説明

電気パネル暖房機

【課題】 二つの枠体を並設した構造の電気パネル暖房機の枠体内の異常高温を検出する安全装置に関する。
【解決手段】 薄型パネル状の枠体1内の背部には遮熱部材2を配置し、枠体1の前面にはガード3を配置した放熱開口4を設け、遮熱部材2とガード3との間の枠体1内には面状発熱体5を取り付け、枠体1に備えた脚6によって枠体1を床面から立たせており、この枠体1を2個並設して回動軸部7によって連結し、二つの枠体1は回動軸部7を中心にそれぞれの放熱開口4の向く方向が可変可能になっている。一方の枠体1は回動軸部7側の側面付近に温度過昇防止装置8を配置し、他方の枠体1は回動軸部7と反対側の側面付近に温度過昇防止装置8aを配置し、温度過昇防止装置8・8aは、二つの枠体1を開いた状態のときはそれぞれの枠体1内の温度上昇を検出し、枠体1を折り畳んだ状態のときは、それぞれ対向する枠体1内の温度上昇も検出できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射熱によって暖房する電気パネル暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な電気パネル暖房機は、パネル状の枠体内の背部に遮熱部材を配置し、枠体の前面にガードを配置した放熱開口を設け、遮熱部材とガードとの間に面状発熱体を取り付け、この枠体は枠体下部に備えた脚によって床面から立たせており、面状発熱体で発生する熱線を放熱開口から枠体の前方に放射すると共に、面状発熱体で暖められた枠体内の空気を枠体の上面に設けた空気流出口から上方に放出しており、熱線の放射と自然対流による暖房を行っている。
【0003】
この種の電気パネル暖房機において、放熱開口から放射される熱線によって枠体前方の広い範囲を暖房するためには、面状発熱体や放熱開口の面積を大きくして放熱開口から放射される熱線を広範囲に届かせる必要があるが、面状発熱体や放熱開口を大きくすると枠体形状も大きくなってしまうため、不使用時や保管時に場所をとって邪魔になるという欠点があった。
【0004】
このような欠点を解消するために出願人は特許文献1の構造を提案した。この電気パネル暖房機は、内部に面状発熱体を備えた枠体を2個並設して、この二つの枠体を回動軸部によって連結し、回動軸部を中心に放熱開口の向く方向が変更可能になるように構成したものであり、二つの枠体を広げた状態で使用すれば広範囲の暖房が可能となり、二つの枠体を折り畳んで放熱開口を対向した状態で使用すれば対流による暖房が可能となり、更に保管時に枠体を折り畳んでおくことで、コンパクトで場所を取らない構成が実現できた。
【特許文献1】特開2008−8601号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気パネル暖房機は、枠体上部の空気流出口や放熱開口がタオル等で閉塞されると、枠体内が異常高温となって枠体の変形や故障、火災などのトラブルを発生させる恐れがある。このため、枠体内に温度過昇防止装置を取り付けて、枠体上部が閉塞されたときに温度過昇防止装置が枠体内の異常高温を検出して面状発熱体の通電を停止する安全装置を備えており、異常高温によるトラブルの発生を防いでいる。
【0006】
特許文献1の電気パネル暖房機では、二つの枠体を折り畳んだ状態で使用するときは、枠体を広げた状態で使用するときに比べて枠体内の温度が上昇しやすくなるため、枠体上部が閉塞されたときの枠体内の温度条件も厳しくなる。このため、枠体内が異常高温となったときに温度過昇防止装置の作動に遅れが生じることなく安全で確実に面状発熱体の通電を停止できるように、安全装置の構成を特定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記の課題を解決するものであり、薄型パネル状の枠体1内の背部には遮熱部材2を配置し、かつ枠体1の前面にはガード3を配置した放熱開口4を設け、前記遮熱部材2とガード3との間の枠体1には面状発熱体5を取り付けると共に、前記枠体1には脚6を備え、この脚6によって前記枠体1を床面から立たせて放熱開口4から熱線を放射する電気暖房機において、前記枠体1を2個並設して回動軸部7によって二つの枠体1を連結し、その二つの枠体1は回動軸部7を中心にそれぞれの放熱開口4の向く方向が変更可能になっており、かつ、前記二つの枠体1内の上部には異常温度上昇を検出する温度過昇防止装置8・8aをそれぞれ設け、一方の枠体1の温度過昇防止装置8を回動軸部7側の側面付近に配置し、他方の枠体1の温度過昇防止装置8aを回動軸部7とは反対側の側面付近に配置し、前記枠体1の放熱開口4が対向する回動位置では温度過昇防止装置8・8aがそれぞれ対向する他方の枠体1内の温度上昇を検出可能とすることを特徴とする。
【0008】
また、前記枠体1の底面には床面との間の空気が流入する空気流入口9を設け、また、枠体1の上面には空気流出口10を設け、前記枠体1内には空気流入口9と空気流出口10を連通する空気流路11を形成すると共に、前記温度過昇防止装置8・8aは遮熱部材2と枠体1の背部との間の空気流路11に配置し、枠体1の放熱開口4が対向する回動位置では二つの枠体1の間に間隔12を形成したことによって、面状発熱体5で暖められた枠体1内の空気が遮熱部材2の背部に向かうことなく空気流出口10と間隔12の上方から放出されるから、温度過昇防止装置8・8aが誤作動を起こすことはなく、枠体1の空気流出口10や間隔12の上部が閉塞されたときは、高温空気が遮熱部材2の背部に向かうので、温度過昇防止装置8・8aが枠体1内の温度上昇を素早く検知でき、枠体1内の異常高温を確実に防ぐことができるものである。
【0009】
また、前記回動軸部7と反対側の枠体1側面には枠体1の側方に突出する操作パネル13を配置し、該操作パネル13の前面には運転を操作する操作部13aと、運転状態を表示する表示部13bとを設け、かつ、操作パネル13の内部には制御基板14を配置し、
前記枠体1の放熱開口4が対向する回動位置で操作パネル13が枠体1の側方に露出すると共に、操作パネル13を設けた枠体1は、回動軸部7と反対側の側面付近に前記温度過昇防止装置8aを配置し、温度過昇防止装置8aが操作パネル13付近の温度上昇を検出することができるから、枠体1内の高温空気から制御基板14を保護することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明の電気パネル暖房機は、面状発熱体5を内部に備えた枠体1を2個並設して回動軸部7によって連結し、二つの枠体1は回動軸部7を中心にして放熱開口4の向く方向が変更可能になっており、暖房機の使用時は二つの枠体1を広げて放熱開口4を開口した状態にすることで、並設した二つの枠体1の放熱開口4から熱線が放射されるから、枠体1の前方の広範囲を暖房することができるようになっている。一方、二つの枠体1を折り畳んで放熱開口4を対向させた状態で使用するときは、面状発熱体5の熱が枠体1の上方に放出され、自然対流による暖房を行うことができるようになっている。
【0011】
また、二つの枠体1内には枠体1内の異常高温を検知するための温度過昇防止装置8・8aを備え、一方の枠体1の温度過昇防止装置8は回動軸部7側の側面付近に配置し、他方の枠体1の温度過昇防止装置8aは回動軸部7とは反対側の側面付近に配置しており、二つの枠体1を広げた状態で使用するときは、温度過昇防止装置8・8aはそれぞれの枠体1の異常高温を検知する。一方、二つの枠体1を折り畳んだ状態で使用するときは、温度過昇防止装置8・8aがそれぞれ他方の枠体1の温度過昇防止装置8・8aのない側の放熱開口4と対向するものであり、枠体1の上部が閉塞されると対向する二つの枠体1内の温度が上昇するので、温度過昇防止装置8・8aは対向する枠体1の温度上昇も検知することができ、枠体1の異常高温を確実に検出することができるものとなった。
【0012】
また、二つの枠体1を折り畳んだ状態で使用するときは、枠体1を広げた状態で使用するときに比べて枠体1内の温度が高くなり、上部が閉塞されたときには枠体1内の温度上昇が速く、面状発熱体5の通電停止後の温度上昇幅が大きくなるため、温度過昇防止装置8・8aの作動温度をできるだけ低く設定して、面状発熱体5の通電停止後の温度上昇があっても確実に安全な温度で停止できるようにする必要がある。
このため、枠体1の底面の空気流入口9と枠体1の上面の空気流出口10とを連通する空気流路11を形成して、温度過昇防止装置8・8aを遮熱部材2と枠体1の背面との間の空気流路11に配置すると共に、枠体1の放熱開口4が対向する回動位置で二つの枠体1の間には間隔12が形成されるように構成したものであり、二つの枠体1を折り畳んだ状態で使用するときに、面状発熱体5で暖められた枠体1内の空気は背面側に向かうことなく空気流出口10と間隔12の上方から放出されるので、温度過昇防止装置8・8aが加熱されて誤作動を起こすことなく、温度過昇防止装置8・8aの作動温度を低く設定することができる。
そして、枠体1の空気流出口10や間隔12の上部が閉塞されたときは、枠体1内の高温空気が遮熱部材2の背面側に向かうので、温度過昇防止装置8・8aは確実に異常高温を検知することができ、面状発熱体5の通電停止後の温度上昇があっても確実に枠体1内の異常高温を防ぐことができるものとなった。
【0013】
また、電気パネル暖房機の操作パネル13を回動軸部7とは反対側の枠体1の側方に配置し、この操作パネル13内に制御基板14を配置しており、放熱開口4が対向する回動位置で操作パネル13が枠体1の側方に突出するようにしたから、操作パネル13の前面に配置された操作部13aと表示部13bは枠体1に隠れることがないから、表示部13bによって運転状態を確認しながら操作部13aの運転操作を行うことができると共に、枠体1内の高温空気が操作パネル13に向かうことがなく、制御基板14を枠体1内の高温空気から保護できるものとなる。そして、操作パネル13を設けた枠体1は、回動軸部7と反対側の操作パネル13が配置された側面付近に温度過昇防止装置8aを取り付けたから、枠体1の操作パネル13付近の上部が閉塞されたときには温度過昇防止装置8aによって素早く異常高温を検知することができるので、操作パネル13付近の異常高温を確実に防いで制御基板14を確実に熱から保護できるものとなり、制御基板14の故障の発生を防ぐことができるものとなった。
【0014】
このように、温度過昇防止装置8・8aの取り付け位置を特定することによって、温度過昇防止装置8・8aは最小限の個数設ければよく、部品点数を少なく製造コストの低減が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は電気パネル暖房機の枠体、2は枠体1内の背面側に配置した遮熱部材、4は枠体1の前面に形成した放熱開口、3は放熱開口4に取り付けたガード、5は枠体1内の遮熱部材2とガード3との間に取り付けたヒータを構成する面状発熱体、6は枠体1の側部付近の底面に取り付けた一対の脚であり、脚6によって枠体1を床面から立たせている。
【0016】
13は枠体1の側面に形成した操作パネル、13aは運転スイッチやタイマー設定スイッチ等で構成する操作部、13bは運転ランプやタイマーランプ等で構成する表示部であり、操作部13aと表示部13bは操作パネル13の前面に配置されている。14は操作部13aの信号に基づいて面状発熱体5の通電制御を行う制御基板であり、制御基板14は操作部13aから運転開始信号が入力されると面状発熱体5の通電を開始し、面状発熱体5で発生する熱線が枠体1の前面の放熱開口4から前方に放射される。
【0017】
9は枠体1の底面に設けた空気流入口、10は枠体1の上面に設けた空気流出口、11は空気流入口9と空気流出口10とを連通する空気流路であり、前記遮熱部材2と面状発熱体5は枠体1の空気流路11内に配置されており、面状発熱体5の通電が開始されると、面状発熱体5で加熱された空気流路11の空気が枠体1の上面の空気流出口10から上方に放出され、枠体1の底面と床面との間の空気が空気流入口9から空気流路11に流入して面状発熱体5に沿って空気流路11内を上昇するから、空気流出口10から上方に放出される熱気によって自然対流を作り出している。
【0018】
この発明の電気パネル暖房機は二つの枠体1を並設した構造となっており、7は二つの枠体1を連結する回動軸部、7aは回動軸部7に嵌合する2枚の取り付け部材であり、回動軸部7の2枚の取り付け部材7aが二つの枠体1の側面にそれぞれ取り付けられており、二つの枠体1は回動軸部7を中心に回動可能に連結されている。
【0019】
回動軸部7を中心に回動する二つの枠体1は、枠体1を折り畳んでそれぞれの放熱開口4を対向させた状態から、枠体1を広げて放熱開口4の前方が開口した状態になるまで可変できるようになっており、二つの枠体1を広げたときは放熱開口4が左右に並んだ状態となり、二つの枠体1の前面の放熱開口4から熱線が放射されるから、熱線の放射範囲を横方向に広げることができ、枠体1前方の広い範囲を暖房することができるようになっている。
【0020】
12は枠体1の放熱開口4を対向させたときに二つの枠体1の間に形成される間隔、15は回動軸部7と反対側の枠体1の前面に設けた凸部であり、枠体1の側面に取り付けた回動軸部7を枠体1の前面よりも前方に位置させており、枠体1を折り畳んで放熱開口4を対向させたときに凸部15が当接し、二つの枠体1の間に回動軸部7と凸部15とが位置することによって二つの枠体1の間に間隔12が形成される。
【0021】
二つの枠体1を折り畳んで放熱開口4を対向させた状態で使用するときは、面状発熱体5の熱で暖められた空気流路11内の空気が枠体1の上面の空気流出口10から上方に放出されると共に、放熱開口4から放射される熱線によって暖められた間隔12の空気が枠体1の上方に放出されるので、枠体1の上方に向かう高温空気流が形成されて自然対流による暖房を行うことができる。
【0022】
また、二つの枠体1の放熱開口4は任意の方向に向けることができるから、二つの枠体1の角度を狭くして放熱開口4が少し内側を向くようにすれば、それぞれの放熱開口4から放射される熱線が枠体1の前方に集中するので、熱線の放射範囲は狭くなるが暖房効果を高めることができるものであり、使用条件に応じて熱線の放射範囲を変更することで使い勝手が向上できる。
また、電気パネル暖房機の不使用時や保管時には、二つの枠体1を折り畳んだ状態にしておけば場所をとらず、保管がしやすいものである。
【0023】
電気パネル暖房機の使用中に、枠体1の上部がタオル等の物品で覆われて空気流出口10が閉塞されると、枠体1内の熱気が排出されなくなって枠体1内が異常高温となり、そのまま面状発熱体5の通電を続けると、枠体1の変形や製品の故障の原因となったり、タオル等の物品が発火して火災事故などの重大なトラブルを発生させる恐れがある。
【0024】
8・8aは二つの枠体1内の上部にそれぞれ配置したハイリミットスイッチで構成する温度過昇防止装置であり、枠体1内が異常高温となって温度過昇防止装置8・8aが作動すると、制御基板14は温度過昇防止装置8・8aの信号を受けて面状発熱体5の通電を停止するものであり、枠体1の異常高温によるトラブルを防ぐことができる。
この発明の電気パネル暖房機は、二つの枠体1を並設して、二つの枠体1が回動軸部7を中心に回動する構成であるから、この二つの枠体1が異常高温によるトラブルを起こさないようにするために、温度過昇防止装置8・8aの取り付け位置を特定したもので、一方の枠体1の温度過昇防止装置8を回動軸部7側の側面付近に配置し、他方の枠体1の温度過昇防止装置8aを回動軸部7とは反対側の側面付近に配置したものである。
【0025】
二つの枠体1を開いた状態で使用するときは、温度過昇防止装置8・8aがそれぞれの枠体1の温度を検知するものであり、この場合の温度過昇防止装置8・8aの検知可能範囲はそれぞれ枠体1の中央付近までとなる。このため、枠体1の上部の一部だけが閉塞されたときは温度過昇防止装置8・8aの検知可能範囲を外れる可能性があるが、枠体1を開いた状態で使用するときは、枠体1上部の空気流出口10の一部が閉塞されても熱気は、その周囲の放熱開口4や空気流出口10から放出されるので、枠体1内が異常高温となる心配はない。一方、枠体1の上部が広範囲にわたって閉塞されたときは、熱気が放出されにくくなり枠体1内が異常高温となるが、このときは温度過昇防止装置8・8aの検知範囲で枠体1内の異常高温の検知が可能であり、枠体1の異常高温を確実に防ぐことができる。
【0026】
一方、二つの枠体1を折り畳んだ状態で使用しているときは、枠体1の上部がタオル等の物品で覆われると、枠体1上部の空気流出口10と間隔12の上部が閉塞され、枠体1内の熱気が放熱開口4から放出されても間隔12の上部で熱気の流れが止められるため、枠体1上部の一部分だけが閉塞されたときでも、枠体1が異常高温となりやすい。
この発明では、枠体1を折り畳んだ状態で使用するときは、枠体1の温度過昇防止装置8は他方の枠体1の温度過昇防止装置8aがない側の放熱開口4と対向し、他方の枠体1の温度過昇防止装置8aは枠体1の温度過昇防止装置8がない側の放熱開口4と対向するから、例えば、回動軸部7側の側面付近の上部が閉塞されたときは、一方の枠体1の温度過昇防止装置8によって二つの枠体1の異常高温を検知することができ、一方、回動軸部7と反対側の側面付近の上部が閉塞されたときは、他方の枠体1の温度過昇防止装置8aによって二つの枠体1の異常高温を検知することができるものであり、温度過昇防止装置8・8aの検知可能範囲が枠体1の横幅全体となるから、枠体1の上部の一部分が閉塞されたときでも確実に温度過昇防止装置8・8aのどちらかが作動して、枠体1の異常高温を防ぐことができるものとなった。
【0027】
また、図6は枠体1を開いたときと折り畳んだときの枠体1内の温度変化の状態を示すものであり、枠体1の上部が閉塞されると枠体1内の温度が上昇を開始し、温度過昇防止装置8・8aの作動温度となって温度過昇防止装置8・8aが作動すると面状発熱体5の通電が停止されるが、温度過昇防止装置8・8aの作動温度になってから面状発熱体5の通電が停止するまでの間も枠体1内の温度が上昇し、面状発熱体5の通電停止後も温度上昇するため、枠体1内の温度は温度過昇防止装置8・8aの作動温度よりも高くなる。
また、二つの枠体1を折り畳んだ状態で使用するときは、枠体1上部の空気流出口10と間隔12の上部が閉塞されるため、枠体1を開いた状態のときよりも枠体1内の温度が上昇しやすくなり、温度過昇防止装置8・8aが作動してからの枠体1内の温度上昇幅は枠体1を折り畳んだ状態のときの方が大きく、面状発熱体5の通電停止後の枠体1内の温度が高くなる。
このため、温度過昇防止装置8・8aの作動温度は、面状発熱体5の通電停止後の温度上昇分を考慮して設定する必要があり、また、枠体1を折り畳んだ状態のときの温度条件を基準に設定する必要がある。
【0028】
一方、温度過昇防止装置8・8aは枠体1内の異常高温を確実に検知できる位置に取り付ける必要があるが、この取り付け位置は普通の使用状態においても熱気の影響を受けやすい位置となる可能性がある。特に、二つの枠体1を折り畳んだ状態で使用するときは、枠体1を広げた状態で使用するときに比べて枠体1内の温度が高くなり、普通の使用状態における枠体1内の温度と温度過昇防止装置8・8aの作動温度との差が少なくなるから、温度過昇防止装置8・8aが誤作動を起こす可能性が高くなる。
【0029】
図2の実施例において、枠体1下部の空気流入口9から空気流路11に流入する空気は遮熱部材2の下部で前後に分流され、遮熱部材2と枠体1背面との間の空気流路11は遮熱部材2によって面状発熱体5の熱が遮られて比較的低温度の空気が流れるから、前記温度過昇防止装置8・8aを遮熱部材2の背面上部に取り付けて、遮熱部材2と枠体1背面との間の空気流路11内に配置している。
2aは遮熱部材2の上端部に形成した遮熱天板であり、遮熱天板2aは温度過昇防止装置8・8aの取り付け位置よりも上方で枠体1の前面側に傾斜しており、面状発熱体5によって暖められた遮熱部材2と放熱開口4の間の空気流路11の高温空気は、遮熱部材2の上部の遮熱天板2aによって一旦枠体1の前面側へ向かい、遮熱天板2aの先端から空気流出口10に向かって上昇している。一方、遮熱部材2と枠体1背面との間の空気流路11を上昇してきた低温度の空気が遮熱部材2aの上面から空気流出口10に向かって流れているから、枠体1内の高温空気が温度過昇防止装置8・8aに向かって流れることはなく、温度過昇防止装置8・8aの周囲を低温度に維持できるから、枠体1を折り畳んだ状態で使用するときでも普通の使用状態で温度過昇防止装置8・8aが誤作動を起こすことはなくなった。
【0030】
また、枠体1の上部が閉塞されると、高温空気が空気流出口10や間隔12の上部から放出されなくなって枠体1内の温度を上昇させ、枠体1内の上部や間隔12の上部で流れを止められた高温空気が空気流出口10と遮熱天板2aとの隙間から遮熱部材2の背面上部に向かって流れるから、遮熱部材2の背面上部に取り付けた温度過昇防止装置8・8aが高温空気によって作動して面状発熱体5の通電を停止することができ、確実に枠体1の異常高温を防ぐことができるものである。
【0031】
また、制御基板14は熱に弱く、温度が高くなると故障が発生しやすいため、枠体1内の高温空気から保護する必要がある。図1において、操作パネル13は枠体1の回動軸部7と反対側の側面に配置して枠体1の側方に突出するように形成し、13cは操作パネル13の内部に形成した枠体1内と区画された空間であり、制御基板14は操作パネル13の空間13cに取り付けている。
この構成は、枠体1を折り畳んだときに操作パネル13が枠体1の側方に突出するから、他方の枠体1によって操作パネル13が隠れることがなく、操作部13aによる運転操作と表示部13bによる運転状態の確認が可能となると共に、面状発熱体5によって暖められた枠体1内の高温空気が操作パネル13の空間13cに向かわず、操作パネル13の空間13cに取り付けた制御基板14を低温度に維持することができる。
【0032】
また、操作パネル13を形成した枠体1は、回動軸部7と反対側の側面付近に温度過昇防止装置8aを配置して、温度過昇防止装置8aが枠体1上部の操作パネル13付近の温度を検知する構成としたから、枠体1上部が閉塞されて操作パネル13付近の温度が上昇するときは、確実に温度過昇防止装置8aが作動して異常高温を防ぐことができるものとなった。このため、枠体1上部が閉塞されたときにも、操作パネル13の空間13cの温度上昇を防ぐことができ、制御基板14を確実に高温空気から保護して故障の発生を防ぐことができるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施例の電気パネル暖房機を折り畳んだ状態を示す横断面図である。
【図2】この発明の実施例の電気パネル暖房機を折り畳んだ状態を示す縦断面図である。
【図3】この発明の実施例の電気パネル暖房機を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施例の電気パネル暖房機を広げた状態を示す要部正面断面図である。
【図5】この発明の実施例の電気パネル暖房機の上部がタオル等の物品で覆われた状態を示す横断面図である。
【図6】この発明の実施例の電気パネル暖房機の上部がタオル等の物品で覆われたときの温度変化を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 枠体
2 遮熱部材
3 ガード
4 放熱開口
5 面状発熱体
6 脚
7 回動軸部
8 温度過昇防止装置
8a 温度過昇防止装置
9 空気流入口
10 空気流出口
11 空気流路
12 間隔
13 操作パネル
13a 操作部
13b 表示部
14 制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型パネル状の枠体(1)内の背部には遮熱部材(2)を配置し、かつ枠体(1)の前面にはガード(3)を配置した放熱開口(4)を設け、前記遮熱部材(2)とガード(3)との間の枠体(1)には面状発熱体(5)を取り付けると共に、
前記枠体(1)には脚(6)を備え、この脚(6)によって前記枠体(1)を床面から立たせて放熱開口(4)から熱線を放射する電気暖房機において、
前記枠体(1)を2個並設して回動軸部(7)によって二つの枠体(1)を連結し、その二つの枠体(1)は回動軸部(7)を中心にそれぞれの放熱開口(4)の向く方向が変更可能になっており、
かつ、前記二つの枠体(1)内の上部には異常温度上昇を検出する温度過昇防止装置(8)・(8a)をそれぞれ設け、
一方の枠体(1)の温度過昇防止装置(8)を回動軸部(7)側の側面付近に配置し、他方の枠体(1)の温度過昇防止装置(8a)を回動軸部(7)とは反対側の側面付近に配置し、
前記枠体(1)の放熱開口(4)が対向する回動位置では温度過昇防止装置(8)・(8a)がそれぞれ対向する他方の枠体(1)内の温度上昇を検出可能とすることを特徴とする電気パネル暖房機。
【請求項2】
前記枠体(1)の底面には床面との間の空気が流入する空気流入口(9)を設け、また、枠体(1)の上面には空気流出口(10)を設け、
前記枠体(1)内には空気流入口(9)と空気流出口(10)を連通する空気流路(11)を形成すると共に、
前記温度過昇防止装置(8)・(8a)は遮熱部材(2)と枠体(1)の背部との間の空気流路(11)に配置し、枠体(1)の放熱開口(4)が対向する回動位置では二つの枠体(1)の間に間隔(12)を形成したことを特徴とする請求項1に記載した電気パネル暖房機。
【請求項3】
前記回動軸部(7)と反対側の枠体(1)側面には枠体(1)の側方に突出する操作パネル(13)を配置し、
該操作パネル(13)の前面には運転を操作する操作部(13a)と、運転状態を表示する表示部(13b)とを設け、かつ、操作パネル(13)の内部には制御基板(14)を配置し、
前記枠体(1)の放熱開口(4)が対向する回動位置で操作パネル(13)が枠体(1)の側方に露出すると共に、
操作パネル(13)を設けた枠体(1)は、回動軸部(7)と反対側の側面付近に前記温度過昇防止装置(8a)を配置し、温度過昇防止装置(8a)が操作パネル(13)付近の温度上昇を検出することを特徴とする請求項2記載の電気パネル暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−85015(P2010−85015A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254671(P2008−254671)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】