説明

電気刺激治療用導子、および電気刺激治療装置

【課題】患部の適切な位置に容易に貼着可能な電気刺激治療用導子を提供する。
【解決手段】導子2は、可撓性を有する平面形状のシート本体4と、シート本体4の一面側に設けられ、人体の表面上の脊椎を挟む位置に貼着可能な少なくとも一対の平面電極5A,5Bと、シート本体4上の平面電極5A,5Bが設けられた一面側に設けられ、人体の特定位置である例えば尾骨などに位置合わせされる位置決めする凸部7と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患部に電気刺激を与えることで治療する電気刺激治療用導子、および電気刺激治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体に電流を流して患部を刺激することで治療する電気刺激治療装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1は、人体に低周波電流を流して患部を治療するための電気刺激治療装置に関するものであり、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された導子が開示されている。このような導子では、身体の屈曲性に合わせて、導子を湾曲することが可能であり、患部に導子を密着させることが可能となる。
【0003】
また、特許文献1に記載のような装置を用い、低周波電流を患部に流すことで、例えば排尿障害患者の症状を改善する装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この非特許文献1には、一対の電極をそれぞれ骨盤の仙骨を挟む位置に配置し、仙骨表面に低周波電流を流すことで、頻尿等の症状を改善する治療法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−136286号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】中川晴夫、浪間孝重、横塚美恵子、半田康延、荒井陽一,「仙骨部表面治療的電気刺激による排尿障害治療」,泌尿器外科 2005年1月号,東北大学病院 泌尿器科,2005年,18(1),p.17−22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば仙骨表面に低周波電流を流す装置では、一対の電極を、仙骨を挟んで配置する必要がある。しかしながら、非特許文献1に記載の装置は、1つの導子に1つの電極が設けられているため、一対の電極とする場合には一対の導子が必要となる。また、仙骨は、利用者本人が目視し難い位置にあるため、このような別体に構成された一対の導子を、それぞれ適切な位置に貼着することが困難であり、導子の貼着位置により電流の流れる方向も変わってしまうという問題がある。
また、特許文献1には、本体と2つの電極が一体化した双電極一体型の装置が開示されているが、このような導子は、患者の感知する痛みやだるさを感じる部分に、感覚的に貼着するものであるので、例えば、非特許文献1に示されるような仙骨を挟む位置に、一対の導子のそれぞれを身体の中心線に対して線対称となるように、正確に配置して貼着することは困難であった。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、患部の適切な位置に容易に貼着可能な電気刺激治療用導子、および電気刺激治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気刺激治療用導子は、可撓性を有する平面形状のシート本体と、前記シート本体の一面側に設けられ、人体の表面上の脊椎を挟んだ位置に貼着可能な少なくとも一対の平面電極と、前記シート本体の前記一面側に設けられ、人体の特定位置に対して位置合わせされる位置合わせ部と、を備えたことを特徴とする。
ここで、少なくとも一対の平面電極とは、例えば一対の平面電極と、その他の平面電極とが組み合わされるような3つの平面電極を備える構成、二対以上の平面電極が設けられる構成をも含むことを意味する。
【0009】
この発明では、シート本体は、人体の表面上の貼着対象の患部に応じた形状に形成されており、このシート本体に設けられる位置合わせ部を人体の特定部位に位置合わせすることで、一対の平面電極を、患部を挟む人体の表面上の適切な位置に合わせ込むことができる。ここで、本発明の電気刺激治療用導子は、人体の表面上の脊椎を挟む位置に一対の平面電極を配置して貼着されるものであり、すなわち、利用者本人が目視により位置を確認できない患部、または、目視による位置の確認が困難な患部に貼着されるものである。このような目視による確認が困難な位置に電気刺激治療用導子を貼着する場合、位置合わせ部がない構成では、誤った位置に平面電極を貼着して十分な治療効果を得られない場合がある。これに対して、本発明では、触感により位置合わせ部を人体の特定位置に合わせることができ、電気刺激治療用導子の平面電極を人体の表面上の適切な位置に貼着させることができる。
例えば、排尿障害患者の症状を改善するために仙骨表面に低周波電流を流す場合、目視により、仙骨の正確な位置を確認しにくい場合がある。このような場合、例えば、シート本体上において、一対の平面電極および位置合わせ部の位置関係が、それぞれ仙骨および尾骨に対応した位置関係となっていれば、位置合わせ部を尾骨に位置合わせするだけで、利用者自身が目視では確認できない仙骨に対応した人体の表面上の部分に一対の平面電極を容易に、かつ適切に貼着することができる。なお、位置合わせ部を位置合わせさせる人体の特定位置としては、患部の位置などにより適宜設定することができ、位置合わせ部の数も1つに限られず、複数設けられるものであってもよい。
【0010】
本発明の電気治療用導子では、前記一対の平面電極は、仙骨の軸を挟む人体の表面上に貼着されることが好ましい。
【0011】
この発明では、一対の平面電極を仙骨の軸を挟む人体の表面上の位置に配置して貼着する。これにより、一対の平面電極間に所定の低周波電圧を印加すると、仙骨表面に低周波電流が流れ、排尿障害患者の症状を改善することができる。
【0012】
本発明の電気刺激治療用導子では、前記位置合わせ部は、前記一対の平面電極の間の中間軸線上に設けられることが好ましい。
【0013】
この発明では、位置合わせ部が中間軸線上に設けられている。この場合、例えば、一対の平面電極を、人体の表面上の患部を挟む位置により正確に貼着することができる。例えば、仙骨を挟む人体の表面上の位置に一対の平面電極を貼着する場合、その中間軸線上に位置する位置合わせ部を、仙骨の軸上となる人体の特定部位(例えば尾骨)に合わせることで、容易に一対の平面電極を仙骨の軸を挟む人体の表面上の位置に配置することができる。
【0014】
本発明の電気刺激治療用導子では、前記中間軸線は、前記一対の平面電極の幾何学的重心を結ぶ仮想直線に直交する直線であることが好ましい。
【0015】
この発明では、一対の平面電極の幾何学的重心を結ぶ仮想直線と中間軸線とが直交している。ここで、人体は、骨格上、脊椎に対してほぼ左右対称となる構造となるため、このような中間軸線上に設けられた位置合わせ部を、脊椎に沿う直線上に合わせることで、一対の平面電極を、それぞれ脊椎を挟んで対称となる人体の表面上の位置に貼着させることができる。例えば、仙骨に対して電流を流す場合、仙骨の軸は、脊椎に沿う直線とほぼ一致する。したがって、中間軸線を脊椎に沿う直線に合わせ、かつ位置合わせ部を例えば尾骨などの特定位置に位置合わせすることで、仙骨の軸に対して直交する方向に沿って一対の平面電極を配置することができる。この場合、仙骨表面に、仙骨の軸に対して直交する方向に電流を流すことができ、電流密度を増大させ、より良好な治療効果を得ることができる。
【0016】
本発明の電気刺激治療用導子では、前記位置合わせ部は、前記シート本体の前記中心軸線上に延長形成された延長部に設けられることが好ましい。
【0017】
この発明では、シート本体の延長部に位置合わせ部が設けられているため、位置合わせ部を人体の特定位置に位置合わせする際に、シート本体や、一対の平面電極が邪魔にならず、容易に位置合わせ部を特定位置に位置合わせすることができる。これにより、電気刺激治療用導子の貼着がより容易になる。
【0018】
本発明の電気刺激治療用導子では、前記シート本体には、前記中間軸線に沿って、ロッド状の支持体が設けられることが好ましい。
【0019】
この発明では、中間軸線に沿って支持体が設けられているため、この支持体のロッド方向を折り目部分として、シート本体を容易に折り曲げることができる。このため、支持体を中央にして、シート本体の支持体のロッド方向に対して直交する方向の両端部を保持することで、容易に電気刺激治療用導子を保持することができる。ここで、シート本体上の平面電極が設けられる面が外側を向くように、当該シート本体を2つ折りすることで、平面電極同士の接触による短絡を防止することができる。また、平面電極上に、電気刺激治療用導子を患部に密着固定するための導電性粘着パッドを設ける場合では、導電性粘着パッド同士の付着をも防止することができる。
これに加え、支持体を人体に当接させることで、利用者は一対の平面電極を挟む中間軸線の位置を触感により容易に認識することができる。このため、例えば仙骨を挟む位置に一対の平面電極を貼着したい場合など、利用者が目視により患部の位置や、患部近くまで移動させた電気刺激治療用導子の中間軸線の向きを確認できない場合であっても、触感によりシート本体の支持体、すなわち中間軸線を認識することができる。
【0020】
本発明の電気刺激治療用導子では、一対の前記平面電極には、当該電気刺激治療用導子と人体とを密着させ、かつ平面電極から出力される電流を人体に伝達する導電性粘着パッドが設けられ、前記支持体は、前記シート本体の前記一対の平面電極が設けられる面側に設けられるとともに、前記導電性粘着パッドよりも厚み寸法が小さいことが好ましい。
【0021】
この発明では、支持体は、シート本体の平面電極が設けられる面、すなわち、患部に対向する側の面に形成されている。このような構成では、利用者は、触感により支持体を認識することで、容易に支持体のロッド方向を認識することができる。また、支持体の厚み寸法が導電性粘着パッドの厚み寸法よりも小さいので、電気刺激治療用導子を貼着した際に、シート本体の支持体が設けられる部分が盛り上って皺になることがなく、導電性粘着パッドと人体との密着性の低下を抑えることができる。
【0022】
本発明の電気刺激治療用導子では、前記支持体は、コルク及び/又は樹脂成型品により形成されることが好ましい。
【0023】
この発明では、支持体は、コルク及び/又は樹脂成型品により形成されている。このような支持体は、弾性変形が可能であるため、例えば、支持体を人体の屈曲形状に合わせて容易に湾曲させることができ、電気刺激治療用導子と患部との密着性を良好にできる。また、シート本体よりも強い剛性を持たせることで、シート本体を、支持体を中心に容易に折り曲げることができ、電気刺激治療用導子の貼着がより容易となる。支持体が樹脂成型品により形成される場合は、樹脂成型品が発泡樹脂、樹脂ゲル、およびシリコーンゴムのうちの1種または2種以上であるとこのような効果が得られやすい。
【0024】
本発明の電気刺激治療用導子では、前記位置合わせ部は、前記シート本体の一面側から突出する凸部であることが好ましい。
【0025】
この発明は、位置合わせ部が凸部であり、シート本体の一面側から突出している。このため、位置合わせ部を人体の特定位置に合わせる際に、その位置が把握し易くなり、より容易に電気刺激治療用導子を人体の表面上の患部に適切に貼着させることが可能となる。
【0026】
このとき、本発明の電気刺激治療用導子では、前記シート本体に複数の取付孔が設けられ、前記凸部は、複数の前記取付孔のうちの少なくともいずれか1つに係止される構成とすることが好ましい。
【0027】
この発明では、シート本体に取付孔が設けられ、このうち少なくともいずれか1つに凸部が係止されている。このため、凸部を取り付ける取付孔を適宜選択することで、利用者の体格に応じた適切な位置に凸部を取り付けることができ、これにより、利用者の体格に応じて、患部に適切に電気刺激治療用導子を貼着することができる。
このような取付孔の設置位置としては、例えば、利用者の体格に応じた患部と人体の特定位置との距離に基づいて設定することが可能である。例えば、体格の大きい人では、患部と人体の特定位置との距離も大きくなり、体格の小さい人では、患部と人体の特定位置との距離も小さくなる。したがって、シート本体には、体格による患部と人体の特定位置との位置関係に応じて、それぞれ取付孔を設ける構成とすればよい。このような構成では、利用者は、体格に応じて適切な位置に凸部を取り付けることができ、このような凸部を特定位置に位置合わせして電気刺激治療用導子を貼着することで、一対の平面電極が、治療対象である患部からずれることなく、最適な患部位置に電気刺激治療用導子を貼着することができる。
また、利用者の体格に応じて、凸部を位置合わせする人体の特定部位を変更するものであってもよい。例えば、体格の大きい人では、人体の第一特定位置(例えば、腸骨端部)に凸部を位置合わせし、体格の小さい人では、人体の第二特定位置(例えば、尾骨)に凸部を位置合わせする電気刺激治療用導子であってもよい。この場合、シート本体に第一特定位置に対応する位置、人体の第二特定位置にそれぞれ取付孔が設けられ、利用者は、体格に応じて、凸部の取付位置を適宜選択することができる。
【0028】
また、本発明では、前記位置合わせ部は、前記一対の平面電極の間の中間軸線上に設けられることが好ましい。
この発明では、中間軸線に沿って複数の取付孔が設けられている。上記したように、利用者の体格により、体格の大きい人では、患部と人体の特定位置との距離も大きくなり、体格の小さい人では、患部と人体の特定位置との距離も小さくなる。したがって、中間軸線上に設けられる取付孔のうち、体格に応じたいずれか少なくとも1つの取付孔に凸部を設けることで、一対の平面電極が患部から離れた位置に配置されるような不都合がなく、患部を挟む人体の表面上の最適な位置に、一対の平面電極を貼着することができる。
【0029】
また、本発明の電気刺激治療用導子では、前記位置合わせ部は、前記シート本体の一面側に設けられる凹部、または位置合わせ孔であってもよい。
【0030】
この発明では、位置合わせ部が凹部または位置合わせ孔であるため、触感により容易に形状を把握することができる。したがって、凹部または位置合わせ孔を人体の特定位置に合わせる際に、これらの凹部または位置合わせ孔の位置を容易に把握でき、容易に電気刺激治療用導子を所望の位置に貼着させることが可能となる。
【0031】
さらに、本発明の電気刺激治療用導子では、前記位置合わせ部は、前記シート本体の一面側に設けられ、粘性を有する粘着部であってもよい。
【0032】
この発明では、位置合わせ部が粘着部であり、触感によりさらに容易にその位置を知覚することができる。したがって、位置合わせ部の粘着部を、人体の特定位置に合わせる際に、粘着部の位置をさらに容易に把握でき、容易に電気刺激治療用導子を所望の位置に貼着させることが可能となる。
また、粘着部の粘性を大きくすることで、例えば、粘着部を人体の特定位置に仮止めすることができ、この場合、導電性粘着シートの貼着がより容易となる。
【0033】
本発明の電気刺激治療装置は、上述したような電気刺激治療用導子と、前記電気刺激治療用導子から患部に電流を流す制御をする制御部とを備えたことを特徴とする。
【0034】
この発明では、上述したように、患部に対して電気刺激治療用導子を最適な位置に容易に貼着することができる。したがって、このような電気刺激治療用導子を用いた電気刺激治療装置においては、簡単な操作で迅速に患部に電気刺激治療用導子を貼り付けることができ、より早く患部への治療を実施することができる。また、正確な位置に電気刺激治療用導子を貼着することができるため、患部に対して適切な方向に電流を流すことができ、治療効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明では、シート本体上に設けられる位置合わせ部を、人体の特定位置に対して位置合わせすることで、一対の平面電極を、患部に対して適切な位置に容易に貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第一実施形態の電気刺激治療用導子(導子)を備えた低周波電気刺激治療装置である。
【図2】第一実施形態の導子の斜視図である。
【図3】第一実施形態の導子の分解斜視図である
【図4】導子の保持例を示す図である。
【図5】第二実施形態の導子の概略構成を示す斜視図である。
【図6】第三実施形態の導子の概略構成を示す斜視図である。
【図7】その他の実施形態の導子の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、第一実施形態の電気刺激治療用導子を備えた低周波電気刺激治療装置である。図2は、本実施形態の電気刺激治療用導子の斜視図である。図3は、図2の分解斜視図である。
【0038】
〔1.電気刺激治療装置の構成〕
図1において、本実施形態の電気刺激治療装置1は、排尿障害患者の仙骨表面に低周波電流を流して、頻尿、失禁などの排尿障害を改善する装置である。この電気刺激治療装置1は、図1に示すように、本発明の電気刺激治療用導子である導子2と、導子2に貼着される導電性粘着パッド6A,6Bと、導子2から出力させる低周波電流を制御する制御部3とを備え、これらの導子2および制御部3がリード線31により接続されている。
ここで、制御部3には、図示は省略するが、例えば、装置の起動状態を切り替える電源ボタンや、導子2から出力させる低周波電流の電流値を調整する電流調整つまみ、導子2から電流を出力させる時間を計測するタイマー、電流調整つまみにより調整された電流値の低周波電流を出力するための電気信号(電圧)を導子2に出力する出力回路部などが設けられている。
【0039】
〔2.導子の構成〕
次に、このような電気刺激治療装置1に設けられる導子2について、説明する。
導子2は、図2に示すように、平面状のシート本体4と、シート本体4上に固定される平面電極5A,5Bと、本発明の位置合わせ部である凸部7と、一対の平面電極5A,5Bの間に設けられる支持体8と、を備えて構成されている。また、第一実施形態の導子2は双電極一体型であり、1つのシート本体4上に、一対の平面電極5A,5Bが設けられる。また、これらの平面電極5A,5B上には、それぞれ導電性粘着パッド6A,6B(図1参照)が貼着され、この導電性粘着パッド6A,6Bの一面が患部に貼着または密着固定されることで、導子2が人体の表面上の患部に貼着される。なお、本発明において、導子2は、人体の皮膚表面上に貼着するものであり、以降の説明において、「導子2(平面電極5A,5B、導電性粘着パッド6A,6B)を貼着する」とは、導子2(平面電極5A,5B、導電性粘着パッド6A,6B)を、人体の皮膚表面上に貼着することを意味する。
【0040】
(2−1.シート本体の構成)
シート本体4は、導子2が人体に貼着された際に、人体の屈曲形状に応じて湾曲可能な可撓性を有し、かつ、絶縁性を有するシート部材により形成されている。このようなシート本体4は、形成素材例としては、例えば樹脂フィルム、不織布、紙等が挙げられ、これらを組み合わせて構成されるものであってもよく、本実施形態では、ポリエチレンテレフタラートフィルムにより形成される例を示す。
本実施形態では、シート本体4は、2層構成であり、図3に示すように、一対の平面電極5A,5Bが固定される第一シート4Aと、患部に対して対向する第二シート4Bにより構成されている。
そして、このシート本体4は、図2に示すように、患部貼着部41と、患部貼着部41から突出する延長部42と、患部貼着部41に連続するリード部43とを備えている。
【0041】
シート本体4の患部貼着部41は、例えば略矩形状に形成されている。この患部貼着部41の第二シート4B側には、一対の電極窓411が設けられており、この電極窓411から一対の平面電極5A,5Bが露出する。また、これらの一対の電極窓411の間には、支持体8が設けられている。
【0042】
より具体的には、患部貼着部41は、一対の電極窓411の間を通る中間軸線Lに沿って2つの領域に分けられ、一方の領域(以降、この領域を第一貼着部41Aと称す)に平面電極5Aが、他方の領域(以降、この領域を第二貼着部41Bと称す)に平面電極5Bが設けられている。
【0043】
延長部42は、患部貼着部41の中間軸線L上の端辺412から、中間軸線Lに沿って突出して設けられている。この延長部42は、患部貼着部41の端辺412の一部を底辺とし、この底辺に対向する頂点が中間軸線L上に配置される略三角形状に形成されている。これにより、患部貼着部41を中間軸線Lに沿って2つ折りにした際、延長部42も中間軸線Lに沿って湾曲するため、例えば、延長部42に設けられる凸部7の重量により延長部42が中間軸線Lに交差する方向に湾曲することがない。
そして、この延長部42には、図1〜3に示すように、中間軸線L上に沿って、複数(例えば、第一実施形態では3つ)の取付孔421が形成されており、この取付孔421のうちの1つに凸部7が取り付けられている。
【0044】
ここで、これらの取付孔421は、中間軸線Lを人体の脊椎に沿う直線上に沿わせ、かつ一対の平面電極5A,5Bを骨盤の仙骨上の患部に配置した際に、3つの取付孔421のうちいずれか1つが、骨盤の尾骨に対向して配置されるよう、その位置が設定されている。
つまり、これらの取付孔421は、利用者の体格に応じて、それぞれの位置が決定されており、例えば、延長部42の突出先端側の取付孔421は、体格が大きい(例えば身長が180cm以上)人の尾骨と仙骨との距離に応じてその位置が決定されている。したがって、体格が大きい人では、延長部42の突出先端側の取付孔421を尾骨に位置合わせすることで、一対の平面電極5A,5Bが仙骨を挟んで位置することとなる。同様にして、延長部42の3つの取付孔421のうち、中央に配置された取付孔421は、体格が標準的な(例えば身長が160cm以上180cm未満)人の尾骨と仙骨との距離に応じてその位置が決定され、延長部42の突出基端側(患部貼着部41側)の取付孔421は、体格が小さい(例えば身長が160cm未満)人の尾骨と仙骨との距離に応じてその位置が決定されている。
【0045】
リード部43は、患部貼着部41の第二貼着部41Bから突出する部位であり、患部貼着部41に設けられる平面電極5A,5Bの導電リード51が配線されている。具体的には、これらの導電リード51は、リード部43の第一シート4Aおよび第二シート4Bにより挟まれている。ここで、これらの第一シート4Aおよび第二シート4Bは、絶縁性のシート部材により形成されているため、導電リード51は、絶縁部材により被覆される状態となり、導電リード51の短絡やその他の電気的な不都合が防止される。また、リード部43を構成する第二シート4Bの患部貼着部41からの長さは、第一シート4Aの患部貼着部41からの長さよりも短く形成されており、これにより、導電リード51の先端部が外部に露出している。この導電リード51の露出部は、端子部52を構成し、導子2と制御部3とをリード線31により接続される際に、リード線31の接続部位となる。
【0046】
(2−2.平面電極の構成)
平面電極5A,5Bは、第一貼着部41Aに固定される平面電極5Aと、第二貼着部41Bに固定される平面電極5Bとを備えている。これらの平面電極5A,5Bは、上述したように、第一シート4Aおよび第二シート4Bに挟持されることで固定され、第二シート4Bの電極窓411から患部に対向して表面が露出している。
これらの平面電極5A,5Bは、例えば銀ペースト、金属箔、炭素粉末分散樹脂膜、錫ドープインジウム酸化物分散樹脂等の導電性部材により形成される。この中でも、低コストで容易に製造が可能な銀ペーストにより形成されることが好ましい。
なお、本実施形態では、一対の平面電極5A,5Bとして、略矩形状に形成される例を示すが、例えば、矩形以外の多角形状や、円形、楕円形、その他の不規則な形状などとしてもよい。また、これらの平面電極5A,5Bとして、図2、図3に示すような略格子形状に形成される例を示すが、格子網目寸法をより小さくしたものであってもよく、全面が均一寸法となる板状の平面電極5A,5Bが設けられる構成であってもよい。
【0047】
ここで、これらの平面電極5Aおよび平面電極5Bの固定位置としては、中間軸線Lを挟んで設けられていれば特に限定されないが、図2に示すように、平面電極5Aの幾何学的重心Gと、平面電極5Bの幾何学的中心Gとを結ぶ線分が中間軸線Lに直交するように配置されることが好ましい。
また、平面電極5Aおよび平面電極5Bの互いに最も近接する点の距離は、3mm以上50mm以下となる位置に固定されていることが好ましく、より好ましくは5mm以上20mm以下である。一対の平面電極5A,5Bの距離を、上記のような距離となるように、各平面電極5A,5Bを配置することで、導子2のサイズの縮小が図れる。また、各平面電極5A,5B上には、導電性粘着パッド6A,6Bが貼着されるが、導子2のサイズが大きい場合、シート本体4が可撓性を有しているため、取り扱いが困難となり、これらの導電性粘着パッド6A,6B同士が接触して短絡してしまうことがある。これに対して、上記のように平面電極5A,5Bの距離を3mm以上50mm以下に設定することで、シート本体4のサイズを小さくできるとともに、シート本体4の取り扱いが容易になり、導電性粘着パッド6A,6B同士の付着や、これよる平面電極5A,5Bの短絡も防止できる。
【0048】
また、これらの平面電極5A,5Bのそれぞれの面積は、10cm以上200cm以下に形成されており、好ましくは、50cm以上100cm以下である。このような面積にすることで、患部である仙骨表面に治療に有効な十分な電流を流すことができ、かつ、平面電極5A,5Bのサイズや、平面電極5A,5B上に貼着される導電性粘着パッド6A,6Bのサイズも大きくならず、導子2のサイズを小さくすることができる。
【0049】
そして、これらの平面電極5A,5Bは、それぞれ導電リード51を備えている。これらの導電リード51は、平面電極5A,5Bの外周縁の一部から延出し、患部貼着部41からリード部43の突出端に向かって形成されている。また、これらの導電リード51の先端部には、上述したように端子部52が形成されており、リード線31が取り付けられる。
また、これらの導電リード51、端子部52は、平面電極5A,5Bと同一の導電性材料により形成されていることが好ましく、例えば、第一実施形態では、銀ペーストにより形成されている。このように、平面電極5A,5Bと、導電リード51、端子部52を同一の導電性材料にすることで、抵抗の変化による電圧損失がなく、所望の電流を一対の平面電極5A,5Bから仙骨表面に流すことができる。
【0050】
(2−3.導電性粘着パッドの構成)
導電性粘着パッド6A,6Bは、平面電極5A,5Bから出力された低周波電流を人体に流すために、導電性の粘着ゲルにより形成されている。この導電性粘着パッド6A,6Bは、例えば、厚み寸法が0.8mmに形成されている。
また、この導電性粘着パッド6A,6Bは、両面に粘着面を有し、このうち一方の面が平面電極5A,5B上に貼着され、他方の面が患部に貼着可能に構成されている。このような導電性粘着パッド6A,6Bでは、例えば所定回数使用した後、平面電極5A,5Bから剥がし、新たな導電性粘着パッド6A,6Bに付け替えるなどの操作が可能となる。
なお、第一実施形態では、導電性粘着パッド6A,6Bが着脱自在に設けられる例を示したが、例えば、導子2の製造時に予め導子2の平面電極5A,5B上に固定されているものであってもよい。
【0051】
これらの導電性粘着パッド6A,6Bの形状は、平面電極5A,5Bと実質的に同一であることが好ましい。したがって、導電性粘着パッド6A,6Bも、平面電極5A,5Bに対応した略矩形状に形成され、その面積も10cm以上200cm以下、好ましくは、50cm以上100cm以下に形成されている。また、これらの導電性粘着パッド6A,6Bの距離も、平面電極5A,5Bと同様に、3mm以上50mm以下であり、より好ましくは5mm以上20mm以下である。
これは、平面電極5A,5Bが導電性粘着パッド6A,6Bよりも大きく、導電性粘着パッド6A,6Bにより覆われない部分がある場合、その部分は患部との電気的接続に寄与しなくなるため、無意味となり、平面電極5A,5Bが導電性粘着パッド6A,6Bよりも小さく、導電性粘着パッド6A,6Bのうち、平面電極5A,5Bを覆わない部分がある場合、その部分が患部への電気的接続に寄与する効率が低く、意味をなさないためである。
なお、本実施形態では、平面電極5A,5Bから出力される電流を人体に伝搬する部材として導電性粘着パッド6A,6Bを示すが、これに限られない。すなわち、平面電極5A,5Bから出力された電流が正しく人体に伝達されるように、平面電極5A,5Bと人体との双方に密着される導電性部材が介在されていればよく、例えば粘着性を有していないパッドを患部に密着させて、導子2をテーピング固定してもよい。また、例えば導電性ゲルを患部に塗り、この導電性ゲルに平面電極5A,5Bを密着して導子2を固定するなどしてもよい。
【0052】
(2−4.凸部の構成)
凸部7は、シート本体4の延長部42に設けられた複数の取付孔421のいずれか1つに着脱可能に取り付けられている。
具体的には、凸部7は、図3に示すように、導子2の患部に対向する面側に設けられる当接部71と、導子2の患部に対向しない裏面側に設けられ、当接部71を取付孔421に係止する係止部72とを備えている。
【0053】
このような凸部7は、例えば、当接部71側に図示しない係止孔が設けられ、係止部72に設けられる係止突起を、係止孔に係合させることで、取付孔421に係止される。なお、凸部7を取付孔421に係止する構成としては、上記に限られず、例えば、当接部71に係止突起があり、係止部72の係止孔に係合させる構成としてもよい。また、当接部71に折曲可能な係止ピンが設けられ、係止ピンを取付孔421に挿通させて折り曲げることで取付孔421に凸部7を係止して取り付ける構成としてもよい。
【0054】
また、凸部7の当接部71の形状としては、本実施形態では、円錐台上に形成されている例を示すが、人体に当接した際、触感により凸部7であることが認識できる形状であればいかなる形状に形成されていてもよく、例えば円柱状、半球状に形成されていてもよい。また、当接部71は、例えば、シリコーンゴム、発泡樹脂等の樹脂成型品のような、人体に当接した際に、皮膚を傷つけない弾性部材により形成されている。なお、当接部71の表面のみが、上記のような弾性部材により形成される構成としてもよい。
さらに、係止部72としては、上記のように係止ピンが設けられる構成の他、スナップボタン、嵌め込み治具などを用いてもよい。
【0055】
そして、このような凸部7は、利用者の体格に応じて、3つの取付孔421のうちのいずれかに取り付けられる。この体格が大きいか、小さいか、標準的であるかの判断は、上述したように、例えば身長が180cm以上であれば体格が大きい、身長が160cm以上180cm未満であれば体格が標準的、身長が160cm未満であれば体格が小さいとして判断する。
【0056】
(2−5.支持体の構成)
支持体8は、患部貼着部41の中間軸線L上に配置されるロッド状の部材であり、第二シート4Bの表面、すなわち、患部に対向する面側に設けられている。ここで、ロッド状の支持体8とは、当該支持体8をシート本体4の厚み方向から見る平面視において、支持体8の外周縁のうち最も距離が離れた2点を結ぶ直線を主軸として、当該2点以外の点と主軸との距離の最大値が、当該2点間の距離よりも相当に短いものを指す。この当該2点以外の点と主軸との距離の最大値の、当該2点の距離に対する比率としては、0.2以下が好ましく、より好ましくは0.15以下である。
例えば、支持体8が、平行な4辺がそれぞれ50mm、10mm、1mmの長さである直方体であった場合、外周縁のうち最も距離が離れた2点は一対の対角であり、その距離は51mmである。また、対角を結ぶ直線を主軸として、当該直方体の外周縁のうち主軸との距離が最大値となる点は、主軸が交わる面において、主軸と交わらない2辺のなす角(頂点)である。その頂点と主軸との距離は、9.85mmであり、この距離の対角間の距離に対する比率は、0.193である。当該直方体である支持体8は、外周縁のうち最も距離が離れた2点を結ぶ直線を主軸として、当該2点以外の点と主軸との距離の最大値が、当該2点間の距離よりも相当に短いので、ロッド状であると言える。
このようなロッド形状の支持体8を設けることで、可撓性のシート本体4に形状固定性を与えることができ、導子2の取り扱いが容易になる。すなわち、支持体8を設けることで、支持体8のロッドの長手方向(すなわち中間軸線Lに沿う方向)に対して交差する方向には、シート本体4が撓みにくくなるので、可撓性のシート本体4の取り扱いが容易となる。
また、支持体8を中心として患部貼着部41の両端側(第一貼着部41A側および第二貼着部41B側)をそれぞれ保持すると、支持体8が自重により鉛直下側に垂れ下がる。これにより、患部貼着部41の鉛直方向の動きや、中間軸線Lに平行する方向への動きが規制されることとなる。この際、第一貼着部41Aおよび第二貼着部41Bの第二シート4A同士が対向するように、シート本体4を折り曲げることで、平面電極5A,5Bがそれぞれ外側を向くこととなる。したがって、導電性粘着パッド6A,6Bの付着や、これによる平面電極5A,5Bの短絡などを防止できる。
さらに、導子2を患部に貼着する際、支持体8を仙骨中心である脊椎に沿う直線上に当てた後、導電性粘着パッド6A,6Bを患部に貼着することが可能となる。すなわち、利用者は、支持体8の位置を触感により認識することで、中心軸腺Lの位置を容易に認識することができる。
【0057】
なお、支持体8は、ロッド形状に形成されているが、その断面形状(中間軸線Lおよびシート本体4に対して直交する断面形状)は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、短冊形(直方体)であってもよく、円柱を、中心軸を通る平面で2分割した形状、扁球を、中心を通る平面で2分割した形状、およびこれらの組合せ等を患部貼着部41の中心軸線L上に配置するものであってもよい。この中でも特に、短冊形に形成することが、製造の容易性から好ましい。この短冊形とは、シート本体4の平面に対して平行な面(患部対向面)のアスペクト比3以上であり、シート本体4の平面に対して直交する厚み寸法が、患部対向面を構成する辺のうちの最小寸法よりも小さくなる形状を指す。
また、この支持体8は、導電性粘着パッド6A,6Bよりも厚み寸法が小さく、例えば0.5mmに形成されている。このような構成では、患部貼着部41を患部に貼着した際に、患部貼着部41のうち、支持体8が設けられる領域のみが浮き上がって皺ができるなどの不都合を防止でき、患部貼着部41を患部に密着して貼着することができる。
【0058】
また、支持体8は、例えば、コルク及び/又は樹脂成型品により構成され、本実施形態では、発泡ポリオレフィンにより形成されている。このような素材により形成される支持体8は、シート本体4よりも曲げ剛性が強く、かつ弾性を有している。
したがって、シート本体4の患部貼着部41は、中間軸線Lに交差する方向に対して折り曲げ難くなり、患部貼着部41を中間軸線Lに対して容易に2つ折りしやすくなる。また、支持体8は弾性を有しているため、例えば導子2を貼着する患部が屈曲した表面であったとしても、支持体8を湾曲させて導子2を患部に密着させることが可能となる。
【0059】
なお、本実施形態では、支持体8は、中間軸線L上に設けられている例を示すが、一対の平面電極5A,5Bの間で、中間軸線Lと平行に設けられていればよい。
このような位置に設けられていることで、支持体8の長手方向と仙骨の軸方向(脊椎に沿う直線)とを一致させた際に、一対の平面電極5A,5Bの幾何学的重心G,Gを結ぶ線分と、仙骨の軸方向とが直交する。したがって、低周波電流を仙骨表面に流した際、電流の流れる方向も仙骨の軸方向に対してほぼ直交する方向となり、仙骨を流れる電流密度も大きくなるので、より高い治療効果が得られる。
【0060】
また、本実施形態では、1本の支持体8が設けられる構成を例示したが、例えば複数の支持体8が中間軸線Lに沿って設けられる構成などとしてもよい。このような構成では、シート本体4の可撓性をある程度残すことができるため、人体の導子2の貼着部分が屈曲形状である場合でも、容易にシート本体4を湾曲させて貼着することができる。
【0061】
〔3.導子の貼着〕
上述したような電気刺激治療装置1では、導子2を仙骨の適切な位置に貼着し、制御部3を操作して、一対の平面電極5A,5B間で治療用電圧を印加することで、仙骨表面に低周波電流を流し、排尿障害の各症状を改善することが可能となる。
【0062】
ここで、導子2を患部に貼着する際には、まず、利用者の体格に応じて、凸部7を3つの取付孔421のうちのいずれかに取り付ける。この時、上記したように、例えば、利用者の身長に応じて、身長が180cm以上である場合は、体格が大きいとして、延長部42の突出先端側の取付孔421に凸部7を取り付け、身長が160cm以上180cm未満である場合は、体格が標準的であるとして、中央の取付孔421に凸部7を取り付け、身長が160cm未満である場合は、体格が小さいとして、延長部42の突出基端側の取付孔421に凸部7を取り付ける。
この後、シート本体4の平面電極5A,5B上に導電性粘着パッド6A,6Bを貼着する。
【0063】
図4は、導子2の保持例を示す図である。導子2を患部まで移動させる際は、図4に示すように、例えば、患部貼着部41の第一貼着部41Aを親指と人差し指との間で挟んで保持し、第二貼着部41Bを人差し指と中指との間で挟んで保持する。
上述したように、患部貼着部41の中間軸線L上には、シート本体4よりも曲げ剛性が大きい支持体8が設けられているため、上記のように導子2を保持することで、患部貼着部41は、容易に中間軸線Lを中心に2つ折りされ、かつ支持体8が自重により鉛直下側に垂れ下がる。この時、第一貼着部41Aおよび第二貼着部41Bは、第一シート4A同士が対向する状態に山折りされるため、導電性粘着パッド6A,6Bが互いに対向せず、かつ、支持体8により患部貼着部41の鉛直方向の動き、中間軸線Lに平行する方向への動きが規制されるため、導電性粘着パッド6A,6B同士の付着や平面電極5A,5Bの短絡を防止できる。
【0064】
導子2の患部への貼着では、導子2の支持体8を背骨に対して平行に維持し、凸部7の当接部71を、利用者の尾骨に位置合わせし、支持体8を仙骨の軸方向(脊椎に沿う直線上)に位置合わせする。
この時、延長部42は、患部貼着部41側を底辺とした略三角形状に形成されているため、上述のように患部貼着部41を2つ折りにすると、延長部42も中間軸線Lを中心にU字状に折り曲げられる。このため、延長部42の剛性が増大し、例えば凸部7の重量等により、延長部42が中間軸線Lに対して交差する方向に折り曲がるなどの不都合が抑えられ、凸部7の位置合わせが容易となる。
そして、上述のように、凸部7が設けられる取付孔421と、平面電極5A,5B(導電性粘着パッド6A,6B)との位置関係は、人間の体格に応じた尾骨と仙骨の位置関係に対応するように設定されているので、凸部7を尾骨に位置合わせすることで、一対の平面電極5A,5Bを、骨盤の仙骨に対応する位置に合わせ込むことができる。また、支持体8が中間軸線L上に設けられているので、この支持体8を脊椎に沿う直線である仙骨の軸方向に位置合わせすることで、仙骨を挟む位置に一対の導電性粘着パッド6A,6Bを合わせ込むことができる。
【0065】
この後、患部貼着部41上の導電性粘着パッド6A,6Bを、支持体8側から患部に貼着させることで、導子2を患部に貼着する。支持体8側から導電性粘着パッド6A,6Bを貼着させることで、導子2に皺等が生じることなく、患部に密着して貼着することができる。
そして、制御部3から治療用の電圧を平面電極5A,5Bに印加することで、仙骨表面に、仙骨の軸方向に略直交する方向に安定して低周波電流を流すことができる。
【0066】
〔4.第一実施形態の作用効果〕
上記第一実施形態では、電気刺激治療装置1の導子2には、シート本体4の患部貼着部41の中間軸線Lを挟む位置に、一対の平面電極5A,5Bが設けられ、この中間軸線Lの延長上に位置合わせ部である凸部7が設けられている。そして、これらの凸部7および一対の平面電極5A,5Bは、尾骨に凸部7を位置合わせした際に、仙骨を挟む位置に一対の平面電極5A,5Bが位置するよう、その位置やサイズが設定されている。
このため、排尿障害患者の利用者が症状を改善するために、第一実施形態の電気刺激治療装置1を用いて仙骨表面に低周波電流を流す場合、中間軸線Lを脊椎に沿う直線と略平行に維持し、導子2の凸部7を尾骨に位置合わせして、平面電極5A,5B上に貼着された導電性粘着パッド6A,6Bを患部に貼り合わせることで、容易に一対の平面電極5A,5Bを、仙骨を挟む位置に貼着させることができる。したがって、仙骨表面に対して、排尿障害の改善に最適な位置、最適な方向に電流を流すことができ、治療効率を向上させることができる。
【0067】
また、一対の平面電極5A,5Bは、各平面電極5A,5Bの幾何学的重心G,Gを結ぶ線分と中間軸線Lとが直交するように配置されている。このため、中間軸線Lを背骨に平行に維持し、凸部7を尾骨に位置合わせして、これらの一対の平面電極5A,5Bを患部に貼着すると、一対の平面電極5A,5Bがそれぞれ仙骨を挟み、脊椎に沿う直線に対して左右対称な位置に貼着されることになり、仙骨の軸方向に対して略直交する方向に低周波電流を流すことができる。したがって、仙骨表面を流れる低周波電流の密度が大きくなり、治療効率をより向上させることができる。
【0068】
そして、患部貼着部41の一端辺412から中間軸線Lに沿って延長部42が突出し、この延長部42の中間軸線L上に、位置合わせ部である凸部7が取り付けられている。
ここで、位置合わせ部が設けられる位置としては、例えばシート本体4の患部貼着部41のサイズを大きくし、この患部貼着部41上に凸部7を設けてもよいが、患部貼着部41のサイズ増大により、導子2のサイズも大きくなり、製造コストも増大する。また、延長部42に凸部7を設けることで、患部貼着部41を患部に貼着する際に、凸部7が貼着作業の邪魔にならず、より簡単に導子2を適切な位置に貼着することができる。
【0069】
また、この延長部42は、患部貼着部41の一端辺412の一部を底辺とした略三角形状に形成されているため、患部貼着部41を中間軸線L上の支持体8に沿って2つ折りした際に、延長部42も中間軸線Lに沿ってU字上に2つ折りされ、中間軸線Lの交差する方向に対する剛性が増大する。このため、例えば凸部7の重みにより、延長部42が折り曲がらず、容易に凸部7を尾骨に対して位置合わせすることができる。
【0070】
また、位置合わせ部を人体の特定位置である尾骨に合わせることで、導子2を適切な位置に正確に貼着させることが可能となるが、第一実施形態では、この位置合わせ部として凸部7を用いている。
このような凸部7を位置合わせ部として用いる場合、利用者は、凸部7を触感により容易に認識することができ、導子2の貼着がより容易になる。
【0071】
ここで、この凸部7は、延長部42の中間軸線L上に沿って設けられる3つの取付孔421のうちのいずれかに、着脱自在に取り付けられている。
このため、導子2を貼着する利用者の体格に応じて、凸部7の取付位置を変更することができる。したがって、各利用者の体格に応じて、適切な位置に凸部7を付け替え、凸部7を尾骨に位置合わせして導子2を貼着することで、各利用者の体格に対して、最適な位置に導子2を貼着することができ、排尿障害に対して良好な治療を実施することができる。
【0072】
そして、シート本体4の患部貼着部41の中間軸線L上には、ロッド状の支持体8が設けられている。
シート本体4は容易可撓性を有しているため、僅かな力で折れ曲がってしまう。これに対して、支持体8を設けることで、シート本体に形状固定性を与え、導子2の取り扱いを容易にすることができる。また、導電性粘着パッド6A,6Bが設けられた平面電極5A,5Bの間の中間軸線L上にロッド状の支持体8を設けることで、支持体8を中心として患部貼着部41の両端を保持した際、患部貼着部41を、支持体8を挟んで容易に2つ折りすることができる。また、このように患部貼着部41を保持した状態では、支持体8が自重により鉛直下側に垂れ下がるため、鉛直方向の導子2の動きが規制され、導電性粘着パッド6A,6B同士の付着を防止できる。
また、導子2を患部に貼着する際、凸部7を尾骨に位置合わせして、支持体8を仙骨の軸方向に位置合わせした後、第一貼着部41Aおよび第二貼着部41Bを広げて導電性粘着パッド6A,6Bを患部に貼着する。この時、支持体8が設けられているので、利用者は、患部貼着部41のうち、中間軸線Lがどの位置に設けられているかを触感により容易に認識することができる。すなわち、患部貼着部41の方向を目視により確認できない場合であっても、触感により支持体8を認識して仙骨の軸方向に位置合わせすることができる。また、このように位置合わせした状態で導電性粘着パッド6A,6Bを患部に貼着することで、必然的に仙骨を挟む位置に一対の平面電極5A,5Bを配置することができる。したがって、利用者が第三者の助けを借りずに、簡単な操作で導子2を患部に貼着することができる。
【0073】
また、この支持体8は、導電性粘着パッド6A,6Bよりも厚み寸法が小さく形成されているため、導子2を患部に貼着した際、シート本体4の支持体8に対応する部分が盛り上がって皺になることがない。
【0074】
さらに、この支持体8は、コルク及び/又は樹脂成型品により構成されており、シート本体4よりも曲げ剛性が強く、かつ弾性を有している。このため、上記のように、シート本体4の患部貼着部41を容易に2つ折りすることができるとともに、患部の屈曲形状に合わせて支持体8を弾性変形することができ、導子2を患部に密着することができる。
【0075】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
第二実施形態は、第一実施形態の電気刺激治療装置1において、導子2の位置合わせ部を変形させたものであり、その他の構成については同様の構成を有する。なお、以降の実施形態の説明に当たり、第一実施形態と同様の構成については同符号を付し、その説明を省略または簡略する。
【0076】
図5は、第二実施形態の導子2Aの概略構成を示す斜視図である。
図5に示すように、第二実施形態の導子2Aの延長部42には、位置合わせ部としての位置合わせ孔7Aが形成されている。このような第二実施形態の導子2Aでは、上記第一実施形態と同様に、支持体8を挟んで患部貼着部41を2つ折りにして、第一貼着部41A,第二貼着部41Bを片手で保持した後、この位置合わせ孔7Aを尾骨に位置合わせして導子2Aを貼着する。
このような位置合わせ孔7Aを設ける構成であっても、利用者は位置合わせ孔7Aの孔縁部のエッジ部分を触感により認識することで、容易に位置合わせ孔7Aを尾骨に位置合わせすることができる。したがって、上記第一実施形態と同様に、容易に導子2Aを仙骨に対応した適切な位置に貼着することができ、排尿障害の症状の改善に有効な低周波電流を仙骨表面に適切に流すことができる。
【0077】
なお、図5では、延長部42に1つの位置合わせ孔7Aのみが形成される例を示しているが、例えば第一実施形態のように、利用者の体格に応じて、複数の位置合わせ孔7Aを設ける構成としてもよい。この場合では、利用者は、自分の体格に合う位置合わせ孔7Aが何番目の孔であるかを予め認識し、対応する位置合わせ孔7Aを尾骨に位置合わせすればよい。
さらには、上記例では、延長部42に位置合わせ孔7Aを設ける構成としたが、例えば、延長部42に位置合わせ部として凹部を設ける構成としてもよい。この場合、凹部の外周縁のエッジ部分を触感により認識して、凹部を尾骨に位置合わせすることで、導子2を最適な位置に貼着することができる。
【0078】
[第三実施形態]
次に、本発明に係る第三実施形態について、図面に基づいて説明する。
第三実施形態は、第一実施形態の電気刺激治療装置1において、導子2の位置合わせ部を変形させたものであり、その他の構成については同様の構成を有する。
【0079】
図6は、第三実施形態の導子2Bの概略構成を示す斜視図である。
図6に示すように、第三実施形態の導子2Bの延長部42には、本発明の位置合わせ部としての粘着部7Bが貼着されている。この粘着部7Bとしては、例えば、導電性粘着パッド6A,6Bと同一の粘着性ゲルを用いることができ、延長部42に対して、容易に貼り付けおよび取り剥がしを実施することができる。
【0080】
また、導子2Bの延長部42には、中間軸線Lに沿って、複数のマーカー422(例えば、第三実施形態では3つ)が設けられている。これらのマーカー422は、第一実施形態に取付孔421と同じ位置に設けられており、粘着部7Bの貼着位置を示す目印として機能する。例えば、体格が大きい(例えば身長が180cm以上)利用者であれば、粘着部7Bを、延長部42の突出先端側のマーカー422の位置に貼着する。また、体格が標準的な(例えば身長が160cm以上180cm未満)利用者であれば、粘着部7Bを3つのマーカー422のうちの中央のマーカー422に貼着する。さらに、体格が小さい(例えば身長が160cm未満)利用者であれば、粘着部7Bを延長部42の突出基端側(患部貼着部41側)のマーカー422に貼着する。
なお、ここでは、粘着部7Bを利用者の体格に応じたマーカー422上に貼着する構成を示したが、例えば、延長部42の中間軸線L上に複数の粘着部7Bが設けられ、各粘着部7Bの表面に剥離材が設けられる構成としてもよい。この場合、利用者の体格に応じて使用する粘着部7Bの剥離材を除去することで、粘着部7Bを位置合わせ部としてすることができる。
【0081】
このような構成とすることで、利用者の体格に応じて、適切な位置に位置合わせ部である粘着部7Bを貼着することができ、この粘着部7Bを尾骨に位置合わせして導子2Bを患部に貼着することで、仙骨に対して左右対称となる最適な位置に平面電極5A,5Bを配置することができる。したがって、上述した第一および第二実施形態と同様に、容易に導子2Bを仙骨に対応した適切な位置に貼着することができ、排尿障害の症状の改善に有効な低周波電流を仙骨表面に適切に流すことができる。
【0082】
なお、粘着部7Bとしては、例えば、表面粘着性をより高めたものを用いてもよい。この場合、粘着部7Bを尾骨に位置合わせした際、粘着部7Bを尾骨上の皮膚に貼着して仮固定することができ、より容易に導子2Bの貼着を実施することができる。
【0083】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0084】
例えば、上記第一〜第三実施形態において、位置合わせ部が1つのみ設けられる例を示したが、複数設けられる構成としてもよく、また、中間軸線L上以外に位置合わせ部が設けられる構成としてもよい。
ここで、図7に、位置合わせ部が中間軸線L上に設けられない例を示す。図7に示す導子2Cでは、患部貼着部41の中間軸線Lに直交する幅方向L2に沿って、中間軸線Lを挟んでほぼ線対称に、一対の幅延長部42A,42Bが設けられている。これらの幅延長部42A,42Bには、それぞれ、幅方向L2に沿って、複数(例えば3つ)の取付孔421A,421Bが形成されており、これらの複数の取付孔421A,421Bは、それぞれ利用者の体格に応じて位置が決定されている。そして、これらの取付孔421Aのうちのいずれか1つに位置合わせ部である凸部7が設けられ、取付孔421Bのうちのいずれか1つに位置合わせ部である凸部7が設けられている。
このような導子2Cでは、一対の凸部7をそれぞれ、左右の腸骨の端部に位置合わせして、平面電極5A,5B上に設けられる導電性粘着パッド6A,6Bを人体に貼着することで、仙骨を挟む位置に一対の平面電極5A,5Bを貼着することができる。
なお、図7に示す例では、凸部7が取付孔421A,421Bに係合される例を示すが、例えば、第三実施形態のように、複数のマーカー422を配置して、そのうち、体格に応じたマーカー422の位置に粘着部7Bを貼着する構成としてもよく、第二実施形態のように、位置合わせ孔7Aを設ける構成としてもよい。
さらに、図7では、幅延長部42A,42Bの凸部7を腸骨に位置合わせする導子2Cを例示したが、上記第一〜第三実施形態の導子2,2A,2Bに、図7に示すような幅延長部42A,42B、および腸骨の端部に対して位置合わせする凸部7を設ける構成としてもよく、この場合、尾骨および腸骨の端部に対して、それぞれ対応する位置合わせ部を位置合わせすることで、より正確な位置に一対の平面電極5A,5Bを貼着することができる。
【0085】
さらには、図7では、幅方向L2に沿って2つの凸部7が設けられる構成を例示したが、例えば中間軸線L上に2つ以上の位置合わせ部が設けられる構成としてもよい。すなわち、上記第一〜第三実施形態では、仙骨に近い尾骨に位置合わせ部である凸部7や、位置合わせ孔7A、粘着部7Bを設ける例を示したが、尾骨に位置合わせするための位置合わせ部(凸部7、位置合わせ孔7A,粘着部7B)の他、例えば後頭部に位置合わせするための位置合わせ部を別途中間軸線L上に設ける構成などとしてもよい。
【0086】
また、上記第一〜第三実施形態および図7に示す例では、仙骨表面に低周波電流を流すための電気刺激治療装置1を例示したが、これに限定されない。
すなわち、本発明は、目視により容易に確認することができない背中、特に、脊椎に沿う位置の患部に対して、脊椎を挟んで一対の平面電極を配置し、患部に電気刺激を与える電気刺激治療用導子として利用することができる。例えば、肩甲骨間の筋肉の凝りなどに対して電気刺激治療を行う場合、肩甲骨と患部の筋肉との位置関係に応じて、シート本体4上に位置合わせ部を設ける構成とすればよい。この場合、肩甲骨に位置合わせ部を位置合わせすることで、肩甲骨間の筋肉上に平面電極を配置することができ、有効な治療を行うことができる。
【0087】
さらに、第一、第三実施形態、および図7に示す例において、利用者の体格である身長に応じて、凸部7や粘着部7Bなどの位置合わせ部の取付位置を適宜選択可能な構成とした。これは、第一、第三実施形態、および図7に示す例では、脊椎に沿う直線上に位置する仙骨に対して、仙骨を挟む位置に一対の平面電極5A,5Bを配置するものであるため、身長に応じて、適切な取付孔421やマーカー422を選択すればよいためである。
しかしながら、例えば、背骨を挟んで右半身側または左半身側に位置する患部に対して、電気刺激を行う場合、利用者の腹囲、胸囲などのその他の条件によっても、患部と特定位置との距離が変わる場合がある。このような場合、身長や腹囲、胸囲などの諸条件に応じて選択可能な取付孔421やマーカー422を、シート本体4上に複数設ける構成とすればよい。これにより、利用者は、身長や腹囲、胸囲などの諸条件に基づいて、適切な取付孔421やマーカー422を選択して凸部7や粘着部7Bなどの位置合わせ部を取り付け、この位置合わせ部を人体の特定位置に位置合わせすることで、適切な位置に電気刺激治療用導子を貼着することが可能となる。
また、利用者の体格により、例えば肥満度が高く、骨の突出部分が分かり難い場合では、位置合わせ部を位置合わせする人体の特定位置を、適宜選択可能な構成としてもよい。この場合、シート本体には、選択可能な特定位置に対応して、それぞれ、取付孔やマーカーが設けられ、利用者が選択した特定位置に対応した取付孔やマーカーに位置合わせ部を取り付ける構成とすればよい。
【0088】
さらに、上記第一〜第三実施形態、および図7に示す例では、制御部3および導子2,2A,2B,2Cがリード線31により接続される例を示したが、導子2,2A,2B,2Cに制御部が一体的に組みつけられている構成などとしてもよい。この場合、支持体8の位置に制御部として機能する制御回路を設ける構成としてもよく、リード部43の位置に制御部として機能する制御回路を設ける構成などとしてもよい。
【0089】
第一、第三実施形態、および図7に示す例において、延長部42(又は幅延長部42A,42B)に3つの取付孔421(421A,421B)又はマーカー422を設け、これらのうち利用者の体格に応じて、凸部7や粘着部7Bを設ける構成を例示したが、さらに多くの取付孔421やマーカー422が設けられる構成としてもよい。
【0090】
また、第一、第三実施形態、および図7に示す例において、取付孔421やマーカー422に着脱自在に設けられる凸部7、粘着部7Bを例示したが、延長部42や幅延長部42A,42Bに凸部7や粘着部7Bが予め固定されている構成などとしてもよい。
【0091】
さらに、上記第一〜第三実施形態において、延長部42に位置合わせ部である凸部7、位置合わせ孔7A,粘着部7Bを設ける構成を例示したが、これに限られない。例えば、延長部42ではなく、患部貼着部41上に凸部7や位置合わせ孔7A,粘着部7Bが設けられる構成などとしてもよい。
【0092】
さらには、延長部42の形状としても患部貼着部41の一端辺412の一部を底辺とした略三角形状に限られず、例えば、矩形状の延長部が形成される構成などとしてもよい。
また、延長部42の突出寸法をさらに長くし、例えば、尾骨ではなく、後頭部に対して位置合わせを実施する位置合わせ部を設ける構成などとしてもよい。
【0093】
そして、位置合わせ部として、凸部7、位置合わせ孔7A、凹部、および粘着部7Bを例示したが、例えば、シート本体の一部をヤスリ等により加工して、他とは異なる摩擦係数を有する部分を形成し、これを位置合わせ部としてもよく、利用者により容易に知覚できるものであれば、いかなる構成であってもよい。
【0094】
また、上記第一〜第三実施形態では、利用者が自ら患部に導子2,2A,2Bを貼着することができるよう、導子2,2A,2Bのサイズ、平面電極5A,5B間の距離、導電性粘着パッド6A,6Bのサイズを決定しているが、例えば、患者以外の第三者が患者の患部に導子2,2A,2Bを貼着する場合では、上記のようなサイズに限定される必要はない。この場合でも、第三者が専門の知識などを有していなくても、位置合わせ部を設けることで、導子2、2A,2Bを最適な位置に貼着することができる。
【0095】
さらに、上記において、一対の平面電極5A,5Bが設けられる導子2,2A,2B,2Cを例示したが、例えば中間軸線Lを挟んで二対の平面電極が設けられる構成としてもよく、一対の平面電極5A,5B以外に、さらに別途平面電極を設ける構成などとしてもよい。
【0096】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、患部に電流を流して刺激を与える電気刺激治療用導子、およびこの電気刺激治療用導子を備えた電気刺激治療装置に利用できる。
【符号の説明】
【0098】
1…電気刺激治療装置、2,2A,2B…電気刺激治療用導子としての導子、4…シート本体、5A,5B…平面電極、6A,6B…導電性粘着パッド、7…位置合わせ部としての凸部、7A…位置合わせ部としての位置合わせ孔、7B…位置合わせ部としての粘着部、8…支持体、42…延長部、421…取付孔、L…中間軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する平面形状のシート本体と、
前記シート本体の一面側に設けられ、人体の表面上の脊椎を挟んだ位置に貼着可能な少なくとも一対の平面電極と、
前記シート本体の前記一面側に設けられ、人体の特定位置に対して位置合わせされる位置合わせ部と、
を備えたことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項2】
請求項1に記載の電気刺激治療用導子において、
前記一対の平面電極は、仙骨の軸を挟む人体の表面上に貼着される
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気刺激治療用導子において、
前記位置合わせ部は、前記一対の平面電極の間の中間軸線上に設けられる
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項4】
請求項3に記載の電気刺激治療用導子において、
前記中間軸線は、前記一対の平面電極の幾何学的重心を結ぶ仮想直線に直交する直線である
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項5】
請求項3または請求項4のいずれかに記載の電気刺激治療用導子において、
前記位置合わせ部は、前記シート本体の前記中心軸線上に延長形成された延長部に設けられた
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれかに記載の電気刺激治療用導子において、
前記シート本体には、前記中間軸線に沿って、ロッド状の支持体が設けられた
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項7】
請求項6に記載の電気刺激治療用導子において、
一対の前記平面電極には、当該電気刺激治療用導子と人体とを密着させ、かつ平面電極から出力される電流を人体に伝達する導電性粘着パッドが設けられ、
前記支持体は、前記シート本体の前記一対の平面電極が設けられる面側に設けられるとともに、前記導電性粘着パッドよりも厚み寸法が小さい
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の電気刺激治療用導子において、
前記支持体は、コルク及び/又は樹脂成型品により形成される
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の電気刺激治療用導子において、
前記位置合わせ部は、前記シート本体の一面側から突出する凸部である
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項10】
請求項9に記載の電気刺激治療用導子において、
前記シート本体に複数の取付孔が設けられ、
前記凸部は、複数の前記取付孔のうちの少なくともいずれか1つに係止される
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項11】
請求項10に記載の電気刺激治療用導子において、
前記位置合わせ部は、前記一対の平面電極の間の中間軸線上に設けられ、
前記複数の取付孔は、この中間軸線に沿って設けられる
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項12】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の電気刺激治療用導子において、
前記位置合わせ部は、前記シート本体の一面側に設けられる凹部、または位置合わせ孔である
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項13】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の電気刺激治療用導子において、
前記位置合わせ部は、前記シート本体の一面側に設けられ、粘性を有する粘着部である
ことを特徴とする電気刺激治療用導子。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の電気刺激治療用導子と、
前記電気刺激治療用導子から患部に電流を流す制御をする制御部と、
を備えたことを特徴とする電気刺激治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−24405(P2012−24405A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167291(P2010−167291)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】