説明

電気かみそり

【課題】振動によって剃毛性能をより効率良く向上することが可能な新規な構成の電気かみそりを得る。
【解決手段】本体部から突出するように設けられて剃毛部を有するヘッド部に、剃毛部を駆動する駆動機構とは別に、振動発生機構を設けた。そして、回路20には、その振動発生機構に含まれるモータRM(13a)の動作および停止を切り替える動作切替機構として、制御ボックスG1を設けた。よって、振動による剃毛性能向上効果をより一層効率良く得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、髭切断効果を高めるため、起振構造によって振動を生じさせるようにした電気かみそりが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−230662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の電気かみそりでは、剃毛部の内刃を駆動するモータで起振構造も駆動する構成であったため、起振構造を設ける場所が制約されたり、剃毛部での負荷の変動によって振動が抑制されたりして、振動による効果を得難くなる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、振動によって剃毛性能をより効率良く向上することが可能な新規な構成の電気かみそりを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、略棒状の本体部と、上記本体部の長手方向一端部に設けられたヘッド部と、を備え、上記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、上記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、上記ヘッド部に、上記駆動機構とは別に、振動を生じさせる振動発生機構を設け、上記振動発生機構の動作および停止を切り替える動作切替機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、上記駆動機構の動作状態を検知する駆動検知機構を備え、上記動作切替機構は、上記駆動検知機構にて上記駆動機構の動作が検知されたときに上記振動発生機構を動作させることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、上記電気かみそりが洗浄中であることを検知する洗浄検知機構を備え、上記動作切替機構は、上記洗浄検知機構にて上記電気かみそりが洗浄中であることが検知されたときに上記振動発生機構を停止させることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、上記振動発生機構の動作および停止を切り替える手動スイッチを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明にあっては、上記駆動機構の動作時間を計測するタイマを備え、上記動作切替機構は、上記動作時間が所定値を超えたときに上記振動発生機構を動作させることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明にあっては、上記振動発生機構の振動数を変化させる振動数可変機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、振動発生機構を駆動機構とは独立して動作させることができるため、振動発生機構が駆動機構による影響を受け難くなって、振動による剃毛性能向上効果を得やすくなる。また、振動発生機構の動作および停止を切り替える動作切替機構を設けたことで、振動による剃毛性能向上効果をより一層効率良く得ることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、駆動機構の動作によって剃毛処理中であることを検知して振動発生機構を動作させることができるため、振動発生機構の無駄な動作を減らすことができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、洗浄検知機構によって洗浄中であることを検知して振動発生機構を停止させることができるため、振動発生機構をより効率良く動作させることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、手動スイッチを設けたため、使用者が振動発生機構を動作させるか否かを選択することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、振動による起毛効果の高い仕上げ剃り時に、振動による剃毛性能向上効果を得ることが可能となる。
【0017】
請求項6の発明によれば、振動数可変機構によって振動発生機構の振動数を変化させることで、振動による剃毛性能向上効果をより一層効率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりの分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部の斜視図であって、アウタケースを取り外した状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部の平面図であって、アウタケースを取り外した状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる構成部品を示す斜視図であって、(a)は駆動機構、(b)は振動発生機構、(c)はトリマユニットを示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる振動発生機構の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる振動発生機構の側面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、および第一リンク機構の一部を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す側面図(Y方向から見た図)である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す正面図(X方向から見た図)である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す斜視図(Z方向の本体部側から見た図)である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる回路の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、便宜上、図中のX方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向と称することにする。
【0020】
図1に示すように、本実施形態にかかる電気かみそり1は、棒状に形成された本体部2と、本体部2の長手方向一方側(図1では上方側)の端部2aに揺動可能に取り付けられたヘッド部3とを備えている。
【0021】
また、本実施形態では、図1および図2に示すように、本体部2の長手方向一方側の端部2aには、側方(X方向)に膨出する突出部2bが形成されており、ヘッド部3は、この突出部2bに取り付けられている。ヘッド部3は、揺動させる力が作用しない自由状態で、本体部2から図1および図2のZ方向(=突出方向、図1および図2の上側)に突出している。
【0022】
また、図2および図3に示すように、ヘッド部3には、突出方向(Z方向)と略直交する一方向(Y方向)に細長い剃毛部4が複数(本実施形態では二つ)、相互に平行に設けられている。剃毛部4は、対をなす刃として、ヘッド部3の突端に露出するメッシュ状に形成された外刃4a(図2)と、外刃4aの内面に摺接して往復動する内刃4b(図3)とを備えており、外刃4aのメッシュの開口部から剃毛部4内に導入された毛が、外刃4aの内面と内刃4bの外面との間で剪断されるようになっている。外刃4aの外面が接触面4cとなる。本実施形態では、外刃4aはヘッド部3に固定される一方、内刃4bは例えばリニアモータ5bを含んで構成される駆動機構5によって剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)に往復駆動され、これにより、対をなす外刃4aと内刃4bとが相対動作して上記剪断作用が生じるようになっている。なお、本実施形態では、二つの内刃4bがY方向に逆位相で往復動するようになっている。
【0023】
ヘッド部3は、有底角筒状の凹部3aを有するヘッドケース3b(図3,図4)と、ヘッドケース3bの開放側を覆うアウタケース3c(図2)とを備えている。凹部3aには駆動機構5が収容され、この駆動機構5の可動部5aに内刃4bが装着される一方、外刃4aは、アウタケース3cに装着される。そして、外刃4aを取り付けたアウタケース3cを駆動機構5および内刃4bを取り付けたヘッドケース3bに覆い被せて取り付けることで、内刃4bが外刃4aに内方(図2および図3の下方)から押し付けられるようになっている。なお、内刃4bと外刃4aとの押し付け力は、例えば可動部5aに装着されたコイルスプリング等の付勢機構6によって適宜に与えることができる。
【0024】
また、図3,図4に示すように、ヘッド部3の凹部3a内には、駆動機構5の他、振動発生機構13が収容されて固定されている。振動発生機構13は、図5〜図7に示すように、シャフト13dを回転させるモータ13aと、シャフト13dに取り付けられた略半円柱状の偏心錘13bと、を有しており、ケース13cで覆われた状態にアッセンブリされている。かかる構成では、モータ13aを通電して偏心錘13bを回転させることで振動発生機構13の重心位置を変化させ、振動を生じさせることができる。振動発生機構13は、全体として細長い形状となっており、本実施形態では、その長手方向ならびにモータ13aの回転軸Avの軸方向が、剃毛部4の長手方向(すなわち駆動機構5による内刃4bの往復動方向、Y方向)に平行となる姿勢でヘッド部3に固定されている。したがって、偏心錘13bはY方向と直交するXZ平面(図7の紙面に沿う方向)内で回転することになり、振動は主としてこのXZ平面の面内方向で生じることになる。
【0025】
また、図4,図5に示すように、ヘッド部3には、剃毛部4とは別に、主として毛の調整、すなわち際剃りや長い毛の切断等に用いるトリマユニット14が取り付けられている。トリマユニット14は、全体として扁平な略矩形状を呈しており、略矩形状のケース14aと、端縁同士を揃えて相互に重なり合う二枚の鋸刃状の刃からなる刃ユニット14bと、を有している。トリマユニット14は、非使用時にはヘッド部3の外壁に沿う姿勢となる一方、使用時にはヘッド部3に対してY方向に沿う回動軸Atを中心としてヘッド部3の側外方(図4の上方)に向けて跳ね上げることができるようになっている。そして、使用時には、連結部14cを駆動機構5の可動部5aと連結し、駆動機構5によって連結部14cを介して刃ユニット14bをなす刃のうち少なくとも一方を往復動させることで、刃ユニット14bの鋸刃の切欠部分(図示せず)内に導入された毛を剪断するようになっている。
【0026】
また、本実施形態では、図4に示すように、振動発生機構13およびトリマユニット14は、駆動機構5および剃毛部4を挟んで相互に反対側に配置されている。これにより、ヘッド部3の重量バランスを向上させている。
【0027】
そして、図1および図2に示すように、本体部2の表面には、操作部7が設けられており、使用者は、この操作部7を操作することで、駆動機構5の動作および停止を切り替えることができるようになっている。本体部2内には、駆動機構5の電源としてのバッテリや、交流電力を直流電力に変換するコンバータ、駆動機構5や振動発生機構13を動作させる回路20(図13)等が収容されている。使用者は、操作部7を操作して駆動機構5を稼動して内刃4bを往復動させ、本体部2を掴持してヘッド部3の突端にある外刃4aの接触面4cを被剃毛面としての肌に押し付けながら電気かみそり1を肌に沿って動かして、髭等の毛を剃る。振動発生機構13は、駆動機構5と連動して動作するようにしてもよいし、別途振動発生機構13の動作を切り替えるための操作部を設けてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、図2,図8等に示すように、本体部2とヘッド部3との間に、本体部2に揺動可能に支持されるとともにヘッド部3を揺動可能に支持する介在部8を設けてある。この介在部8は、ヘッド部3を剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)と略平行な第一揺動軸Ay回りに揺動可能に支持するとともに、本体部2に、ヘッド部3の突出方向(すなわちZ方向)と略直交しかつ第一揺動軸Ayと直交する方向(X方向)に沿う第二揺動軸Ax回りに揺動可能に支持されている。
【0029】
ヘッド部3は、第一リンク機構9を介して介在部8に支持されている。第一リンク機構9は、図2,図8等に示すように、剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)に離間させて二つ設けられており、介在部8のY方向の端部に固定されてZ方向に向けて突設される略T字状の第一支持アーム9aと、各第一支持アーム9aのZ方向一方側(ヘッド部3の突端側、図8の上方側)にX方向に離間して回動可能に連結される二つの第一リンクアーム9bと、を有している。第一リンクアーム9bのZ方向他方側(本体部2側、図8の下方側)には、Y方向のヘッド部3の中心側に向けて突出する略円柱状の突起9cが設けられており、突起9cには拡径部9dが設けられている。図12に示すように、ヘッド部3のZ方向他方側(図12では手前側)には、これら突起9cおよび拡径部9dに対応する凹凸形状(例えば段差付きの半円筒状の凹部)を成す受容部3dが形成されている。突起9cおよび拡径部9dと受容部3dとは、少なくともいずれか一方を弾性変形させつつZ方向に相互に近接させながら嵌着できるように構成されており、本実施形態では、これらが嵌合された状態では、突起9cおよび拡径部9dが受容部3dにY方向回りに回動可能に支持されるようになっている。すなわち、本実施形態では、第一リンクアーム9bは、それぞれ、介在部8および本体部2の双方に回動可能に連結される。
【0030】
また、図8に示すように、二つの第一リンク機構9は、左右勝手違いの構成となっており、それら左右二つの第一リンク機構9について、第一リンクアーム9bの介在部8または本体部2とのY方向に沿う連結軸C11〜C14の対応するもの同士が、同心となるように配置されている。
【0031】
したがって、本実施形態では、図10に示すように、第一リンク機構9によって、ヘッド部3、介在部8(に固定される第一支持アーム9a)、および二つの第一リンクアーム9bの四つの節が、いずれもY方向に沿う四つの連結軸C11〜C14によって回動可能に結合された平面4節リンク機構が構築されている。
【0032】
そして、図10に示すように、本実施形態では、第一リンクアーム9bの介在部8(本実施形態では介在部8に固定される第一支持アーム9a)との連結軸C11,C12間の距離D11を、第一リンクアーム9bのヘッド部3との連結軸C13,C14間の距離D12より狭くしてある。さらに、Y方向からの視線(すなわち図10の視線)で、一方の第一リンクアーム9bの連結軸C11,C13を結ぶ直線L11と他方の第一リンクアーム9bの連結軸C12,C14を結ぶ直線L12との交点I1が、ヘッド部3のZ方向突端側に配置される剃毛部4の外刃4aの接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分S(図10,図11中に一点鎖線で示す)の位置に近接して配置されるように構成してある。かかる構成では、この交点I1を、図10の状態(自由状態)における第一揺動軸Ayと見なすことができる。
【0033】
ちなみに、本実施形態にかかる第一リンク機構9では、上述したように、距離D11を距離D12より狭く設定したが、これらを等距離に設定すると、第一リンク機構は平行四辺形リンク機構となって、ヘッド部3の接触面4cは平行移動することになり、揺動動作が得られなくなる。一方、距離D11を距離D12より広く設定すると、第一揺動軸Ayが接触面4cから離間するため、ヘッド部3が揺動する際に接触面4cが被剃毛面と摺動することになり、その分、揺動抵抗が増大することになる。すなわち、本実施形態では、距離D11を距離D12より狭くすることで、第一揺動軸Ay回りのより円滑な揺動動作が得られるようにしてある。
【0034】
そして、図10に示すように、本実施形態では、振動発生機構13を、第一揺動軸Ayから離間した位置に設けてある。具体的には、振動発生機構13の回転軸Avを、第一揺動軸Ayに対して、ヘッド部3の本体部2からの突出方向(Z方向)に離間して配置するとともに、当該突出方向(Z方向)に直交しかつ第一揺動軸Ayの延伸方向(Y方向)に直交する方向(X方向)にも離間して配置してある。
【0035】
また、第一揺動軸Ayは、外刃4aの接触面4c(図1,図2)の突出方向(Z方向)の先端部分Sに近接して配置し、振動発生機構13は、第一揺動軸Ayより、先端部分Sから遠ざけて配置してある。また、第一揺動軸Ayおよび振動発生機構13の回転軸AvともにY方向に沿って相互に平行に配置されている。
【0036】
したがって、本実施形態では、振動発生機構13の動作により、偏心錘13b(図6,図7等)が図10のR方向に回転し、これにより、ヘッド部3が、本体部2に対して(本実施形態では介在部8に対して)、第一揺動軸Ay回りに、図10中に円弧状の矢印Vで示すように揺動振動することになる。このように、本実施形態では、ヘッド部3を揺動振動させることで、ヘッド部3の振動強度の突出方向(Z方向)成分を減らすことができるため、肌等の被剃毛面に対する衝撃を緩和することができる。また、剃毛部4の外刃4aの接触面4cが、被剃毛面に沿って往復振動することになるから、毛を起こす効果を高めることができて、剃毛性能を向上させることができる。さらに、接触面4cと被剃毛面との摩擦を減らす効果も得ることができる。
【0037】
そして、本実施形態では、上述したように、振動発生機構13を第一揺動軸AyからX方向およびZ方向に離間して配置しているため、揺動振動のモーメントアームを長く確保することができ、効率良く振動を発生させることができる。ここで、ヘッド部3の揺動に伴う摺動抵抗を減らすには、第一揺動軸Ayはヘッド部3の突出方向(Z方向)の突端側(一方側)に配置するのが好適であるため、振動発生機構13は、ヘッド部3の突出方向の基端側(他方側)に寄せて配置するとともに、X方向の一方側に寄せて配置するのが好適となる。
【0038】
さらに、本実施形態では、剃毛部4の内刃4bの動作方向(Y方向)と、振動発生機構13の振動方向(XZ面内方向)とを、相異ならせている。内刃4bの動作方向と振動発生機構13の振動方向とが一致していると、内刃4bの往復動と振動とが相互干渉していずれか一方の性能が損なわれる虞があるが、本実施形態では、これらの方向を相異ならせることで、かかる現象を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、図3,図8,図10,図12等に示すように、ヘッドケース3bのY方向両側の端部にZ方向に貫通してY方向と略直交する薄いスリット3eを形成し、第一支持アーム9aおよび第一リンクアーム9bをZ方向の他方側(図8および図10の下側)からスリット3eに挿通してヘッドケース3bをZ方向に貫通させる構成としてある。かかる構成により、上述したような介在部8との連結軸C11,C13をヘッド部3との連結軸C12,C14よりZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に配置して交点I1(第一揺動軸Ay)を接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sに近接配置するレイアウト(図10参照)を実現しつつ、第一リンク機構9の組付性の向上を図っている。
【0040】
さらに、本実施形態では、図12に示すように、第一支持アーム9aに、第一揺動軸Ayに直交する仮想平面Py(図12参照、XZ平面)と交叉(本実施形態では直交)する平面部(図12の視線で取付部9eの裏側となる面)を有する取付部9eを設け、当該平面部を介在部8に突き当てた状態で、取付部9eを介在部8にねじ10を用いて固定した。かかる構成によれば、揺動に伴って第一支持アーム9aの取付部分に作用する力を平面部と介在部8とを突き当てた部分で受けることができるため、揺動によって第一支持アーム9aが介在部8に対してずれるのを抑制し、第一支持アーム9aをねじ10で固定した場合にあってもヘッド部3の揺動によって当該ねじ10が弛むのを抑制することができる。
【0041】
また、介在部8は、第二リンク機構11を介して本体部2に支持されている。第二リンク機構11は、図2に示すように、本体部2の突出部2bに形成された凹部2c内に収容された状態で、当該突出部2bに、ねじ止めや嵌合等されて固定される。また、この第二リンク機構11は、図2,図9,図12等に示すように、略矩形の平板状のベース部11aと、ベース部11aのX方向両端部からZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に向けて略Y字状に突設された二つの第二支持アーム11bと、これら二つの第二支持アーム11b間に架設された二つの第二リンクアーム11cと、を有している。二つの第二リンクアーム11cは、Y方向に相互に離間して配置されており、それぞれ、第二支持アーム11bに、X方向に沿う連結軸C21,C22(図11)にて回動可能に連結されている。
【0042】
また、第二リンクアーム11cは、Y方向からの視線で略U字状に形成されており、U字の開放側の部分が第二支持アーム11bに回動可能に支持される一方、U字の底部11dに介在部8を回動可能に取り付けてある。本実施形態では、第二リンクアーム11cの一対の側部11e間に、略円柱状の底部11dを、その軸回りに回動可能な状態に架設し、当該底部11dを、介在部8の底部に略円筒状の凹部として形成した受容部8aにZ方向他方側(図12の手前側)から近接させ、当該受容部8aに嵌合して取り付けてある。すなわち、本実施形態では、底部11dの中心軸がX方向に沿う連結軸C23,C24(図11)となる。
【0043】
したがって、本実施形態では、図11に示すように、第二リンク機構11によって、介在部8、本体部2(に固定される第二支持アーム11b)、および二つの第二リンクアーム11cの四つの節が、いずれもX方向に沿う四つの連結軸C21〜C24によって回動可能に結合された平面4節リンク機構が構築されている。
【0044】
そして、図11に示すように、この第二リンク機構11についても、上記第一リンク機構9と同様に、第二リンクアーム11cの本体部2(本実施形態では本体部2に固定される第二支持アーム11b)との連結軸C21,C22間の距離D21を、第二リンクアーム11cの介在部8との連結軸C23,C24間の距離D22より狭くしてある。さらに、X方向からの視線(すなわち図11の視線)で、一方の第二リンクアーム11cの連結軸C11,C13を結ぶ直線L21と他方の第二リンクアーム11cの連結軸C22,C24を結ぶ直線L22との交点I2が、第一リンクアーム9bに関わる交点I1よりも、剃毛部4の外刃4aの接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sの位置から遠ざけて配置してある。かかる構成では、この交点I2を、図11の状態(自由状態)における第二揺動軸Axと見なすことができる。
【0045】
すなわち、本実施形態では、第二揺動軸Ax(交点I2)を、剃毛部4の被剃毛面との接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sから離間して配置したため、第二揺動軸Ax回りにヘッド部3が揺動する際には、接触面4cは被剃毛面に沿って移動(摺動)することになって、揺動抵抗が生じる。
【0046】
ここで、本実施形態のように剃毛部4がY方向に沿って細長い電気かみそり1では、第二揺動軸Ax回りのヘッド部3の揺動におけるモーメントアームAmx(図11)は、第一揺動軸Ay回りの揺動におけるモーメントアームAmy(図10)より長くなるため、第二揺動軸Ax回りの揺動トルク(回転モーメント)Mx(図11)は、第一揺動軸Ay回りの揺動トルク(回転モーメント)My(図10)に比べて大きくなりやすい。したがって、何ら対策を施さない状態では、ヘッド部3は第一揺動軸Ay回りに揺動しやすくなり、第二揺動軸Ax回りには揺動しにくくなって、ヘッド部3を被剃毛面に沿って動かす際、その凹凸に対してヘッド部3の揺動の追従性が低下する虞がある。
【0047】
この点、本実施形態では、上述したように、第二揺動軸Ax(交点I2)を、第一揺動軸Ay(交点I1)よりも、剃毛部4の被剃毛面との接触面4cから遠ざけて配置することで、ヘッド部3の揺動に伴って接触面4cと被剃毛面との摺動が生じることとなって、第二揺動軸Ax回りにヘッド部3の揺動(摺動)抵抗を高めることができるため、第二揺動軸Ax回りのみにヘッド部3が揺動しやすくなるのを抑制して、ヘッド部3の被剃毛面に対する追従性を高めることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、図10に示すように、本体部2(本実施形態ではベース部11a)と介在部8との間に、ヘッド部3の介在部8に対する揺動について反力を与える第二付勢機構として、第二揺動軸Axに沿う方向の一方側から他方側にかけて、弾性部材としてのコイルスプリング12を架設した。このため、コイルスプリング12によって第二揺動軸Ax回りに所要の揺動反力を確保して第二揺動軸Ax回りにのみヘッド部3が揺動しやすくなるのをさらに抑制できる。また、第二揺動軸Axに沿ってコイルスプリング12を配置することで、当該コイルスプリング12の長さを確保しやすくなり、その分、揺動反力の設定自由度を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態では、ベース部11aと介在部8との間に第二付勢機構としてのコイルスプリング12を取り付けたため、第二リンク機構11と介在部8とを組み立てる際にコイルスプリング12を取り付けておき、それらのアセンブリ(の第二リンク機構11のベース部11a)を本体部2に固定することで、本体部2と介在部8との間に第二付勢機構を介在させた状態を得ることができる。かかる構成により、本体部2と介在部8との間に直接第二付勢機構を介装する場合に比べて、取付作業の手間を減らすことができる。
【0050】
また、本実施形態では、図2,図8,図9,図11,図12等に示すように、介在部8にも、上記第一リンク機構9およびヘッドケース3bの場合と同様に、第二支持アーム11bおよび第二リンクアーム11cを挿通するスリット8bを形成し、第二支持アーム11bおよび第二リンクアーム11cをZ方向の他方側(図8,図9,図11の下側)からスリット8bに挿通して介在部8をZ方向に貫通させる構成としてある。かかる構成により、上述したような介在部8との連結軸C11,C13をヘッド部3との連結軸C12,C14よりZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に配置して交点I1(第一揺動軸Ay)を接触面4cに近接配置するレイアウト(図10)を実現しつつ、第一リンク機構9の組付性の向上を図っている。
【0051】
次に、図13を参照して、回路20の構成ならびに動作について説明する。回路20では、直流電源21に、内刃4bを駆動する駆動機構5に含まれるリニアモータLM(5b)と振動発生機構13に含まれるモータRM(13a)と並列につなぎ、直流電源21をリニアモータLM(5b)とモータRM(13a)とで共用している。なお、リニアモータLM(5b)の動作および停止は、制御ボックスG2によって制御されるようになっている。
【0052】
また、モータRM(13a)は、電池等の直流電源21によって回転駆動されるDCモータとして構成され、モータRMに対する直流電源21からの電源供給を、トランジスタTr1によって切り替えるようにしてある。すなわち、制御ボックスG1から出力される制御電流によってトランジスタTr1がONされてモータRMに所定の駆動電流が流れるとモータRMが回転するようになっている。本実施形態では、この制御ボックスG1が振動発生機構13の動作および停止を切り替える動作切替機構に相当する。なお、R1は固定抵抗である。
【0053】
そして、本実施形態では、動作切替機構としての制御ボックスG1の動作を、手動スイッチ31や、洗浄検知機構32、電流検知機構33、タイマ34等によって、切り替えることができるようになっている。
【0054】
手動スイッチ31に関しては、例えば、当該手動スイッチ31の操作子(図示せず)を本体部2やヘッド部3のケースの表面等に露出させて設け、使用者が操作子を操作することで振動発生機構13を動作させるか否かを選択できるように構成することができる。
【0055】
洗浄検知機構32は、電気かみそり1が洗浄器(図示せず)に取り付けられるなどして洗浄中であることを検知するもので、一例としては、リニアモータLMの駆動電流が所定値以上であることを検知する電流センサ(図示せず)と、電気かみそり1が洗浄器に取り付けられていることを検知するスイッチ(図示せず)と、を有し、洗浄器に取り付けられた電気かみそり1が洗浄を行うためにリニアモータLMが動作中であることを、洗浄中であるとして検知することができる。なお、洗浄器がリニアモータLMとは別に洗浄機構を備える場合にあっては、当該洗浄機構の動作信号を電気かみそり1に伝達するように構成してもよい。また、洗浄検知機構32にて洗浄中であることが検知された場合には、音や振動の発生を抑制するためにモータRM(13a)を停止させてもよいし、洗浄効果の増大を目的としてモータRM(13a)を動作させるように構成することも可能である。
【0056】
電流検知機構33は、一例としては、リニアモータLMの駆動電流を検知する電流センサ(図示せず)を有するものとして構成し、当該電流センサで所定値以上の駆動電流が検知された場合には、リニアモータLMが動作中であるとして、当該リニアモータLMの動作と連動させて振動発生機構13を動作させるように構成することができる。本実施形態では、この電流検知機構33が駆動検知機構に相当する。
【0057】
また、タイマ34によって、リニアモータLM(5b)の動作時間(動作開始からの経過時間)を計測しておき、当該動作時間が所定値(例えば3分)を超えたときに振動発生機構13を動作させるように構成することが可能である。こうすれば、振動による起毛効果の高い仕上げ剃り時に、振動発生機構13によって振動を生じさせることができる。
【0058】
さらに、この回路20には、モータRM(13a)の駆動電圧を可変設定する駆動電圧設定回路22が含まれている。駆動電圧設定回路22は、モータRMと並列に設けられて図示しないダイヤル等の操作子の調整によって中間点CPの両側の抵抗R2,R3(の比)を可変設定可能な可変抵抗VRと、中間点CPから分岐された電流によってONされるトランジスタTr2と、を有しており、トランジスタTr2がONされると、バイパス路23を電流が流れて、トランジスタTr1がOFFするように構成されている。
【0059】
したがって、制御ボックスG1から適宜な一定周波数のパルス状の制御電流を出力させ、可変抵抗VRの設定を変更することで、駆動電流のデューティ比を変更し、これにより、モータRMの駆動電圧を可変設定することができる(PWM制御)。すなわち、抵抗R3を小さくするほど、トランジスタTr2がONしにくくなって、トランジスタTr1がOFFしにくくなり、点VMでの電位、すなわちモータRMの駆動電圧が高くなる。したがって、この場合は、モータRMの回転数が高くなる。一方、抵抗R3を大きくするほど、トランジスタTr2がONしやすくなって、トランジスタTr1がOFFしやすくなり、点VMでの電位、すなわちモータRMの駆動電圧が低くなる。したがって、この場合は、モータRMの回転数が低くなる。本実施形態では、上記操作子および駆動電圧設定回路22が、モータRM(13a)の回転数を可変設定する機構、すなわち、振動発生機構13の振動数を変化させる振動数可変機構に相当する。なお、操作子は、本体部2のケース内に設けてもよいし、当該ケースの表面につまみ等を露出させて、使用者が調整できるように構成してもよい。後者の場合、予め規定した数段階に可変設定できるようにしてもよいし、連続的に可変設定できるようにしてもよい。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態によれば、振動発生機構13を駆動機構5とは独立して動作させることができるため、振動発生機構13が駆動機構5による影響を受け難くなって、振動による剃毛性能向上効果を得やすくなる。また、振動発生機構13の動作および停止を切り替える動作切替機構として制御ボックスG1を設けたことで、振動による剃毛性能向上効果をより一層効率良く得ることができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、駆動検知機構としての電流検知機構33によって駆動機構5の動作によって剃毛処理中であることを検知して振動発生機構13を動作させることができるため、振動発生機構13の無駄な動作を減らすことができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、洗浄検知機構32によって洗浄中であることを検知して振動発生機構13を停止させることができるため、振動発生機構13をより効率良く動作させることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、手動スイッチ31を設けたため、使用者が振動発生機構13を動作させるか否かを任意に選択することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、タイマ34を設けたため、振動による起毛効果の高い仕上げ剃り時に、振動による剃毛性能向上効果を得ることが可能となる。
【0065】
また、本実施形態によれば、振動数可変機構としての駆動電圧設定回路22によって振動発生機構13の振動数を変化させることで、振動による剃毛性能向上効果をより一層効率良く得ることができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、回転するモータによって偏心錘を回転させる振動発生機構を設けたが、振動発生機構はこれには限定されず、往復振動する機構としてもよいし、回転するモータ以外の機構(例えば超音波振動子等)を用いてもよい。
【0067】
また、振動発生機構は、揺動軸回りの揺動振動を生じさせるという観点からは、当該揺動軸の周方向成分が含まれた振動を生じさせうるものであるのが好適であり、この場合、その振動に、揺動軸とねじれの位置となる方向の振動が含まれるように構成すればよい。
【0068】
また、本発明は、ヘッド部が本体部に対して揺動しないタイプの電気かみそりについても適用可能であるし、上記介在部が無く、本体部にヘッド部が直接揺動可能に支持されたタイプの電気かみそりについても適用可能である。また、刃の駆動方式も上記実施形態には限定されず、例えば回転刃タイプの電気かみそり等についても本発明を適用することができる。
【0069】
そして、回路構成も上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 電気かみそり
2 本体部
2a 端部
3 ヘッド部
4 剃毛部
4a 外刃(刃)
4b 内刃(刃)
5 駆動機構
13 振動発生機構
31 手動スイッチ
32 洗浄検知機構
33 電流検知機構(駆動検知機構)
34 タイマ
22 駆動電圧設定回路(振動数可変機構)
G1 制御ボックス(動作切替機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略棒状の本体部と、前記本体部の長手方向一端部に設けられたヘッド部と、を備え、前記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、前記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、
前記ヘッド部に、前記駆動機構とは別に、振動を生じさせる振動発生機構を設け、
前記振動発生機構の動作および停止を切り替える動作切替機構を設けたことを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
前記駆動機構の動作状態を検知する駆動検知機構を備え、
前記動作切替機構は、前記駆動検知機構にて前記駆動機構の動作が検知されたときに前記振動発生機構を動作させることを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
前記電気かみそりが洗浄中であることを検知する洗浄検知機構を備え、
前記動作切替機構は、前記洗浄検知機構にて前記電気かみそりが洗浄中であることが検知されたときに前記振動発生機構を停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
前記振動発生機構の動作および停止を切り替える手動スイッチを設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項5】
前記駆動機構の動作時間を計測するタイマを備え、
前記動作切替機構は、前記動作時間が所定値を超えたときに前記振動発生機構を動作させることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項6】
前記振動発生機構の振動数を変化させる振動数可変機構を備えることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−162137(P2010−162137A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6275(P2009−6275)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】