説明

電気制御ケーブル

【課題】本発明は、図1によるケーブルの製造において用いられるものと同一のツールで製造することができる、小型で、かつ軽量であり、良好な機械的強度を有する、新規な電力ケーブルまたは電気制御ケーブル構造を提供する。
【解決手段】本発明は、撚られた導体を形成するように撚られた複数のストランドを含むタイプの、2mm以下の断面直径を有する電気制御ケーブル(1’)に関する。撚られた導体の特定のストランド(20)だけが、例えば、銅のような電気伝導性材料であり、残りのストランド(40)は、ポリイミド、高強度ポリエステル、またはポリエーテルイミドなどの非導電性材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を伝送するために使用される電気制御ケーブル、または電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなケーブルは、例えば、自動車産業などの多様な分野の産業において使用され、各種機器の電気制御及び/または電源供給のためにハーネスに結合される。従って、これらのケーブルは、特にできるだけ軽量である必要があり、小さい外形寸法を有する一方、良好な機械的強度を保持しなければならない。
【0003】
従来、このようなケーブルは、複数の銅ストランド(撚り線)によって形成されて、ケーブルの可撓性を増加させるように、一般的に撚られた導体を形成するように撚られ、例えば、押出しから得られた絶縁性外装によって被覆される。図1は、そのようなケーブル1の一例を断面視で示した図であり、7個の同一の銅ストランド20が、円形断面の絶縁性外装30で被覆されて製造される。概略的に、ケーブルの直径は通常約1.6mmであり、銅ストランド20のそれぞれは、約0.3mmの直径を有する。
【0004】
前記構造を有するケーブルの長所としては、実質的に、製造工程の簡易性だけでなく、信頼性のあるコネクタの圧着が可能となるようにすることである。実際に、これは、コネクタが位置するべきところにおいて絶縁性外装30の一部を取り除くことでケーブルを局所的に剥がした後、剥がされたケーブル部位の周りでコネクタのブッシュを機械的に圧縮することによって満足される。
【0005】
一方、ケーブルによって伝送される電流量に対応する実際の要求量に比べ、前記ケーブルは、過剰な量の銅を用いて実現されていた。より正確には、ケーブルの引張強度を増加し、さらに効果的な圧着を保証するために、前記ケーブル構造における銅のほぼ半分が用いられる。
【0006】
最近、銅の値段が段々と高くなり、できるだけ用いられる銅の量を減少させる新規なケーブル構造を見出すことが重要となった。
【0007】
銅ストランドが非導電性の材料コアと組み合わされる各種の複合ケーブルの解決策は、既に公知となっている。
【0008】
これらの各種複合ケーブルの解決策の主な短所としては、これらの解決策のすべてが、これらに特定の製造工程を必要としており、この方法を具現するためには、専用ツールの製造が必要であるということである。このため、ケーブルの値段をより安くすることができるはずの、より少量の銅の使用は、結局、製造工程の側面でコストの増加をもたらしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、図1によるケーブルの製造において用いられるものと同一のツールで製造することができ、小型で、かつ軽量であり、良好な機械的強度を有する、新規な電力ケーブルまたは電気制御ケーブル構造を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、ケーブルの長手方向に延在する複数のストランドを含むタイプの、2mm以下の断面直径を有する電気制御ケーブルで構成され、前記ストランドは撚られた導体を形成するように撚られ、撚られた導体のうちの特定のストランドだけが電気伝導性材料であり、残りのストランドは非導電性材料であることを特徴とする。
【0011】
電気伝導性材料ストランドのすべては、好ましくは互いに同一であり、非導電性材料ストランドのすべては、好ましくは互いに同一である。
【0012】
一方の電気伝導性材料ストランドと、もう一方の非導電性材料ストランドとは、それにもかかわらず、異なる断面の大きさを有することができる。
【0013】
電気伝導性材料ストランドは、有利には、その長さ全体にわたって互いに接触するように撚られた導体に配置され、電気伝導性材料ストランドのうちの少なくとも一つは、その長さ全体にわたって撚られた導体の外部から接近可能な部分を有するように、撚られた導体に配置されることが有利である。
【0014】
非導電性材料は、好ましくは、10%よりも大きい破断変形率を有する。
【0015】
非導電性材料はポリアミドであってもよい。
【0016】
あるいは、非導電性材料は、高強度ポリエステルまたはポリエーテルイミドである。
【0017】
電気伝導性材料は、銅であってもよい。
【0018】
非導電性材料ストランドは、多重に撚られた構造であってもよい。
【0019】
以下において添付の図面を参照して説明するが、それにより、本発明及びその長所がより明確に理解できるはずである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本文を説明する前に述べるが、添付の図面は正確な縮尺ではないものの、通常約1.6mmの同じ外径を有する各種ケーブルのすべてを比較することを可能とする。本発明に係わる電気制御ケーブルにおいて、断面が2mm以下の異なる直径を有することができる。また、示されたケーブルのすべては、これに限定されるものではないが、円形の断面を有する。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、別の形態を想定することができる。
【0021】
図2において、本発明の一実施形態による制御ケーブル1’は、撚られた導体を形成する特定の銅ストランド(または、銅に比して、より経済的でかつより軽量の材料である、銅メッキされたアルミニウムのような他の電気伝導性材料)が非導電性材料ストランド40に置き換えられた点で、図1の制御ケーブル1とは異なる。図2の例においては、3個の銅ストランドが、非導電性材料ストランド40に置き換えられている。
【0022】
図1のケーブルと同様に、ケーブル1’は、ケーブルの長さにわたって、撚られた導体を被覆する絶縁性外装30をさらに含む。
【0023】
従って、ケーブル1’を製造するために用いられる製造方法及び関連ツールは、すべての点において、ケーブル1の製造に用いられるものと同一のものである。
【0024】
同種のストランドのすべては、同一でなければならない。図2の場合において、すべてのストランドは、さらに、通常約0.3mmの同じ大きさの断面を有する。
【0025】
それにかかわらず、異なる断面のストランド40、特に、ストランド20の断面に対し、小さな大きさの断面のストランド40の使用のための設備が、同様に存在することができる。同等の性能に対して、このような方法によって全体をさらに小さくすることができる。
【0026】
電気伝導性材料ストランド20の個数と断面は、ケーブルの単位長さ当り最小の抵抗が得られるように、通常100ohm/km未満に選択される。
【0027】
非導電性材料ストランド40の個数と断面は、要求されるケーブルの機械的強度が提供できるように選択される。
【0028】
このような選択は、当然ながら、用いられる非導電性材料にも依存する。これは、ポリアミドであってもよい。あるいは、好ましくは、高温で良好な強度を提供する高強度ポリエステルまたはポリエーテルイミドを用いることができる。
【0029】
非導電性ストランド用材料は、好ましくは、10%よりも大きい破断変形率を有する材料の範囲から選択される。このために、ケーブル内におけるストランド40の位置とは関係なく、ケーブルは非常に高い引張強度及び屈曲抵抗を有するようになる。
【0030】
撚られた導体内の各種ストランド20の構成は、好ましくは、ケーブルを連結する際に、信頼性のある圧着を保証するように選択される。このような目的は、電気伝導性材料ストランド20のうちの少なくとも一つが、その全体長さにわたって、撚られた導体の外部から接近可能な部分を有するように形成されることにより達成される。図2の実施形態において、3個の銅ストランド20が、このような特徴を有している。したがって、ケーブル1’を部分的に剥がし出すことにより、電気伝導性ストランドにすぐに到達することができる。
【0031】
さらに、撚られた導体内の各種ストランド20の構成は、ストランド20のうちの一つが切断されても、ケーブルが動作可能となることを保証することが好ましい。この目的は、すべてのストランド20が、その長さ全体にわたって、互いに接触するように形成されることにより達成される。
【0032】
本発明によると、用いられる銅の量が減少するため、得られたケーブルにかかる費用が大幅に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】上述の従来技術の電力ケーブルの断面図である。
【図2】本発明に係わるケーブルの一実施形態を概略的に示した断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの長手方向に延在する複数のストランドを含むタイプの、2mm以下の断面直径を有する電気制御ケーブル(1’)であって、
前記ストランドは、撚られた導体を形成するように撚られ、
前記撚られた導体のうちの特定のストランド(20)だけが電気伝導性材料からなり、残りのストランド(40)は非導電性材料からなる電気制御ケーブル。
【請求項2】
前記ケーブルの断面の直径が、好ましくは、約1.6mmである請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
電気伝導性材料ストランド(20)のすべては、互いに同一であり、非導電性材料ストランド(40)のすべては、互いに同一である請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項4】
一方における前記電気伝導性材料ストランド(20)と、もう一方おける前記非導電性材料ストランド(40)とは、異なる断面の大きさを有する請求項3に記載のケーブル。
【請求項5】
電気伝導性材料ストランド(20)は、その長さ全体にわたって互いに接触するように、前記撚られた導体に配置される請求項1から4のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項6】
前記電気伝導性材料ストランド(20)のうちの少なくとも一つは、その長さ全体にわたって前記撚られた導体の外部から到達可能な部分を有するように、前記撚られた導体に配置される請求項5に記載のケーブル。
【請求項7】
前記撚られた導体は、7個のストランドから構成され、そのうちの3個は、非導電性材料から構成される請求項1から6のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項8】
前記ケーブルの長さにわたって、前記撚られた導体を被覆する絶縁性外装(30)をさらに含む請求項1から7のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項9】
前記非導電性材料は、10%よりも大きい破断変形率を有する請求項1から8のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項10】
前記非導電性材料は、ポリアミドである請求項1から9のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項11】
前記非導電性材料は、高強度ポリエステルである請求項1から9のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項12】
前記電気伝導性材料は、銅である請求項1から11のいずれか1項に記載のケーブル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−153205(P2008−153205A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−299035(P2007−299035)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(501044725)ネクサン (81)
【Fターム(参考)】