電気かみそり
【課題】振動によって剃毛性能をより効率良く向上することが可能な新規な構成の電気かみそりを得る。
【解決手段】本体部2から突出するように設けられて剃毛部4を有するヘッド部3に、剃毛部4を駆動する駆動機構5とは別に、振動発生機構13を設けた。ヘッド部3が本体部2に揺動可能に取り付けられている場合には、ヘッド部3の揺動振動を生じさせて、剃毛性能をより効率良く向上させることができる。
【解決手段】本体部2から突出するように設けられて剃毛部4を有するヘッド部3に、剃毛部4を駆動する駆動機構5とは別に、振動発生機構13を設けた。ヘッド部3が本体部2に揺動可能に取り付けられている場合には、ヘッド部3の揺動振動を生じさせて、剃毛性能をより効率良く向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、髭切断効果を高めるため、起振構造によって振動を生じさせるようにした電気かみそりが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−230662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の電気かみそりでは、剃毛部の内刃を駆動するモータで起振構造も駆動する構成であったため、起振構造を設ける場所が制約されたり、剃毛部での負荷の変動によって振動が抑制されたりして、振動による効果を得難くなる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、振動によって剃毛性能をより効率良く向上することが可能な新規な構成の電気かみそりを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、略棒状の本体部と、上記本体部の長手方向一端部に設けられたヘッド部と、を備え、上記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、上記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、上記ヘッド部に、上記駆動機構とは別に、振動を生じさせる振動発生機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、上記ヘッド部を、上記本体部に揺動可能に取り付けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、上記振動発生機構を、上記ヘッド部の上記本体部に対する揺動軸から離間した位置に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、上記揺動軸を、上記振動発生機構より、上記剃毛部の被剃毛面との接触面の、上記ヘッド部の上記本体部からの突出方向の先端部分に、近接して配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明にあっては、上記ヘッド部の上記本体部に対する揺動軸と、上記振動発生機構とを、上記ヘッド部の上記本体部からの突出方向に、相互に離間させて配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明にあっては、上記ヘッド部の上記本体部に対する揺動軸と、上記振動発生機構とを、上記ヘッド部の上記本体部からの突出方向に直交しかつ上記揺動軸の延伸方向に直交する方向に、相互に離間させて配置したことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明にあっては、上記振動発生機構は、偏心錘と、当該偏心錘を回転させるモータと、を有し、上記モータの回転軸と、上記揺動軸とを略平行に配置したことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明にあっては、上記刃の動作方向と、上記振動発生機構の振動方向とを相異ならせたことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明にあっては、上記ヘッド部にトリマユニットを設け、上記振動発生機構を、上記剃毛部に対して上記トリマユニットの反対側に配置したことを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明にあっては、上記駆動機構はリニアモータを含み、上記振動発生機構は回転するモータを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明にあっては、略棒状の本体部と、上記本体部の長手方向一端部に揺動可能に取り付けられたヘッド部と、を備え、上記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、上記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、上記ヘッド部に、当該ヘッド部の上記本体部に対する揺動軸回りの振動を生じさせる振動発生機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、駆動機構とは別に振動発生機構を設けたため、振動発生機構が駆動機構による影響を受け難くなって、振動による剃毛性能向上効果を得やすくなる。
【0018】
請求項2の発明によれば、ヘッド部を揺動振動させることで、振動の被剃毛面の法線方向の入力成分を比較的小さくしつつ、揺動振動によって剃毛性能向上効果を得ることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、振動発生機構を揺動軸から離間して配置することでモーメントアームを長くでき、その分、ヘッド部を揺動振動させやすくなる。
【0020】
請求項4の発明によれば、ヘッド部の揺動による被剃毛面との摺動抵抗を減らすことができる分、ヘッド部を揺動振動させやすくなる。
【0021】
請求項5の発明によれば、振動発生機構を揺動軸に対してヘッド部の本体部からの突出方向に離間して配置することで、上記モーメントアームを長くすることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、振動発生機構を揺動軸に対してヘッド部の本体部からの突出方向に直交しかつ揺動軸の延伸方向に直交する方向に離間して配置することで、上記モーメントアームを長くすることができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、振動発生機構を比較的簡素な構成としてより安価かつより小型に構成できる上、揺動軸と略直交する面に沿う方向の振動を生じさせ、ヘッド部をより効率良く揺動振動させることができる。
【0024】
請求項8の発明によれば、刃の動作と振動発生機構による振動との相互干渉を抑制することができる。
【0025】
請求項9の発明によれば、トリマユニットと振動発生機構とでヘッド部のバランスをとることができる。
【0026】
請求項10の発明によれば、駆動機構についてはリニアモータを用いることでヘッド部の大型化を抑制するとともに、振動発生機構については回転するモータを用いることで製造コストの増大を抑制することができる。
【0027】
請求項11の発明によれば、ヘッド部を揺動振動させることで、振動の被剃毛面の法線方向の入力成分を比較的小さくしつつ、揺動振動によって剃毛性能向上効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりの分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部の斜視図であって、アウタケースを取り外した状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部の平面図であって、アウタケースを取り外した状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる構成部品を示す斜視図であって、(a)は駆動機構、(b)は振動発生機構、(c)はトリマユニットを示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる振動発生機構の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる振動発生機構の側面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、および第一リンク機構の一部を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す側面図(Y方向から見た図)である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す正面図(X方向から見た図)である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す斜視図(Z方向の本体部側から見た図)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、便宜上、図中のX方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向と称することにする。
【0030】
図1に示すように、本実施形態にかかる電気かみそり1は、棒状に形成された本体部2と、本体部2の長手方向一方側(図1では上方側)の端部2aに揺動可能に取り付けられたヘッド部3とを備えている。
【0031】
また、本実施形態では、図1および図2に示すように、本体部2の長手方向一方側の端部2aには、側方(X方向)に膨出する突出部2bが形成されており、ヘッド部3は、この突出部2bに取り付けられている。ヘッド部3は、揺動させる力が作用しない自由状態で、本体部2から図1および図2のZ方向(=突出方向、図1および図2の上側)に突出している。
【0032】
また、図2および図3に示すように、ヘッド部3には、突出方向(Z方向)と略直交する一方向(Y方向)に細長い剃毛部4が複数(本実施形態では二つ)、相互に平行に設けられている。剃毛部4は、対をなす刃として、ヘッド部3の突端に露出するメッシュ状に形成された外刃4a(図2)と、外刃4aの内面に摺接して往復動する内刃4b(図3)とを備えており、外刃4aのメッシュの開口部から剃毛部4内に導入された毛が、外刃4aの内面と内刃4bの外面との間で剪断されるようになっている。外刃4aの外面が接触面4cとなる。本実施形態では、外刃4aはヘッド部3に固定される一方、内刃4bは例えばリニアモータ5bを含んで構成される駆動機構5によって剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)に往復駆動され、これにより、対をなす外刃4aと内刃4bとが相対動作して上記剪断作用が生じるようになっている。なお、本実施形態では、二つの内刃4bがY方向に逆位相で往復動するようになっている。
【0033】
ヘッド部3は、有底角筒状の凹部3aを有するヘッドケース3b(図3,図4)と、ヘッドケース3bの開放側を覆うアウタケース3c(図2)とを備えている。凹部3aには駆動機構5が収容され、この駆動機構5の可動部5aに内刃4bが装着される一方、外刃4aは、アウタケース3cに装着される。そして、外刃4aを取り付けたアウタケース3cを駆動機構5および内刃4bを取り付けたヘッドケース3bに覆い被せて取り付けることで、内刃4bが外刃4aに内方(図2および図3の下方)から押し付けられるようになっている。なお、内刃4bと外刃4aとの押し付け力は、例えば可動部5aに装着されたコイルスプリング等の付勢機構6によって適宜に与えることができる。
【0034】
また、図3,図4に示すように、ヘッド部3の凹部3a内には、駆動機構5の他、振動発生機構13が収容されて固定されている。振動発生機構13は、図5〜図7に示すように、シャフト13dを回転させるモータ13aと、シャフト13dに取り付けられた略半円柱状の偏心錘13bと、を有しており、ケース13cで覆われた状態にアッセンブリされている。かかる構成では、モータ13aを通電して偏心錘13bを回転させることで振動発生機構13の重心位置を変化させ、振動を生じさせることができる。振動発生機構13は、全体として細長い形状となっており、本実施形態では、その長手方向ならびにモータ13aの回転軸Avの軸方向が、剃毛部4の長手方向(すなわち駆動機構5による内刃4bの往復動方向、Y方向)に平行となる姿勢でヘッド部3に固定されている。したがって、偏心錘13bはY方向と直交するXZ平面(図7の紙面に沿う方向)内で回転することになり、振動は主としてこのXZ平面の面内方向で生じることになる。
【0035】
また、図4,図5に示すように、ヘッド部3には、剃毛部4とは別に、主として毛の調整、すなわち際剃りや長い毛の切断等に用いるトリマユニット14が取り付けられている。トリマユニット14は、全体として扁平な略矩形状を呈しており、略矩形状のケース14aと、端縁同士を揃えて相互に重なり合う二枚の鋸刃状の刃からなる刃ユニット14bと、を有している。トリマユニット14は、非使用時にはヘッド部3の外壁に沿う姿勢となる一方、使用時にはヘッド部3に対してY方向に沿う回動軸Atを中心としてヘッド部3の側外方(図4の上方)に向けて跳ね上げることができるようになっている。そして、使用時には、連結部14cを駆動機構5の可動部5aと連結し、駆動機構5によって連結部14cを介して刃ユニット14bをなす刃のうち少なくとも一方を往復動させることで、刃ユニット14bの鋸刃の切欠部分(図示せず)内に導入された毛を剪断するようになっている。
【0036】
また、本実施形態では、図4に示すように、振動発生機構13およびトリマユニット14は、駆動機構5および剃毛部4を挟んで相互に反対側に配置されている。これにより、ヘッド部3の重量バランスを向上させている。
【0037】
そして、図1および図2に示すように、本体部2の表面には、操作部7が設けられており、使用者は、この操作部7を操作することで、駆動機構5の作動および停止を切り替えることができるようになっている。本体部2内には、駆動機構5の電源としてのバッテリや、交流電力を直流電力に変換するコンバータ、駆動機構5を駆動する駆動回路等が収容されている。使用者は、操作部7を操作して駆動機構5を稼動して内刃4bを往復動させ、本体部2を掴持してヘッド部3の突端にある外刃4aの接触面4cを被剃毛面としての肌に押し付けながら電気かみそり1を肌に沿って動かして、髭等の毛を剃る。振動発生機構13は、駆動機構5と連動して動作するようにしてもよいし、別途振動発生機構13の動作を切り替えるための操作部を設けてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、図2,図8等に示すように、本体部2とヘッド部3との間に、本体部2に揺動可能に支持されるとともにヘッド部3を揺動可能に支持する介在部8を設けてある。この介在部8は、ヘッド部3を剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)と略平行な第一揺動軸Ay回りに揺動可能に支持するとともに、本体部2に、ヘッド部3の突出方向(すなわちZ方向)と略直交しかつ第一揺動軸Ayと直交する方向(X方向)に沿う第二揺動軸Ax回りに揺動可能に支持されている。
【0039】
ヘッド部3は、第一リンク機構9を介して介在部8に支持されている。第一リンク機構9は、図2,図8等に示すように、剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)に離間させて二つ設けられており、介在部8のY方向の端部に固定されてZ方向に向けて突設される略T字状の第一支持アーム9aと、各第一支持アーム9aのZ方向一方側(ヘッド部3の突端側、図8の上方側)にX方向に離間して回動可能に連結される二つの第一リンクアーム9bと、を有している。第一リンクアーム9bのZ方向他方側(本体部2側、図8の下方側)には、Y方向のヘッド部3の中心側に向けて突出する略円柱状の突起9cが設けられており、突起9cには拡径部9dが設けられている。図12に示すように、ヘッド部3のZ方向他方側(図12では手前側)には、これら突起9cおよび拡径部9dに対応する凹凸形状(例えば段差付きの半円筒状の凹部)を成す受容部3dが形成されている。突起9cおよび拡径部9dと受容部3dとは、少なくともいずれか一方を弾性変形させつつZ方向に相互に近接させながら嵌着できるように構成されており、本実施形態では、これらが嵌合された状態では、突起9cおよび拡径部9dが受容部3dにY方向回りに回動可能に支持されるようになっている。すなわち、本実施形態では、第一リンクアーム9bは、それぞれ、介在部8および本体部2の双方に回動可能に連結される。
【0040】
また、図8に示すように、二つの第一リンク機構9は、左右勝手違いの構成となっており、それら左右二つの第一リンク機構9について、第一リンクアーム9bの介在部8または本体部2とのY方向に沿う連結軸C11〜C14の対応するもの同士が、同心となるように配置されている。
【0041】
したがって、本実施形態では、図10に示すように、第一リンク機構9によって、ヘッド部3、介在部8(に固定される第一支持アーム9a)、および二つの第一リンクアーム9bの四つの節が、いずれもY方向に沿う四つの連結軸C11〜C14によって回動可能に結合された平面4節リンク機構が構築されている。
【0042】
そして、図10に示すように、本実施形態では、第一リンクアーム9bの介在部8(本実施形態では介在部8に固定される第一支持アーム9a)との連結軸C11,C12間の距離D11を、第一リンクアーム9bのヘッド部3との連結軸C13,C14間の距離D12より狭くしてある。さらに、Y方向からの視線(すなわち図10の視線)で、一方の第一リンクアーム9bの連結軸C11,C13を結ぶ直線L11と他方の第一リンクアーム9bの連結軸C12,C14を結ぶ直線L12との交点I1が、ヘッド部3のZ方向突端側に配置される剃毛部4の外刃4aの接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分S(図10,図11中に一点鎖線で示す)の位置に近接して配置されるように構成してある。かかる構成では、この交点I1を、図10の状態(自由状態)における第一揺動軸Ayと見なすことができる。
【0043】
ちなみに、本実施形態にかかる第一リンク機構9では、上述したように、距離D11を距離D12より狭く設定したが、これらを等距離に設定すると、第一リンク機構は平行四辺形リンク機構となって、ヘッド部3の接触面4cは平行移動することになり、揺動動作が得られなくなる。一方、距離D11を距離D12より広く設定すると、第一揺動軸Ayが接触面4cから離間するため、ヘッド部3が揺動する際に接触面4cが被剃毛面と摺動することになり、その分、揺動抵抗が増大することになる。すなわち、本実施形態では、距離D11を距離D12より狭くすることで、第一揺動軸Ay回りのより円滑な揺動動作が得られるようにしてある。
【0044】
そして、図10に示すように、本実施形態では、振動発生機構13を、第一揺動軸Ayから離間した位置に設けてある。具体的には、振動発生機構13の回転軸Avを、第一揺動軸Ayに対して、ヘッド部3の本体部2からの突出方向(Z方向)に離間して配置するとともに、当該突出方向(Z方向)に直交しかつ第一揺動軸Ayの延伸方向(Y方向)に直交する方向(X方向)にも離間して配置してある。
【0045】
また、第一揺動軸Ayは、外刃4aの接触面4c(図1,図2)の突出方向(Z方向)の先端部分Sに近接して配置し、振動発生機構13は、第一揺動軸Ayより、先端部分Sから遠ざけて配置してある。また、第一揺動軸Ayおよび振動発生機構13の回転軸AvともにY方向に沿って相互に平行に配置されている。
【0046】
したがって、本実施形態では、振動発生機構13の作動により、偏心錘13b(図6,図7等)が図10のR方向に回転し、これにより、ヘッド部3が、本体部2に対して(本実施形態では介在部8に対して)、第一揺動軸Ay回りに、図10中に円弧状の矢印Vで示すように揺動振動することになる。このように、本実施形態では、ヘッド部3を揺動振動させることで、ヘッド部3の振動強度の突出方向(Z方向)成分を減らすことができるため、肌等の被剃毛面に対する衝撃を緩和することができる。また、剃毛部4の外刃4aの接触面4cが、被剃毛面に沿って往復振動することになるから、毛を起こす効果を高めることができて、剃毛性能を向上させることができる。さらに、接触面4cと被剃毛面との摩擦を減らす効果も得ることができる。
【0047】
そして、本実施形態では、上述したように、振動発生機構13を第一揺動軸AyからX方向およびZ方向に離間して配置しているため、揺動振動のモーメントアームを長く確保することができ、効率良く振動を発生させることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、剃毛部4の内刃4bの動作方向(Y方向)と、振動発生機構13の振動方向(XZ面内方向)とを、相異ならせている。内刃4bの動作方向と振動発生機構13の振動方向とが一致していると、内刃4bの往復動と振動とが相互干渉していずれか一方の性能が損なわれる虞があるが、本実施形態では、これらの方向を相異ならせることで、かかる現象を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、図3,図8,図10,図12等に示すように、ヘッドケース3bのY方向両側の端部にZ方向に貫通してY方向と略直交する薄いスリット3eを形成し、第一支持アーム9aおよび第一リンクアーム9bをZ方向の他方側(図8および図10の下側)からスリット3eに挿通してヘッドケース3bをZ方向に貫通させる構成としてある。かかる構成により、上述したような介在部8との連結軸C11,C13をヘッド部3との連結軸C12,C14よりZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に配置して交点I1(第一揺動軸Ay)を接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sに近接配置するレイアウト(図10参照)を実現しつつ、第一リンク機構9の組付性の向上を図っている。
【0050】
さらに、本実施形態では、図12に示すように、第一支持アーム9aに、第一揺動軸Ayに直交する仮想平面Py(図12参照、XZ平面)と交叉(本実施形態では直交)する平面部(図12の視線で取付部9eの裏側となる面)を有する取付部9eを設け、当該平面部を介在部8に突き当てた状態で、取付部9eを介在部8にねじ10を用いて固定した。かかる構成によれば、揺動に伴って第一支持アーム9aの取付部分に作用する力を平面部と介在部8とを突き当てた部分で受けることができるため、揺動によって第一支持アーム9aが介在部8に対してずれるのを抑制し、第一支持アーム9aをねじ10で固定した場合にあってもヘッド部3の揺動によって当該ねじ10が弛むのを抑制することができる。
【0051】
また、介在部8は、第二リンク機構11を介して本体部2に支持されている。第二リンク機構11は、図2に示すように、本体部2の突出部2bに形成された凹部2c内に収容された状態で、当該突出部2bに、ねじ止めや嵌合等されて固定される。また、この第二リンク機構11は、図2,図9,図12等に示すように、略矩形の平板状のベース部11aと、ベース部11aのX方向両端部からZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に向けて略Y字状に突設された二つの第二支持アーム11bと、これら二つの第二支持アーム11b間に架設された二つの第二リンクアーム11cと、を有している。二つの第二リンクアーム11cは、Y方向に相互に離間して配置されており、それぞれ、第二支持アーム11bに、X方向に沿う連結軸C21,C22(図11)にて回動可能に連結されている。
【0052】
また、第二リンクアーム11cは、Y方向からの視線で略U字状に形成されており、U字の開放側の部分が第二支持アーム11bに回動可能に支持される一方、U字の底部11dに介在部8を回動可能に取り付けてある。本実施形態では、第二リンクアーム11cの一対の側部11e間に、略円柱状の底部11dを、その軸回りに回動可能な状態に架設し、当該底部11dを、介在部8の底部に略円筒状の凹部として形成した受容部8aにZ方向他方側(図12の手前側)から近接させ、当該受容部8aに嵌合して取り付けてある。すなわち、本実施形態では、底部11dの中心軸がX方向に沿う連結軸C23,C24(図11)となる。
【0053】
したがって、本実施形態では、図11に示すように、第二リンク機構11によって、介在部8、本体部2(に固定される第二支持アーム11b)、および二つの第二リンクアーム11cの四つの節が、いずれもX方向に沿う四つの連結軸C21〜C24によって回動可能に結合された平面4節リンク機構が構築されている。
【0054】
そして、図11に示すように、この第二リンク機構11についても、上記第一リンク機構9と同様に、第二リンクアーム11cの本体部2(本実施形態では本体部2に固定される第二支持アーム11b)との連結軸C21,C22間の距離D21を、第二リンクアーム11cの介在部8との連結軸C23,C24間の距離D22より狭くしてある。さらに、X方向からの視線(すなわち図11の視線)で、一方の第二リンクアーム11cの連結軸C11,C13を結ぶ直線L21と他方の第二リンクアーム11cの連結軸C22,C24を結ぶ直線L22との交点I2が、第一リンクアーム9bに関わる交点I1よりも、剃毛部4の外刃4aの接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sの位置から遠ざけて配置してある。かかる構成では、この交点I2を、図11の状態(自由状態)における第二揺動軸Axと見なすことができる。
【0055】
すなわち、本実施形態では、第二揺動軸Ax(交点I2)を、剃毛部4の被剃毛面との接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sから離間して配置したため、第二揺動軸Ax回りにヘッド部3が揺動する際には、接触面4cは被剃毛面に沿って移動(摺動)することになって、揺動抵抗が生じる。
【0056】
ここで、本実施形態のように剃毛部4がY方向に沿って細長い電気かみそり1では、第二揺動軸Ax回りのヘッド部3の揺動におけるモーメントアームAmx(図11)は、第一揺動軸Ay回りの揺動におけるモーメントアームAmy(図10)より長くなるため、第二揺動軸Ax回りの揺動トルク(回転モーメント)Mx(図11)は、第一揺動軸Ay回りの揺動トルク(回転モーメント)My(図10)に比べて大きくなりやすい。したがって、何ら対策を施さない状態では、ヘッド部3は第一揺動軸Ay回りに揺動しやすくなり、第二揺動軸Ax回りには揺動しにくくなって、ヘッド部3を被剃毛面に沿って動かす際、その凹凸に対してヘッド部3の揺動の追従性が低下する虞がある。
【0057】
この点、本実施形態では、上述したように、第二揺動軸Ax(交点I2)を、第一揺動軸Ay(交点I1)よりも、剃毛部4の被剃毛面との接触面4cから遠ざけて配置することで、ヘッド部3の揺動に伴って接触面4cと被剃毛面との摺動が生じることとなって、第二揺動軸Ax回りにヘッド部3の揺動(摺動)抵抗を高めることができるため、第二揺動軸Ax回りのみにヘッド部3が揺動しやすくなるのを抑制して、ヘッド部3の被剃毛面に対する追従性を高めることができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、図10に示すように、本体部2(本実施形態ではベース部11a)と介在部8との間に、ヘッド部3の介在部8に対する揺動について反力を与える第二付勢機構として、第二揺動軸Axに沿う方向の一方側から他方側にかけて、弾性部材としてのコイルスプリング12を架設した。このため、コイルスプリング12によって第二揺動軸Ax回りに所要の揺動反力を確保して第二揺動軸Ax回りにのみヘッド部3が揺動しやすくなるのをさらに抑制できる。また、第二揺動軸Axに沿ってコイルスプリング12を配置することで、当該コイルスプリング12の長さを確保しやすくなり、その分、揺動反力の設定自由度を高めることができる。
【0059】
また、本実施形態では、ベース部11aと介在部8との間に第二付勢機構としてのコイルスプリング12を取り付けたため、第二リンク機構11と介在部8とを組み立てる際にコイルスプリング12を取り付けておき、それらのアセンブリ(の第二リンク機構11のベース部11a)を本体部2に固定することで、本体部2と介在部8との間に第二付勢機構を介在させた状態を得ることができる。かかる構成により、本体部2と介在部8との間に直接第二付勢機構を介装する場合に比べて、取付作業の手間を減らすことができる。
【0060】
また、本実施形態では、図2,図8,図9,図11,図12等に示すように、介在部8にも、上記第一リンク機構9およびヘッドケース3bの場合と同様に、第二支持アーム11bおよび第二リンクアーム11cを挿通するスリット8bを形成し、第二支持アーム11bおよび第二リンクアーム11cをZ方向の他方側(図8,図9,図11の下側)からスリット8bに挿通して介在部8をZ方向に貫通させる構成としてある。かかる構成により、上述したような介在部8との連結軸C11,C13をヘッド部3との連結軸C12,C14よりZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に配置して交点I1(第一揺動軸Ay)を接触面4cに近接配置するレイアウト(図10)を実現しつつ、第一リンク機構9の組付性の向上を図っている。
【0061】
以上、説明したように、本実施形態では、ヘッド部3に、駆動機構5とは別に、振動発生機構13を設けた。よって、例えば、ヘッド部3が被剃毛面に強く押し付けられるなどして剃毛部4における内刃4bの摺動抵抗が高まって動作速度が遅くなったような場合にあっても、振動発生機構13は駆動機構5とは独立して動作することができる。すなわち、かかる構成によれば、振動発生機構13が駆動機構5による影響を受け難くなって、振動による剃毛性能向上効果を得やすくなる。
【0062】
また、本実施形態では、ヘッド部3を、本体部2に揺動可能に取り付けた。よって、振動発生機構13によってヘッド部3を揺動振動させることができ、これにより、振動の被剃毛面の法線方向の入力成分を比較的小さくして、被剃毛面に対する衝撃を緩和しながら、振動による剃毛性能向上効果を得ることができる。
【0063】
また、本実施形態では、振動発生機構13を、第一揺動軸Ayから離間した位置に設けた。このように、振動発生機構13を第一揺動軸Ayから離間して配置することで第一揺動軸Ay回りの揺動振動についてモーメントアームを長くでき、その分、ヘッド部3を揺動振動させやすくなる。
【0064】
また、本実施形態では、第一揺動軸Ayを、振動発生機構13より、剃毛部4の被剃毛面との接触面4cの、ヘッド部3の本体部2からの突出方向(Z方向)の先端部分Sに、近接して配置した。よって、ヘッド部3の揺動による被剃毛面との摺動抵抗を減らすことができる分、振動発生機構13によってヘッド部3をより一層揺動振動させやすくなる。
【0065】
また、本実施形態では、第一揺動軸Ayと振動発生機構13とを、X方向およびZ方向に相互に離間して配置することで、第一揺動軸Ay回りの揺動振動についてモーメントアームを長くでき、その分、ヘッド部3を揺動振動させやすくなる。このとき、第一揺動軸Ayはヘッド部3の突出方向(Z方向)の突端側(一方側)に配置するのが好適であるため、振動発生機構13は、ヘッド部3の突出方向の基端側(他方側)に寄せて配置するとともに、X方向の一方側に寄せて配置するのが好適である。
【0066】
また、本実施形態では、振動発生機構13は、偏心錘13bと、当該偏心錘13bを回転させるモータ13aと、を有し、モータ13aの回転軸Avと、第一揺動軸Ayとを略平行に配置した。したがって、振動発生機構13を比較的簡素な構成としてより安価かつより小型に構成できる上、当該振動発生機構13により、第一揺動軸Ayの回りの振動、すなわち第一揺動軸Ayと直交するXZ平面の面内方向の振動を生じさせることができるため、ヘッド部3をより効率良く揺動振動させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、内刃4bの動作方向と、振動発生機構13の振動方向とを相異ならせた。よって、内刃4bの動作と振動発生機構13による振動との相互干渉を抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、ヘッド部3にトリマユニット14を設け、振動発生機構13を、剃毛部4および駆動機構5に対してトリマユニット14の反対側に配置した。したがって、振動発生機構13とトリマユニット14とでヘッド部3の重量バランスを向上することができるとともに、振動発生機構13およびトリマユニット14をヘッド部3にスペース的にも効率良く配置できて、ヘッド部3の大型化ひいては重量増を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、駆動機構5はリニアモータ5bを含み、振動発生機構13は回転するモータ13aを含む。よって、駆動機構5についてはリニアモータ5bを用いることで回転するモータを用いた場合に比べてヘッド部3の大型化を抑制することができるとともに、振動発生機構13については回転するモータ13aを用いることで製造コストの増大を抑制することができる。したがって、小型軽量化と製造コスト低減とを良好なレベルで両立することができる。
【0070】
また、本実施形態では、本体部2に揺動可能に支持されたヘッド部3に、第一揺動軸Ay回りの振動を生じさせる振動発生機構13を設けた。これにより、振動の被剃毛面の法線方向の入力成分を比較的小さくしつつ、揺動振動により剃毛性能向上効果を得ることができる。
【0071】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、回転するモータによって偏心錘を回転させる振動発生機構を設けたが、振動発生機構はこれには限定されず、往復振動する機構としてもよいし、回転するモータ以外の機構(例えば超音波振動子等)を用いてもよい。
【0072】
また、振動発生機構は、揺動軸回りの揺動振動を生じさせるという観点からは、当該揺動軸の周方向成分が含まれた振動を生じさせうるものであるのが好適であり、この場合、その振動に、揺動軸とねじれの位置となる方向の振動が含まれるように構成すればよい。
【0073】
また、本発明は、ヘッド部が本体部に対して揺動しないタイプの電気かみそりについても適用可能であるし、上記介在部が無く、本体部にヘッド部が直接揺動可能に支持されたタイプの電気かみそりについても適用可能である。また、刃の駆動方式も上記実施形態には限定されず、例えば回転刃タイプの電気かみそり等についても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 電気かみそり
2 本体部
2a 端部
3 ヘッド部
4 剃毛部
4a 外刃(刃)
4b 内刃(刃)
4c 接触面
5 駆動機構
5b リニアモータ
13 振動発生機構
13a モータ
13b 偏心錘
14 トリマユニット
Av 回転軸
Ay 第一揺動軸(揺動軸)
S 先端部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、髭切断効果を高めるため、起振構造によって振動を生じさせるようにした電気かみそりが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−230662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の電気かみそりでは、剃毛部の内刃を駆動するモータで起振構造も駆動する構成であったため、起振構造を設ける場所が制約されたり、剃毛部での負荷の変動によって振動が抑制されたりして、振動による効果を得難くなる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、振動によって剃毛性能をより効率良く向上することが可能な新規な構成の電気かみそりを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、略棒状の本体部と、上記本体部の長手方向一端部に設けられたヘッド部と、を備え、上記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、上記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、上記ヘッド部に、上記駆動機構とは別に、振動を生じさせる振動発生機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、上記ヘッド部を、上記本体部に揺動可能に取り付けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、上記振動発生機構を、上記ヘッド部の上記本体部に対する揺動軸から離間した位置に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、上記揺動軸を、上記振動発生機構より、上記剃毛部の被剃毛面との接触面の、上記ヘッド部の上記本体部からの突出方向の先端部分に、近接して配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明にあっては、上記ヘッド部の上記本体部に対する揺動軸と、上記振動発生機構とを、上記ヘッド部の上記本体部からの突出方向に、相互に離間させて配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明にあっては、上記ヘッド部の上記本体部に対する揺動軸と、上記振動発生機構とを、上記ヘッド部の上記本体部からの突出方向に直交しかつ上記揺動軸の延伸方向に直交する方向に、相互に離間させて配置したことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明にあっては、上記振動発生機構は、偏心錘と、当該偏心錘を回転させるモータと、を有し、上記モータの回転軸と、上記揺動軸とを略平行に配置したことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明にあっては、上記刃の動作方向と、上記振動発生機構の振動方向とを相異ならせたことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明にあっては、上記ヘッド部にトリマユニットを設け、上記振動発生機構を、上記剃毛部に対して上記トリマユニットの反対側に配置したことを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明にあっては、上記駆動機構はリニアモータを含み、上記振動発生機構は回転するモータを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明にあっては、略棒状の本体部と、上記本体部の長手方向一端部に揺動可能に取り付けられたヘッド部と、を備え、上記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、上記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、上記ヘッド部に、当該ヘッド部の上記本体部に対する揺動軸回りの振動を生じさせる振動発生機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、駆動機構とは別に振動発生機構を設けたため、振動発生機構が駆動機構による影響を受け難くなって、振動による剃毛性能向上効果を得やすくなる。
【0018】
請求項2の発明によれば、ヘッド部を揺動振動させることで、振動の被剃毛面の法線方向の入力成分を比較的小さくしつつ、揺動振動によって剃毛性能向上効果を得ることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、振動発生機構を揺動軸から離間して配置することでモーメントアームを長くでき、その分、ヘッド部を揺動振動させやすくなる。
【0020】
請求項4の発明によれば、ヘッド部の揺動による被剃毛面との摺動抵抗を減らすことができる分、ヘッド部を揺動振動させやすくなる。
【0021】
請求項5の発明によれば、振動発生機構を揺動軸に対してヘッド部の本体部からの突出方向に離間して配置することで、上記モーメントアームを長くすることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、振動発生機構を揺動軸に対してヘッド部の本体部からの突出方向に直交しかつ揺動軸の延伸方向に直交する方向に離間して配置することで、上記モーメントアームを長くすることができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、振動発生機構を比較的簡素な構成としてより安価かつより小型に構成できる上、揺動軸と略直交する面に沿う方向の振動を生じさせ、ヘッド部をより効率良く揺動振動させることができる。
【0024】
請求項8の発明によれば、刃の動作と振動発生機構による振動との相互干渉を抑制することができる。
【0025】
請求項9の発明によれば、トリマユニットと振動発生機構とでヘッド部のバランスをとることができる。
【0026】
請求項10の発明によれば、駆動機構についてはリニアモータを用いることでヘッド部の大型化を抑制するとともに、振動発生機構については回転するモータを用いることで製造コストの増大を抑制することができる。
【0027】
請求項11の発明によれば、ヘッド部を揺動振動させることで、振動の被剃毛面の法線方向の入力成分を比較的小さくしつつ、揺動振動によって剃毛性能向上効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりの分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部の斜視図であって、アウタケースを取り外した状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部の平面図であって、アウタケースを取り外した状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる構成部品を示す斜視図であって、(a)は駆動機構、(b)は振動発生機構、(c)はトリマユニットを示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる振動発生機構の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりのヘッド部に設けられる振動発生機構の側面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、および第一リンク機構の一部を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す側面図(Y方向から見た図)である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す正面図(X方向から見た図)である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態にかかる電気かみそりに含まれる第二リンク機構、介在部、第一リンク機構、およびヘッド部の一部を示す斜視図(Z方向の本体部側から見た図)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、便宜上、図中のX方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向と称することにする。
【0030】
図1に示すように、本実施形態にかかる電気かみそり1は、棒状に形成された本体部2と、本体部2の長手方向一方側(図1では上方側)の端部2aに揺動可能に取り付けられたヘッド部3とを備えている。
【0031】
また、本実施形態では、図1および図2に示すように、本体部2の長手方向一方側の端部2aには、側方(X方向)に膨出する突出部2bが形成されており、ヘッド部3は、この突出部2bに取り付けられている。ヘッド部3は、揺動させる力が作用しない自由状態で、本体部2から図1および図2のZ方向(=突出方向、図1および図2の上側)に突出している。
【0032】
また、図2および図3に示すように、ヘッド部3には、突出方向(Z方向)と略直交する一方向(Y方向)に細長い剃毛部4が複数(本実施形態では二つ)、相互に平行に設けられている。剃毛部4は、対をなす刃として、ヘッド部3の突端に露出するメッシュ状に形成された外刃4a(図2)と、外刃4aの内面に摺接して往復動する内刃4b(図3)とを備えており、外刃4aのメッシュの開口部から剃毛部4内に導入された毛が、外刃4aの内面と内刃4bの外面との間で剪断されるようになっている。外刃4aの外面が接触面4cとなる。本実施形態では、外刃4aはヘッド部3に固定される一方、内刃4bは例えばリニアモータ5bを含んで構成される駆動機構5によって剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)に往復駆動され、これにより、対をなす外刃4aと内刃4bとが相対動作して上記剪断作用が生じるようになっている。なお、本実施形態では、二つの内刃4bがY方向に逆位相で往復動するようになっている。
【0033】
ヘッド部3は、有底角筒状の凹部3aを有するヘッドケース3b(図3,図4)と、ヘッドケース3bの開放側を覆うアウタケース3c(図2)とを備えている。凹部3aには駆動機構5が収容され、この駆動機構5の可動部5aに内刃4bが装着される一方、外刃4aは、アウタケース3cに装着される。そして、外刃4aを取り付けたアウタケース3cを駆動機構5および内刃4bを取り付けたヘッドケース3bに覆い被せて取り付けることで、内刃4bが外刃4aに内方(図2および図3の下方)から押し付けられるようになっている。なお、内刃4bと外刃4aとの押し付け力は、例えば可動部5aに装着されたコイルスプリング等の付勢機構6によって適宜に与えることができる。
【0034】
また、図3,図4に示すように、ヘッド部3の凹部3a内には、駆動機構5の他、振動発生機構13が収容されて固定されている。振動発生機構13は、図5〜図7に示すように、シャフト13dを回転させるモータ13aと、シャフト13dに取り付けられた略半円柱状の偏心錘13bと、を有しており、ケース13cで覆われた状態にアッセンブリされている。かかる構成では、モータ13aを通電して偏心錘13bを回転させることで振動発生機構13の重心位置を変化させ、振動を生じさせることができる。振動発生機構13は、全体として細長い形状となっており、本実施形態では、その長手方向ならびにモータ13aの回転軸Avの軸方向が、剃毛部4の長手方向(すなわち駆動機構5による内刃4bの往復動方向、Y方向)に平行となる姿勢でヘッド部3に固定されている。したがって、偏心錘13bはY方向と直交するXZ平面(図7の紙面に沿う方向)内で回転することになり、振動は主としてこのXZ平面の面内方向で生じることになる。
【0035】
また、図4,図5に示すように、ヘッド部3には、剃毛部4とは別に、主として毛の調整、すなわち際剃りや長い毛の切断等に用いるトリマユニット14が取り付けられている。トリマユニット14は、全体として扁平な略矩形状を呈しており、略矩形状のケース14aと、端縁同士を揃えて相互に重なり合う二枚の鋸刃状の刃からなる刃ユニット14bと、を有している。トリマユニット14は、非使用時にはヘッド部3の外壁に沿う姿勢となる一方、使用時にはヘッド部3に対してY方向に沿う回動軸Atを中心としてヘッド部3の側外方(図4の上方)に向けて跳ね上げることができるようになっている。そして、使用時には、連結部14cを駆動機構5の可動部5aと連結し、駆動機構5によって連結部14cを介して刃ユニット14bをなす刃のうち少なくとも一方を往復動させることで、刃ユニット14bの鋸刃の切欠部分(図示せず)内に導入された毛を剪断するようになっている。
【0036】
また、本実施形態では、図4に示すように、振動発生機構13およびトリマユニット14は、駆動機構5および剃毛部4を挟んで相互に反対側に配置されている。これにより、ヘッド部3の重量バランスを向上させている。
【0037】
そして、図1および図2に示すように、本体部2の表面には、操作部7が設けられており、使用者は、この操作部7を操作することで、駆動機構5の作動および停止を切り替えることができるようになっている。本体部2内には、駆動機構5の電源としてのバッテリや、交流電力を直流電力に変換するコンバータ、駆動機構5を駆動する駆動回路等が収容されている。使用者は、操作部7を操作して駆動機構5を稼動して内刃4bを往復動させ、本体部2を掴持してヘッド部3の突端にある外刃4aの接触面4cを被剃毛面としての肌に押し付けながら電気かみそり1を肌に沿って動かして、髭等の毛を剃る。振動発生機構13は、駆動機構5と連動して動作するようにしてもよいし、別途振動発生機構13の動作を切り替えるための操作部を設けてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、図2,図8等に示すように、本体部2とヘッド部3との間に、本体部2に揺動可能に支持されるとともにヘッド部3を揺動可能に支持する介在部8を設けてある。この介在部8は、ヘッド部3を剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)と略平行な第一揺動軸Ay回りに揺動可能に支持するとともに、本体部2に、ヘッド部3の突出方向(すなわちZ方向)と略直交しかつ第一揺動軸Ayと直交する方向(X方向)に沿う第二揺動軸Ax回りに揺動可能に支持されている。
【0039】
ヘッド部3は、第一リンク機構9を介して介在部8に支持されている。第一リンク機構9は、図2,図8等に示すように、剃毛部4の長手方向(すなわちY方向)に離間させて二つ設けられており、介在部8のY方向の端部に固定されてZ方向に向けて突設される略T字状の第一支持アーム9aと、各第一支持アーム9aのZ方向一方側(ヘッド部3の突端側、図8の上方側)にX方向に離間して回動可能に連結される二つの第一リンクアーム9bと、を有している。第一リンクアーム9bのZ方向他方側(本体部2側、図8の下方側)には、Y方向のヘッド部3の中心側に向けて突出する略円柱状の突起9cが設けられており、突起9cには拡径部9dが設けられている。図12に示すように、ヘッド部3のZ方向他方側(図12では手前側)には、これら突起9cおよび拡径部9dに対応する凹凸形状(例えば段差付きの半円筒状の凹部)を成す受容部3dが形成されている。突起9cおよび拡径部9dと受容部3dとは、少なくともいずれか一方を弾性変形させつつZ方向に相互に近接させながら嵌着できるように構成されており、本実施形態では、これらが嵌合された状態では、突起9cおよび拡径部9dが受容部3dにY方向回りに回動可能に支持されるようになっている。すなわち、本実施形態では、第一リンクアーム9bは、それぞれ、介在部8および本体部2の双方に回動可能に連結される。
【0040】
また、図8に示すように、二つの第一リンク機構9は、左右勝手違いの構成となっており、それら左右二つの第一リンク機構9について、第一リンクアーム9bの介在部8または本体部2とのY方向に沿う連結軸C11〜C14の対応するもの同士が、同心となるように配置されている。
【0041】
したがって、本実施形態では、図10に示すように、第一リンク機構9によって、ヘッド部3、介在部8(に固定される第一支持アーム9a)、および二つの第一リンクアーム9bの四つの節が、いずれもY方向に沿う四つの連結軸C11〜C14によって回動可能に結合された平面4節リンク機構が構築されている。
【0042】
そして、図10に示すように、本実施形態では、第一リンクアーム9bの介在部8(本実施形態では介在部8に固定される第一支持アーム9a)との連結軸C11,C12間の距離D11を、第一リンクアーム9bのヘッド部3との連結軸C13,C14間の距離D12より狭くしてある。さらに、Y方向からの視線(すなわち図10の視線)で、一方の第一リンクアーム9bの連結軸C11,C13を結ぶ直線L11と他方の第一リンクアーム9bの連結軸C12,C14を結ぶ直線L12との交点I1が、ヘッド部3のZ方向突端側に配置される剃毛部4の外刃4aの接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分S(図10,図11中に一点鎖線で示す)の位置に近接して配置されるように構成してある。かかる構成では、この交点I1を、図10の状態(自由状態)における第一揺動軸Ayと見なすことができる。
【0043】
ちなみに、本実施形態にかかる第一リンク機構9では、上述したように、距離D11を距離D12より狭く設定したが、これらを等距離に設定すると、第一リンク機構は平行四辺形リンク機構となって、ヘッド部3の接触面4cは平行移動することになり、揺動動作が得られなくなる。一方、距離D11を距離D12より広く設定すると、第一揺動軸Ayが接触面4cから離間するため、ヘッド部3が揺動する際に接触面4cが被剃毛面と摺動することになり、その分、揺動抵抗が増大することになる。すなわち、本実施形態では、距離D11を距離D12より狭くすることで、第一揺動軸Ay回りのより円滑な揺動動作が得られるようにしてある。
【0044】
そして、図10に示すように、本実施形態では、振動発生機構13を、第一揺動軸Ayから離間した位置に設けてある。具体的には、振動発生機構13の回転軸Avを、第一揺動軸Ayに対して、ヘッド部3の本体部2からの突出方向(Z方向)に離間して配置するとともに、当該突出方向(Z方向)に直交しかつ第一揺動軸Ayの延伸方向(Y方向)に直交する方向(X方向)にも離間して配置してある。
【0045】
また、第一揺動軸Ayは、外刃4aの接触面4c(図1,図2)の突出方向(Z方向)の先端部分Sに近接して配置し、振動発生機構13は、第一揺動軸Ayより、先端部分Sから遠ざけて配置してある。また、第一揺動軸Ayおよび振動発生機構13の回転軸AvともにY方向に沿って相互に平行に配置されている。
【0046】
したがって、本実施形態では、振動発生機構13の作動により、偏心錘13b(図6,図7等)が図10のR方向に回転し、これにより、ヘッド部3が、本体部2に対して(本実施形態では介在部8に対して)、第一揺動軸Ay回りに、図10中に円弧状の矢印Vで示すように揺動振動することになる。このように、本実施形態では、ヘッド部3を揺動振動させることで、ヘッド部3の振動強度の突出方向(Z方向)成分を減らすことができるため、肌等の被剃毛面に対する衝撃を緩和することができる。また、剃毛部4の外刃4aの接触面4cが、被剃毛面に沿って往復振動することになるから、毛を起こす効果を高めることができて、剃毛性能を向上させることができる。さらに、接触面4cと被剃毛面との摩擦を減らす効果も得ることができる。
【0047】
そして、本実施形態では、上述したように、振動発生機構13を第一揺動軸AyからX方向およびZ方向に離間して配置しているため、揺動振動のモーメントアームを長く確保することができ、効率良く振動を発生させることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、剃毛部4の内刃4bの動作方向(Y方向)と、振動発生機構13の振動方向(XZ面内方向)とを、相異ならせている。内刃4bの動作方向と振動発生機構13の振動方向とが一致していると、内刃4bの往復動と振動とが相互干渉していずれか一方の性能が損なわれる虞があるが、本実施形態では、これらの方向を相異ならせることで、かかる現象を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、図3,図8,図10,図12等に示すように、ヘッドケース3bのY方向両側の端部にZ方向に貫通してY方向と略直交する薄いスリット3eを形成し、第一支持アーム9aおよび第一リンクアーム9bをZ方向の他方側(図8および図10の下側)からスリット3eに挿通してヘッドケース3bをZ方向に貫通させる構成としてある。かかる構成により、上述したような介在部8との連結軸C11,C13をヘッド部3との連結軸C12,C14よりZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に配置して交点I1(第一揺動軸Ay)を接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sに近接配置するレイアウト(図10参照)を実現しつつ、第一リンク機構9の組付性の向上を図っている。
【0050】
さらに、本実施形態では、図12に示すように、第一支持アーム9aに、第一揺動軸Ayに直交する仮想平面Py(図12参照、XZ平面)と交叉(本実施形態では直交)する平面部(図12の視線で取付部9eの裏側となる面)を有する取付部9eを設け、当該平面部を介在部8に突き当てた状態で、取付部9eを介在部8にねじ10を用いて固定した。かかる構成によれば、揺動に伴って第一支持アーム9aの取付部分に作用する力を平面部と介在部8とを突き当てた部分で受けることができるため、揺動によって第一支持アーム9aが介在部8に対してずれるのを抑制し、第一支持アーム9aをねじ10で固定した場合にあってもヘッド部3の揺動によって当該ねじ10が弛むのを抑制することができる。
【0051】
また、介在部8は、第二リンク機構11を介して本体部2に支持されている。第二リンク機構11は、図2に示すように、本体部2の突出部2bに形成された凹部2c内に収容された状態で、当該突出部2bに、ねじ止めや嵌合等されて固定される。また、この第二リンク機構11は、図2,図9,図12等に示すように、略矩形の平板状のベース部11aと、ベース部11aのX方向両端部からZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に向けて略Y字状に突設された二つの第二支持アーム11bと、これら二つの第二支持アーム11b間に架設された二つの第二リンクアーム11cと、を有している。二つの第二リンクアーム11cは、Y方向に相互に離間して配置されており、それぞれ、第二支持アーム11bに、X方向に沿う連結軸C21,C22(図11)にて回動可能に連結されている。
【0052】
また、第二リンクアーム11cは、Y方向からの視線で略U字状に形成されており、U字の開放側の部分が第二支持アーム11bに回動可能に支持される一方、U字の底部11dに介在部8を回動可能に取り付けてある。本実施形態では、第二リンクアーム11cの一対の側部11e間に、略円柱状の底部11dを、その軸回りに回動可能な状態に架設し、当該底部11dを、介在部8の底部に略円筒状の凹部として形成した受容部8aにZ方向他方側(図12の手前側)から近接させ、当該受容部8aに嵌合して取り付けてある。すなわち、本実施形態では、底部11dの中心軸がX方向に沿う連結軸C23,C24(図11)となる。
【0053】
したがって、本実施形態では、図11に示すように、第二リンク機構11によって、介在部8、本体部2(に固定される第二支持アーム11b)、および二つの第二リンクアーム11cの四つの節が、いずれもX方向に沿う四つの連結軸C21〜C24によって回動可能に結合された平面4節リンク機構が構築されている。
【0054】
そして、図11に示すように、この第二リンク機構11についても、上記第一リンク機構9と同様に、第二リンクアーム11cの本体部2(本実施形態では本体部2に固定される第二支持アーム11b)との連結軸C21,C22間の距離D21を、第二リンクアーム11cの介在部8との連結軸C23,C24間の距離D22より狭くしてある。さらに、X方向からの視線(すなわち図11の視線)で、一方の第二リンクアーム11cの連結軸C11,C13を結ぶ直線L21と他方の第二リンクアーム11cの連結軸C22,C24を結ぶ直線L22との交点I2が、第一リンクアーム9bに関わる交点I1よりも、剃毛部4の外刃4aの接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sの位置から遠ざけて配置してある。かかる構成では、この交点I2を、図11の状態(自由状態)における第二揺動軸Axと見なすことができる。
【0055】
すなわち、本実施形態では、第二揺動軸Ax(交点I2)を、剃毛部4の被剃毛面との接触面4cの突出方向(Z方向)の先端部分Sから離間して配置したため、第二揺動軸Ax回りにヘッド部3が揺動する際には、接触面4cは被剃毛面に沿って移動(摺動)することになって、揺動抵抗が生じる。
【0056】
ここで、本実施形態のように剃毛部4がY方向に沿って細長い電気かみそり1では、第二揺動軸Ax回りのヘッド部3の揺動におけるモーメントアームAmx(図11)は、第一揺動軸Ay回りの揺動におけるモーメントアームAmy(図10)より長くなるため、第二揺動軸Ax回りの揺動トルク(回転モーメント)Mx(図11)は、第一揺動軸Ay回りの揺動トルク(回転モーメント)My(図10)に比べて大きくなりやすい。したがって、何ら対策を施さない状態では、ヘッド部3は第一揺動軸Ay回りに揺動しやすくなり、第二揺動軸Ax回りには揺動しにくくなって、ヘッド部3を被剃毛面に沿って動かす際、その凹凸に対してヘッド部3の揺動の追従性が低下する虞がある。
【0057】
この点、本実施形態では、上述したように、第二揺動軸Ax(交点I2)を、第一揺動軸Ay(交点I1)よりも、剃毛部4の被剃毛面との接触面4cから遠ざけて配置することで、ヘッド部3の揺動に伴って接触面4cと被剃毛面との摺動が生じることとなって、第二揺動軸Ax回りにヘッド部3の揺動(摺動)抵抗を高めることができるため、第二揺動軸Ax回りのみにヘッド部3が揺動しやすくなるのを抑制して、ヘッド部3の被剃毛面に対する追従性を高めることができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、図10に示すように、本体部2(本実施形態ではベース部11a)と介在部8との間に、ヘッド部3の介在部8に対する揺動について反力を与える第二付勢機構として、第二揺動軸Axに沿う方向の一方側から他方側にかけて、弾性部材としてのコイルスプリング12を架設した。このため、コイルスプリング12によって第二揺動軸Ax回りに所要の揺動反力を確保して第二揺動軸Ax回りにのみヘッド部3が揺動しやすくなるのをさらに抑制できる。また、第二揺動軸Axに沿ってコイルスプリング12を配置することで、当該コイルスプリング12の長さを確保しやすくなり、その分、揺動反力の設定自由度を高めることができる。
【0059】
また、本実施形態では、ベース部11aと介在部8との間に第二付勢機構としてのコイルスプリング12を取り付けたため、第二リンク機構11と介在部8とを組み立てる際にコイルスプリング12を取り付けておき、それらのアセンブリ(の第二リンク機構11のベース部11a)を本体部2に固定することで、本体部2と介在部8との間に第二付勢機構を介在させた状態を得ることができる。かかる構成により、本体部2と介在部8との間に直接第二付勢機構を介装する場合に比べて、取付作業の手間を減らすことができる。
【0060】
また、本実施形態では、図2,図8,図9,図11,図12等に示すように、介在部8にも、上記第一リンク機構9およびヘッドケース3bの場合と同様に、第二支持アーム11bおよび第二リンクアーム11cを挿通するスリット8bを形成し、第二支持アーム11bおよび第二リンクアーム11cをZ方向の他方側(図8,図9,図11の下側)からスリット8bに挿通して介在部8をZ方向に貫通させる構成としてある。かかる構成により、上述したような介在部8との連結軸C11,C13をヘッド部3との連結軸C12,C14よりZ方向一方側(ヘッド部3の突端側)に配置して交点I1(第一揺動軸Ay)を接触面4cに近接配置するレイアウト(図10)を実現しつつ、第一リンク機構9の組付性の向上を図っている。
【0061】
以上、説明したように、本実施形態では、ヘッド部3に、駆動機構5とは別に、振動発生機構13を設けた。よって、例えば、ヘッド部3が被剃毛面に強く押し付けられるなどして剃毛部4における内刃4bの摺動抵抗が高まって動作速度が遅くなったような場合にあっても、振動発生機構13は駆動機構5とは独立して動作することができる。すなわち、かかる構成によれば、振動発生機構13が駆動機構5による影響を受け難くなって、振動による剃毛性能向上効果を得やすくなる。
【0062】
また、本実施形態では、ヘッド部3を、本体部2に揺動可能に取り付けた。よって、振動発生機構13によってヘッド部3を揺動振動させることができ、これにより、振動の被剃毛面の法線方向の入力成分を比較的小さくして、被剃毛面に対する衝撃を緩和しながら、振動による剃毛性能向上効果を得ることができる。
【0063】
また、本実施形態では、振動発生機構13を、第一揺動軸Ayから離間した位置に設けた。このように、振動発生機構13を第一揺動軸Ayから離間して配置することで第一揺動軸Ay回りの揺動振動についてモーメントアームを長くでき、その分、ヘッド部3を揺動振動させやすくなる。
【0064】
また、本実施形態では、第一揺動軸Ayを、振動発生機構13より、剃毛部4の被剃毛面との接触面4cの、ヘッド部3の本体部2からの突出方向(Z方向)の先端部分Sに、近接して配置した。よって、ヘッド部3の揺動による被剃毛面との摺動抵抗を減らすことができる分、振動発生機構13によってヘッド部3をより一層揺動振動させやすくなる。
【0065】
また、本実施形態では、第一揺動軸Ayと振動発生機構13とを、X方向およびZ方向に相互に離間して配置することで、第一揺動軸Ay回りの揺動振動についてモーメントアームを長くでき、その分、ヘッド部3を揺動振動させやすくなる。このとき、第一揺動軸Ayはヘッド部3の突出方向(Z方向)の突端側(一方側)に配置するのが好適であるため、振動発生機構13は、ヘッド部3の突出方向の基端側(他方側)に寄せて配置するとともに、X方向の一方側に寄せて配置するのが好適である。
【0066】
また、本実施形態では、振動発生機構13は、偏心錘13bと、当該偏心錘13bを回転させるモータ13aと、を有し、モータ13aの回転軸Avと、第一揺動軸Ayとを略平行に配置した。したがって、振動発生機構13を比較的簡素な構成としてより安価かつより小型に構成できる上、当該振動発生機構13により、第一揺動軸Ayの回りの振動、すなわち第一揺動軸Ayと直交するXZ平面の面内方向の振動を生じさせることができるため、ヘッド部3をより効率良く揺動振動させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、内刃4bの動作方向と、振動発生機構13の振動方向とを相異ならせた。よって、内刃4bの動作と振動発生機構13による振動との相互干渉を抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、ヘッド部3にトリマユニット14を設け、振動発生機構13を、剃毛部4および駆動機構5に対してトリマユニット14の反対側に配置した。したがって、振動発生機構13とトリマユニット14とでヘッド部3の重量バランスを向上することができるとともに、振動発生機構13およびトリマユニット14をヘッド部3にスペース的にも効率良く配置できて、ヘッド部3の大型化ひいては重量増を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、駆動機構5はリニアモータ5bを含み、振動発生機構13は回転するモータ13aを含む。よって、駆動機構5についてはリニアモータ5bを用いることで回転するモータを用いた場合に比べてヘッド部3の大型化を抑制することができるとともに、振動発生機構13については回転するモータ13aを用いることで製造コストの増大を抑制することができる。したがって、小型軽量化と製造コスト低減とを良好なレベルで両立することができる。
【0070】
また、本実施形態では、本体部2に揺動可能に支持されたヘッド部3に、第一揺動軸Ay回りの振動を生じさせる振動発生機構13を設けた。これにより、振動の被剃毛面の法線方向の入力成分を比較的小さくしつつ、揺動振動により剃毛性能向上効果を得ることができる。
【0071】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、回転するモータによって偏心錘を回転させる振動発生機構を設けたが、振動発生機構はこれには限定されず、往復振動する機構としてもよいし、回転するモータ以外の機構(例えば超音波振動子等)を用いてもよい。
【0072】
また、振動発生機構は、揺動軸回りの揺動振動を生じさせるという観点からは、当該揺動軸の周方向成分が含まれた振動を生じさせうるものであるのが好適であり、この場合、その振動に、揺動軸とねじれの位置となる方向の振動が含まれるように構成すればよい。
【0073】
また、本発明は、ヘッド部が本体部に対して揺動しないタイプの電気かみそりについても適用可能であるし、上記介在部が無く、本体部にヘッド部が直接揺動可能に支持されたタイプの電気かみそりについても適用可能である。また、刃の駆動方式も上記実施形態には限定されず、例えば回転刃タイプの電気かみそり等についても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 電気かみそり
2 本体部
2a 端部
3 ヘッド部
4 剃毛部
4a 外刃(刃)
4b 内刃(刃)
4c 接触面
5 駆動機構
5b リニアモータ
13 振動発生機構
13a モータ
13b 偏心錘
14 トリマユニット
Av 回転軸
Ay 第一揺動軸(揺動軸)
S 先端部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略棒状の本体部と、前記本体部の長手方向一端部に設けられたヘッド部と、を備え、前記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、前記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、
前記ヘッド部に、前記駆動機構とは別に、振動を生じさせる振動発生機構を設けたことを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
前記ヘッド部を、前記本体部に揺動可能に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
前記振動発生機構を、前記ヘッド部の前記本体部に対する揺動軸から離間した位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
前記揺動軸を、前記振動発生機構より、前記剃毛部の被剃毛面との接触面の、前記ヘッド部の前記本体部からの突出方向の先端部分に、近接して配置したことを特徴とする請求項3に記載の電気かみそり。
【請求項5】
前記ヘッド部の前記本体部に対する揺動軸と、前記振動発生機構とを、前記ヘッド部の前記本体部からの突出方向に、相互に離間させて配置したことを特徴とする請求項3または4に記載の電気かみそり。
【請求項6】
前記ヘッド部の前記本体部に対する揺動軸と、前記振動発生機構とを、前記ヘッド部の前記本体部からの突出方向に直交しかつ前記揺動軸の延伸方向に直交する方向に、相互に離間させて配置したことを特徴とする請求項3〜5のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項7】
前記振動発生機構は、偏心錘と、当該偏心錘を回転させるモータと、を有し、
前記モータの回転軸と、前記揺動軸とを略平行に配置したことを特徴とする請求項2〜6のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項8】
前記刃の動作方向と、前記振動発生機構の振動方向とを相異ならせたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項9】
前記ヘッド部にトリマユニットを設け、
前記振動発生機構を、前記剃毛部に対して前記トリマユニットの反対側に配置したことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項10】
前記駆動機構はリニアモータを含み、前記振動発生機構は回転するモータを含むことを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項11】
略棒状の本体部と、前記本体部の長手方向一端部に揺動可能に取り付けられたヘッド部と、を備え、前記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、前記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、
前記ヘッド部に、当該ヘッド部の前記本体部に対する揺動軸回りの振動を生じさせる振動発生機構を設けたことを特徴とする電気かみそり。
【請求項1】
略棒状の本体部と、前記本体部の長手方向一端部に設けられたヘッド部と、を備え、前記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、前記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、
前記ヘッド部に、前記駆動機構とは別に、振動を生じさせる振動発生機構を設けたことを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
前記ヘッド部を、前記本体部に揺動可能に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
前記振動発生機構を、前記ヘッド部の前記本体部に対する揺動軸から離間した位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
前記揺動軸を、前記振動発生機構より、前記剃毛部の被剃毛面との接触面の、前記ヘッド部の前記本体部からの突出方向の先端部分に、近接して配置したことを特徴とする請求項3に記載の電気かみそり。
【請求項5】
前記ヘッド部の前記本体部に対する揺動軸と、前記振動発生機構とを、前記ヘッド部の前記本体部からの突出方向に、相互に離間させて配置したことを特徴とする請求項3または4に記載の電気かみそり。
【請求項6】
前記ヘッド部の前記本体部に対する揺動軸と、前記振動発生機構とを、前記ヘッド部の前記本体部からの突出方向に直交しかつ前記揺動軸の延伸方向に直交する方向に、相互に離間させて配置したことを特徴とする請求項3〜5のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項7】
前記振動発生機構は、偏心錘と、当該偏心錘を回転させるモータと、を有し、
前記モータの回転軸と、前記揺動軸とを略平行に配置したことを特徴とする請求項2〜6のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項8】
前記刃の動作方向と、前記振動発生機構の振動方向とを相異ならせたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項9】
前記ヘッド部にトリマユニットを設け、
前記振動発生機構を、前記剃毛部に対して前記トリマユニットの反対側に配置したことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項10】
前記駆動機構はリニアモータを含み、前記振動発生機構は回転するモータを含むことを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一つに記載の電気かみそり。
【請求項11】
略棒状の本体部と、前記本体部の長手方向一端部に揺動可能に取り付けられたヘッド部と、を備え、前記ヘッド部に、相対動作する一対の刃を有する剃毛部と、前記一対の刃のうち少なくとも一方を駆動する駆動機構と、を設けた電気かみそりにおいて、
前記ヘッド部に、当該ヘッド部の前記本体部に対する揺動軸回りの振動を生じさせる振動発生機構を設けたことを特徴とする電気かみそり。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−162138(P2010−162138A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6276(P2009−6276)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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