説明

電気カミソリ

電気カミソリは、シェービングされている皮膚に接触するための孔あきフォイル(1)と、フォイルの孔を突き抜ける毛をせん断するために、フォイルに対して付勢され且つフォイルに対してフォイルの長手軸に平行な方向に移動可能な下刃(23)とを備える。フォイルは、第一及び第二のフォイル部分(8、9)を有するフォイルに沿って延びる峰部(12)を有し、第一及び第二のフォイル部分が、峰部のそれぞれの側面を形成する。フォイルの断面は、長手軸に垂直な平面内にあって、非対称のアーチ状輪郭を有する。第一フォイル部分(8)を貫く断面の第一セグメント(5)は、0.5〜3.0mmの範囲の曲率半径を有する。第二フォイル部分(9)を貫く断面の第二セグメント(6)は、第一部分に隣接しており、及び5〜30mmの範囲の曲率半径を有する。下刃は、峰部の両側面にてフォイル部分に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェービングされている皮膚に接触するための孔あきフォイルと、フォイルに対して移動可能な下刃とを含んで、皮膚面上から突き出てフォイルの孔を貫く毛をせん断するための、一般的なタイプの電気カミソリに関する。
【背景技術】
【0002】
外側フォイルと下刃の組合せは、短い毛を切断する際には非常に有効であり得るが、より長い毛を切断するには有効性が減少する傾向がある。より短い毛に加えてより長い毛の切断を提供するために、電気カミソリの構造について多数の提案がなされてきた。そのような従来提案の代表例には、次の文献に記載されるものがある。
【0003】
米国特許第4,835,861号(マーリッヒ(Mahlich))は、フォイル及び下刃とは別個にカミソリハンドルに取り付けられたヘアトリマーを有して、トリマーを作動位置と非作動位置の間で移動可能にし、長毛の切断を望む時にトリマーを伸ばすことができるようにした、電気カミソリを開示している。
【0004】
米国特許第4,493,149号(タナハシ(Tanahashi)ら)は、フォイルに沿って延びる溝又は隆起のいずれかを画定する曲り部が付いた半円筒形のフォイルを有して、下刃が、溝を形成する内向き変形フォイル領域の位置において緩められるか、又は隆起の後ろの凹部の中へ突き出す、電気カミソリを記載している。フォイルは、長毛を貫通させるために、溝又は隆起の領域にスロットが開けられている。
【0005】
米国特許第4,481,711号(パク(Pach)ら)は、フォイル又は長毛切断部に並んで配置された、いわゆる、くし状シェービングセクション付きの電気カミソリを記載している。2つの下刃が設けられて、それぞれフォイル及びくし状セクションと協働する。くし状セクションは、2つのセクションが同時に使用可能であるように、それぞれのシェービングセクションが交わる場所においてフォイルに接する平面に鈍角に位置する、平らな上面を有する。そのカミソリは、長毛トリマーも備える。
【0006】
米国特許第3,517,441号(フッターラー(Futterer)ら)は、部分的に円筒状の短毛領域と、短毛領域の長手方向両脇縁部においてより大きな穴がある長毛領域とが付いた外側フォイルを有し、長毛領域でフォイルが約90度で急曲りをして内向きに延びる、電気カミソリに言及している。下刃は、短毛領域において外側フォイルと協働するための切断開口を有し且つ長毛領域において外側フォイルと協働するための歯を有する、内側フォイルである。同様のフォイル組立体が、米国特許第3,577,441号(フッターラー(Futterer))及び米国特許第3,605,264号(フッターラー)にて開示されている。
【0007】
米国特許第2,975,516号(ヘイク(Heyek))は、円筒状に湾曲する中間部分が有り且つその長手方向縁部の少なくとも1つに沿う歯と共に形成された外側シアプレートを含むドライシェーバーヘッドを記載している。内側刃組立体には、シアプレートの湾曲部と協働する1つの部分と、シアプレート上の歯と協働する切り歯が設けられた平らな別の部分とが含まれる。
【0008】
米国特許第3,390,454号(ゴデフロイ(Godefroy))は、異なる顔皮膚領域をシェービングするのに適するように異なる湾曲を提供するために非対称である、円形湾曲部分と平らな部分と平らな部分の両側の2つの強く湾曲する部分とを含む断面輪郭を有する外側シェービングプレートを設けた、電気カミソリに言及している。下刃は、1つの側面に隣接して旋回可能に取り付けられて、他の側面に配置されたバネによってシェービングプレートと係合するように付勢されており、その結果、シェービングプレートの局所的な内向き変位に対する抵抗が周囲回りで変化する。強く湾曲する部分は、喉及び頬領域での使用を意図されており、その領域で、毛を立ち上がらせる強い局所圧を及ぼすように使用することができる。
【0009】
日本実用新案公告42−4197(タナカ(Tanaka)ら)は、直角曲りが有り且つ曲りの両側まで延びるスロットを含むより厚い部分と、丸穴付きのより薄い部分とを有する、電気カミソリ用の外側フォイルを提案している。より厚い部分が長毛を刈るように意図され、より薄い部分が短毛を切断するように意図されている。外部段が、より厚い部分とより薄い部分の間でフォイルに沿って画定されて、皮膚を伸張させる助けをすると言われている。直角曲りは、快適性の助けにはならず、またこの領域におけるフォイルの厚さの増加がこの欠点を緩和できるとしても、製造の複雑さ及び下刃との必要な密接な協働を確実にすることの困難さのどちらも有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多数の従来の提案にもかかわらず、より長毛及びより短毛の両方を効率的に切断可能である、構造的に簡単な形体の電気カミソリヘッドに対する必要性が残っている。この必要性が本発明により対処されており、その第一の態様によって、シェービングされている皮膚に接触するための孔あきフォイルと、フォイルの孔を突き抜ける毛をせん断するために、フォイルに対して付勢され且つフォイルに対してフォイルの長手軸に平行な方向に移動可能な下刃とを備え、フォイルは、第一及び第二のフォイル部分を有するフォイルに沿って延びる峰部を有して、第一及び第二のフォイル部分が峰部のそれぞれの側面を形成するものであって、長手軸に垂直な平面内のフォイル断面が、非対称のアーチ状輪郭を有し、第一フォイル部分を貫く断面の第一セグメントが、0.5〜3.0mmの範囲の曲率半径を有し、第二フォイル部分を貫く断面の第二セグメントが、第一部分に隣接し且つ5〜30mmの範囲の曲率半径を有し、下刃が、峰部の両側面においてフォイル部分に接触することを特徴とする電気カミソリが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では第二の態様に従って提供される電気カミソリ用フォイルは、孔を持つ領域と、シェービング中に皮膚に接触するための外側表面と、下刃とせん断の協働をしてフォイルの孔を突き抜ける毛をせん断するための内側表面とを含み、峰部が、第一及び第二のフォイル部分を有する孔あき領域を横切って延びて、第一及び第二のフォイル部分が峰部のそれぞれの側面を形成し、第一フォイル部分は、峰部に対して横断方向に細長いスロットの形の孔を有し、フォイルは、峰部の長さに沿って均一な、峰部の長さに対して横断方向の断面を有し、フォイル断面が、非対称のアーチ状輪郭を有し、第一フォイル部分を貫く断面の第一セグメントが、0.5〜3.0mmの範囲の曲率半径を有し、第二フォイル部分を貫く断面の第二セグメントが、第一セグメントに隣接し、及び5〜30mmの範囲の曲率半径を有することを特徴とする。
【0012】
好ましい構造では、フォイル断面のアーチ状輪郭の第二セグメントは、5〜15mmの範囲の、好ましくは7.5〜12.5mmの、例えば約10mmの曲率半径を有する弧を含む。好ましい構造におけるアーチ状輪郭の第一セグメントは、2mm以下の、好ましくは0.5〜1.5mmの範囲の、約1mmなどの曲率半径を有する弧である。
【0013】
小さな曲率半径を有するフォイル部分は、より長い毛がフォイルの孔に供給される効率を改善し、このことが毛の切断に不可欠であるので、首部領域に見出されることが多い低く横たわっている毛を除去するのに特に有効である。より大きな曲率半径のフォイル部分は、より快適な短毛の供給とシェービング仕上げを提供することができる。より短い毛と同様より長い毛を効率良く取り上げてシェービングすることが可能なように構成されたフォイルと下刃により、別個のトリマーに対する必要性が無くなる。フォイルの形状は、入れ替わりに皮膚に当てられるカミソリの別個のシェービング部品を必要とせず、又はカミソリがそれぞれの部品を皮膚とシェービング接触させるような特別の操作をユーザーの手に要求する必要がなく、小さな半径の部分が、シェービングされている皮膚領域の上でより大きな半径の部分を先導して、長毛及び短毛を効果的に切断できるようなものである。より小さな曲率半径が0.5mm以上であるフォイル部分の曲率半径の場合、満足できるレベルの快適さが、依然として確保されることができ、下刃と両フォイル部分の間の効果的な協働が、困難なく達成可能である。フォイルは、孔あき領域全面で均一の厚さで作成可能であり、その結果、第一フォイル部分における厚さが、第二フォイル部分におけるフォイルの厚さに実質的に等しい。加えて、フォイルの外側表面は、好ましくは、第一フォイル部分から第二フォイル部分まで、峰部の頂点を横切って滑らかな遷移を有する。
【0014】
より小さな半径のフォイル部分の毛をフォイルの孔に供給する能力は、この領域にスロットが設けられたフォイルによって強化され、スロットは、フォイルに沿ってすなわち長手軸方向に間隔が離れ且つこの軸に対して横断方向に細長い。好ましいフォイルは、峰部のほぼ頂点位置から延びるスロットを含み、及び規則的なパターンに配置された長スロットと短スロットが有る場合もある。好適なスロットの寸法は、幅が0.1〜0.6mm、長さが2.5mmまでである。代表的な実施形態では、0.2〜0.3mmの幅を有する少なくとも幾つかのスロットがあり、及び/又は少なくとも幾つかのスロットは、0.3〜0.5mmの幅を有する。スロットは、1〜2.5mmの、例えば1.5〜2mmの長さを有する場合もあり、及び/又は少なくとも幾つかのスロットは、1mm未満の、例えば0.4〜0.7mmの長さを有する場合もある。隣接スロットは、0.1〜0.3mmの距離だけ適切に離され、フォイルに沿って0.3〜0.7mmのピッチ距離で配置される。
【0015】
フォイル断面のアーチ状輪郭の第一及び第二のセグメントは、双曲線により画定される場合もある。真直ぐな第三セグメントが、第二セグメントから遠い側で第一セグメントに隣接して、断面の第三セグメントは、平らなフォイル部分を貫く。前述のスロットの少なくとも幾つかは、第一部分を越えて、平らな第三フォイル部分の中へ続くことができる。アーチ状輪郭の周囲は、好ましくは、第一及び第二のセグメントのそれぞれがそれらの曲率中心において60度〜120度の、好ましくは75度〜105度の、特に約90度の角度の輪郭を示す。
【0016】
より小さな曲率半径のフォイル部分において並びにより大きな曲率半径のフォイル部分においてフォイルと下刃の間の効果的な協働を確実にするために、下刃は、好ましくは、峰部頂点すなわち第一部分と第二部分の間の交点に向く方向に、フォイルの下面に対してバネ力によって付勢される。方向性のあるバネ偏倚は、ばね合力がほぼ峰部頂点及び平らな第三部分に向くように、下刃をフォイルに向けて第一方向に付勢する第一ばね、例えばコイルバネと、下刃を第一方向に概ね垂直な方向に付勢する第二バネとによって及ぼすことができる。
【0017】
フォイルは、フレームによって担持されるのが便利であり、特定の実施形態では、フレームが、より小さな曲率半径のフォイル部分と協働するためのくし要素を担持する。
【0018】
本発明に従う電気カミソリは、いかなる調節も必要とせずに長毛及び短毛を除去できるものであるが、皮膚との接触のためのより小さな曲率半径を有するフォイル部分の露出を変化させるために、フォイルと対向する構成要素をカミソリに設け、フォイルとその構成要素が互いに対して調節可能であってもよい。そのような配置によって、より小さな曲率半径を有するフォイル部分に設けられた長毛用スロットの露出を変化させることが可能になる。その上、平らなフォイル部分に対向して配置された構成要素は、この領域における下刃とフォイルの間の効果的な接触を確実にする助けとなることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明を具現する、電気カミソリ内の又はそれ用のシェービングヘッド組立体中で使用するための孔あきフォイル1を示す。フォイル1は、図8〜11を参照して更に詳細に以下で説明されるが、円形又は多角形の稠密孔2の規則的なパターンが有る主領域と、より細長いスロット状の形の孔3が有る縁領域とが含まれる、貫通孔のパターンを有する平らな形体で準備される。図2に示される当初平らなフォイルプリフォームは、例えば、図3Aに示されるような形作られた形成体4の周りにフォイルを巻き付けることによって形が作られ、その結果、フォイル1は、形成体4から取り外された時、図3Bに見ることができるように形成体の形状を維持する。そのように形成されるので、フォイルは、図2に示されるような、湾曲した、及びフォイルの長さに沿って均一である、予め定められた断面輪郭を獲得する。断面輪郭は、第一セグメント5が含まれる非対称アーチ形状を有し、第一セグメントの曲率半径は、0.5〜3.0mmの範囲であり、好ましくは2.0mm以下である。湾曲した第一セグメント5に隣接し且つ図示される実施形態では第一セグメントに直接隣接するのは、やはり湾曲した第二セグメント6であるが、その曲率半径は、5mm以上且つ30mm以下、好ましくは15mm以下である。特に、第一セグメント5は、0.5〜1.5mmの範囲の、具体的には1.0mmの一定曲率半径を有する弧であり、第二セグメント6は、7.5〜12.5mmの範囲の、具体的には10.0mmの一定曲率半径を有する弧である。第一セグメント5の弧は、その曲率中心において60度〜120度の範囲、より正確には90度の角度で対しており、第二セグメント6の弧も、その曲率中心において60度〜120度、より正確には約90度の角度の輪郭を示している。異なる曲率半径のため、第二セグメント6は、第一セグメント5よりはるかに大きい周辺長さを形作られたフォイルにおいて画定する。断面輪郭の真直ぐ又は直線の第三セグメント7が、第二弧状セグメント6から遠い端部において第一弧状セグメント5に隣接する。三次元形体の完成フォイルで考えると、断面の第一セグメント5は、小さな曲率半径を有する部分円筒形の第一フォイル部分8を貫き、断面の第二セグメント6は、より大きな曲率半径を有する部分円筒形の第二フォイル部分9を貫き、及び第三セグメント7は、平らなフォイル部分10を貫く。第一及び第二のフォイル部分8、9は、フォイルの孔あき領域を横切って延びる、峰部(12)のそれぞれの側面を形成する。第一及び第二のフォイル部分は、フォイルに沿って長手方向に延び且つアーチ状断面輪郭のこの先端に一致する、峰部12の頂点11において交わる。
【0020】
形作られたフォイル1は、成型プラスチックフレーム20(図4)に取り付けられる。補強バー21、22が、溶接又はリベット打ちなどによって、フォイル1にその長手方向縁部に沿って堅く取り付けられ、フォイルと補強バーのサブ組立体は、フレーム20内で縦方向に浮動することができる。下刃23が、フォイルの内側表面に対して付勢されており、毛の効率的な切断のために、下刃とフォイルの間の接触を維持することが重要である。下刃は、フォイルに対してバネで荷重を付加されており、使用中に、これらが共に浮動して、分離を回避することができる。図示のように、下刃23は、フォイル1の内側表面と協働するための、その長さに沿って間隔が離れた一連のブレード要素24を有しており、その結果、下刃23が、フォイルの長手方向に延びる軸線に沿って、それ自体で周知の方法で往復運動する時、フォイルの孔2、3を突き抜ける毛が、これらの孔の縁部と切断要素24の縁部との間でせん断される。下刃23は、フォイル1との協働に向けてバネ偏倚されており、本発明の新規態様の1つに従うと、下刃をフォイルに対して付勢するバネ力は、峰部頂点11に向けられており、その結果、下刃23が、峰部12の両側面においてフォイルの下面に押し付けられ、これによって、有効なせん断作用が、第一及び第二の両湾曲フォイル部分8、9と平らなフォイル部分10において確保される。下刃は、コイルバネによりそれ自体で既知の方法で上向きに付勢可能であり、追加の横方向バネ力が付加されて、峰部頂点11に向く所望の方向のバネ合力を確保することができる。横方向バネ力は、例えば、刃取付体に支持される板バネ28によって、刃取付体27に簡便に付与される。板バネ28は、刃取付体27中の開口部29にまたがって、開口部29を突き抜ける中央ランナー30と刃取付体17の間で作用する。板バネ28の力は、刃取付体により下刃23に伝達される。ブレード要素24の上側縁部は、切断要素24の縁部が毛をせん断するために協働する、フォイル1の表面に密接に順応するように構成されていることを理解されるであろう。言うまでもなく、バネ力を所望の方向に提供するためには、代替配置が、例えば、峰部頂点に向けられた角度付き駆動ピンに関係付けられたばね、又は外部取付体に一体化されたバネなどが、可能である。
【0021】
カミソリの使用に際して、下刃12は、電動モータにより駆動されて、フォイルに沿って前後に往復運動する。より小さな曲率半径を有する第一フォイル部分8が大きな曲率半径を有する第二フォイル部分9を先導してカミソリヘッドが皮膚面上を横切って移動する場合、より長い毛及び低く寝ている毛の自由端は、下刃23のフォイルに対するせん断作用によって切断されるため皮膚面上から離れてフォイル1の孔3へ入る。より大きな半径を有する第二フォイル部分9は、快適な短毛切断及びシェービング仕上げに有効である。言うまでもなく、カミソリは、第二フォイル部分9だけが皮膚に接触するように保持されて、皮膚面上を移動することが可能であり、このことは、例えば、シェービングの最終段階で望ましいことがある。
【0022】
長毛がフォイルの孔に供給されることを助長するために、フォイルには、小さな曲率半径を有する第一フォイル部分8にスロット3が設けられる。スロット3は、峰部頂点から遠い方向に、及び下刃が往復運動する長手方向に対して横断方向に細長い。少なくとも幾つかのスロットが、フォイルの峰部頂点11の位置から延びることができ、少なくとも幾つかのスロットが、第一フォイル部分8を越えて平らな第三フォイル部分10の中へ延びてもよい。
【0023】
2つの代表的なフォイルの孔パターンが、図8〜11に示される。図8及び10のそれぞれに、峰部頂点が形成されることになる位置が、破線Rにより示される。第二の破線Lが、最終的に形作られたフォイルで、第一フォイル部分8が平らなフォイル部分10に交わる位置を示す。それぞれのフォイルにおいて、孔パターンには、大きな曲率半径を有する第二フォイル部分9を形成することになる領域に、ハニカムフォイルパターンを形成する六角孔32の規則的配列が含まれる。ハニカムパターンの1つの側に隣接し且つこれに沿っているのは、一連のスロット33であって、これらのスロットは、小さな曲率半径を有する第一フォイル部分8を形成することになる領域内にあり、細長く、また峰部頂点からフォイルの長さに対して直交する方向に遠くへ延びている。図8及び9のフォイルでは、スロット33は、0.125mmの距離で均一に間隔が空けられ、0.25mm幅であり、0.375mmのスロットピッチとなっている。スロットは、長スロットと短スロットの規則的パターンに配置され、長い方のスロットが2.075mmの長さであり、短い方が0.50mmの長さである。図10及び11のフォイル中のスロットも、短スロットと長スロットの規則的パターンに配置されている。この場合、スロットは、0.39mm幅であり、及び0.56mmのピッチ距離の位置にある。再び、長い方のスロットが2.075mmの長さであり、短い方のスロットが0.5mmの長さである。
【0024】
特に、上で説明された電気カミソリは単一のフォイル及び下刃が付いたシェービングヘッドを有する。別の実施形態では、それぞれ下刃付きの2つのフォイルが、互いに並んで配置可能であり、より小さな曲率半径を有するそれぞれの第一フォイル部分8が、互いに向きあっている。そのような構造では、フォイルは、それらの峰部頂点を同一高さにも、異なる高さにも配置することができる。別の可能性は、2つのフォイルの少なくとも1つの高さを調節可能にして、片方又は両方のフォイルの第一部分8の露出を変化させることである。加えて、それぞれのフォイルの第一フォイル部分に、異なる曲率及び/又は異なるスロットパターンを設けて、異なるシェービング特性を作り出すこともできる。
【0025】
図12に示されているのは代替実施形態であり、プレート状部材50が、フォイル1の平らな部分10に向き合って配置され、矢印により示されるように調節可能であって、シェービングされている皮膚に接触するための第一フォイル部分8の露出を調節する。
【0026】
好ましい実施形態のここまでの記述は、非限定例の目的でのみ提示されており、続く特許請求の範囲により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び変形が可能であることが理解されるべきである。例えば、第一フォイル部分から第二フォイル部分への曲率半径の急激な変化があるのは本質的なことではなく、代わりに、ゆっくりとした変化も可能である。したがって、フォイルの断面輪郭の第一及び第二の弧状セグメントは、双曲線により画定される場合もある。図6及び7に示されるように、フレーム20には、強く湾曲する第一フォイル部分8まで平らなフォイル部分10を覆って上向きに延びるくし要素34が含まれる。そのようなくし要素が、皮膚の流れをスロット付きフォイル部分8へ導くのに有益なことがある。
【0027】
参照番号のリスト
1.フォイル
2.孔
3.スロット
4.形成体
5.断面輪郭の第一セグメント
6.断面輪郭の第二セグメント
7.断面輪郭の第三セグメント
8.第一フォイル部分
9.第二フォイル部分
10.第三フォイル部分
11.輪郭の頂点
12.峰部
20.フレーム
21.補強バー
22.補強バー
23.下刃
24.ブレード要素
27.刃取付体
28.板バネ
29.開口部
30.中央ランナー
32.六角孔
33.スロット
34.くし要素
50.プレート状部材
R.峰部頂点の位置
L.第一フォイル部分と第三フォイル部分が交わる位置
【0028】
本発明の明確な理解を容易にするために、幾つかの好ましい実施形態が、添付図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】フォイルの平らな半加工品を平面図。
【図2】本発明に従って形作られた後のフォイルを貫く断面図。
【図3A】フォイルを形作るために形成体に巻き付けられたフォイルを示す等角図。
【図3B】形成体から取り外した後の形作られたフォイルを示す等角図。
【図4】本発明を具現する電気カミソリのシェービングヘッドの分解図。
【図5】フォイル及び支持フレーム組立体の側面図。
【図6】フォイル及び支持フレーム組立体の正面図。
【図7】フォイル及び支持フレーム組立体の等角図。
【図8】第一の好ましいスロットパターンを有するフォイル半加工品の平面図。
【図9】図8のフォイル中のスロット群の拡大図。
【図10】第二の好ましいスロットパターンを有するフォイル半加工品の平面図。
【図11】図10のフォイルに含まれるスロット群を示す拡大図。
【図12】変更されたフォイル構成を示す斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェービングされる皮膚に接触するための孔あきフォイル(1)と、前記フォイルの孔を突き抜ける毛をせん断するために、前記フォイルに対して付勢され且つ前記フォイルに対して相対的に前記フォイルの長手軸に平行な方向に移動可能な下刃(23)とを備え、前記フォイルは、第一及び第二のフォイル部分(8、9)を有する前記フォイルに沿って延びる峰部(12)を有し、前記第一及び第二のフォイル部分が前記峰部のそれぞれの側面を形成する、電気カミソリであって、前記長手軸に垂直な平面内の前記フォイルの断面が、非対称のアーチ状輪郭を有し、前記第一フォイル部分(8)を貫く断面の第一セグメント(5)が、0.5〜3.0mmの範囲の曲率半径を有し、前記第二フォイル部分(9)を貫く断面の第二セグメント(6)が、前記第一部分に隣接し且つ5〜30mmの範囲の曲率半径を有し、前記下刃(23)が、前記峰部(12)の両側面において前記フォイル部分に接触することを特徴とする、電気カミソリ。
【請求項2】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(6)が、5〜15mmの範囲の半径の弧を含む、請求項1に記載の電気カミソリ。
【請求項3】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(6)が、7.5〜12.5mmの範囲の半径の弧を含む、請求項1に記載の電気カミソリ。
【請求項4】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(6)が、約10mmの半径の弧を含む、請求項1に記載の電気カミソリ。
【請求項5】
前記フォイル断面の前記第一セグメント(5)が、2mm以下の曲率半径の弧を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項6】
前記フォイル断面の前記第一セグメント(5)が、0.5〜1.5mmの範囲の曲率半径の弧を含む、1〜5請求項のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項7】
前記フォイル断面の前記第一セグメント(5)が、約1mmの曲率半径の弧を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項8】
前記フォイルの表面が、前記第一フォイル部分から前記第二フォイル部分まで前記峰部の頂点を横切って滑らかな遷移を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項9】
前記フォイルが、前記第一フォイル部分において前記第二フォイル部分の前記フォイルの厚さにほぼ等しい厚さを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項10】
前記フォイルが、前記第一フォイル部分(8)内にスロット(3)を有し、前記スロットが、前記フォイルに沿って前記軸の方向に間隔が離れ且つ前記長手軸に対して横断方向に細長い、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項11】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、前記峰部(12)のほぼ前記頂点(11)位置から延びる、請求項10に記載の電気カミソリ。
【請求項12】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、0.1〜0.6mmの幅を有する、請求項10又は11に記載の電気カミソリ。
【請求項13】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、0.2〜0.3mmの幅を有する、請求項10又は11に記載の電気カミソリ。
【請求項14】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、0.3〜0.5mmの幅を有する、請求項10又は11に記載の電気カミソリ。
【請求項15】
前記スロット(33)が、長スロットと短スロットの規則的パターンで配置されている、請求項10〜11のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項16】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、1〜2.5mmの長さを有する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項17】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、1.5〜2mmの長さを有する、請求項10〜16のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項18】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、1mm未満の長さを有する、請求項10〜17のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項19】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、0.4〜0.7mmの長さを有する、請求項18に記載の電気カミソリ。
【請求項20】
少なくとも2つの隣接スロット(33)が、0.1〜0.3mmの距離だけ分離されている、請求項10〜19のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項21】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、前記フォイルに沿って0.3〜0.7mmのピッチで配置されている、請求項10〜20のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項22】
前記フォイル断面の前記第一セグメント(5)が、60度〜120度の、好ましくは75度〜105度の弧を通って延びる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項23】
前記第一セグメント(5)が、約90度の弧を通って延びる、請求項21に記載の電気カミソリ。
【請求項24】
前記第一及び第二のセグメント(5、6)が、双曲線により画定される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項25】
前記断面輪郭は、前記第二セグメント(6)から遠隔側に、第一セグメント(5)に隣接する直線の第三セグメント(7)を含み、前記フォイル断面の前記第三セグメント(7)は、平らな第三フォイル部分(10)を貫く、請求項1〜24のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項26】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、前記第三フォイル部分(10)の中まで続く、請求項10〜20のいずれか1項に直接又は間接的に従属する請求項25に記載の電気カミソリ。
【請求項27】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(16)が、60度〜120度の、好ましくは75度〜105度の弧を通って延びる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項28】
前記第二セグメント(6)が、約90度の弧を通って延びる、請求項27に記載の電気カミソリ。
【請求項29】
前記下刃(23)が、前記峰部(12)の前記頂点(11)へ向かう方向に、バネ力により付勢される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項30】
前記フォイル(1)が、フレーム(20)に取り付けられ、前記フレームが、前記第一フォイル部分と協働するためのくし要素(34)を担持する、請求項1〜29のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項31】
皮膚に接触するための前記第一フォイル部分(8)の露出を変化させるために、前記フォイル(1)が、対向する構成要素(50)に対して調整可能である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の電気カミソリ。
【請求項32】
孔(2、3)を持つ領域と、シェービング中に皮膚に接触するための外側表面と、下刃(23)とせん断の協働をして前記フォイル孔を突き抜ける毛をせん断するための内側表面とが含まれ、峰部(12)が、第一及び第二のフォイル部分(8、9)を有する前記孔あき領域を横切って延びて、前記第一及び第二のフォイル部分が、前記峰部のそれぞれの側面を形成し、前記第一フォイル部分(8)は、前記峰部(12)に対して横断方向に細長いスロット(3)の形の孔を有し、前記フォイルは、前記峰部の長さに沿って均一な前記峰部の長さに対して横断方向の断面を有する、電気カミソリ用フォイル(1)であって、前記フォイル断面が、非対称のアーチ状輪郭を有し、前記第一フォイル部分(8)を貫く断面の第一セグメント(5)が、0.5〜3.0mmの範囲の曲率半径を有し、前記第二フォイル部分(9)を貫く断面の第二セグメント(6)が、前記第一セグメントに隣接し且つ5〜30mmの範囲の曲率半径を有することを特徴とする、電気カミソリ用フォイル(1)。
【請求項33】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(6)が、5〜15mmの範囲の半径の弧を含む、請求項32に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項34】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(6)が、7.5〜12.5mmの範囲の半径の弧を含む、請求項32に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項35】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(6)が、約10mmの半径の弧を含む、請求項32に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項36】
前記フォイル断面の前記第一セグメント(5)が、2mm以下の曲率半径の弧を含む、請求項32〜35のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項37】
前記フォイル断面の前記第一セグメント(5)が、0.5〜1.5mmの範囲の曲率半径の弧を含む、請求項32〜36のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項38】
前記フォイル断面の前記第一セグメント(5)が、約1mmの曲率半径の弧を含む、請求項32〜37のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項39】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、前記峰部(12)のほぼ頂点(11)位置から延びる、請求項32〜38のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項40】
前記フォイルの前記外側表面が、前記第一フォイル部分から前記第二フォイル部分まで前記峰部(12)の前記頂点を横切って滑らかな遷移を有する、請求項32〜39のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項41】
前記フォイルが、前記第一フォイル部分(8)において前記第二フォイル部分(9)の前記フォイルの厚さにほぼ等しい厚さを有する、請求項32〜40のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項42】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、0.1〜0.6mmの幅を有する、請求項32〜41のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項43】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、0.2〜0.3mmの幅を有する、請求項32〜42のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項44】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、0.3〜0.5mmの幅を有する、請求項32〜43のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項45】
前記スロット(33)が、長スロットと短スロットの規則的パターンで配置されている、請求項32〜44のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項46】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、1〜2.5mmの長さを有する、請求項32〜45のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項47】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、1.5〜2mmの長さを有する、請求項32〜46のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項48】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、1mm未満の長さを有する、請求項32〜47のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項49】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、0.4〜0.7mmの長さを有する、請求項48に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項50】
少なくとも2つの隣接スロット(33)が、0.1〜0.3mmの距離だけ分離されている、請求項32〜49のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項51】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、前記フォイルに沿って0.3〜0.7mmのピッチで配置されている、請求項32〜50のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項52】
前記フォイル断面の前記第一セグメント(5)が、60度〜120度の、好ましくは75度〜105度の弧を通って延びる、請求項1〜51のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項53】
前記第一セグメント(5)が、約90度の弧を通って延びる、請求項52に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項54】
前記フォイル断面の前記第一及び第二のセグメント(5、6)が、双曲線により画定される、請求項32〜53のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項55】
前記フォイル断面は、前記第二セグメント(6)から遠隔側において、第一セグメント(5)に隣接する直線の第三セグメント(7)を含み、前記フォイル断面の前記第三セグメント(7)は、平らな第三フォイル部分(10)を貫く、請求項32〜50のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項56】
少なくとも幾つかのスロット(33)が、前記第三フォイル部分(10)の中まで続いている、請求項55に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項57】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(6)が、60度〜120度の、好ましくは75度〜105度の弧を通って延びる、請求項32〜56のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項58】
前記フォイル断面の前記第二セグメント(6)が、約90度の弧を通って延びる、請求項57に記載の電気カミソリ用フォイル。
【請求項59】
前記フォイル(1)がフレーム(20)に取り付けられ、前記フレームが、前記第一フォイル部分と協働するためのくし要素(34)を担持する、請求項32〜58のいずれか1項に記載の電気カミソリ用フォイル。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−502410(P2009−502410A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524667(P2008−524667)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052691
【国際公開番号】WO2007/017816
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】