電気刺激を標的体組織へ経皮送達するためのシステムおよび方法
装置は、身体の外側に配置された電気装置と、身体の中に配置された電気部材との間で電気信号を伝達するように構成された、経皮的な接続口を含む。経皮的な接続口は、遠位部および近位部を有する。近位部は、身体のある領域から利用できるように構成された表面を含む。遠位部は、身体の中に配置されるように構成された固定装置を含む。固定装置は、身体の皮膚に実質的に平行な軸のまわりで湾曲した形を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[1001] 本願は、2006年10月5日出願の「System and Method for Percutaneous Delivery of Electrical Stimulation to a Target Body Tissue」という名称の米国仮特許出願第60/828,376号(その全体を参照によって本明細書に援用する)に対する優先権を請求するものである。本願はまた、2007年10月4日出願の「System and Method for Percutaneous Delivery of Electrical Stimulation to a Target Body Tissue」という名称の米国非仮特許出願第11/867,454号(その全体を参照によって本明細書に援用する)に対する優先権を請求するものであり、またその継続出願である。
【0002】
[1002] 本発明は、一般に医療機器および処置に関し、より詳細には、経皮的な接続口を用いて、身体の外側に配置された電気部材と身体の中に配置された電気部材との間で電流を伝達するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[1003] 身体の外側に配置された電気部材と、標的にした体組織および/または身体の中に配置された電気部材との間で電流を伝達するためのシステムは、様々な医療処置および/または治療処置に用いることができる。例えば経皮的電気神経刺激(TENS)などのいくつかの周知の処置は、標的にした体組織(例えば神経、筋肉など)へ電流を伝えることを含むことができる。他の周知の処置は、身体の中に移植された装置(例えばセンサ)から身体の外側に配置された装置(例えば信号処理装置)へ電流を伝えることを含むことができる。他の周知の処置は、身体の中からの生物学的な電気信号(例えばEMG信号)を感知および処理し、信号を身体の外側に配置された電気装置へ伝えることを含むことができる。
【0004】
[1004] 身体の外側に配置された電気部材と標的にした体組織との間で電流を伝達するためのいくつかの周知のシステムは、身体の皮膚上に配置された1つまたは複数の表面電極を含む。そうした周知のシステムでは表面電極が表皮に貫入していないため、そうした周知のシステムによって送達される電流は、皮膚の電気インピーダンスによって減衰される可能性がある。それに応じて、そうした周知のシステムは、治療上有用な大きさの電流を標的にした体組織まで送達するために、高電圧源および/または高電流源を必要とする場合がある。さらに、皮膚を通過する電流が皮膚の受容体を活性化し、そのために患者が不快(例えば気持ちの悪い感覚)を感じることがある。
【0005】
[1005] 身体の外側に配置された電気部材と標的にした体組織との間で電流を伝達するためのいくつかの周知のシステムは、表皮の下に配置される部分を有する電気コネクタを含む。しかし、そうした周知の電気コネクタは移植が難しい場合があり、また移植後に簡単に外れてしまうことがある。さらに、そうした周知の電気コネクタの移植のために身体の中に画定された経路が、感染および/または不快の原因になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[1006] したがって、身体の外側に配置された電気部材と、標的にした体組織および/または身体の中に配置された電気部材との間で電流を伝達するための、改善されたシステムおよび方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1007] 本明細書では、身体の外側に配置された電気部材と標的にした体組織との間で電気信号を伝達するためのシステムおよび方法について説明する。いくつかの実施形態において、装置は、身体の外側に配置された電気装置と身体の中に配置された電気部材との間で電気信号を伝達するように構成された、経皮的な接続口を含む。経皮的な接続口は、遠位部および近位部を有する。近位部は、身体の外側の領域から利用できるように構成された表面を含む。遠位部は、身体の中に配置されるように構成された固定装置を含む。固定装置は、身体の皮膚に実質的に平行な軸のまわりで湾曲した形を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[1008]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図2】[1009]図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法のフローチャートである。
【図3】[1010]図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図4A】[1011]図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図4B】[1012]図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図4C】図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図4D】図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図5】[1013]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図6】[1014]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図7】[1015]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図8】[1016]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図9】[1017]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図10】[1018]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【図11】[1019]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【図12】[1020]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【図13】[1021]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【図14】[1022]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの一部の概略図である。
【図15】[1023]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの一部の概略図である。
【図16】[1024]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1025] いくつかの実施形態において、装置は、身体の外側に配置された電気装置と、身体および/または体組織の中に配置された電気部材との間で電気信号を伝達するように構成された、経皮的な接続口を含む。身体の外側に配置される電気装置は、例えば刺激装置、信号処理装置などとすることができる。身体の中に配置される電気部材は、例えば移植された装置、受動的な電気導体などとすることができる。経皮的な接続口は、遠位部および近位部を有する。近位部は、身体の外側の領域から利用できるように構成された表面を含む。例えばいくつかの実施形態において、近位部の表面は、身体の外側表面と同じ高さ、またはそれより上に位置することができる。遠位部は、身体の中に配置されるように構成された固定装置を含む。固定装置は、身体の皮膚に実質的に平行な軸のまわりで湾曲した形を有する。
【0010】
[1026] いくつかの実施形態において、システムは、身体の外側に配置されるように構成された電気装置、完全に身体の中に配置されるように構成された電気部材、および接続口を含む。電気装置は、例えば刺激装置、信号処理装置などとすることができ、電気信号(例えば電流、電圧など)を少なくとも発生させる、または受け取るように構成される。電気部材は、例えば受動的な電気導体とすることができ、近位端部および遠位端部を有する。接続口は、電気装置と電気部材の間で電気信号を伝達するように構成される。接続口は、接続口の近位部が身体の外側に配置され、接続口の遠位部が身体の中に配置される形で身体に経皮的に挿入されるように構成される。接続口の近位部は、電気装置に動作可能に結合されるように構成される。接続口の遠位部は電気部材に動作可能に結合され、かつ電気部材から間隔をおいて配置される。
【0011】
[1027] いくつかの実施形態において、方法は、電気部材の遠位端部が身体の中の標的位置に配置され、電気部材の近位端部が身体の皮膚の下に配置されるように、電気部材を身体の中の第1の経路に沿って挿入することを含む。接続口は、接続口の近位部が身体の外側の領域から利用可能になるように、身体の中の第2の経路に沿って挿入される。いくつかの実施形態において、接続口は、接続口の遠位部が電気部材の近位端部から間隔をおいて配置され、かつ電気部材の近位端部に動作可能に結合されるように挿入される。いくつかの実施形態では、第2の経路が第1の経路と異なってもよい。
【0012】
[1028] いくつかの実施形態において、方法は、身体の外側に配置された電気装置を、複数の接続口からの第1の接続口および複数の接続口からの第2の接続口に動作可能に結合して、身体の中に第1の接続口と第2の接続口との間の第1の刺激経路を画定することを含む。第1の電気信号が、第1の接続口または第2の接続口の少なくとも一方を介して電気装置から身体の中へ伝達され、その結果、第1の電気信号の一部が身体の中で第1の刺激経路に沿って伝わる。電気装置は複数の接続口からの第3の接続口に動作可能に結合され、身体の中に第1の刺激経路とは異なる第2の刺激経路を画定する。第2の電気信号が、第1の接続口、第2の接続口または第3の接続口の少なくとも1つを介して電気装置から身体の中へ伝達され、その結果、第2の電気信号の一部が身体の中で第2の刺激経路に沿って伝わる。
【0013】
[1029] いくつかの実施形態において、方法は、接続口の遠位部が身体の中の皮下に配置され、かつ身体の中に配置された第1の電気装置から間隔をおいて配置され、接続口の近位部が身体の外側の領域から利用可能になるように、接続口を身体の中に挿入することを含む。その場合、電気信号は、接続口を介して、身体の外側に配置された第2の電気装置から身体の中に配置された第1の電気装置へ伝達される。
【0014】
[1030] 本願は、2006年10月5日出願の「System and Method for Percutaneous Delivery of Electrical Stimulation to a Target Body Tissue」という名称の米国仮特許出願第60/828,376号(その全体を参照によって本明細書に援用する)に対する優先権を請求するものである。しかし本明細書の中で、用語が米国仮特許出願第60/828,376号での用法および/または与えられる定義と一致しない形で使用される、かつ/または定義される場合には、その用語の用法および/または定義は、本明細書において定められると解釈するものとする。
【0015】
[1031] 本明細書において使用される「近位」および「遠位」という単語はそれぞれ、処置中、医療機器または治療機器を使用するオペレータ(例えば外科医、内科医、看護士、技術者など)に近い方向、およびオペレータから離れる方向を指すことができる。例えば最初に患者の身体と接触する医療機器の端部が遠位端になり、医療機器の反対側の端部(例えば、オペレータによって操作される医療機器の端部)が医療機器の近位端になる。同様に、患者の身体の内部の最も遠くに移植された医療機器の端部が遠位端になり、医療機器の反対側の端部(例えば、身体の中に最少量だけ移植された医療機器の端部、または身体の外側に配置された医療機器の端部)が近位端になる。
【0016】
[1032] 本明細書において使用する「電気部材」という単語は、電気回路または電気的処理の一部として使用することができる任意の物体または装置を指す。例えばいくつかの実施形態において、電気部材は、導電線、受動スイッチ、絶縁体、電気コネクタなどの受動的な物体を含むことができる。他の実施形態において、電気部材は、電気信号を発生させる、処理する、受け取る、かつ/または操作する電気装置を含むことができる。そうした電気装置には、例えば信号処理装置、センサ、刺激装置などを含むことができる。
【0017】
[1033] 図1は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム100の概略図である。刺激システム100は、身体Bの外側に配置された電気装置130、身体Bの中に配置された電気部材140、ならびに電気装置130および電気部材140に動作可能に結合された接続口110を含む。接続口110は、スタッド116および固定装置120を含み、近位部111および遠位部112を有する。近位部111は接続表面117を含む。遠位部112は端子表面127を含む。スタッド116は長手方向の軸ALを画定し、接続表面117と端子表面127の間に導電路126を有する。例えばいくつかの実施形態では、導電路126がスタッド116全体を含むようにすることができる。このようにして、本明細書でより詳しく説明するように、電流や電圧などの電気信号を、皮膚Sを含まない電気経路を介して、身体Bの外側の領域と身体Bの中の標的組織Tとの間で伝達することができる。
【0018】
[1034] スタッド116は、スタッドの長手方向の軸ALが皮膚Sの外側表面を含む面と非平行になるように、接続口110の遠位部112から(真皮Dおよび表皮Eを含む)皮膚Sを貫通して延びる。さらにスタッド116は、接続表面117が皮膚Sの外側表面と同じ高さ、またはそれより上に位置するように、皮膚Sを貫通して延びる。言い換えれば、接続口110は、接続表面117が身体Bの外側の領域から利用可能になるように、身体Bの中に配置される。例えばいくつかの実施形態において、接続表面117は、皮膚より0.5mm〜5mmだけ上になるように配置される。このようにして、本明細書でより詳しく論じるように、接続口110の接続表面117に接続線132を電気的に結合することが可能になる。さらにこの配置によって、接続口110の近位端部111が身体Bの外部の物体(例えば患者の衣服)に捕捉されるのを防ぐことが可能になり、また審美的に満足できるものになる。
【0019】
[1035] 固定装置120は、身体Bの皮膚Sの下で接続口110の遠位部112に配置される。固定装置120は、スタッド116の長手方向の軸ALから半径方向に延び、接続口110を身体Bの中の皮下位置に固定する。言い換えれば、固定装置120は、スタッド116の長手方向の軸ALのまわりで実質的に円形である。このようにして、接続口110が身体Bの中の皮下に配置されるとき、固定装置120は身体Bの中で接続口110の位置を保つ。さらに本明細書でより詳しく論じるように、いくつかの実施形態において、固定装置120は、接続口110が身体Bから押し出される、かつ/または排除されるのを阻止するように構成することができる。
【0020】
[1036] 電気装置130は、接続線132によって接続口110に動作可能に結合される。接続線132は、例えば接着剤、スナップ式コネクタ、わに口クリップ、ねじ式コネクタ、溶接、はんだなどの任意の適切な手段によって接続口110に結合することができる。電気装置130を単一の接続線132を介して動作可能に結合されるものとして示しているが、他の実施形態では、例えば双極性の電気接続を確立するために、電気装置130を複数の接続線を用いて接続口110に動作可能に結合することが可能である。そうした実施形態では、接続口110は複数の別個の導電路126を含むことができる。さらに他の実施形態では、物理的な結合または接続線132を用いずに、電気装置130を接続口110に動作可能に結合することができる。例えばいくつかの実施形態では、電気装置130を、流電結合、容量結合、誘導結合、高周波(RF)結合および/または任意の適切な無線結合を介して接続口110に動作可能に結合することができる。
【0021】
[1037] 電気装置130は、電流、電圧などの電気信号を発生させる、かつ/または受け取るように構成された任意の適切な装置とすることができる。例えばいくつかの実施形態では、電気装置130を、治療過程の一部として電流および/または電圧を発生させ、身体Bの中の神経、筋肉などの標的組織Tを刺激するための電気刺激装置とすることができる。他の実施形態では、電気装置130を、標的組織Tおよび/または身体Bの中に配置された電気装置(図1には示さず)によって生成された電気信号を受け取る、かつ/または処理するように構成された信号処理装置とすることができる。
【0022】
[1038] 電気部材140は、近位端部141および遠位端部142を有し、当該電気部材140する導電路148を画定する。電気部材140の近位端部141は、接続口110の遠位端112から間隔をおいて配置され、かつ遠位端112に動作可能に結合される端子146を含む。このようにして、電気信号を、接続口110を介して電気装置130と電気部材140の間で伝達することができる。さらに電気部材140の端子146が接続口110から間隔をおいて配置されるため、接続口110が皮膚Sと一緒に移動する可能性があるが、そうした移動によって電気部材140に力が伝わることはない。言い換えれば、この配置によって、接続口110と電気部材140を機械的に隔離した状態を保ちながら、電気的に結合することが可能になる。
【0023】
[1039] 電気部材140の遠位端部142は、身体の中で標的組織Tに隣接して配置される端子147を含む。例えばいくつかの実施形態において、端子147は、電気部材140の端子147と標的組織Tとの間で電気信号を伝達することが可能になる形で標的組織Tのまわりに配置されるように構成された、1つまたは複数の電極(例えばカフ電極)を含むことができる。
【0024】
[1040] 刺激システム100は、2006年1月23日出願の「Method of Routing Electrical Current to Bodily Tissues Via Implanted Passive Conductors」という名称の米国特許出願公開第2006/0184211号(その全体を参照によって本明細書に援用する)に記載されたように使用することが可能である。例えばいくつかの実施形態では、病状を治療するために、刺激システム100を用いて電気刺激を電気装置130から接続口110を介して皮膚Sを通過させ、標的組織Tへ送達することができる。例えばいくつかの実施形態では、刺激システムを痛みの治療(例えば手根管症候群、関節炎、外傷などによって引き起こされる痛み)、筋肉のリハビリテーションなどに用いることができる。
【0025】
[1041] 例えばいくつかの実施形態において、電気装置130は、治療刺激に適した特性を有する電流を発生させることができる。例えばいくつかの実施形態において、電気装置130は、約1mAの振幅および1秒あたり約50パルスのパルス周波数を有するパルス電流を発生させることができる。電流は、接続線132を介して電気装置130から接続口110の近位端111へ伝達することができる。
【0026】
[1042] 前述のようにスタッド116は、接続口110の近位端111から接続口110の遠位端112へ電気信号を伝達できるような導電路126を画定する。接続口110の導電路126は、皮膚Sの電気インピーダンスより小さい電気インピーダンスを特徴とする。このようにして、例えば電流とすることができる電気信号を、あまり減衰することなく身体Bの外側の領域から皮膚Sを通して伝達することができる。言い換えれば、電気信号を、皮膚Sを含まない電気経路を介して、身体Bの外側の領域から皮膚Sを通して伝達することができる。
【0027】
[1043] 次いで電気信号を、電気結合によって接続口110の遠位端部112から電気部材140の端子146へ伝達することができる。次いで電気信号を、電気部材140によって画定される導電路を介して、端子146から端子147へ伝達することができる。このようにして、あまり減衰することなく、電気信号を電気装置130から身体Bの中の標的組織Tへ伝達することができる。言い換えれば、この配置によって、電気装置130によって生成された電気信号を、皮膚Sを含まない電気経路(図1には示さず)を介して標的組織Tへ伝達することが可能になる。
【0028】
[1044] 身体Bの中での接続口110の経皮挿入を容易にするために、接続口110は任意の適切な形および大きさとすることができる。例えばいくつかの実施形態において、接続口110のスタッド116は、1mm〜3mmの直径を有する円筒形とすることができる。他の実施形態において、接続口110のスタッド116は、約1mmの直径を有することができる。同様にいくつかの実施形態において、固定装置120は、10mm〜30mmの直径および1mm〜3mmの厚さを有するディスク形とすることができる(例えば固定装置120を、スタッド116の長手方向の軸ALのまわりで実質的に円形とすることができる)。他の実施形態において、固定装置120は、約20mmの直径および約2mmの厚さを有するディスク形とすることができる。
【0029】
[1045] 接続口110は、適切な特性を有する任意の材料または材料の組み合わせから構成することができる。そうした適切な材料特性には、生体適合性、電気伝導率および/またはインピーダンス、機械的強度などが含まれる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110を剛性材料から構成することができる。他の実施形態では、接続口110を、接続口110が身体Bの中に配置されるときに変形するように構成された可撓性材料から構成することができる。同様にいくつかの実施形態では、接続口110を一体として構成することができる。他の実施形態では、接続口110を別個に形成された構成要素の組立体とすることができる。
【0030】
[1046] いくつかの実施形態では、接続口110および/または接続口110のスタッド116を導電材料から構成することができる。このようにして、導電路126が接続口110の全体および/またはスタッド116を含むようにすることが可能である。そうした導電材料は、皮膚Sおよび/または皮膚Sの下の皮下組織の電気伝導率より大きい電気伝導率を有することができる。そうした導電材料には、例えばチタン、パイロライトカーボン、ステンレス鋼、白金、イリジウム、カーボンおよびそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110を、白金、イリジウム、パイロライトカーボン、蒸着させたカーボンなどの層でめっきしたチタンから構成し、チタンの酸化を防止して接続口110の電気伝導率を改善することができる。
【0031】
[1047] いくつかの実施形態において、接続口110は、導電材料と電気絶縁材料の両方を含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、スタッド116は、第1の部分(図1には示さず)および第2の部分(図1には示さず)を含むことができる。第1の部分は、例えば剛性のエポキシ、ポリカーボネート、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンおよびポリスルホン(PSU)などの電気絶縁材料から構成することができる。第2の部分は導電材料から構成することが可能であり、接続表面117から端子表面127まで延びることができる。このようにして第2の部分は、接続表面117と端子表面127の間に導電路126を画定することができる。いくつかの実施形態では、第2の部分を、例えば電気絶縁材料の中に配置された線とすることができる。他の実施形態では、第2の部分を、例えばスタッド116の第1の部分のまわりのめっきとすることができる。
【0032】
[1048] 図2は、本発明の実施形態に従って刺激システム100を身体Bの中に配置する方法200のフローチャートである。図2に示した方法について、身体Bの中に配置された刺激システム100の概略図である図3を参照しながら論じる。その方法は、電気部材の近位端が身体の皮膚の下に配置されるように、電気部材を身体の中の第1の挿入路に沿って挿入することを含む(202)。図3を参照すると、電気部材140は、矢印AAで示すように切開部I1を通して身体Bに挿入される。電気部材140は、電気部材140の近位端141が身体Bの皮膚Sの下に配置されるように、身体Bの中の(図3に破線で示す)第1の挿入路PINS1に沿って移動される。言い換えれば、電気部材140が完全に身体Bの中に配置されるまで、電気部材140は身体Bの中の第1の挿入路PINS1に沿って挿入される。いくつかの実施形態において、電気部材140の遠位端142は、例えば神経、筋肉などとすることができる標的組織Tに隣接して配置される。
【0033】
[1049] いくつかの実施形態では、電気部材140は経皮的に挿入される。他の実施形態では、電気部材140の挿入は、体組織の拡張および/または第1の挿入路PINS1の形成を含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、電気部材140の遠位端142は、身体Bの一部を拡張させるように構成することができる。他の実施形態において、第1の挿入路PINS1は、例えば挿入プローブ、トロカールなどの分離手段によって形成することができる。
【0034】
[1050] 図2に示すフローチャートに戻ると、接続口は、接続口の近位部が身体の外側の領域から利用可能になるように、身体の中の第2の挿入路に沿って挿入される(204)。いくつかの実施形態では、例えば接続口を、接続口の遠位部が電気部材の近位端部から間隔をおいて配置され、かつ電気部材の近位端部に動作可能に結合されるように挿入することができる(204)。図4を参照すると、接続口110は、矢印CCで示すように切開部I2を通して身体Bに挿入される。接続口110は、固定装置120が身体Bの中の皮下に配置されるように、身体Bの中の(図3に破線で示す)第2の挿入路PINS2に沿って移動される。このようにして、前述のように固定装置120は、身体Bの中で接続口110の位置を保つことができる。
【0035】
[1051] 接続口110の遠位部112は、任意の適切な手段によって電気部材140の近位端部141に動作可能に結合することができる。言い換えれば、接続口110の遠位部112は、接続口110および電気部材140を間隔をおいて配置できるようにする任意の適切な手段によって、電気部材140に電気的に結合することができる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110を、流電結合によって電気部材140に電気的に結合することができる。他の実施形態では、接続口110を、容量結合によって電気部材140に電気的に結合することができる。さらに他の実施形態では、接続口110を、誘導結合によって電気部材140に電気的に結合することができる。さらに他の実施形態では、接続口110を、高周波結合または任意の他の適切な無線結合によって電気部材140に電気的に結合することができる。
【0036】
[1052] 図3に示すように、第1の挿入路PINS1は第2の挿入路PINS2とは異なる。例えばいくつかの実施形態において、第1の挿入路PINS1の中心線CL1は、第2の挿入路PINS2の中心線CL2から角度を付けてオフセットさせることができる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、第1の挿入路PINS1の経路が第2の挿入路PINS2の経路と異なってもよい。このようにして、第1の切開部I1を第2の切開部I2から間隔をおいて配置することができる。この配置によって、第1の切開部I1および/または第2の切開部I2を身体Bの目立たない位置に設けることが可能になる。さらに電気部材140および接続口110を別個の挿入路を介して挿入することによって、第1の挿入路PINS1が第2の挿入路PINS2とは異なる大きさ(例えば直径および/または深さ)を有することが可能になる。このように、第1の挿入路PINS1は、電気部材140の特性のみに基づいて画定することができる。同様に第2の挿入路PINS2は、接続口110の特性のみに基づいて画定することができる。
【0037】
[1053] 図2に戻ると、いくつかの実施形態において、その方法は、任意選択で接続口の近位部を電気装置に動作可能に結合することを含むことができる(206)。いくつかの実施形態では、電気装置を身体の外側に配置することができる。例えばいくつかの実施形態では、電気装置を、電気信号を少なくとも発生させる、または処理するように構成された、身体の外側に配置された刺激装置とすることができる。他の実施形態では、電気装置を信号処理装置とすることができる。
【0038】
[1054] これまで接続口110の遠位部112を、電気部材140の近位端部141から間隔をおいて配置されるものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態では、接続口110の遠位部112を電気部材140の近位端部141と接触させる、係合させる、かつ/または機械的に結合させることができる。例えば図4Aは、本発明の実施形態に従って身体Bの中に配置された刺激システム100の概略図である。身体B内での刺激システム100の配置は、接続口110が電気部材140の近位端部141と接触している点において、図3に示した身体B内での刺激システム100の配置と異なっている。この配置は、接続口110の遠位端112が電気部材140の近位端部141に接触するまで、接続口110を第2の挿入路PINS2に沿って挿入することによって得ることができる。
【0039】
[1055] 他の実施形態では、接続口110および/または電気部材140を身体Bに挿入する前に、接続口110を電気部材140の近位端部141に結合することができる。例えば図4B〜4Dは、本発明の実施形態に従って刺激システム100を身体Bに挿入する方法の概略図である。図4Bに示すように、電気部材140は、矢印DDで示すように切開部I1を通して身体Bに挿入される。電気部材140は、電気部材140の近位端141が身体Bの皮膚Sの下に配置されるように、身体Bの中の(図4Bに破線で示す)第1の挿入路PINS1に沿って移動される。いくつかの実施形態では、電気部材140の遠位端142は、例えば神経、筋肉などとすることができる標的組織Tに隣接して配置される。
【0040】
[1056] 図4Cに示すように、接続口110は、矢印EEで示すように切開部I1を通して身体Bに挿入される。接続口110は、身体Bの中の(図4Bに破線で示す)第2の挿入路PINS2に沿って移動される。まず接続口110の近位部111を第2の挿入路PINS2に沿って移動させるものとして示しているが、他の実施形態では、接続口を、まず遠位部112を用いて第2の挿入路PINS2に沿って移動させることができる。
【0041】
[1057] 図4Dに示すように、次いで接続口110の近位部111は、矢印FFで示すように皮膚Sを貫通して配置される。このようにして、接続口110は、固定装置120が身体B内の皮下に配置され、近位部111の端子表面117が身体Bの外側の領域から利用可能になるように、身体Bの中に配置される。それに応じて、前述のように固定装置120は、身体Bの中で接続口110の位置を保つことができるようになる。言い換えれば、その場合、接続口110の近位部111は皮膚Sを貫通して配置され、第2の切開部I2を画定する。
【0042】
[1058] 図4Aでは、刺激システム100を2つの挿入路(すなわちPINS1およびPINS2)を介して挿入されるものとして示し説明しているが、他の実施形態では、刺激システム100を単一の挿入路を介して挿入することができる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110の遠位端112を、挿入前に電気部材140の近位端部141に結合することが可能であり、次いでその組立体を単一の挿入路を介して挿入することができる。接続口110の遠位端112は、任意の適切な手段によって電気部材140の近位端部141に結合することができる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110の遠位端112を、接続接着剤、磁気結合、溶接、はんだ付けおよび/または圧着によって、電気部材140の近位端部141に結合することができる。
【0043】
[1059] 刺激システム100を、身体Bの中に経皮的に配置される1つの接続口110を有するものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態において、刺激システムは、身体の中に経皮的に配置される複数の接続口を有することができる。さらに他の実施形態において、刺激システムは、身体の中に経皮的に配置される1つまたは複数の接続口、および身体の表面上に配置される1つまたは複数の表面電極を有することができる。さらに他の実施形態において、接続口は複数の別個の導電路を有することがきる。
【0044】
[1060] 例えば図5は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム300の概略図である。刺激システム300は、身体Bの外側に配置された電気刺激装置330、身体Bの中に配置された電気部材340、接続口310および表面電極335を含む。接続口310は陰電極として働くことが可能であり、また先に示し説明した接続口110と同様である。接続口310は、接続口310の固定装置320が皮下に配置され、身体Bの中で接続口310の位置を保つように、身体Bの中に配置される。接続口310は、接続線332によって電気刺激装置330に電気的に結合される。接続口310は電気部材340に(例えば流電結合によって)電気的に結合され、かつ電気部材340から間隔をおいて配置される。
【0045】
[1061] 前述のように電気部材340は、近位端部341および遠位端部342を有し、当該電気部材340する導電路を画定する。電気部材340の近位端部341は、接続口310から間隔をおいて配置され、かつ接続口310に動作可能に結合される端子346を含む。電気部材340の遠位端部342は、身体の中で標的組織Tに隣接して配置される端子347を含む。このようにして、例えば電流などの電気信号を、接続口310を介して電気刺激装置330から身体Bの中の標的組織T(例えば神経組織)へ伝達することができる。さらに、皮膚Sを含まない電気経路を介して、電気刺激装置330から身体Bの中の標的組織Tへ電流を伝達することができる。
【0046】
[1062] 表面電極335は陽電極として働くことが可能であり、皮膚Sの表面上に配置される。皮膚Sの表面上での表面電極335の位置は、例えば導電性のゲル、接着剤、湿式の電極、嵌め込み式の覆いなどの適切な手段によって保つことができる。表面電極335は、接続線333によって電気刺激装置330に電気的に結合される。表面電極335は、身体Bへ電気信号を伝える、かつ/または身体Bから電気信号を受け取るための任意の適切な電極とすることができる。例えばいくつかの実施形態では、表面電極335をゲル電極とすることができる。他の実施形態では、表面電極335を、電気リードを有する可撓性のディスク型電極とすることができる。同様に表面電極335を、例えば導電性電解質のゲル、導電性ゴム、導電性プラスチック、金属メッシュ、金属板、金属化されたゴムおよび/またはプラスチックなどの任意の適切な材料から構成することができる。
【0047】
[1063] 使用時に電気刺激装置330は、治療刺激に適した特性を有する電流を発生させることができる。電流は、接続口310、電気部材340、およびそれらの間の皮下の体組織を含む身体Bの中の(図5に破線で示す)第1の刺激経路PSTIM1に沿って流れる。このようにして、電流の少なくとも一部を電気刺激装置330から標的組織Tへ伝達することができる。次いでその一部の電流が、皮下の体組織および皮膚を含む身体Bの中の(図5に破線で示す)第2の刺激経路PSTIM2を介して表面電極335に戻る。
【0048】
[1064] 刺激システム300を、1つの陰電極(すなわち接続口310)および1つの陽電極(すなわち表面電極335)を含むものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態において、刺激システムは、陰電極としても陽電極としても機能することが可能な、少なくとも1つの電極および/または接続口を含むことができる。他の実施形態において、刺激システムは、複数対の陰電極および/または複数の陽電極として機能するように構成された、複数の表面電極および/または接続口を含むことができる。このように、本発明の実施形態による刺激システムは、2つ以上の刺激経路を介して電流を身体の中へ伝達することができる。
【0049】
[1065] さらに先に示し説明した刺激システムは、完全に身体の中に配置された電気部材(例えば受動的な電気導体、電気装置など)を含むが、いくつかの実施形態では、刺激システムに完全に身体の中に配置された電気部材がなくてもよい。例えばいくつかの実施形態において、刺激システムは、先に示し説明したタイプの電気刺激装置および接続口を含むことができる。そうした刺激システムでは、皮膚を含まず皮下の体組織を含む刺激経路を介して、電気信号を電気刺激装置から標的組織へ伝達することができる。
【0050】
[1066] 例えば図6は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム400の概略図である。刺激システムは、身体Bの外側に配置された電気刺激装置430、4つの接続口410A〜410Dおよび4つの表面電極435A〜435Dを含む。接続口410A〜410Dは、先に示し説明した接続口と同様であり、一連の接続線432によって電気刺激装置430に電気的に結合される。表面電極435A〜435Dは、先に示し説明した接続口と同様であり、一連の接続線433によって電気刺激装置430に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、刺激システム400は、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの少なくとも第1の対を電気刺激装置430に電気的に結合すると同時に、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの少なくとも第2の対を電気的に隔離することが可能になるように、マルチプレクサ(図7には示さず)を含むことができる。このようにして、以下に示すように、接続口410A〜410Dおよび表面電極435A〜435Dの配列を用いて、身体Bの中に複数の異なる刺激経路を画定することができる。さらにマルチプレクサは、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dを電気的に結合して、双極刺激または単極刺激を送達するように構成することができる。
【0051】
[1067] 例えば刺激システム400を、電気刺激装置430が第1の接続口410Aおよび第2の接続口410Bに電気的に結合される第1の構成として配置することができる。前述のように電気刺激装置430は、治療刺激に適した特性を有する電流を発生させる。電流は、電気刺激装置430から第1の接続口410Aまで流れることができる。次いで、電流を身体Bの中で、第2の接続口410Bで終わる第1の刺激経路PSTIM1を介して伝達することができる。このようにして、電流を電気刺激装置430から、例えば第1の末梢神経PN1を含むことができる第1の標的組織T1へ伝達することが可能になる。
【0052】
[1068] 図6に示すように、刺激システム400を、電気刺激装置430が第2の接続口410Bおよび第2の表面電極435Bに電気的に結合される第2の構成として配置することができる。電気刺激装置430からの電流は、電気刺激装置430から第2の接続口410Bまで流れることができる。次いで、電流を身体Bの中で、第2の表面電極435Bで終わる第2の刺激経路PSTIM2を介して伝達することができる。このようにして、電流を電気刺激装置430から、例えば第2の末梢神経PN2を含むことができる第2の標的組織T2へ伝達することが可能になる。
【0053】
[1069] 同様に刺激システム400を、電気刺激装置430が第3の接続口410Cおよび第4の接続口410Dに電気的に結合される第3の構成として配置することができる。電気刺激装置430からの電流は、電気刺激装置430から第3の接続口410Cまで流れることができる。次いで、電流を身体Bの中で、第4の接続口410Dで終わる第3の刺激経路PSTIM3を介して伝達することができる。このようにして、電流を電気刺激装置430から、例えば第3の末梢神経PN3を含むことができる第3の標的組織T3へ伝達することが可能になる。
【0054】
[1070] 同様に刺激システム400を、電気刺激装置430が第3の接続口410Cおよび第4の表面電極435Dに電気的に結合される第4の構成として配置することができる。電気刺激装置430からの電流は、電気刺激装置430から第3の接続口410Cまで流れることができる。次いで、電流を身体Bの中で、第4の表面電極435Dで終わる第4の刺激経路PSTIM4を介して伝達することができる。このようにして、電流を電気刺激装置430から、例えば第4の末梢神経PN4を含むことができる第4の標的組織T4へ伝達することが可能になる。
【0055】
[1071] 同様の形で、電流(単極または双極)を身体Bの中で接続口410A〜410Bの任意の組み合わせへ伝達するように、表面電極435A〜435Dの任意の組み合わせを選択することができる。同様に、電流を身体Bの中で伝達して1つまたは複数の標的組織T1〜T4を刺激するように、接続口410A〜410Dの任意の組み合わせを選択することができる。言い換えれば、標的体組織の特定領域を刺激するために、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの配列を選択的に用いることができる。
【0056】
[1072] 接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの選択は、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの各対を電気刺激装置430に繰り返し電気的に結合し、患者の応答を測定して望ましい選択を決定することによって、手動で実施することができる。あるいはいくつかの実施形態において、刺激システム400は、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dを電気刺激装置430に対して自動的に選択し、電気的に結合するように構成された処理装置を含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、刺激システム400は、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの様々な組み合わせの間のインピーダンスに基づき、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dを電気刺激装置430に対して自動的に選択する、かつ/または電気的に結合するように構成された処理装置を含むことができる。他の実施形態において、刺激システム400は、測定された患者からの応答(例えば、筋肉の応答および/または言葉による応答)、および/または使用者による直接入力(例えば患者の応答に依存しない入力)に基づき、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435を自動的に選択する、かつ/または電気的に結合するように構成された処理装置を含むことができる。
【0057】
[1073] これまで刺激システムを、電流を伝達して身体の中の標的組織を刺激するように構成されたものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態では、刺激システムを、電気信号を身体の中に配置された電気装置へ伝達するように構成することができる。例えば図7は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム500の概略図である。刺激システム500は、身体Bの外側に配置された電気刺激装置530、身体Bの中に配置された電気部材540、身体の中に配置された電気装置550、および接続口510を含む。接続口510は、先に示し説明した接続口と同様であり、接続口510の遠位部512が身体Bの中で電気部材540に隣接して皮下に配置されるように、身体Bの中に配置される。接続口510の近位部511は、接続線532によって電気刺激装置530に電気的に結合される。
【0058】
[1074] 前述のように電気部材540は、近位端部541および遠位端部542を有し、当該電気部材540する導電路を画定する。近位端部541は、接続口510から間隔をおいて配置され、かつ(例えば流電結合によって)接続口510に動作可能に結合される。電気部材540の遠位端部542は、電気装置550に電気的に結合される。このようにして、電気信号を、接続口510を介して電気刺激装置530から身体Bの中の電気装置550へ伝達することができる。さらに電気信号を、皮膚Sを含まない電気経路を介して、電気刺激装置530から電気装置550へ伝達することができる。
【0059】
[1075] 電気装置550は、電流、および/または電気信号を受け取る任意の電気装置によって動力を供給される任意の電気装置とすることができる。例えばいくつかの実施形態では、電気装置550を、身体内のパラメータを入手するために身体Bの中に移植されたセンサとすることができる。そうしたセンサには、例えば神経電図(ENG)センサ、筋電図(EMG)センサ、心電図(ECG)センサ、温度センサ、圧力センサ、pHセンサ、傾斜センサ、加速度計、ジャイロスコープ、変位センサおよび/またはインピーダンスセンサを含むことができる。他の実施形態では、電気装置550を、例えば増幅器、フィルタ、高電圧/定電流発生装置、電気スイッチ、電源、電池(小型の充電式電池を含む)、電池充電回路、処理装置、周波数シフタ、過剰刺激の保護回路および/または通信モジュール(有線または無線)など、身体Bの中に移植された電気回路の一部とすることができる。
【0060】
[1076] 使用時に電気刺激装置530は、電気装置550に関連付けられた特徴を有する電気信号(例えば電流)を発生させる。電気信号は、接続口510、皮膚Sを含まない電気経路を介して、電気刺激装置530から身体Bの中の電気装置550へ伝達することができる。それに応じて、電気信号が皮膚Sを通過しないため、電気信号は皮下の体組織に害を及ぼさない任意の振幅および/または周波数を有することができる。
【0061】
[1077] 刺激システム500を、電気部材540の遠位端部542に結合された単一の電気装置550を含むものとして示しているが、他の実施形態では、電気装置550を電気部材540の任意の部分に結合することができる。さらに他の実施形態では、刺激システムは複数の電気装置550および/または複数の電気部材540を含むことができる。例えば図8は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム600の概略図である。刺激システム600は、身体Bの外側に配置された電気刺激装置630、それぞれが身体Bの中に配置された第1の電気部材640Aおよび第2の電気部材640B、それぞれが身体Bの中に配置された第1の電気装置650Aおよび第2の電気装置650B、接続口610ならびに表面電極635を含む。接続口610は、先に示し説明した接続口と同様であり、接続口610の遠位部612が身体Bの中で電気部材640に隣接して皮下に配置されるように、身体Bの中に配置される。接続口610は、接続線632によって電気刺激装置630に電気的に結合される。
【0062】
[1078] 表面電極635は皮膚Sの表面上に配置され、接続線633によって電気刺激装置630に電気的に結合される。前述のように表面電極635は、身体Bへ電気信号を伝える、かつ/または身体Bから電気信号を受け取るための任意の適切な電極とすることができる。
【0063】
[1079] 第1の電気部材640Aは、近位端部641A、遠位端部642Aおよび中央部649Aを有し、当該第1の電気部材640Aする導電路を画定する。第1の電気部材640Aの近位端部641Aは、接続口610に電気的に結合される。第1の電気部材640Aの中央部649Aは、第1の電気装置650Aに電気的に結合される。第1の電気部材640Aの遠位端部642Aは、身体の中で標的組織Tに隣接して配置される。このようにして、電気信号を、接続口610を介して電気刺激装置630から第1の電気装置650Aへ、次いで標的組織Tへ伝達することができる。言い換えれば、この配置によって、電気信号を順次、第1の電気装置650Aおよび標的組織Tへ伝達することが可能になる。前述のように、電気信号を、体組織を含む刺激経路PSTIMを介して表面電極635に戻すことができる。
【0064】
[1080] 第2の電気部材640Bは、近位端部641Bおよび遠位端部642Bを有し、当該第2の電気部材640Bする導電路を画定する。第2の電気部材640Bの近位端部641Bは、第1の電気部材640Aと並行して接続口610に電気的に結合される。第2の電気部材640Bの遠位端部642Bは、第2の電気装置650Bに電気的に結合される。このように標的組織Tの刺激と並行して、電気信号を、電気刺激装置630から第2の電気装置650Bへ伝達することができる。
【0065】
[1081] これまで刺激システムを、電気信号を標的組織および/または移植された電気装置へ伝達するものとして示し説明しているが、他の実施形態では、医療システムが、標的組織および/または移植された電気装置からの電気信号を受け取るようにすることができる。そうした電気信号には、例えば身体内の神経組織からの単極性信号および両極性信号(例えば神経電図、すなわちENG信号)を含むことができる。例えば図9は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による医療システム700の概略図である。医療システム700は、身体Bの外側に配置された電気装置730、第1の電気部材740Aおよび第2の電気部材740B、身体の内側に配置された電気装置750、第1の接続口710Aおよび第2の接続口710Bを含む。
【0066】
[1082] 第1の接続口710Aは、先に示し説明した接続口と同様であり、第1の接続口710Aの遠位部712Aが身体Bの中で第1の電気部材740Aに隣接して皮下に配置されるように、身体Bの中に配置される。第1の接続口710Aは、接続線732によって電気装置730に電気的に結合される。同様に第2の接続口710Bは、第2の接続口710Bの遠位部712Bが身体Bの中で第2の電気部材740Bに隣接して皮下に配置されるように、身体Bの中に配置される。第2の接続口710Bは、接続線732によって電気装置730に電気的に結合される。
【0067】
[1083] 身体Bの外側に配置される電気装置730は、電気信号を受け取る、かつ/または処理するように構成された任意の電気装置とすることができる。いくつかの実施形態では、電気装置を信号処理装置とすることができる。他の実施形態では、電気装置を、例えばデータロガー、ストリップチャートレコーダなどの電気的なデータ記録装置とすることができる。身体Bの内側に配置される電気装置750は、例えばセンサ、増幅器、フィルタ、通信モジュールなど、身体の中に移植されるように構成された任意の電気装置とすることができる。
【0068】
[1084] 第1の電気部材740Aは、近位端部741A、遠位端部742Aおよび中央部749Aを有し、当該第1の電気部材740Aする導電路を画定する。第1の電気部材740Aの近位端部741Aは、第1の接続口710Aに電気的に結合される。第1の電気部材740Aの中央部749Aは、身体Bの中に配置された電気装置750に電気的に結合される。第1の電気部材740Aの遠位端部742Aは、身体Bの中で第1の標的組織T1に隣接して、または第1の標的組織T1のまわりに配置される端子表面747A(例えば電気ピックアップ)を含む。第1の標的組織T1は、例えば神経N上の第1の位置とすることができる。
【0069】
[1085] 第2の電気部材740Bは、近位端部741Bおよび遠位端部742Bを有し、当該第2の電気部材740Bする導電路を画定する。第2の電気部材740Bの近位端部741Bは、第2の接続口710Bに電気的に結合される。第2の電気部材740Bの遠位端部742Bは、身体Bの中で第2の標的組織T2に隣接して配置される端子表面747B(例えば電気ピックアップ)を含む。第2の標的組織T2は、例えば第1の位置から間隔をおいて配置された、神経N上の第2の位置とすることができる。
【0070】
[1086] 使用時に端子表面747Aおよび747Bはそれぞれ、神経Nによって生成された第1の電気信号および第2の電気信号を受け取ることができる。第1の電気信号は、電気部材740Aを介して端子表面747Aから身体Bの中に配置された電気装置750へ伝達することができる。いくつかの実施形態において、電気装置750は、例えば信号を増幅し、信号を処理することなどによって第1の電気信号を処理することができる。このようにして、第1の電気信号が身体Bの外側の電気装置730へ伝達される前に、第1の電気信号の質を改善することができる。次いで、結果として生じる第1の電気信号を、第1の接続口710Aを介して身体Bの外側に配置された電気装置730へ伝達することができる。同様に第2の電気信号を、第2の接続口710Bを介して、端子表面747Bから身体Bの外側に配置された電気装置730へ伝達することができる。
【0071】
[1087] いくつかの実施形態では、先に示し説明した接続口を、生体組織(例えば真皮および/または表皮)と結合してシールを形成する生体適合材料から構成することができる。例えば図10は、身体Bの中に経皮的に配置された、本発明の実施形態による接続口810の概略図である。接続口810は、スタッド816および固定装置820を含み、近位部811および遠位部812を有する。近位部811は接続表面817を含む。遠位部812は端子表面827を含む。スタッド816は、第1の電気伝導率を有する第1の材料から構成された外側部分828、および第1の材料の電気伝導率より大きい第2の電気伝導率を有する第2の材料から構成された内側部分829を含む。このようにして、内側部分829は、接続表面817と端子表面827の間に導電路826を画定する。
【0072】
[1088] 前述のように固定装置820は、接続口810の遠位部812に配置され、かつ身体Bの皮膚Sの下に配置される。固定装置820はスタッド816から外側へ延び、接続口810を身体Bの中の皮下位置に固定する。
【0073】
[1089] 接続口810の外側表面814の少なくとも一部は、スタッド816および/または固定装置820の外側表面814のまわりで柔らかい体組織が内部成長するのを促進するように構成された、繊維状および/または多孔性の層815で被覆される。繊維状および/または多孔性の層815は外側表面814の一部のまわりに配置され、接続口810が移植されたとき、繊維状および/または多孔性の層815は皮膚Sの真皮Dの中に配置されるようになる。このようにして、繊維状および/または多孔性の層815は、(図10に矢印CCで示すように)表皮Eの下方への成長を妨げ、かつ/また真皮Dの接続口810への結合を促進することができる。言い換えれば、繊維状および/または多孔性の層815によって、表皮細胞の増殖によって皮膚Sの切開部を閉じる、かつ/または接続口810を押し出す身体の自然の性向を制限することができる。
【0074】
[1090] 繊維状および/または多孔性の層815は、任意の適切な材料から構成することができる。いくつかの実施形態において、繊維状および/または多孔性の層815は、例えばチタン、無光沢のチタン、ニチノール、銀またはステンレス鋼などの1つまたは複数の生体適合性の金属材料を含むことができる。他の実施形態において、繊維状および/または多孔性の層815は、例えばDacron(商標)、Teflon(商標)、 ポリオレフィン類、ナイロン、シリコーン、可撓性のあるポリウレタン、ポリプロピレン、ガラス状の炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレンなどの1つまたは複数の高分子材料を含むことができる。さらに他の実施形態において、繊維状および/または多孔性の層815は、細かい柱状構造(trabecularized)の炭素およびチタンのコーティングを含むことができる。さらに他の実施形態において、繊維状および/または多孔性の層815は抗菌剤を含むことができる。そうした薬剤を、繊維状および/または多孔性の層815、スタッド816ならびに/あるいは固定装置820の上にコートする、それらの中に移植する、かつ/または含浸させることができる。そうした薬剤には、例えば抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤および他の治癒剤(例えば、銀または銀のコーティング)を含むことができる。
【0075】
[1091] 先に示し説明した接続口110は、スタッド116から半径方向に延びる固定装置120を含むが、いくつかの実施形態において、固定装置120は、スタッド116に対して任意の適切な形および/または向きを有することができる。例えばいくつかの実施形態において、接続口は、鋭い縁部および/またはきつい凹面のない楕円形を有する固定装置を含むことができる。他の実施形態において、接続口は、身体内で接続口の位置を保つように構成された複数の表面を有する固定装置を含むことができる。そうした表面は、例えば身体内で接続口の位置を保つために、それぞれが皮膚および/または皮下組織の一部と係合および/または接触するように構成された、不連続な表面とすることができる。さらに他の実施形態において、接続口は、身体内で接続口の位置を協働して保つように構成された複数の部材を有する固定装置を含むことができる。
【0076】
[1092] 図11は、身体Bの中に経皮的に配置された、本発明の実施形態による接続口910の正面図である。接続口910は、近位部911および遠位部912を有する。近位部911は接続表面917を含む。接続表面917は、皮膚Sの外側表面と実質的に平行になるように構成される。言い換えれば、接続表面917は、接続口910がそれを通して身体Bに経皮的に挿入される挿入路PINSの中心線CLに対して実質的に垂直である。
【0077】
[1093] 遠位部912は固定装置920を含む。固定装置920は、皮膚Sの外側表面と実質的に平行な軸ACのまわりで円形を有する。言い換えれば、固定装置920は、挿入路PINSの中心線CLに実質的に垂直な軸のまわりで円形を有する。いくつかの実施形態では、例えば固定装置は軸ACのまわりで環状形を有する。図11は接続口910の正面図であるため、軸ACは点として示され、頁から延びることになる。固定装置920は開口部919を画定し、その一部が皮膚Sの下に配置される。このようにして、図11に示すように、固定装置920を電気部材940のまわりに配置することができる。前述のように電気部材940は、電気信号を接続口910から身体B内の組織および/または装置に伝達するための導電路を画定する、任意の移植可能な部材とすることができる。
【0078】
[1094] 図12は、身体Bの中に経皮的に配置された、本発明の実施形態による接続口1010の正面図である。接続口1010は、近位部1011および遠位部1012を有する。近位部1011は接続表面1017を含む。遠位部1012は、固定装置1020および拡張器1018を含む。固定装置1020は、図11を参照して前述した固定装置920と同様であり、皮膚Sの外側表面と実質的に平行な軸ACのまわりで円形を有する。拡張器1018は、接続口1010が身体に挿入されるとき、体組織を移動させるように構成されたテーパ部1024を有する。
【0079】
[1095] 先に示し説明した接続口910および1010は、連続的な円形を有する固定装置を含むが、他の実施形態において、接続口は、不連続な円形を画定する複数の部材を有する固定装置を含むことができる。例えば図13は、身体Bの中に経皮的に配置された、本発明の実施形態による接続口1110の正面図である。接続口1110は、近位部1111および遠位部1112を有する。近位部1111は接続表面1117を含む。遠位部1112は、第1の部材1121および第2の部材1122を有する固定装置1120を含む。第1の部材1121および第2の部材1122は協働して、皮膚Sの外側表面と実質的に平行な軸ACのまわりで円形を画定する。しかし、第1の部材1121および第2の部材1122の遠位端は間隔をおいて配置され、円形は不連続である。
【0080】
[1096] これまで固定装置を、接続口の他の部分に対して定位置にあるものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態では、固定装置の少なくとも一部が接続口の他の部分に対して移動することができる。例えばいくつかの実施形態において、接続口は、第1の部材、および第1の部材に対して移動可能な第2の部材を有する固定装置を含むことができる。このようにして、第2の部材が第1の部材に対して移動し、固定装置を第1の構成(例えば挿入用の構成)と第2の構成(例えば固定用の構成)の間で移動させることが可能になる。他の実施形態において、接続口は、接続口の近位端に対して移動可能な、一体として構成された固定装置を含むことができる。このようにして、接続口が第1の構成と第2の構成の間で移動することが可能になる。さらに他の実施形態において、接続口は、移動可能な固定装置、および所定の構成(例えば、挿入用の構成または固定用の構成)で移動可能な固定装置を偏倚させるように構成された偏倚部材を含むことができる。
【0081】
[1097] これまで接続線を、接続口の近位部に機械的に結合されるものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態では、介在する構造体を用いて、接続線と接続口を機械的および/または電気的に結合することができる。例えば図14は、本発明の実施形態による刺激システム1200の一部を示している。刺激システム1200は、少なくとも1つの接続口1210、表面電極1235、接続線1232、および身体Bの中に移植された電気部材1240を含む。接続口1210は、先に示し説明した接続口と同様であり、近位部1211および遠位部1212を含む。前述のように接続口1210は、それを貫通し、皮膚Sの電気インピーダンスより小さい電気インピーダンスを有する導電路を画定する。
【0082】
[1098] 接続線1232は、例えば導電性電解質のゲル電極とすることができる表面電極1235によって、接続口1210の近位部1211に機械的および電気的に結合される。それに応じて、接続線1232、表面電極1235、接続口1210および皮下組織の一部を含む刺激経路PSTIMを介して、身体の外側の領域と電気部材1240との間で電気信号を伝達することができる。表面電極1235の一部が皮膚Sと接触しているため、表面電極1235によって若干量の電気信号(例えば逃げ電流(escape current))が、皮膚Sを含む逃げ経路PESCを介して身体Bの中へ伝達される可能性がある。しかし、接続口1210によって画定される導電路が皮膚Sの電気インピーダンスより小さい電気インピーダンスを有するため、逃げ経路を介して伝達される電気信号の大きさは微小である。
【0083】
[1099] いくつかの実施形態において、接続線は、皮膚Sに直接接触していないコネクタを介して、接続口に機械的および/または電気的に結合することができる。このようにして、逃げ電流をさらに最小化する、かつ/またはなくすことができる。いくつかの実施形態では、コネクタを、例えばスナップ式コネクタ、わに口クリップ、ねじ式コネクタ、摺動式コネクタなどの取り外し可能なコネクタとすることができる。他の実施形態では、コネクタを、例えばはんだ付けされたコネクタ、溶接されたコネクタ、圧着されたコネクタなど、取り外しできないものとすることができる。
【0084】
[1100] 例えば図15は、本発明の実施形態による刺激システム1300の一部を示している。刺激システム1300は、少なくとも1つの接続口1310、コネクタ1360および接続線1332を含む。接続口1310は、近位部1311および遠位部1312を含む。近位部1311は突起部1317を含む。遠位部1312は、端子表面1327および固定装置1320を含む。前述のように固定装置1320は、身体Bの皮膚Sの下に配置され、接続口1310を身体Bの中の皮下位置に固定する。
【0085】
[1101] コネクタ1360は、近位端1367および遠位端1368を有し、第1の電気伝導率を有する第1の材料から構成される外側部分1363、および第1の材料の電気伝導率より大きい第2の電気伝導率を有する第2の材料から構成される内側部分1362を含む。このように内側部分1362は、近位端1367と遠位端1368の間にコネクタを貫通する導電路を画定する。しかし、いくつかの実施形態では、コネクタ1360を単一の材料から構成することができる。
【0086】
[1102] 接続線1332は、コネクタ1360の近位端1367に結合される。コネクタ1360の遠位端1368は、接続口1310の突起部1317を嵌合して受け入れるように構成された開口部1361を画定する。このようにして、コネクタ1360を接続口1310に対する所定の位置で、取り外せるように接続口1310に結合する(例えばスナップ止めする)ことができる。
【0087】
[1103] 接続口1310を、皮膚Sの表面より上に延び、凸形をした突起部1317を有するものとして示しているが、他の実施形態では、接続口は、身体の外側の領域から利用可能な任意の適切な端子表面を含むことができる。例えば図16は、本発明の実施形態による接続口1410を示している。接続口1410は、近位部1411および遠位部1412を含む。近位部1411は、端子表面1417の少なくとも一部が皮膚Sの外側表面より下に配置されるように、凹形を有する端子表面1417を含む。端子表面1417は、身体Bの外側の領域から利用することができる。前述のように遠位部1412は、接続口1410を身体Bの中の皮下位置に固定するために、身体Bの皮膚Sの下に配置された固定装置1420を含む。
【0088】
[1104] これまで本発明の様々な実施形態について説明してきたが、それらは例として示したものにすぎず、限定的なものではないことを理解すべきである。前述の方法は、特定の順序で行われる特定の事象を示しているが、特定の事象の順序を変更することができる。さらに特定の事象は、前述のように順次実施するだけではなく、可能であるときには並行処理として同時に実施することができる。したがって、本発明の広さおよび範囲は、前述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。本発明を、特にその特定の実施形態を参照して示し説明してきたが、形および細部に様々な変更を加えることが可能であることが理解されるであろう。
【0089】
[1105] 例えば先に示し説明した刺激システムは、完全に身体の中に配置された電気部材(例えば受動的な電気導体、電気装置など)を含むが、いくつかの実施形態では、刺激システムに完全に身体の中に配置された電気部材がなくてもよい。例えばいくつかの実施形態において、刺激システムは、先に示し説明したタイプの電気刺激装置および接続口を含むことができる。そうした刺激システムでは、皮膚を含まず皮下の体組織を含む刺激経路を介して、電流を電気刺激装置から標的組織へ伝達することができる。
【0090】
[1106] これまで接続口を、皮膚の外側表面と同じ高さ、またはそれより上に位置するように構成された端子表面を有するものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態において、接続口は、依然として身体の外側の領域から利用可能でありながら、皮膚の外側表面より下に位置するように構成された(すなわち窪んだ)端子表面を有することができる。さらに他の実施形態において、接続口は、端子表面の一部が皮膚の外側表面より上に配置され、かつ端子表面の一部が皮膚の外側表面より下に配置されるような非平面の端子表面を有することができる。
【0091】
[1107] 様々な実施形態を、各構成要素の特定の特徴および/または組み合わせを有するものとして説明してきたが、適切な場合には、他の実施形態が、実施形態の任意のものからの任意の特徴および/または構成要素の組み合わせを有するようにすることが可能である。例えばいくつかの実施形態において、刺激システムは、先に示し説明したタイプの任意の接続口、ならびに/または外部の電気装置、内部の電気装置および/もしくは本明細書で示し説明した電気部材の任意の配置を含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、刺激システムは、(図11〜13を参照して先に論じた)円形の固定装置および接続口の遠位部に接触した電気部材を有する、1つまたは複数の接続口を含むことができる。
【技術分野】
【0001】
[1001] 本願は、2006年10月5日出願の「System and Method for Percutaneous Delivery of Electrical Stimulation to a Target Body Tissue」という名称の米国仮特許出願第60/828,376号(その全体を参照によって本明細書に援用する)に対する優先権を請求するものである。本願はまた、2007年10月4日出願の「System and Method for Percutaneous Delivery of Electrical Stimulation to a Target Body Tissue」という名称の米国非仮特許出願第11/867,454号(その全体を参照によって本明細書に援用する)に対する優先権を請求するものであり、またその継続出願である。
【0002】
[1002] 本発明は、一般に医療機器および処置に関し、より詳細には、経皮的な接続口を用いて、身体の外側に配置された電気部材と身体の中に配置された電気部材との間で電流を伝達するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[1003] 身体の外側に配置された電気部材と、標的にした体組織および/または身体の中に配置された電気部材との間で電流を伝達するためのシステムは、様々な医療処置および/または治療処置に用いることができる。例えば経皮的電気神経刺激(TENS)などのいくつかの周知の処置は、標的にした体組織(例えば神経、筋肉など)へ電流を伝えることを含むことができる。他の周知の処置は、身体の中に移植された装置(例えばセンサ)から身体の外側に配置された装置(例えば信号処理装置)へ電流を伝えることを含むことができる。他の周知の処置は、身体の中からの生物学的な電気信号(例えばEMG信号)を感知および処理し、信号を身体の外側に配置された電気装置へ伝えることを含むことができる。
【0004】
[1004] 身体の外側に配置された電気部材と標的にした体組織との間で電流を伝達するためのいくつかの周知のシステムは、身体の皮膚上に配置された1つまたは複数の表面電極を含む。そうした周知のシステムでは表面電極が表皮に貫入していないため、そうした周知のシステムによって送達される電流は、皮膚の電気インピーダンスによって減衰される可能性がある。それに応じて、そうした周知のシステムは、治療上有用な大きさの電流を標的にした体組織まで送達するために、高電圧源および/または高電流源を必要とする場合がある。さらに、皮膚を通過する電流が皮膚の受容体を活性化し、そのために患者が不快(例えば気持ちの悪い感覚)を感じることがある。
【0005】
[1005] 身体の外側に配置された電気部材と標的にした体組織との間で電流を伝達するためのいくつかの周知のシステムは、表皮の下に配置される部分を有する電気コネクタを含む。しかし、そうした周知の電気コネクタは移植が難しい場合があり、また移植後に簡単に外れてしまうことがある。さらに、そうした周知の電気コネクタの移植のために身体の中に画定された経路が、感染および/または不快の原因になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[1006] したがって、身体の外側に配置された電気部材と、標的にした体組織および/または身体の中に配置された電気部材との間で電流を伝達するための、改善されたシステムおよび方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1007] 本明細書では、身体の外側に配置された電気部材と標的にした体組織との間で電気信号を伝達するためのシステムおよび方法について説明する。いくつかの実施形態において、装置は、身体の外側に配置された電気装置と身体の中に配置された電気部材との間で電気信号を伝達するように構成された、経皮的な接続口を含む。経皮的な接続口は、遠位部および近位部を有する。近位部は、身体の外側の領域から利用できるように構成された表面を含む。遠位部は、身体の中に配置されるように構成された固定装置を含む。固定装置は、身体の皮膚に実質的に平行な軸のまわりで湾曲した形を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[1008]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図2】[1009]図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法のフローチャートである。
【図3】[1010]図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図4A】[1011]図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図4B】[1012]図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図4C】図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図4D】図1に示す刺激システムを身体に挿入する方法を示す概略図である。
【図5】[1013]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図6】[1014]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図7】[1015]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図8】[1016]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図9】[1017]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの概略図である。
【図10】[1018]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【図11】[1019]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【図12】[1020]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【図13】[1021]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【図14】[1022]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの一部の概略図である。
【図15】[1023]身体の中に配置された、本発明の実施形態による刺激システムの一部の概略図である。
【図16】[1024]身体の中に配置された、本発明の実施形態による医療機器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1025] いくつかの実施形態において、装置は、身体の外側に配置された電気装置と、身体および/または体組織の中に配置された電気部材との間で電気信号を伝達するように構成された、経皮的な接続口を含む。身体の外側に配置される電気装置は、例えば刺激装置、信号処理装置などとすることができる。身体の中に配置される電気部材は、例えば移植された装置、受動的な電気導体などとすることができる。経皮的な接続口は、遠位部および近位部を有する。近位部は、身体の外側の領域から利用できるように構成された表面を含む。例えばいくつかの実施形態において、近位部の表面は、身体の外側表面と同じ高さ、またはそれより上に位置することができる。遠位部は、身体の中に配置されるように構成された固定装置を含む。固定装置は、身体の皮膚に実質的に平行な軸のまわりで湾曲した形を有する。
【0010】
[1026] いくつかの実施形態において、システムは、身体の外側に配置されるように構成された電気装置、完全に身体の中に配置されるように構成された電気部材、および接続口を含む。電気装置は、例えば刺激装置、信号処理装置などとすることができ、電気信号(例えば電流、電圧など)を少なくとも発生させる、または受け取るように構成される。電気部材は、例えば受動的な電気導体とすることができ、近位端部および遠位端部を有する。接続口は、電気装置と電気部材の間で電気信号を伝達するように構成される。接続口は、接続口の近位部が身体の外側に配置され、接続口の遠位部が身体の中に配置される形で身体に経皮的に挿入されるように構成される。接続口の近位部は、電気装置に動作可能に結合されるように構成される。接続口の遠位部は電気部材に動作可能に結合され、かつ電気部材から間隔をおいて配置される。
【0011】
[1027] いくつかの実施形態において、方法は、電気部材の遠位端部が身体の中の標的位置に配置され、電気部材の近位端部が身体の皮膚の下に配置されるように、電気部材を身体の中の第1の経路に沿って挿入することを含む。接続口は、接続口の近位部が身体の外側の領域から利用可能になるように、身体の中の第2の経路に沿って挿入される。いくつかの実施形態において、接続口は、接続口の遠位部が電気部材の近位端部から間隔をおいて配置され、かつ電気部材の近位端部に動作可能に結合されるように挿入される。いくつかの実施形態では、第2の経路が第1の経路と異なってもよい。
【0012】
[1028] いくつかの実施形態において、方法は、身体の外側に配置された電気装置を、複数の接続口からの第1の接続口および複数の接続口からの第2の接続口に動作可能に結合して、身体の中に第1の接続口と第2の接続口との間の第1の刺激経路を画定することを含む。第1の電気信号が、第1の接続口または第2の接続口の少なくとも一方を介して電気装置から身体の中へ伝達され、その結果、第1の電気信号の一部が身体の中で第1の刺激経路に沿って伝わる。電気装置は複数の接続口からの第3の接続口に動作可能に結合され、身体の中に第1の刺激経路とは異なる第2の刺激経路を画定する。第2の電気信号が、第1の接続口、第2の接続口または第3の接続口の少なくとも1つを介して電気装置から身体の中へ伝達され、その結果、第2の電気信号の一部が身体の中で第2の刺激経路に沿って伝わる。
【0013】
[1029] いくつかの実施形態において、方法は、接続口の遠位部が身体の中の皮下に配置され、かつ身体の中に配置された第1の電気装置から間隔をおいて配置され、接続口の近位部が身体の外側の領域から利用可能になるように、接続口を身体の中に挿入することを含む。その場合、電気信号は、接続口を介して、身体の外側に配置された第2の電気装置から身体の中に配置された第1の電気装置へ伝達される。
【0014】
[1030] 本願は、2006年10月5日出願の「System and Method for Percutaneous Delivery of Electrical Stimulation to a Target Body Tissue」という名称の米国仮特許出願第60/828,376号(その全体を参照によって本明細書に援用する)に対する優先権を請求するものである。しかし本明細書の中で、用語が米国仮特許出願第60/828,376号での用法および/または与えられる定義と一致しない形で使用される、かつ/または定義される場合には、その用語の用法および/または定義は、本明細書において定められると解釈するものとする。
【0015】
[1031] 本明細書において使用される「近位」および「遠位」という単語はそれぞれ、処置中、医療機器または治療機器を使用するオペレータ(例えば外科医、内科医、看護士、技術者など)に近い方向、およびオペレータから離れる方向を指すことができる。例えば最初に患者の身体と接触する医療機器の端部が遠位端になり、医療機器の反対側の端部(例えば、オペレータによって操作される医療機器の端部)が医療機器の近位端になる。同様に、患者の身体の内部の最も遠くに移植された医療機器の端部が遠位端になり、医療機器の反対側の端部(例えば、身体の中に最少量だけ移植された医療機器の端部、または身体の外側に配置された医療機器の端部)が近位端になる。
【0016】
[1032] 本明細書において使用する「電気部材」という単語は、電気回路または電気的処理の一部として使用することができる任意の物体または装置を指す。例えばいくつかの実施形態において、電気部材は、導電線、受動スイッチ、絶縁体、電気コネクタなどの受動的な物体を含むことができる。他の実施形態において、電気部材は、電気信号を発生させる、処理する、受け取る、かつ/または操作する電気装置を含むことができる。そうした電気装置には、例えば信号処理装置、センサ、刺激装置などを含むことができる。
【0017】
[1033] 図1は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム100の概略図である。刺激システム100は、身体Bの外側に配置された電気装置130、身体Bの中に配置された電気部材140、ならびに電気装置130および電気部材140に動作可能に結合された接続口110を含む。接続口110は、スタッド116および固定装置120を含み、近位部111および遠位部112を有する。近位部111は接続表面117を含む。遠位部112は端子表面127を含む。スタッド116は長手方向の軸ALを画定し、接続表面117と端子表面127の間に導電路126を有する。例えばいくつかの実施形態では、導電路126がスタッド116全体を含むようにすることができる。このようにして、本明細書でより詳しく説明するように、電流や電圧などの電気信号を、皮膚Sを含まない電気経路を介して、身体Bの外側の領域と身体Bの中の標的組織Tとの間で伝達することができる。
【0018】
[1034] スタッド116は、スタッドの長手方向の軸ALが皮膚Sの外側表面を含む面と非平行になるように、接続口110の遠位部112から(真皮Dおよび表皮Eを含む)皮膚Sを貫通して延びる。さらにスタッド116は、接続表面117が皮膚Sの外側表面と同じ高さ、またはそれより上に位置するように、皮膚Sを貫通して延びる。言い換えれば、接続口110は、接続表面117が身体Bの外側の領域から利用可能になるように、身体Bの中に配置される。例えばいくつかの実施形態において、接続表面117は、皮膚より0.5mm〜5mmだけ上になるように配置される。このようにして、本明細書でより詳しく論じるように、接続口110の接続表面117に接続線132を電気的に結合することが可能になる。さらにこの配置によって、接続口110の近位端部111が身体Bの外部の物体(例えば患者の衣服)に捕捉されるのを防ぐことが可能になり、また審美的に満足できるものになる。
【0019】
[1035] 固定装置120は、身体Bの皮膚Sの下で接続口110の遠位部112に配置される。固定装置120は、スタッド116の長手方向の軸ALから半径方向に延び、接続口110を身体Bの中の皮下位置に固定する。言い換えれば、固定装置120は、スタッド116の長手方向の軸ALのまわりで実質的に円形である。このようにして、接続口110が身体Bの中の皮下に配置されるとき、固定装置120は身体Bの中で接続口110の位置を保つ。さらに本明細書でより詳しく論じるように、いくつかの実施形態において、固定装置120は、接続口110が身体Bから押し出される、かつ/または排除されるのを阻止するように構成することができる。
【0020】
[1036] 電気装置130は、接続線132によって接続口110に動作可能に結合される。接続線132は、例えば接着剤、スナップ式コネクタ、わに口クリップ、ねじ式コネクタ、溶接、はんだなどの任意の適切な手段によって接続口110に結合することができる。電気装置130を単一の接続線132を介して動作可能に結合されるものとして示しているが、他の実施形態では、例えば双極性の電気接続を確立するために、電気装置130を複数の接続線を用いて接続口110に動作可能に結合することが可能である。そうした実施形態では、接続口110は複数の別個の導電路126を含むことができる。さらに他の実施形態では、物理的な結合または接続線132を用いずに、電気装置130を接続口110に動作可能に結合することができる。例えばいくつかの実施形態では、電気装置130を、流電結合、容量結合、誘導結合、高周波(RF)結合および/または任意の適切な無線結合を介して接続口110に動作可能に結合することができる。
【0021】
[1037] 電気装置130は、電流、電圧などの電気信号を発生させる、かつ/または受け取るように構成された任意の適切な装置とすることができる。例えばいくつかの実施形態では、電気装置130を、治療過程の一部として電流および/または電圧を発生させ、身体Bの中の神経、筋肉などの標的組織Tを刺激するための電気刺激装置とすることができる。他の実施形態では、電気装置130を、標的組織Tおよび/または身体Bの中に配置された電気装置(図1には示さず)によって生成された電気信号を受け取る、かつ/または処理するように構成された信号処理装置とすることができる。
【0022】
[1038] 電気部材140は、近位端部141および遠位端部142を有し、当該電気部材140する導電路148を画定する。電気部材140の近位端部141は、接続口110の遠位端112から間隔をおいて配置され、かつ遠位端112に動作可能に結合される端子146を含む。このようにして、電気信号を、接続口110を介して電気装置130と電気部材140の間で伝達することができる。さらに電気部材140の端子146が接続口110から間隔をおいて配置されるため、接続口110が皮膚Sと一緒に移動する可能性があるが、そうした移動によって電気部材140に力が伝わることはない。言い換えれば、この配置によって、接続口110と電気部材140を機械的に隔離した状態を保ちながら、電気的に結合することが可能になる。
【0023】
[1039] 電気部材140の遠位端部142は、身体の中で標的組織Tに隣接して配置される端子147を含む。例えばいくつかの実施形態において、端子147は、電気部材140の端子147と標的組織Tとの間で電気信号を伝達することが可能になる形で標的組織Tのまわりに配置されるように構成された、1つまたは複数の電極(例えばカフ電極)を含むことができる。
【0024】
[1040] 刺激システム100は、2006年1月23日出願の「Method of Routing Electrical Current to Bodily Tissues Via Implanted Passive Conductors」という名称の米国特許出願公開第2006/0184211号(その全体を参照によって本明細書に援用する)に記載されたように使用することが可能である。例えばいくつかの実施形態では、病状を治療するために、刺激システム100を用いて電気刺激を電気装置130から接続口110を介して皮膚Sを通過させ、標的組織Tへ送達することができる。例えばいくつかの実施形態では、刺激システムを痛みの治療(例えば手根管症候群、関節炎、外傷などによって引き起こされる痛み)、筋肉のリハビリテーションなどに用いることができる。
【0025】
[1041] 例えばいくつかの実施形態において、電気装置130は、治療刺激に適した特性を有する電流を発生させることができる。例えばいくつかの実施形態において、電気装置130は、約1mAの振幅および1秒あたり約50パルスのパルス周波数を有するパルス電流を発生させることができる。電流は、接続線132を介して電気装置130から接続口110の近位端111へ伝達することができる。
【0026】
[1042] 前述のようにスタッド116は、接続口110の近位端111から接続口110の遠位端112へ電気信号を伝達できるような導電路126を画定する。接続口110の導電路126は、皮膚Sの電気インピーダンスより小さい電気インピーダンスを特徴とする。このようにして、例えば電流とすることができる電気信号を、あまり減衰することなく身体Bの外側の領域から皮膚Sを通して伝達することができる。言い換えれば、電気信号を、皮膚Sを含まない電気経路を介して、身体Bの外側の領域から皮膚Sを通して伝達することができる。
【0027】
[1043] 次いで電気信号を、電気結合によって接続口110の遠位端部112から電気部材140の端子146へ伝達することができる。次いで電気信号を、電気部材140によって画定される導電路を介して、端子146から端子147へ伝達することができる。このようにして、あまり減衰することなく、電気信号を電気装置130から身体Bの中の標的組織Tへ伝達することができる。言い換えれば、この配置によって、電気装置130によって生成された電気信号を、皮膚Sを含まない電気経路(図1には示さず)を介して標的組織Tへ伝達することが可能になる。
【0028】
[1044] 身体Bの中での接続口110の経皮挿入を容易にするために、接続口110は任意の適切な形および大きさとすることができる。例えばいくつかの実施形態において、接続口110のスタッド116は、1mm〜3mmの直径を有する円筒形とすることができる。他の実施形態において、接続口110のスタッド116は、約1mmの直径を有することができる。同様にいくつかの実施形態において、固定装置120は、10mm〜30mmの直径および1mm〜3mmの厚さを有するディスク形とすることができる(例えば固定装置120を、スタッド116の長手方向の軸ALのまわりで実質的に円形とすることができる)。他の実施形態において、固定装置120は、約20mmの直径および約2mmの厚さを有するディスク形とすることができる。
【0029】
[1045] 接続口110は、適切な特性を有する任意の材料または材料の組み合わせから構成することができる。そうした適切な材料特性には、生体適合性、電気伝導率および/またはインピーダンス、機械的強度などが含まれる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110を剛性材料から構成することができる。他の実施形態では、接続口110を、接続口110が身体Bの中に配置されるときに変形するように構成された可撓性材料から構成することができる。同様にいくつかの実施形態では、接続口110を一体として構成することができる。他の実施形態では、接続口110を別個に形成された構成要素の組立体とすることができる。
【0030】
[1046] いくつかの実施形態では、接続口110および/または接続口110のスタッド116を導電材料から構成することができる。このようにして、導電路126が接続口110の全体および/またはスタッド116を含むようにすることが可能である。そうした導電材料は、皮膚Sおよび/または皮膚Sの下の皮下組織の電気伝導率より大きい電気伝導率を有することができる。そうした導電材料には、例えばチタン、パイロライトカーボン、ステンレス鋼、白金、イリジウム、カーボンおよびそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110を、白金、イリジウム、パイロライトカーボン、蒸着させたカーボンなどの層でめっきしたチタンから構成し、チタンの酸化を防止して接続口110の電気伝導率を改善することができる。
【0031】
[1047] いくつかの実施形態において、接続口110は、導電材料と電気絶縁材料の両方を含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、スタッド116は、第1の部分(図1には示さず)および第2の部分(図1には示さず)を含むことができる。第1の部分は、例えば剛性のエポキシ、ポリカーボネート、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンおよびポリスルホン(PSU)などの電気絶縁材料から構成することができる。第2の部分は導電材料から構成することが可能であり、接続表面117から端子表面127まで延びることができる。このようにして第2の部分は、接続表面117と端子表面127の間に導電路126を画定することができる。いくつかの実施形態では、第2の部分を、例えば電気絶縁材料の中に配置された線とすることができる。他の実施形態では、第2の部分を、例えばスタッド116の第1の部分のまわりのめっきとすることができる。
【0032】
[1048] 図2は、本発明の実施形態に従って刺激システム100を身体Bの中に配置する方法200のフローチャートである。図2に示した方法について、身体Bの中に配置された刺激システム100の概略図である図3を参照しながら論じる。その方法は、電気部材の近位端が身体の皮膚の下に配置されるように、電気部材を身体の中の第1の挿入路に沿って挿入することを含む(202)。図3を参照すると、電気部材140は、矢印AAで示すように切開部I1を通して身体Bに挿入される。電気部材140は、電気部材140の近位端141が身体Bの皮膚Sの下に配置されるように、身体Bの中の(図3に破線で示す)第1の挿入路PINS1に沿って移動される。言い換えれば、電気部材140が完全に身体Bの中に配置されるまで、電気部材140は身体Bの中の第1の挿入路PINS1に沿って挿入される。いくつかの実施形態において、電気部材140の遠位端142は、例えば神経、筋肉などとすることができる標的組織Tに隣接して配置される。
【0033】
[1049] いくつかの実施形態では、電気部材140は経皮的に挿入される。他の実施形態では、電気部材140の挿入は、体組織の拡張および/または第1の挿入路PINS1の形成を含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、電気部材140の遠位端142は、身体Bの一部を拡張させるように構成することができる。他の実施形態において、第1の挿入路PINS1は、例えば挿入プローブ、トロカールなどの分離手段によって形成することができる。
【0034】
[1050] 図2に示すフローチャートに戻ると、接続口は、接続口の近位部が身体の外側の領域から利用可能になるように、身体の中の第2の挿入路に沿って挿入される(204)。いくつかの実施形態では、例えば接続口を、接続口の遠位部が電気部材の近位端部から間隔をおいて配置され、かつ電気部材の近位端部に動作可能に結合されるように挿入することができる(204)。図4を参照すると、接続口110は、矢印CCで示すように切開部I2を通して身体Bに挿入される。接続口110は、固定装置120が身体Bの中の皮下に配置されるように、身体Bの中の(図3に破線で示す)第2の挿入路PINS2に沿って移動される。このようにして、前述のように固定装置120は、身体Bの中で接続口110の位置を保つことができる。
【0035】
[1051] 接続口110の遠位部112は、任意の適切な手段によって電気部材140の近位端部141に動作可能に結合することができる。言い換えれば、接続口110の遠位部112は、接続口110および電気部材140を間隔をおいて配置できるようにする任意の適切な手段によって、電気部材140に電気的に結合することができる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110を、流電結合によって電気部材140に電気的に結合することができる。他の実施形態では、接続口110を、容量結合によって電気部材140に電気的に結合することができる。さらに他の実施形態では、接続口110を、誘導結合によって電気部材140に電気的に結合することができる。さらに他の実施形態では、接続口110を、高周波結合または任意の他の適切な無線結合によって電気部材140に電気的に結合することができる。
【0036】
[1052] 図3に示すように、第1の挿入路PINS1は第2の挿入路PINS2とは異なる。例えばいくつかの実施形態において、第1の挿入路PINS1の中心線CL1は、第2の挿入路PINS2の中心線CL2から角度を付けてオフセットさせることができる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、第1の挿入路PINS1の経路が第2の挿入路PINS2の経路と異なってもよい。このようにして、第1の切開部I1を第2の切開部I2から間隔をおいて配置することができる。この配置によって、第1の切開部I1および/または第2の切開部I2を身体Bの目立たない位置に設けることが可能になる。さらに電気部材140および接続口110を別個の挿入路を介して挿入することによって、第1の挿入路PINS1が第2の挿入路PINS2とは異なる大きさ(例えば直径および/または深さ)を有することが可能になる。このように、第1の挿入路PINS1は、電気部材140の特性のみに基づいて画定することができる。同様に第2の挿入路PINS2は、接続口110の特性のみに基づいて画定することができる。
【0037】
[1053] 図2に戻ると、いくつかの実施形態において、その方法は、任意選択で接続口の近位部を電気装置に動作可能に結合することを含むことができる(206)。いくつかの実施形態では、電気装置を身体の外側に配置することができる。例えばいくつかの実施形態では、電気装置を、電気信号を少なくとも発生させる、または処理するように構成された、身体の外側に配置された刺激装置とすることができる。他の実施形態では、電気装置を信号処理装置とすることができる。
【0038】
[1054] これまで接続口110の遠位部112を、電気部材140の近位端部141から間隔をおいて配置されるものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態では、接続口110の遠位部112を電気部材140の近位端部141と接触させる、係合させる、かつ/または機械的に結合させることができる。例えば図4Aは、本発明の実施形態に従って身体Bの中に配置された刺激システム100の概略図である。身体B内での刺激システム100の配置は、接続口110が電気部材140の近位端部141と接触している点において、図3に示した身体B内での刺激システム100の配置と異なっている。この配置は、接続口110の遠位端112が電気部材140の近位端部141に接触するまで、接続口110を第2の挿入路PINS2に沿って挿入することによって得ることができる。
【0039】
[1055] 他の実施形態では、接続口110および/または電気部材140を身体Bに挿入する前に、接続口110を電気部材140の近位端部141に結合することができる。例えば図4B〜4Dは、本発明の実施形態に従って刺激システム100を身体Bに挿入する方法の概略図である。図4Bに示すように、電気部材140は、矢印DDで示すように切開部I1を通して身体Bに挿入される。電気部材140は、電気部材140の近位端141が身体Bの皮膚Sの下に配置されるように、身体Bの中の(図4Bに破線で示す)第1の挿入路PINS1に沿って移動される。いくつかの実施形態では、電気部材140の遠位端142は、例えば神経、筋肉などとすることができる標的組織Tに隣接して配置される。
【0040】
[1056] 図4Cに示すように、接続口110は、矢印EEで示すように切開部I1を通して身体Bに挿入される。接続口110は、身体Bの中の(図4Bに破線で示す)第2の挿入路PINS2に沿って移動される。まず接続口110の近位部111を第2の挿入路PINS2に沿って移動させるものとして示しているが、他の実施形態では、接続口を、まず遠位部112を用いて第2の挿入路PINS2に沿って移動させることができる。
【0041】
[1057] 図4Dに示すように、次いで接続口110の近位部111は、矢印FFで示すように皮膚Sを貫通して配置される。このようにして、接続口110は、固定装置120が身体B内の皮下に配置され、近位部111の端子表面117が身体Bの外側の領域から利用可能になるように、身体Bの中に配置される。それに応じて、前述のように固定装置120は、身体Bの中で接続口110の位置を保つことができるようになる。言い換えれば、その場合、接続口110の近位部111は皮膚Sを貫通して配置され、第2の切開部I2を画定する。
【0042】
[1058] 図4Aでは、刺激システム100を2つの挿入路(すなわちPINS1およびPINS2)を介して挿入されるものとして示し説明しているが、他の実施形態では、刺激システム100を単一の挿入路を介して挿入することができる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110の遠位端112を、挿入前に電気部材140の近位端部141に結合することが可能であり、次いでその組立体を単一の挿入路を介して挿入することができる。接続口110の遠位端112は、任意の適切な手段によって電気部材140の近位端部141に結合することができる。例えばいくつかの実施形態では、接続口110の遠位端112を、接続接着剤、磁気結合、溶接、はんだ付けおよび/または圧着によって、電気部材140の近位端部141に結合することができる。
【0043】
[1059] 刺激システム100を、身体Bの中に経皮的に配置される1つの接続口110を有するものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態において、刺激システムは、身体の中に経皮的に配置される複数の接続口を有することができる。さらに他の実施形態において、刺激システムは、身体の中に経皮的に配置される1つまたは複数の接続口、および身体の表面上に配置される1つまたは複数の表面電極を有することができる。さらに他の実施形態において、接続口は複数の別個の導電路を有することがきる。
【0044】
[1060] 例えば図5は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム300の概略図である。刺激システム300は、身体Bの外側に配置された電気刺激装置330、身体Bの中に配置された電気部材340、接続口310および表面電極335を含む。接続口310は陰電極として働くことが可能であり、また先に示し説明した接続口110と同様である。接続口310は、接続口310の固定装置320が皮下に配置され、身体Bの中で接続口310の位置を保つように、身体Bの中に配置される。接続口310は、接続線332によって電気刺激装置330に電気的に結合される。接続口310は電気部材340に(例えば流電結合によって)電気的に結合され、かつ電気部材340から間隔をおいて配置される。
【0045】
[1061] 前述のように電気部材340は、近位端部341および遠位端部342を有し、当該電気部材340する導電路を画定する。電気部材340の近位端部341は、接続口310から間隔をおいて配置され、かつ接続口310に動作可能に結合される端子346を含む。電気部材340の遠位端部342は、身体の中で標的組織Tに隣接して配置される端子347を含む。このようにして、例えば電流などの電気信号を、接続口310を介して電気刺激装置330から身体Bの中の標的組織T(例えば神経組織)へ伝達することができる。さらに、皮膚Sを含まない電気経路を介して、電気刺激装置330から身体Bの中の標的組織Tへ電流を伝達することができる。
【0046】
[1062] 表面電極335は陽電極として働くことが可能であり、皮膚Sの表面上に配置される。皮膚Sの表面上での表面電極335の位置は、例えば導電性のゲル、接着剤、湿式の電極、嵌め込み式の覆いなどの適切な手段によって保つことができる。表面電極335は、接続線333によって電気刺激装置330に電気的に結合される。表面電極335は、身体Bへ電気信号を伝える、かつ/または身体Bから電気信号を受け取るための任意の適切な電極とすることができる。例えばいくつかの実施形態では、表面電極335をゲル電極とすることができる。他の実施形態では、表面電極335を、電気リードを有する可撓性のディスク型電極とすることができる。同様に表面電極335を、例えば導電性電解質のゲル、導電性ゴム、導電性プラスチック、金属メッシュ、金属板、金属化されたゴムおよび/またはプラスチックなどの任意の適切な材料から構成することができる。
【0047】
[1063] 使用時に電気刺激装置330は、治療刺激に適した特性を有する電流を発生させることができる。電流は、接続口310、電気部材340、およびそれらの間の皮下の体組織を含む身体Bの中の(図5に破線で示す)第1の刺激経路PSTIM1に沿って流れる。このようにして、電流の少なくとも一部を電気刺激装置330から標的組織Tへ伝達することができる。次いでその一部の電流が、皮下の体組織および皮膚を含む身体Bの中の(図5に破線で示す)第2の刺激経路PSTIM2を介して表面電極335に戻る。
【0048】
[1064] 刺激システム300を、1つの陰電極(すなわち接続口310)および1つの陽電極(すなわち表面電極335)を含むものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態において、刺激システムは、陰電極としても陽電極としても機能することが可能な、少なくとも1つの電極および/または接続口を含むことができる。他の実施形態において、刺激システムは、複数対の陰電極および/または複数の陽電極として機能するように構成された、複数の表面電極および/または接続口を含むことができる。このように、本発明の実施形態による刺激システムは、2つ以上の刺激経路を介して電流を身体の中へ伝達することができる。
【0049】
[1065] さらに先に示し説明した刺激システムは、完全に身体の中に配置された電気部材(例えば受動的な電気導体、電気装置など)を含むが、いくつかの実施形態では、刺激システムに完全に身体の中に配置された電気部材がなくてもよい。例えばいくつかの実施形態において、刺激システムは、先に示し説明したタイプの電気刺激装置および接続口を含むことができる。そうした刺激システムでは、皮膚を含まず皮下の体組織を含む刺激経路を介して、電気信号を電気刺激装置から標的組織へ伝達することができる。
【0050】
[1066] 例えば図6は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム400の概略図である。刺激システムは、身体Bの外側に配置された電気刺激装置430、4つの接続口410A〜410Dおよび4つの表面電極435A〜435Dを含む。接続口410A〜410Dは、先に示し説明した接続口と同様であり、一連の接続線432によって電気刺激装置430に電気的に結合される。表面電極435A〜435Dは、先に示し説明した接続口と同様であり、一連の接続線433によって電気刺激装置430に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、刺激システム400は、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの少なくとも第1の対を電気刺激装置430に電気的に結合すると同時に、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの少なくとも第2の対を電気的に隔離することが可能になるように、マルチプレクサ(図7には示さず)を含むことができる。このようにして、以下に示すように、接続口410A〜410Dおよび表面電極435A〜435Dの配列を用いて、身体Bの中に複数の異なる刺激経路を画定することができる。さらにマルチプレクサは、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dを電気的に結合して、双極刺激または単極刺激を送達するように構成することができる。
【0051】
[1067] 例えば刺激システム400を、電気刺激装置430が第1の接続口410Aおよび第2の接続口410Bに電気的に結合される第1の構成として配置することができる。前述のように電気刺激装置430は、治療刺激に適した特性を有する電流を発生させる。電流は、電気刺激装置430から第1の接続口410Aまで流れることができる。次いで、電流を身体Bの中で、第2の接続口410Bで終わる第1の刺激経路PSTIM1を介して伝達することができる。このようにして、電流を電気刺激装置430から、例えば第1の末梢神経PN1を含むことができる第1の標的組織T1へ伝達することが可能になる。
【0052】
[1068] 図6に示すように、刺激システム400を、電気刺激装置430が第2の接続口410Bおよび第2の表面電極435Bに電気的に結合される第2の構成として配置することができる。電気刺激装置430からの電流は、電気刺激装置430から第2の接続口410Bまで流れることができる。次いで、電流を身体Bの中で、第2の表面電極435Bで終わる第2の刺激経路PSTIM2を介して伝達することができる。このようにして、電流を電気刺激装置430から、例えば第2の末梢神経PN2を含むことができる第2の標的組織T2へ伝達することが可能になる。
【0053】
[1069] 同様に刺激システム400を、電気刺激装置430が第3の接続口410Cおよび第4の接続口410Dに電気的に結合される第3の構成として配置することができる。電気刺激装置430からの電流は、電気刺激装置430から第3の接続口410Cまで流れることができる。次いで、電流を身体Bの中で、第4の接続口410Dで終わる第3の刺激経路PSTIM3を介して伝達することができる。このようにして、電流を電気刺激装置430から、例えば第3の末梢神経PN3を含むことができる第3の標的組織T3へ伝達することが可能になる。
【0054】
[1070] 同様に刺激システム400を、電気刺激装置430が第3の接続口410Cおよび第4の表面電極435Dに電気的に結合される第4の構成として配置することができる。電気刺激装置430からの電流は、電気刺激装置430から第3の接続口410Cまで流れることができる。次いで、電流を身体Bの中で、第4の表面電極435Dで終わる第4の刺激経路PSTIM4を介して伝達することができる。このようにして、電流を電気刺激装置430から、例えば第4の末梢神経PN4を含むことができる第4の標的組織T4へ伝達することが可能になる。
【0055】
[1071] 同様の形で、電流(単極または双極)を身体Bの中で接続口410A〜410Bの任意の組み合わせへ伝達するように、表面電極435A〜435Dの任意の組み合わせを選択することができる。同様に、電流を身体Bの中で伝達して1つまたは複数の標的組織T1〜T4を刺激するように、接続口410A〜410Dの任意の組み合わせを選択することができる。言い換えれば、標的体組織の特定領域を刺激するために、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの配列を選択的に用いることができる。
【0056】
[1072] 接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの選択は、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの各対を電気刺激装置430に繰り返し電気的に結合し、患者の応答を測定して望ましい選択を決定することによって、手動で実施することができる。あるいはいくつかの実施形態において、刺激システム400は、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dを電気刺激装置430に対して自動的に選択し、電気的に結合するように構成された処理装置を含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、刺激システム400は、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dの様々な組み合わせの間のインピーダンスに基づき、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435Dを電気刺激装置430に対して自動的に選択する、かつ/または電気的に結合するように構成された処理装置を含むことができる。他の実施形態において、刺激システム400は、測定された患者からの応答(例えば、筋肉の応答および/または言葉による応答)、および/または使用者による直接入力(例えば患者の応答に依存しない入力)に基づき、接続口410A〜410Dおよび/または表面電極435A〜435を自動的に選択する、かつ/または電気的に結合するように構成された処理装置を含むことができる。
【0057】
[1073] これまで刺激システムを、電流を伝達して身体の中の標的組織を刺激するように構成されたものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態では、刺激システムを、電気信号を身体の中に配置された電気装置へ伝達するように構成することができる。例えば図7は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム500の概略図である。刺激システム500は、身体Bの外側に配置された電気刺激装置530、身体Bの中に配置された電気部材540、身体の中に配置された電気装置550、および接続口510を含む。接続口510は、先に示し説明した接続口と同様であり、接続口510の遠位部512が身体Bの中で電気部材540に隣接して皮下に配置されるように、身体Bの中に配置される。接続口510の近位部511は、接続線532によって電気刺激装置530に電気的に結合される。
【0058】
[1074] 前述のように電気部材540は、近位端部541および遠位端部542を有し、当該電気部材540する導電路を画定する。近位端部541は、接続口510から間隔をおいて配置され、かつ(例えば流電結合によって)接続口510に動作可能に結合される。電気部材540の遠位端部542は、電気装置550に電気的に結合される。このようにして、電気信号を、接続口510を介して電気刺激装置530から身体Bの中の電気装置550へ伝達することができる。さらに電気信号を、皮膚Sを含まない電気経路を介して、電気刺激装置530から電気装置550へ伝達することができる。
【0059】
[1075] 電気装置550は、電流、および/または電気信号を受け取る任意の電気装置によって動力を供給される任意の電気装置とすることができる。例えばいくつかの実施形態では、電気装置550を、身体内のパラメータを入手するために身体Bの中に移植されたセンサとすることができる。そうしたセンサには、例えば神経電図(ENG)センサ、筋電図(EMG)センサ、心電図(ECG)センサ、温度センサ、圧力センサ、pHセンサ、傾斜センサ、加速度計、ジャイロスコープ、変位センサおよび/またはインピーダンスセンサを含むことができる。他の実施形態では、電気装置550を、例えば増幅器、フィルタ、高電圧/定電流発生装置、電気スイッチ、電源、電池(小型の充電式電池を含む)、電池充電回路、処理装置、周波数シフタ、過剰刺激の保護回路および/または通信モジュール(有線または無線)など、身体Bの中に移植された電気回路の一部とすることができる。
【0060】
[1076] 使用時に電気刺激装置530は、電気装置550に関連付けられた特徴を有する電気信号(例えば電流)を発生させる。電気信号は、接続口510、皮膚Sを含まない電気経路を介して、電気刺激装置530から身体Bの中の電気装置550へ伝達することができる。それに応じて、電気信号が皮膚Sを通過しないため、電気信号は皮下の体組織に害を及ぼさない任意の振幅および/または周波数を有することができる。
【0061】
[1077] 刺激システム500を、電気部材540の遠位端部542に結合された単一の電気装置550を含むものとして示しているが、他の実施形態では、電気装置550を電気部材540の任意の部分に結合することができる。さらに他の実施形態では、刺激システムは複数の電気装置550および/または複数の電気部材540を含むことができる。例えば図8は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による刺激システム600の概略図である。刺激システム600は、身体Bの外側に配置された電気刺激装置630、それぞれが身体Bの中に配置された第1の電気部材640Aおよび第2の電気部材640B、それぞれが身体Bの中に配置された第1の電気装置650Aおよび第2の電気装置650B、接続口610ならびに表面電極635を含む。接続口610は、先に示し説明した接続口と同様であり、接続口610の遠位部612が身体Bの中で電気部材640に隣接して皮下に配置されるように、身体Bの中に配置される。接続口610は、接続線632によって電気刺激装置630に電気的に結合される。
【0062】
[1078] 表面電極635は皮膚Sの表面上に配置され、接続線633によって電気刺激装置630に電気的に結合される。前述のように表面電極635は、身体Bへ電気信号を伝える、かつ/または身体Bから電気信号を受け取るための任意の適切な電極とすることができる。
【0063】
[1079] 第1の電気部材640Aは、近位端部641A、遠位端部642Aおよび中央部649Aを有し、当該第1の電気部材640Aする導電路を画定する。第1の電気部材640Aの近位端部641Aは、接続口610に電気的に結合される。第1の電気部材640Aの中央部649Aは、第1の電気装置650Aに電気的に結合される。第1の電気部材640Aの遠位端部642Aは、身体の中で標的組織Tに隣接して配置される。このようにして、電気信号を、接続口610を介して電気刺激装置630から第1の電気装置650Aへ、次いで標的組織Tへ伝達することができる。言い換えれば、この配置によって、電気信号を順次、第1の電気装置650Aおよび標的組織Tへ伝達することが可能になる。前述のように、電気信号を、体組織を含む刺激経路PSTIMを介して表面電極635に戻すことができる。
【0064】
[1080] 第2の電気部材640Bは、近位端部641Bおよび遠位端部642Bを有し、当該第2の電気部材640Bする導電路を画定する。第2の電気部材640Bの近位端部641Bは、第1の電気部材640Aと並行して接続口610に電気的に結合される。第2の電気部材640Bの遠位端部642Bは、第2の電気装置650Bに電気的に結合される。このように標的組織Tの刺激と並行して、電気信号を、電気刺激装置630から第2の電気装置650Bへ伝達することができる。
【0065】
[1081] これまで刺激システムを、電気信号を標的組織および/または移植された電気装置へ伝達するものとして示し説明しているが、他の実施形態では、医療システムが、標的組織および/または移植された電気装置からの電気信号を受け取るようにすることができる。そうした電気信号には、例えば身体内の神経組織からの単極性信号および両極性信号(例えば神経電図、すなわちENG信号)を含むことができる。例えば図9は、身体Bの中に配置された、本発明の実施形態による医療システム700の概略図である。医療システム700は、身体Bの外側に配置された電気装置730、第1の電気部材740Aおよび第2の電気部材740B、身体の内側に配置された電気装置750、第1の接続口710Aおよび第2の接続口710Bを含む。
【0066】
[1082] 第1の接続口710Aは、先に示し説明した接続口と同様であり、第1の接続口710Aの遠位部712Aが身体Bの中で第1の電気部材740Aに隣接して皮下に配置されるように、身体Bの中に配置される。第1の接続口710Aは、接続線732によって電気装置730に電気的に結合される。同様に第2の接続口710Bは、第2の接続口710Bの遠位部712Bが身体Bの中で第2の電気部材740Bに隣接して皮下に配置されるように、身体Bの中に配置される。第2の接続口710Bは、接続線732によって電気装置730に電気的に結合される。
【0067】
[1083] 身体Bの外側に配置される電気装置730は、電気信号を受け取る、かつ/または処理するように構成された任意の電気装置とすることができる。いくつかの実施形態では、電気装置を信号処理装置とすることができる。他の実施形態では、電気装置を、例えばデータロガー、ストリップチャートレコーダなどの電気的なデータ記録装置とすることができる。身体Bの内側に配置される電気装置750は、例えばセンサ、増幅器、フィルタ、通信モジュールなど、身体の中に移植されるように構成された任意の電気装置とすることができる。
【0068】
[1084] 第1の電気部材740Aは、近位端部741A、遠位端部742Aおよび中央部749Aを有し、当該第1の電気部材740Aする導電路を画定する。第1の電気部材740Aの近位端部741Aは、第1の接続口710Aに電気的に結合される。第1の電気部材740Aの中央部749Aは、身体Bの中に配置された電気装置750に電気的に結合される。第1の電気部材740Aの遠位端部742Aは、身体Bの中で第1の標的組織T1に隣接して、または第1の標的組織T1のまわりに配置される端子表面747A(例えば電気ピックアップ)を含む。第1の標的組織T1は、例えば神経N上の第1の位置とすることができる。
【0069】
[1085] 第2の電気部材740Bは、近位端部741Bおよび遠位端部742Bを有し、当該第2の電気部材740Bする導電路を画定する。第2の電気部材740Bの近位端部741Bは、第2の接続口710Bに電気的に結合される。第2の電気部材740Bの遠位端部742Bは、身体Bの中で第2の標的組織T2に隣接して配置される端子表面747B(例えば電気ピックアップ)を含む。第2の標的組織T2は、例えば第1の位置から間隔をおいて配置された、神経N上の第2の位置とすることができる。
【0070】
[1086] 使用時に端子表面747Aおよび747Bはそれぞれ、神経Nによって生成された第1の電気信号および第2の電気信号を受け取ることができる。第1の電気信号は、電気部材740Aを介して端子表面747Aから身体Bの中に配置された電気装置750へ伝達することができる。いくつかの実施形態において、電気装置750は、例えば信号を増幅し、信号を処理することなどによって第1の電気信号を処理することができる。このようにして、第1の電気信号が身体Bの外側の電気装置730へ伝達される前に、第1の電気信号の質を改善することができる。次いで、結果として生じる第1の電気信号を、第1の接続口710Aを介して身体Bの外側に配置された電気装置730へ伝達することができる。同様に第2の電気信号を、第2の接続口710Bを介して、端子表面747Bから身体Bの外側に配置された電気装置730へ伝達することができる。
【0071】
[1087] いくつかの実施形態では、先に示し説明した接続口を、生体組織(例えば真皮および/または表皮)と結合してシールを形成する生体適合材料から構成することができる。例えば図10は、身体Bの中に経皮的に配置された、本発明の実施形態による接続口810の概略図である。接続口810は、スタッド816および固定装置820を含み、近位部811および遠位部812を有する。近位部811は接続表面817を含む。遠位部812は端子表面827を含む。スタッド816は、第1の電気伝導率を有する第1の材料から構成された外側部分828、および第1の材料の電気伝導率より大きい第2の電気伝導率を有する第2の材料から構成された内側部分829を含む。このようにして、内側部分829は、接続表面817と端子表面827の間に導電路826を画定する。
【0072】
[1088] 前述のように固定装置820は、接続口810の遠位部812に配置され、かつ身体Bの皮膚Sの下に配置される。固定装置820はスタッド816から外側へ延び、接続口810を身体Bの中の皮下位置に固定する。
【0073】
[1089] 接続口810の外側表面814の少なくとも一部は、スタッド816および/または固定装置820の外側表面814のまわりで柔らかい体組織が内部成長するのを促進するように構成された、繊維状および/または多孔性の層815で被覆される。繊維状および/または多孔性の層815は外側表面814の一部のまわりに配置され、接続口810が移植されたとき、繊維状および/または多孔性の層815は皮膚Sの真皮Dの中に配置されるようになる。このようにして、繊維状および/または多孔性の層815は、(図10に矢印CCで示すように)表皮Eの下方への成長を妨げ、かつ/また真皮Dの接続口810への結合を促進することができる。言い換えれば、繊維状および/または多孔性の層815によって、表皮細胞の増殖によって皮膚Sの切開部を閉じる、かつ/または接続口810を押し出す身体の自然の性向を制限することができる。
【0074】
[1090] 繊維状および/または多孔性の層815は、任意の適切な材料から構成することができる。いくつかの実施形態において、繊維状および/または多孔性の層815は、例えばチタン、無光沢のチタン、ニチノール、銀またはステンレス鋼などの1つまたは複数の生体適合性の金属材料を含むことができる。他の実施形態において、繊維状および/または多孔性の層815は、例えばDacron(商標)、Teflon(商標)、 ポリオレフィン類、ナイロン、シリコーン、可撓性のあるポリウレタン、ポリプロピレン、ガラス状の炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレンなどの1つまたは複数の高分子材料を含むことができる。さらに他の実施形態において、繊維状および/または多孔性の層815は、細かい柱状構造(trabecularized)の炭素およびチタンのコーティングを含むことができる。さらに他の実施形態において、繊維状および/または多孔性の層815は抗菌剤を含むことができる。そうした薬剤を、繊維状および/または多孔性の層815、スタッド816ならびに/あるいは固定装置820の上にコートする、それらの中に移植する、かつ/または含浸させることができる。そうした薬剤には、例えば抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤および他の治癒剤(例えば、銀または銀のコーティング)を含むことができる。
【0075】
[1091] 先に示し説明した接続口110は、スタッド116から半径方向に延びる固定装置120を含むが、いくつかの実施形態において、固定装置120は、スタッド116に対して任意の適切な形および/または向きを有することができる。例えばいくつかの実施形態において、接続口は、鋭い縁部および/またはきつい凹面のない楕円形を有する固定装置を含むことができる。他の実施形態において、接続口は、身体内で接続口の位置を保つように構成された複数の表面を有する固定装置を含むことができる。そうした表面は、例えば身体内で接続口の位置を保つために、それぞれが皮膚および/または皮下組織の一部と係合および/または接触するように構成された、不連続な表面とすることができる。さらに他の実施形態において、接続口は、身体内で接続口の位置を協働して保つように構成された複数の部材を有する固定装置を含むことができる。
【0076】
[1092] 図11は、身体Bの中に経皮的に配置された、本発明の実施形態による接続口910の正面図である。接続口910は、近位部911および遠位部912を有する。近位部911は接続表面917を含む。接続表面917は、皮膚Sの外側表面と実質的に平行になるように構成される。言い換えれば、接続表面917は、接続口910がそれを通して身体Bに経皮的に挿入される挿入路PINSの中心線CLに対して実質的に垂直である。
【0077】
[1093] 遠位部912は固定装置920を含む。固定装置920は、皮膚Sの外側表面と実質的に平行な軸ACのまわりで円形を有する。言い換えれば、固定装置920は、挿入路PINSの中心線CLに実質的に垂直な軸のまわりで円形を有する。いくつかの実施形態では、例えば固定装置は軸ACのまわりで環状形を有する。図11は接続口910の正面図であるため、軸ACは点として示され、頁から延びることになる。固定装置920は開口部919を画定し、その一部が皮膚Sの下に配置される。このようにして、図11に示すように、固定装置920を電気部材940のまわりに配置することができる。前述のように電気部材940は、電気信号を接続口910から身体B内の組織および/または装置に伝達するための導電路を画定する、任意の移植可能な部材とすることができる。
【0078】
[1094] 図12は、身体Bの中に経皮的に配置された、本発明の実施形態による接続口1010の正面図である。接続口1010は、近位部1011および遠位部1012を有する。近位部1011は接続表面1017を含む。遠位部1012は、固定装置1020および拡張器1018を含む。固定装置1020は、図11を参照して前述した固定装置920と同様であり、皮膚Sの外側表面と実質的に平行な軸ACのまわりで円形を有する。拡張器1018は、接続口1010が身体に挿入されるとき、体組織を移動させるように構成されたテーパ部1024を有する。
【0079】
[1095] 先に示し説明した接続口910および1010は、連続的な円形を有する固定装置を含むが、他の実施形態において、接続口は、不連続な円形を画定する複数の部材を有する固定装置を含むことができる。例えば図13は、身体Bの中に経皮的に配置された、本発明の実施形態による接続口1110の正面図である。接続口1110は、近位部1111および遠位部1112を有する。近位部1111は接続表面1117を含む。遠位部1112は、第1の部材1121および第2の部材1122を有する固定装置1120を含む。第1の部材1121および第2の部材1122は協働して、皮膚Sの外側表面と実質的に平行な軸ACのまわりで円形を画定する。しかし、第1の部材1121および第2の部材1122の遠位端は間隔をおいて配置され、円形は不連続である。
【0080】
[1096] これまで固定装置を、接続口の他の部分に対して定位置にあるものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態では、固定装置の少なくとも一部が接続口の他の部分に対して移動することができる。例えばいくつかの実施形態において、接続口は、第1の部材、および第1の部材に対して移動可能な第2の部材を有する固定装置を含むことができる。このようにして、第2の部材が第1の部材に対して移動し、固定装置を第1の構成(例えば挿入用の構成)と第2の構成(例えば固定用の構成)の間で移動させることが可能になる。他の実施形態において、接続口は、接続口の近位端に対して移動可能な、一体として構成された固定装置を含むことができる。このようにして、接続口が第1の構成と第2の構成の間で移動することが可能になる。さらに他の実施形態において、接続口は、移動可能な固定装置、および所定の構成(例えば、挿入用の構成または固定用の構成)で移動可能な固定装置を偏倚させるように構成された偏倚部材を含むことができる。
【0081】
[1097] これまで接続線を、接続口の近位部に機械的に結合されるものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態では、介在する構造体を用いて、接続線と接続口を機械的および/または電気的に結合することができる。例えば図14は、本発明の実施形態による刺激システム1200の一部を示している。刺激システム1200は、少なくとも1つの接続口1210、表面電極1235、接続線1232、および身体Bの中に移植された電気部材1240を含む。接続口1210は、先に示し説明した接続口と同様であり、近位部1211および遠位部1212を含む。前述のように接続口1210は、それを貫通し、皮膚Sの電気インピーダンスより小さい電気インピーダンスを有する導電路を画定する。
【0082】
[1098] 接続線1232は、例えば導電性電解質のゲル電極とすることができる表面電極1235によって、接続口1210の近位部1211に機械的および電気的に結合される。それに応じて、接続線1232、表面電極1235、接続口1210および皮下組織の一部を含む刺激経路PSTIMを介して、身体の外側の領域と電気部材1240との間で電気信号を伝達することができる。表面電極1235の一部が皮膚Sと接触しているため、表面電極1235によって若干量の電気信号(例えば逃げ電流(escape current))が、皮膚Sを含む逃げ経路PESCを介して身体Bの中へ伝達される可能性がある。しかし、接続口1210によって画定される導電路が皮膚Sの電気インピーダンスより小さい電気インピーダンスを有するため、逃げ経路を介して伝達される電気信号の大きさは微小である。
【0083】
[1099] いくつかの実施形態において、接続線は、皮膚Sに直接接触していないコネクタを介して、接続口に機械的および/または電気的に結合することができる。このようにして、逃げ電流をさらに最小化する、かつ/またはなくすことができる。いくつかの実施形態では、コネクタを、例えばスナップ式コネクタ、わに口クリップ、ねじ式コネクタ、摺動式コネクタなどの取り外し可能なコネクタとすることができる。他の実施形態では、コネクタを、例えばはんだ付けされたコネクタ、溶接されたコネクタ、圧着されたコネクタなど、取り外しできないものとすることができる。
【0084】
[1100] 例えば図15は、本発明の実施形態による刺激システム1300の一部を示している。刺激システム1300は、少なくとも1つの接続口1310、コネクタ1360および接続線1332を含む。接続口1310は、近位部1311および遠位部1312を含む。近位部1311は突起部1317を含む。遠位部1312は、端子表面1327および固定装置1320を含む。前述のように固定装置1320は、身体Bの皮膚Sの下に配置され、接続口1310を身体Bの中の皮下位置に固定する。
【0085】
[1101] コネクタ1360は、近位端1367および遠位端1368を有し、第1の電気伝導率を有する第1の材料から構成される外側部分1363、および第1の材料の電気伝導率より大きい第2の電気伝導率を有する第2の材料から構成される内側部分1362を含む。このように内側部分1362は、近位端1367と遠位端1368の間にコネクタを貫通する導電路を画定する。しかし、いくつかの実施形態では、コネクタ1360を単一の材料から構成することができる。
【0086】
[1102] 接続線1332は、コネクタ1360の近位端1367に結合される。コネクタ1360の遠位端1368は、接続口1310の突起部1317を嵌合して受け入れるように構成された開口部1361を画定する。このようにして、コネクタ1360を接続口1310に対する所定の位置で、取り外せるように接続口1310に結合する(例えばスナップ止めする)ことができる。
【0087】
[1103] 接続口1310を、皮膚Sの表面より上に延び、凸形をした突起部1317を有するものとして示しているが、他の実施形態では、接続口は、身体の外側の領域から利用可能な任意の適切な端子表面を含むことができる。例えば図16は、本発明の実施形態による接続口1410を示している。接続口1410は、近位部1411および遠位部1412を含む。近位部1411は、端子表面1417の少なくとも一部が皮膚Sの外側表面より下に配置されるように、凹形を有する端子表面1417を含む。端子表面1417は、身体Bの外側の領域から利用することができる。前述のように遠位部1412は、接続口1410を身体Bの中の皮下位置に固定するために、身体Bの皮膚Sの下に配置された固定装置1420を含む。
【0088】
[1104] これまで本発明の様々な実施形態について説明してきたが、それらは例として示したものにすぎず、限定的なものではないことを理解すべきである。前述の方法は、特定の順序で行われる特定の事象を示しているが、特定の事象の順序を変更することができる。さらに特定の事象は、前述のように順次実施するだけではなく、可能であるときには並行処理として同時に実施することができる。したがって、本発明の広さおよび範囲は、前述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。本発明を、特にその特定の実施形態を参照して示し説明してきたが、形および細部に様々な変更を加えることが可能であることが理解されるであろう。
【0089】
[1105] 例えば先に示し説明した刺激システムは、完全に身体の中に配置された電気部材(例えば受動的な電気導体、電気装置など)を含むが、いくつかの実施形態では、刺激システムに完全に身体の中に配置された電気部材がなくてもよい。例えばいくつかの実施形態において、刺激システムは、先に示し説明したタイプの電気刺激装置および接続口を含むことができる。そうした刺激システムでは、皮膚を含まず皮下の体組織を含む刺激経路を介して、電流を電気刺激装置から標的組織へ伝達することができる。
【0090】
[1106] これまで接続口を、皮膚の外側表面と同じ高さ、またはそれより上に位置するように構成された端子表面を有するものとして示し説明しているが、いくつかの実施形態において、接続口は、依然として身体の外側の領域から利用可能でありながら、皮膚の外側表面より下に位置するように構成された(すなわち窪んだ)端子表面を有することができる。さらに他の実施形態において、接続口は、端子表面の一部が皮膚の外側表面より上に配置され、かつ端子表面の一部が皮膚の外側表面より下に配置されるような非平面の端子表面を有することができる。
【0091】
[1107] 様々な実施形態を、各構成要素の特定の特徴および/または組み合わせを有するものとして説明してきたが、適切な場合には、他の実施形態が、実施形態の任意のものからの任意の特徴および/または構成要素の組み合わせを有するようにすることが可能である。例えばいくつかの実施形態において、刺激システムは、先に示し説明したタイプの任意の接続口、ならびに/または外部の電気装置、内部の電気装置および/もしくは本明細書で示し説明した電気部材の任意の配置を含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、刺激システムは、(図11〜13を参照して先に論じた)円形の固定装置および接続口の遠位部に接触した電気部材を有する、1つまたは複数の接続口を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の外側に配置された電気装置と、前記身体の中に配置された電気部材との間で電気信号を伝達するように構成され、遠位部および近位部を有する経皮的な接続口を備える装置であって、
前記近位部が、前記身体の外側の領域から利用できるように構成された表面を含み、
前記遠位部が、前記身体の皮膚に実質的に平行な軸のまわりで湾曲した形を有する固定装置を含み、前記固定装置が前記身体の中に配置されるように構成される装置。
【請求項2】
前記固定装置が、リング形の固定装置、ディスク形の固定装置または環状形の固定装置の任意の1つである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固定装置が第1の部材および第2の部材を含み、前記第1の部材の遠位端部が、第2の部材の遠位端部から間隔をおいて配置される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記遠位部が、体組織を拡張させるように構成された拡張部を含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記固定装置が第1の部材および第2の部材を含み、前記第1の部材が、前記経皮的な接続口が前記身体の中に配置されるとき、前記第2の部材に対して移動するように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記固定装置が、
第1の部材と、
前記経皮的な接続口が前記身体の中に配置されるとき、前記第1の部材に対して移動するように構成された第2の部材と、
前記第2の部材を前記第1の部材に対してある位置に偏倚させるように構成された偏倚部材と
を含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記経皮的な接続口が、流電結合、容量結合または誘導結合の少なくとも1つによって前記電気部材に動作可能に結合されるように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項8】
受動的な電気導体である前記電気部材をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
身体の外側に配置されるように構成され、かつ電気信号を少なくとも発生させる、または受け取るように構成された電気装置と、
完全に前記身体の中に配置されるように構成され、近位端部および遠位端部を有する電気部材と、
前記電気装置と前記電気部材の間で前記電気信号を伝達するように構成された接続口であって、該接続口の近位部が前記身体の外側に配置され、該接続口の遠位部が前記身体の中に配置される形で前記身体に経皮的に挿入されるように構成された接続口と
を備えるシステムであって、
前記接続口の前記近位部が前記電気装置に動作可能に結合されるように構成され、前記接続口の前記遠位部が前記電気部材に動作可能に結合され、かつ前記電気部材から間隔をおいて配置されるように構成されるシステム。
【請求項10】
前記電気装置が、電気刺激装置または電気的な信号処理装置の少なくとも一方である請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気部材が受動的な電気導体であり、前記受動的な電気導体の遠位端が、前記身体の中で標的組織に隣接して配置されるように構成された複数の電極を含む請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記電気部材が、センサ、増幅器、電源、高電圧発生装置、電流発生装置、スイッチ、電池充電回路、電子フィルタまたは処理装置の任意の1つである請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記接続口の前記遠位端部が、前記身体内での前記接続口の移動を制限するように構成された固定装置、および前記固定装置の少なくとも一部のまわりに配置された多孔性のコーティングを含む請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記接続口の前記遠位端部が、流電結合、容量結合または誘導結合の少なくとも1つによって前記電気部材に動作可能に結合される請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
電気部材の遠位端部が身体の中の標的位置に配置され、前記電気部材の近位端部が前記身体の皮膚の下に配置されるように、前記電気部材を前記身体の中の第1の経路に沿って挿入すること、および
接続口の近位部が前記身体の外側の領域から利用可能になるように、前記接続口を前記身体の中の前記第1の経路とは異なる第2の経路に沿って挿入すること
を含む方法。
【請求項16】
前記接続口の前記挿入が、前記接続口の遠位部が前記電気部材の前記近位端部から間隔をおいて配置され、かつ前記電気部材の前記近位端部に動作可能に結合されるように行われる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電気部材の前記挿入が、前記電気部材の前記遠位端部を、前記身体の中で標的組織の少なくとも一部および電気装置に隣接して配置することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記電気部材の前記挿入が経皮的に行われ、体組織を拡張させることを含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記電気部材の前記挿入が第1の切開部を介して行われ、
前記接続口の前記挿入が、前記第1の切開部とは物理的に異なる第2の切開部を介して行われる請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記電気部材の前記挿入が第1の切開部を介して行われ、
接続口の前記挿入が、前記接続口の前記近位部がそれを通して前記身体の外側の領域から利用可能になるようにする第2の切開部を画定することを含み、前記第2の切開部が、前記第1の切開部とは物理的に異なる請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記電気部材の前記挿入が切開部を介して行われ、
前記接続口の前記挿入が前記切開部を介して行われる請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記電気部材の前記挿入の前に、前記電気部材を前記接続口に結合することをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の経路の中心線が、前記第2の経路の中心線から角度を付けてオフセットされる請求項15に記載の方法。
【請求項24】
電気部材の遠位端部が身体の中の標的位置に配置されるように、前記電気部材を第1の切開部を介して前記身体に挿入すること、
接続口を前記第1の切開部を介して前記身体に挿入すること、および
前記接続口の近位部が前記身体の外側の領域から利用可能になり、前記接続口の遠位部が前記身体の中に位置し、かつ前記電気部材の近位端部に電気的に結合されるように、前記接続口の前記近位部を第2の切開部を通して配置すること
を含む方法。
【請求項25】
前記電気部材の前記挿入が前記身体の中の第1の経路を介して行われ、
前記接続口の前記挿入が、前記第1の経路とは異なる前記身体の中の第2の経路を介して行われる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記電気部材の前記挿入が前記身体の中の第1の経路を介して行われ、
前記接続口の前記挿入が前記身体の中の第2の経路を介して行われ、前記第1の経路の中心線が、前記第2の経路の中心線から角度を付けてオフセットされる請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記電気部材の前記挿入の前に、前記電気部材の前記近位端部を、前記接続口の前記遠位部に結合することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記接続口の前記挿入が、前記接続口の前記遠位部が挿入される前に、前記接続口の前記近位部を挿入することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記接続口の前記挿入が、前記接続口の前記近位部を用いて前記身体の中に経路を画定する請求項24に記載の方法。
【請求項30】
身体の外側に配置された電気装置を、複数の接続口からの第1の接続口および前記複数の接続口からの第2の接続口に動作可能に結合して、前記身体の中に前記第1の接続口と前記第2の接続口との間の第1の刺激経路を画定すること、
第1の電気信号を、前記第1の接続口または前記第2の接続口の少なくとも一方を介して前記電気装置から前記身体の中へ伝達し、その結果、前記第1の電気信号の一部が前記身体の中で前記第1の刺激経路に沿って伝わること、
前記電気装置を前記複数の接続口からの第3の接続口に動作可能に結合して、前記身体の中に前記第1の刺激経路とは異なる第2の刺激経路を画定すること、ならびに
第2の電気信号を、前記第1の接続口、前記第2の接続口または前記第3の接続口の少なくとも1つを介して前記電気装置から前記身体の中へ伝達し、その結果、前記第2の電気信号の一部が前記身体の中で前記第2の刺激経路に沿って伝わること
を含む方法。
【請求項31】
前記複数の接続口からの前記第1の接続口が、前記接続口の遠位部が前記身体の皮膚の下に配置され、前記接続口の近位部が前記身体の外側に配置されるように、前記身体の中に配置され、
少なくとも前記第1の刺激経路が、前記身体の中に配置された電気部材の少なくとも一部を含み、前記電気部材の遠位端部が、前記身体の中の標的位置に配置され、前記電気部材の近位端部が、前記第1の接続口の前記遠位端から間隔をおいて配置され、かつ前記第1の接続口の前記遠位端に動作可能に結合される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
接続口の遠位部が身体の中の皮下に配置され、かつ前記身体の中に配置された第1の電気装置から間隔をおいて配置され、前記接続口の近位部が前記身体の外側の領域から利用可能になるように、前記接続口を前記身体に挿入すること、および
電気信号を、前記接続口を介して、前記身体の外側に配置された第2の電気装置から前記身体の中に配置された前記第1の電気装置へ伝達すること
を含む方法。
【請求項33】
前記第1の電気装置が、センサ、増幅器、電源、高電圧発生装置、電流発生装置、スイッチ、電池充電回路、電子フィルタまたは処理装置の任意の1つを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記接続口の前記遠位部が、円形を有する固定装置を含む請求項32に記載の方法。
【請求項1】
身体の外側に配置された電気装置と、前記身体の中に配置された電気部材との間で電気信号を伝達するように構成され、遠位部および近位部を有する経皮的な接続口を備える装置であって、
前記近位部が、前記身体の外側の領域から利用できるように構成された表面を含み、
前記遠位部が、前記身体の皮膚に実質的に平行な軸のまわりで湾曲した形を有する固定装置を含み、前記固定装置が前記身体の中に配置されるように構成される装置。
【請求項2】
前記固定装置が、リング形の固定装置、ディスク形の固定装置または環状形の固定装置の任意の1つである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固定装置が第1の部材および第2の部材を含み、前記第1の部材の遠位端部が、第2の部材の遠位端部から間隔をおいて配置される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記遠位部が、体組織を拡張させるように構成された拡張部を含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記固定装置が第1の部材および第2の部材を含み、前記第1の部材が、前記経皮的な接続口が前記身体の中に配置されるとき、前記第2の部材に対して移動するように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記固定装置が、
第1の部材と、
前記経皮的な接続口が前記身体の中に配置されるとき、前記第1の部材に対して移動するように構成された第2の部材と、
前記第2の部材を前記第1の部材に対してある位置に偏倚させるように構成された偏倚部材と
を含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記経皮的な接続口が、流電結合、容量結合または誘導結合の少なくとも1つによって前記電気部材に動作可能に結合されるように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項8】
受動的な電気導体である前記電気部材をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
身体の外側に配置されるように構成され、かつ電気信号を少なくとも発生させる、または受け取るように構成された電気装置と、
完全に前記身体の中に配置されるように構成され、近位端部および遠位端部を有する電気部材と、
前記電気装置と前記電気部材の間で前記電気信号を伝達するように構成された接続口であって、該接続口の近位部が前記身体の外側に配置され、該接続口の遠位部が前記身体の中に配置される形で前記身体に経皮的に挿入されるように構成された接続口と
を備えるシステムであって、
前記接続口の前記近位部が前記電気装置に動作可能に結合されるように構成され、前記接続口の前記遠位部が前記電気部材に動作可能に結合され、かつ前記電気部材から間隔をおいて配置されるように構成されるシステム。
【請求項10】
前記電気装置が、電気刺激装置または電気的な信号処理装置の少なくとも一方である請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気部材が受動的な電気導体であり、前記受動的な電気導体の遠位端が、前記身体の中で標的組織に隣接して配置されるように構成された複数の電極を含む請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記電気部材が、センサ、増幅器、電源、高電圧発生装置、電流発生装置、スイッチ、電池充電回路、電子フィルタまたは処理装置の任意の1つである請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記接続口の前記遠位端部が、前記身体内での前記接続口の移動を制限するように構成された固定装置、および前記固定装置の少なくとも一部のまわりに配置された多孔性のコーティングを含む請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記接続口の前記遠位端部が、流電結合、容量結合または誘導結合の少なくとも1つによって前記電気部材に動作可能に結合される請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
電気部材の遠位端部が身体の中の標的位置に配置され、前記電気部材の近位端部が前記身体の皮膚の下に配置されるように、前記電気部材を前記身体の中の第1の経路に沿って挿入すること、および
接続口の近位部が前記身体の外側の領域から利用可能になるように、前記接続口を前記身体の中の前記第1の経路とは異なる第2の経路に沿って挿入すること
を含む方法。
【請求項16】
前記接続口の前記挿入が、前記接続口の遠位部が前記電気部材の前記近位端部から間隔をおいて配置され、かつ前記電気部材の前記近位端部に動作可能に結合されるように行われる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電気部材の前記挿入が、前記電気部材の前記遠位端部を、前記身体の中で標的組織の少なくとも一部および電気装置に隣接して配置することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記電気部材の前記挿入が経皮的に行われ、体組織を拡張させることを含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記電気部材の前記挿入が第1の切開部を介して行われ、
前記接続口の前記挿入が、前記第1の切開部とは物理的に異なる第2の切開部を介して行われる請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記電気部材の前記挿入が第1の切開部を介して行われ、
接続口の前記挿入が、前記接続口の前記近位部がそれを通して前記身体の外側の領域から利用可能になるようにする第2の切開部を画定することを含み、前記第2の切開部が、前記第1の切開部とは物理的に異なる請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記電気部材の前記挿入が切開部を介して行われ、
前記接続口の前記挿入が前記切開部を介して行われる請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記電気部材の前記挿入の前に、前記電気部材を前記接続口に結合することをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の経路の中心線が、前記第2の経路の中心線から角度を付けてオフセットされる請求項15に記載の方法。
【請求項24】
電気部材の遠位端部が身体の中の標的位置に配置されるように、前記電気部材を第1の切開部を介して前記身体に挿入すること、
接続口を前記第1の切開部を介して前記身体に挿入すること、および
前記接続口の近位部が前記身体の外側の領域から利用可能になり、前記接続口の遠位部が前記身体の中に位置し、かつ前記電気部材の近位端部に電気的に結合されるように、前記接続口の前記近位部を第2の切開部を通して配置すること
を含む方法。
【請求項25】
前記電気部材の前記挿入が前記身体の中の第1の経路を介して行われ、
前記接続口の前記挿入が、前記第1の経路とは異なる前記身体の中の第2の経路を介して行われる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記電気部材の前記挿入が前記身体の中の第1の経路を介して行われ、
前記接続口の前記挿入が前記身体の中の第2の経路を介して行われ、前記第1の経路の中心線が、前記第2の経路の中心線から角度を付けてオフセットされる請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記電気部材の前記挿入の前に、前記電気部材の前記近位端部を、前記接続口の前記遠位部に結合することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記接続口の前記挿入が、前記接続口の前記遠位部が挿入される前に、前記接続口の前記近位部を挿入することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記接続口の前記挿入が、前記接続口の前記近位部を用いて前記身体の中に経路を画定する請求項24に記載の方法。
【請求項30】
身体の外側に配置された電気装置を、複数の接続口からの第1の接続口および前記複数の接続口からの第2の接続口に動作可能に結合して、前記身体の中に前記第1の接続口と前記第2の接続口との間の第1の刺激経路を画定すること、
第1の電気信号を、前記第1の接続口または前記第2の接続口の少なくとも一方を介して前記電気装置から前記身体の中へ伝達し、その結果、前記第1の電気信号の一部が前記身体の中で前記第1の刺激経路に沿って伝わること、
前記電気装置を前記複数の接続口からの第3の接続口に動作可能に結合して、前記身体の中に前記第1の刺激経路とは異なる第2の刺激経路を画定すること、ならびに
第2の電気信号を、前記第1の接続口、前記第2の接続口または前記第3の接続口の少なくとも1つを介して前記電気装置から前記身体の中へ伝達し、その結果、前記第2の電気信号の一部が前記身体の中で前記第2の刺激経路に沿って伝わること
を含む方法。
【請求項31】
前記複数の接続口からの前記第1の接続口が、前記接続口の遠位部が前記身体の皮膚の下に配置され、前記接続口の近位部が前記身体の外側に配置されるように、前記身体の中に配置され、
少なくとも前記第1の刺激経路が、前記身体の中に配置された電気部材の少なくとも一部を含み、前記電気部材の遠位端部が、前記身体の中の標的位置に配置され、前記電気部材の近位端部が、前記第1の接続口の前記遠位端から間隔をおいて配置され、かつ前記第1の接続口の前記遠位端に動作可能に結合される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
接続口の遠位部が身体の中の皮下に配置され、かつ前記身体の中に配置された第1の電気装置から間隔をおいて配置され、前記接続口の近位部が前記身体の外側の領域から利用可能になるように、前記接続口を前記身体に挿入すること、および
電気信号を、前記接続口を介して、前記身体の外側に配置された第2の電気装置から前記身体の中に配置された前記第1の電気装置へ伝達すること
を含む方法。
【請求項33】
前記第1の電気装置が、センサ、増幅器、電源、高電圧発生装置、電流発生装置、スイッチ、電池充電回路、電子フィルタまたは処理装置の任意の1つを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記接続口の前記遠位部が、円形を有する固定装置を含む請求項32に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−505550(P2010−505550A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531624(P2009−531624)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/080564
【国際公開番号】WO2008/043065
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(507373704)バイオネス インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/080564
【国際公開番号】WO2008/043065
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(507373704)バイオネス インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
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