説明

電気二重層キャパシタ、それを備えた蓄電装置及び電気二重層キャパシタの製造方法

【課題】電気二重層キャパシタ本体が収納された筐体内部の密閉性を向上させる。
【解決手段】正側端子電極30における正側開口部16−3の内側面との接合部30−1に耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製のシート40を全周に渡って熱溶着し、負側端子電極32における負側開口部16−4の内側面との接合部32−1に耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製のシート42を全周に渡って熱溶着する。その後、シート40と正側開口部16−3の内側面とを全周に渡って熱溶着し、シート42と負側開口部16−4の内側面とを全周に渡って熱溶着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し充放電可能な電気二重層キャパシタ、それを備えた蓄電装置及び電気二重層キャパシタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタは、繰り返し充放電可能な蓄電装置として用いられている。電気二重層キャパシタは、電気化学反応を用いる二次電池と比較して、大電流による急速充放電が可能であり、かつ長寿命という特徴を有している。
【0003】
この電気二重層キャパシタの従来例が特開平4−154106号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1においては、平板状の正極及び負極がセパレータを介して交互に積層されている電気二重層キャパシタ本体が電解液含浸状態で筐体内に収納されている。複数枚の正極及び負極中の集電体より引き出されたリード部は、筐体の蓋に配設された外部端子と接合されている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−154106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気二重層キャパシタの充放電の際には、電解液に含まれている不純物等によりガスが発生することで、筐体内部の圧力が増大する。特許文献1においては、この筐体内部の圧力増大により、外部端子と筐体の蓋との接合部が劣化して筐体内部の密閉性が保てなくなるため、電解液の漏れが発生して電気二重層キャパシタの特性が劣化してしまうという問題点がある。また、筐体内部の圧力増大により、筐体が変形してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、筐体内部の密閉性を向上させることができる電気二重層キャパシタ、それを備えた蓄電装置及び電気二重層キャパシタの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、他に、筐体内部の圧力が増大しても、電解液の漏れが起きず、筐体の変形を抑止できる電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気二重層キャパシタ、それを備えた蓄電装置及び電気二重層キャパシタの製造方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る電気二重層キャパシタは、正側電極及び負側電極がセパレータを介して対向配置された電気二重層キャパシタ本体が電解液含浸状態で樹脂製の筐体の内部に収納されており、該筐体の外部に露出している正側端子部及び負側端子部が該筐体に形成された正側開口部及び負側開口部をそれぞれ通って前記正側電極及び前記負側電極にそれぞれ接続されている電気二重層キャパシタであって、前記正側端子部が前記正側開口部の内側面と全周に渡って溶着され、前記負側端子部が前記負側開口部の内側面と全周に渡って溶着されていることを要旨とする。
【0009】
この本発明においては、正側端子部が筐体に形成された正側開口部の内側面と全周に渡って溶着され、負側端子部が筐体に形成された負側開口部の内側面と全周に渡って溶着されていることにより、正側及び負側端子部と筐体との密着性を向上させることができるので、電気二重層キャパシタ本体が収納された筐体内部の密閉性を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る電気二重層キャパシタにおいて、前記正側端子部及び前記負側端子部は、前記正側開口部の内側面及び前記負側開口部の内側面とそれぞれ全周に渡って樹脂製のシートを介して溶着されているものとすることもできる。こうすれば、正側及び負側端子部と筐体との密着性をさらに向上させることができる。この態様の本発明に係る電気二重層キャパシタにおいて、前記筐体は耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製であり、前記シートは耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製であるものとすることもできる。こうすれば、筐体及びシートを熱溶着により接合する加工ができるとともに、耐薬品性能を向上させることができる。この態様の本発明に係る電気二重層キャパシタにおいて、前記筐体はポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂製であり、前記シートはポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂製であるものとすることもできる。
【0011】
本発明に係る電気二重層キャパシタにおいて、前記筐体内部の圧力が所定圧力より大きくなった場合に該筐体内部と外部とを連通するリリーフ弁を有するものとすることもできる。こうすれば、筐体内部の圧力増大による筐体の変形を抑止できるので、筐体における接合部の劣化を抑止できる。また、電解液の漏れを防止できる。
【0012】
本発明に係る電気二重層キャパシタにおいて、前記筐体を形成する面に補強手段が設けられているものとすることもできる。こうすれば、筐体内部の圧力増大による筐体の変形を抑止できるので、筐体における接合部の劣化を抑止できる。
【0013】
本発明に係る電気二重層キャパシタが直列に複数接続されている蓄電装置において、これら複数の電気二重層キャパシタ間における電圧のばらつきを補正するための補正回路が該蓄電装置内に内蔵されているものとすることもできる。こうすれば、直列接続された電気二重層キャパシタの各々に効率よく電気エネルギーを蓄えることができるとともに、蓄電装置の小型化を実現できる。
【0014】
本発明に係る電気二重層キャパシタは、正側電極及び負側電極がセパレータを介して対向配置された電気二重層キャパシタ本体が電解液含浸状態で樹脂製の筐体の内部に収納されており、該筐体の外部に露出している正側端子部及び負側端子部が該筐体に形成された正側開口部及び負側開口部をそれぞれ通って前記正側電極及び前記負側電極にそれぞれ接続されている電気二重層キャパシタであって、前記筐体内部の圧力が所定圧力より大きくなった場合に該筐体内部と外部とを連通するリリーフ弁を有することを要旨とする。
【0015】
本発明に係る電気二重層キャパシタの製造方法は、正側電極及び負側電極がセパレータを介して対向配置された電気二重層キャパシタ本体が電解液含浸状態で樹脂製の筐体の内部に収納されており、該筐体の外部に露出している正側端子部及び負側端子部が該筐体に形成された正側開口部及び負側開口部をそれぞれ通って前記正側電極及び前記負側電極にそれぞれ接続されている電気二重層キャパシタを製造する方法であって、前記正側端子部における前記正側開口部の内側面との接合部及び前記負側端子部における前記負側開口部の内側面との接合部のそれぞれに樹脂製のシートを全周に渡って溶着する第1溶着工程と、前記正側端子部に溶着されたシートと前記正側開口部の内側面とを全周に渡って溶着し、前記負側端子部に溶着されたシートと前記負側開口部の内側面とを全周に渡って溶着する第2溶着工程と、を含むことを要旨とする。
【0016】
この本発明によれば、正側及び負側端子部と筐体との密着性を向上させることができるので、電気二重層キャパシタ本体が収納された筐体内部の密閉性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る電気二重層キャパシタの製造方法において、前記筐体は耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製であり、前記シートは耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製であるものとすることもできる。こうすれば、筐体及びシートを熱溶着により接合する加工ができるとともに、耐薬品性能を向上させることができる。この態様の本発明に係る電気二重層キャパシタの製造方法において、前記筐体はポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂製であり、前記シートはポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂製であるものとすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0019】
図1〜4は、本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタの構成の概略を示す図である。図1は全体の外観の斜視図を示し、図2は正側及び負側端子電極周辺の分解斜視図を示し、図3は正側電極板の斜視図を示し、図4は筐体内部に収納された電気二重層キャパシタ本体の分解斜視図を示す。本実施形態に係る電気二重層キャパシタにおいては、平板状の正側電極板10及び負側電極板12がセパレータ14を介して対向配置された電気二重層キャパシタ本体100が電解液含浸状態で筐体16の内部に収納されている。そして、筐体16の外部に露出している平板状の正側端子電極30及び負側端子電極32が筐体16の内部にて正側電極板10及び負側電極板12とそれぞれ接続されている。
【0020】
図3に示すように、正側電極板10においては、平板状の集電体24の両面側に分極性電極26−1,26−2が形成されている。そして、集電体24からは正側端子電極30に接続するためのリード部20が引き出されている。また、負側電極板12の構成については、負側端子電極32に接続するためのリード部22を引き出す位置の違いを除いて、正側電極板10と同様の構成である。
【0021】
図4に示すように、正側電極板10及び負側電極板12をセパレータ14を介して交互に複数回積層することにより、電気二重層キャパシタ本体100が形成される。正側電極板10のリード部20の各々は1つに結合されてから正側端子電極30と接合される。同様に、負側電極板12のリード部22の各々は1つに結合されてから負側端子電極32と接合される。
【0022】
筐体16は、電気二重層キャパシタ本体100を収納する角型の本体部16−1、及び封止を行うための蓋部16−2によって構成されている。筐体16の材料としては、樹脂が用いられ、その中でも耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂が用いられる。その具体例としては、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂等が挙げられる。電気二重層キャパシタ本体100が電解液含浸状態で筐体16の本体部16−1内に収納されてから、筐体16の本体部16−1と蓋部16−2とが接合される。
【0023】
図2に示すように、筐体16の蓋部16−2には、平板状の正側端子電極30を通すための略矩形状の正側開口部16−3、及び平板状の負側端子電極32を通すための略矩形状の負側開口部16−4が形成されている。正側端子電極30は正側開口部16−3を通されて正側開口部16−3の内側面と接合され、負側端子電極32は負側開口部16−4を通されて負側開口部16−4の内側面と接合される。
【0024】
そして、正側開口部16−3の全周囲には正側開口部16−3の内側面と略平行な正側加圧面16−5が形成されており、正側加圧面16−5に押圧力を付加することで正側開口部16−3に通された正側端子電極30へ押圧力を付加することができる。同様に、負側開口部16−4の全周囲には負側開口部16−4の内側面と略平行な負側加圧面16−6が形成されており、負側加圧面16−6に押圧力を付加することで負側開口部16−4に通された負側端子電極32へ押圧力を付加することができる。
【0025】
図1に示すように、筐体16の蓋部16−2にはリリーフ弁34が設けられている。筐体16の内部の圧力が所定圧力以下の場合はリリーフ弁34は閉じているが、筐体16の内部の圧力が所定圧力より大きくなった場合はリリーフ弁34が開いて筐体16の内部と外部とを連通することにより、筐体16の内部の圧力を低下させる。このリリーフ弁34の動作によって、筐体16の内部の圧力が所定圧力以下となるように保たれる。なお、リリーフ弁34を設ける位置については、筐体16の蓋部16−2以外であってもよく、筐体16の本体部16−1に設けてもよい。
【0026】
本実施形態に係る電気二重層キャパシタを製造する際には、図2に示すように、正側端子電極30における正側開口部16−3の内側面との接合部30−1にシート40を全周に渡って熱溶着し、負側端子電極32における負側開口部16−4の内側面との接合部32−1にシート42を全周に渡って熱溶着する。ここでのシート40,42の材料としては、筐体16と同様に樹脂が用いられ、その中でも耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂が用いられる。その具体例としては、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂等が挙げられる。また、正側端子電極30及び負側端子電極32の材料としては、例えばアルミニウムが用いられる。
【0027】
次に、シート40が熱溶着された正側端子電極30及びシート42が熱溶着された負側端子電極32を正側開口部16−3及び負側開口部16−4にそれぞれ通し、シート40と正側開口部16−3の内側面とを全周に渡って熱溶着し、シート42と負側開口部16−4の内側面とを全周に渡って熱溶着する。ここで、筐体16の蓋部16−2に正側加圧面16−5及び負側加圧面16−6を予め形成しておき、全ての正側加圧面16−5及び全ての負側加圧面16−6に押圧力を付加しながら熱溶着を行うことにより、シート40,42の全周に渡って確実に熱溶着を行うことができる。図2に示す例では正側端子電極30及び負側端子電極32が平板状であるため、図2に示すように正側加圧面16−5の4面及び負側加圧面16−6の4面のそれぞれに押圧力を付加しながら熱溶着を行う。以上の熱溶着によって、正側端子電極30が正側開口部16−3の内側面と全周に渡ってシート40を介して溶着され、負側端子電極32が負側開口部16−4の内側面と全周に渡ってシート42を介して溶着される。
【0028】
積層によって形成された電気二重層キャパシタ本体100のリード部20及びリード部22は、正側端子電極30及び負側端子電極32とそれぞれ接合される。なお、正側端子電極30とリード部20との接合及び負側端子電極32とリード部22との接合については、正側端子電極30と正側開口部16−3の内側面との熱溶着及び負側端子電極32と負側開口部16−4の内側面との熱溶着の前に行ってもよいし、この熱溶着の後に行ってもよい。
【0029】
図5の正面図に示すように、端子電極30,32と蓋部16−2との熱溶着及び端子電極30,32とリード部20,22との接合が行われた後、電気二重層キャパシタ本体100を電解液含浸状態で筐体16の本体部16−1内に収納し、筐体16の本体部16−1と筐体16の蓋部16−2とを熱溶着によって接合する。これによって、電気二重層キャパシタ本体100の封止が行われ、本実施形態に係る電気二重層キャパシタが得られる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態においては、正側端子電極30における正側開口部16−3の内側面との接合部30−1に耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製のシート40を全周に渡って熱溶着し、負側端子電極32における負側開口部16−4の内側面との接合部32−1に耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製のシート42を全周に渡って熱溶着している。その後、シート40と正側開口部16−3の内側面とを全周に渡って熱溶着し、シート42と負側開口部16−4の内側面とを全周に渡って熱溶着している。このように、正側端子電極がシート40を介して正側開口部16−3の内側面と全周に渡って溶着され、負側端子電極32がシート42を介して負側開口部16−4の内側面と全周に渡って溶着されていることにより、端子電極30,32と筐体16の蓋部16−2との密着性を高めることができる。したがって、電気二重層キャパシタ本体100が収納されている筐体16の密閉性を高めることができるので、電気二重層キャパシタ本体100に含浸された電解液の漏れに対する信頼性を高めることができ、電気二重層キャパシタの長寿命化を実現できる。
【0031】
さらに、本実施形態においては、筐体16の内部の圧力が所定圧力より大きくなった場合は、リリーフ弁34が開くことにより、筐体16の内部の圧力が所定圧力以下となるように保たれる。したがって、筐体16の内部における圧力増大による筐体16の変形を抑止できるので、端子電極30,32と筐体16の蓋部16−2との接合部、及び筐体16の本体部16−1と蓋部16−2との接合部の劣化を抑止できる。
【0032】
本実施形態においては、図6に示すように、筐体16を形成する面16−7に補強用のビード部36が設けられていてもよい。このビード部36により面16−7の剛性を高めることができるので、筐体16の内部における圧力増大による筐体16の変形をさらに抑止できる。したがって、端子電極30,32と筐体16の蓋部16−2との接合部、及び筐体16の本体部16−1と蓋部16−2との接合部の劣化をさらに抑止できる。
【0033】
なお、電気二重層キャパシタの出力電圧を増大させる場合は、電気二重層キャパシタを直列に複数接続して用いる。ただし、電気二重層キャパシタは容量にばらつきを持つため、直列に複数接続された電気二重層キャパシタの充電を同時に行うと、充電電圧にばらつきが発生してしまい、電気二重層キャパシタの各々に効率よく電気エネルギーを蓄えることが困難となってしまう。
【0034】
そこで、本実施形態に係る電気二重層キャパシタが直列に複数接続された蓄電装置においては、図7の分解斜視図に示すように、これら複数の電気二重層キャパシタ1〜5における電圧のばらつきを補正するための均等充放電回路38が内蔵されている。図7に示す蓄電装置60においては、電気二重層キャパシタの正側端子電極30とそのキャパシタに隣接する電気二重層キャパシタの負側端子電極32とが接続されていることにより、本実施形態に係る電気二重層キャパシタ1〜5が直列に接続されている。均等充放電回路38は、各電気二重層キャパシタ1〜5における端子電極30,32のそれぞれと接続されている。電気二重層キャパシタ1の正側端子電極30が平板状の蓋44に設けられた正側外部端子50と接続され、電気二重層キャパシタ5の負側端子電極32が蓋44に設けられた負側外部端子52と接続されている。なお、蓋44の材料としては、筐体16と同様に樹脂が用いられ、その中でも耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂が用いられる。その具体例としては、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂等が挙げられる。また、図7においては、各電気二重層キャパシタ1〜5ごとにリリーフ弁34が設けられているが、電気二重層キャパシタ1〜5間でガスの通過が可能ならば、リリーフ弁34は1つ設ければよい。
【0035】
そして、図7に示す蓄電装置60においては、均等充放電回路38が蓋44と各電気二重層キャパシタ1〜5における筐体16の蓋部16−2との間に挟まれた状態で蓋44と筐体16の蓋部16−2とが接合されることにより、均等充放電回路38が蓄電装置60内に内蔵される。蓋44と筐体16の蓋部16−2とは、均等充放電回路38を挟んだ状態で熱溶着される。
【0036】
なお、均等充放電回路38の回路構成については、電気二重層キャパシタ1〜5の各々に並列接続されるバランス抵抗、あるいは電圧検出器及びスイッチを含み電気二重層キャパシタ1〜5の各々に並列接続されるバイパス回路等の既知の回路構成で実現可能なため、図7では均等充放電回路38の回路構成の図示を省略して回路が形成される基板のみを示している。
【0037】
図7に示す蓄電装置60においては、均等充放電回路38が内蔵されていることにより、直列接続された電気二重層キャパシタの各々に効率よく電気エネルギーを蓄積できるとともに、蓄電装置60の小型化を実現できる。
【0038】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタの構成の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタにおける正側及び負側端子電極周辺の構成を示す分解斜視図である。
【図3】電気二重層キャパシタ本体の構成の概略を示す分解斜視図である。
【図4】正側電極板の構成の概略を示す斜視図である。
【図5】筐体の本体部と蓋部とを溶着する工程を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタの他の構成の概略を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタが直列に複数接続された蓄電装置の構成の概略を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10 正側電極板、12 負側電極板、14 セパレータ、16 筐体、30 正側端子電極、32 負側端子電極、34 リリーフ弁、36 ビード部、38 均等充放電回路、40,42 シート、60 蓄電装置、100 電気二重層キャパシタ本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正側電極及び負側電極がセパレータを介して対向配置された電気二重層キャパシタ本体が電解液含浸状態で樹脂製の筐体の内部に収納されており、該筐体の外部に露出している正側端子部及び負側端子部が該筐体に形成された正側開口部及び負側開口部をそれぞれ通って前記正側電極及び前記負側電極にそれぞれ接続されている電気二重層キャパシタであって、
前記正側端子部が前記正側開口部の内側面と全周に渡って溶着され、前記負側端子部が前記負側開口部の内側面と全周に渡って溶着されていることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気二重層キャパシタであって、
前記正側端子部及び前記負側端子部は、前記正側開口部の内側面及び前記負側開口部の内側面とそれぞれ全周に渡って樹脂製のシートを介して溶着されていることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項3】
請求項2に記載の電気二重層キャパシタであって、
前記筐体は耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製であり、前記シートは耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製であることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項4】
請求項3に記載の電気二重層キャパシタであって、
前記筐体はポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂製であり、前記シートはポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂製であることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の電気二重層キャパシタであって、
前記筐体内部の圧力が所定圧力より大きくなった場合に該筐体内部と外部とを連通するリリーフ弁を有することを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の電気二重層キャパシタであって、
前記筐体を形成する面に補強手段が設けられていることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の電気二重層キャパシタが直列に複数接続されている蓄電装置であって、
これら複数の電気二重層キャパシタ間における電圧のばらつきを補正するための補正回路が該蓄電装置内に内蔵されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項8】
正側電極及び負側電極がセパレータを介して対向配置された電気二重層キャパシタ本体が電解液含浸状態で樹脂製の筐体の内部に収納されており、該筐体の外部に露出している正側端子部及び負側端子部が該筐体に形成された正側開口部及び負側開口部をそれぞれ通って前記正側電極及び前記負側電極にそれぞれ接続されている電気二重層キャパシタであって、
前記筐体内部の圧力が所定圧力より大きくなった場合に該筐体内部と外部とを連通するリリーフ弁を有することを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項9】
正側電極及び負側電極がセパレータを介して対向配置された電気二重層キャパシタ本体が電解液含浸状態で樹脂製の筐体の内部に収納されており、該筐体の外部に露出している正側端子部及び負側端子部が該筐体に形成された正側開口部及び負側開口部をそれぞれ通って前記正側電極及び前記負側電極にそれぞれ接続されている電気二重層キャパシタを製造する方法であって、
前記正側端子部における前記正側開口部の内側面との接合部及び前記負側端子部における前記負側開口部の内側面との接合部のそれぞれに樹脂製のシートを全周に渡って溶着する第1溶着工程と、
前記正側端子部に溶着されたシートと前記正側開口部の内側面とを全周に渡って溶着し、前記負側端子部に溶着されたシートと前記負側開口部の内側面とを全周に渡って溶着する第2溶着工程と、
を含むことを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電気二重層キャパシタの製造方法であって、
前記筐体は耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製であり、前記シートは耐薬品性及び熱可塑性を有する合成樹脂製であることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電気二重層キャパシタの製造方法であって、
前記筐体はポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂製であり、前記シートはポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系のいずれか1の樹脂製であることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−54488(P2006−54488A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299451(P2005−299451)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【分割の表示】特願2004−11522(P2004−11522)の分割
【原出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)