説明

電気二重層キャパシタ

【課題】放熱性を改善することにより、内部での温度上昇を抑制して性能の改善を図った電気二重層キャパシタを提供することを課題とする。
【解決手段】電気二重層キャパシタ1は、一対の平板状端子10A(正極端子)及び10B(負極端子)を有する。平板状端子10A及び10Bの間には、両面に活性層11を有する複数の集電電極12が絶縁層14を介して積層される。各集電電極12は、タブ13を介して、積層方向において交互に平板状端子10A及び10Bに接続される。各集電電極12A及び12Bの間には、集電電極12Aの活性層11、絶縁層14、及び、集電電極12Bの活性層11がこの順に配列され、電気二重層容量を有する単位セルが形成される。また、各単位セルは、並列接続されるとともに積層されて積層体を構成しており、この積層体が積層セル15となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性を改善した電気二重層キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、大容量を実現できる電気二重層キャパシタは、例えば電気自動車をはじめとする車両等に利用されている。
【0003】
一般的な電気二重層キャパシタは、活物質からなる電極がセパレータと重ねられて捲回又は積層され、電解質溶液とともに樹脂や絶縁紙等で固縛されている。この固縛された状態の捲回電極又は積層電極は、アルミ筐体中に封止され、その外部には複数対の正負電極を結束した電荷取り出し用の端子のみが露出している。この電荷取り出し用の端子は、導線を介して外部負荷と接続するための端子であり、導線を接続するための必要最小限の大きさである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−125559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電気二重層キャパシタにおいて、瞬時に大電流による放電又は充電を行うハイレート充放電を行うと、内部電極及びその周辺で多大な熱が生じる。しかしながら、内部電極には放熱機構は設けられておらず、また、内部電極を密封する樹脂や絶縁紙等は熱伝導性が低く、内部電極で発生した熱が筐体内部にこもるため、電極の温度が上昇し、電解質溶液や電極の劣化が進み、これにより静電容量の低下や内部抵抗の上昇等の性能劣化が生じる可能性がある。
【0005】
この対策として、一般的には、強力な冷却装置によるキャパシタ本体の冷却、又は、入出力電力の制限による最大能力以下でのキャパシタの利用等が行われている。このような電気二重層キャパシタにおいて、省エネルギの観点から冷却の必要性を低減し、かつ性能を十分に引き出すためには、キャパシタ内部の活物質からの発熱による温度上昇を抑制する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、放熱性を改善することにより、内部での温度上昇を抑制して性能の改善を図った電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面の電気二重層キャパシタは、正極電極及び負極電極の間に、第1活性層、絶縁層、及び第2活性層がこの順に配設され、電解質溶液に含浸される単位セルの積層体である積層セルと、前記積層セルの積層方向にある一方の面及び他方の面を覆い、当該積層セルを狭持するとともに、前記各単位セルが並列接続されるように、当該各単位セルの正極電極及び負極電極がそれぞれ接続される一対の平板状端子と、前記積層セルの積層方向における側方を囲繞し、前記一対の平板状端子の間を密封する囲繞部とを含む。
【0008】
また、前記一対の平板状端子が外装をなしてもよい。
【0009】
また、前記一対の平板状端子の各々は、互いに逆方向となる第1方向及び第2方向に延伸される延伸部を含んでもよい。
【0010】
また、前記延伸部は、前記平板状端子と同一の幅を有してもよい。
【0011】
また、前記一対の平板状端子の合計の厚さは、前記積層セルに含まれるすべての前記正極電極及び前記負極電極の合計の厚さの1/2以上であってもよい。
【0012】
また、前記平板状端子の幅は、前記積層セルの幅より広くてもよい。
【0013】
また、前記囲繞部は、前記積層セルと絶縁され、前記一対の平板状端子の間を密封するラミネートフィルム、又はパッキンであってもよい。
【0014】
また、前記積層セルに含まれる複数の前記正極電極及び前記負極電極は、前記積層方向において、交互に配設されており、前記正極電極の各々は、前記一対の平板状端子のうちの第1平板状端子に接続され、かつ、前記負極電極の各々は、前記一対の平板状端子のうちの第2平板状端子に接続されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、放熱性を改善することにより、内部での温度上昇を抑制して性能の改善を図った電気二重層キャパシタを提供できるという特有の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の電気二重層キャパシタを適用した実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、実施の形態の電気二重層キャパシタを示す図であり、(a)は正面方向から見た断面図、(b)は要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【0018】
図1(a)及び(b)に示すように、本実施の形態の電気二重層キャパシタ1は、一対の平板状端子10A及び10Bを有する。この平板状端子10A及び10Bは、例えば、長さ(紙面中の左右方向の長さ)200mm、幅(紙面を貫く方向の長さ)200mm、厚さ1mm程度のアルミニウム製の平板状の端子であり、片方の面(図中、平板状端子10Aの下側の面と、平板状端子10Bの上側の面)に活性層11が形成される。なお、平板状端子10Aの上側の面と、平板状端子10Bの下側の面とは、電気二重層キャパシタ1の外装面をなす。
【0019】
平板状端子10A及び10Bは、平板状端子10Aが電気二重層キャパシタ1の正極端子、平板状端子10Bが負極端子となり、図示しない充電用の外部電流源が接続される。
【0020】
平板状端子10A及び10Bの間には、両面に活性層11を有する複数の集電電極12が絶縁層14を介して積層される。この集電電極12は、アルミニウム製の極薄いシート状の電極であり、例えば、長さ150mm、幅150mm、厚さ30μm程度である。また、集電電極12の両面に形成又は貼着される活性層11は、例えば、厚さ100μm程度の活性炭で構成される。
【0021】
各集電電極12は、タブ13を介して、積層方向において交互に平板状端子10A及び10Bに接続される。図1(a)には、タブ13が、それぞれ、集電電極12の一方の側と他方の側(図中、左右)で平板状端子10A及び10Bに接続される形態を示す。各集電電極12に接続されるタブ13は、それぞれ、平板状端子10A及び10Bに溶接される(図1(b)参照)。平板状端子10A及び10Bの間に配設される活性層11、集電電極12、絶縁層14は、電解質溶液に含浸される。
【0022】
このような構成により、集電電極12のうち平板状端子10Aに接続される集電電極12Aは正極電極となり、平板状端子10Bに接続される集電電極12Bは負極電極となる。すなわち、各集電電極12A及び12Bの間には、集電電極12Aの活性層11、絶縁層14、及び、集電電極12Bの活性層11がこの順に配列され、電気二重層容量を有するセル(以下、単位セル)が形成される。また、各単位セルは、並列接続されるとともに積層されて積層体を構成しており、この積層体が積層セル15となる。
【0023】
なお、平板状端子10Aと集電電極12Bとの間にも単位セルが形成され、同様に、平板状端子10Bと集電電極12Aとの間にも単位セルが形成されるが、これらは必ずしも必要ではない。例えば、平板状端子10A及び10Bには活性層11が形成されなくてもよく、これに加えて、最上層の集電電極12Bには下側の面にだけ活性層11が形成されてもよく、また、最下層の集電電極12Aには上側の面だけに活性層11が形成されてもよい。
【0024】
図2は、本実施の形態の二重層キャパシタの集電電極とタブを示す図である。タブ13は、集電電極12A及び12Bを平板状端子10A及び10Bにそれぞれ接続するための部材であり、図2(a)及び(b)に示すように、集電電極12A及び12Bと同一の幅を有していてもよいし、ここには図示しないが、集電電極12A及び12Bよりも広い幅を有していてもよいし、また、熱伝導性を損なわない範囲で狭い幅を有するようにしてもよい。また、このタブ13は、集電電極12A及び12Bと同一部材で一体成形されていてもよいし、集電電極12A及び12Bに接続される別体の部材であってもよい。
【0025】
図3は、本実施の形態の電気二重層キャパシタの絶縁層の構造を概念的に示す図である。
【0026】
絶縁層14は、例えば、天然セルロース等の単繊維や複合繊維であって、イオン透過性のある絶縁体で構成されていればよく、電気二重層キャパシタ1のセパレータとして機能するものである。
【0027】
この絶縁層14は、集電電極12と略同一の幅(紙面を貫く方向の長さ)を有し、一層の繊維シートを図2に示すように折り畳み、折り畳んだ繊維シートの間に集電電極12が挟まれるようにして配設される。なお、図2には、説明の便宜上、完全に折り畳む前の状態を示しており、各集電電極12は、平面視において各集電電極12の活性層11が略完全に重なるように配設される。
【0028】
図4は、本実施の形態の電気二重層キャパシタの囲繞部の構造を示す図である。
【0029】
この積層セル15は、矩形環状の絶縁パッキン16によって積層方向の側方(四方)が囲繞され、また、積層方向にある一対の面(すなわち、最上層の集電電極12の上面と最下層の集電電極12の下面)において平板状端子10A及び10Bによって狭持され、この状態で平板状端子10A及び10Bをネジ止めすることにより、電解質溶液が漏れないように密封される。
【0030】
このように積層セル15を密封する際に、図4に示すように、平板状端子10A及び10Bと絶縁パッキン16との間にタブ13を挟んでもよい。これにより、平板状端子10A及び10Bとタブ13との接続強度を向上させることができる。なお、この場合、タブ13を平板状端子10A及び10Bに溶接しなくてもよい。
【0031】
このような電気二重層キャパシタ1において、平板状端子10A及び10Bを介して外部電流源より充電を行うと、外部電流源から供給される電荷(電子と正孔)は、集電電極12A及び12Bに到達する。各単位セル内の活性層11の細孔は、電解質溶液に含浸されているため、正極電極となる集電電極12Aには電解質溶液中のアニオン(陰イオン)が移動し、負極電極となる集電電極12Bにはカチオン(陽イオン)が移動する。これにより、充電が完了する。なお、放電は、平板状端子10A及び10Bにモータ等の負荷を接続して充電とは逆の過程が行われることによって実現される。
【0032】
このような本実施の形態の電気二重層キャパシタ1では、タブ13と平板状端子10A及び10Bが接続されているので、内部で生じる熱がタブ13を通じて平板状端子10A及び10Bに伝導して放熱される。従来の電気二重層キャパシタでは、内部の熱を逃がすための機構は備えられておらず、また、内部電極は外部端子に接続されているものの、接続経路における熱的抵抗は大きく、さらに、外部端子の大きさは小さく、放熱性は考慮されていなかった。このため、本実施の形態の電気二重層キャパシタ1によれば、冷却の必要性を低減しつつ、内部温度の上昇を抑制して電気二重層キャパシタ1の性能の改善を図ることができる。
【0033】
また、平板状端子10A及び10Bが外装をなし、また、積層セル15と平板状端子10A及び10Bとの間に、従来の電気二重層キャパシタのように樹脂層、絶縁紙、あるいは筐体が存在せず、活性層11及び絶縁層14が存在するだけである。これらは、従来の電気二重層キャパシタに含まれていた樹脂、絶縁紙、あるいは筐体に比べれば遙かに薄いため、放熱性はさらに改善される。
【0034】
以上では、集電電極12A及び12Bは、タブ13を介して、集電電極12の一方の側と他方の側(図中、左右)で平板状端子10A及び10Bに接続される形態について説明したが、タブ13の幅が狭い場合は、平板状端子10A及び10Bへの接続を同一側(例えば、図1における右側、又は、左側)で行ってもよい。
【0035】
図5は、本実施の形態の電気二重層キャパシタ1のタブ13の接続の仕方の変形例を示す図である。この図は、電気二重層キャパシタ1を平面視で示す透過図である。この図5に示すように、平面視において、タブ13を四方に配置して平板状端子10A及び10Bと集電電極12を接続してもよい。図5では、図中の上側及び右側にあるタブ13が集電電極12Bを平板状電極10Bに接続し、図中の下側及び左側にあるタブ13が集電電極12Aを平板状電極10Aに接続するように構成される。
【0036】
また、以上では、活性層11が平板状端子10A、10B、及び集電電極12に形成される形態について説明したが、活性層11は、シート状のものを貼着することにより、又は、インク状の活性炭を塗布することにより、平板状端子10A、10B、及び集電電極12の表面に配設されてもよい。
【0037】
また、平板状端子10A及び10Bの合計の厚さは、積層セル15に含まれるすべての集電電極12A及び12Bの合計の厚さの1/2以上に設定されてもよい。この場合、上下にある平板状端子10A及び10Bの合計の厚さが積層セル15の厚さ以上となるため、積層セル15からタブ13を介して平板状端子10A及び10Bに熱伝導し、放熱される際の熱的抵抗が低減され、放熱性能が改善される。
【0038】
また、以上では、絶縁層14は、折り畳まれた一層の繊維シートであって、折り畳んだ繊維シートの間に集電電極12が挟まれるようにして配設される形態について説明したが、絶縁層14は、各単位セル毎に配設される複数の独立したシート状の絶縁層であってもよい。この場合、シート状の絶縁層は、活性層11と同一の面積を有していればよい。
【0039】
「変形例1」
図6は、本実施の形態の変形例1の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。この電気二重層キャパシタ1Aは、平板状端子10A及び10Bが、それぞれ、集電電極12A及び12Bと接続されている方向に延伸される延伸部10a及び10bを含む点が相違する。
【0040】
この延伸部10a及び10bの幅(図中、紙面を貫く方向の長さ)は、平板状端子10A及び10Bと同一であっても広くてもよく、熱伝導性が損なわれない範囲で平板状端子10A及び10Bよりも狭くてもよい。
【0041】
このように、平板状端子10A及び10Bが延伸部10a及び10bを含むので、電気二重層キャパシタ1A内の放熱部を増やすことができ、放熱性をさらに改善することができる。
【0042】
「変形例2」
図7は、本実施の形態の変形例2の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。この電気二重層キャパシタ1Bは、タブ13を平板状端子10A及び10Bに接続する手法が相違する。
【0043】
電気二重層キャパシタ1Bでは、タブ13は、クリップ17によって平板状端子10A及び10Bに接続される。このクリップ17は、断面がコの字型であり、平板状端子10A及び10Bの端部において、タブ13を嵌めるように構成される。クリップ17で平板状端子10A及び10Bとタブ13を接続した後に、図4に示すように絶縁パッキン16で積層セル15を密封すればよい。
【0044】
このような電気二重層キャパシタ1Bにおいても、従来よりも放熱性を改善することができ、また、平板状端子10A及び10Bへのタブ13の接続を簡単に行うことができる。
【0045】
「変形例3」
図8は、本実施の形態の変形例3の電気二重層キャパシタの断面構造示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面方向から見た断面図である。この電気二重層キャパシタ1Cは、アルミ製のラミネートフィルム18によって密封されている。このラミネートフィルム18は、フィルム状のアルミニウムの表面及び裏面に絶縁層が形成されたものであり、熱融着により平板状端子10A及び10Bに固着される。
【0046】
また、タブ13は、平板状端子10A及び10Bと積層セル15との間に挟まれており、これにより平板状端子10A及び10Bに接続されている。
【0047】
ラミネートフィルム18は、平面視において、平板状端子10Aの縁を除いた中央部分に開口部18aを有し、この開口部18aから平板状端子10Aが露出する。同様に、底面にも同様の開口部18bを有し、平板状端子10Bが露出される。このようなラミネートフィルム18によっても、積層セル15を平板状端子10A及び10Bの間に密封することができる。
【0048】
このような電気二重層キャパシタ1Cにおいても、従来よりも放熱性を改善することができ、また、平板状端子10A及び10Bへのタブ13の接続を簡単に行うことができる。
【0049】
「変形例4」
図9は、本実施の形態の変形例4の電気二重層キャパシタの断面構造示す図であり、(a)は正面方向から見た断面図、(b)及び(c)はタブの接続手法を説明するための要部拡大図、(d)は平板状端子の固定手法を正面方向から示す断面図である。
【0050】
図9(a)に示すように、電気二重層キャパシタ1Dのタブ13は、平板状端子10A及び10Bと積層セル15との間に挟まれており、これにより平板状端子10A及び10Bに接続されている。
【0051】
この場合において、平板状端子10Aは、図9(b)に示すように、タブ13の厚さ分だけ段差10cを有していてもよく、また、図9(c)に示すように、段差を有していなくても、どちらでもよい。
【0052】
また、図9(d)に示すように、平板状端子10A及び10Bは、絶縁材料製のねじ19によって固定されており、ねじ19の締め付け力により、タブ13が平板状端子10A及び10Bと積層セル15との間に固定されている。
【0053】
このねじ19は、平面視において、積層セル15を避ける位置で平板状端子10A及び10Bを締め付けている。
【0054】
なお、積層セル15の密封は、図4に示すような絶縁パッキン16、又は、図8に示すようなラミネートフィルム18で行ってもよい。
【0055】
このような電気二重層キャパシタ1Dにおいても、従来よりも放熱性を改善することができ、また、平板状端子10A及び10Bへのタブ13の接続を簡単に行うことができる。
【0056】
「変形例5」
図10は、本実施の形態の変形例5の電気二重層キャパシタの断面構造示す図であり、(a)はエンドキャップを取り付ける過程の状態を示す図、(b)はエンドキャップを熱融着した状態を示す図である。
【0057】
電気二重層キャパシタ1Eは、エンドキャップ20及びサイドフィルム21によって積層セル15が密封される。このエンドキャップ20及びサイドフィルム21は、熱融着可能な樹脂によって構成される。
【0058】
図1(a)における積層セル15の手前側と奥側には、サイドフィルム21が配設され、両側部(図中における左右)には、エンドキャップ20がはめ込まれる。この状態でエンドキャップ20及びサイドフィルム21を熱融着することにより、図10(b)に示すように平板状端子10A及び10Bの間で積層セル15を密封することができる。
【0059】
このような電気二重層キャパシタ1Eにおいても、従来よりも放熱性を改善することができ、また、平板状端子10A及び10Bへのタブ13の接続を簡単に行うことができる。
【0060】
「変形例6」
図11は、本実施の形態の変形例6の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。電気二重層キャパシタ1Fは、変形例1の電気二重層キャパシタ1Aの延伸部10a及び10bを除いた部分をすべてラミネートフィルム21で覆ったものである。
【0061】
このように、延伸部10a及び10bだけを露出させる構成でも、積層セル15内で生じる熱は、タブ13と平板状端子10A及び10Bとを伝わって延伸部10a及び10bから外部に放出されるので、従来よりも放熱性を改善することができる。
【0062】
「変形例7」
図12は、本実施の形態の変形例7の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。電気二重層キャパシタ1Gは、変形例6の電気二重層キャパシタ1Fをねじ22によって2つ直列接続したものである。
【0063】
ねじ22によって接続される延伸部10aと10bの間には、十分な空間22aが残されるため、放熱に必要な通気路を確保することができる。
【0064】
このように直列接続される電気二重層キャパシタ1Gにおいても、モジュール化を実現しつつ、従来よりも放熱性を改善することができる。
【0065】
「変形例8」
図13は、本実施の形態の変形例8の電気二重層キャパシタを示す図であり、(a)は正面側から見た断面図、(b)は、要部を拡大して示す図である。
【0066】
電気二重層キャパシタ1Hは、図4に示す電気二重層キャパシタ1Aを2つ重ねて、接続具23によって2つ接続したものである。
【0067】
接続具23は、断面T字型の係合部23Aを長手方向の両端側に備え、長手方向における中央にスペーサ部23Bを備える。絶縁パッキン16には、この接続具23の係合部23A及びスペーサ部23Bの形状に合わせた切欠部24が形成される。この切欠部24は、絶縁パッキン16の側部を切り欠くことによって形成される。
【0068】
このような接続具23を用いて接続される2つの電気二重層キャパシタ1Aの間には、スペーサ部23Bによる空隙が生じるため、放熱に必要な通気路を確保することができる。
【0069】
なお、2つの電気二重層キャパシタ1Aは、電気的に接続されるように構成してもよい。
【0070】
このように並列接続される電気二重層キャパシタ1Hにおいても、モジュール化を実現しつつ、従来よりも放熱性を改善することができる。
【0071】
「変形例9」
図14は、本実施の形態の変形例9の電気二重層キャパシタを示す図であり、(a)は正面側から見た断面図、(b)は要部を示す平面図である。
【0072】
図14(a)に示すように、電気二重層キャパシタ1Iの平板状端子10A及び10Bは、側壁25A及び25Bを備える。側壁25Aは、積層セル15を平板状端子10A及び10Bで狭持した状態において、側壁25Bの内側に嵌るようになっている。また、側壁25Aと25Bとの間には、矩形環状のパッキン26が配設され、側壁25Aと25Bによって押圧されるように構成されている。このようにパッキン26を押圧した状態で、側壁25A及び25Bの外周面を溶接すれば、平板状端子10A及び10Bの間に、積層セル15を密封することができる。
【0073】
なお、タブ13は、側壁25A及び25Bを溶接する前に、平板状端子10A及び10Bに溶接される。
【0074】
このような電気二重層キャパシタ1Iにおいても、従来よりも放熱性を改善することができる。
【0075】
以上、本発明の例示的な実施の形態の電気二重層キャパシタについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の形態の電気二重層キャパシタを示す図であり、(a)は正面方向から見た断面図、(b)は要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本実施の形態の二重層キャパシタの集電電極とタブを示す図である。
【図3】本実施の形態の電気二重層キャパシタの絶縁層の構造を概念的に示す図である。
【図4】本実施の形態の電気二重層キャパシタの囲繞部の構造を示す図である。
【図5】本実施の形態の電気二重層キャパシタのタブの接続の仕方の変形例を示す図である。
【図6】本実施の形態の変形例1の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。
【図7】本実施の形態の変形例2の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。
【図8】本実施の形態の変形例3の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。
【図9】本実施の形態の変形例4の電気二重層キャパシタの断面構造示す図であり、(a)は正面方向から見た断面図、(b)及び(c)はタブの接続手法を説明するための要部拡大図、(d)は平板状端子の固定手法を正面方向から示す断面図である。
【図10】本実施の形態の変形例5の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。
【図11】本実施の形態の変形例6の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。
【図12】本実施の形態の変形例7の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。
【図13】本実施の形態の変形例8の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。
【図14】本実施の形態の変形例9の電気二重層キャパシタの断面構造示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1、1A 電気二重層キャパシタ
10A、10B 平板状端子
10a、10b 延伸部
11 活性層
12、12A、12B 集電電極
13 タブ
14 絶縁層
15 積層セル
16 絶縁パッキン
18 ラミネートフィルム
18a、18b 開口部
19 ねじ
20 エンドキャップ
21 サイドフィルム
22 ねじ
23 接続具
23A 係合部
23B スペーサ部
24 切欠部
25A、25B 側壁
26 パッキン
27 ラミネートフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極及び負極電極の間に、第1活性層、絶縁層、及び第2活性層がこの順に配設され、電解質溶液に含浸される単位セルの積層体である積層セルと、
前記積層セルの積層方向にある一方の面及び他方の面を覆い、当該積層セルを狭持するとともに、前記各単位セルが並列接続されるように、当該各単位セルの正極電極及び負極電極がそれぞれ接続される一対の平板状端子と、
前記積層セルの積層方向における側方を囲繞し、前記一対の平板状端子の間を密封する囲繞部と
を含む、電気二重層キャパシタ。
【請求項2】
前記一対の平板状端子が外装をなす、請求項1に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項3】
前記一対の平板状端子の各々は、互いに逆方向となる第1方向及び第2方向に延伸される延伸部を含む、請求項1又は2に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項4】
前記延伸部は、前記平板状端子と同一の幅を有する、請求項3に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項5】
前記一対の平板状端子の合計の厚さは、前記積層セルに含まれるすべての前記正極電極及び前記負極電極の合計の厚さの1/2以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項6】
前記平板状端子の幅は、前記積層セルの幅より広い、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項7】
前記囲繞部は、前記積層セルと絶縁され、前記一対の平板状端子の間を密封するラミネートフィルム、又はパッキンである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項8】
前記積層セルに含まれる複数の前記正極電極及び前記負極電極は、前記積層方向において、交互に配設されており、
前記正極電極の各々は、前記一対の平板状端子のうちの第1平板状端子に接続され、かつ、前記負極電極の各々は、前記一対の平板状端子のうちの第2平板状端子に接続される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate