電気光学装置の駆動方法、電気光学装置の制御回路、電気光学装置、及び電子機器
【課題】高品位な表示を行うことができる電気泳動表示装置の駆動方法を提供すること。
【解決手段】電気泳動表示装置は、第一画像から第二画像へと表示変更する際に、電気泳動材料24に、第一電界を第一期間印加する第一工程と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を第二期間印加する第二工程と、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を第三期間印加する第三工程と、を含む。これにより、表示のコントラスト比を高める事ができ、表示画像の保持性も改善される。
【解決手段】電気泳動表示装置は、第一画像から第二画像へと表示変更する際に、電気泳動材料24に、第一電界を第一期間印加する第一工程と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を第二期間印加する第二工程と、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を第三期間印加する第三工程と、を含む。これにより、表示のコントラスト比を高める事ができ、表示画像の保持性も改善される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気泳動表示装置等の電気光学装置の駆動方法、電気光学装置の制御回路、電気光学装置、及び電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例としては、特許文献1に記載されている様に、電気泳動表示装置が知られている。電気泳動表示装置では、電気泳動材料を挟んで対向する画素電極及び共通電極間に電圧を印加して、帯電した黒粒子や白粒子等の電気泳動粒子を移動させる事で表示部に画像を形成している。
こうした電気泳動表示装置を駆動するには、画素毎に電気泳動材料に掛かる電界を制御していた。例えば、黒粒子が負に帯電し、白粒子が正に帯電し、表示面側に共通電極を設けた場合、白表示をする画素では画素電極の電位を共通電極の電位よりも15V程高くした状態を200ミリ秒程維持して、白粒子を共通電極側に集めていた。反対に、黒表示をする画素では画素電極の電位を共通電極の電位よりも15V程低くした状態を200ミリ秒程維持して、黒粒子を共通電極側に集めていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−145873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電気泳動表示装置の駆動方法では、白表示と黒表示とのコントラスト比が低いという課題が有った。白表示は真っ白で、黒表示は真っ黒となるのが理想であるが、実際は白表示させても灰色掛かった白となり、白表示の反射率は46%程度しかなかった。又、黒表示は白み掛かった黒となり、黒表示の反射率は6.9%程度で有った。この結果、白反射率と黒反射率の比(コントラスト比)は6.7程度となっていた。
又、電気泳動表示装置の特徴は、電界を取り除いた後も表示された画像を保持する保持性にあるが、従来の電気泳動表示装置の駆動方法では、この保持性が悪いとの課題があった。即ち、画像書き込み後、電界を取り除いて10分もすると、白反射率は低下し、黒反射率は上がっていた。例えば、黒表示を保持させたい場合、電界を取り除いてから1分後の反射率は6.9%(明度指数L=31.58)程度であるが、それが10分後には反射率は12.2%(明度指数L=41.52)程度に上昇し、明度指数の差はΔL=9.94にもなっていた。換言すると、従来の電気泳動表示装置の駆動方法では高い画像品位を得る事が困難であり、更に表示された画像を長時間維持できないという課題が有った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題の少なくとも一部を解決する為になされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
本適用例に係わる電気光学装置の駆動方法は、一対の基板間に第一極性に帯電した第一粒子と、第二粒子と、を有する分散体が挟持され、分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部が制御される電気光学装置の駆動方法であって、表示部を第一画像から、第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、分散体に第二期間印加する第二工程と、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、分散体に第三期間印加する第三工程と、を含む事を特徴とする。
この構成によれば、粒子の運動を促進し、粒子の集中と拡散とを繰り返すので、二種類の粒子を分離し易くなる。即ち、表示のコントラスト比を高める事ができる。又、第三工程を行う事で、第三工程の後に電界の印加を止めた後の保持性も改善される。換言すると、より高い画像品位を得る事が可能となり、更に表示された画像をより長時間維持する事ができる。
【0007】
本適用例に係わる電気光学装置の駆動方法は、一対の基板間に第一極性に帯電した第一粒子と、第二粒子と、を有する分散体が挟持され、分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部が制御される電気光学装置の駆動方法であって、表示部を第一画像から、第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、第一画像と第二画像とで表示状態が異なる画素に於いては、分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、分散体に第二期間印加する第二工程と、を含み、第二画像を所定期間以上維持する場合には、表示状態が異なる画素に於いては、更に、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、分散体に第三期間印加する第三工程と、を含む事を特徴とする。
この構成によれば、第二画像を所定期間以上維持する場合には、高い画像品位を得ると共に、表示された第二画像を長時間維持する事ができ、第二画像を短期間で切り替える場合には、第三工程を省略する事でエネルギー消費を削減できる。
【0008】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第二粒子が第一極性と逆極性の第二極性に帯電している事が好ましい。
この構成によれば、各画素に印加する電界に応じて、第一粒子と第二粒子とを早く分離する事ができる。即ち、高コントラストの高品質画像を迅速に形成できる。
【0009】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三期間は第二期間よりも短い期間である事が好ましい。
この構成によれば、帯電粒子を電極に集める第三期間が短時間であるので、それ以外の期間は粒子の電極近傍への束縛が弱くなる緩和期間となる。緩和期間を設ける事で第一粒子と第二粒子とを篩い分ける事ができ、高コントラストの高品質画像を形成できる。
【0010】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三期間は第二期間の1%以上20%以下の期間である事が好ましい。
この構成によれば、短い第三期間とそれ以外の緩和期間とを設けるので、第一粒子と第二粒子とを篩い分ける事ができ、高コントラストの高品質画像を形成できる。
【0011】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三工程が複数回繰り返される事が好ましい。
この構成によれば、第一粒子と第二粒子とを篩い分けが複数回繰り返されるので、高コントラストの高品質画像を形成できると共に、表示された第二画像の保持性を向上させる事ができる。
【0012】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三工程の繰り返し周期に対する第三期間の比が1%以上20%以下で有る事が好ましい。
この構成によれば、短い第三期間とそれ以外の緩和期間とを設けるので、第一粒子と第二粒子とを篩い分ける事ができ、高コントラストの高品質画像を形成できる。
【0013】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三工程の繰り返し回数が周辺温度に応じて変えられる事が好ましい。
この構成によれば、温度に適した駆動が実現するので、広い温度範囲に渡り、高コントラストの高品質画像を形成できると共に、表示された第二画像の保持性を向上させる事ができる。
【0014】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、周辺温度が閾値以上の場合には繰り返し回数がN回(Nは1以上の整数)であり、周辺温度が閾値以下の場合には繰り返し数がN+1回以上である事が好ましい。
この構成によれば、電気光学装置の応答性が低下する低温下にて、温度に適した駆動が実現するので、広い温度範囲に渡り、高コントラストの高品質画像を形成できると共に、表示された第二画像の保持性を向上させる事ができる。
【0015】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、所定領域に含まれる複数の画素に関し、所定領域に含まれる画素にて第二工程が終了した後に、第三工程を実行する事が好ましい。
電気光学装置の階調を複数のフレームを用いて表現する場合、階調が異なる画素では、第二工程の終了する時刻が異なる。この構成によれば、総ての階調に対して、第二工程が終了した後に第三工程を行うので、表示された階調を維持し易くなる。
【0016】
本適用例に係わる電気光学装置の制御回路は、上記駆動方法により、表示部を表示駆動する事を特徴とする。
この構成によれば、高コントラストの高品質画像を表示し、しかも表示された第二画像の保持性も高い電気光学装置の制御回路を提供できる。
【0017】
本適用例に係わる電気光学装置の制御回路は、一対の基板間に帯電粒子を含む分散体が挟持され、分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部の表示状態が制御される電気光学装置の制御回路であって、制御回路は、制御部と記憶部と画像信号処理部とを備え、第一画像から、第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、分散体に第一電界を第一期間印加する第一機能と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、分散体に第二期間印加する第二機能と、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、分散体に第三期間印加する第三機能と、を有する事を特徴とする。
この構成によれば、高コントラストの高品質画像を表示し、しかも表示された第二画像の保持性も高い電気光学装置の制御回路を提供できる。
【0018】
本適用例に係わる電気光学装置は、上記の制御回路を備えた事を特徴とする。
この構成によれば、高コントラストの高品質画像を表示し、しかも表示された第二画像の保持性も高い電気光学装置を提供できる。
【0019】
本適用例に係わる電子機器は、上記の電気光学装置を備えた事を特徴とする。
この構成によれば、高コントラストの高品質画像を表示し、しかも表示された第二画像の保持性も高い電気光学装置を備えた電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1における電子機器の斜視図。
【図2】実施形態1に係る電子機器を、機能ブロック毎に表したブロック図。
【図3】(a)回路ブロック構成図、(b)画素の電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】画素の断面構造を説明する図。
【図5】電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図。
【図6】電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図。
【図7】実施形態1の原理を説明した図。
【図8】制御回路が実行するプログラムを説明する図。
【図9】電子ペーパーの構成を示す斜視図。
【図10】電子ノートの構成を示す斜視図。
【図11】実施形態2に係わる電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図。
【図12】実施形態2に係わる電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図。
【図13】実施形態3に係わる電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図。
【図14】実施形態3に係わる電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0022】
(実施形態1)
「電子機器の概要」
先ず、実施形態1に係る電子機器の全体構成(概要)について、図1を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態における電子機器の斜視図である。
本発明に係る電子機器100は、電気光学装置150と、電子機器100を操作するためのインターフェイスとを備えている。インターフェイスとは、具体的には操作部120で、スイッチなどから構成される。電気光学装置150は表示部10を有するディスプレイモジュールである。表示部10は複数の画素から成り、これらの画素が電気的に制御される事で表示部10に画像が表示される。電気光学装置150は、一対の基板間に二種類の粒子を有する分散体を挟持している。二種類の粒子の内で、少なくとも一種類は正又は負に帯電した帯電粒子である。二種類の粒子とは第一粒子と第二粒子とであり、第一粒子は正又は負の第一極性に帯電している。第一粒子は第一の色であり、第二粒子は第一の色と異なる第二の色をしている。本実施形態では電気光学装置150として電気泳動表示装置が使用されている。電気泳動表示装置では、粒子は液体に分散されており、この分散体を含む材料を電気泳動材料と呼んでいる。ここでは、二種類の帯電粒子は第一極性に帯電した第一粒子と、第一極性と逆極性の第二極性に帯電した第二粒子と、からなる。第一極性に帯電した第一粒子が正に帯電していれば、第二極性に帯電した第二粒子は負に帯電している。各画素に於いて、こうした分散体に適当な電界を印加し、画素毎に表示状態を制御して、表示部10に画像が表示される。
【0024】
電子機器100では、第一画像から第二画像へと画像が書き換えられる際に、部分書き換え駆動が用いられる。第二画像とは、或る画像(第一画像)に引き続いて表示される次の画像である。その際に、まず、第一画像と第二画像とを比較して、表示が書き換えられる画素(書き換え画素と称する)と、表示が維持される画素(維持画素と称する)とを選別する。次いで、書き換え画素に対して書き換え動作を施す。書き換え動作は、具体的には、書き換え画素に於いて、分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、分散体に第二期間印加する第二工程と、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、分散体に第三期間印加する第三工程と、を含んでいる。第一工程では、表示すべき階調と反対の階調を表示し、粒子の運動を促進する。次の第二工程では、表示すべき階調を表示する。第二工程終了後に緩和期間を設けて粒子の凝集を緩和した後に、第三工程で表示すべき階調を短期間表示する。この様な粒子の凝集と緩和とを繰り返して、二種類の粒子を篩い分け、綺麗に分離する。又、第三工程を何度か繰り返す事で、画像の保持性も改善される。こうして、表示のコントラスト比が高められ、画像保持性も改善される。
【0025】
「電子機器の基本構成」
図2は本実施形態に係る電子機器を、機能ブロック毎に表したブロック図である。
電子機器100は、電気光学装置150と操作部120とを有している。場合によっては更に画像信号供給回路130を電子機器100が備えていても良い。操作部120はユーザーが電子機器100を操作する部位である。電気光学装置150は、表示部10と、表示部10に電界を印加する駆動回路70と、制御回路140とを有している。更には、操作部120などを電気光学装置150が備えていても良い。制御回路140は、好適例として、制御部60と記憶部90と画像信号処理部80とフレームメモリー110とを含んで構成されている。記憶部90は表示部10に表示するための画像データ等を記憶する。画像信号処理部80は駆動回路70に画像信号を供給する。制御部60はこれらを制御する。尚、本実施形態に係わる電子機器100の基本構成は、上述の構成に限定される物ではなく、本実施形態に係る駆動方法を実現可能な回路構成であれば良い。
【0026】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)であり、各部の動作を制御する。又、制御部60には記憶部90が付随している。記憶部90は、例えば、フラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置により構成されている。記憶部90には表示部10に表示する各種画像データや、電子機器100の動作を定める各種プログラム或いはルックアップテーブル、などが記憶されている。これらのデータは、外部の画像信号供給回路130から入力され、必要に応じて入れ替えられる。尚、画像信号供給回路130は、主に入れ替えられるデータが画像信号で有る為に、この様に命名されているが、前述の各種プログラムやルックアップテーブルなども画像信号供給回路130を介して入れ替える事が可能である。画像信号供給回路130は、インターネットに接続するパーソナルコンピューターや携帯電話、或いはUSBメモリーやSDカードなどに備えられ、新たなデータを電子機器100に供給する。前述の如く、画像信号供給回路130を電子機器100が備えており、電子機器100単体でインターネットや携帯電話網などに接続する様にしても良い。
【0027】
画像信号処理部80は、フレームメモリー110を付随しており、記憶部90から取り出した画像データに応じて画像信号を作製し、これを駆動回路70に供給する。具体的には、フレームメモリー110に収納されている第一画像に対応する画像信号と記憶部90に収納されている第二画像データとから、画像信号処理部80と制御部60とが第二画像に対応する画像信号を生成する。画像信号処理部80は、こうして得られた画像信号を駆動回路70に供給する。尚、フレームメモリー110は、表示部10の少なくとも1フレーム分以上の画像データを記憶可能なメモリー容量を備えたVRAM(Video Random Access Memory)である。メモリー容量は2フレーム分以上有る事が望ましい。
【0028】
操作部120は、複数の操作ボタン(図1参照)を含んで構成されており、当該操作ボタンによって、ユーザーは電子機器100に、表示を切り換えるためのトリガー信号を与える。
【0029】
図3(a)は本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部と駆動回路との構成を示す回路ブロック構成図であり、(b)は画素の電気的な構成を示す等価回路図である。又、図4は画素の断面構造を説明する図である。次に、図3及び図4を用いて本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部と駆動回路との構成、及び断面構造とを説明する。
【0030】
図3(a)に示されている様に、表示部10には、m行×n列分の画素20が行列状(二次元平面的)に配列されている。又、表示部10には、m本の走査線30(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線40(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線30は行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線40は列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線30とn本のデータ線40との交差点に対応して画素20が配置されている。
【0031】
表示部10には駆動回路70が付属している。駆動回路70は、コントローラー71や走査線駆動回路72、データ線駆動回路73、共通電位供給回路74などから構成されている。コントローラー71は、走査線駆動回路72とデータ線駆動回路73、及び共通電位供給回路74の動作を制御し、クロック信号やタイミング信号等の各種信号を各回路に供給する。
【0032】
走査線駆動回路72は、コントローラー71から供給されるタイミング信号に基づいて、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。データ線駆動回路73は、コントローラー71から供給されるタイミング信号に基づいて、データ線X1、X2、…、Xnに画像信号を供給する。画像信号は、書き換え画素に供給する書き換え電圧Vwや、維持画素に供給する維持電圧Vr等であり、これらは高電位VH(例えば15V)と低電位VL(例えば−15V)との間で多値的な電位をとる。尚、本実施形態では、書き換え電圧Vwは二値であり、明表示(白の表示)に書き換えられる画素20に対して高電位VHの画像信号が供給され、暗表示(黒の表示)に書き換えられる画素20に対して低電位VLの画像信号が供給される。
【0033】
共通電位供給回路74は、共通電位線50に共通電位Vcomを供給する。尚、共通電位Vcomは一定の電位であっても良いし、例えば書き込む階調やフレームに応じて変えても良い。本実施形態では、共通電位Vcomが総ての電位に対する基準電位となり、共通電位を0Vとしている。従って、先の高電位VH(例えば15V)や低電位VL(例えば−15V)はそのまま共通電位Vcomに対する電位差ともなる。尚、コントローラー71、走査線駆動回路72、データ線駆動回路73及び共通電位供給回路74には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のない物については説明を省略している。
【0034】
図3(b)の回路図と図4の断面図とに示される様に、画素20は、画素スイッチング用トランジスター21と、画素電極22と、共通電極23と、電気泳動材料24と、保持容量25とを備えている。
【0035】
画素スイッチング用トランジスター21は、例えばN型トランジスターで構成されている。ここでは上ゲート型の薄膜トランジスターが採用されているが、下ゲート型の薄膜トランジスターで有っても構わない。画素スイッチング用トランジスター21は、そのゲートが走査線30に電気的に接続されており、そのソースがデータ線40に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極22及び保持容量25の一端に電気的に接続されている。保持容量25は、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極(一端)が、画素電極22及び画素スイッチング用トランジスター21に電気的に接続され、他方の電極(他端)が共通電位線50に電気的に接続されている。この保持容量25によって画像信号を一定期間だけ維持することができる。画素スイッチング用トランジスター21は、データ線駆動回路73からデータ線40を介して供給される画像信号を、走査線駆動回路72から走査線30を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極22及び保持容量25に出力する。
【0036】
画素電極22には、データ線駆動回路73からデータ線40及び画素スイッチング用トランジスター21を介して、画像信号が供給される。画素電極22は、電気泳動材料24を介して共通電極23と互いに対向するように配置されている。共通電極23は、共通電位Vcomが供給される共通電位線50に電気的に接続されている。共通電極23は、画素電極22が形成された基板に対向する基板に設けられ、電気泳動粒子は図4に示す断面図の上下方向で電気泳動する。尚、共通電極23を画素電極22が形成された基板に設けて、電気泳動粒子が図4の断面図の水平方向(図4の左右方向)に電気泳動する構成としても良い。
【0037】
電気泳動材料24は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。本実施形態では、一例として、第一粒子は第一の色として黒色の粒子で、第一極性(負、マイナス)に帯電しているものとし、第二粒子は第二の色として白色の粒子で、第二極性(正、プラス)に帯電しているものとする。従って、図4に示す様に、画素電極22に高電位VH(例えば+15V)を供給し、共通電極23の電位Vcomが0Vであると、負に帯電している黒色の粒子は画素電極22の近くに引き寄せられ、正に帯電している白色の粒子は共通電極23の近く引き寄せられる。従って電気光学装置150を図4の上方から見ると、その画素20は白表示している事になる。尚、上述の例とは反対に、第一粒子が正に帯電し、第二粒子が負に帯電していても良い。更に、第一の色と第二の色との組み合わせは白黒に限らず、色相環(color circle)で正反対に位置する関係の色(相補的な色)の組み合わせとしても良い。例えば赤色粒子と緑色粒子との組み合わせや、黄色粒子と紫色粒子との組み合わせ、青色粒子と橙色粒子との組み合わせ、等にしても良い。その他にも赤色と緑色と青色との加法混色の三原色から適当な二色を組み合わせにしても良いし、或いは、シアンとマゼンタとイエローとの減法混色の三原色から適当な二色を組み合わせにしても良いし、更にはこれらの六色から適当な二色を組み合わせても良い。又、二種類の粒子の内で、一種類の粒子が正又は負に帯電しておれば、他方の種類の粒子は必ずしも帯電していなくても良い(他方の粒子は電気的に中性で有っても構わない)。どちらかの粒子が帯電していれば、電気泳動材料24として機能するからである。但し、本実施形態の様に、第一粒子と第二粒子とが反対の極性に帯電していると、各画素に印加する電界に応じて、第一粒子と第二粒子とを素早く確実に分離させる事ができる。即ち、高コントラストの高品質画像を迅速に形成できる。又、電気泳動粒子はマイクロカプセルに閉じ込められる必要もなく、一対に基板間に挟持されていれば良い。例えば、基板間に隔壁を設けてその内部に電気泳動粒子を収納しても良い。
【0038】
「電気光学装置の制御回路、及び電気光学装置の駆動方法」
図5は電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図である。又、図6は電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図である。以下、本実施形態に係る電気光学装置の制御回路、及び電気光学装置の駆動方法について説明する。
【0039】
図5を用いて制御回路140が保有する機能について説明する。図5は表示部10の内で書き換えられる画素群の表示状態を示している。これらの画素群では、不図示の第一画像から、白地にFの文字が第二画像にて表示される例を示している。表示部10に表示されていた第一画像を、部分書き換え駆動を用いて、第二画像に表示変更すべく、制御回路140は、選別機能と、第一機能と、第二機能と、第三機能と、緩和機能とを保有している。
【0040】
第一画像の書き換えが開始されると、制御回路140はまず、選別機能を動作させる。選別機能とは、第一画像に引き続いて表示される第二画像と第一画像とを比較して、表示が書き換えられる書き換え画素と表示が維持される維持画素とを選別する機能である。図5では、白地にFの文字が表示される領域が書き換え画素と選別されている。
【0041】
次に、制御回路140は第一工程1Pとして第一機能を動作させる。第一機能とは、書き換え画素の分散体に第一電界を第一期間印加する機能である。この第一機能により、表示部10の書き換え画素群には、図5(a)に示される様に、第二画像の白黒が反転した画像(ネガ画像)が表示される。第一電界とは第二画像のネガ画像(明暗反転画像)を作り出す電界である。即ち、第二画像で白表示をする画素(白書き換え画素と称する)に対しては、黒表示をさせる電界がその白書き換え画素に対する第一電界である。反対に、第二画像で黒表示をする画素(黒書き換え画素と称する)に対しては、白表示をさせる電界がその黒書き換え画素に対する第一電界である。図6に白書き換え画素(White Pixel)と黒書き換え画素(Black Pixel)の画素電極22に加えられる電位を示す。第一工程1Pは図6で1Pと示されている期間であり、共通電極電位Vcomは常に接地電位の0Vである。白書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも低い低電位VLが供給され、第一電界の向きは共通電極23から画素電極22に向かっている。白書き換え画素の第一工程1Pには黒表示させるとの意味でBと記載してある。一方、黒書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも高い高電位VHが供給され、第一電界の向きは画素電極22から共通電極23に向かっている。黒書き換え画素の第一工程1Pには白表示させるとの意味でWと記載してある。
【0042】
第一期間は10ミリ秒から1秒の範囲となる事が好ましく、好適例としては、図5(a)に示す様に200ミリ秒である。第一期間が10ミリ秒以上有れば、電気泳動材料は応答する事ができ、1秒以下ならば、使用者が不快感を感ずる事なく速やかに画像を切り替えられる。第一工程1Pは1個乃至は複数個のフレームを用いて、第一期間に渡って第一電界を維持する。
【0043】
分散体を用いた電気光学装置150では、帯電粒子は凝集する傾向が高く、これを利用して、画像は電界を取り除いた後も保持される。その反面、この凝集性は第二画像を表示する際に、画像書き換えの妨げになり、コントラスト比を落としたり、残像を発生させたりする原因となる。第一工程では、第二画像のネガ画像を表示する事で、帯電粒子の凝集性を弱め、これらの弊害を取り除いている。
【0044】
次に、制御回路140は第二工程2Pとして第二機能を動作させる。第二機能とは、書き換え画素の分散体に第二電界を第二期間印加する機能である。この第二機能により、表示部10の書き換え画素群には、図5(b)に示される様に、第二画像の白黒が正しい画像(ポジ画像)が表示される。第二電界とは第二画像のポジ画像(明暗正色画像)を作り出す電界である。即ち、白書き換え画素に対しては、白表示をさせる電界がその白書き換え画素に対する第二電界である。反対に、黒書き換え画素に対しては、黒表示をさせる電界がその黒書き換え画素に対する第二電界である。図6の2Pに示す様に、白書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも高い高電位VHが供給され、第二電界の向きは画素電極22から共通電極23に向かっている。白書き換え画素の第二工程2Pには白表示させるとの意味でWと記載してある。一方、黒書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも低い低電位VLが供給され、第二電界の向きは共通電極23から画素電極22に向かっている。黒書き換え画素の第二工程2Pには黒表示させるとの意味でBと記載してある。この様に、第二電界は第一電界と電界の向きが反対となっている。第一電界の向きと第二電界の向きとが反対とは、書き換え画素に於ける画素電極22の共通電極23側表面全体での電場ベクトルの総和を考え、第一電界を作り出す第一電界ベクトルと、第二電界を作り出す第二電界ベクトルと、の内積が負である事を意味する。電界が乱れていても、その画素電極22の共通電極23側の表面に於ける電場ベクトルの総和で判断する。表示状態としては、電界の向きが反対ならば、第一電界と第二電界とで、異なった種類の表示をなす。例えば、第一電界が白表示で有れば、第二電界は黒表示となり、第一電界が黒表示で有れば、第二電界は白表示となる。
【0045】
第二期間は10ミリ秒から1秒の範囲となる事が好ましく、好適例としては、図5(b)に示す様に200ミリ秒である。第二期間が10ミリ秒以上有れば、電気泳動材料24は応答する事ができ、1秒以下ならば、使用者が不快感を感ずる事なく速やかに画像を切り替えられる。この様に第一期間と第二期間とは同じ時間長となる。第一期間と第二期間とでは、それらの期間中に粒子をマイクロカプセル内で大きく動かすので、マイクロカプセルの粒径と印加電圧に応じてそれら期間の長さは変えられる。本実施形態では、マイクロカプセルの平均粒径は30μmであり、±15Vの電位差を画素電極22と共通電極23との間に設けている。こうした条件下にて、帯電粒子の応答時間は凡そ100ミリ秒である。これを考慮し、粒子がマイクロカプセル内で完全に移動すべく、第一期間と第二期間との時間長を応答時間の2倍とするのが理想的である。尚、第二工程2Pも1個乃至は複数個のフレームを用いて、第二期間に渡って第二電界を維持する。
【0046】
次に、制御回路140は、図6のRPに示す様に、緩和工程RPとして緩和機能を動作させる。緩和機能とは、書き換え画素の分散体に電界を印加しない機能である。即ち、白書き換え画素に於いても、黒書き換え画素に於いても、画素電極22の電位を共通電極23の電位と等しくする。緩和期間は次の第三期間と合わせて、第一期間又は第二期間と同じ長さの期間とする事が好ましい。第一期間と第二期間とは同じ長さであるので、緩和期間は第二期間と第三期間の差(緩和期間=第二期間−第三期間)とされるのが好ましい。後に記す様に、本実施形態では第三期間が10ミリ秒であるので、緩和期間は190ミリ秒である。
【0047】
次に、制御回路140は一回目の第三工程3P−1として一回目の第三機能を動作させる。第三機能とは、書き換え画素の分散体に第三電界を第三期間印加する機能である。この第三機能により、表示部10の書き換え画素群には、図5(c)に示される様に、第二画像の白黒が正しい画像(ポジ画像)が短時間、表示される。第三電界とは第二画像のポジ画像(明暗正色画像)を作り出す電界である。即ち、白書き換え画素に対しては、白表示をさせる電界がその白書き換え画素に対する第三電界である。反対に、黒書き換え画素に対しては、黒表示をさせる電界がその黒書き換え画素に対する第三電界である。図6の3P−1に示す様に、白書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも高い高電位VHが供給され、第三電界の向きは画素電極22から共通電極23に向かっている。白書き換え画素の第三工程3Pには白表示のパルスを加えるとの意味でWPと記載してある。一方、黒書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも低い低電位VLが供給され、第三電界の向きは共通電極23から画素電極22に向かっている。黒書き換え画素の第三工程3Pには黒表示のパルスを加えるとの意味でBPと記載してある。この様に、第三電界は第二電界と電界の向きが同じとなっている。或る画素に於いて、第二電界の向きと第三電界の向きとが同じであるとは、その画素電極22の共通電極23側の表面全体に於ける電場ベクトルの総和を考え、第二電界ベクトルと第三電界を作り出す第三電界ベクトルとの内積が正である事を意味する。周辺画素からの影響を受けて、電界が乱れていても、その画素電極22の共通電極23側の表面に於ける電場ベクトルの総和で判断する。表示状態としては、電界の向きが同じならば、第二電界と第三電界とで、同種類の表示をなす。例えば、第二電界が白表示で有れば、第三電界も白表示であり、第二電界が黒表示で有れば、第三電界も黒表示である。
【0048】
第三期間は第二期間よりも短い期間である。具体的には、第三期間は第二期間の1%以上20%以下の範囲に入る期間である事が好ましい。緩和期間と第三期間との和が第二期間に等しいのが好ましいので、第三期間の繰り返し周期(=緩和期間と第三期間との和)に対する比(以降、デューティー比と称する)も1%以上20%以下の範囲に入る。この様に、第三工程3Pでは、第二画像のポジ画像を作り出す電界をパルス的に分散体に印加する。実験に依ると第三期間は第二期間の5%の期間である時に(デューティー比5%の時に)コントラスト比は最大となった。本実施形態では第二期間が200ミリ秒であるので、第三期間は10ミリ秒である。第三期間は、帯電粒子の応答時間の2%から40%の範囲に入る様にし、理想的には10%程度の短期間、ポジ画像に対応する電界を印加する。第三電界と第二電界の大きさは同じなので、マイクロカプセルの粒径の1/10程度の距離で帯電粒子を揺り動かす事になる。実験に依るとデューティー比が1%以上だと、第三工程を行う効果が現れる。デューティー比が20%以上の長期間となると、緩和期間が短くなり、帯電粒子の揺り動かしが効かなくなり、第三工程の効果が失われる。従って、デューティー比の下限は1%となり、デューティー比の上限は20%となる。
【0049】
上述の如く、第三工程3Pは一回だけ行ってもその効果は認められるが、図5(d)から(f)や、図6の3P−2、3P−3、3P−Nに示される様に、第三工程は緩和期間を挟んで複数回(N回)繰り返されるのが好ましい。図5(d)では、二回目の第三工程3P−2が行われ、図5(f)では、N回目の第三工程3P−Nが行われている。実験に依ると20回までは第三工程3Pを行う度にコントラスト比が改善してゆき、20回以降は飽和し始めてコントラスト比の改善は僅かとなり、100回以降は完全に飽和して、もうそれ以上の改善は見られなかった。従って、第三工程3Pを繰り返す回数の上限は100回で、好ましくは20回以下である。換言すると、Nは1以上100以下の整数で、好ましくは1以上20以下の整数である。尚、第三工程3Pも1個乃至は複数個のフレームを用いて、第三期間に渡って第三電界を維持する。
【0050】
図7は本実施形態の原理を説明した図である。図7では白書き換え画素を例にしている。まず図7(a)に示す様に、第一工程1Pでは共通電極23側に黒粒子が集められ、画素電極22側に白粒子が集められる。この際に、黒粒子群に僅かな白粒子が閉じ込められ、白粒子群に僅かな黒粒子が閉じ込められる。次に図7(b)に示す様に、第二工程2Pでは共通電極23側に白粒子が集められ、画素電極22側に黒粒子が集められる。この際にも、矢張り、黒粒子群に僅かな白粒子が閉じ込められ、白粒子群に僅かな黒粒子が閉じ込められる。これが灰色ぎみの白や灰色ぎみの黒を表示する原因である。そこで、次に、図7(c)に示す緩和工程RPと図7(d)に示す第三工程3P−1とを行う。緩和工程RPと第三工程3Pとを行う事で画素電極22又は共通電極23の近傍に凝集された粒子は穏やかな拡散と再凝集とを行う事になる。即ち、図7(c)に示す緩和工程RPにて黒粒子群も白粒子群も粒子群への束縛が弱まり、拡散する。拡散はするものの、全体的には共通電極23側に白粒子が多く分布し、画素電極22側に黒粒子が多く分布している。この過程で白粒子群に混ざっていた黒粒子は白粒子群から篩い出され、黒粒子群に移動する事が可能になる。同様に、黒粒子群に混ざっていた白粒子は黒粒子群から篩い出され、白粒子群に移動する事が可能になる。こうした状態で、図7(d)に示す一回目の第三工程3P−1を行うと、図7(b)に示す第二工程2P終了時に比べて白粒子群に混在する黒粒子が減り、黒粒子群に混在する白粒子も減る。図7(e)に示す、次の緩和工程RPでも粒子は拡散するが、図7(c)に示す一回目の緩和工程RP終了時よりも、秩序だった拡散状態となる。即ち、共通電極23側に白粒子がより多くなり、画素電極22側に黒粒子がより多くなる。要するに、緩和工程RPと第三工程3Pとは、白粒子群に於ける白粒子の割合を高め、黒粒子群に於ける黒粒子の割合を高める過程である。それ故に、図7(f)に示す様に、緩和工程RPと第三工程3PとをN回繰り返すことでコントラスト比が向上する。更に、複数回の第三工程3Pで粒子群は次第に堅く凝集して行くので、保持性も向上する事になる。実際に、第一工程1Pと第二工程2Pとに引き続き、緩和工程RPと第三工程3Pとを20回繰り返した場合、白表示の反射率は51.2%に上がり、黒表示の反射率は3.8%に下がり、その結果、コントラスト比は13.47と、従来よりも103%も向上した。又、黒表示の保持性に関しては、電界を取り除いてから1分後の反射率が3.8%(明度指数L=23.00)で、10分後の反射率は4.34%(明度指数L=24.79)となり、明度指数の差はΔL=1.79に収まった。即ち、従来よりも保持性に関しては82%も向上した。この様に、本実施形態では、電気光学装置150の画像品位を容易に高める事ができ、更に表示された画像を長時間保持できるのである。尚、明度指数Lと反射率RとはL=116×R1/3−16との関係にある。
【0051】
「第三工程の実行回数」
図8は電気光学装置の制御回路が実行するプログラムのフローチャートを説明する図である。以下、図8を用いて緩和工程及び第三工程を実行する回数(上述のN)に関して説明する。
【0052】
緩和工程RP及び第三工程3Pは省略する事もできるし、実行回数も状況に応じて変化するので、この事を以下に説明する。電気光学装置150に表示される画像には、動画やページの早送りの様に高速で切り替わるモード(高速モード)と、電子書籍や電子写真の様にゆっくりと切り替わるモード(標準モード)とがある。第二画像を所定期間以上維持する場合には(標準モードでは)、書き換え画素に於いては、第一工程1Pと第二工程2Pとに引き続いて、更に、第三工程3Pを行うが、第二画像を所定期間維持しない場合には(高速モードでは)、第三工程3Pは省略されても良い。又、標準モードで第三工程3Pを行っている最中であっても、使用者の指示などで高速モードに切り替えられた場合には、その時点で第三工程3Pは取り止められる。更には、標準モードで第三工程3Pを実行する場合であっても、その繰り返し回数は周辺温度に応じて変化しても良い。例えば、周辺温度が閾値以上の場合には繰り返し回数がN回(Nは1以上の整数)であり、周辺温度が閾値以下の場合には繰り返し数がN+1回以上であっても良い。
【0053】
高速モードとは所定期間よりも短時間に画像が切り替わるモードで、所定期間とは、電気光学装置150で第三工程3Pを行わない場合に明度指数が2.00変わるのに必要な時間であり、保持に関する時定数τの凡そ0.11倍程度である。こうしたモードの相違に応じて第三工程3P実行の有無を定める。即ち、第二画像を、明度指数が2.00変わるのに必要な時間よりも長い期間維持する場合には、第三工程3Pを行い、画質改善を進める。一方、第二画像を、明度指数が2.00変わるのに必要な時間よりも短時間で切り替える場合には、第三工程3Pを省略して電力消費を最少とする。高速モードでは、画質を改善しても、それが使用者に認識されないからである。尚、電気光学装置150での保持性は時間に対して指数関数的に変化する。明度指数L(t)は、白表示に関してはL(t)−50=(L0−50)exp(−t/τ)にて表記され、黒表示に関しては50−L(t)=(50−L0)exp(−t/τ)にて表記され、このτが保持に関する時定数である。
【0054】
第三工程3Pを行わない場合、黒表示の電界を取り除いてから1分後の明度指数L=31.58で、10分後の明度指数L=41.52であったので、τ=11.60分である。一般に、人間は明度指数が4程度変化すると、明暗の変化に気が付く。白黒両方とも変化するので、黒に限って考えると、初期の黒の明度指数31.58が33.58に2.00変わる頃に保持性が落ちてきた事に気付く。明度指数が2.00変わる時間は1.33分で、これは時定数τの0.11倍である。従って、所定期間は1.33分(1分20秒)となり、これよりも明らかに短時間で第二画像が切り替えられる時には第三工程3Pを省略しても良い。
【0055】
温度に関しては、周辺温度に応じてNは変化する。一般に電気光学装置150の表示性能は温度依存性を持ち、20℃程度の室温以上では正常動作する物が、温度が低下するに従い、表示性能が劣って行く事がある。電気泳動表示装置では、コントラスト比が低温程低下する傾向にある。これは電気泳動材料24を構成する液体の粘度や電気抵抗等が変化する為と考えられている。こうした現象を補償する為に、閾値温度を20℃とし、周辺温度が閾値以上の場合には繰り返し回数をN回(Nは1から100の間の整数で、好ましくは20)とし、周辺温度が閾値以下の場合には繰り返し数がN+1回以上とする。こうする事で低温になっても、高いコントラスト比を実現できる。
【0056】
図8に示す様に、制御回路140は、上述の事柄を実現させるべく、モード判定機能(S1)と温度補正機能(S2)、N決定機能(S3)、書き換え機能(S4)とを有する。まず、書き換えが開始されると、モード判定機能(S1)を動作させ、現在の使用モードが高速モードか否かを判定する。高速モードの場合、第三工程を省略できるので、N決定機能の1(S3−1)にてN=0を定め、書き換え機能の1(S4−1)にて第一工程1Pと第二工程2Pとを実行する。高速モードでない場合、温度補正機能の1(S2−1)にて周辺温度を計測し、温度補正機能の2(S2−2)にてルックアップテーブルを参照する。ルックアップテーブルには周辺温度と理想の繰り返し回数との関係が記憶されている。その結果、N決定機能の2(S3−2)にて理想のNを定め、書き換え機能の2(S4−2)にて第一工程1Pと第二工程2Pとに引き続いて、緩和期間と第三工程とをN回繰り返して実行する。尚、ここで周辺温度としは厳密には、電気泳動材料24の温度を測定するのが好ましい。この場合、表示部10に薄膜温度計を内蔵させても良い。薄膜温度計は画素スイッチング用トランジスター21を構成する半導体や抵抗体を用いて形成される。これ以外にも周辺温度としては、電気光学装置150が使用されている環境の温度を用いたり、環境の温度から電気泳動材料24の温度を計算したりしても差し障りない。環境の温度は、電子機器100に温度計を内蔵させる事で計測される。
【0057】
「電子機器」
次に、前述した電気泳動表示装置を適用した電子機器100について、図9及び図10を参照して説明する。以下では、前述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0058】
図9は、電子ペーパーの構成を示す斜視図である。図9に示す様に、電子ペーパー400は、本実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部10として備えている。電子ペーパー400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体402を備えて構成されている。
【0059】
図10は、電子ノートの構成を示す斜視図である。図10に示す様に、電子ノート500は、図9で示した電子ペーパー400が複数枚束ねられ、カバー501に挟まれているものである。カバー501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する為の表示データ入力手段(画像信号供給回路130)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0060】
前述した電子ペーパー400及び電子ノート500は、本実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、高品質な画像表示を行うことが可能である。尚、これらの他に、腕時計や携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
【0061】
以上述べたように、本実施形態に係る電子機器100(駆動方法)によれば、以下の効果を得ることができる。
電気光学装置150を構成する粒子の運動を促進し、これらの集中と緩和とを繰り返すので、二種類の粒子を綺麗に分離する事ができる。即ち、表示のコントラスト比を高める事ができる。又、電界を取り除いた後の保持性も改善される。換言すると、高い画像品位を得る事が可能となり、更に表示された画像を長時間維持する事ができる。又、高い画像品位と保持性とが得られる制御回路140、及び電気光学装置150を提供する事ができる。
【0062】
尚、本実施形態では部分書き換え駆動を例として説明したが、表示部10全体を書き換える全面書き換え駆動としても良い。前述の如く、部分書き換え駆動ならば書き換え画素に対して第一工程1Pから第三工程3Pを行われ、この間、維持画素の画素電極22には共通電極23と同じ電位が与えられている。全面書き換え駆動の場合には、全画素において第一工程1Pから第三工程3Pが行われる。
【0063】
又、電気光学装置150の一例として電気泳動表示装置を用いたが、その他の電気光学装置150にも適用可能である。即ち、本実施形態は、画素電極22と共通電極23との間に電界を印加して二種類の粒子の分布状態を変え、これらの電極間に電界が掛からなければ表示状態を維持する電気光学装置150全般に適応する事ができる。具体的には帯電微粉末を気相で移動させる電気粉流表示装置などにも適応できる。
【0064】
(実施形態2)
「フレーム階調方式」
図11は実施形態2に係わる電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図である。又、図12は実施形態2に係わる電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図である。以下、本実施形態に係わる電気光学装置150の駆動方法と制御回路140とについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0065】
本実施形態(図11)は実施形態1(図5)と比べて、複数フレームを用いて階調表現を行っている(フレーム階調)点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。図11は表示部10の内で書き換えられる画素群の表示状態の一例を示している。これらの画素群では、不図示の第一画像から、異なった階調(異なった反射率)を示す帯が5本並んだ第二画像が表示される例を示している。ここで考える表示後の第二画像は、図11(f)に示される様に、5本の縦帯が並び、左から第一列の帯C1が最低階調の階調1(明度指数23.00)で、第二列の帯C2が階調2(目標明度指数36.45)で、第三列の帯C3が階調3(目標明度指数49.90)で、第四列の帯C4が階調4(目標明度指数63.35)で、第五列の帯C5が最高階調の階調5(明度指数76.80)となっている例である。階調数が上がるに従い、反射率は高くなって行くものとする。最低階調と最高階調の明度指数は、電気光学装置150の性能にて定まり、それ以外の中間階調が目標とする明度指数(目標明度指数)は、最低階調と最高階調の明度指数の差を階調数−1で等分した数値である。フレーム階調とは、階調数に応じて白表示又は黒表示のフレーム数を変える駆動方法である。表示部10に表示されていた第一画像を、フレーム階調を用いて第二画像に表示変更すべく、制御回路140が保有している機能を説明する。尚、図12では、第一列の帯C1に属する画素の画素電極22の電位と、第三列の帯C3に属する画素の画素電極22の電位と、第五列の帯C5に属する画素の画素電極22の電位と、を、横軸を時間として描いてある。図中のWやB、WP、BPの意味は実施形態1と同じである。
【0066】
第一画像の書き換えが開始されると、制御回路140はまず、選別機能を動作させる。選別機能は、実施形態1の機能に加え、書き換え画素が第二画像でどの階調になるかも定める。
【0067】
次に、制御回路140は第一工程1Pとして第一機能を動作させる。第一機能は第二画像の仮想二値表現のネガ画像を表示する。仮想二値表現とは、明度指数又は目標明度指数が50未満の階調を仮想黒表現とし、明度指数又は目標明度指数が50以上の階調を仮想白表現とする。本実施形態の場合、階調1の明度指数と階調2の目標明度指数と階調3の目標明度指数とが50より小さいので、階調1から階調3迄の表示を行う画素は仮想黒表現である。一方、階調4の目標明度指数と階調5の明度指数とは50より大きいので、階調4と階調5との表示を行う画素は仮想白表現である。第一工程1Pでは、この仮想二値表現のネガ画像を作り出す第一電界を印加する。図11(a)と図12の1Pに示す様に、第一列の帯C1と、第二列の帯C2と、第三列の帯C3と、をなす画素(仮想黒表現)の画素電極22には高電位VHを供給し、白表示とする。一方、第四列の帯C4と、第五列の帯C5と、をなす画素(仮想白表現)の画素電極22には低電位VLを供給し、黒表示とする。これ以外の第一機能は実施形態1と同じである。
【0068】
次に、制御回路140は第二工程2Pとして第二機能を動作させる。第二機能は、階調表現を行う為に第二工程2Pを複数回に分けて行われる。複数回とは階調数−1回である。複数回に分けられた第二工程2Pのk回目をk回目のサブ第二工程2P−kと称する。第二期間は第一期間と等しいのが好ましいので、各サブ第二工程の期間は第一期間の1/(階調数−1)となる。本実施形態の場合、階調数は5であるので、第二工程は一回目のサブ第二工程2P−1(図11(b))と、二回目のサブ第二工程2P−2(図11(c))と、三回目のサブ第二工程2P−3(図11(d))と、4回目のサブ第二工程2P−4(図11(e))と、からなる。サブ第二工程の期間は第一期間の1/4である。本実施形態では、第一期間が200ミリ秒なので、サブ第二工程の期間は50ミリ秒である。
【0069】
一回目のサブ第二工程2P−1(図11(b))では、第二画像で階調1から階調4となる画素に黒表示となる第二電界を印加し、階調5となる画素に白表示となる第二電界を印加する。本実施形態の場合、第一列の帯C1から第四列の帯C4に属する画素電極22に低電位VLを供給して黒表示とし、第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを供給して白表示とする。
【0070】
二回目のサブ第二工程2P−2(図11(c))では、第二画像で階調1から階調3となる画素に黒表示となる第二電界を印加し、階調4と階調5となる画素に白表示となる第二電界を印加する。本実施形態の場合、第一列の帯C1から第三列の帯C3に属する画素電極22に低電位VLを供給して黒表示とし、第四列の帯C4と第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを供給して白表示とする。
【0071】
三回目のサブ第二工程2P−3(図11(d))では、第二画像で階調1から階調2となる画素に黒表示となる第二電界を印加し、階調3から階調5となる画素に白表示となる第二電界を印加する。本実施形態の場合、第一列の帯C1と第二列の帯C2に属する画素電極22に低電位VLを供給して黒表示とし、第三列の帯C3から第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを供給して白表示とする。
【0072】
四回目のサブ第二工程2P−4(図11(e))では、第二画像で階調1となる画素に黒表示となる第二電界を印加し、階調2から階調5となる画素に白表示となる第二電界を印加する。本実施形態の場合、第一列の帯C1に属する画素電極22に低電位VLを供給して黒表示とし、第二列の帯C2から第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを供給して白表示とする。こうして四回の第二工程2Pを終了させた際の表示が図11(f)となる。この結果、階調1の第一列の帯C1では黒表示が200ミリ秒となり、階調2の第二列の帯C2では黒表示が150ミリ秒で白表示が50ミリ秒となり、階調3の第三列の帯C3では黒表示が100ミリ秒で白表示が100ミリ秒となり、階調4の第四列の帯C4では黒表示が50ミリ秒で白表示が150ミリ秒となり、階調5の第五列の帯C5では白表示が200ミリ秒となった。これ以外の第二機能は実施形態1と同じである。
【0073】
次に、制御回路140は、図12のRPに示す様に、緩和工程RPとして緩和機能を動作させる。緩和機能は実施形態1と同じである。
【0074】
こうして書き換え対象となる所定領域に含まれる全ての画素(総ての書き換え画素)にて第二工程が終了した後に、次に、第三工程を実行する。図11(g)に示す様に、制御回路140は一回目の第三工程3P−1として一回目の第三機能を動作させる。第三機能は、最低階調と最高階調とに属する画素に対して実行する。これは、中間階調が第三工程に依り階調ずれを起こす事態を回避する為である。本実施形態の場合、第二画像で階調1となる第一列の帯C1に属する画素と、第二画像で階調5となる第五列の帯C5に属する画素と、に第三工程を実行する。即ち、第一列の帯C1に属する画素電極22に低電位VLを短期間供給して、黒表示となる分散体に第三電界をパルス的に印加し、第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを短期間供給して、白表示となる分散体に第三電界をパルス的に印加する。その他の中間階調をなす画素の画素電極22の電位は共通電極23の電位と等しくする。即ち、第二列の帯C2から第四列の帯C4に属する画素の画素電極22の電位を0Vとする。それ以外の第三機能は実施形態1と同じである。
【0075】
以上述べたように、本実施形態に係る駆動方法によれば、フレーム階調を行った場合でも、実施形態1と同じ効果を得ることができる。
従って、高い画像品位が得られる制御回路140、および電気泳動表示装置を提供することができる。
【0076】
(実施形態3)
「共通電位振りの形態」
図13は実施形態3に係わる電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図である。又、図14は実施形態3に係わる電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図である。以下、本実施形態に係わる電気光学装置150の駆動方法と制御回路140とについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0077】
本実施形態(図14)は実施形態1(図6)と比べて、共通電極電位が変動する点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。実施形態1では、図6に示す様に、共通電極23の電位はVcom=0Vと一定であり、画素電極22の電位振幅は30Vであった。これに対して、本実施形態では、Vcomを振る事で、画素電極22の電位振幅を実施形態1に比べて半減させている。
【0078】
図13を用いて制御回路140が保有する機能について説明する。図13は表示部10の内で書き換えられる画素群の表示状態を示している。これらの画素群では、不図示の第一画像から、白地にFの文字が第二画像にて表示される例を示している。表示部10に表示されていた第一画像を、部分書き換え駆動を用いて、第二画像に表示変更すべく、制御回路140は、選別機能と、第一機能と、第二機能と、第三機能と、を保有している。
【0079】
第一画像の書き換えが開始されると、制御回路140はまず、選別機能を動作させる。選別機能は実施形態1と同じである。
【0080】
次に、制御回路140は、図13(a)に示す様に、書き換え画素の総てを黒表示とする。これが白書き換え画素に対する第一工程1P(WP:1P)となる。具体的には図14のt=0からt=2αの期間がこの期間に相当する。本実施形態ではα=100ミリ秒である。この期間に共通電極23の電位は高電位とされ(Vcom=VH)、白書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位も低電位VLとされる。高電位の一例は+15Vであり、低電位の一例は0Vである。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVL−VH(−15V)となり、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)もVL−VH(−15V)となる。図14では、この期間を白書き換え画素に対して黒表示をなす第一工程1Pで有る事から、B:1Pと記載してあり、黒書き換え画素では黒表示をするのでBと記載してある。この期間の長さ2αは実施形態1の第一期間と同じである。
【0081】
次に、制御回路140は、図13(b)に示す様に、書き換え画素の総てを白表示とする。これが白書き換え画素に対する第二工程2P(WP:2P)となり、黒書き換え画素に対する第一工程1P(BP:1P)となる。具体的には図14のt=2αからt=4αの期間がこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は低電位とされ(Vcom=VL)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位も高電位VHとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VL(+15V)となり、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)もVH−VL(+15V)となる。図14では、この期間を白書き換え画素に対して白表示をなす第二工程2Pで有る事から、W:2Pと記載してあり、黒書き換え画素に対して白表示をなす第一工程1Pで有る事から、W:1Pと記載してある。この期間の長さ2αは実施形態1の第二期間と同じである。
【0082】
次に、制御回路140は、図13(c)に示す様に、白書き換え画素に対しては白表示を維持し、黒書き換え画素を黒表示とする。これが白書き換え画素に対する一回目の緩和工程(WRP1)となり、黒書き換え画素に対する第二工程2P(BP:2P)となる。具体的には図14のt=4αからt=6αの期間がこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は高電位とされ(Vcom=VH)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VH(0V)となり、白書き換え画素には電界が掛からず、白表示を維持し、粒子の凝集は緩和されて行く。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVL−VH(−15V)となる。図14では、この期間を白書き換え画素に対して白表示の一回目の緩和工程で有る事から、WRP1と記載してあり、黒書き換え画素に対して黒表示をなす第二工程2Pで有る事から、B:2Pと記載してある。この期間の長さ2αは実施形態1の第二期間と同じである。従って、白表示の一回目の緩和期間は、実施形態1の緩和期間よりも第三期間の分だけ長くなる。
【0083】
次に、制御回路140は、図13(d)に示す様に、白書き換え画素に対しては短期間の白表示を行い、黒書き換え画素では黒表示を維持する。これが白書き換え画素に対する一回目の第三工程(WP:3P−1)となり、黒書き換え画素に対する一回目の緩和工程となる。具体的には図14のt=6αからt=6α+第三期間がこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は低電位とされ(Vcom=VL)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VL(+15V)となる。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVL−VL(0V)となり、黒書き換え画素には電界が掛からず、黒表示を維持し、粒子の凝集は緩和されて行く。図14では、この期間を白書き換え画素に対して白表示をパルス的に行うので、WPと記載し、併せて一回目の第三工程で有る事から3P−1とも記載し、黒書き換え画素に対して黒表示の一回目の緩和工程で有る事から、BRP1と記載してある。第三期間の長さは実施形態1の第三期間と同じである。
【0084】
白書き換え画素に対する一回目の第三期間が終了すると、制御回路140は、図14に示す様に、白書き換え画素では白表示を維持し、黒書き換え画素でも黒表示を維持する。これが白書き換え画素に対する二回目の緩和工程となり、黒書き換え画素は一回目の緩和工程を継続する。具体的には図14のt=6α+第三期間からt=7αがこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は低電位とされ(Vcom=VL)、白書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVL−VL(0V)となる。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVL−VL(0V)となる。図14では、この期間を白書き換え画素に対して白表示の二回目の緩和工程で有る事から、WRP2と記載してあり、黒書き換え画素に対して黒表示の一回目の緩和工程で有る事から、BRP1と記載してある。
【0085】
図14のt=7αからt=8α−第三期間の期間、制御回路140は、白書き換え画素に対する二回目の緩和期間と、黒書き換え画素に対する一回目の緩和期間と、を継続する。この期間に共通電極23の電位は高電位とされ(Vcom=VH)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VH(0V)となる。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVH−VH(0V)となる。この期間の次に、黒書き換え画素に対して第三工程が実行されるので、結局、黒書き換え画素に対する一回目の緩和期間BRP1はt=6αからt=8α−第三期間まで続く。即ち、一回目の緩和期間BRP1は2α−第三期間であり、第一期間と第二期間とが2αであることから、一回目の緩和期間BRP1=第二期間−第三期間と、第二期間と第三期間の差になっている。
【0086】
次に、制御回路140は、図13(e)に示す様に、白書き換え画素では白表示を維持し、黒書き換え画素に対しては、短期間の黒表示を行いする。図14に示す様に、白書き換え画素では二回目の緩和工程(WRP2)が継続し、黒書き換え画素に対する一回目の第三工程となる。具体的には図14のt=8α−第三期間からt=8αの期間がこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は高電位とされ(Vcom=VH)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VH(0V)となる。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVL−VH(−15V)となる。図14では、この期間を黒書き換え画素に対して黒表示をパルス的に行うので、BPと記載し、併せて二回目の第三工程で有る事から3P−2とも記載してある。第三期間の長さは実施形態1の第三期間と同じである。この期間の次に、白書き換え画素に対して第三工程が実行されるので、結局、白書き換え画素に対する二回目の緩和期間WRP2はt=6α+第三期間からt=8αまで続く。即ち、二回目の緩和期間WRP2は2α−第三期間であり、第一期間と第二期間とが2αであることから、二回目の緩和期間WRP2=第二期間−第三期間と、第二期間と第三期間の差になっている。
【0087】
以降、t=6αからt=8α迄の期間に行われた工程を、2αを1周期として繰り返して行く。即ち、t=6α以降に於ける共通電極23の電位変化の周期は、t=6α以前の共通電極23の電位変化の周期の半分となる。こうすると、白書き換え画素に対する二回目以降の緩和期間も、黒書き換え画素に対する緩和期間も、共に第二期間と第三期間の差となる。
【0088】
以上述べたように、本実施形態に係る駆動方法によれば、実施形態1での効果に加えて、電気光学装置150に供給する電力の電位振幅を実施形態1に比べて半減させるとの効果を得ることができる。
【0089】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0090】
(変形例1)
「粒子の帯電形態」
図4を用いて、本変形例に係わる電気光学装置150について説明する。尚、実施形態1乃至3と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0091】
本変形例は実施形態1乃至3と比べて、粒子の帯電形態が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1乃至3とほぼ同様である。実施形態1乃至3は二種類の粒子が正負逆極性に帯電していたが、一種類の粒子だけが帯電していて、他方の粒子は帯電していなくても構わない。更には、二種類の粒子が同じ極性に帯電し、粒子の電気泳動移動度に差が有る系で有っても構わない。電気泳動移動度は帯電量に比例し、質量と粒径とに反比例するので、これらの物理量を変える事で電気泳動移動度を変えられる。
【0092】
以上述べたように、本変形例法によれば、実施形態1乃至は3での効果に加えて、電気泳動材料24に様々な粒子を用いる事ができる。
【0093】
(変形例2)
「共通電位がゼロでない形態」
図6を用いて、本変形例に係わる電気光学装置150の駆動方法と制御回路140とについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0094】
本変形例は実施形態1や実施形態2と比べて、共通電位がゼロでない点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1及び実施形態2とほぼ同様である。
【0095】
実施形態1や実施形態2では共通電位がゼロであり、低電位VL等が負の値を取った。これに対して、本変形例では、最も低い電位をゼロとする様に電位全体をずらす。高電位VHも低電位VLも総て共通電位Vcomに対する相対電位であるので、低電位VLがゼロとなる様に総ての電位を正にシフトさせる。具体的には、Vcom=+15Vとし、総ての電位はこれを基準とする。例えば、高電位VHとして実際に画素電極22に供給する電位はVcom+15V=30Vとし、低電位VLとして実際に画素電極22に供給する電位はVcom−15V=0Vとする。この様にシステムで用いられる電圧を総てゼロ以上の正の値にしても良い。電子機器100を構成する上で、負の電圧を準備するのが困難な場合がある。こうした際には、本変形例が示す様に総ての電位がゼロ以上となる様に電位関係全体を平行移動させても良い。
【0096】
以上述べたように、本変形例に係る電気光学装置150の駆動方法によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
正負の両極性の電圧を準備する必要がなくなり、電子機器100に供給する電源体系を簡略化する事ができる。
【符号の説明】
【0097】
10…表示部、20…画素、21…画素スイッチング用トランジスター、22…画素電極、23…共通電極、24…電気泳動材料、25…保持容量、30…走査線、40…データ線、50…共通電位線、60…制御部、70…駆動回路、71…コントローラー、72…走査線駆動回路、73…データ線駆動回路、74…共通電位供給回路、80…画像信号処理部、90…記憶部、100…電子機器、110…フレームメモリー、120…操作部、130…画像信号供給回路、140…制御回路、150…電気光学装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気泳動表示装置等の電気光学装置の駆動方法、電気光学装置の制御回路、電気光学装置、及び電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例としては、特許文献1に記載されている様に、電気泳動表示装置が知られている。電気泳動表示装置では、電気泳動材料を挟んで対向する画素電極及び共通電極間に電圧を印加して、帯電した黒粒子や白粒子等の電気泳動粒子を移動させる事で表示部に画像を形成している。
こうした電気泳動表示装置を駆動するには、画素毎に電気泳動材料に掛かる電界を制御していた。例えば、黒粒子が負に帯電し、白粒子が正に帯電し、表示面側に共通電極を設けた場合、白表示をする画素では画素電極の電位を共通電極の電位よりも15V程高くした状態を200ミリ秒程維持して、白粒子を共通電極側に集めていた。反対に、黒表示をする画素では画素電極の電位を共通電極の電位よりも15V程低くした状態を200ミリ秒程維持して、黒粒子を共通電極側に集めていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−145873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電気泳動表示装置の駆動方法では、白表示と黒表示とのコントラスト比が低いという課題が有った。白表示は真っ白で、黒表示は真っ黒となるのが理想であるが、実際は白表示させても灰色掛かった白となり、白表示の反射率は46%程度しかなかった。又、黒表示は白み掛かった黒となり、黒表示の反射率は6.9%程度で有った。この結果、白反射率と黒反射率の比(コントラスト比)は6.7程度となっていた。
又、電気泳動表示装置の特徴は、電界を取り除いた後も表示された画像を保持する保持性にあるが、従来の電気泳動表示装置の駆動方法では、この保持性が悪いとの課題があった。即ち、画像書き込み後、電界を取り除いて10分もすると、白反射率は低下し、黒反射率は上がっていた。例えば、黒表示を保持させたい場合、電界を取り除いてから1分後の反射率は6.9%(明度指数L=31.58)程度であるが、それが10分後には反射率は12.2%(明度指数L=41.52)程度に上昇し、明度指数の差はΔL=9.94にもなっていた。換言すると、従来の電気泳動表示装置の駆動方法では高い画像品位を得る事が困難であり、更に表示された画像を長時間維持できないという課題が有った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題の少なくとも一部を解決する為になされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
本適用例に係わる電気光学装置の駆動方法は、一対の基板間に第一極性に帯電した第一粒子と、第二粒子と、を有する分散体が挟持され、分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部が制御される電気光学装置の駆動方法であって、表示部を第一画像から、第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、分散体に第二期間印加する第二工程と、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、分散体に第三期間印加する第三工程と、を含む事を特徴とする。
この構成によれば、粒子の運動を促進し、粒子の集中と拡散とを繰り返すので、二種類の粒子を分離し易くなる。即ち、表示のコントラスト比を高める事ができる。又、第三工程を行う事で、第三工程の後に電界の印加を止めた後の保持性も改善される。換言すると、より高い画像品位を得る事が可能となり、更に表示された画像をより長時間維持する事ができる。
【0007】
本適用例に係わる電気光学装置の駆動方法は、一対の基板間に第一極性に帯電した第一粒子と、第二粒子と、を有する分散体が挟持され、分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部が制御される電気光学装置の駆動方法であって、表示部を第一画像から、第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、第一画像と第二画像とで表示状態が異なる画素に於いては、分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、分散体に第二期間印加する第二工程と、を含み、第二画像を所定期間以上維持する場合には、表示状態が異なる画素に於いては、更に、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、分散体に第三期間印加する第三工程と、を含む事を特徴とする。
この構成によれば、第二画像を所定期間以上維持する場合には、高い画像品位を得ると共に、表示された第二画像を長時間維持する事ができ、第二画像を短期間で切り替える場合には、第三工程を省略する事でエネルギー消費を削減できる。
【0008】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第二粒子が第一極性と逆極性の第二極性に帯電している事が好ましい。
この構成によれば、各画素に印加する電界に応じて、第一粒子と第二粒子とを早く分離する事ができる。即ち、高コントラストの高品質画像を迅速に形成できる。
【0009】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三期間は第二期間よりも短い期間である事が好ましい。
この構成によれば、帯電粒子を電極に集める第三期間が短時間であるので、それ以外の期間は粒子の電極近傍への束縛が弱くなる緩和期間となる。緩和期間を設ける事で第一粒子と第二粒子とを篩い分ける事ができ、高コントラストの高品質画像を形成できる。
【0010】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三期間は第二期間の1%以上20%以下の期間である事が好ましい。
この構成によれば、短い第三期間とそれ以外の緩和期間とを設けるので、第一粒子と第二粒子とを篩い分ける事ができ、高コントラストの高品質画像を形成できる。
【0011】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三工程が複数回繰り返される事が好ましい。
この構成によれば、第一粒子と第二粒子とを篩い分けが複数回繰り返されるので、高コントラストの高品質画像を形成できると共に、表示された第二画像の保持性を向上させる事ができる。
【0012】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三工程の繰り返し周期に対する第三期間の比が1%以上20%以下で有る事が好ましい。
この構成によれば、短い第三期間とそれ以外の緩和期間とを設けるので、第一粒子と第二粒子とを篩い分ける事ができ、高コントラストの高品質画像を形成できる。
【0013】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、第三工程の繰り返し回数が周辺温度に応じて変えられる事が好ましい。
この構成によれば、温度に適した駆動が実現するので、広い温度範囲に渡り、高コントラストの高品質画像を形成できると共に、表示された第二画像の保持性を向上させる事ができる。
【0014】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、周辺温度が閾値以上の場合には繰り返し回数がN回(Nは1以上の整数)であり、周辺温度が閾値以下の場合には繰り返し数がN+1回以上である事が好ましい。
この構成によれば、電気光学装置の応答性が低下する低温下にて、温度に適した駆動が実現するので、広い温度範囲に渡り、高コントラストの高品質画像を形成できると共に、表示された第二画像の保持性を向上させる事ができる。
【0015】
上記適用例に係わる電気光学装置の駆動方法において、所定領域に含まれる複数の画素に関し、所定領域に含まれる画素にて第二工程が終了した後に、第三工程を実行する事が好ましい。
電気光学装置の階調を複数のフレームを用いて表現する場合、階調が異なる画素では、第二工程の終了する時刻が異なる。この構成によれば、総ての階調に対して、第二工程が終了した後に第三工程を行うので、表示された階調を維持し易くなる。
【0016】
本適用例に係わる電気光学装置の制御回路は、上記駆動方法により、表示部を表示駆動する事を特徴とする。
この構成によれば、高コントラストの高品質画像を表示し、しかも表示された第二画像の保持性も高い電気光学装置の制御回路を提供できる。
【0017】
本適用例に係わる電気光学装置の制御回路は、一対の基板間に帯電粒子を含む分散体が挟持され、分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部の表示状態が制御される電気光学装置の制御回路であって、制御回路は、制御部と記憶部と画像信号処理部とを備え、第一画像から、第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、分散体に第一電界を第一期間印加する第一機能と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、分散体に第二期間印加する第二機能と、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、分散体に第三期間印加する第三機能と、を有する事を特徴とする。
この構成によれば、高コントラストの高品質画像を表示し、しかも表示された第二画像の保持性も高い電気光学装置の制御回路を提供できる。
【0018】
本適用例に係わる電気光学装置は、上記の制御回路を備えた事を特徴とする。
この構成によれば、高コントラストの高品質画像を表示し、しかも表示された第二画像の保持性も高い電気光学装置を提供できる。
【0019】
本適用例に係わる電子機器は、上記の電気光学装置を備えた事を特徴とする。
この構成によれば、高コントラストの高品質画像を表示し、しかも表示された第二画像の保持性も高い電気光学装置を備えた電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1における電子機器の斜視図。
【図2】実施形態1に係る電子機器を、機能ブロック毎に表したブロック図。
【図3】(a)回路ブロック構成図、(b)画素の電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】画素の断面構造を説明する図。
【図5】電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図。
【図6】電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図。
【図7】実施形態1の原理を説明した図。
【図8】制御回路が実行するプログラムを説明する図。
【図9】電子ペーパーの構成を示す斜視図。
【図10】電子ノートの構成を示す斜視図。
【図11】実施形態2に係わる電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図。
【図12】実施形態2に係わる電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図。
【図13】実施形態3に係わる電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図。
【図14】実施形態3に係わる電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0022】
(実施形態1)
「電子機器の概要」
先ず、実施形態1に係る電子機器の全体構成(概要)について、図1を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態における電子機器の斜視図である。
本発明に係る電子機器100は、電気光学装置150と、電子機器100を操作するためのインターフェイスとを備えている。インターフェイスとは、具体的には操作部120で、スイッチなどから構成される。電気光学装置150は表示部10を有するディスプレイモジュールである。表示部10は複数の画素から成り、これらの画素が電気的に制御される事で表示部10に画像が表示される。電気光学装置150は、一対の基板間に二種類の粒子を有する分散体を挟持している。二種類の粒子の内で、少なくとも一種類は正又は負に帯電した帯電粒子である。二種類の粒子とは第一粒子と第二粒子とであり、第一粒子は正又は負の第一極性に帯電している。第一粒子は第一の色であり、第二粒子は第一の色と異なる第二の色をしている。本実施形態では電気光学装置150として電気泳動表示装置が使用されている。電気泳動表示装置では、粒子は液体に分散されており、この分散体を含む材料を電気泳動材料と呼んでいる。ここでは、二種類の帯電粒子は第一極性に帯電した第一粒子と、第一極性と逆極性の第二極性に帯電した第二粒子と、からなる。第一極性に帯電した第一粒子が正に帯電していれば、第二極性に帯電した第二粒子は負に帯電している。各画素に於いて、こうした分散体に適当な電界を印加し、画素毎に表示状態を制御して、表示部10に画像が表示される。
【0024】
電子機器100では、第一画像から第二画像へと画像が書き換えられる際に、部分書き換え駆動が用いられる。第二画像とは、或る画像(第一画像)に引き続いて表示される次の画像である。その際に、まず、第一画像と第二画像とを比較して、表示が書き換えられる画素(書き換え画素と称する)と、表示が維持される画素(維持画素と称する)とを選別する。次いで、書き換え画素に対して書き換え動作を施す。書き換え動作は、具体的には、書き換え画素に於いて、分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、分散体に第二期間印加する第二工程と、第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、分散体に第三期間印加する第三工程と、を含んでいる。第一工程では、表示すべき階調と反対の階調を表示し、粒子の運動を促進する。次の第二工程では、表示すべき階調を表示する。第二工程終了後に緩和期間を設けて粒子の凝集を緩和した後に、第三工程で表示すべき階調を短期間表示する。この様な粒子の凝集と緩和とを繰り返して、二種類の粒子を篩い分け、綺麗に分離する。又、第三工程を何度か繰り返す事で、画像の保持性も改善される。こうして、表示のコントラスト比が高められ、画像保持性も改善される。
【0025】
「電子機器の基本構成」
図2は本実施形態に係る電子機器を、機能ブロック毎に表したブロック図である。
電子機器100は、電気光学装置150と操作部120とを有している。場合によっては更に画像信号供給回路130を電子機器100が備えていても良い。操作部120はユーザーが電子機器100を操作する部位である。電気光学装置150は、表示部10と、表示部10に電界を印加する駆動回路70と、制御回路140とを有している。更には、操作部120などを電気光学装置150が備えていても良い。制御回路140は、好適例として、制御部60と記憶部90と画像信号処理部80とフレームメモリー110とを含んで構成されている。記憶部90は表示部10に表示するための画像データ等を記憶する。画像信号処理部80は駆動回路70に画像信号を供給する。制御部60はこれらを制御する。尚、本実施形態に係わる電子機器100の基本構成は、上述の構成に限定される物ではなく、本実施形態に係る駆動方法を実現可能な回路構成であれば良い。
【0026】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)であり、各部の動作を制御する。又、制御部60には記憶部90が付随している。記憶部90は、例えば、フラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置により構成されている。記憶部90には表示部10に表示する各種画像データや、電子機器100の動作を定める各種プログラム或いはルックアップテーブル、などが記憶されている。これらのデータは、外部の画像信号供給回路130から入力され、必要に応じて入れ替えられる。尚、画像信号供給回路130は、主に入れ替えられるデータが画像信号で有る為に、この様に命名されているが、前述の各種プログラムやルックアップテーブルなども画像信号供給回路130を介して入れ替える事が可能である。画像信号供給回路130は、インターネットに接続するパーソナルコンピューターや携帯電話、或いはUSBメモリーやSDカードなどに備えられ、新たなデータを電子機器100に供給する。前述の如く、画像信号供給回路130を電子機器100が備えており、電子機器100単体でインターネットや携帯電話網などに接続する様にしても良い。
【0027】
画像信号処理部80は、フレームメモリー110を付随しており、記憶部90から取り出した画像データに応じて画像信号を作製し、これを駆動回路70に供給する。具体的には、フレームメモリー110に収納されている第一画像に対応する画像信号と記憶部90に収納されている第二画像データとから、画像信号処理部80と制御部60とが第二画像に対応する画像信号を生成する。画像信号処理部80は、こうして得られた画像信号を駆動回路70に供給する。尚、フレームメモリー110は、表示部10の少なくとも1フレーム分以上の画像データを記憶可能なメモリー容量を備えたVRAM(Video Random Access Memory)である。メモリー容量は2フレーム分以上有る事が望ましい。
【0028】
操作部120は、複数の操作ボタン(図1参照)を含んで構成されており、当該操作ボタンによって、ユーザーは電子機器100に、表示を切り換えるためのトリガー信号を与える。
【0029】
図3(a)は本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部と駆動回路との構成を示す回路ブロック構成図であり、(b)は画素の電気的な構成を示す等価回路図である。又、図4は画素の断面構造を説明する図である。次に、図3及び図4を用いて本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部と駆動回路との構成、及び断面構造とを説明する。
【0030】
図3(a)に示されている様に、表示部10には、m行×n列分の画素20が行列状(二次元平面的)に配列されている。又、表示部10には、m本の走査線30(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線40(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線30は行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線40は列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線30とn本のデータ線40との交差点に対応して画素20が配置されている。
【0031】
表示部10には駆動回路70が付属している。駆動回路70は、コントローラー71や走査線駆動回路72、データ線駆動回路73、共通電位供給回路74などから構成されている。コントローラー71は、走査線駆動回路72とデータ線駆動回路73、及び共通電位供給回路74の動作を制御し、クロック信号やタイミング信号等の各種信号を各回路に供給する。
【0032】
走査線駆動回路72は、コントローラー71から供給されるタイミング信号に基づいて、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。データ線駆動回路73は、コントローラー71から供給されるタイミング信号に基づいて、データ線X1、X2、…、Xnに画像信号を供給する。画像信号は、書き換え画素に供給する書き換え電圧Vwや、維持画素に供給する維持電圧Vr等であり、これらは高電位VH(例えば15V)と低電位VL(例えば−15V)との間で多値的な電位をとる。尚、本実施形態では、書き換え電圧Vwは二値であり、明表示(白の表示)に書き換えられる画素20に対して高電位VHの画像信号が供給され、暗表示(黒の表示)に書き換えられる画素20に対して低電位VLの画像信号が供給される。
【0033】
共通電位供給回路74は、共通電位線50に共通電位Vcomを供給する。尚、共通電位Vcomは一定の電位であっても良いし、例えば書き込む階調やフレームに応じて変えても良い。本実施形態では、共通電位Vcomが総ての電位に対する基準電位となり、共通電位を0Vとしている。従って、先の高電位VH(例えば15V)や低電位VL(例えば−15V)はそのまま共通電位Vcomに対する電位差ともなる。尚、コントローラー71、走査線駆動回路72、データ線駆動回路73及び共通電位供給回路74には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のない物については説明を省略している。
【0034】
図3(b)の回路図と図4の断面図とに示される様に、画素20は、画素スイッチング用トランジスター21と、画素電極22と、共通電極23と、電気泳動材料24と、保持容量25とを備えている。
【0035】
画素スイッチング用トランジスター21は、例えばN型トランジスターで構成されている。ここでは上ゲート型の薄膜トランジスターが採用されているが、下ゲート型の薄膜トランジスターで有っても構わない。画素スイッチング用トランジスター21は、そのゲートが走査線30に電気的に接続されており、そのソースがデータ線40に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極22及び保持容量25の一端に電気的に接続されている。保持容量25は、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極(一端)が、画素電極22及び画素スイッチング用トランジスター21に電気的に接続され、他方の電極(他端)が共通電位線50に電気的に接続されている。この保持容量25によって画像信号を一定期間だけ維持することができる。画素スイッチング用トランジスター21は、データ線駆動回路73からデータ線40を介して供給される画像信号を、走査線駆動回路72から走査線30を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極22及び保持容量25に出力する。
【0036】
画素電極22には、データ線駆動回路73からデータ線40及び画素スイッチング用トランジスター21を介して、画像信号が供給される。画素電極22は、電気泳動材料24を介して共通電極23と互いに対向するように配置されている。共通電極23は、共通電位Vcomが供給される共通電位線50に電気的に接続されている。共通電極23は、画素電極22が形成された基板に対向する基板に設けられ、電気泳動粒子は図4に示す断面図の上下方向で電気泳動する。尚、共通電極23を画素電極22が形成された基板に設けて、電気泳動粒子が図4の断面図の水平方向(図4の左右方向)に電気泳動する構成としても良い。
【0037】
電気泳動材料24は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。本実施形態では、一例として、第一粒子は第一の色として黒色の粒子で、第一極性(負、マイナス)に帯電しているものとし、第二粒子は第二の色として白色の粒子で、第二極性(正、プラス)に帯電しているものとする。従って、図4に示す様に、画素電極22に高電位VH(例えば+15V)を供給し、共通電極23の電位Vcomが0Vであると、負に帯電している黒色の粒子は画素電極22の近くに引き寄せられ、正に帯電している白色の粒子は共通電極23の近く引き寄せられる。従って電気光学装置150を図4の上方から見ると、その画素20は白表示している事になる。尚、上述の例とは反対に、第一粒子が正に帯電し、第二粒子が負に帯電していても良い。更に、第一の色と第二の色との組み合わせは白黒に限らず、色相環(color circle)で正反対に位置する関係の色(相補的な色)の組み合わせとしても良い。例えば赤色粒子と緑色粒子との組み合わせや、黄色粒子と紫色粒子との組み合わせ、青色粒子と橙色粒子との組み合わせ、等にしても良い。その他にも赤色と緑色と青色との加法混色の三原色から適当な二色を組み合わせにしても良いし、或いは、シアンとマゼンタとイエローとの減法混色の三原色から適当な二色を組み合わせにしても良いし、更にはこれらの六色から適当な二色を組み合わせても良い。又、二種類の粒子の内で、一種類の粒子が正又は負に帯電しておれば、他方の種類の粒子は必ずしも帯電していなくても良い(他方の粒子は電気的に中性で有っても構わない)。どちらかの粒子が帯電していれば、電気泳動材料24として機能するからである。但し、本実施形態の様に、第一粒子と第二粒子とが反対の極性に帯電していると、各画素に印加する電界に応じて、第一粒子と第二粒子とを素早く確実に分離させる事ができる。即ち、高コントラストの高品質画像を迅速に形成できる。又、電気泳動粒子はマイクロカプセルに閉じ込められる必要もなく、一対に基板間に挟持されていれば良い。例えば、基板間に隔壁を設けてその内部に電気泳動粒子を収納しても良い。
【0038】
「電気光学装置の制御回路、及び電気光学装置の駆動方法」
図5は電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図である。又、図6は電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図である。以下、本実施形態に係る電気光学装置の制御回路、及び電気光学装置の駆動方法について説明する。
【0039】
図5を用いて制御回路140が保有する機能について説明する。図5は表示部10の内で書き換えられる画素群の表示状態を示している。これらの画素群では、不図示の第一画像から、白地にFの文字が第二画像にて表示される例を示している。表示部10に表示されていた第一画像を、部分書き換え駆動を用いて、第二画像に表示変更すべく、制御回路140は、選別機能と、第一機能と、第二機能と、第三機能と、緩和機能とを保有している。
【0040】
第一画像の書き換えが開始されると、制御回路140はまず、選別機能を動作させる。選別機能とは、第一画像に引き続いて表示される第二画像と第一画像とを比較して、表示が書き換えられる書き換え画素と表示が維持される維持画素とを選別する機能である。図5では、白地にFの文字が表示される領域が書き換え画素と選別されている。
【0041】
次に、制御回路140は第一工程1Pとして第一機能を動作させる。第一機能とは、書き換え画素の分散体に第一電界を第一期間印加する機能である。この第一機能により、表示部10の書き換え画素群には、図5(a)に示される様に、第二画像の白黒が反転した画像(ネガ画像)が表示される。第一電界とは第二画像のネガ画像(明暗反転画像)を作り出す電界である。即ち、第二画像で白表示をする画素(白書き換え画素と称する)に対しては、黒表示をさせる電界がその白書き換え画素に対する第一電界である。反対に、第二画像で黒表示をする画素(黒書き換え画素と称する)に対しては、白表示をさせる電界がその黒書き換え画素に対する第一電界である。図6に白書き換え画素(White Pixel)と黒書き換え画素(Black Pixel)の画素電極22に加えられる電位を示す。第一工程1Pは図6で1Pと示されている期間であり、共通電極電位Vcomは常に接地電位の0Vである。白書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも低い低電位VLが供給され、第一電界の向きは共通電極23から画素電極22に向かっている。白書き換え画素の第一工程1Pには黒表示させるとの意味でBと記載してある。一方、黒書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも高い高電位VHが供給され、第一電界の向きは画素電極22から共通電極23に向かっている。黒書き換え画素の第一工程1Pには白表示させるとの意味でWと記載してある。
【0042】
第一期間は10ミリ秒から1秒の範囲となる事が好ましく、好適例としては、図5(a)に示す様に200ミリ秒である。第一期間が10ミリ秒以上有れば、電気泳動材料は応答する事ができ、1秒以下ならば、使用者が不快感を感ずる事なく速やかに画像を切り替えられる。第一工程1Pは1個乃至は複数個のフレームを用いて、第一期間に渡って第一電界を維持する。
【0043】
分散体を用いた電気光学装置150では、帯電粒子は凝集する傾向が高く、これを利用して、画像は電界を取り除いた後も保持される。その反面、この凝集性は第二画像を表示する際に、画像書き換えの妨げになり、コントラスト比を落としたり、残像を発生させたりする原因となる。第一工程では、第二画像のネガ画像を表示する事で、帯電粒子の凝集性を弱め、これらの弊害を取り除いている。
【0044】
次に、制御回路140は第二工程2Pとして第二機能を動作させる。第二機能とは、書き換え画素の分散体に第二電界を第二期間印加する機能である。この第二機能により、表示部10の書き換え画素群には、図5(b)に示される様に、第二画像の白黒が正しい画像(ポジ画像)が表示される。第二電界とは第二画像のポジ画像(明暗正色画像)を作り出す電界である。即ち、白書き換え画素に対しては、白表示をさせる電界がその白書き換え画素に対する第二電界である。反対に、黒書き換え画素に対しては、黒表示をさせる電界がその黒書き換え画素に対する第二電界である。図6の2Pに示す様に、白書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも高い高電位VHが供給され、第二電界の向きは画素電極22から共通電極23に向かっている。白書き換え画素の第二工程2Pには白表示させるとの意味でWと記載してある。一方、黒書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも低い低電位VLが供給され、第二電界の向きは共通電極23から画素電極22に向かっている。黒書き換え画素の第二工程2Pには黒表示させるとの意味でBと記載してある。この様に、第二電界は第一電界と電界の向きが反対となっている。第一電界の向きと第二電界の向きとが反対とは、書き換え画素に於ける画素電極22の共通電極23側表面全体での電場ベクトルの総和を考え、第一電界を作り出す第一電界ベクトルと、第二電界を作り出す第二電界ベクトルと、の内積が負である事を意味する。電界が乱れていても、その画素電極22の共通電極23側の表面に於ける電場ベクトルの総和で判断する。表示状態としては、電界の向きが反対ならば、第一電界と第二電界とで、異なった種類の表示をなす。例えば、第一電界が白表示で有れば、第二電界は黒表示となり、第一電界が黒表示で有れば、第二電界は白表示となる。
【0045】
第二期間は10ミリ秒から1秒の範囲となる事が好ましく、好適例としては、図5(b)に示す様に200ミリ秒である。第二期間が10ミリ秒以上有れば、電気泳動材料24は応答する事ができ、1秒以下ならば、使用者が不快感を感ずる事なく速やかに画像を切り替えられる。この様に第一期間と第二期間とは同じ時間長となる。第一期間と第二期間とでは、それらの期間中に粒子をマイクロカプセル内で大きく動かすので、マイクロカプセルの粒径と印加電圧に応じてそれら期間の長さは変えられる。本実施形態では、マイクロカプセルの平均粒径は30μmであり、±15Vの電位差を画素電極22と共通電極23との間に設けている。こうした条件下にて、帯電粒子の応答時間は凡そ100ミリ秒である。これを考慮し、粒子がマイクロカプセル内で完全に移動すべく、第一期間と第二期間との時間長を応答時間の2倍とするのが理想的である。尚、第二工程2Pも1個乃至は複数個のフレームを用いて、第二期間に渡って第二電界を維持する。
【0046】
次に、制御回路140は、図6のRPに示す様に、緩和工程RPとして緩和機能を動作させる。緩和機能とは、書き換え画素の分散体に電界を印加しない機能である。即ち、白書き換え画素に於いても、黒書き換え画素に於いても、画素電極22の電位を共通電極23の電位と等しくする。緩和期間は次の第三期間と合わせて、第一期間又は第二期間と同じ長さの期間とする事が好ましい。第一期間と第二期間とは同じ長さであるので、緩和期間は第二期間と第三期間の差(緩和期間=第二期間−第三期間)とされるのが好ましい。後に記す様に、本実施形態では第三期間が10ミリ秒であるので、緩和期間は190ミリ秒である。
【0047】
次に、制御回路140は一回目の第三工程3P−1として一回目の第三機能を動作させる。第三機能とは、書き換え画素の分散体に第三電界を第三期間印加する機能である。この第三機能により、表示部10の書き換え画素群には、図5(c)に示される様に、第二画像の白黒が正しい画像(ポジ画像)が短時間、表示される。第三電界とは第二画像のポジ画像(明暗正色画像)を作り出す電界である。即ち、白書き換え画素に対しては、白表示をさせる電界がその白書き換え画素に対する第三電界である。反対に、黒書き換え画素に対しては、黒表示をさせる電界がその黒書き換え画素に対する第三電界である。図6の3P−1に示す様に、白書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも高い高電位VHが供給され、第三電界の向きは画素電極22から共通電極23に向かっている。白書き換え画素の第三工程3Pには白表示のパルスを加えるとの意味でWPと記載してある。一方、黒書き換え画素の画素電極22には共通電極電位Vcomよりも低い低電位VLが供給され、第三電界の向きは共通電極23から画素電極22に向かっている。黒書き換え画素の第三工程3Pには黒表示のパルスを加えるとの意味でBPと記載してある。この様に、第三電界は第二電界と電界の向きが同じとなっている。或る画素に於いて、第二電界の向きと第三電界の向きとが同じであるとは、その画素電極22の共通電極23側の表面全体に於ける電場ベクトルの総和を考え、第二電界ベクトルと第三電界を作り出す第三電界ベクトルとの内積が正である事を意味する。周辺画素からの影響を受けて、電界が乱れていても、その画素電極22の共通電極23側の表面に於ける電場ベクトルの総和で判断する。表示状態としては、電界の向きが同じならば、第二電界と第三電界とで、同種類の表示をなす。例えば、第二電界が白表示で有れば、第三電界も白表示であり、第二電界が黒表示で有れば、第三電界も黒表示である。
【0048】
第三期間は第二期間よりも短い期間である。具体的には、第三期間は第二期間の1%以上20%以下の範囲に入る期間である事が好ましい。緩和期間と第三期間との和が第二期間に等しいのが好ましいので、第三期間の繰り返し周期(=緩和期間と第三期間との和)に対する比(以降、デューティー比と称する)も1%以上20%以下の範囲に入る。この様に、第三工程3Pでは、第二画像のポジ画像を作り出す電界をパルス的に分散体に印加する。実験に依ると第三期間は第二期間の5%の期間である時に(デューティー比5%の時に)コントラスト比は最大となった。本実施形態では第二期間が200ミリ秒であるので、第三期間は10ミリ秒である。第三期間は、帯電粒子の応答時間の2%から40%の範囲に入る様にし、理想的には10%程度の短期間、ポジ画像に対応する電界を印加する。第三電界と第二電界の大きさは同じなので、マイクロカプセルの粒径の1/10程度の距離で帯電粒子を揺り動かす事になる。実験に依るとデューティー比が1%以上だと、第三工程を行う効果が現れる。デューティー比が20%以上の長期間となると、緩和期間が短くなり、帯電粒子の揺り動かしが効かなくなり、第三工程の効果が失われる。従って、デューティー比の下限は1%となり、デューティー比の上限は20%となる。
【0049】
上述の如く、第三工程3Pは一回だけ行ってもその効果は認められるが、図5(d)から(f)や、図6の3P−2、3P−3、3P−Nに示される様に、第三工程は緩和期間を挟んで複数回(N回)繰り返されるのが好ましい。図5(d)では、二回目の第三工程3P−2が行われ、図5(f)では、N回目の第三工程3P−Nが行われている。実験に依ると20回までは第三工程3Pを行う度にコントラスト比が改善してゆき、20回以降は飽和し始めてコントラスト比の改善は僅かとなり、100回以降は完全に飽和して、もうそれ以上の改善は見られなかった。従って、第三工程3Pを繰り返す回数の上限は100回で、好ましくは20回以下である。換言すると、Nは1以上100以下の整数で、好ましくは1以上20以下の整数である。尚、第三工程3Pも1個乃至は複数個のフレームを用いて、第三期間に渡って第三電界を維持する。
【0050】
図7は本実施形態の原理を説明した図である。図7では白書き換え画素を例にしている。まず図7(a)に示す様に、第一工程1Pでは共通電極23側に黒粒子が集められ、画素電極22側に白粒子が集められる。この際に、黒粒子群に僅かな白粒子が閉じ込められ、白粒子群に僅かな黒粒子が閉じ込められる。次に図7(b)に示す様に、第二工程2Pでは共通電極23側に白粒子が集められ、画素電極22側に黒粒子が集められる。この際にも、矢張り、黒粒子群に僅かな白粒子が閉じ込められ、白粒子群に僅かな黒粒子が閉じ込められる。これが灰色ぎみの白や灰色ぎみの黒を表示する原因である。そこで、次に、図7(c)に示す緩和工程RPと図7(d)に示す第三工程3P−1とを行う。緩和工程RPと第三工程3Pとを行う事で画素電極22又は共通電極23の近傍に凝集された粒子は穏やかな拡散と再凝集とを行う事になる。即ち、図7(c)に示す緩和工程RPにて黒粒子群も白粒子群も粒子群への束縛が弱まり、拡散する。拡散はするものの、全体的には共通電極23側に白粒子が多く分布し、画素電極22側に黒粒子が多く分布している。この過程で白粒子群に混ざっていた黒粒子は白粒子群から篩い出され、黒粒子群に移動する事が可能になる。同様に、黒粒子群に混ざっていた白粒子は黒粒子群から篩い出され、白粒子群に移動する事が可能になる。こうした状態で、図7(d)に示す一回目の第三工程3P−1を行うと、図7(b)に示す第二工程2P終了時に比べて白粒子群に混在する黒粒子が減り、黒粒子群に混在する白粒子も減る。図7(e)に示す、次の緩和工程RPでも粒子は拡散するが、図7(c)に示す一回目の緩和工程RP終了時よりも、秩序だった拡散状態となる。即ち、共通電極23側に白粒子がより多くなり、画素電極22側に黒粒子がより多くなる。要するに、緩和工程RPと第三工程3Pとは、白粒子群に於ける白粒子の割合を高め、黒粒子群に於ける黒粒子の割合を高める過程である。それ故に、図7(f)に示す様に、緩和工程RPと第三工程3PとをN回繰り返すことでコントラスト比が向上する。更に、複数回の第三工程3Pで粒子群は次第に堅く凝集して行くので、保持性も向上する事になる。実際に、第一工程1Pと第二工程2Pとに引き続き、緩和工程RPと第三工程3Pとを20回繰り返した場合、白表示の反射率は51.2%に上がり、黒表示の反射率は3.8%に下がり、その結果、コントラスト比は13.47と、従来よりも103%も向上した。又、黒表示の保持性に関しては、電界を取り除いてから1分後の反射率が3.8%(明度指数L=23.00)で、10分後の反射率は4.34%(明度指数L=24.79)となり、明度指数の差はΔL=1.79に収まった。即ち、従来よりも保持性に関しては82%も向上した。この様に、本実施形態では、電気光学装置150の画像品位を容易に高める事ができ、更に表示された画像を長時間保持できるのである。尚、明度指数Lと反射率RとはL=116×R1/3−16との関係にある。
【0051】
「第三工程の実行回数」
図8は電気光学装置の制御回路が実行するプログラムのフローチャートを説明する図である。以下、図8を用いて緩和工程及び第三工程を実行する回数(上述のN)に関して説明する。
【0052】
緩和工程RP及び第三工程3Pは省略する事もできるし、実行回数も状況に応じて変化するので、この事を以下に説明する。電気光学装置150に表示される画像には、動画やページの早送りの様に高速で切り替わるモード(高速モード)と、電子書籍や電子写真の様にゆっくりと切り替わるモード(標準モード)とがある。第二画像を所定期間以上維持する場合には(標準モードでは)、書き換え画素に於いては、第一工程1Pと第二工程2Pとに引き続いて、更に、第三工程3Pを行うが、第二画像を所定期間維持しない場合には(高速モードでは)、第三工程3Pは省略されても良い。又、標準モードで第三工程3Pを行っている最中であっても、使用者の指示などで高速モードに切り替えられた場合には、その時点で第三工程3Pは取り止められる。更には、標準モードで第三工程3Pを実行する場合であっても、その繰り返し回数は周辺温度に応じて変化しても良い。例えば、周辺温度が閾値以上の場合には繰り返し回数がN回(Nは1以上の整数)であり、周辺温度が閾値以下の場合には繰り返し数がN+1回以上であっても良い。
【0053】
高速モードとは所定期間よりも短時間に画像が切り替わるモードで、所定期間とは、電気光学装置150で第三工程3Pを行わない場合に明度指数が2.00変わるのに必要な時間であり、保持に関する時定数τの凡そ0.11倍程度である。こうしたモードの相違に応じて第三工程3P実行の有無を定める。即ち、第二画像を、明度指数が2.00変わるのに必要な時間よりも長い期間維持する場合には、第三工程3Pを行い、画質改善を進める。一方、第二画像を、明度指数が2.00変わるのに必要な時間よりも短時間で切り替える場合には、第三工程3Pを省略して電力消費を最少とする。高速モードでは、画質を改善しても、それが使用者に認識されないからである。尚、電気光学装置150での保持性は時間に対して指数関数的に変化する。明度指数L(t)は、白表示に関してはL(t)−50=(L0−50)exp(−t/τ)にて表記され、黒表示に関しては50−L(t)=(50−L0)exp(−t/τ)にて表記され、このτが保持に関する時定数である。
【0054】
第三工程3Pを行わない場合、黒表示の電界を取り除いてから1分後の明度指数L=31.58で、10分後の明度指数L=41.52であったので、τ=11.60分である。一般に、人間は明度指数が4程度変化すると、明暗の変化に気が付く。白黒両方とも変化するので、黒に限って考えると、初期の黒の明度指数31.58が33.58に2.00変わる頃に保持性が落ちてきた事に気付く。明度指数が2.00変わる時間は1.33分で、これは時定数τの0.11倍である。従って、所定期間は1.33分(1分20秒)となり、これよりも明らかに短時間で第二画像が切り替えられる時には第三工程3Pを省略しても良い。
【0055】
温度に関しては、周辺温度に応じてNは変化する。一般に電気光学装置150の表示性能は温度依存性を持ち、20℃程度の室温以上では正常動作する物が、温度が低下するに従い、表示性能が劣って行く事がある。電気泳動表示装置では、コントラスト比が低温程低下する傾向にある。これは電気泳動材料24を構成する液体の粘度や電気抵抗等が変化する為と考えられている。こうした現象を補償する為に、閾値温度を20℃とし、周辺温度が閾値以上の場合には繰り返し回数をN回(Nは1から100の間の整数で、好ましくは20)とし、周辺温度が閾値以下の場合には繰り返し数がN+1回以上とする。こうする事で低温になっても、高いコントラスト比を実現できる。
【0056】
図8に示す様に、制御回路140は、上述の事柄を実現させるべく、モード判定機能(S1)と温度補正機能(S2)、N決定機能(S3)、書き換え機能(S4)とを有する。まず、書き換えが開始されると、モード判定機能(S1)を動作させ、現在の使用モードが高速モードか否かを判定する。高速モードの場合、第三工程を省略できるので、N決定機能の1(S3−1)にてN=0を定め、書き換え機能の1(S4−1)にて第一工程1Pと第二工程2Pとを実行する。高速モードでない場合、温度補正機能の1(S2−1)にて周辺温度を計測し、温度補正機能の2(S2−2)にてルックアップテーブルを参照する。ルックアップテーブルには周辺温度と理想の繰り返し回数との関係が記憶されている。その結果、N決定機能の2(S3−2)にて理想のNを定め、書き換え機能の2(S4−2)にて第一工程1Pと第二工程2Pとに引き続いて、緩和期間と第三工程とをN回繰り返して実行する。尚、ここで周辺温度としは厳密には、電気泳動材料24の温度を測定するのが好ましい。この場合、表示部10に薄膜温度計を内蔵させても良い。薄膜温度計は画素スイッチング用トランジスター21を構成する半導体や抵抗体を用いて形成される。これ以外にも周辺温度としては、電気光学装置150が使用されている環境の温度を用いたり、環境の温度から電気泳動材料24の温度を計算したりしても差し障りない。環境の温度は、電子機器100に温度計を内蔵させる事で計測される。
【0057】
「電子機器」
次に、前述した電気泳動表示装置を適用した電子機器100について、図9及び図10を参照して説明する。以下では、前述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0058】
図9は、電子ペーパーの構成を示す斜視図である。図9に示す様に、電子ペーパー400は、本実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部10として備えている。電子ペーパー400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体402を備えて構成されている。
【0059】
図10は、電子ノートの構成を示す斜視図である。図10に示す様に、電子ノート500は、図9で示した電子ペーパー400が複数枚束ねられ、カバー501に挟まれているものである。カバー501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する為の表示データ入力手段(画像信号供給回路130)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0060】
前述した電子ペーパー400及び電子ノート500は、本実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、高品質な画像表示を行うことが可能である。尚、これらの他に、腕時計や携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
【0061】
以上述べたように、本実施形態に係る電子機器100(駆動方法)によれば、以下の効果を得ることができる。
電気光学装置150を構成する粒子の運動を促進し、これらの集中と緩和とを繰り返すので、二種類の粒子を綺麗に分離する事ができる。即ち、表示のコントラスト比を高める事ができる。又、電界を取り除いた後の保持性も改善される。換言すると、高い画像品位を得る事が可能となり、更に表示された画像を長時間維持する事ができる。又、高い画像品位と保持性とが得られる制御回路140、及び電気光学装置150を提供する事ができる。
【0062】
尚、本実施形態では部分書き換え駆動を例として説明したが、表示部10全体を書き換える全面書き換え駆動としても良い。前述の如く、部分書き換え駆動ならば書き換え画素に対して第一工程1Pから第三工程3Pを行われ、この間、維持画素の画素電極22には共通電極23と同じ電位が与えられている。全面書き換え駆動の場合には、全画素において第一工程1Pから第三工程3Pが行われる。
【0063】
又、電気光学装置150の一例として電気泳動表示装置を用いたが、その他の電気光学装置150にも適用可能である。即ち、本実施形態は、画素電極22と共通電極23との間に電界を印加して二種類の粒子の分布状態を変え、これらの電極間に電界が掛からなければ表示状態を維持する電気光学装置150全般に適応する事ができる。具体的には帯電微粉末を気相で移動させる電気粉流表示装置などにも適応できる。
【0064】
(実施形態2)
「フレーム階調方式」
図11は実施形態2に係わる電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図である。又、図12は実施形態2に係わる電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図である。以下、本実施形態に係わる電気光学装置150の駆動方法と制御回路140とについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0065】
本実施形態(図11)は実施形態1(図5)と比べて、複数フレームを用いて階調表現を行っている(フレーム階調)点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。図11は表示部10の内で書き換えられる画素群の表示状態の一例を示している。これらの画素群では、不図示の第一画像から、異なった階調(異なった反射率)を示す帯が5本並んだ第二画像が表示される例を示している。ここで考える表示後の第二画像は、図11(f)に示される様に、5本の縦帯が並び、左から第一列の帯C1が最低階調の階調1(明度指数23.00)で、第二列の帯C2が階調2(目標明度指数36.45)で、第三列の帯C3が階調3(目標明度指数49.90)で、第四列の帯C4が階調4(目標明度指数63.35)で、第五列の帯C5が最高階調の階調5(明度指数76.80)となっている例である。階調数が上がるに従い、反射率は高くなって行くものとする。最低階調と最高階調の明度指数は、電気光学装置150の性能にて定まり、それ以外の中間階調が目標とする明度指数(目標明度指数)は、最低階調と最高階調の明度指数の差を階調数−1で等分した数値である。フレーム階調とは、階調数に応じて白表示又は黒表示のフレーム数を変える駆動方法である。表示部10に表示されていた第一画像を、フレーム階調を用いて第二画像に表示変更すべく、制御回路140が保有している機能を説明する。尚、図12では、第一列の帯C1に属する画素の画素電極22の電位と、第三列の帯C3に属する画素の画素電極22の電位と、第五列の帯C5に属する画素の画素電極22の電位と、を、横軸を時間として描いてある。図中のWやB、WP、BPの意味は実施形態1と同じである。
【0066】
第一画像の書き換えが開始されると、制御回路140はまず、選別機能を動作させる。選別機能は、実施形態1の機能に加え、書き換え画素が第二画像でどの階調になるかも定める。
【0067】
次に、制御回路140は第一工程1Pとして第一機能を動作させる。第一機能は第二画像の仮想二値表現のネガ画像を表示する。仮想二値表現とは、明度指数又は目標明度指数が50未満の階調を仮想黒表現とし、明度指数又は目標明度指数が50以上の階調を仮想白表現とする。本実施形態の場合、階調1の明度指数と階調2の目標明度指数と階調3の目標明度指数とが50より小さいので、階調1から階調3迄の表示を行う画素は仮想黒表現である。一方、階調4の目標明度指数と階調5の明度指数とは50より大きいので、階調4と階調5との表示を行う画素は仮想白表現である。第一工程1Pでは、この仮想二値表現のネガ画像を作り出す第一電界を印加する。図11(a)と図12の1Pに示す様に、第一列の帯C1と、第二列の帯C2と、第三列の帯C3と、をなす画素(仮想黒表現)の画素電極22には高電位VHを供給し、白表示とする。一方、第四列の帯C4と、第五列の帯C5と、をなす画素(仮想白表現)の画素電極22には低電位VLを供給し、黒表示とする。これ以外の第一機能は実施形態1と同じである。
【0068】
次に、制御回路140は第二工程2Pとして第二機能を動作させる。第二機能は、階調表現を行う為に第二工程2Pを複数回に分けて行われる。複数回とは階調数−1回である。複数回に分けられた第二工程2Pのk回目をk回目のサブ第二工程2P−kと称する。第二期間は第一期間と等しいのが好ましいので、各サブ第二工程の期間は第一期間の1/(階調数−1)となる。本実施形態の場合、階調数は5であるので、第二工程は一回目のサブ第二工程2P−1(図11(b))と、二回目のサブ第二工程2P−2(図11(c))と、三回目のサブ第二工程2P−3(図11(d))と、4回目のサブ第二工程2P−4(図11(e))と、からなる。サブ第二工程の期間は第一期間の1/4である。本実施形態では、第一期間が200ミリ秒なので、サブ第二工程の期間は50ミリ秒である。
【0069】
一回目のサブ第二工程2P−1(図11(b))では、第二画像で階調1から階調4となる画素に黒表示となる第二電界を印加し、階調5となる画素に白表示となる第二電界を印加する。本実施形態の場合、第一列の帯C1から第四列の帯C4に属する画素電極22に低電位VLを供給して黒表示とし、第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを供給して白表示とする。
【0070】
二回目のサブ第二工程2P−2(図11(c))では、第二画像で階調1から階調3となる画素に黒表示となる第二電界を印加し、階調4と階調5となる画素に白表示となる第二電界を印加する。本実施形態の場合、第一列の帯C1から第三列の帯C3に属する画素電極22に低電位VLを供給して黒表示とし、第四列の帯C4と第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを供給して白表示とする。
【0071】
三回目のサブ第二工程2P−3(図11(d))では、第二画像で階調1から階調2となる画素に黒表示となる第二電界を印加し、階調3から階調5となる画素に白表示となる第二電界を印加する。本実施形態の場合、第一列の帯C1と第二列の帯C2に属する画素電極22に低電位VLを供給して黒表示とし、第三列の帯C3から第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを供給して白表示とする。
【0072】
四回目のサブ第二工程2P−4(図11(e))では、第二画像で階調1となる画素に黒表示となる第二電界を印加し、階調2から階調5となる画素に白表示となる第二電界を印加する。本実施形態の場合、第一列の帯C1に属する画素電極22に低電位VLを供給して黒表示とし、第二列の帯C2から第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを供給して白表示とする。こうして四回の第二工程2Pを終了させた際の表示が図11(f)となる。この結果、階調1の第一列の帯C1では黒表示が200ミリ秒となり、階調2の第二列の帯C2では黒表示が150ミリ秒で白表示が50ミリ秒となり、階調3の第三列の帯C3では黒表示が100ミリ秒で白表示が100ミリ秒となり、階調4の第四列の帯C4では黒表示が50ミリ秒で白表示が150ミリ秒となり、階調5の第五列の帯C5では白表示が200ミリ秒となった。これ以外の第二機能は実施形態1と同じである。
【0073】
次に、制御回路140は、図12のRPに示す様に、緩和工程RPとして緩和機能を動作させる。緩和機能は実施形態1と同じである。
【0074】
こうして書き換え対象となる所定領域に含まれる全ての画素(総ての書き換え画素)にて第二工程が終了した後に、次に、第三工程を実行する。図11(g)に示す様に、制御回路140は一回目の第三工程3P−1として一回目の第三機能を動作させる。第三機能は、最低階調と最高階調とに属する画素に対して実行する。これは、中間階調が第三工程に依り階調ずれを起こす事態を回避する為である。本実施形態の場合、第二画像で階調1となる第一列の帯C1に属する画素と、第二画像で階調5となる第五列の帯C5に属する画素と、に第三工程を実行する。即ち、第一列の帯C1に属する画素電極22に低電位VLを短期間供給して、黒表示となる分散体に第三電界をパルス的に印加し、第五列の帯C5に属する画素電極22に高電位VHを短期間供給して、白表示となる分散体に第三電界をパルス的に印加する。その他の中間階調をなす画素の画素電極22の電位は共通電極23の電位と等しくする。即ち、第二列の帯C2から第四列の帯C4に属する画素の画素電極22の電位を0Vとする。それ以外の第三機能は実施形態1と同じである。
【0075】
以上述べたように、本実施形態に係る駆動方法によれば、フレーム階調を行った場合でも、実施形態1と同じ効果を得ることができる。
従って、高い画像品位が得られる制御回路140、および電気泳動表示装置を提供することができる。
【0076】
(実施形態3)
「共通電位振りの形態」
図13は実施形態3に係わる電気光学装置の駆動方法の一例を説明した図である。又、図14は実施形態3に係わる電気光学装置の駆動方法に則るタイミングチャートを説明した図である。以下、本実施形態に係わる電気光学装置150の駆動方法と制御回路140とについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0077】
本実施形態(図14)は実施形態1(図6)と比べて、共通電極電位が変動する点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。実施形態1では、図6に示す様に、共通電極23の電位はVcom=0Vと一定であり、画素電極22の電位振幅は30Vであった。これに対して、本実施形態では、Vcomを振る事で、画素電極22の電位振幅を実施形態1に比べて半減させている。
【0078】
図13を用いて制御回路140が保有する機能について説明する。図13は表示部10の内で書き換えられる画素群の表示状態を示している。これらの画素群では、不図示の第一画像から、白地にFの文字が第二画像にて表示される例を示している。表示部10に表示されていた第一画像を、部分書き換え駆動を用いて、第二画像に表示変更すべく、制御回路140は、選別機能と、第一機能と、第二機能と、第三機能と、を保有している。
【0079】
第一画像の書き換えが開始されると、制御回路140はまず、選別機能を動作させる。選別機能は実施形態1と同じである。
【0080】
次に、制御回路140は、図13(a)に示す様に、書き換え画素の総てを黒表示とする。これが白書き換え画素に対する第一工程1P(WP:1P)となる。具体的には図14のt=0からt=2αの期間がこの期間に相当する。本実施形態ではα=100ミリ秒である。この期間に共通電極23の電位は高電位とされ(Vcom=VH)、白書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位も低電位VLとされる。高電位の一例は+15Vであり、低電位の一例は0Vである。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVL−VH(−15V)となり、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)もVL−VH(−15V)となる。図14では、この期間を白書き換え画素に対して黒表示をなす第一工程1Pで有る事から、B:1Pと記載してあり、黒書き換え画素では黒表示をするのでBと記載してある。この期間の長さ2αは実施形態1の第一期間と同じである。
【0081】
次に、制御回路140は、図13(b)に示す様に、書き換え画素の総てを白表示とする。これが白書き換え画素に対する第二工程2P(WP:2P)となり、黒書き換え画素に対する第一工程1P(BP:1P)となる。具体的には図14のt=2αからt=4αの期間がこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は低電位とされ(Vcom=VL)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位も高電位VHとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VL(+15V)となり、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)もVH−VL(+15V)となる。図14では、この期間を白書き換え画素に対して白表示をなす第二工程2Pで有る事から、W:2Pと記載してあり、黒書き換え画素に対して白表示をなす第一工程1Pで有る事から、W:1Pと記載してある。この期間の長さ2αは実施形態1の第二期間と同じである。
【0082】
次に、制御回路140は、図13(c)に示す様に、白書き換え画素に対しては白表示を維持し、黒書き換え画素を黒表示とする。これが白書き換え画素に対する一回目の緩和工程(WRP1)となり、黒書き換え画素に対する第二工程2P(BP:2P)となる。具体的には図14のt=4αからt=6αの期間がこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は高電位とされ(Vcom=VH)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VH(0V)となり、白書き換え画素には電界が掛からず、白表示を維持し、粒子の凝集は緩和されて行く。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVL−VH(−15V)となる。図14では、この期間を白書き換え画素に対して白表示の一回目の緩和工程で有る事から、WRP1と記載してあり、黒書き換え画素に対して黒表示をなす第二工程2Pで有る事から、B:2Pと記載してある。この期間の長さ2αは実施形態1の第二期間と同じである。従って、白表示の一回目の緩和期間は、実施形態1の緩和期間よりも第三期間の分だけ長くなる。
【0083】
次に、制御回路140は、図13(d)に示す様に、白書き換え画素に対しては短期間の白表示を行い、黒書き換え画素では黒表示を維持する。これが白書き換え画素に対する一回目の第三工程(WP:3P−1)となり、黒書き換え画素に対する一回目の緩和工程となる。具体的には図14のt=6αからt=6α+第三期間がこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は低電位とされ(Vcom=VL)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VL(+15V)となる。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVL−VL(0V)となり、黒書き換え画素には電界が掛からず、黒表示を維持し、粒子の凝集は緩和されて行く。図14では、この期間を白書き換え画素に対して白表示をパルス的に行うので、WPと記載し、併せて一回目の第三工程で有る事から3P−1とも記載し、黒書き換え画素に対して黒表示の一回目の緩和工程で有る事から、BRP1と記載してある。第三期間の長さは実施形態1の第三期間と同じである。
【0084】
白書き換え画素に対する一回目の第三期間が終了すると、制御回路140は、図14に示す様に、白書き換え画素では白表示を維持し、黒書き換え画素でも黒表示を維持する。これが白書き換え画素に対する二回目の緩和工程となり、黒書き換え画素は一回目の緩和工程を継続する。具体的には図14のt=6α+第三期間からt=7αがこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は低電位とされ(Vcom=VL)、白書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVL−VL(0V)となる。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVL−VL(0V)となる。図14では、この期間を白書き換え画素に対して白表示の二回目の緩和工程で有る事から、WRP2と記載してあり、黒書き換え画素に対して黒表示の一回目の緩和工程で有る事から、BRP1と記載してある。
【0085】
図14のt=7αからt=8α−第三期間の期間、制御回路140は、白書き換え画素に対する二回目の緩和期間と、黒書き換え画素に対する一回目の緩和期間と、を継続する。この期間に共通電極23の電位は高電位とされ(Vcom=VH)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VH(0V)となる。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVH−VH(0V)となる。この期間の次に、黒書き換え画素に対して第三工程が実行されるので、結局、黒書き換え画素に対する一回目の緩和期間BRP1はt=6αからt=8α−第三期間まで続く。即ち、一回目の緩和期間BRP1は2α−第三期間であり、第一期間と第二期間とが2αであることから、一回目の緩和期間BRP1=第二期間−第三期間と、第二期間と第三期間の差になっている。
【0086】
次に、制御回路140は、図13(e)に示す様に、白書き換え画素では白表示を維持し、黒書き換え画素に対しては、短期間の黒表示を行いする。図14に示す様に、白書き換え画素では二回目の緩和工程(WRP2)が継続し、黒書き換え画素に対する一回目の第三工程となる。具体的には図14のt=8α−第三期間からt=8αの期間がこの期間に相当する。この期間に共通電極23の電位は高電位とされ(Vcom=VH)、白書き換え画素の画素電極22の電位は高電位VHとされ、黒書き換え画素の画素電極22の電位は低電位VLとされる。こうして、共通電極23の電位に対する白書き換え画素の画素電極22の電位差(WP−Vcom)はVH−VH(0V)となる。一方、共通電極23の電位に対する黒書き換え画素の画素電極22の電位差(BP−Vcom)はVL−VH(−15V)となる。図14では、この期間を黒書き換え画素に対して黒表示をパルス的に行うので、BPと記載し、併せて二回目の第三工程で有る事から3P−2とも記載してある。第三期間の長さは実施形態1の第三期間と同じである。この期間の次に、白書き換え画素に対して第三工程が実行されるので、結局、白書き換え画素に対する二回目の緩和期間WRP2はt=6α+第三期間からt=8αまで続く。即ち、二回目の緩和期間WRP2は2α−第三期間であり、第一期間と第二期間とが2αであることから、二回目の緩和期間WRP2=第二期間−第三期間と、第二期間と第三期間の差になっている。
【0087】
以降、t=6αからt=8α迄の期間に行われた工程を、2αを1周期として繰り返して行く。即ち、t=6α以降に於ける共通電極23の電位変化の周期は、t=6α以前の共通電極23の電位変化の周期の半分となる。こうすると、白書き換え画素に対する二回目以降の緩和期間も、黒書き換え画素に対する緩和期間も、共に第二期間と第三期間の差となる。
【0088】
以上述べたように、本実施形態に係る駆動方法によれば、実施形態1での効果に加えて、電気光学装置150に供給する電力の電位振幅を実施形態1に比べて半減させるとの効果を得ることができる。
【0089】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0090】
(変形例1)
「粒子の帯電形態」
図4を用いて、本変形例に係わる電気光学装置150について説明する。尚、実施形態1乃至3と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0091】
本変形例は実施形態1乃至3と比べて、粒子の帯電形態が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1乃至3とほぼ同様である。実施形態1乃至3は二種類の粒子が正負逆極性に帯電していたが、一種類の粒子だけが帯電していて、他方の粒子は帯電していなくても構わない。更には、二種類の粒子が同じ極性に帯電し、粒子の電気泳動移動度に差が有る系で有っても構わない。電気泳動移動度は帯電量に比例し、質量と粒径とに反比例するので、これらの物理量を変える事で電気泳動移動度を変えられる。
【0092】
以上述べたように、本変形例法によれば、実施形態1乃至は3での効果に加えて、電気泳動材料24に様々な粒子を用いる事ができる。
【0093】
(変形例2)
「共通電位がゼロでない形態」
図6を用いて、本変形例に係わる電気光学装置150の駆動方法と制御回路140とについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0094】
本変形例は実施形態1や実施形態2と比べて、共通電位がゼロでない点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1及び実施形態2とほぼ同様である。
【0095】
実施形態1や実施形態2では共通電位がゼロであり、低電位VL等が負の値を取った。これに対して、本変形例では、最も低い電位をゼロとする様に電位全体をずらす。高電位VHも低電位VLも総て共通電位Vcomに対する相対電位であるので、低電位VLがゼロとなる様に総ての電位を正にシフトさせる。具体的には、Vcom=+15Vとし、総ての電位はこれを基準とする。例えば、高電位VHとして実際に画素電極22に供給する電位はVcom+15V=30Vとし、低電位VLとして実際に画素電極22に供給する電位はVcom−15V=0Vとする。この様にシステムで用いられる電圧を総てゼロ以上の正の値にしても良い。電子機器100を構成する上で、負の電圧を準備するのが困難な場合がある。こうした際には、本変形例が示す様に総ての電位がゼロ以上となる様に電位関係全体を平行移動させても良い。
【0096】
以上述べたように、本変形例に係る電気光学装置150の駆動方法によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
正負の両極性の電圧を準備する必要がなくなり、電子機器100に供給する電源体系を簡略化する事ができる。
【符号の説明】
【0097】
10…表示部、20…画素、21…画素スイッチング用トランジスター、22…画素電極、23…共通電極、24…電気泳動材料、25…保持容量、30…走査線、40…データ線、50…共通電位線、60…制御部、70…駆動回路、71…コントローラー、72…走査線駆動回路、73…データ線駆動回路、74…共通電位供給回路、80…画像信号処理部、90…記憶部、100…電子機器、110…フレームメモリー、120…操作部、130…画像信号供給回路、140…制御回路、150…電気光学装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に第一極性に帯電した第一粒子と、第二粒子と、を有する分散体が挟持され、前記分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部が制御される電気光学装置の駆動方法であって、
前記表示部を第一画像から、前記第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、
前記分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、
前記第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、前記分散体に第二期間印加する第二工程と、
前記第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、前記分散体に第三期間印加する第三工程と、を含む事を特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
一対の基板間に第一極性に帯電した第一粒子と、第二粒子と、を有する分散体が挟持され、前記分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部が制御される電気光学装置の駆動方法であって、
前記表示部を第一画像から、前記第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、
前記第一画像と前記第二画像とで表示状態が異なる画素に於いては、前記分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、
前記第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、前記分散体に第二期間印加する第二工程と、を含み、
前記第二画像を所定期間以上維持する場合には、前記表示状態が異なる画素に於いては、更に、前記第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、前記分散体に第三期間印加する第三工程と、を含む事を特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
前記第二粒子が前記第一極性と逆極性の第二極性に帯電している事を特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第三期間は前記第二期間よりも短い期間である事を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項5】
前記第三期間は前記第二期間の1%以上20%以下の期間である事を特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項6】
前記第三工程が複数回繰り返される事を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項7】
前記第三工程の繰り返し周期に対する前記第三期間の比が1%以上20%以下で有る事を特徴とする請求項6に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項8】
前記第三工程の繰り返し回数が周辺温度に応じて変えられる事を特徴とする請求項6又は7に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項9】
前記周辺温度が閾値以上の場合には前記繰り返し回数がN回(Nは1以上の整数)であり、前記周辺温度が閾値以下の場合には前記繰り返し数がN+1回以上である事を特徴とする請求項8に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項10】
所定領域に含まれる複数の画素に関し、前記所定領域に含まれる画素にて第二工程が終了した後に、前記第三工程を実行する事を特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の駆動方法により、前記表示部を表示駆動する事を特徴とする電気光学装置の制御回路。
【請求項12】
一対の基板間に帯電粒子を含む分散体が挟持され、前記分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部の表示状態が制御される電気光学装置の制御回路であって、
前記制御回路は、制御部と記憶部と画像信号処理部とを備え、
第一画像から、前記第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、
前記分散体に第一電界を第一期間印加する第一機能と、
前記第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、前記分散体に第二期間印加する第二機能と、
前記第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、前記分散体に第三期間印加する第三機能と、を有する事を特徴とする電気光学装置の制御回路。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の制御回路を備えた事を特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気光学装置を備えた事を特徴とする電子機器。
【請求項1】
一対の基板間に第一極性に帯電した第一粒子と、第二粒子と、を有する分散体が挟持され、前記分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部が制御される電気光学装置の駆動方法であって、
前記表示部を第一画像から、前記第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、
前記分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、
前記第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、前記分散体に第二期間印加する第二工程と、
前記第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、前記分散体に第三期間印加する第三工程と、を含む事を特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
一対の基板間に第一極性に帯電した第一粒子と、第二粒子と、を有する分散体が挟持され、前記分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部が制御される電気光学装置の駆動方法であって、
前記表示部を第一画像から、前記第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、
前記第一画像と前記第二画像とで表示状態が異なる画素に於いては、前記分散体に第一電界を第一期間印加する第一工程と、
前記第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、前記分散体に第二期間印加する第二工程と、を含み、
前記第二画像を所定期間以上維持する場合には、前記表示状態が異なる画素に於いては、更に、前記第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、前記分散体に第三期間印加する第三工程と、を含む事を特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
前記第二粒子が前記第一極性と逆極性の第二極性に帯電している事を特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第三期間は前記第二期間よりも短い期間である事を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項5】
前記第三期間は前記第二期間の1%以上20%以下の期間である事を特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項6】
前記第三工程が複数回繰り返される事を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項7】
前記第三工程の繰り返し周期に対する前記第三期間の比が1%以上20%以下で有る事を特徴とする請求項6に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項8】
前記第三工程の繰り返し回数が周辺温度に応じて変えられる事を特徴とする請求項6又は7に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項9】
前記周辺温度が閾値以上の場合には前記繰り返し回数がN回(Nは1以上の整数)であり、前記周辺温度が閾値以下の場合には前記繰り返し数がN+1回以上である事を特徴とする請求項8に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項10】
所定領域に含まれる複数の画素に関し、前記所定領域に含まれる画素にて第二工程が終了した後に、前記第三工程を実行する事を特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の駆動方法により、前記表示部を表示駆動する事を特徴とする電気光学装置の制御回路。
【請求項12】
一対の基板間に帯電粒子を含む分散体が挟持され、前記分散体に印加される電界に応じて複数の画素を備えた表示部の表示状態が制御される電気光学装置の制御回路であって、
前記制御回路は、制御部と記憶部と画像信号処理部とを備え、
第一画像から、前記第一画像と異なる第二画像へと変更する際に、
前記分散体に第一電界を第一期間印加する第一機能と、
前記第一電界と電界の向きが反対となる第二電界を、前記分散体に第二期間印加する第二機能と、
前記第二電界と電界の向きが同じとなる第三電界を、前記分散体に第三期間印加する第三機能と、を有する事を特徴とする電気光学装置の制御回路。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の制御回路を備えた事を特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気光学装置を備えた事を特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図11】
【公開番号】特開2013−11789(P2013−11789A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145367(P2011−145367)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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