説明

電気化学セル

電気化学セルは、水素発生器および水素型燃料電池を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セルは、通常、2または3以上の反応体の電気化学反応によって、電気エネルギーを提供することの可能な装置である。一般に電気化学セルは、アノードおよびカソードと呼ばれる2つの電極と、電極間に設置された電解質とを有する。アノード活物質と、カソード活物質の直接反応を回避するため、電解質は、セパレータによって相互に電気的に絶縁されている。
【0003】
時折水素型燃料電池と呼ばれる方式の電気化学セルでは、アノード反応体は、水素ガスであり、カソード反応体は酸素(例えば空気から得られる)である。アノードでは、水素の酸化によって、プロトンと電子が生成する。プロトンは、アノードから電解質を通り、カソードに至る。電子は、外部導体を通ってアノードからカソードに流れ、電気エネルギーが提供される。カソードでは、プロトンと電子が反応して水が生成する。
【0004】
金属−空気セルと呼ばれる別の方式の電気化学セルでは、酸素は、カソードで消費され、金属(例えば亜鉛)がアノードで酸化される。電子は、外部導体を通ってアノードからカソードに流れ、電気エネルギーが提供される。酸素は、セルハウジングの1または2以上の空気孔を介して、セル外の大気中の空気からカソードに供給される。電極と接する電解質溶液(例えば水酸化カリウム溶液等のアルカリ電解質)は、セパレータを通過して電極間を移動するイオンを含み、放電中のセル全体の電気的中性が維持される。
【0005】
金属−空気セルは、カソード内のアルカリ電解質に二酸化炭素が吸収されると、炭酸化する場合があり、これにより炭酸塩(炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウム等)の偏析が生じる。これらの塩は、例えばセル外囲器のカソード側におけるカソードポアまたは通気孔を閉塞し、セルに悪影響を及ぼす場合がある。その場合、カソードに酸素が到達しにくくなり、カソードか機能しなくなる。
【0006】
また金属−空気セルでは、環境側の相対湿度とセル電解質の平衡蒸気圧との差によって、周囲環境と水の出入りが生じる場合がある。周囲の空気が、電解質より乾燥している場合(すなわち水蒸気分圧が低い場合)、セルは環境側に水分を放出し、乾燥する。一方、周囲の空気の方が電解質よりも高湿度の場合(すなわち水蒸気分圧が高い場合)、セルは、水分を吸収し、カソードは、過剰の電解質溶液で濡れる。いずれの場合も、セル性能が低下する結果となる。さらにカソードが過剰の電解質溶液で濡れる状態では、電解質溶液が通気口から外部に漏洩してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、安全で低コスト、長寿命の電気化学セル、電流を発生させる方法および水素発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
全般に電気化学セルは、水素型燃料電池に接続された電気化学的水素発生器を有する。水素発生器および燃料電池は、電気的および/または機械的に接続される。
【0009】
ある態様では、電気化学セルは、電気化学的水素発生器と水素型燃料電池を有する。電気化学的水素発生器は、水素ガスを生成する第1のカソードと、第1のカソードに隣接する第1のアノードとを有する。水素型燃料電池は、水素ガスを酸化させる第2のアノードと、第2のアノードに隣接する第2のカソードとを有する。第1のアノードは、第2のカソードと電気的に接続され、第1のカソードは、第2のアノードと電気的に接続される。
【0010】
別の態様では、電気化学セルは、水素型燃料電池と直列に接続された電気化学的水素発生器を有する。
【0011】
ある実施例では、電気化学的水素発生器は、水素ガスを生成する第1のカソードと、第1のカソードに隣接する第1のアノードとを有する。水素型燃料電池は、水素ガスを酸化させる第2のアノードと、第2のアノードに隣接する第2のカソードとを有する。ある実施例では、第1のアノードは、第2のカソードと電気的に接続され、第1のカソードは、第2のアノードと電気的に接続される。
【0012】
ある実施例では、水素型燃料電池は、水素ガスを酸化させる第2のアノードと、第2のアノードに隣接する第2のカソードとを有する。
【0013】
ある実施例では、水素発生器はガス出口を有し、水素型燃料電池は、前記ガス出口に連通されたガス入口を有する。水素発生器は、第1のハウジングを有する。水素型燃料電池は、第2のハウジングを有する。ある実施例では、水素型燃料電池および水素発生器は、単一のハウジング内に設置される。
【0014】
水素発生器は、水素発生用アノードを有しても良い。水素発生用アノードは、金属(例えば亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウムおよびスズ等)で構成することができる。水素発生用アノードは、水素吸蔵成分(例えば金属水素化物またはミッシュ金属合金)を有しても良い。
【0015】
ある場合には、水素型燃料電池は、酸性高分子膜電解質を有しても良い。
【0016】
ある実施例では、電気化学セルはさらに、制御器を有しても良い。さらに電気化学セルは、センサを有しても良い。センサは、制御器に接続することができる。
【0017】
別の態様では、電気化学セルは、電気化学的水素発生器および水素型燃料電池を有する。水素発生器は、水素ガスを生成する第1のカソードと、第1のカソードに対向する第1のアノードとを有する。水素型燃料電池は、水素ガスを酸化させる第2のアノードと、第2のアノードに対向する第2のカソードとを有する。水素発生器と水素型燃料電池の間には、結合部が設けられる。この結合部は、流体が連通するように、第1のカソードと第2のアノードを結合する。
【0018】
ある実施例では、さらに水素発生器は、第1のハウジングを有し、その内部には、第1のアノードと第1のカソードが設置される。ある場合には、さらに水素型燃料電池は、第2のハウジングを有し、その内部には第2のアノードと第2のカソードが設置される。第2のハウジングは、第1のハウジングと取り外し可能な状態で嵌合することができる。
【0019】
第1のアノードは、第2のカソードと電気的に接続される。
【0020】
別の態様では、電気化学的水素発生器の第1のアノードと、水素型燃料電池の第2のカソードの間に、電気的接続を形成するステップと、電気化学的水素発生器の第1のカソードと、水素型燃料電池の第2のアノードの間に、電気的接続を形成するステップとを含む、電流を発生させる方法が提供される。
【0021】
ある場合には、第1のカソードは、水素ガスを生成し、第1のアノードは、第1のカソードに隣接して設置される。第2のアノードは、水素ガスを酸化させ、第2のカソードは、第2のアノードに隣接される。
【0022】
別の態様では、電気化学的水素発生器の酸化半セルから、第1の電子を生成するステップと、水素型燃料電池の還元半セルに、第1の電子を輸送するステップとを有する、電流を発生させる方法が提供される。
【0023】
ある実施例では、さらに当該方法は、水素型燃料電池の酸化半セルから水素発生器の還元半セルに、第2の電子を輸送するステップを有する。
【0024】
当該方法は、さらに水素発生器から水素を生成するステップと、生成した水素を燃料電池で酸化させるステップとを有する。ある場合には、当該方法は、さらに水素発生器と燃料電池に流体が連通するように接続された経路を介して、生成した水素を燃料電池に輸送するステップを有する。
【0025】
別の態様では、電気化学的水素発生器は、水素出口を備えるハウジングと、ハウジング内の酸化剤を含むアノードと、ハウジング内の水素発生触媒を含むカソードと、アノードおよびカソード間のイオン伝導性であって、電気絶縁性のセパレータ層と、を有する。
【0026】
ある場合には、水素発生器はさらに、ハウジング内にイオン電解質水溶液を有する。
【0027】
酸化剤は、金属であっても良い(例えば、IIa族金属、Ib族金属、IIIa族金属、IIb族金属、鉄、スズ、マンガン、チタン、ジルコニウムまたはこれらの組み合わせである)。
【0028】
セパレータは、不繊布高分子繊維(例えばポリビニルアルコール繊維)を有しても良い。ある場合には、不繊布高分子繊維は、セロファンで被覆される。
【0029】
ある実施例では、カソードはさらに、触媒を含むバインダ(例えば、高密度ポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレン)を有する。
【0030】
水素出口には、ハウジングからの液体漏洩を防止する撥水性膜が設置されても良い。
【0031】
酸化剤は、金属水素化物(例えば水素化チタン、水素化ジルコニウム、ニッケルもしくはランタンの可逆性水素化物、またはミッシュ金属合金)であっても良い。ある場合には、酸化剤は、金属(例えば、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたはスズ)であっても良い。
【0032】
水素発生器は、さらにハウジング内に設置されたアルカリ電解質(例えば水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液)を有しても良い。
【0033】
アノードおよびカソードは、電子導体によって接続され、この電子導体は、スイッチを備えても良い。
【0034】
水素発生器の実施例は、1または2以上の以下の利点を有する。水素発生器は、他の水素源に比べて、収容容積および収容重量の点で優れている。ある場合には、水素発生器は、液体水素、圧縮水素ガス、金属水素化物吸蔵合金または活性金属水素化物等の水素源に比べて安全である。水素発生器は、他の水素源に比べて、水素ガスおよび/または電解質の漏洩を有意に抑制することができる。
【0035】
ある実施例では、水素発生器のアノード層は、その2つの側がカソード材料の方に露出されており、水素発生器は、そのような構造を持たない同等の水素発生器に比べて、より多くの水素ガスを生成することができる。水素発生器は、水素ガスの消費に応じて作動または停止することができ、水素ガス量は、発生器の電気回路を開閉することによって調整することができる。水素発生器が停止されているときは、発生器内には、実質的に水素圧が生じない。水素発生器の部品は、他の水素源に比べると比較的安価である。
【0036】
水素発生器は、制御可能な方法で、安全かつ正確に燃料を燃料電池に供給する。水素発生器は、経済的であり、小型、携帯性に優れ、および/または水素ガス源の取り外しが可能である。水素発生器は、可逆性金属水素化物合金を用いた水素源に比べて、低重量である。水素発生器に用いられる材料は、環境に対して有害ではなく、または環境への影響を最小限に抑制することができる。例えば、水素発生器を使用しても、アルカリ電池を使用した場合と実質的に同等の生成物しか生成されない。従って水素発生器は、容易に廃棄することができ、特別な措置を行う必要はない。水素発生器は、中温域(例えば71℃)で耐性があり、必要以上の過剰の水素ガスを発生したり、内圧が高まり危険になることもない。水素発生器には、少なくとも10年の有効寿命があり、作動または再作動時の性能を劣化させずに、使用前または使用途中の状態で保管しておくことができる。
【0037】
燃料電池および水素発生器を有する電気化学セルの実施例には、1または2以上の以下の利点がある。電気化学セルは、従来の金属−空気セルに比べて、炭酸化、乾燥および/または過剰濡れを防止することができる。従って電気化学セルは、従来の金属−空気セルに比べて、作動状態での寿命を向上することができる。ある実施例では、電気化学セルは、水の循環機構を有し、セルを小型および軽量化することができ、水循環機構を持たないセルに比べて、水素ガスの収容容積を向上することができる。電気化学セルでは、従来の燃料電池よりも高い電圧を得ることができる。
【0038】
本発明の1または2以上の実施例を、添付図面を参照して以下に詳細に示す。本発明の別の特徴および利点は、明細書、図面および特許請求の範囲の記載から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1では、水素発生器10は、内部空間14を定めるハウジング12を有する。水素発生器の内部空間には、カソード触媒材料を含むカソード16がある。カソード16は、ハウジング12の中央に層15を、またハウジングの内周近傍に層17を形成する。ハウジング12は、さらにセパレータ18を有し、セパレータは外囲器20を構成する。外囲器は、中央カソード層15と周囲カソード層17の間に設置される。外囲器20は、アノード活物質を含むアノード22を収容する。カソード16およびアノード22は、ともに共通の電解質中に埋没される。
【0040】
図1の水素発生器10では、カソード16は、アノード22から分離される。すなわちカソードは、アノードとは別の、アノードとは恒久的に接続されない金属基材上に設置される。
【0041】
アノード22は、アルカリ電池のアノードに用いられるいかなる標準的な材料で形成しても良い。例えばアノード22は、金属(例えば金属粒子)、ゲル化材およびガス発生インヒビター等の微量添加物を含むゲルであっても良い。
【0042】
好適なアノード材料は、IIa族の金属、Ib族の金属、IIIa族の金属、IIb族の金属、鉄、スズ、マンガン、チタンまたはジルコニウムである。例えばアノード金属は、亜鉛を含んでも良い。
【0043】
アノード金属は、従来から亜鉛スラリーアノードに用いられているような、粒子状の亜鉛としても良い。アノードは、例えば重量比で60%から80%の間、65%から75%の間、67%から71%の間、の亜鉛粒子を含んでも良い。亜鉛粒子は、亜鉛粒または亜鉛粉のような微細な亜鉛系粒子としても良い。亜鉛系粒子は、亜鉛または亜鉛合金で構成することができる。亜鉛系粒子は、ガスアトマイズ、遠心アトマイズ、溶融回転法、および空気ブロー法を含む製作処理法によって形成することができる。
【0044】
亜鉛粒は、篩を手動でゆするような通常の篩い分け操作によって、標準的な200メッシュの篩(すなわち200メッシュ)を通過する寸法の亜鉛系粒子である。亜鉛粉は、通常の篩い分け操作によって、標準的な325メッシュの篩(すなわち325メッシュ)を通過する寸法の亜鉛系粒子を含む。通常亜鉛系粒子は、球状または非球状である。非球状粒子は、尖った形状(すなわち、主軸に沿った長さが、副軸に沿った長さの少なくとも2倍)であり、またはフレーク状(すなわち厚さが、最大直線寸法の20%以下)である。亜鉛粒子は、表面積が200cm/gから300cm/gの間にある。
【0045】
ある実施例では、アノードは、金属水素化物(例えば水素化チタン、水素化亜鉛、ニッケルもしくはランタンの可逆性水素化物、またはミッシュ金属)のような水素吸蔵成分を有する。
【0046】
アノード22は、ゲル化剤を有しても良い。ゲル化剤の例は、ポリアクリル酸、グラフト化スターチ材料、ポリアクリル酸塩、ポリアクリレート、カルボキシメチルセルロースまたはこれらの組み合わせである。そのようなポリアクリル酸の例は、Carbopol 940および934(B.F.Goodrichから入手できる)、Polygel 4P(3Vから入手できる)であり、グラフト化スターチ材料の例は、Waterlock A221(Grain Processing 社、アイオワ州マスカティーン、から入手できる)である。ポリアクリル酸塩の例は、Alcosorb G1(Ciba Specialtiesから入手できる)である。
【0047】
アノード22は、高表面積を有し、アノード活物質の溶解速度および電子の発生速度を高めることができ、さらにカソード触媒上での水素ガス発生速度を向上することができる。例えば、アノード22は、50cm/gから500cm/gの表面積を有する。
【0048】
カソード16は、例えばパラジウムおよび/またはルテニウム触媒材料等の貴金属触媒を含む。カソード触媒材料は、カーボン上に担持され、Exmet社(コネチカット州ノガタック)から市販されているニッケルEXMET(登録商標)のような微細金属ガーゼまたはメッシュ上に設置される。例えば好適なカソードは、ニッケルEXMET(登録商標)にコーティング(例えばペイント塗布)されたパラジウム担持カーボンおよびレニウム担持カーボンである。カソードコーティング材は、重量比で約0.5%から2%の、1%パラジウム担持活性炭素を有し、これはAlfa Aesarから入手できる。また、カソードコーティング材は、重量比で約2%から6%、5%レニウム担持活性炭素を有し、これはAlfa Aesarから入手できる。
【0049】
カソードコーティング材は、バインダを含んでも良い。バインダの一例は、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン、ポリブチレン、ナイロン、ポリアクリルアミド、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポルトランドセメントならびにポリフッ化ビニリデンおよびポリテトラフルオロエチレンのようなフッ化炭素樹脂である。ポリエチレンバインダの例は、粉末状高密度ポリエチレン(例えばHoechst社から入手できる、Coathylene HA−1681)である。カソードコーティング材は、重量比で約0.1%から1%のバインダを含んでも良い。
【0050】
ある場合には、カソードは、ニッケルEXMET(登録商標)網に設置された、パラジウムおよびレニウム触媒担持炭素と、ポリテトラフルオロエチレン(粉末状高密度ポリエチレン等)よりも撥水性の弱いバインダとを有する。
【0051】
例えば、触媒カソードコーティング材は、14%の粉末状高密度ポリエチレン(Hoechst−Celanese社から入手できる、Coathylene HA−1681)と、50%のn−プロパノールと、1%のパラジウムを含む1%の活性炭素(Alfa Aesar)と、5%のレニウムを含む4%の活性炭素(Alfa Aesar)と、31%の活性炭素粉末(Alfa Aesar)とを含み、以下のように調製することができる。粉末状高密度ポリエチレンとn−プロパノールを混合する。次にパラジウム担持炭素とレニウム担持炭素を混合物に加え、スラリーを形成する(ある場合には、触媒担持炭素は水溶性懸濁液として混合物に添加される(例えば50%固体、50%水)。そのような場合、後続のステップで蒸発する水の量は、処理工程において考慮されていない)。次に、はけ塗りまたはドクターブレード法によるコーティングによって、ニッケルEXMET(登録商標)網にスラリーを塗布する。液体を蒸発させてから、コーティングされた網を炉内で10分間、190℃に加熱し、バインダおよび粉末状触媒成分を網に焼結させる。
【0052】
カソード16は、別の添加物を含んでも良い。例えばカソードは、表面活性剤(例えばTriton X−100、Sigma−Aldrichから入手できる)を含む。表面活性剤は、カソードの濡れ性を良くし、バインダが凝固することを防止するとともに、カソード材料の特性が損なわれることを回避する。
【0053】
電解質24は、アルカリ電解質(例えば水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム)としても良い。ある場合には、電解質は、ビスマス、スズ、インジウム、水銀、鉛もしくはタリウムの溶解塩、酸化物または水酸化物を含む。電解質は、金属アノードの溶解カチオンまたはアニオン(例えば酸化アルミニウム、ナトリウムアルミネート、カリウムアルミネート、酸化亜鉛、水酸化亜鉛またはカルシウム塩)を含んでも良い。ある実施例では、電解質は、第四アンモニウム塩または非イオン性、陰イオン性もしくは陽イオン性の表面活性剤のような、腐食インヒビターを含む。
【0054】
外囲器20は、電流コレクタ26を収容する。電流コレクタは、アノード活物質の周りにコイル状に巻き回される。電子導体28は、電流コレクタ26に接続され、セル外部において終端処理される。別の電子導体30は、カソード16に接続され、同様にセル外部において終端処理される。導体28は、例えばプラスチックコーティング等によって絶縁され、ハウジングの内部空間を通って、ハウジングから導出される。
【0055】
導体28と30が接触すると、両者間に電流が流れる。電流が両者間に流れると、亜鉛がアノードで酸化され、水がカソードで還元され、全体の反応としては、以下の式(1)、(2)、(3)によって、水素ガスが生成される。
【0056】
【数1】


ハウジング12は、水素ガス出口34を備え、水素ガスは、この出口からハウジング外に排出される。
【0057】
水素発生器の別の実施例も可能である。図1Aでは、水素発生器210は、図1の水素発生器10とは逆の構造になっている。水素発生器210は、内部空間214を定めるハウジング212を有する。アノード216は、ハウジングの中央に層218を形成し、ハウジングの内周近傍に層220を形成する。アノード層218および220は、さらに電流コレクタ221および223を有する。電流コレクタ221および223は、ハウジング内部または外部で相互に接続される。セパレータ222は、外囲器224を形成し、この外囲器はカソード226を覆う。外囲器は、中央アノード層218と周囲アノード層220の間に設置される。電子導体228は、電流コレクタ221および223に接続され、セルの外方に延びている。別の電子導体230は、カソード226に接続され、同様にセル外に延びている。導体228および230が接すると、両者の間に電流が流れる。
【0058】
セパレータ18は、不繊布繊維および膜(例えば、Gillette社から得られるDURALAM(登録商標))の積層体としても良い。不繊布層は、高分子繊維(例えばポリビニルアルコール繊維)とすることができる。セパレータは、不繊布繊維からなる単一の層であっても、多層化層であっても良い。不繊布高分子繊維は、セロファン等の膜に被覆されても良い。ある場合には、セパレータはひだを有し、亜鉛が反応によって酸化亜鉛になった際の膨張が許容できる。そのような構造では、セパレータは、裂けずに膨張することができる。
【0059】
ハウジング12は、円筒状のハウジングであっても良い。ハウジングは、長さが2.5cmから30cmの間にあり、径は、1cmから20cmの範囲にある。ハウジングの容積は、2cmから9400cmの間である。水素発生器の重量は、2.5gから25kgの間にある。
【0060】
ハウジング12は、例えばプラスチックまたは金属であっても良い。好適な金属は、黄銅、銅、スズ、鋼、ステンレス鋼、ニッケルまたはこれらの組み合わせである。ハウジングは、金属内壁と、熱収縮プラスチップ等の電気絶縁性外壁材料を有しても良い。ハウジングが金属の場合、これは、電流コレクタとして、あるいは電流コレクタから発生器外部への電気経路として機能する。
【0061】
図1の水素発生器10のように、カソードがハウジングに接近または接している場合、ハウジングの好適材料は、鋼、ステンレス鋼、ニッケルまたはこれらの組み合わせである。またハウジングの内表面は、ニッケル、コバルト、スズまたは炭素の導電性皮膜でコーティングまたはメッキしても良く、これによりハウジングとカソード間の界面の電気抵抗を低減することができる。
【0062】
図1Aの水素発生器210のように、アノードがハウジングに接近または接している場合、ハウジングの好適材料は、銅、黄銅、スズまたはこれらの組み合わせである。またハウジングの内表面は、ビスマス、スズ、インジウム、カドミウム、鉛またはタリウムでコーティングまたはメッキしても良く、これにより、発生器が停止中にアノードから直接放出される水素ガスを最小限に抑制することができる。
【0063】
ハウジング12の水素ガス出口34は、撥水性水素透過膜36(例えばフッ素系高分子膜)を備える。好適な膜は、Pall社(ニューヨーク州イーストヒルズ)またはW. L. Gore and Associate社(テキサス州ダラス)から入手することができる。膜は、電解質がハウジングから漏洩することを抑制または防止する。図1のハウジング12は、水素ガス出口のみを備えているが、ある場合には、ハウジングが2以上の水素ガス出口(例えば2から8の水素ガス出口)を有しても良い。
【0064】
水素発生器が停止している場合(すなわち導体28および30が、相互に接していない場合)、ガス発生速度を低減させるため、アノード金属は、例えばビスマス、スズ、インジウム、水銀、鉛、カドミウムまたはタリウムのようなガス発生インヒビターと合金化しても良い。好適な合金化元素は、ビスマス、スズ、インジウム等である。例えば、金属は、最大500ppmのインジウムおよび最大500ppmのビスマスを含む亜鉛合金としても良い。他の微量金属元素(例えばアルミニウムまたはカルシウム)を加えて、金属アノードでの局部的な水素発生を抑制しても良く、あるいはアノード金属と合金化されるスズ、インジウムまたはビスマスのいずれかの有意な作用を増強させても良い。
【0065】
電子導体28、30、228および230は、銅または黄銅ワイヤであっても良い。このワイヤは、インジウム、スズまたは鉛の薄い層でメッキまたはコーティングされる。アノード反応およびカソード反応は、セパレータ材料を間に有する2つの別々の電極で生じるため、電極間の電気化学反応は、電子導体が相互に接触しなければ生じない。導体が接すると、電気化学反応が開始され、水素ガスが発生する。ある場合には導体は、例えばペルフルオロアルコキシTEFLON(登録商標)のシース(ジュポン社から入手できる)によって絶縁され、導体がハウジング内の他の材料と不必要に接することを防止することができる。導体28は、電流コレクタ26に、半田付け、溶接、機械的方法で固定され、導体228は、電流コレクタ221および223に、半田付け、溶接、機械的方法で固定される。導体30は、カソード16のカソード網に、半田付け、溶接、機械的方法で固定され、導体230は、カソード226のカソード網に、半田付け、溶接、機械的方法で固定される。腐食を抑制または防止するため、接合部を、例えばアスファルトで被覆しても良い。
【0066】
水素発生器の製作例を、以下説明する。
【0067】
表面全体に均一に分布するように、約3mmの穴を約120個形成したポリプロピレン容器(径約2.75cm、長さ4.75cm)を調製した。
【0068】
容器の外表面は、DURALAM(登録商標)電池セパレータ(Gillette社から入手できる)で覆われる。セパレータの重なり合う継ぎ目および端部は、トルエン中にアスファルトを溶かした溶液を用いてシールした。
【0069】
カソードは、容器内に設置した。カソードは、織物のニッケル網(3.75cm×10.75cm)を含み、このニッケル網には、1%のパラジウムが担持されたカーボンブラックと5%のルテニウムが担持されたカーボンブラックを50/50で混合したもの、およびフッ素重合体(TEFLON(登録商標)、ジュポン製品タイプ30、ジュポン社から入手できる)を塗布した。テフロン(登録商標)エマルジョン1.17ml毎に、約3.34gの触媒カーボンブラックが含まれていた。乾燥時のコーティングの総重量は、2.34gであった(ニッケル網面積は40.3cm)。触媒カソードは、11.7mgのパラジウムおよび58.5mgのレニウムを含んでいた。
【0070】
触媒網を、ポリウレタンで発泡被覆された銅ワイヤに半田付けした。このワイヤは、アスファルトシールされた接続端子を介して、容器外部に導出させた。ニッケル網との半田付け部は、アスファルトで被覆した。
【0071】
この部品を第2の容器内に、同軸となるように設置した。第2の容器は、径が約3.25cmで、長さが10cmのポリエチレン管である。第2の容器を第3の容器内に、同軸となるように設置した。第3の容器は、ネジ止めエンドキャップを有する厚肉のフッ素重合体パイプである。
【0072】
最も内側の容器には、9Nの水酸化カリウム溶液を充填した。
【0073】
最も内側の容器は、両端部が第3の外部容器に連通されており、第3の容器には、9Nの水酸化カリウム溶液が部分的に充填される。
【0074】
(穴の開いた内側容器の周囲を覆う)セパレータと第2の中間容器との間の環状空間には、64%の亜鉛を含むゲル化アルカリ亜鉛粉末スラリーが充填される。この環状空間内には、螺旋状銅ワイヤが設置され、このワイヤは、亜鉛スラリーと接している。ワイヤは、外部容器内のアスファルトシールされた接続端子を介して、装置の外部に導出される。
【0075】
図1の水素発生器10は、図2を参照して以下に示すものと同様の電気化学セル内の水素源、例えば水素型燃料電池の水素源として使用することができる。
【0076】
図2において、電気化学セル110は、ハウジング111を有する。ハウジング111内には、水素発生器112があり、これは水素型燃料電池114に接続されている。水素発生器は、内部空間118を定めるハウジング116を有する。内部空間には、セパレータ124によって分離された状態で、アノード120とカソード122が設置される。また水素発生器は、スイッチ128を備える導体126を有する。電解質は、水素発生器の大部分の穴内に侵入し、セパレータ124の穴を充填し、アノード120とカソード122の両方に接している。
【0077】
燃料電池114は、内部空間132を定めるハウジング130を有する。内部空間には、電解質138によって分離された、アノード134とカソード136が設置される。またハウジングは、酸素または空気入口140と、水出口142(酸素欠乏空気が通ることもできる)と、水素入口144とを備える。水素入口144は、コネクタ146によって、水素発生器のハウジング116の水素ガス出口148に取り外し可能な状態で接続される。水素発生器と水素型燃料電池間の接続部は、水素ガスの経路を提供する。従って、水素発生器で生成した水素ガスは、燃料電池に送られ、燃料電池アノード134で消費される。水素発生器と燃料電池間の接続部は、必要に応じて開閉される。
【0078】
水素発生器は、ガス透過性であって液体不透過性の膜145を有する。そのような膜は、例えば、Gore EXCELLERATOR(登録商標)ガス拡散膜(4ミル、部品番号243042966、W.L.Gore Associates、テキサス州ダラス)であって、発生器へのまたは発生器からの好ましくない漏洩を抑制または防止することができる。同じ理由から、燃料電池は、同様のガス透過性の液体不透過性膜149を有する。
【0079】
図2に示す電気化学セル110と、燃料電池114と、水素発生器112は、それぞれがハウジングを有する。ただしある場合には、燃料電池および水素発生器は、両方単一のハウジング内に設置され、燃料電池と発生器の間には、水素ガスの通る一体化結合部が設置される。燃料電池と水素発生器は、一つの大きなハウジング内に設置するのではなく、個々に脱着可能な状態で、ハウジング内に設置しても良い。ある場合には、水素発生器は、燃料電池から取り外すことが可能であり、新しい水素発生器を設置したり、新しい水素発生器と交換することができる。
【0080】
水素発生器と燃料電池を、相互に機械的に接続したり、図2に示すように電気的に接続することも可能である。図2では導体150は、水素発生器アノード120と燃料電池カソード136とを接続する。導体150は、負荷152を含んでも良い。第2の導体154は、水素発生器カソード122と燃料電池アノード134とを接続する。導体154は、スイッチ156を有しても良い。スイッチ156が作動すると、燃料電池と水素発生器は、電気的に直列に接続される。
【0081】
このように素発生器と水素型燃料電池が、相互に電気的に接続された場合、水素発生器によって生じた電圧(例えば最大0.4V)は、燃料電池によって生じた電圧(例えば約1.0V)に重畳され、例えば最大1.4Vの最終的な電圧が得られる。
【0082】
ある場合には、水素発生器は、燃料電池と電気的には接続されない。そのような場合、スイッチ128(図2参照)が、水素発生器のアノード120とカソード122の間で電気接続を構成する。スイッチ128が閉じているとき、水素発生器は水素を生成する。その場合、電気化学セルは、1以上の制御器を備えることが好ましく、この制御器は、水素の流れおよび圧力を検知し、自動でスイッチ128の動作を制御することができる。水素発生速度は、燃料電池による水素消費速度と平衡するように制御され、燃料電池の仕様に合致した、適当な一定の流束と圧力が維持できる。
【0083】
電気的に接続される方式では、図2の電気化学セル110の作動時に、発生器と燃料電池部の間で水素漏れが生じる場合がある。その結果、燃料電池入口144での水素圧力が低下する。そのような場合、圧力低下がある最小閾値を下回ると、スイッチ128が一時的に閉じられる。そのような動作は、例えば、発生器の水素出口148または燃料電池の水素入口144に設置された圧力ゲージあるいは変換器からの信号に応じて、自動で行うことができる。あるいは、比例制御方式を採用して、スイッチ128で電流を調整しても良い。これにより、円滑で一定の水素圧力調整を維持することができる。比例制御を用いる場合、スイッチ128は、単純なオンオフスイッチでなくても良い。スイッチは、所望の作動圧力と実際の圧力との偏差の段階に比例するように、水素発生量を調整しても良い。実際の圧力が、所望の圧力よりほんの僅かだけ低い場合、スイッチ128に微小電流が流れる。実際の圧力が、所望の圧力よりかなり低い場合、スイッチ128には大電流が流れる。
【0084】
図2の電気化学セル110の水素発生器は、例えば図1に示した水素発生器10であっても良い。導体28と30が接触した場合、水素発生器には、式(1)、(2)、(3)の反応が生じる。
【0085】
全体の反応において、水素発生器によって生成された水素ガスは、水素出口148を通って、水素入口144に入り、燃料電池114で使用され、電流が流れる。アノード120で生成した電子は、導体150を通って、燃料電池カソード136まで移動し、電子は、カソードサイトで還元反応に使用される。
【0086】
燃料電池114では、アノード134は、水素ガスを酸化し、プロトンと電子を生成する。プロトンは電解質138を通って、カソード136に移動し、ここでプロトンは、酸素または空気の入口140を介して供給された酸素、および導体150を介して移動してきた電子と反応し、水が生成される。水は、水出口142を通り、燃料電池から排出される。酸化によって生じた電子は、導体154を通って水素発生器のカソード122に移動し(スイッチ156が閉の場合)、ここで水の還元反応に使用される。
【0087】
図3に示すように、ある場合には、水素型燃料電池114の水出口142から排出される水は、例えばポンプ115で水素発生器112に再循環される。水素発生器112では、水が還元されて、さらに水素ガスが生成する。
【0088】
従って燃料電池では、式(4)、(5)および(6)の全体の反応によって、水が生成される:
【0089】
【数2】


従って電気化学セル110の全反応は、式(7)で表される:
【0090】
【数3】


燃料電池のアノード134は、水素ガスとの相互反応によって、プロトンおよび電子を生成することの可能な材料で構成される。この材料は、水素ガスの溶解および酸化の触媒となり得るいかなる材料であっても良い。そのような材料の一例は、白金、白金−レニウムのような白金合金、およびカーボンブラック上に分散された白金等である。
【0091】
電解質138は、イオン透過性を有するが、電子の移動に対しては実質的に抵抗となる。ある実施例では、電解質138は、固体高分子(例えば固体高分子イオン交換膜)である。電解質138は、固体高分子プロトン交換膜としても良い。固体高分子プロトン交換膜の例は、スルフォン酸基を含む固体高分子である。そのような膜は、E.I.ジュポン社(デラウエア州ウィルミントン)から、NAFION(登録商標)として市販されている。あるいは電解質138は、W.L.Gore & Associates(メリーランド州エルクトン)から市販されている製品GORE−SELECTから調製することも可能である。ある場合には、電解質138は、ポリホスファジン膜またはバルク自身を酸(リン酸等)としても良い。
【0092】
ある実施例では、電解質138は、イオン伝導性液体電解質(例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、硫酸溶液またはリン酸溶液)であっても良い。液体電解質は、液体を含まなくても良く、あるいは高分子(例えば、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸)のようなゲル化剤、または吸収剤(例えばシリカゲル、ヒュームドシリカまたは粘土)を添加して、固定化しても良い。
【0093】
ハウジング130は、通常の燃料電池に用いられる、いかなる従来のハウジングであっても良い。ハウジング130は、例えばプラスチック、カーボンまたは金属製の容器であっても良く、例えば、鋼、ステンレス鋼、グラファイト、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ペルフルオロアルコキシ樹脂、または金属、炭素、およびプラスチックの組み合わせ等である。プラスチックには、例えば鉱物充填材を充填しても良い。あるいはプラスチックは、未充填であっても良い。
【0094】
水素発生器112は、スイッチ156が閉で、電気化学セル110が作動しているときに、燃料電池114において、水素ガスを速やかに利用できるように調製することができる。水素発生器のスイッチ128が閉の場合、水素発生器は、水素の生成を開始する。コネクタ146が閉じている場合、水素ガスが水素出口148に蓄えられる。コネクタ146が開になると、水素ガスは、燃料電池114において直ちに利用できるようになる。
【0095】
図3に示すように、ある実施例では、電気化学セル110は、センサ310を有し、このセンサは、制御器312に電気信号を送信する。次に制御器312は、信号に応じて、水素発生器112を作動または停止させる。制御器およびセンサは、電子信号調整装置(例えば、振動または衝撃等によって生じるセンサ信号のスパイクまたは下降を固定する電子フィルタ)を介して相互に接続しても良い。制御器は、導体に接続されても良い。制御器は、例えばセンサからの信号の応答に応じて、導体に流れる電流を変化させることができる。ある場合には、制御器が、導体の抵抗を変化させても良い。
【0096】
センサは、圧力センサであっても良い。図3に示すように、センサは、水素発生器112と水素型燃料電池114の間の水素ガス経路314に接続される。従ってセンサは、水素ガスの蓄積による圧力を検知することができる。圧力が高い場合、センサは、制御器に信号を送り、水素ガスの生成量が抑制される。圧力が低い場合、センサは、制御器に信号を送り、水素ガスの生成量が増加する。
【0097】
センサは、電圧センサであっても良い。その場合、センサは、水素型燃料電池で生じる電圧を検知することができる。電圧が著しく低い場合、電圧センサは、制御器に信号を送り、水素ガスの生成量が増大する(およびこれにより燃料電池によって生じる電圧が増大する)。一方、電圧が著しく高い場合、電圧センサは、制御器に信号を送り、水素生成量が低減される。
【0098】
別の実施例は、特許請求の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】水素発生セルの部分断面側面図である。
【図1A】水素発生セルの部分断面側面図である。
【図2】電気化学セルの断面側面図である。
【図3】電気化学セルの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的水素発生器と、水素型燃料電池とを有する電気化学セルであって、
前記電気化学的水素発生器は、
水素ガスを生成する第1のカソード、および、
該第1のカソードに隣接する第1のアノードを有し、
前記水素型燃料電池は、
水素ガスを酸化させる第2のアノード、および
該第2のアノードに隣接する第2のカソードを有し、
第1のアノードは、第2のカソードと電気的に接続され、第1のカソードは、第2のアノードと電気的に接続されることを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
水素型燃料電池と電気的に直列に接続された電気化学的水素発生器を有する電気化学セル。
【請求項3】
電気化学的水素発生器は、水素ガスを生成する第1のカソードと、該第1のカソードに隣接する第1のアノードとを有することを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
水素型燃料電池は、水素ガスを酸化させる第2のアノードと、該第2のアノードに隣接する第2のカソードとを有することを特徴とする請求項3に記載の電気化学セル。
【請求項5】
第1のアノードは、第2のカソードと電気的に接続され、第1のカソードは、第2のアノードと電気的に接続されることを特徴とする請求項4に記載の電気化学セル。
【請求項6】
水素型燃料電池は、水素ガスを酸化させる第2のアノードと、該第2のアノードに隣接する第2のカソードとを有することを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記水素発生器は、ガス出口を備え、水素型燃料電池は、前記ガス出口に連通されたガス入口を備えることを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記水素発生器は、第1のハウジングを有することを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項9】
水素型燃料電池は、第2のハウジングを有することを特徴とする請求項8に記載の電気化学セル。
【請求項10】
第1のハウジングは、取り外し可能な状態で、第2のハウジングと嵌合されることを特徴とする請求項9に記載の電気化学セル。
【請求項11】
水素型燃料電池および前記水素発生器は、単一のハウジング内に設置されることを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項12】
前記水素発生器は、水素発生用アノードを有することを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項13】
前記水素発生用アノードは、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウムおよびスズからなる群から選定される金属で構成されることを特徴とする請求項12に記載の電気化学セル。
【請求項14】
前記水素発生用アノードは、水素吸蔵成分を有することを特徴とする請求項12に記載の電気化学セル。
【請求項15】
前記水素吸蔵成分は、金属水素化物またはミッシュ金属合金であることを特徴とする請求項14に記載の電気化学セル。
【請求項16】
水素型燃料電池は、酸性高分子膜電解質を有することを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項17】
さらにコレクタを有することを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項18】
さらにセンサを有することを特徴とする請求項17に記載の電気化学セル。
【請求項19】
前記センサは、前記コレクタに接続されることを特徴とする請求項18に記載の電気化学セル。
【請求項20】
電気化学的水素発生器と、水素型燃料電池とを有する電気化学セルであって、
前記電気化学的水素発生器は、
水素ガスを生成する第1のカソード、および、
該第1のカソードに対向する第1のアノードを有し、
前記水素型燃料電池は、
水素ガスを酸化させる第2のアノード、および
該第2のアノードに対向する第2のカソードを有し、
当該電気化学セルは、前記水素発生器と水素型燃料電池の間に結合部を有し、
該結合部は、流体が連通するように、第1のカソードを第2のアノードに結合することを特徴とする電気化学セル。
【請求項21】
前記水素発生器は、さらに第1のハウジングを有し、該第1のハウジング内には、第1のアノードと第1のカソードが設置されることを特徴とする請求項20に記載の電気化学セル。
【請求項22】
水素型燃料電池は、さらに第2のハウジングを有し、該第2のハウジング内には、第2のアノードと第2のカソードが設置され、第2のハウジングは、取り外し可能な状態で、第1のハウジングと嵌合されることを特徴とする請求項21に記載の電気化学セル。
【請求項23】
第1のアノードは、第2のカソードに電気的に接続されることを特徴とする請求項22に記載の電気化学セル。
【請求項24】
電流を発生させる方法であって、
電気化学的水素発生器の第1のアノードと水素型燃料電池の第2のカソードの間に、電気的接続を形成するステップ、および、
電気化学的水素発生器の第1のカソードと水素型燃料電池の第2のアノードの間に、電気的接続を形成するステップ、
を有する方法。
【請求項25】
第1のカソードは、水素ガスを生成し、第1のアノードは、第1のカソードに隣接されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第2のアノードは、水素ガスを酸化させ、第2のカソードは、第2のアノードに隣接されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
電流を発生させる方法であって、
電気化学的水素発生器の酸化半セルから第1の電子を生成するステップ、および、
水素型燃料電池の還元半セルに第1の電子を輸送するステップ、
を有する方法。
【請求項28】
さらに、水素型燃料電池の酸化半セルから前記水素発生器の還元半セルに、第2の電子を輸送するステップを有することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
さらに、前記水素発生器から水素を生成するステップと、生成した水素を前記燃料電池で酸化させるステップとを有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
さらに、前記水素発生器と前記燃料電池に流体が連通するように接続された経路を介して、生成した水素を前記燃料電池に輸送するステップを有することを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
水素出口を備えるハウジング、
該ハウジング内の酸化剤を含むアノード、
前記ハウジング内の水素発生触媒を含むカソード、および、
前記アノードと前記カソードの間の、イオン伝導性であって電気絶縁性のセパレータ層、
を有する電気化学的水素発生器。
【請求項32】
さらに、前記ハウジング内にイオン電解質水溶液を有することを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。
【請求項33】
前記酸化剤は、金属を含むことを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。
【請求項34】
前記酸化剤は、IIa族金属、Ib族金属、IIIa族金属、IIb族金属、鉄、スズ、マンガン、チタン、ジルコニウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選定される金属を含むことを特徴とする請求項33に記載の水素発生器。
【請求項35】
前記セパレータは、不織布高分子繊維を有することを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。
【請求項36】
前記不織布高分子繊維は、セロファンで被覆されることを特徴とする請求項35に記載の水素発生器。
【請求項37】
前記不織布高分子繊維は、ポリビニルアルコール繊維を含むことを特徴とする請求項36に記載の水素発生器。
【請求項38】
前記カソードは、さらに前記触媒を含むバインダを有することを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。
【請求項39】
前記バインダは、高密度ポリエチレンおよびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選定される部材を有することを特徴とする請求項38に記載の水素発生器。
【請求項40】
前記水素出口には撥水性膜が設置され、前記ハウジングからの液体漏洩が回避できることを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。
【請求項41】
前記酸化剤は、水素化チタン、水素化ジルコニウム、ニッケルまたはランタンの可逆性水素化物およびミッシュ金属合金からなる群から選定される金属水素化物を有することを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。
【請求項42】
前記酸化剤は、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウムおよびスズからなる群から選定される金属を有することを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。
【請求項43】
さらに、前記ハウジング内に設置されたアルカリ電解質を有することを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。
【請求項44】
前記アルカリ電解質は、水酸化ナトリウム水溶液および水酸化カリウム水溶液からなる群から選定される部材を有することを特徴とする請求項43に記載の水素発生器。
【請求項45】
前記アノードとカソードは、電子導体によって接続され、該電子導体は、スイッチを備えることを特徴とする請求項31に記載の水素発生器。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−503705(P2007−503705A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532945(P2006−532945)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/014674
【国際公開番号】WO2004/105171
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】