説明

電気二重層コンデンサ

【課題】簡単な構成でありながらも放熱性の良好な電気二重層コンデンサを提供する。
【解決手段】セパレータを介在した正電極及び負電極を外装ケース2に収納し電解液を充填するとともに外装ケース2の外方に正電極及び負電極にそれぞれ接続されたリード端子3、3を引き出したコンデンサセル1を具備する電気二重層コンデンサにおいて、上記外装ケース2は、第1の板状体4と、第1の板状体4より厚さが大とされた第2の板状体5とからなり、第1の板状体4と第2の板状体5を対向させるとともに、第1の板状体4と、第2の板状体5とを互いに接合することで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セパレータを介在した正電極及び負電極を外装ケースに収納し電解液を充填した電気二重層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層コンデンサは、通常、セパレータを介在した正電極及び負電極を電解液とともに外装ケースに収納してなるコンデンサセルを、複数重ね合わせるようにして並設するとともに、コンデンサセル同士を直列、並列または直並列に接続することで所望の出力が得られるように構成されている。
【0003】
ところで、コンデンサセルは、充放電によって自己発熱するが、上記の電気二重層コンデンサのように複数のコンデンサセルを重ね合わせるようにして並設した場合、コンデンサセル間に熱がこもってしまい、コンデンサセルの劣化を促進させることとなっていた。そのため、従来、放熱対策として、コンデンサセル間に放熱板を介在させて放熱を促していた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−133188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の電気二重層コンデンサのように、放熱板を新たに設ける場合、放熱板を各コンデンサセル間に介在させる手間が掛かるとともに、別途、放熱板の留め付け等を行う必要も有るため、組立作業が煩雑となりコスト高を招いていた。
【0006】
また、外装ケースと放熱板との間に隙間が生じると、コンデンサセルから放熱板への熱伝達が行われ難くなるため、特許文献1の電気二重層コンデンサでは、コンデンサセルと放熱板とを互いに近接する方向に向かって圧力を加え、外装ケースと放熱板とを密着させていたが、近年では、外装ケースとして、圧力に対して比較的脆弱なラミネートアルミ箔等が用いられているため、大きな圧力を加えることができず、外装ケースと放熱板とを密着させることが困難なものとなっていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、簡単な構成でありながらも放熱性の良好な電気二重層コンデンサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の電気二重層コンデンサは、セパレータを介在した正電極及び負電極を外装ケース2に収納し電解液を充填するとともに外装ケース2の外方に正電極及び負電極にそれぞれ接続されたリード端子3、3を引き出したコンデンサセル1を具備し、上記外装ケース2は、第1の板状体4と、第1の板状体4より厚さが大とされた第2の板状体5とからなり、第1の板状体4と第2の板状体5を対向させるとともに、第1の板状体4と、第2の板状体5とを互いに接合することで形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、第2の板状体5の外周端部からフランジ部7が延設されている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の電気二重層コンデンサによれば、外装ケースを構成する第2の板状体の厚さを大としている、すなわち、放熱板としても機能する第2の板状体を用いて外装ケースを形成していることで、別途放熱板を設ける必要が無く、組立作業の簡素化及び低コスト化を図ることができる。また、外装ケースと放熱板とが一体であるため、別部材の放熱板を外装ケースに取り付ける場合に比べて、熱伝達が良好であり、高い放熱性を得ることができる。
【0011】
また、第2の板状体の外周端部からフランジ部を延設することで、コンデンサセルの幅を抑えながらも、放熱板として機能する第2の板状体の表面積を増大させることができ、より高い放熱性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る電気二重層コンデンサのコンデンサセルを示す斜視図である。
【図2】図1のコンデンサセルを複数直列接続してなるモジュールを示す斜視図である。
【図3】異なる実施形態の電気二重層コンデンサのコンデンサセルを示す斜視図である。
【図4】図3のコンデンサセルを複数直列接続してなるモジュールを示す斜視図である。
【図5】さらに異なる実施形態の電気二重層コンデンサのコンデンサセルを示す斜視図である。
【図6】さらに別の実施形態の電気二重層コンデンサのコンデンサセルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の電気二重層コンデンサの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の電気二重層コンデンサは、図1に示すコンデンサセル1を所望の出力を得るために複数直列接続することでなるモジュールを備えている。なお、直列接続の他にも並列接続や直並列接続することで、モジュールを構成しても良い。
【0014】
コンデンサセル1は、正電極と負電極とをセパレータを介して重ね合わせた状態で外装ケース2に収納するとともに、収納ケース2内に電解液を充填し、さらに外装ケース2外方に正電極及び負電極にそれぞれ接続されたリード端子3、3を引き出すことで構成されている。
【0015】
具体的には、正電極及び負電極は、例えばアルミニウム等の金属箔上に活性炭を直接塗布することで構成されており、例えば樹脂等の絶縁体からなるセパレータを介在させた状態で交互に複数枚積層され、正電極と、負電極と、セパレータとが一体に形成されている。また、正電極及び負電極には、電気機器との接続を行うための帯状のリード端子3、3がそれぞれ接続されている。
【0016】
外装ケース2は、例えばアルミニウムの金属箔をプラスチックフィルムで挟み込んで形成されたラミネートアルミ箔からなる第1の金属板(板状体)4と、例えばアルミニウムの金属板をプラスチックフィルムで挟み込んで形成されたラミネートアルミ板からなる第2の金属板5(板状体)からなる。
【0017】
具体的には、外装ケース2は、例えばプレス成形によって、中央部に正電極、負電極、セパレータ、電解液を収納可能な凹部(収納部)4aが形成され、略ハット型に形成された第1の金属板4と、第1の金属板4より厚さが大とされた略平板状の第2の金属板5とからなり、第1の金属板4の収納部4aが突出している面とは反対の面と、第2の金属板5とを対向させるとともに、第1の金属板4の外周部と第2の金属板5の外周部とを例えば熱融着することにより内部空間(収納部4aと第2の金属板5表面とで囲まれた空間)を密閉状態とすることで構成されている。なお、第2の金属板5を、第1の金属板4のアルミニウム金属箔より厚いアルミニウム金属箔を用いてなるラミネートアルミ箔としても良い。また、第2の金属板5にも電極、セパレータ、電解液を収納するための収納部を設けても良い。また、第1及び第2の金属板4、5は、ラミネートアルミ箔やラミネートアルミ板に限らず、種々の材質のものを使用可能であるが、少なくとも第2の金属板5は、熱伝導率の高いものを使用することが好ましい。また、第1の金属板4と第2の金属板5との接合は、熱融着に限らず、接着剤による接着等、種々の接合方法を用いて良い。
【0018】
また、外装ケース2には、第1の金属板4の収納部4aに、電解液が電気分解を起こす等して生じる分解ガス(例えば一酸化炭素や二酸化炭素)をケース外方へと放出するガス放出弁6が設けられている。なお、ガス放出弁6としては、公知の種々のものが使用可能である。
【0019】
一体とされた正電極、負電極、セパレータは、上記に示したように、一対のリード端子3、3が外装ケース2外方へと引き出されるようにして第1の金属板4の収納部4aに収納される。そして、収納部4a内に電解液が充填されることにより、正電極と負電極との間に電解液が含浸し、さらにこの状態において、第2の金属板5が第1の金属板4に重ね合わされ、それぞれの外周部同士(収納部4aの周り)が熱融着されることによってコンデンサセル1が形成される。
【0020】
また、複数のコンデンサセル1・・が、図2に示すように、紙面奥側のコンデンサセル1の第1の金属板4の収納部4aと、紙面手前側のコンデンサセル1の第2の金属板5とが対向するようにして並設されるとともに、リード端子3・・同士がそれぞれ接続され、図示しないケースに収納されることで電気二重層コンデンサが形成される。なお、コンデンサセル1・・同士は、互いに第1及び第2の金属板4、5がそれぞれ当接状態となるように並設することが好ましい。
【0021】
このように構成された電気二重層コンデンサは、外装ケース2が、ケース構成部材である第1の金属板4と、ケース構成部材であるとともに、伝熱体としても機能する第2の金属板5とから構成されているため、コンデンサセル1・・の充放電によって生じる自己発熱を、第2の金属板5を通じて外部に放出させることができ、コンデンサセル1・・の劣化を抑えることができる。また、新たに放熱板を取り付ける等といった放熱対策を別途行う必要が無いため、組立作業が簡素化されるとともに低コスト化を図ることができる。また、別体の放熱板をコンデンサセル1・・間に介在させる場合に比べて、熱伝達が良好であり、効率良く放熱させることができる。また、コンデンサセル1・・同士を当接させることで、隣接するコンデンサセル1、1同士で放熱板として機能する第2の金属板5を共有させることができ、より効率良く放熱させることができる。
【0022】
次に、本発明の異なる実施形態の電気二重層コンデンサについて図に基づいて詳細に説明する。この異なる実施形態の電気二重層コンデンサのコンデンサセル1は、図3に示すように、第2の金属板5の両側端部からフランジ部7、7が延設されている。具体的には、第1の金属板4の外周部と、第2の金属板5の外周部とが接合された後、第1の金属板4及び第2の金属板5の両側端部が、第1の金属板4の両側端部が内側(収納部4a側)に向くように、すなわち、第2の金属板5の両側端部が外側に向き、互いに相反する方向に面するように略直角に折曲されることで、フランジ部7、7が形成されている。また、折曲部8、8は、第1の金属板4と第2の金属板5との接合部9(熱融着部:図3において、点線より外周側の部分)よりも内側(収納部4a側)に位置されており、折曲による接合強度の低下を回避している。また、折曲部8からのフランジ部7の突出長さは、第1の金属板4の収納部4aの突出長さと略同長とされている。
【0023】
そして、フランジ部7、7を有する複数のコンデンサセル1・・が、図4に示すように、紙面奥側のコンデンサセル1の第1の金属板4の収納部4aと、紙面手前側のコンデンサセル1の第2の金属板5とが対向するようにして並設されるとともに、リード端子3・・同士がそれぞれ接続され、図示しないケースに収納されることで電気二重層コンデンサが形成される。この際、紙面奥側に位置するコンデンサセル1のフランジ部7、7の先端部が、紙面手前側で隣接するコンデンサセル1の折曲部8、8に当接するように、且つフランジ部7、7がそれぞれ面一となるように並設される。
【0024】
このように構成された電気二重層コンデンサは、第1及び第2の金属板4、5の両側端部を折曲してなるフランジ部7、7を設けているため、コンデンサセル1の幅を抑えながらも、放熱板として機能する第2の金属板5の表面積を増大させることができる。また、フランジ部7、7において、厚さが大とされた第2の金属板5を外側に位置させていることで、接合部9を保護することができるとともに、冷却フィン等を別途取り付けることも可能となり、放熱性の更なる向上を図ることができる。さらに、フランジ部7、7の先端部を隣接するコンデンサセル1の折曲部8、8に当接させていることで、隣接するコンデンサセル1・・間での熱伝達が可能となり、例えば、熱のこもり易い中央部に位置されたコンデンサセル1の熱を、周辺のコンデンサセル1・・の第2の金属板5・・で放熱させることもでき、コンデンサ全体の放熱性を向上させることができる。また、フランジ部7、7がスペーサとなるため、第1の金属板4の収納部4aが圧迫されることが無く、コンデンサセル1の損傷を防止することができる。
【0025】
次に、本発明のさらに異なる実施形態の電気二重層コンデンサについて図に基づいて詳細に説明する。この異なる実施形態の電気二重層コンデンサのコンデンサセル1は、図5に示すように、フランジ部7、7に複数の孔10・・が穿設されている。
【0026】
このように、フランジ部7、7に孔10を穿設することによって、図2や図4のように複数のコンデンサセル1・・を並設させた場合でも、隣接するコンデンサセル1、1間の通気を確保することができ、フランジ部7、7による放熱と、通気による放熱の両方の効果を得ることができる。なお、通気用の孔10は、フランジ部7、7のいずれか一方にだけ設けても良い。また、孔10の形状は丸に限らず、三角形や四角形等、適宜変更可能である。また、孔10の大きさや個数、配置等も適宜変更可能である。
【0027】
次に、本発明のさらに別の実施形態の電気二重層コンデンサについて図に基づいて詳細に説明する。この別の実施形態の電気二重層コンデンサのコンデンサセル1は、図6に示すように、第2の金属板5の両側端部が外方に向かって延設されているとともに、延設された部分が波板状に形成されている。換言すれば、第1の金属板4より幅広とされた第2の金属板5の両側端部が波板状に形成されている。
【0028】
このように、第2の金属板5の両側端部を外方に向かって延設することによって、放熱板として機能する第2の金属板5の表面積を増大させることができ、放熱性を向上させることができる。また、波板状に形成することで、表面積を大きくしながらも、幅を抑えることができ、コンデンサの小型化を図ることができる。なお、第2の金属板5の延設部分の形状は、波板状に限らず、ジグザグ状等、種々の形状を用いることができる。また、第2の金属板5の上下端部を延設するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0029】
以上に、この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施例においては、第2の金属板5を、アルミ板(箔)の両側をプラスチックで挟んだラミネートアルミ板(箔)で形成していたが、第1の金属板4に対向する面のみにプラスチック層が形成されたアルミ板(箔)としても良い。この場合、放熱性の良好なアルミ板が露出することとなるため、高い放熱性を得ることができる。また、第2の金属板5の外側(収納部4aとは反対側)の表面に凹凸を形成し、表面積を大きくしても良い。また、隣接するコンデンサセル1・・間に、熱伝導率の高いグリス等を充填し、コンデンサセル1・・間の隙間を埋めることで相互の熱伝達を促しても良い。
【0030】
また、上記実施例においては、第1及び第2の金属板4、5の両側端部にフランジ部7、7が形成されていたが、第1及び第2の金属板4、5の上下方端部にフランジ部を形成しても良い。また、フランジ部7、7を第2の金属板5のみで形成しても良い。すなわち、第1の金属板4のサイズを第2の金属板5よりも小さくして折曲部8、8までとし、折曲部8、8より内側(収納部4a側)で、第1の金属板4と第2の金属板5とを接合するようにしても良い。この場合、接合部9が折曲部8、8より内側となるため、折曲による接合強度低下が生じることはない。また、第1及び第2の金属板4、5の断面形状が略コ字状とされていたが、フランジ部7、7を収納部4aとは反対側にも形成し、断面略H字状となるようにしても良い。また、フランジ部7の突出長さは、第1の金属板4の収納部4aの突出長さよりも大又は小とされていても良い。
【符号の説明】
【0031】
1・・コンデンサセル、2・・外装ケース、3・・リード端子、4・・第1の金属板、5・・第2の金属板、7・・フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介在した正電極及び負電極を外装ケース(2)に収納し電解液を充填するとともに外装ケース(2)の外方に正電極及び負電極にそれぞれ接続されたリード端子(3)(3)を引き出したコンデンサセル(1)を具備する電気二重層コンデンサにおいて、上記外装ケース(2)は、第1の板状体(4)と、第1の板状体(4)より厚さが大とされた第2の板状体(5)とからなり、第1の板状体(4)と第2の板状体(5)を対向させるとともに、第1の板状体(4)と、第2の板状体(5)とを互いに接合することで形成されていることを特徴とする電気二重層コンデンサ。
【請求項2】
第2の板状体(5)の外周端部からフランジ部(7)が延設されている請求項1に記載の電気二重層コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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