそり。
【請求項5】
少なくとも軸(47)とアーム(45)とがフレキシブルに連結されている請求項1又は2又は3又は4記載の電気かみそり。
【請求項6】
左右のアーム(45)を連結するように、コイルばね(46)が装着されており、
コイルばね(46)の中央部が、本体部(1)に固定されている請求項1又は3又は4又は5記載の電気かみそり。
【請求項7】
ヘッドユニット(2)の本体部(1)に対する傾斜角度を検出するセンシング手段(61)と、該センシング手段(61)によって検出されたヘッドユニット(2)の傾斜角度に応じて、モーター(11)の回転速度を制御する回転制御手段(62)とを備える請求項1ないし6のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項8】
本体部(1)に、センシング手段(61)によって検出されたヘッドユニット(2)の傾斜角度を表示する表示パネル(10)が設けられている請求項7記載の電気かみそり。
【請求項9】
表示パネル(10)の一部又は全部が透明材で形成されていて、表示パネル(10)に表示された傾斜角度表示を表裏から視認できるようにしている請求項8記載の電気かみそり。
【請求項1】
モーター(11)および可動内刃(16)を含む左右横長のヘッドユニット(2)が、本体部(1)とヘッドユニット(2)との間に設けた浮動支持構造(F)で、少なくとも左右および上下方向へ傾動可能に浮動支持されている電気かみそりにおいて、
前記浮動支持構造(F)は、ヘッドユニット(2)の下部と本体部(1)の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム(45)と、左右水平方向に配されて各アーム(45)の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与えるコイルばね(46)とを含み、
アーム(45)の上端は、ヘッドユニット(2)の下部に設けられた軸(47)に揺動可能に枢支連結されており、アーム(45)の下端は、本体部(1)の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔(49)に沿って、スライド移動可能に案内支持されており、
常態においては、コイルばね(46)の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット(2)は浮動の中立位置に存しており、
ヘッドユニット(2)が肌面に押し当てられたとき、コイルばね(46)の移動付勢力に抗しながら各アーム(45)の下端が軸(47)まわりにスライド孔(49)に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット(2)が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できるようにしてあることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
モーター(11)および可動内刃(16)を含む左右横長のヘッドユニット(2)が、本体部(1)とヘッドユニット(2)との間に設けた浮動支持構造(F)で、少なくとも左右および上下方向へ傾動可能に浮動支持されている電気かみそりにおいて、
前記浮動支持構造(F)は、ヘッドユニット(2)の下部と本体部(1)の上部とを連結する少なくとも左右一対のアーム(45)と、前後水平方向に配されて各アーム(45)の下端部に対して左右内向きの移動付勢力を与える左右一対の板ばね(80)あるいは棒状ばね(90)とを含み、
アーム(45)の上端は、ヘッドユニット(2)の下部に設けられた軸(47)に揺動可能に枢支連結されており、アーム(45)の下端は、本体部(1)の上部に左右方向に長く開設されたスライド孔(49)に沿って、スライド移動可能に案内支持されており、
常態においては、板ばね(80)あるいは棒状ばね(90)の移動付勢力を受けて、ヘッドユニット(2)は浮動の中立位置に存しており、
ヘッドユニット(2)が肌面に押し当てられたとき、板ばね(80)あるいは棒状ばね(90)の移動付勢力に抗しながら各アーム(45)の下端が軸(47)まわりにスライド孔(49)に沿って左右の外方向に揺動することにより、ヘッドユニット(2)が左右および上下方向へ傾動変位して、肌面の面変化に追随できるようにしてあることを特徴とする電気かみそり。
【請求項3】
左右のアーム(45)が、それらの対向間隔寸法が下方に行くに従って大きくなるような傾斜姿勢で、ヘッドユニット(2)と本体部(1)との間に装着されている請求項1又は2記載の電気かみそり。
【請求項4】
ヘッドユニット(2)の下端の前後には、左右方向に所定間隔を置いて一対の軸(47)が設けられており、これら軸(47)にアーム(45)の上端部が揺動自在に枢支連結されており、
左右のアーム(45)が下拡がりの「ハ」字状の姿勢状態で、ヘッドユニット2と本体部1との間に装着されている請求項1又は2又は3記載の電気かみそり。
【請求項5】
少なくとも軸(47)とアーム(45)とがフレキシブルに連結されている請求項1又は2又は3又は4記載の電気かみそり。
【請求項6】
左右のアーム(45)を連結するように、コイルばね(46)が装着されており、
コイルばね(46)の中央部が、本体部(1)に固定されている請求項1又は3又は4又は5記載の電気かみそり。
【請求項7】
ヘッドユニット(2)の本体部(1)に対する傾斜角度を検出するセンシング手段(61)と、該センシング手段(61)によって検出されたヘッドユニット(2)の傾斜角度に応じて、モーター(11)の回転速度を制御する回転制御手段(62)とを備える請求項1ないし6のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項8】
本体部(1)に、センシング手段(61)によって検出されたヘッドユニット(2)の傾斜角度を表示する表示パネル(10)が設けられている請求項7記載の電気かみそり。
【請求項9】
表示パネル(10)の一部又は全部が透明材で形成されていて、表示パネル(10)に表示された傾斜角度表示を表裏から視認できるようにしている請求項8記載の電気かみそり。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−255335(P2006−255335A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80730(P2005−80730)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
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