電気かみそり
【課題】せん断刃ユニットが前後へ首振り自在に支持されるとともにせん断ユニットを首振り不能に確実にロック保持できるようにする。
【解決手段】本体ケース1の上部に前後揺動自在に支持されているせん断刃ユニットKと、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構とを備えた電気かみそりであって、首振りロック機構を操作するロックノブ18が、前後揺動するせん断刃ユニットKに設けられる。
【解決手段】本体ケース1の上部に前後揺動自在に支持されているせん断刃ユニットKと、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構とを備えた電気かみそりであって、首振りロック機構を操作するロックノブ18が、前後揺動するせん断刃ユニットKに設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首振り可能なせん断刃ユニットを備えている電気かみそりにおいて、せん断刃ユニットを首振り不能にロック固定するためのロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人はこの種のロック機構を備えた電気かみそりを先に提案した(特許文献1参照)。そこでは、本体ケースの一側にせん断刃ユニットをロック固定するためのロックノブが設けられている。このロックノブを下方の待機位置から上向きにスライド操作すると、ロックノブに設けたロック棒が、せん断刃ユニットの下フレームに設けた係合溝と係合して、せん断刃ユニットの前後揺動を規制できる。
【0003】
ロック機構は、せん断刃ユニットと、該ユニットを揺動可能に支持するヘッドフレームとの間に設けた電気かみそりも別途提案している(特許文献2参照)。そこでは、ヘッドフレーム側に設けたロックノブを上向きにスライド操作して、せん断刃ユニットをロック保持する構造になっている。せん断刃ユニットは、その両側がヘッドフレームに設けた左右一対の支持壁で揺動可能に軸支してある。ロック機構は上下にスライド操作されるロックノブと、その節動構造、およびロック状態においてロックノブで揺動不能に受け止め支持される、せん断刃ユニット側の段部壁などで構成してある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−42264号公報(段落番号0027、図13)
【特許文献2】特開平9−38352号公報(段落番号0031、図26、図27)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、本体ケース側に設けたロックノブでせん断刃ユニットを揺動不能にロック固定する。そのため、本体ケースを握る手がロックノブに触れやすい。
【0006】
特許文献2では、基本的に特許文献1におけるロック機構と同様に、揺動を支持する側(ヘッドフレーム)にロックノブが設けられるため、ロックノブに指を当てた状態でせん断刃ユニットを揺動できない。
【0007】
本発明の目的は、前後揺動可能に支持されたせん断刃ユニットを確実にかつ迅速にロック保持できる電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気かみそりは、本体ケース1の上部に前後揺動自在に支持されているせん断刃ユニットKと、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構とを備えている。首振りロック機構を操作するロックノブ18が、せん断刃ユニットKに設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本体ケース1に対してせん断刃ユニットKが前後揺動できるうえ、せん断刃ユニットKをロックしたい場合は、任意にロックできる。
【0010】
さらに前後揺動自在に支持されているせん断刃ユニットKにロックノブ18が設けられるため、アンロック状態からロック状態への切り換えを迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1ないし図17は本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。図2ないし図4において電気かみそりは、本体ケース1と、その上部に設けたかみそりヘッド2と、本体ケース1に収容される電装品ユニット3などからなる。
【0012】
本体ケース1の前面には、モーター起動用のスイッチボタン5、そのロックボタン6、および運転モードを切り換えるセレクトボタン7などを含む切り換え操作具と、表示具とを設けてある。表示具は、セレクトボタン7の上側に設けた充電灯8と、電池残量表示灯9と、ケース上部に設けられて運転モードに応じて色が変化する逆U字状のモード表示灯10と、ひげセンサーのオンオフに連動して点灯するセンサー灯11との4種を含む。符号12は外刃ホルダーである。
【0013】
図3において本体ケース1の背面側には、きわぞり刃(往復動刃)13と、きわぞり刃13を駆動位置へ押し上げ操作するスライドノブ14とが設けてある。かみそりヘッド2には、横軸まわりに回転する前後一対ずつの内刃15と、内刃15に密着する前後一対の外刃16と、一対の内刃15間に配置されるセンター刃(往復動刃)17と、これらを駆動する駆動機構などを配置してある。かみそりヘッド2の左右には、かみそりヘッド2を前後揺動不能にロック固定するためのロックノブ18と、外刃ホルダー12をロック解除操作する左右一対の解除ボ
タン19などが設けてある。
【0014】
図4において電装品ユニット3は、内フレーム25と、内フレーム25の前面に装着される回路基板26と、回路基板26の背面側に配置される左右一対の2次電池27とを含み、回路基板26に電源スイッチ、および各種の表示用LEDなどを組み付けられている。
【0015】
本体ケース1内に電装品ユニット3を装着した後、本体ケース1の開口下面を塞ぐ底ケース21と内フレーム25とをビスで締結することにより、本体ケース1と、電装品ユニット3と、底ケース21との三者を分離不能に一体化する。この組み立て状態において、電装品ユニット3を含むケース内空間は、ケースパッキン28で防水してあり(図5参照)、底ケース21の接合部分も同様に防水されている。かみそりヘッド2は、その下面に固定した浮動フレーム29を介して内フレーム25に装着され、前後左右および上下の全方位へフロート自在に支持
されている。その詳細は後述する。
【0016】
図5および図6において、かみそりヘッド2は、下半部を占める動力モジュールMと、上半部を占めるせん断刃ユニットKとを含む。内刃15、外刃16、および両刃15・16を支持する構造体を含むせん断刃ユニットKは、動力モジュールMに固定したヘッドフレーム55で前後揺動自在に支持されている。せん断刃ユニットKとヘッドフレーム55との間には、ヘッドフレーム55と係合して、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構が設けられている。
【0017】
動力モジュールMは、モーター31と、遊星歯車機構からなる減速機構32とをユニット化して構成する。減速機構32で減速したモーター動力は、巻掛伝動機構33を介して内刃15に伝わる。動力モジュールMには、モーター動力を左右方向の往復動力に変換して、きわぞり刃13、およびセンター刃17に伝える動力系も設けてある。
【0018】
図5において巻掛伝動機構33は、減速機構32の出力軸34に固定される原動プーリー35と、終段軸36に固定される従動プーリー37と、両プーリー35・36に巻き掛け装着されるタイミングベルト38とからなる。終段軸36に設けた終段ギヤ39で、前後の内刃15が同時に回転駆動される。
【0019】
モーター31の回転動力を左右方向の往復動作に変換するために起振構造を備えている。図6において起振構造は、動力モジュールMの側面に固定されるガイド板40と、モーター31の出力軸に固定される駆動カム41と、駆動カム41で上下に往復駆動される受動ピース42と、受動ピース42の上下動作を左右動作に直接変換する逆L字状の伝動ベルト43と、伝動ベルト43の左右動作を受け継ぐスライド片44とを含む。伝動ベルト43は、ポリイミド繊維で強化されたポリウレタン製のタイミングベルトからなり、その屈曲部の内外が変向ギヤ4
5と遊転ローラー46とで変向案内されている。
【0020】
図6においてスライド片44に伝動された往復動力は、その上面中央に突設の駆動ピン47と振動子48とを介してセンター刃17に伝動されると同時に、スライド片44の後面に設けた駆動アーム49を介してきわぞり刃13に伝動される。詳しくは、図10に示すように、駆動アーム49の後端部に縦方向の操作溝50を形成してあり、この操作溝50に伝動アーム51の下端に設けた受動突起52が係合することにより、伝動アーム51が往復揺動して、きわぞり刃13の可動刃を左右に往復駆動できる。伝動アーム51はスライドノブ14の内面に設
けた軸53で左右揺動可能に支持してあり、スライドノブ14を待機位置から使用位置へ押し上げ操作した状態でのみ、受動突起52が操作溝50と係合して動力を受け継ぐことができる。
【0021】
図7において、せん断刃ユニットKは、内刃15、外刃16、および両刃15・16を支持する構造体、すなわちヘッドフレーム55に前後揺動可能に支持される揺動枠56および内刃支持枠57と、内刃支持枠57に対して前後面からそれぞれ着脱可能に装着される内刃ユニット58と、内刃支持枠57に着脱自在に装着される外刃ホルダー12と、内刃支持枠57の内部に収容される振動子48などで構成する。ヘッドフレーム55、揺動枠56、および内刃支持枠57はそれぞれプラスチック成形品である。
【0022】
ヘッドフレーム55は、下向きに開口するケース部60と、ケース部60の上面の左右両側に立設した側壁61とを備えており、左右の側壁61で揺動枠56を前後揺動可能に軸支する。そのために、ケース部60の上面壁は揺動枠56の揺動軌跡に沿って下凹み円弧状に形成されている。図12に示すように、側壁61の外面には左右一対の矯正ガイド101を突設し、側壁61の基端外面に、後述するロックピース90と係合するロック係合溝91を形成してある。四角枠状に形成された揺動枠56の上面左右には、上端に揺動ボス62を備えた揺動腕6
3が立設されており、前記側壁61で揺動ボス62が前後揺動自在に軸支されている。片方の揺動ボス62には、終段軸36と終段ギヤ39とが組み込まれる(図6参照)。図7に示すように振動子48の左右両端の取付部は揺動枠56に固定する。
【0023】
内刃支持枠57は、下向きに開口する角箱状のカバー部65と、カバー部65の上面左右に突設されるトンネル断面状のアーチ部66とを一体に備えており、揺動枠56に上面側から係合装着されて、ヘッドフレーム55の上面を側壁61ごとカバーする。カバー部65の上面4箇所には、内刃ユニット58を前側あるいは後側から係合装着するための装着部67を形成してある。アーチ部66の側壁外面にロックノブ18を上下スライド自在に案内支持する角ボス86が形成されており、角ボス86の下方の側壁に縦長の逃げ溝87と節動突起88とが形成
されている。アーチ部66の側壁内面には、図13に示すごとくロックピース90を上下スライド自在に案内するガイドリブ89が形成されている。このガイドリブ89によりロックピース90は安定して上下動できる。
【0024】
内刃支持枠57を揺動枠56に装着することにより、振動子48の駆動軸68のみがカバー部65の開口上面から上方へ突出するが、この開口と駆動軸68との間はパッキン69で封止する(図6参照)。内刃支持枠57のアーチ部66の外側壁には、前述のロックノブ18と解除ボタン19とが組み込まれている。
【0025】
図7および図8において内刃ユニット58は、左右に長いH字状の内刃フレーム72と、内刃フレーム72に軸支される内刃15と、片方の内刃軸に固定した内刃ギヤ74とからなる。内刃フレーム72の左右の脚下部には、前記装着部67と係合する係合溝75を左右対向状に設けてある。内刃15は、円柱状のプラスチック製ホルダーの外周面に、一群の金属切刃をスパイラル状に埋設固定して形成されている。
【0026】
内刃支持枠57に装着した内刃ユニット58はロック機構で前後移動不能に係合捕捉される。そのロック機構は、内刃支持枠57の内部に設けてあり、図8に示すごとく前後に長いロックアーム77と、ロックアーム77を押し上げ付勢する圧縮コイル形のロックばね78とからなる。
【0027】
ロックアーム77の前後端には、内刃フレーム72を係合捕捉する係合爪79が上向きに突設されている。内刃ユニット58を装着部67に差し込み装着した状態においては、ロックアーム77の係合爪79が内刃フレーム72の両側部に係合する。これにより内刃ユニット58は、前後、左右、上下の全方位へ移動不能に保持固定される。
【0028】
図9において外刃ホルダー12は、前後一対の外刃16およびセンター刃17を支持する内ケース12bと、亜鉛ダイキャスト成形品からなる外ケース12aとに分けて構成してあり、外ケース12aで内ケース12bを固定支持する。外ケース12aの両側内面の前後には、解除ボタン19と一体形成した係合爪20(図1参照)で係合捕捉される爪凹部22が形成されている。
【0029】
かみそりヘッド2の全体は、本体ケース1に前後、左右、上下の各方向を含む全方位方向へ浮動可能に支持する。詳しくは図5、図10、図11に示すように、モーターハウジング82の下面に、浮動フレーム29を固定し、浮動フレーム29の4隅外面に突設した係合脚83を、内フレーム25の係合爪に係合したうえで、内フレーム25と浮動フレーム29との間に配置した左右一対の圧縮コイル形のフロートばね84で、かみそりヘッド2の全体を前後、左右、上下の全方位へ浮動可能に支持する。かみそりヘッド2の浮動動作を阻害することなく、電
装品ユニット3を防水するために、モーターハウジング82の下面と、本体ケース1の内面の筒壁85との間が、ケースパッキン28で封止されている。
【0030】
せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止するために、せん断刃ユニットKとヘッドフレーム55との間には、首振りロック機構を備えている。図1および図12において首振りロック機構は、内刃支持枠57に組み付けられて、ロック位置とアンロック位置との間で往復切り換え操作されるロックノブ18と、ロックノブ18の切り換え操作に連動して上下動するロックピース90と、ヘッドフレーム55に設けたロック係合溝(ロック係合体)91とを含む。
【0031】
図12に示すように、上下縦長のロックノブ18の外面には、滑り止め用の突起92が、内面には前後一対の連結腕93がそれぞれ一体に形成されている。ロックピース90は、ロックノブ18の連結腕93が係合連結される連結枠95と、連結枠95の下方に形成された前後一対の弾性変形可能な節動体96と、節動体96の下端後縁から下向きに突設されたロック脚97と、連結枠95の前後に設けられた一対の接当片98を一体に備えている。
【0032】
連結枠95で囲まれる開口に前記連結腕93を嵌め込み、ロックピース90をアーチ部66の側壁内面に組み付けた状態で、連結腕93を連結枠95に圧嵌係合することにより、ロックノブ18とロックピース90とを一体化して同行移動させることができる。この組み付け状態においては、ロックピース90の前後面がガイドリブ89で案内され、節動体96の上端が逃げ溝87内へ入り込んで、節動突起88を乗越えながら上下動できる。ロック脚97の前後幅は、ロック係合溝91の前後幅より僅かに小さく寸法設定される。
【0033】
先に説明したように、せん断刃ユニットKはヘッドフレーム55で前後揺動可能に支持されている。そのため、せん断刃ユニットKを前後いずれかへ傾動した状態のままで、ロックノブ18をアンロック位置からロック位置へと押し下げ操作すると、ロック脚97がヘッドフレーム55の下凹み円弧状の上壁に当たる。こうした場合に、前後いずれかに傾動しているせん断ユニットKを強制的に中立位置へ戻すために、ロックピース90と、ロックピース90のスライド平面に対向する壁面、具体的にはヘッドフレーム55の側壁61の外面との間に、姿勢矯
正機構が設けられている。
【0034】
姿勢矯正機構は、ロックピース90に設けた接当片98と、側壁61の側壁外面に設けた前後一対の矯正ガイド101と、矯正ガイド101の上面に形成した傾斜カム面102とで構成する。図13に示すようにせん断刃ユニットKが中立位置にあるときの一対の接当片98の前後間隔は、一対の矯正ガイド101の前後面間の距離より僅かに大きく設定してある。従って、せん断刃ユニットKが中立位置にある限り、ロックノブ18は支障なく押し下げ操作できる。
【0035】
しかし、図14および図15に示すようにせん断刃ユニットKが前後いずれかへ傾いている場合には、傾いている側の接当片98のスライド軌跡と傾斜カム面102とが交差する。そのため、せん断刃ユニットKが傾いている状態のままでロックノブ18を押し下げ操作すると、接当片98が傾斜カム面102と接当し、せん断刃ユニットKの揺動中心まわりの反力モーメントPを受ける(図15では時計回転方向)。その結果、せん断刃ユニットKの全体は、矯正ガイド101で強制的に揺動操作されて中立位置側へ復帰でき、その後にロック脚97がロッ
ク係合溝91に係合できる。
【0036】
上記のように、前後揺動するせん断刃ユニットKにロックノブ18を組み込んだ電気かみそりでは、例えば図16に示すように、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロックした状態でひげそりを行え、図17に示すようにロックノブ18をアンロック状態に切り換えて、せん断刃ユニットKを前後揺動可能な状態にして使用できる。後者の使用状態においては、せん断刃ユニットKを揺動支持するヘッドフレーム55の側壁61が、内刃支持枠57、外刃ホルダー12で覆い隠されてしまうので、親指と人差し指とでせん断刃ユニットKを支えて固定し、あ
るいは必要に応じて前後に揺動操作しながらひげを剃れ、手や腕を大きく動かすまでもなく、使用者の意図のままにせん断刃面を肌に沿わせることができる。
【0037】
図18は首振りロック機構の別実施例を示す。そこでは、ロック脚97の後部に逃げ部105を切り欠き形成して、せん断刃ユニットKがロックピース90でロック固定されている状態において、前記逃げ部105の分だけせん断刃ユニットKが前方へ傾動できるようにした。つまり首振りロック機構を半ロック型に構成した。この場合には、前側の接当片98を省略して、接当片98が矯正ガイド101と接触干渉するのを防止する必要がある。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0038】
上記の実施例では、内刃15がロータリー内刃である場合について説明したが、本発明は往復動形の内刃を備えている電気かみそりにも適用できる。ロック係合体91は溝である必要はなく、突起で形成してもよく、その場合には、ロックピース90に前記突起と係合する溝や凹部等を設けるとよい。傾斜カム面102は接当片98の側に設けることができる。かみそりヘッド2は前後、左右、上下に浮動支持する必要はなく、少なくとも前後に首振り可能であればよい。つまりヘッドフレーム55が本体ケース1側に固定支持される構造であってもよい。モ
ーター等の動力源が本体ケース1内に固定支持してあってもよい。ロック係合体91はヘッドフレーム55以外の、本体ケース1側の構造体に形成することができる。
【0039】
以上のとおりこの電気かみそりは、本体ケース1の上部に設けたかみそりヘッド2に、せん断刃ユニットKが設けられており、内刃15、外刃16、および両刃15・16を支持する構造体を含むせん断刃ユニットKが、ヘッドフレーム55で前後揺動自在に支持されており、せん断刃ユニットKとヘッドフレーム55との間に、ヘッドフレーム55と係合して、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構が設けられており、首振りロック機構が、せん断刃ユニットKの構造体に組み付けられて、ロック位置とアンロック位置との間で往復切り換え操作されるロックノブ18と、ロックノブ18の切り換え操作に連動して上下動するロックピース90と、ヘッドフレーム55の側に設けられて、ロックピース90に係合するロック係合体91とを含み、ロック位置へ切り換え操作したロックピース90とロック係合体9
1とが互いに係合して、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロック固定している。従って、ロック位置へ切り換え操作したロックピース90とロック係合体91とを互いに係合させて、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロック固定でき、例えば、せん断刃ユニットKに前後方向の揺動モーメントが作用する場合でも、ロックピース90がロック解除位置へ復帰操作されるのを阻止して、せん断刃ユニットKを確実にロック保持できる。また、前後揺動するせん断刃ユニットK側にロックノブ18を設けたので、せん断刃ユニットKをアンロック状態で使用するとき、図17に示すように、親指と人差し指でせん断刃ユニットKを支えて固定し、あるいは必要に応じて前後に揺動操作しながらひげをそることができ、手や腕を大きく動かす必要もなく、使用者の意図のままにせん断刃面を肌に沿わせることができる。必要時には、せん断刃ユニットKを支持した状態のままで、ロックノブ18をロック位置に切り換えることができるので、アンロック状態からロック状態への切り換えを迅速に行うことができる、使い勝手にすぐれた電気かみそりが得られる。
【0040】
また上記電気かみそりにおいて、本体ケース1の上部に設けたかみそりヘッド2が、下半部を占める動力モジュールMと、上半部を占めるせん断刃ユニットKとで構成されており、動力モジュールMの下面に浮動フレーム29が固定されており、かみそりヘッド2が、浮動フレーム29を介して内フレーム25に装着され、浮動フレーム29と内フレーム25との間に配置したフロートばね84で、かみそりヘッド2
が前後、左右および上下の全方位へ浮動自在に支持されている。従って、前後揺動するせん断刃ユニットK側にロックノブ18を設けてあるので、せん断刃ユニットKの前後揺動を可能としながら、かみそりヘッド2の全体を全方位へ浮動できる電気かみそりが得られる。詳しくは、動力モジュールMとせん断刃ユニットKとからなるみそりヘッド2は、その下面に固定した浮動フレーム29を介して内フレーム25に装着し、浮動フレーム29と内フレーム25との間に設けたフロートばね84で浮動支持することにより、ロックノブ18に影響されることなく、かみそりヘッド2の全体を前後、左右および上下の全方位へ浮動自在に支持することができる。かみそりヘッド2を全方向へ不動自在に支持すると、かみそりヘッド2の姿勢をあごや頬などの面変化に応じて円滑に追随させフィットさせることができるうえ、かみそりヘッド2を局部的に過剰に押し付けられるのを緩和して、肌に対する接触状態をソフトなものとすることができる。
【0041】
また上記電気かみそりにおいて、せん断刃ユニットKが、ヘッドフレーム55に前後揺動可能に支持される揺動枠56および内刃支持枠57と、内刃支持枠57に対してそれぞれ着脱可能に装着される内刃ユニット58および外刃ホルダー12とを含み、ロックノブ18が、内刃支持枠57の側壁外面に配置されて、上下スライド自在に案内支持されており、ロックピース90は、ロックノブ18が係合連結される連結枠95と、弾性変形可能な節動体96と、溝状に形成したロック係合体91に係合するロック脚97を一体に備えており、内刃支持枠57の側壁内面に配置したロックピース90の連結枠95に、ロックノブ18の連結腕93が係合連結されて、ロックノブ18とロックピース90とが同行可能に連結されており、ロック位置へ切り換え操作したロックピース90とロック係合体91とが互いに係合して、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロック固定している。従って、ヘッドフレーム55で前後揺動可能に支持される揺動枠56、および内刃支持枠57と、内刃支持枠57に対してそれぞれ着脱可能に装着される内刃ユニット58、および外刃ホルダー12などでせん断刃ユニットKが構成されているので、せん断刃ユニットKの外面に、揺動枠56および内刃支持枠57の軸支構造(実施例の側壁61)が露出するのを防止できる。つまり、せん断刃ユニットKの外面に、ヘッドフレーム55側の揺動支持構造が露出するのを防止できるので、ひげそり時に固定側壁が肌に当ってせん断刃ユニットKの前後揺動が邪魔されるのを一掃できる。従って、ひげそり時におけるせん断刃ユニットKの前後揺動を常に円滑に行える。また、連結枠95、弾性変形可能な節動体96、およびロック脚97等でロックピース90を構成し、ロックピース90の連結枠95に、ロックノブ18の連結腕93を係合連結して、ロックノブ18とロックピース90とを同行可能に連結し、ロックノブ18をロック位置へ切り換え操作した状態において、ロック脚97が溝状のロック係合体91と係合して、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロック固定する首振りロック構造によれば、せん断刃ユニットKのロック状態をさらに確実に維持でき、ひげそり途中であっても、ロックノブ18をアンロック位置へ押し上げ操作するだけで、せん断刃ユニットKのロック状態を解除できる。
【0042】
また上記電気かみそりにおいて、ロックピース90と、ロックピース90のスライド平面に対向する壁面との間に、前後いずれかに傾動しているせん断ユニットKを強制的に中立位置へ戻す姿勢矯正機構が設けられており、姿勢矯正機構が、ロックピース90に設けた接当片98と、前記壁面に設けた接当片98を中立位置へ復帰操作する矯正ガイド101とで構成してある。従って、ロックピース90に設けられる接当片98と、ロックピース90のスライド平面と対向する壁面に設けた矯正ガイド101とで構成した姿勢矯正機構を備えたせん断刃ユニットKによれば、せん断刃ユニットKが前後いずれかに傾動していたとしても、ロックノブ18をロック位置へ移動操作することにより、せん断ユニットKを強制的に中立位置へ戻して、ロックピース90をロック係合体91に係合させることができる。つまり、従来の電気かみそりにおいて不可欠であった、前後いずれかに傾動しているせん断刃ユニットKの姿勢を中立位置へ戻したうえで、ロックノブ18をロック操作する手間を省くことができ、その分だけ首振りロック機構の使いやすさが向上する。
【0043】
また上記電気かみそりにおいて、ロックピース90とロック係合体91とのいずれかに、ロックピース90の前後いずれか一方への傾動を許す逃げ部105が形成されている。従って、ロックピース90がロック係合体91と係合した状態において、逃げ部105の側へロックピース90を傾動可能として、前後いずれか一方のみの傾動が規制された首振りロック機構とすることができる。つまり半ロック型の首振りロック機構を備えた電気かみそりを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】首振りロック機構の縦断正面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】電気かみそりの側面図である。
【図4】電気かみそりの分解正面図である。
【図5】かみそりヘッドの縦断正面である。
【図6】かみそりヘッドの中央縦断正面である。
【図7】かみそりヘッドの動力伝動系を省略した分解正面図である。
【図8】内刃ユニットの取り付け構造を示す縦断側面図である。
【図9】外刃ホルダーの分解斜視図である。
【図10】電気かみそりの縦断側面図である。
【図11】かみそりヘッドの浮動支持構造の概略を示す説明図である。
【図12】首振りロック機構の分解斜視図である。
【図13】図1におけるA−A線断面図である。
【図14】せん断刃ユニットが傾動した状態の図1におけるB−B線断面図である。
【図15】せん断刃ユニットの姿勢矯正動作を示す説明図である。
【図16】電気かみそりの使用状態を示す側面図である。
【図17】電気かみそりの別使用状態を示す側面図である。
【図18】首振りロック機構の別実施例を示す図15と同等位置の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 本体ケース
2 かみそりヘッド
12 外刃ホルダー
15 内刃
16 外刃
18 ロックノブ
90 ロックペース
92 ロック係合体
K せん断刃ユニット
M 動力モジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、首振り可能なせん断刃ユニットを備えている電気かみそりにおいて、せん断刃ユニットを首振り不能にロック固定するためのロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人はこの種のロック機構を備えた電気かみそりを先に提案した(特許文献1参照)。そこでは、本体ケースの一側にせん断刃ユニットをロック固定するためのロックノブが設けられている。このロックノブを下方の待機位置から上向きにスライド操作すると、ロックノブに設けたロック棒が、せん断刃ユニットの下フレームに設けた係合溝と係合して、せん断刃ユニットの前後揺動を規制できる。
【0003】
ロック機構は、せん断刃ユニットと、該ユニットを揺動可能に支持するヘッドフレームとの間に設けた電気かみそりも別途提案している(特許文献2参照)。そこでは、ヘッドフレーム側に設けたロックノブを上向きにスライド操作して、せん断刃ユニットをロック保持する構造になっている。せん断刃ユニットは、その両側がヘッドフレームに設けた左右一対の支持壁で揺動可能に軸支してある。ロック機構は上下にスライド操作されるロックノブと、その節動構造、およびロック状態においてロックノブで揺動不能に受け止め支持される、せん断刃ユニット側の段部壁などで構成してある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−42264号公報(段落番号0027、図13)
【特許文献2】特開平9−38352号公報(段落番号0031、図26、図27)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、本体ケース側に設けたロックノブでせん断刃ユニットを揺動不能にロック固定する。そのため、本体ケースを握る手がロックノブに触れやすい。
【0006】
特許文献2では、基本的に特許文献1におけるロック機構と同様に、揺動を支持する側(ヘッドフレーム)にロックノブが設けられるため、ロックノブに指を当てた状態でせん断刃ユニットを揺動できない。
【0007】
本発明の目的は、前後揺動可能に支持されたせん断刃ユニットを確実にかつ迅速にロック保持できる電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気かみそりは、本体ケース1の上部に前後揺動自在に支持されているせん断刃ユニットKと、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構とを備えている。首振りロック機構を操作するロックノブ18が、せん断刃ユニットKに設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本体ケース1に対してせん断刃ユニットKが前後揺動できるうえ、せん断刃ユニットKをロックしたい場合は、任意にロックできる。
【0010】
さらに前後揺動自在に支持されているせん断刃ユニットKにロックノブ18が設けられるため、アンロック状態からロック状態への切り換えを迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1ないし図17は本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。図2ないし図4において電気かみそりは、本体ケース1と、その上部に設けたかみそりヘッド2と、本体ケース1に収容される電装品ユニット3などからなる。
【0012】
本体ケース1の前面には、モーター起動用のスイッチボタン5、そのロックボタン6、および運転モードを切り換えるセレクトボタン7などを含む切り換え操作具と、表示具とを設けてある。表示具は、セレクトボタン7の上側に設けた充電灯8と、電池残量表示灯9と、ケース上部に設けられて運転モードに応じて色が変化する逆U字状のモード表示灯10と、ひげセンサーのオンオフに連動して点灯するセンサー灯11との4種を含む。符号12は外刃ホルダーである。
【0013】
図3において本体ケース1の背面側には、きわぞり刃(往復動刃)13と、きわぞり刃13を駆動位置へ押し上げ操作するスライドノブ14とが設けてある。かみそりヘッド2には、横軸まわりに回転する前後一対ずつの内刃15と、内刃15に密着する前後一対の外刃16と、一対の内刃15間に配置されるセンター刃(往復動刃)17と、これらを駆動する駆動機構などを配置してある。かみそりヘッド2の左右には、かみそりヘッド2を前後揺動不能にロック固定するためのロックノブ18と、外刃ホルダー12をロック解除操作する左右一対の解除ボ
タン19などが設けてある。
【0014】
図4において電装品ユニット3は、内フレーム25と、内フレーム25の前面に装着される回路基板26と、回路基板26の背面側に配置される左右一対の2次電池27とを含み、回路基板26に電源スイッチ、および各種の表示用LEDなどを組み付けられている。
【0015】
本体ケース1内に電装品ユニット3を装着した後、本体ケース1の開口下面を塞ぐ底ケース21と内フレーム25とをビスで締結することにより、本体ケース1と、電装品ユニット3と、底ケース21との三者を分離不能に一体化する。この組み立て状態において、電装品ユニット3を含むケース内空間は、ケースパッキン28で防水してあり(図5参照)、底ケース21の接合部分も同様に防水されている。かみそりヘッド2は、その下面に固定した浮動フレーム29を介して内フレーム25に装着され、前後左右および上下の全方位へフロート自在に支持
されている。その詳細は後述する。
【0016】
図5および図6において、かみそりヘッド2は、下半部を占める動力モジュールMと、上半部を占めるせん断刃ユニットKとを含む。内刃15、外刃16、および両刃15・16を支持する構造体を含むせん断刃ユニットKは、動力モジュールMに固定したヘッドフレーム55で前後揺動自在に支持されている。せん断刃ユニットKとヘッドフレーム55との間には、ヘッドフレーム55と係合して、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構が設けられている。
【0017】
動力モジュールMは、モーター31と、遊星歯車機構からなる減速機構32とをユニット化して構成する。減速機構32で減速したモーター動力は、巻掛伝動機構33を介して内刃15に伝わる。動力モジュールMには、モーター動力を左右方向の往復動力に変換して、きわぞり刃13、およびセンター刃17に伝える動力系も設けてある。
【0018】
図5において巻掛伝動機構33は、減速機構32の出力軸34に固定される原動プーリー35と、終段軸36に固定される従動プーリー37と、両プーリー35・36に巻き掛け装着されるタイミングベルト38とからなる。終段軸36に設けた終段ギヤ39で、前後の内刃15が同時に回転駆動される。
【0019】
モーター31の回転動力を左右方向の往復動作に変換するために起振構造を備えている。図6において起振構造は、動力モジュールMの側面に固定されるガイド板40と、モーター31の出力軸に固定される駆動カム41と、駆動カム41で上下に往復駆動される受動ピース42と、受動ピース42の上下動作を左右動作に直接変換する逆L字状の伝動ベルト43と、伝動ベルト43の左右動作を受け継ぐスライド片44とを含む。伝動ベルト43は、ポリイミド繊維で強化されたポリウレタン製のタイミングベルトからなり、その屈曲部の内外が変向ギヤ4
5と遊転ローラー46とで変向案内されている。
【0020】
図6においてスライド片44に伝動された往復動力は、その上面中央に突設の駆動ピン47と振動子48とを介してセンター刃17に伝動されると同時に、スライド片44の後面に設けた駆動アーム49を介してきわぞり刃13に伝動される。詳しくは、図10に示すように、駆動アーム49の後端部に縦方向の操作溝50を形成してあり、この操作溝50に伝動アーム51の下端に設けた受動突起52が係合することにより、伝動アーム51が往復揺動して、きわぞり刃13の可動刃を左右に往復駆動できる。伝動アーム51はスライドノブ14の内面に設
けた軸53で左右揺動可能に支持してあり、スライドノブ14を待機位置から使用位置へ押し上げ操作した状態でのみ、受動突起52が操作溝50と係合して動力を受け継ぐことができる。
【0021】
図7において、せん断刃ユニットKは、内刃15、外刃16、および両刃15・16を支持する構造体、すなわちヘッドフレーム55に前後揺動可能に支持される揺動枠56および内刃支持枠57と、内刃支持枠57に対して前後面からそれぞれ着脱可能に装着される内刃ユニット58と、内刃支持枠57に着脱自在に装着される外刃ホルダー12と、内刃支持枠57の内部に収容される振動子48などで構成する。ヘッドフレーム55、揺動枠56、および内刃支持枠57はそれぞれプラスチック成形品である。
【0022】
ヘッドフレーム55は、下向きに開口するケース部60と、ケース部60の上面の左右両側に立設した側壁61とを備えており、左右の側壁61で揺動枠56を前後揺動可能に軸支する。そのために、ケース部60の上面壁は揺動枠56の揺動軌跡に沿って下凹み円弧状に形成されている。図12に示すように、側壁61の外面には左右一対の矯正ガイド101を突設し、側壁61の基端外面に、後述するロックピース90と係合するロック係合溝91を形成してある。四角枠状に形成された揺動枠56の上面左右には、上端に揺動ボス62を備えた揺動腕6
3が立設されており、前記側壁61で揺動ボス62が前後揺動自在に軸支されている。片方の揺動ボス62には、終段軸36と終段ギヤ39とが組み込まれる(図6参照)。図7に示すように振動子48の左右両端の取付部は揺動枠56に固定する。
【0023】
内刃支持枠57は、下向きに開口する角箱状のカバー部65と、カバー部65の上面左右に突設されるトンネル断面状のアーチ部66とを一体に備えており、揺動枠56に上面側から係合装着されて、ヘッドフレーム55の上面を側壁61ごとカバーする。カバー部65の上面4箇所には、内刃ユニット58を前側あるいは後側から係合装着するための装着部67を形成してある。アーチ部66の側壁外面にロックノブ18を上下スライド自在に案内支持する角ボス86が形成されており、角ボス86の下方の側壁に縦長の逃げ溝87と節動突起88とが形成
されている。アーチ部66の側壁内面には、図13に示すごとくロックピース90を上下スライド自在に案内するガイドリブ89が形成されている。このガイドリブ89によりロックピース90は安定して上下動できる。
【0024】
内刃支持枠57を揺動枠56に装着することにより、振動子48の駆動軸68のみがカバー部65の開口上面から上方へ突出するが、この開口と駆動軸68との間はパッキン69で封止する(図6参照)。内刃支持枠57のアーチ部66の外側壁には、前述のロックノブ18と解除ボタン19とが組み込まれている。
【0025】
図7および図8において内刃ユニット58は、左右に長いH字状の内刃フレーム72と、内刃フレーム72に軸支される内刃15と、片方の内刃軸に固定した内刃ギヤ74とからなる。内刃フレーム72の左右の脚下部には、前記装着部67と係合する係合溝75を左右対向状に設けてある。内刃15は、円柱状のプラスチック製ホルダーの外周面に、一群の金属切刃をスパイラル状に埋設固定して形成されている。
【0026】
内刃支持枠57に装着した内刃ユニット58はロック機構で前後移動不能に係合捕捉される。そのロック機構は、内刃支持枠57の内部に設けてあり、図8に示すごとく前後に長いロックアーム77と、ロックアーム77を押し上げ付勢する圧縮コイル形のロックばね78とからなる。
【0027】
ロックアーム77の前後端には、内刃フレーム72を係合捕捉する係合爪79が上向きに突設されている。内刃ユニット58を装着部67に差し込み装着した状態においては、ロックアーム77の係合爪79が内刃フレーム72の両側部に係合する。これにより内刃ユニット58は、前後、左右、上下の全方位へ移動不能に保持固定される。
【0028】
図9において外刃ホルダー12は、前後一対の外刃16およびセンター刃17を支持する内ケース12bと、亜鉛ダイキャスト成形品からなる外ケース12aとに分けて構成してあり、外ケース12aで内ケース12bを固定支持する。外ケース12aの両側内面の前後には、解除ボタン19と一体形成した係合爪20(図1参照)で係合捕捉される爪凹部22が形成されている。
【0029】
かみそりヘッド2の全体は、本体ケース1に前後、左右、上下の各方向を含む全方位方向へ浮動可能に支持する。詳しくは図5、図10、図11に示すように、モーターハウジング82の下面に、浮動フレーム29を固定し、浮動フレーム29の4隅外面に突設した係合脚83を、内フレーム25の係合爪に係合したうえで、内フレーム25と浮動フレーム29との間に配置した左右一対の圧縮コイル形のフロートばね84で、かみそりヘッド2の全体を前後、左右、上下の全方位へ浮動可能に支持する。かみそりヘッド2の浮動動作を阻害することなく、電
装品ユニット3を防水するために、モーターハウジング82の下面と、本体ケース1の内面の筒壁85との間が、ケースパッキン28で封止されている。
【0030】
せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止するために、せん断刃ユニットKとヘッドフレーム55との間には、首振りロック機構を備えている。図1および図12において首振りロック機構は、内刃支持枠57に組み付けられて、ロック位置とアンロック位置との間で往復切り換え操作されるロックノブ18と、ロックノブ18の切り換え操作に連動して上下動するロックピース90と、ヘッドフレーム55に設けたロック係合溝(ロック係合体)91とを含む。
【0031】
図12に示すように、上下縦長のロックノブ18の外面には、滑り止め用の突起92が、内面には前後一対の連結腕93がそれぞれ一体に形成されている。ロックピース90は、ロックノブ18の連結腕93が係合連結される連結枠95と、連結枠95の下方に形成された前後一対の弾性変形可能な節動体96と、節動体96の下端後縁から下向きに突設されたロック脚97と、連結枠95の前後に設けられた一対の接当片98を一体に備えている。
【0032】
連結枠95で囲まれる開口に前記連結腕93を嵌め込み、ロックピース90をアーチ部66の側壁内面に組み付けた状態で、連結腕93を連結枠95に圧嵌係合することにより、ロックノブ18とロックピース90とを一体化して同行移動させることができる。この組み付け状態においては、ロックピース90の前後面がガイドリブ89で案内され、節動体96の上端が逃げ溝87内へ入り込んで、節動突起88を乗越えながら上下動できる。ロック脚97の前後幅は、ロック係合溝91の前後幅より僅かに小さく寸法設定される。
【0033】
先に説明したように、せん断刃ユニットKはヘッドフレーム55で前後揺動可能に支持されている。そのため、せん断刃ユニットKを前後いずれかへ傾動した状態のままで、ロックノブ18をアンロック位置からロック位置へと押し下げ操作すると、ロック脚97がヘッドフレーム55の下凹み円弧状の上壁に当たる。こうした場合に、前後いずれかに傾動しているせん断ユニットKを強制的に中立位置へ戻すために、ロックピース90と、ロックピース90のスライド平面に対向する壁面、具体的にはヘッドフレーム55の側壁61の外面との間に、姿勢矯
正機構が設けられている。
【0034】
姿勢矯正機構は、ロックピース90に設けた接当片98と、側壁61の側壁外面に設けた前後一対の矯正ガイド101と、矯正ガイド101の上面に形成した傾斜カム面102とで構成する。図13に示すようにせん断刃ユニットKが中立位置にあるときの一対の接当片98の前後間隔は、一対の矯正ガイド101の前後面間の距離より僅かに大きく設定してある。従って、せん断刃ユニットKが中立位置にある限り、ロックノブ18は支障なく押し下げ操作できる。
【0035】
しかし、図14および図15に示すようにせん断刃ユニットKが前後いずれかへ傾いている場合には、傾いている側の接当片98のスライド軌跡と傾斜カム面102とが交差する。そのため、せん断刃ユニットKが傾いている状態のままでロックノブ18を押し下げ操作すると、接当片98が傾斜カム面102と接当し、せん断刃ユニットKの揺動中心まわりの反力モーメントPを受ける(図15では時計回転方向)。その結果、せん断刃ユニットKの全体は、矯正ガイド101で強制的に揺動操作されて中立位置側へ復帰でき、その後にロック脚97がロッ
ク係合溝91に係合できる。
【0036】
上記のように、前後揺動するせん断刃ユニットKにロックノブ18を組み込んだ電気かみそりでは、例えば図16に示すように、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロックした状態でひげそりを行え、図17に示すようにロックノブ18をアンロック状態に切り換えて、せん断刃ユニットKを前後揺動可能な状態にして使用できる。後者の使用状態においては、せん断刃ユニットKを揺動支持するヘッドフレーム55の側壁61が、内刃支持枠57、外刃ホルダー12で覆い隠されてしまうので、親指と人差し指とでせん断刃ユニットKを支えて固定し、あ
るいは必要に応じて前後に揺動操作しながらひげを剃れ、手や腕を大きく動かすまでもなく、使用者の意図のままにせん断刃面を肌に沿わせることができる。
【0037】
図18は首振りロック機構の別実施例を示す。そこでは、ロック脚97の後部に逃げ部105を切り欠き形成して、せん断刃ユニットKがロックピース90でロック固定されている状態において、前記逃げ部105の分だけせん断刃ユニットKが前方へ傾動できるようにした。つまり首振りロック機構を半ロック型に構成した。この場合には、前側の接当片98を省略して、接当片98が矯正ガイド101と接触干渉するのを防止する必要がある。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0038】
上記の実施例では、内刃15がロータリー内刃である場合について説明したが、本発明は往復動形の内刃を備えている電気かみそりにも適用できる。ロック係合体91は溝である必要はなく、突起で形成してもよく、その場合には、ロックピース90に前記突起と係合する溝や凹部等を設けるとよい。傾斜カム面102は接当片98の側に設けることができる。かみそりヘッド2は前後、左右、上下に浮動支持する必要はなく、少なくとも前後に首振り可能であればよい。つまりヘッドフレーム55が本体ケース1側に固定支持される構造であってもよい。モ
ーター等の動力源が本体ケース1内に固定支持してあってもよい。ロック係合体91はヘッドフレーム55以外の、本体ケース1側の構造体に形成することができる。
【0039】
以上のとおりこの電気かみそりは、本体ケース1の上部に設けたかみそりヘッド2に、せん断刃ユニットKが設けられており、内刃15、外刃16、および両刃15・16を支持する構造体を含むせん断刃ユニットKが、ヘッドフレーム55で前後揺動自在に支持されており、せん断刃ユニットKとヘッドフレーム55との間に、ヘッドフレーム55と係合して、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構が設けられており、首振りロック機構が、せん断刃ユニットKの構造体に組み付けられて、ロック位置とアンロック位置との間で往復切り換え操作されるロックノブ18と、ロックノブ18の切り換え操作に連動して上下動するロックピース90と、ヘッドフレーム55の側に設けられて、ロックピース90に係合するロック係合体91とを含み、ロック位置へ切り換え操作したロックピース90とロック係合体9
1とが互いに係合して、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロック固定している。従って、ロック位置へ切り換え操作したロックピース90とロック係合体91とを互いに係合させて、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロック固定でき、例えば、せん断刃ユニットKに前後方向の揺動モーメントが作用する場合でも、ロックピース90がロック解除位置へ復帰操作されるのを阻止して、せん断刃ユニットKを確実にロック保持できる。また、前後揺動するせん断刃ユニットK側にロックノブ18を設けたので、せん断刃ユニットKをアンロック状態で使用するとき、図17に示すように、親指と人差し指でせん断刃ユニットKを支えて固定し、あるいは必要に応じて前後に揺動操作しながらひげをそることができ、手や腕を大きく動かす必要もなく、使用者の意図のままにせん断刃面を肌に沿わせることができる。必要時には、せん断刃ユニットKを支持した状態のままで、ロックノブ18をロック位置に切り換えることができるので、アンロック状態からロック状態への切り換えを迅速に行うことができる、使い勝手にすぐれた電気かみそりが得られる。
【0040】
また上記電気かみそりにおいて、本体ケース1の上部に設けたかみそりヘッド2が、下半部を占める動力モジュールMと、上半部を占めるせん断刃ユニットKとで構成されており、動力モジュールMの下面に浮動フレーム29が固定されており、かみそりヘッド2が、浮動フレーム29を介して内フレーム25に装着され、浮動フレーム29と内フレーム25との間に配置したフロートばね84で、かみそりヘッド2
が前後、左右および上下の全方位へ浮動自在に支持されている。従って、前後揺動するせん断刃ユニットK側にロックノブ18を設けてあるので、せん断刃ユニットKの前後揺動を可能としながら、かみそりヘッド2の全体を全方位へ浮動できる電気かみそりが得られる。詳しくは、動力モジュールMとせん断刃ユニットKとからなるみそりヘッド2は、その下面に固定した浮動フレーム29を介して内フレーム25に装着し、浮動フレーム29と内フレーム25との間に設けたフロートばね84で浮動支持することにより、ロックノブ18に影響されることなく、かみそりヘッド2の全体を前後、左右および上下の全方位へ浮動自在に支持することができる。かみそりヘッド2を全方向へ不動自在に支持すると、かみそりヘッド2の姿勢をあごや頬などの面変化に応じて円滑に追随させフィットさせることができるうえ、かみそりヘッド2を局部的に過剰に押し付けられるのを緩和して、肌に対する接触状態をソフトなものとすることができる。
【0041】
また上記電気かみそりにおいて、せん断刃ユニットKが、ヘッドフレーム55に前後揺動可能に支持される揺動枠56および内刃支持枠57と、内刃支持枠57に対してそれぞれ着脱可能に装着される内刃ユニット58および外刃ホルダー12とを含み、ロックノブ18が、内刃支持枠57の側壁外面に配置されて、上下スライド自在に案内支持されており、ロックピース90は、ロックノブ18が係合連結される連結枠95と、弾性変形可能な節動体96と、溝状に形成したロック係合体91に係合するロック脚97を一体に備えており、内刃支持枠57の側壁内面に配置したロックピース90の連結枠95に、ロックノブ18の連結腕93が係合連結されて、ロックノブ18とロックピース90とが同行可能に連結されており、ロック位置へ切り換え操作したロックピース90とロック係合体91とが互いに係合して、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロック固定している。従って、ヘッドフレーム55で前後揺動可能に支持される揺動枠56、および内刃支持枠57と、内刃支持枠57に対してそれぞれ着脱可能に装着される内刃ユニット58、および外刃ホルダー12などでせん断刃ユニットKが構成されているので、せん断刃ユニットKの外面に、揺動枠56および内刃支持枠57の軸支構造(実施例の側壁61)が露出するのを防止できる。つまり、せん断刃ユニットKの外面に、ヘッドフレーム55側の揺動支持構造が露出するのを防止できるので、ひげそり時に固定側壁が肌に当ってせん断刃ユニットKの前後揺動が邪魔されるのを一掃できる。従って、ひげそり時におけるせん断刃ユニットKの前後揺動を常に円滑に行える。また、連結枠95、弾性変形可能な節動体96、およびロック脚97等でロックピース90を構成し、ロックピース90の連結枠95に、ロックノブ18の連結腕93を係合連結して、ロックノブ18とロックピース90とを同行可能に連結し、ロックノブ18をロック位置へ切り換え操作した状態において、ロック脚97が溝状のロック係合体91と係合して、せん断刃ユニットKを前後揺動不能にロック固定する首振りロック構造によれば、せん断刃ユニットKのロック状態をさらに確実に維持でき、ひげそり途中であっても、ロックノブ18をアンロック位置へ押し上げ操作するだけで、せん断刃ユニットKのロック状態を解除できる。
【0042】
また上記電気かみそりにおいて、ロックピース90と、ロックピース90のスライド平面に対向する壁面との間に、前後いずれかに傾動しているせん断ユニットKを強制的に中立位置へ戻す姿勢矯正機構が設けられており、姿勢矯正機構が、ロックピース90に設けた接当片98と、前記壁面に設けた接当片98を中立位置へ復帰操作する矯正ガイド101とで構成してある。従って、ロックピース90に設けられる接当片98と、ロックピース90のスライド平面と対向する壁面に設けた矯正ガイド101とで構成した姿勢矯正機構を備えたせん断刃ユニットKによれば、せん断刃ユニットKが前後いずれかに傾動していたとしても、ロックノブ18をロック位置へ移動操作することにより、せん断ユニットKを強制的に中立位置へ戻して、ロックピース90をロック係合体91に係合させることができる。つまり、従来の電気かみそりにおいて不可欠であった、前後いずれかに傾動しているせん断刃ユニットKの姿勢を中立位置へ戻したうえで、ロックノブ18をロック操作する手間を省くことができ、その分だけ首振りロック機構の使いやすさが向上する。
【0043】
また上記電気かみそりにおいて、ロックピース90とロック係合体91とのいずれかに、ロックピース90の前後いずれか一方への傾動を許す逃げ部105が形成されている。従って、ロックピース90がロック係合体91と係合した状態において、逃げ部105の側へロックピース90を傾動可能として、前後いずれか一方のみの傾動が規制された首振りロック機構とすることができる。つまり半ロック型の首振りロック機構を備えた電気かみそりを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】首振りロック機構の縦断正面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】電気かみそりの側面図である。
【図4】電気かみそりの分解正面図である。
【図5】かみそりヘッドの縦断正面である。
【図6】かみそりヘッドの中央縦断正面である。
【図7】かみそりヘッドの動力伝動系を省略した分解正面図である。
【図8】内刃ユニットの取り付け構造を示す縦断側面図である。
【図9】外刃ホルダーの分解斜視図である。
【図10】電気かみそりの縦断側面図である。
【図11】かみそりヘッドの浮動支持構造の概略を示す説明図である。
【図12】首振りロック機構の分解斜視図である。
【図13】図1におけるA−A線断面図である。
【図14】せん断刃ユニットが傾動した状態の図1におけるB−B線断面図である。
【図15】せん断刃ユニットの姿勢矯正動作を示す説明図である。
【図16】電気かみそりの使用状態を示す側面図である。
【図17】電気かみそりの別使用状態を示す側面図である。
【図18】首振りロック機構の別実施例を示す図15と同等位置の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 本体ケース
2 かみそりヘッド
12 外刃ホルダー
15 内刃
16 外刃
18 ロックノブ
90 ロックペース
92 ロック係合体
K せん断刃ユニット
M 動力モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース1の上部に前後揺動自在に支持されているせん断刃ユニットKと、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構とを備えた電気かみそりであって、
首振りロック機構を操作するロックノブ18が、せん断刃ユニットKに設けられることを特徴とする電気かみそり。
【請求項1】
本体ケース1の上部に前後揺動自在に支持されているせん断刃ユニットKと、せん断刃ユニットKの前後揺動を阻止する首振りロック機構とを備えた電気かみそりであって、
首振りロック機構を操作するロックノブ18が、せん断刃ユニットKに設けられることを特徴とする電気かみそり。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−14812(P2007−14812A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292482(P2006−292482)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【分割の表示】特願2003−33661(P2003−33661)の分割
【原出願日】平成15年2月12日(2003.2.12)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【分割の表示】特願2003−33661(P2003−33661)の分割
【原出願日】平成15年2月12日(2003.2.12)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
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