説明

電気二重層キャパシタ用電解液

【課題】−30〜−40℃の低温であっても、粘度が低く、電気伝導度の高い電気二重層キャパシタ用電解液及びそれを用いた電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】(a)と(b)を含有することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液。(a)式(1)で表される化合物、(b)酢酸メチルおよびそのフッ化誘導体、酢酸エチルおよびそのフッ化誘導体、プロピオン酸メチルおよびそのフッ化誘導体から選ばれる少なくとも1種の溶媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタ用電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタ用の電解液として、固体状電解質を溶媒に溶解させた非水電解液が知られているが、電解液の電気伝導性は電解質の濃度とともに変化する。濃度の上昇とともに電解液中のイオン濃度が増加することによって電気伝導度が増加するがやがて極大点に達する。電気伝導度が極大点に達し減少し始めるのは電解液中にイオンの数が増すにつれて、溶媒−イオン、イオン−イオン間の相互作用の増大によって電解質が解離しにくくなり、同時に電解液の粘度が増加するためと考えられている。電解質濃度がさらに増加するとそれ以上解離できなくなり、電解質濃度が飽和する。したがって電解質濃度を高めようとした場合には電解質が溶解しにくくなるといった問題があった。また高濃度の電解質を溶解させた電解液を低温環境下で使用すると塩の析出が生じ、電解液の電気伝導性が悪くなってしまうといった問題も生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような問題を解決する手段として、脂肪族モノカルボン酸エステルを混合し、電気伝導度の高い電解液を得ることが開示されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0004】
特許文献1によれば、脂肪族モノカルボン酸エステルとエチレンカーボネートの混合溶媒に、溶質の四級アンモニウム塩が溶解されたものからなる、分極性電極と電解液との界面で形成される電気二重層を利用する電気二重層コンデンサ用電解液にすることにより、常温で液状を示す混合溶媒とすることができ、この混合溶媒を用いることにより、溶質の四級アンモニウム塩のイオン解離度を向上させることにより、電気伝導率の高い電解液となることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2によれば、分極性電極と電解液との界面で形成される電気二重層を利用するコンデンサに用いられる電解液において、総炭素数が4〜6の脂肪族モノカルボン酸エステル(a)10〜50重量%と、スルフォラン(b)90〜50重量%を含有する非水系溶媒に、溶質の四級アンモニウム塩が溶解されてなる電気二重層コンデンサ用電解液にすることにより、高い電気伝導率と電気化学的安定性を示す電気二重層コンデンサ用電解液となることが開示されている。
【0006】
更に、特許文献3によれば、分極性電極と電解液との界面で形成される電気二重層を利用するコンデンサに用いられる電解液において、総炭素数が4〜6の脂肪族モノカルボン酸エステル(a)10〜50重量%と、プロピレンカーボネート(b)90〜50重量%を含有する非水系溶媒に、溶質の四級アンモニウム塩が溶解されてなる電気二重層コンデンサ用電解液にすることにより、高い電気伝導率と電気化学的安定性を示す電気二重層コンデンサ用電解液となることが開示されている。
【0007】
特許文献4によれば、ピロリジン骨格とN,O−アセタール骨格構造を分子内に持つ第4級アンモニウム塩を電解質として使用することにより、電気伝導性、耐電圧が高い電解液が得られることが開示されている。
しかし、常温(25℃)での電気伝導度は高いものの、−30〜−40℃の低温においてはまだ充分ではなく、このような低温でも電気伝導度の高い電気二重層キャパシタ用電解液が望まれている。
【0008】
【特許文献1】特開平08−273986号公報
【特許文献2】特開平08−298229号公報
【特許文献3】特開平09−007898号公報
【特許文献4】再表2005/031082
【0009】
本発明の課題は、−30〜−40℃の低温であっても、粘度が低く、電気伝導度の高い電気二重層キャパシタ用電解液及びそれを用いた電気二重層キャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の発明に係る。
1.(a)と(b)を含有することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液
(a)式(1)で表される化合物
(b)酢酸メチルおよびそのフッ化誘導体、酢酸エチルおよびそのフッ化誘導体、プロピオン酸メチルおよびそのフッ化誘導体から選ばれる少なくとも1種の溶媒。
【0011】
【化1】

(RおよびRは、互いに同一または異なってメチル基、エチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基を示し、RおよびRで環構造を構成しても良い。)
【0012】
2.更に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびスルホランから選ばれる1種を添加した上記1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
3.更に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびジメチルカーボネートから選ばれる1種を添加した上記1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
4.更に、エチレンカーボネートを添加した上記1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
5.式(1)で表される化合物が、25℃で液体である上記1〜4のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
6.上記1〜5のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用電解液を用いた電気二重層キャパシタ。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、−30〜−40℃の低温であっても、粘度を低くすることができ、電気伝導度を向上することができる。その結果、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液を用いた電気二重層キャパシタは、−30〜−40℃の低温であっても、内部抵抗を低くすることができ、静電容量を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、(a)と(b)を含有する電気二重層キャパシタ用電解液である。
(a)式(1)で表される化合物
(b)酢酸メチルおよびそのフッ化誘導体、酢酸エチルおよびそのフッ化誘導体、プロピオン酸メチルおよびそのフッ化誘導体から選ばれる少なくとも1種の溶媒
【0015】
【化2】

(RおよびRは、互いに同一または異なってメチル基、エチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基を示し、RおよびRで環構造を構成しても良い。)
【0016】
式(1)で表される化合物中のRおよびRとしては、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基を挙げることができる。また、RおよびRで構成される環構造としては、ピロリジン環等を挙げることができる。
具体的には、例えば、下記のような化合物を例示することができる。
N−エチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−エトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−エトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレート等を挙げることができる。25℃で液体である化合物は、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−エトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−エトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレートである。
【0017】
本発明で用いる溶媒としては、酢酸メチルおよびそのフッ化誘導体、酢酸エチルおよびそのフッ化誘導体、プロピオン酸メチルおよびそのフッ化誘導体を挙げることができる。
酢酸メチルのフッ化誘導体としては、フルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸メチル、トリフルオロ酢酸メチル等を挙げることができる。
酢酸エチルのフッ化誘導体としては、フルオロ酢酸エチル、ジフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸エチル等を挙げることができる、
プロピオン酸メチルのフッ化誘導体としては、フルオロプロピオン酸メチル、ジフルオロプロピオン酸メチル、トリフルオロプロピオン酸メチル等を挙げることができる。
【0018】
本発明で用いる酢酸メチルおよびそのフッ化誘導体、酢酸エチルおよびそのフッ化誘導体、プロピオン酸メチルおよびそのフッ化誘導体から選ばれる少なくとも1種の溶媒に添加する溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、スルホラン等を挙げることができる。
【0019】
本発明の電解液において、式(1)で表される化合物の含有量は、電解液において、10〜60重量%、好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは20〜35重量%が良い。
【0020】
本発明の電解液において、酢酸メチルおよびそのフッ化誘導体、酢酸エチルおよびそのフッ化誘導体、プロピオン酸メチルおよびそのフッ化誘導体から選ばれる少なくとも1種の溶媒とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびスルホランから選ばれる1種との混合溶媒とした場合、酢酸メチルおよびそのフッ化誘導体、酢酸エチルおよびそのフッ化誘導体、プロピオン酸メチルおよびそのフッ化誘導体から選ばれる少なくとも1種の溶媒の含有量としては、混合溶媒において、0.5〜100重量%、好ましくは20〜85重量%、更に好ましくは45〜80重量%が良い。
【0021】
以下、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液の調製方法を説明する。作業をおこなう環境としては、水分が電気二重層キャパシタの性能に悪影響を与えるため、大気が混入しない環境であれば特に限定されないが、アルゴンや窒素などの不活性雰囲気のグローブボックス内において調製作業をすることが好ましい。作業環境の水分は露点計で管理することができ、マイナス60℃以下であることが好ましい。マイナス60℃を越えると、作業時間が長くなる場合、電解液が雰囲気中の水分を吸収するため電解液中の水分が上昇してしまう。電解液中の水分はカールフィッシャー水分計で測定することができる。
【0022】
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、−30〜−40℃の低温であっても、粘度を低くすることができ、電気伝導度を向上させることができる。その結果、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液を用いた電気二重層キャパシタは、−30〜−40℃の低温であっても、内部抵抗を低くすることができ、静電容量を向上させることができる。
【0023】
上記で得られる本発明の電解液を用いて電気二重層キャパシタを好適に作製できる。この電気二重層キャパシタの一例としては、例えば、ラミネート型を挙げることができる。しかし、電気二重層キャパシタの形状はラミネート型に限定されるものではなく、缶体中に電極を積層して収納されてなる積層型、捲回して収納されてなる捲回型、又は絶縁性のガスケットにより電気的に絶縁された金属製缶からなるコイン型と称されるものであってもよい。以下、一例としてラミネート型電気二重層キャパシタの構造について説明する。
【0024】
図1および図2は、ラミネート型電気二重層キャパシタを示す図面である。電極3とアルミタブ1が接着されていて、セパレータ4を介して対向配置され、ラミネート2に収納されている。電極は、活性炭等の炭素材料からなる分極性電極部分と、集電体部分とからなる。ラミネート容器体2は、熱圧着により密封し、容器外部からの水分や空気が侵入しないようになっている。
【0025】
分極性電極材料は、比表面積が大きく、電気伝導性が高い材料であることが好ましく、また使用する印加電圧の範囲内で電解液に対して電気化学的に安定であることが必要である。このような材料としては、例えば、炭素材料、金属酸化物材料、導電性高分子材料等を挙げることができる。コストを考慮すると、分極性電極材料は、炭素材料であるのが好ましい。
炭素材料としては、活性炭材料が好ましく、具体的には、おがくず活性炭、やしがら活性炭、ピッチ・コークス系活性炭、フェノール樹脂系活性炭、ポリアクリロニトリル系活性炭、セルロース系活性炭等を挙げることができる。
金属酸化物系材料としては、例えば、酸化ルテニウム、酸化マンガン、酸化コバルト等を挙げることができる。導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン膜、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)膜等を挙げることができる。
【0026】
電極は、上記分極性電極材料をPTFEなどの結着剤と共に混練し、加圧成型したものを導電性接着剤でアルミニウム箔等の集電体に結着させるか、又は上記分極性電極材料を結着剤と共にCMC等の増粘剤もしくは、ピロリドン等の有機溶剤に混合し、ペースト状にしたものをアルミニウム箔等集電体に塗工後、乾燥して得ることができる。
【0027】
セパレータとしては、電子絶縁性が高く、電解液の濡れ性に優れイオン透過性が高いものが好ましく、また、印加電圧範囲内において電気化学的に安定である必要がある。セパレータの材質は、特に限定は無いが、レーヨンやマニラ麻等からなる抄紙;ポリオレフィン系多孔質フィルム;ポリエチレン不織布;ポリプロピレン不織布等が好適に用いられる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。尚、以下において酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、プロピオン酸メチル(MP)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、スルホラン(SL)はキシダ化学社製のリチウムバッテリーグレード品を用いた。
【0029】
(電極の作製)
分極性電極として、活性炭粉末(実施例1〜4は、ヤシ柄活性炭、水蒸気賦活、比表面積1600m/g、実施例5〜10及び比較例2は、ピッチ、コークス系活性炭、水蒸気賦活、比表面積1400〜1500m/g)80重量%とアセチレンブラック10重量部%とポリテトラフルオロエチレン粉末10重量部%とをロールで混練した。その後、圧延して実施例1〜4は厚さ0.13mm、実施例5〜10及び比較例2は、厚さ0.1mmのシートを作製し0.03mmのエッチドアルミにカーボンペースト等の導電性ペーストで接着し、電極シートとした。このシートを金型で打ち抜き、ラミネート型電極を作製した。
【0030】
(電気二重層キャパシタの作製)
ラミネート型電極、セルロース型セパレータ、電解液を用い、定格電圧2.5V、静電容量24F〜18Fのラミネート型電気二重層キャパシタを作製した。
【0031】
(評価方法)
25℃あるいは−30℃に設定された恒温槽内にて、2.5Vの定電圧充電を24時間行い0.0Vまで放電しエージング処理をした。その後、所定の温度にて数時間静置し、再度2.5Vの定電圧充電を30分間行い、2.0mA/cmにて所定電圧まで放電を行った。その電圧勾配より静電容量および内部抵抗を求めた。
電気伝導度の測定にはRadiometer社製電気伝導度メーターを使用した。測定セルにはRadiometer社製CDC641Tを使用した。電気伝導度は、測定セルおよび電解液を入れた容器を、湯浴(25℃)あるいは冷媒(−30℃)に浸し、数値が安定した後の値を測定値とした。粘度の測定にはCBCマテリアルズ株式会社製VISCOMATE粘度計VM−16−Lを使用した。測定セルおよび電解液を入れた容器を、湯浴(25℃)あるいは冷媒(−30℃)に浸し測定した。
【0032】
実施例1
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)30重量部、酢酸メチル(MA)49重量部、エチレンカーボネート(EC)21重量部の割合で配合し、電解液を得た。
配合は、露点が、−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で行い、溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。
各種電解液の、電気伝導度、粘度、電気二重層キャパシタにおける容量と抵抗の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0033】
実施例2
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)30重量部、酢酸メチル(MA)42重量部、エチレンカーボネート(EC)28重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0034】
実施例3
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)25重量部、酢酸メチル(MA)45重量部、エチレンカーボネート(EC)30重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0035】
実施例4
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)25重量部、酢酸メチル(MA)52.5重量部、エチレンカーボネート(EC)22.5重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0036】
実施例5
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)30重量部、酢酸エチル(EA)49重量部、エチレンカーボネート(EC)21重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0037】
実施例6
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)30重量部、酢酸エチル(EA)42重量部、エチレンカーボネート(EC)28重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0038】
実施例7
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)25重量部、酢酸エチル(EA)52.5重量部、エチレンカーボネート(EC)22.5重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0039】
実施例8
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)30重量部、プロピオン酸メチル(MP)49重量部、エチレンカーボネート(EC)21重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0040】
実施例9
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)30重量部、プロピオン酸メチル(MP)42重量部、エチレンカーボネート(EC)28重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0041】
実施例10
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)(大塚化学社製)45重量部、酢酸メチル(MA)33重量部、ジメチルカーボネート(DMC)22重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0042】
比較例1
トリエチルメチルテトラフルオロボレート(TEMA・BF)24重量部、酢酸メチル(MA)46重量部、エチレンカーボネート(EC)30重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0043】
比較例2
N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(MMMP・BF)30重量部、プロピレンカーボネート(PC)70重量部の割合で配合し、実施例1と同様にして電解液を得た。
各種電解液の性能の測定を行った。結果を表1に記載する。
【0044】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のラミネート型電気二重層キャパシタを示す正面図である。
【図2】本発明のラミネート型電気二重層キャパシタを示す内部構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1 アルミタブ
2 ラミネート
3 電極
4 セパレータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)と(b)を含有することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液
(a)式(1)で表される化合物
(b)酢酸メチルおよびそのフッ化誘導体、酢酸エチルおよびそのフッ化誘導体、プロピオン酸メチルおよびそのフッ化誘導体から選ばれる少なくとも1種の溶媒。
【化1】

(RおよびRは、互いに同一または異なってメチル基、エチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基を示し、RおよびRで環構造を構成しても良い。)
【請求項2】
更に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびスルホランから選ばれる1種を添加した請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
【請求項3】
更に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびジメチルカーボネートから選ばれる1種を添加した請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
【請求項4】
更に、エチレンカーボネートを添加した請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
【請求項5】
式(1)で表される化合物が、25℃で液体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用電解液を用いた電気二重層キャパシタ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−270437(P2008−270437A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109802(P2007−109802)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(302060306)大塚化学株式会社 (88)
【Fターム(参考)】