説明

電気二重層キャパシタ用非水系電解液

【課題】本発明は、零度以下の低温環境下でも蓄電素子の抵抗値増加を抑制でき、常温環境下でも使用できる、電気二重層キャパシタ用非水系電解液(非水溶媒に電解質塩が溶解したもの)を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の電気二重層キャパシタ用非水系電解液は、非水溶媒に電解質塩(カチオン&アニオン)が溶解した非水系電解液であって、該非水溶媒は鎖状スルホンと環状ラクトン化合物の混合溶媒であることをその特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタに有用な非水系電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタは、非水系電解液(非水溶媒に電解質塩が溶解したものを指す)を含浸した蓄電素子を内蔵している。この非水系電解液はプロピレンカーボネート等の炭酸エステルを非水溶媒として利用したものが一般的であるが、炭酸エステルは充電時に水と反応して分解する性質があることから、該炭酸エステルに比べて水との反応性が低いスルホラン等の環状スルホンを非水溶媒として利用した非水系電解液が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、環状スルホンは炭酸エステルに比べて粘度が高い性質があり、該粘度が高くなると蓄電素子の抵抗値が高くなり易いことから、該環状スルホンに比べて粘度が低いジメチルスルホン等の鎖状スルホンを非水溶媒として利用した非水系電解液が提案されている(特許文献2を参照)。
【0004】
しかしながら、鎖状スルホンは環状スルホンに比べて粘度が低いものの、低温環境下、特に、零度以下で粘度がかなり高くなる。該粘度増加に伴って蓄電素子の抵抗値が実用範囲を超えて高くなり、その結果、電気二重層キャパシタ自体の充放電特性が大きく低下する。
【0005】
ところで、前記電気二重層キャパシタは、携帯電話やノートパソコンやビデオカメラやデジタルカメラ等の電子機器においてメモリバックアップ等の用途に適した電源として重要視されている。これら電子機器は零度以下の低温環境下で使用されるケースも多いことから、零度以下の低温環境下でも蓄電素子に抵抗値増加を生じ難い電気二重層キャパシタ用非水系電解液の必要性は極めて高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−233378号公報
【特許文献2】特開2009−123789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、零度以下の低温環境下でも蓄電素子の抵抗値増加を抑制できる電気二重層キャパシタ用非水系電解液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明(電気二重層キャパシタ用非水系電解液)は、非水溶媒に電解質塩が溶解した非水系電解液であって、該非水溶媒は鎖状スルホンと環状ラクトン化合物の混合溶媒であることをその特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非水溶媒として鎖状スルホンと環状ラクトン化合物の混合溶媒を用いることによって、低温環境下における蓄電素子の抵抗値の低下を抑制できるため、零度以下の低温環境下であっても電気二重層キャパシタ自体の充放電特性が大きく低下することを防止できる。
【0010】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、図2〜図12の「25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)」の値を測定する際に使用した電気二重層キャパシタを示す図である。
【図2】図2は、実施例1〜14の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図3】図3は、実施例15〜28の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図4】図4は、実施例29〜42の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図5】図5は、実施例43〜56の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図6】図6は、実施例57〜70の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図7】図7は、実施例71〜84の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図8】図8は、実施例85〜98の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図9】図9は、実施例99〜112の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図10】図10は、実施例113〜126の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図11】図11は、実施例127〜140の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【図12】図12は、実施例141〜154の非水系電解液に係る、非水溶媒の組成&質量比と、カチオン&アニオン(電解質塩)と、25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)と、評価を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る電気二重層キャパシタ用非水系電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解した非水系電解液であって、該非水溶媒が鎖状スルホンと環状ラクトン化合物の混合溶媒であることを特徴とする。
【0013】
前記鎖状スルホンには、エチルイソプロピルスルホン(略号はEiPS)、ジメチルスルホン(略号はDMS)、エチルメチルスルホン(略号はEMS)、ジエチルスルホン(略号はDES)、イソプロピルメチルスルホン(略号はMiPS)、エチルイソブチルスルホン(略号はEiBS)、イソブチルイソプロピルスルホン(略号はiPiBS)、sec−ブチルイソブチルスルホン(略号はiPsBS)、ブチルイソブチルスルホン(略号はBiBS)などが好適に利用できる。これらの鎖状スルホンは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、前記環状ラクトン化合物には、γ−ブチロラクトン(略号はGBL)、γ−バレロラクトン(略号はGVL)、δ−バレロラクトン(略号はDVL)などが好適に利用できる。これらの環状ラクトン化合物は単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0014】
前記電解質塩は前記非水溶媒への溶解によってカチオン及びアニオンに解離するものであれば特に限定されないが、該電解質塩のカチオンには、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンイオン(略号はSBP)、テトラエチルメチルアンモニウムイオン(略号はTEMA)などが好適に利用できる。これらのカチオンは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、電解質塩のアニオンには、四フッ化ホウ酸イオン(略号はBF4)、六フッ化リン酸イオン(略号はPF6)、ビストリフルオロメチルスルホニルアミドイオン(略号はTFSI)などが好適に利用できる。これらのアニオンは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
因みに、カチオンがSBPでアニオンがBF4の場合の電解質塩は、四フッ化ホウ酸−5−アゾニアスピロ[4.4]ノナン、であり、カチオンがSBPでアニオンがPF6の場合の電解質塩は、六フッ化リン酸−5−アゾニアスピロ[4.4]ノナン、である。カチオンがSBPでアニオンがTFSIの場合の電解質塩は、ビストリフルオロメチルスルホニルアミド−5−アゾニアスピロ[4.4]ノナン、であり、カチオンがTEMAでアニオンがBF4の場合の電解質塩は、四フッ化ホウ酸−テトラエチルメチルアンモニウム、である。カチオンがTEMAでアニオンがPF6の場合の電解質塩は、六フッ化リン酸−テトラエチルメチルアンモニウム、であり、カチオンがTEMAでアニオンがTFSIの場合の電解質塩は、ビストリフルオロメチルスルホニルアミド−テトラエチルメチルアンモニウム、である。
【0016】
以下、図1〜図12に従って本発明について詳しく説明するが、図2〜図12の表記を含め、非水溶媒の鎖状スルホンと環状ラクトン化合物を前記略号をもって示し、電解質塩のカチオンとアニオンも前記略号をもって示す。
【0017】
[図1の説明]
図1は、後記図2〜図12の「25℃と−40℃の抵抗値(mΩ)」の値を測定する際に使用した電気二重層キャパシタを示す。この電気二重層キャパシタ10は、蓄電素子11と、一対の集電シート12a及び12bと、一対の端子13a及び13bと、フィルムパッケージ14とを備えている。
【0018】
蓄電素子11は、活性炭から矩形状に形成された第1電極シート11aと、活性炭から矩形状に形成された第2電極シート11bと、繊維系多孔質材から矩形状に形成され、且つ、両電極シート11a及び11bの間に介装されたセパレートシート11cとから構成されている。各電極シート11a及び11bの厚さはそれぞれ10μmであり、セパレートシート11cの厚さは30μmである。後述する非水系電解液は、第1電極シート11a、第2電極シート11b及びセパレートシート11cに含浸させて用いられる。
【0019】
各集電シート12a及び12bはアルミニウムから矩形状に形成されていて、上側の集電シート12aは第1電極シート11aの上面に密着し、下側の集電シート12bは第2電極シート11bの下面に密着している。各集電シート12a及び12bの厚さはそれぞれ20μmである。
【0020】
各端子13a及び13bはアルミニウムから矩形状に形成されていて、一方の端子13aの端部は上側の集電シート12aの端部に接続され、他方の端子13bの端部は下側の集電シート12bの端部に接続されている。各端子13a及び13bの厚さはそれぞれ100μmである。
【0021】
フィルムパッケージ14はヒートシール層を内面に有する厚さが100μmのフィルム材から成り、蓄電素子11の全体と各端子13a及び13bの接続端部を覆い、且つ、開放部分をヒートシールされている。つまり、蓄電素子11は電解液と共にフィルムパッケージ14内に封入されている。
【0022】
[図2〜図12の項目の説明]
図2〜図12の「非水系電解液・非水溶媒の組成&質量比」の項目には、左から順に、鎖状スルホンの略号と環状ラクトン化合物の略号と両者の質量比を示し、「非水系電解液・カチオン&アニオン(電解質塩)」の項目には、左から順に、カチオンの略号とアニオンの略号を示してある。加えて、図2〜図12の最下段には、実施例1〜154の非水系電解液との比較のために用意した非水系電解液(比較例1)を示してある。この比較例1の非水系電解液は、非水溶媒がEiPS単独である点において実施例1の非水系電解液と異なる。因みに、実施例1〜154の非水系電解液と比較例1の非水系電解液における電解質塩の濃度は、それぞれ1.5モル/リットルで統一されている。
【0023】
また、図2〜図12の「抵抗値(mΩ)・25℃・−40℃」の項目には、実施例1〜154の非水系電解液と比較例1の非水系電解液を図1に示した電気二重層キャパシタ10にそれぞれ用い、各々の電気二重層キャパシタ10を常温環境である25℃の大気雰囲気下に1時間放置した後と、低温環境である−40℃の大気雰囲気下に1時間放置した後のそれぞれで、一対の端子13a及び13bを通じて、蓄電素子の抵抗値を、LCRメータにより測定周波数1kHzの交流インピーダンスとして測定した結果を示してある。
【0024】
さらに、図2〜図12の「評価」の項目には、「抵抗値(mΩ)・25℃・−40℃」に示された抵抗値に基づいて実施例1〜154の非水系電解液の温度特性を評価した結果を示してある。
【0025】
詳しくは、25℃抵抗値の基準を100mΩとし−40℃抵抗値の基準を1500mΩとした上で、
・25℃抵抗値≦100mΩ
・−40℃抵抗値≦1500mΩ
の両方を満足する場合を「実用上で極めて良好」と評価して◎印を付し、
・比較例1の25℃抵抗値(147mΩ)>25℃抵抗値>100mΩ
・−40℃抵抗値≦1500mΩ
の両方を満足する場合を「実用上で良好」と評価して○印を付し、25℃抵抗値に拘わらず、
・比較例1の−40℃抵抗値(2900mΩ)>−40℃抵抗値>1500mΩ
を満足する場合を「実用上でやや良好」と評価して△印を付し、25℃抵抗値に拘わらず、
・−40℃抵抗値≧比較例1の−40℃抵抗値(2900mΩ)
を満足する場合を「実用上で不良」と評価して×印を付してある。
【0026】
ここで、25℃抵抗値の基準を100mΩとし−40℃抵抗値の基準を1500mΩとした理由について述べる。
【0027】
電気二重層キャパシタの蓄電素子の抵抗値は、該電気二重層キャパシタから取り出すことができるエネルギーに影響を及ぼす重要な特性である。充電済みの電気二重層キャパシタを負荷に接続して放電を行うと、蓄電素子の抵抗値と放電電流値に依存して瞬間的に電圧が降下し、電圧降下分のエネルギーが損失することになる。つまり、電圧降下(V)=抵抗値(Ω)×放電電流値(A)となるため、より大きな電流でエネルギーを取り出すと電圧降下によるエネルギー損失は大きくなる。
【0028】
依って、電圧降下によるエネルギー損失を小さくするには、蓄電素子の抵抗値を小さくする必要がある。定格電圧が3.0Vの電気二重層キャパシタで放電電流が1Aの場合を例として説明すれば、常温環境下(25℃)では、蓄電素子の電圧降下を0.1V以下に抑えることが実用的であり、これを実現するには蓄電素子の25℃抵抗値を100mΩ以下とすることが望ましい。また、低温環境下(−40℃)では、常温環境下(25℃)よりも抵抗値が増加するものの、蓄電素子の電圧降下を定格電圧(3V)の半分に当たる1.5V以下に抑えることが実用的であり、これを実現するには蓄電素子の−40℃抵抗値を1500mΩ以下とすることが望ましい。
【0029】
[図2に示した実施例1〜14の非水系電解液に関する説明]
実施例1〜14は非水溶媒がEiPSとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例1〜9はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、EiPSとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例10〜14はEiPSとGBLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例1〜9と異なる組み合わせに変えたものである。
【0030】
実施例1〜9の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、EiPSとGBLの質量比が7:3〜1:9の場合に「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。EiPSとGBLの質量比が9:1〜8:2の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0031】
また、実施例10〜14の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例1〜9と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0032】
[図3に示した実施例15〜28の非水系電解液に関する説明]
実施例15〜28は非水溶媒がEiPSとGVLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例15〜23はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、EiPSとGVLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例24〜28はEiPSとGVLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例15〜23と異なる組み合わせに変えたものである。
【0033】
実施例15〜23の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、EiPSとGVLの質量比が7:3〜1:9の場合に「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。EiPSとGVLの質量比が9:1〜8:2の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0034】
また、実施例24〜28の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例15〜23と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0035】
[図4に示した実施例29〜42の非水系電解液に関する説明]
実施例29〜42は非水溶媒がEiPSとDVLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例29〜37はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、EiPSとDVLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例38〜42はEiPSとDVLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例29〜37と異なる組み合わせに変えたものである。
【0036】
実施例29〜37の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、EiPSとDVLの質量比が6:4〜1:9の場合に「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。EiPSとDVLの質量比が9:1〜7:3の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0037】
また、実施例38〜42の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例29〜37の異なる組み合わせに変えても実施例40及び41を除き「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。カチオンとアニオンの組み合わせがTEMA&BF4の場合とTEMA&PF6の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0038】
[図5に示した実施例43〜56の非水系電解液に関する説明]
実施例43〜56は非水溶媒がDMSとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例43〜51はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、DMSとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例52〜56はDMSとGBLの質量比を1:9とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例43〜51と異なる組み合わせに変えたものである。
【0039】
実施例43〜51の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、DMSとGBLの質量比が2:8〜1:9の場合に「実用上で良好(○)」と「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。DMSとGBLの質量比が3:7の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0040】
また、実施例52〜56の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例43〜51と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0041】
尚、非水溶媒を構成するGBLをGVLまたはDVLに変えた場合でも、実施例43〜56と近似の抵抗値(mΩ)が得られ、且つ、同等の評価が得られた。
【0042】
[図6に示した実施例57〜70の非水系電解液に関する説明]
実施例57〜70は非水溶媒がEMSとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例57〜65はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、EMSとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例66〜70はEMSとGBLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例57〜65と異なる組み合わせに変えたものである。
【0043】
実施例57〜65の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、EMSとGBLの質量比が6:4〜1:9の場合に「実用上で良好(○)」と「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。EMSとGBLの質量比が8:2〜7:3の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0044】
また、実施例66〜70の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例57〜65と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0045】
尚、非水溶媒を構成するGBLをGVLまたはDVLに変えた場合でも、実施例57〜70と近似の抵抗値(mΩ)が得られ、且つ、同等の評価が得られた。
【0046】
[図7に示した実施例71〜84の非水系電解液に関する説明]
実施例71〜84は非水溶媒がDESとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例71〜79はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、DESとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例80〜84はDESとGBLの質量比を1:9とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例71〜79と異なる組み合わせに変えたものである。
【0047】
実施例71〜79の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、DESとGBLの質量比が2:8〜1:9の場合に「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。DESとGBLの質量比が3:7の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0048】
また、実施例80〜84の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例71〜79と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0049】
尚、非水溶媒を構成するGBLをGVLまたはDVLに変えた場合でも、実施例71〜84と近似の抵抗値(mΩ)が得られ、且つ、同等の評価が得られた。
【0050】
[図8に示した実施例85〜98の非水系電解液に関する説明]
実施例85〜98は非水溶媒がMiPSとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例85〜93はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、MiPSとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例94〜98はMiPSとGBLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例85〜93と異なる組み合わせに変えたものである。
【0051】
実施例85〜93の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、MiPSとGBLの質量比が7:3〜1:9の場合に「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。MiPSとGBLの質量比が9:1〜8:2の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0052】
また、実施例94〜98の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例85〜93と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0053】
尚、非水溶媒を構成するGBLをGVLまたはDVLに変えた場合でも、実施例85〜98と近似の抵抗値(mΩ)が得られ、且つ、同等の評価が得られた。
【0054】
[図9に示した実施例99〜112の非水系電解液に関する説明]
実施例99〜112は非水溶媒がEiBSとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例99〜107はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、EiBSとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例108〜112はEiBSとGBLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例99〜107と異なる組み合わせに変えたものである。
【0055】
実施例99〜107の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、EiBSとGBLの質量比が7:3〜1:9の場合に「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。EiBSとGBLの質量比が9:1〜8:2の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0056】
また、実施例108〜112の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例99〜107と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0057】
尚、非水溶媒を構成するGBLをGVLまたはDVLに変えた場合でも、実施例99〜112と近似の抵抗値(mΩ)が得られ、且つ、同等の評価が得られた。
【0058】
[図10に示した実施例113〜126の非水系電解液に関する説明]
実施例113〜126は非水溶媒がiPiBSとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例113〜121はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、iPiBSとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例122〜126はiPiBSとGBLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例113〜121と異なる組み合わせに変えたものである。
【0059】
実施例113〜121の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、iPiBSとGBLの質量比が7:3〜1:9の場合に「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。iPiBSとGBLの質量比が9:1〜8:2の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0060】
また、実施例122〜126の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例113〜121と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0061】
尚、非水溶媒を構成するGBLをGVLまたはDVLに変えた場合でも、実施例113〜126と近似の抵抗値(mΩ)が得られ、且つ、同等の評価が得られた。
【0062】
[図11に示した実施例127〜140の非水系電解液に関する説明]
実施例127〜140は非水溶媒がiPsBSとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例127〜135はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、iPsBSとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例136〜140はiPsBSとGBLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例127〜135と異なる組み合わせに変えたものである。
【0063】
実施例127〜135の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、iPsBSとGBLの質量比が7:3〜1:9の場合に「実用上で良好(○)」と「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。iPsBSとGBLの質量比が9:1〜8:2の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0064】
また、実施例136〜140の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例127〜135と異なる組み合わせに変えても「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。
【0065】
尚、非水溶媒を構成するGBLをGVLまたはDVLに変えた場合でも、実施例127〜140と近似の抵抗値(mΩ)が得られ、且つ、同等の評価が得られた。
【0066】
[図12に示した実施例141〜154の非水系電解液に関する説明]
実施例141〜154は非水溶媒がBiBSとGBLの混合溶媒である非水系電解液である。実施例141〜149はカチオンとアニオンをそれぞれSBPとBF4とし、且つ、BiBSとGBLの質量比を9:1〜1:9に変えたものである。また、実施例150〜154はBiBSとGBLの質量比を5:5とし、且つ、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例141〜149と異なる組み合わせに変えたものである。
【0067】
実施例141〜149の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、BiBSとGBLの質量比が6:4〜1:9の場合に「実用上で良好(○)」と「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。BiBSとGBLの質量比が9:1〜7:3の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0068】
また、実施例150〜154の抵抗値(mΩ)及び評価から分かるように、カチオンとアニオンの組み合わせを実施例141〜149と異なる組み合わせに変えても実施例152を除き「実用上で極めて良好(◎)」の評価が得られた。カチオンとアニオンの組み合わせがTEMA&BF4の場合は「実用上でやや良好(△)」の評価となったが、実用に供することは十分に可能である。
【0069】
尚、非水溶媒を構成するGBLをGVLまたはDVLに変えた場合でも、実施例141〜154と近似の抵抗値(mΩ)が得られ、且つ、同等の評価が得られた。
【0070】
[実施例1〜154の非水系電解液によって得られる効果]
先に説明した実施例1〜154の非水系電解液のうち、「実用上で極めて良好(◎)」、「実用上で良好(○)」及び「実用上でやや良好(△)」の評価が得られたもの、特に「実用上で極めて良好(◎)」及び「実用上で良好(○)」の評価が得られたものは、低温環境下(−40℃)における蓄電素子の抵抗値の低下を抑制できるため、零度以下の低温環境下であっても電気二重層キャパシタ自体の充放電特性が大きく低下することを防止できる。加えて、「実用上で極めて良好(◎)」及び「実用上で良好(○)」の評価が得られたものは、常温環境下(25℃)における蓄電素子の抵抗値を低値化できるため、常温環境下において電気二重層キャパシタ自体に優れた充放電特性を確保できる。
【符号の説明】
【0071】
10…電気二重層キャパシタ、11…蓄電素子、12a,12b…集電シート、13a,13b…端子、14…フィルムパッケージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒に電解質塩が溶解した非水系電解液であって、該非水溶媒は鎖状スルホンと環状ラクトン化合物の混合溶媒である、
ことを特徴とする電気二重層キャパシタ用非水系電解液。
【請求項2】
前記鎖状スルホンは、エチルイソプロピルスルホン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、エチルイソブチルスルホン、イソブチルイソプロピルスルホン、sec−ブチルイソブチルスルホン、ブチルイソブチルスルホン及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用非水系電解液。
【請求項3】
前記環状ラクトン化合物は、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、
ことを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の電気二重層キャパシタ用非水系電解液。
【請求項4】
前記電解質塩のアニオンは、四フッ化ホウ酸イオン、六フッ化リン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルアミドイオン及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電気二重層キャパシタ用非水系電解液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−248884(P2012−248884A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180321(P2012−180321)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2012−531573(P2012−531573)の分割
【原出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】