電気化学検査ストリップにおける直接干渉電流および間接干渉電流の影響を軽減する方法
【課題】分析物測定システムで測定した測定値に対する干渉成分の影響を軽減する方法を提供すること。
【解決手段】活性試薬層(820)によって覆われている第1の動作電極(808)で第1の電流を測定するステップと、不活性試薬層(818)によって覆われている第2の動作電極(806)で第2の電流を測定するステップと、第2の動作電極(806)の不活性領域に対する第1の動作電極(808)の活性領域に比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップを含む、電気化学センサ(800)における干渉を軽減する方法。
【解決手段】活性試薬層(820)によって覆われている第1の動作電極(808)で第1の電流を測定するステップと、不活性試薬層(818)によって覆われている第2の動作電極(806)で第2の電流を測定するステップと、第2の動作電極(806)の不活性領域に対する第1の動作電極(808)の活性領域に比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップを含む、電気化学センサ(800)における干渉を軽減する方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、全体として、分析物測定システムで測定した測定値に対する干渉成分の影響を軽減する方法に関し、詳細には、活性な試薬でコーティングされた領域と不活性な試薬でコーティングされた領域を有する電極を有する電気化学ストリップを用いたグルコース監視システムにおける直接干渉電流および間接干渉電流の影響を軽減する方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
多くの場合、電気化学グルコース測定システムは、例えば、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、ビリルビン、ドーパミン、ゲンチジン酸、グルタチオン、レボドパ、メチルドーパ、トラジミド(tolazimide)、トルブタミド、および尿酸などの生理学的流体に一般に見られる干渉成分の酸化によって上昇した酸化電流を含みうる。したがって、グルコース測定器の精度は、干渉成分によって生成される酸化電流部分を軽減または排除して改善することができる。理想的には、全ての酸化電流がグルコース濃度だけに依存するように、干渉成分から生成される酸化電流が全く存在しないようにすべきである。
【0003】
したがって、例えば、生理学的流体中に一般に見られるアスコルビン酸塩、尿酸塩、およびアセトアミノフェンなどの潜在的な干渉成分の存在下での電気化学センサの精度を改善することが理想である。このような電気化学センサで調べる分析物の例として、グルコース、乳酸塩、およびフルクトサミンを挙げることができる。グルコースが論じる主な分析物であるが、当業者には、ここに開示する本発明を他の分析物にも適用できることは明らかであろう。
【0004】
酸化電流は様々に生成されうる。具体的には、所望の酸化電流が、酸化還元メディエータと目的の分析物(例えば、グルコース)との相互作用によって生じる一方、不所望の酸化電流が、通常は電極表面で酸化される干渉成分および酸化還元メディエータと相互作用によって酸化される干渉成分から生じる。例えば、ある種の干渉成分(例えば、アセトアミノフェン)は、電極表面で酸化する。他の干渉成分(例えば、アスコルビン酸)は、酸化還元メディエータとの化学反応によって酸化する。グルコース測定システムにおけるこのような干渉成分の酸化により、測定される酸化電流が、グルコースおよび全ての干渉成分の両方の濃度に依存する。したがって、干渉成分の濃度がグルコースと同じ効率で酸化し、かつ干渉成分の濃度がグルコースの濃度よりも高い場合は、酸化電流全体に対する干渉成分の寄与を軽減または排除して、グルコースの濃度測定を改善することができる。
【0005】
干渉成分の影響を低減するために用いることができる既知のある方法では、負に帯電した膜を用いて動作電極を覆う。一例として、NAFION(登録商標)などのスルホン酸フルオロポリマー(sulfonated fluoropolymer)を用いて、負に帯電したあらゆる化学物質を退けることができる。一般に、アスコルビン酸塩や尿酸塩などの殆どの干渉成分が負の電荷を有するため、負に帯電した膜は、負に帯電した干渉成分が電極表面に到達してその表面で酸化するのを防止する。しかしながら、アセトアミノフェンなどのある種の干渉成分が正味の負の電荷を有しておらず、負に帯電した膜を通過できるため、この方法が必ずしも成功するわけではない。この方法はまた、干渉成分とある種の酸化還元メディエータとの相互作用から生じる酸化電流を軽減するものでもない。また、負に帯電した膜を動作電極に使用すると、一般に使用されるフェリシアニドなどの一部の酸化還元メディエータが負に帯電した膜を通過できず、電極での電子交換が妨げられる。
【0006】
干渉成分の影響を軽減するために用いることができる他の既知の方法では、動作電極の上部にサイズ選択膜を用いる。一例として、酢酸セルロースなどの100ダルトン排除膜を用いて動作電極を覆い、分子量が100ダルトンを超えるすべての化学物質を排除することができる。一般に、殆どの干渉成分は、分子量が100ダルトンを超えるため、電極表面で酸化しない。しかしながら、このような選択膜により、通常は、検査ストリップの製造がより複雑になると共に、酸化したグルコースが選択膜を介して拡散して電極に到達しなければならないため試験時間が長くなってしまう。
【0007】
干渉成分の影響を軽減するために用いることができる別の方法では、例えば、約−300mV〜+100mV(飽和カロメル電極に対して測定した場合)の低い酸化還元電位を有する酸還元メディエータを用いる。酸化還元メディエータの酸化還元電位が低いため、動作電極にかかる電圧も比較的低くなり、これにより、干渉成分が動作電極によって酸化される速度が低下する。比較的低い酸化還元電位を有する酸化還元メディエータの例として、オスミウムビピリジル複合体(osmium bipyridyl complexes)、フェロセン誘導体、およびキノン誘導体を挙げることができる。この技術の不利な点は、比較的低い電位を有する酸化還元メディエータが、合成が困難である場合が多く、不安定で水溶性が低いことである。
【0008】
干渉成分の影響を軽減するために用いることができる別の既知の方法では、酸化還元メディエータでコーティングされたダミー電極を用いる。場合によっては、ダミー電極を、不活性なタンパク質または不活化された酸化還元酵素でコーティングすることもできる。ダミー電極の目的は、電極表面で干渉成分を酸化させること、および/または干渉成分によって還元された酸化還元メディエータを酸化することである。この方法では、干渉の影響を排除するために、動作電極で測定される酸化電流の合計からダミー電極で測定される電流を減じる。この方法の不利な点は、検査ストリップがグルコースの測定に用いることができない追加の電極および電気接点(すなわち、ダミー電極)が必要であることである。ダミー電極を含めると、グルコース測定システムにおける電極の使用が非効率となる。
【0009】
〔発明の概要〕
本発明は、電気化学センサにおける干渉を軽減する方法に関する。この方法は、活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、不活性試薬層で覆われた第2の動作電極で第2の電流を測定するステップと、第2の動作電極の不活性領域に対する第1の動作電極の活性領域の比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、を含む。
【0010】
本発明はまた、電気化学センサにおける干渉を軽減する別の方法に関する。この方法は、活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、第2の動作電極で第2の電流を測定するステップであって、活性試薬層が、第2の動作電極の活性領域上に設けられ、第2の動作電極の不活性領域が不活性試薬層で覆われている、前記ステップと、第1および第2の動作電極上の活性領域と第2の動作電極上の不活性領域との比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、を含む。
【0011】
添付の図面を参照しながら、本発明の原理を用いた例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明を読めば、本発明の特徴および利点をより良く理解できるであろう。
【0012】
〔詳細な説明〕
ここに記載する本発明は、干渉成分の存在下でのグルコース測定精度を改善する検査ストリップを含む。一定の条件下で、ある種の干渉成分は、例えば、血液などの体液が導入される前に検査ストリップ中で発生しうる。一例として、この種の干渉成分は、酸化メディエータ(例えば、フェリシアニド)の変換から生じる還元メディエータ(例えば、フェロシアニド)とすることができる。これにより、バックグラウンド信号が増大し、検査ストリップの測定精度が低下する。このような場合、体液の形で検査ストリップに導入されるのではなく、干渉成分が検査ストリップ中で発生する。
【0013】
一般に、酸化メディエータが安定し、還元された酸化還元状態に移行しないように、酸化メディエータが動作電極上に設けられる。還元メディエータが生成されると、グルコース濃度に相関した酸化電流を用いる電気化学センサにおけるバックグラウンド信号が増大する。一般に、フェリシアニド(例えば、酸化メディエータ)は、時間経過により還元された酸化還元状態に還元される傾向にある。フェリシアニドは通常、限定するものではないが、塩基性pH、高い温度、高い湿度、明るい光の条件、電子ビーム照射、およびγ線照射を含む環境条件にさらされると、還元された酸化還元状態により迅速に移行する。
【0014】
近年、ランスと検査ストリップは、単一の医療装置に一体化されている。このような一体型医療装置は、グルコースを含む様々な分析物を監視するために測定器と共に用いることができる。状況によっては、検査ストリップは、散発的な1回使用方式、半連続方式、または連続方式で分析物を監視するようにデザインすることができる。ランスと検査ストリップを一体化することにより、サンプル部位からの体液の抽出と続く検査ストリップへの体液の移送をユーザーが調整する必要がなく監視方法が容易になる。このような場合、ランスと検査ストリップは、感染症のリスクを軽減するために同時に滅菌しなければならない。
【0015】
イオン化照射により、ランスを備えた検査ストリップを滅菌することができる。イオン化照射の可能な供給源は、電子ビーム、γ線、およびX線である。しかしながら、検査ストリップを滅菌する際の1つの課題は、試薬層に悪影響を与えずに、検査ストリップのパッケージ全体に亘って微生物の大部分が死滅するように十分に高い強度の放射線を照射することである。一般に、検査ストリップのバッチまたはパッケージを、約10KGy〜約50KGyの範囲のイオン化放射線量にさらす。電子ビーム殺菌を用いる場合、入射電子ビーム源のエネルギーは、約3MeV〜約12MeVの範囲とすることができる。イオン化放射線の衝当は、強度が幾分不均一である場合が多く、これによりパッケージの一部が他の部分よりもより多くのイオン化放射線が当たる。実験から、γ線照射および電子ビーム照射の両方によって電気化学センサのバックグラウンド信号が増大することが分かっている。さらに、放射線が比較的不均一なことから、検査ストリップの滅菌されたバッチでバックグラウンド信号が不均一に増大する。これにより、特定のバッチの滅菌されたグルコース検査ストリップの試験の際に精度が低下する。加えて、還元メディエータの割合が低いグルコース濃度範囲で比較的高いため、精度の低下は、低いグルコース濃度範囲(例えば、約20mg/dL〜約100mg/dL)で増幅される。
【0016】
図1は、酸化メディエータの還元メディエータへの変換によって起こりうるバックグラウンドの増大におけるばらつきを補正するようにデザインされた検査ストリップ800の組立分解斜視図を示している。図1に例示されている本発明の実施形態では、血液や間質液などの体液におけるグルコース濃度の測定に用いることができる電気化学検査ストリップ800は、第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810を含む。第1の動作電極808を完全に覆い、基準電極810を少なくとも部分的に覆うように活性試薬層820が、第1の動作電極808上および基準電極810上に設けられている。不活性試薬層818が、第2の動作電極806上に設けられている。
【0017】
本発明のある実施形態では、活性試薬層820は、例えば、グルコースオキシダーゼ、およびフェリシアニドなどのメディエータを含むことができる。不活性試薬層818は、メディエータを含みうるが、目的の分析物に対して特異的な活性酵素は含まない。フェリシアニドは、炭素電極で約400mVの酸化還元電位(飽和カロメル電極に対して測定した場合)を有するため、血液などの体液の導入で、酸化還元メディエータおよび/または動作電極によって干渉物質の著しい酸化が起こり、著しい不所望の酸化電流が生成されうる。したがって、第1の動作電極808で測定される酸化電流は、グルコースの酸化によって生成される第1の所望の酸化電流、電極における干渉物質の第2の不所望の直接酸化(直接干渉物質電流)、およびメディエータによる干渉物質の第3の不所望の間接酸化(間接干渉電流)の酸化電流源の合計である。第2の動作電極806で測定される酸化電流も、第1の動作電極808と同様の酸化電流源の合計であるが、第2の動作電極806には酵素が存在しないため、第1の所望の酸化電流が生じないはずである。第2の動作電極806で測定される酸化電流が干渉物質のみに依存し、かつ第1の動作電極808で測定される酸化電流がグルコースおよび干渉物質に依存するため、第1の動作電極808および第2の動作電極806で酸化される干渉成分の影響のない補正されたグルコース電流を計算することが可能である。このような場合、第1の動作電極808の電流密度から第2の動作電極806の電流密度を減じて、下記の式で示すことができる補正されたグルコース電流密度Gを求めることができる。
G=WE1−WE2 (式8)
但し、WE1は第1の動作電極808における電流密度、WE2は第2の動作電極806における電流密度である。
【0018】
本発明の代替の実施形態では、第2の動作電極806における干渉物質酸化電流密度は、この第2の動作電極806に酵素が存在しないため、第1の動作電極808における干渉物質酸化電流密度とわずかに異なるであろう。このような場合、定数Kを用いて、電流の測定値におけるこのような非理想性を補正することができる。式9は、定数Kを用いた上記した式8の変更を示している。
G=WE1−(k×WE2) (式9)
但し、Kは約0.5〜約1.5の範囲とすることができる。
【0019】
検査ストリップ800は、基板50、導電層802、絶縁層804、不活性試薬層818、活性試薬層820、接着層830、および最上層824を含む。検査ストリップ800は、導電層802、絶縁層804、不活性試薬層818、活性試薬層820、および接着層830である5つの層を基板50上に連続的に印刷して製造することができる。最上層824は、積層工程で組み立てることができる。検査ストリップ800は、第1の側面54、第2の側面56、先端部分58、および基端部分60をさらに含む。
【0020】
本発明の一実施形態では、基板50は、プラスチック、ガラス、およびセラミックなどの電気絶縁材料である。本発明の好適な実施形態では、基板50は、例えば、ナイロン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、PETG、またはポリエステルなどのプラスチックとすることができる。具体的には、ポリエステルは、例えば、デュポン・テイジン・フィルムズ(DuPont Teijin Films)が製造するMelinex(登録商標)ST328とすることができる。基板50は、インキの接着を改善するために一方または両方の面に施されるアクリルコーティングも含むことができる。
【0021】
基板50上に堆積された第1の層は、第1の動作電極808、第2の動作電極806、基準電極810、およびストリップ検出バー17を含む導電層802である。本発明に従えば、エマルジョンパターンを備えたスクリーンメッシュを用いて、図1に例示されているように、例えば、導電カーボンインキなどの材料を画定されたジオメトリに堆積させることができる。導電層802は、スクリーン印刷、グラビア印刷、スパッタリング、蒸着、無電解メッキ、インクジェット、昇華、および化学蒸着などを用いて基板50上に堆積させることができる。導電層802に用いることができる好適な材料は、Au、Pd、Ir、Pt、Rh、ステンレス鋼、ドープされた酸化錫、および炭素などである。本発明のある実施形態では、カーボンインキ層は、1〜100μmの範囲、より具体的には5〜25μmの範囲、さらに具体的には約13μmの高さを有することができる。導電層802の高さは、印刷する材料の所望の抵抗および導電性によって様々にすることができる。
【0022】
第1の接点814、第2の接点812、および基準接点816を用いて、測定器に電気的に接続することができる。これにより、測定器が、第1の接点814、第2の接点812、および基準接点816のそれぞれを介して第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810と電気的に通信することができる。
【0023】
基板50上に堆積された第2の層は、絶縁層804である。絶縁層804は、図1および図2に示されているように、導電層802の少なくとも一部の上に設けられている。図2は、絶縁層804に対する第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810の位置を強調した検査ストリップ800の先端部分58の簡易平面図である。絶縁層804は、図1および図2に示されているように、矩形の構造にできるカットアウト18をさらに含む。カットアウト18は、第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810の一部を露出させ、これらの部分を液体に接触させることができる。カットアウト18は、カットアウト幅W20およびカットアウト長さL26を有する。カットアウト幅W20は、図2に例示されているように、第2の動作電極806、基準電極810、および第1の動作電極808の幅に一致している。本発明のある実施形態では、カットアウト幅W20は、約0.7mm〜約1.4mmの範囲とすることができ、カットアウト長さL26は、約0.4mm〜約3.4mmの範囲とすることができる。
【0024】
本発明の一実施形態では、第2の動作電極806および第1の動作電極808はそれぞれ、L20およびL21を有する。L20およびL21は、約0.1mm〜約0.8mmの範囲の同じ長さにすることができる。基準電極810は、約0.2mm〜約1.6mmの範囲とすることができる長さL24を有することができる。本発明に従えば、電極間隔S1は、第2の動作電極806と基準電極810との間の距離および基準電極810と第1の動作電極808との間の距離であり、約0.2mm〜約0.6mmとすることができる。
【0025】
本発明の代替の実施形態では、第1の動作電極808の面積は、第2の動作電極806の面積と異なるようにすることができる。第1の動作電極808の面積と第2の動作電極806の面積の比率は、約1:1〜約1:3の範囲とすることができる。一定の条件下では、第2の動作電極806の相対面積を増大させてバックグラウンドを軽減することができる。第2の動作電極806の面積は、図20に示されているように、カットアウト6008のジオメトリを変更して増大させることができる。
【0026】
図2は、図1に例示されているように、完全に積層された後に切断線A‐A’に沿ってカットすることができる。図1に例示されている切断線A‐A’に沿った検査ストリップ800の切断工程で、検査ストリップ800に液体サンプルを導入できるサンプル口52が形成される。
【0027】
図3‐図5は、活性試薬層820と不活性試薬層818の互いに対する様々な位置を示す、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップ800の先端部分58の簡易平面図である。図3‐図5のそれぞれ一致する図6‐図8は、導電層802と活性試薬層820と不活性試薬層818の関係を明確に示すために絶縁層804を示していない。
【0028】
検査ストリップ800は、図3‐図5に例示されているように、不活性試薬層818が第2の動作電極806を完全に覆うようにこの不活性試薬層818を第2の動作電極806上に設けることができる。本発明の一実施形態では、不活性試薬層818は、図3および図4に例示されているように、第2の動作電極806を完全に覆っているが基準電極810には接触していない。本発明の別の実施形態では、図5に例示されているように、不活性試薬層818は、第2の動作電極806を完全に覆い、かつ基準電極810を少なくとも部分的に覆っている。
【0029】
本発明の実施形態では、不活性試薬層818は、少なくともフェリシアニドなどの酸化メディエータを含み、オプションで、不活性タンパク質または不活性酵素を含むことができる。さらに、不活性試薬層818は、pH6のクエン酸緩衝液、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン‐酢酸ビニル(polyvinyl pyrrolidone-vinyl acetate)、ドー・コーニングDC1500(Dow Corning DC1500)消泡剤、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250G, Hercules)、および親水性ドメインおよび疎水性ドメインの両方を有する表面改変シリカ(Cab‐o‐sil TS 610, Cabot)を含むことができる。酸化メディエータの例として、フェリシアニド、フェリシニウム複合体(ferricinium complexes)、キノン複合体、およびオスミウム複合体を挙げることができる。不活性なタンパク質の例として、クロテイン(crotein)またはアルブミン(例えば、ウシまたはヒト)を挙げることができる。不活性酵素の例として、アポ型PQQ‐グルコースデヒドロゲナーゼ(PQQは、ピロロ‐キノリン‐キノン(pyrroloquinoline-quinone)の頭字語である)またはアポ型グルコースオキシダーゼ(例えば、活性部位を備えていない酵素)を挙げることができる。酵素はまた、加熱処理または尿素などの変性材での処理によって不活化するか、または十分に弱めることができる。不活性試薬層818が活性酵素を含まないため、第2の動作電極806で測定される酸化電流は、グルコース濃度に比例しない。このため、当業者であれば、第2の動作電極806をダミー電極と呼ぶことができることを理解できるであろう。
【0030】
本発明のある実施形態では、不活性試薬層818における不活性タンパク質または不活化酵素が、メディエータの安定剤として機能しうる。不活性タンパク質または不活化酵素は、高温の乾燥工程の際にメディエータを保護することができる。加えて、不活性タンパク質または不活化酵素は、メディエータを不安定にさせうる湿分からのメディエータの保護を助ける乾燥剤として機能しうる。
【0031】
検査ストリップ800は、図3‐図5に例示されているように、第1の動作電極808上に設けられた活性試薬層820を有する。本発明の別の実施形態では、活性試薬層820は、第1の動作電極808を完全に覆っているが、基準電極810には接触していない。本発明の別の実施形態では、活性試薬層820は、図3‐図5に例示されているように、第1の動作電極808を完全に覆い、かつ基準電極810を少なくとも部分的に覆っている。
【0032】
本発明のある実施形態では、活性試薬層820は、少なくとも酸化メディエータ、および酵素を含む。さらに、活性試薬層820は、pH6のクエン酸緩衝液、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン‐酢酸ビニル(polyvinyl pyrrolidone-vinyl acetate)、ドー・コーニングDC1500(Dow Corning DC1500)消泡剤、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250G, Hercules)、および親水性ドメインと疎水性ドメインの両方を有する表面変性シリカ(Cab‐o‐sil TS 610, Cabot)を含むことができる。酸化メディエータの例として、フェリシアニド、フェリシニウム複合体(ferricinium complexes)、キノン複合体、およびオスミウム複合体を挙げることができる。酵素の例として、グルコースオキシダーゼ、PQQ共同因子を用いるグルコースデヒドロゲナーゼ、およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチド共同因子(nicotinamide adenine dinucleotide co-factor)を用いるグルコースデヒドロゲナーゼを挙げることができる。活性試薬層820が酵素を含むため、第1の動作電極808で測定される酸化電流はグルコース濃度に比例する。
【0033】
不活性試薬層818および活性試薬層820の両方の堆積にスクリーン印刷を用いる場合は、2つの別個のスクリーン印刷ステップを用いて各試薬層を対応する電極の上に堆積させる必要があることに留意されたい。スクリーン印刷は、同じスクリーン上に2つの異なる試薬を印刷するのにはあまり適していないことに留意されたい。印刷の際のスキージー運動により、2つの異なる試薬がスクリーン印刷工程中に混合しうる。図3は、第2の動作電極806上に設けられた不活性試薬層818、および第1の動作電極808上および基準電極810上に設けられた活性試薬層820を有する本発明の実施形態を示している。この実施形態では、不活性試薬層818は、活性試薬層820に接触したり、重なり合ったりしていない。第2の動作電極806、第1の動作電極808、および基準電極810の面積が比較的小さいため、所望の生産高で、不活性試薬層818および活性試薬層820のそれぞれを連続的に整合させてコーティングすることは困難であろう。比較的小さい電極面積(例えば、約0.6mm2)にすると、検査ストリップに必要な液体サンプルの量を少なくできるため、比較的小さい電極面積が好ましいことに留意されたい。
【0034】
本発明のある実施形態では、不活性試薬層818をまず印刷し、次いで高温で乾燥させる。次いで、言及することを以って本明細書の一部とする国際公開第GB/03004708号に開示されているように、活性試薬層820を印刷し、高温での乾燥ステップが続く。活性試薬層820は2番目に堆積されるため、2回乾燥ステップを受ける不活性試薬層818とは異なり、乾燥ステップは1回のみである。これは、酵素は一定の条件下で高い温度にさらされ続けると変性しうるため、活性試薬層820内のメディエータと酵素の両方を安定させるのに役立つ。
【0035】
本発明のある実施形態では、図4は、第2の動作電極806上に設けられた不活性試薬層818、および第1の動作電極808上および基準電極810上に設けられた活性試薬層820を示している。この実施形態では、不活性試薬層818と活性試薬層820は互いに密着して近接している。このような場合、不活性試薬層818と活性試薬層820は接触しているが、通常は互いに著しく重なり合うことはない。印刷工程は、不活性試薬層818と活性試薬層820が互いに密着して近接するように整合させることが目標であるが、通常の製造上のばらつきにより、不活性試薬層818と活性試薬層820とが一定の頻度で一部重なり合うことがある。同様に、このようなばらつきにより、不活性試薬層818が活性試薬層820に接触しないことも起こりうる。不活性試薬層818は、活性試薬層820に接触しても接触しなくても、本発明の方法が、いずれの場合もバックグラウンドのばらつきを減少させることができるため、許容可能な検査ストリップの製造高が改善される。
【0036】
不活性試薬層818と活性試薬層820との重なりは、測定にかかる時間(すなわち、約5秒以下)の間に活性試薬層820の酵素が第2の動作電極806に著しく拡散しなければ、グルコース測定値に影響を与えないことに留意されたい。酵素が第2の動作電極806に拡散する場合、第1の動作電極808は、非酵素特異的電流に加えてグルコース電流も測定する。これにより、検査ストリップ800がバックグラウンド信号を効率的に軽減することができなくなる。
【0037】
不活性試薬層818と活性試薬層820との重なりが基準電極810で起こっても、この重なりがグルコース測定値に影響を与えないことに留意されたい。このような場合、基準電極810における酵素および/または酸化メディエータの量は増大するが、グルコース測定値またはバックグラウンド補正アルゴリズムに影響を及ぼさないはずである。
【0038】
図5に、不活性試薬層818および活性試薬層820をコーティングする方法を改善する本発明のさらに別の実施形態が示されている。不活性試薬層818は、第2の動作電極806を完全に覆い、かつ基準電極810の一部を覆うようにコーティングすることができる。同様に、活性試薬層820は、第1の動作電極を完全に覆い、かつ基準電極810の少なくとも一部を覆うようにコーティングすることができる。本発明のある実施形態では、印刷工程は、不活性試薬層818と活性試薬層820が基準電極810上のオーバーラップゾーン822で互いに実質的に重なり合うように整合させることが目標である。このような場合、不活性試薬層818と活性試薬層820がオーバーラップゾーン822で互いに混合しうる。不活性試薬層818および活性試薬層820の両方の長さが、図4に示されている実施形態に比べてさらに長いため、第1の動作電極808および第2の動作電極806に対する活性試薬層820および不活性試薬層818の整合およびコーティングがさらに改善される。
【0039】
図1‐図5に例示されているように、第2の動作電極806(例えば、ダミー電極)が、検査ストリップ800の先端部分58に位置することに留意されたい。これにより、生理学的流体が、第2の動作電極806、基準電極810、そして第1の動作電極808の順に接触する。検査ストリップ800は、活性試薬層820(酵素を含む)の上流に不活性試薬層818(酵素を含まない)を有するように意図的にデザインされている。これにより、第2の動作電極806と第1の動作電極808の両方に酵素が存在する可能性が低くなる。酵素を含む活性試薬層820が第2の動作電極806を覆い、第1の動作電極808上に酵素が存在しない場合、第2の動作電極806から一部の酵素が第1の動作電極808に移動する可能性がある。第1の動作電極808上にかなりの量の酵素が存在すると、ダミー電極方式を用いてもバックグラウンド信号を軽減することができない。
【0040】
本発明のある実施形態では、最上層824は、図1に示されている一体型ランス826の形態にすることができる。このような実施形態では、最上層824は、先端部分58に位置するランス826を含むことができる。刺入部材とも呼ぶことができるランス826は、患者の皮膚に刺入して、第2の動作電極806、第1の動作電極808、および基準電極810が血液に接触するように検査ストリップ800内に血液を吸引するように構成することができる。最上層824は、接着層830によって検査ストリップ800に接着されている。この接着層830は、ヒートシールまたは感圧接着剤とすることができる。ランス826は、組み立てられた検査ストリップ800の先端部分58まで延びたランセットベース832を含む。ランス826は、プラスチック、ガラス、およびシリコーンなどの絶縁材料、またはステンレス鋼や金などの導電材料のいずれかで形成することができる。最上層824が導電性の場合、最上層824は、第2の動作電極806および第1の動作電極808に面して配置された基準電極810として用いることもできる。一体型ランスを用いる一体型医療装置のさらなる詳細は、国際公開第GB01/05634号および米国特許出願第10/143,399号に開示されている。加えて、ランス826は、上記した国際公開第GB01/05634号および米国特許出願第10/143,399号に開示されているように、例えば、順送りダイスタンプ法により製造することができる。
【0041】
本発明のある実施形態では、接着層830は、約70μm〜110μmの高さを有する。接着層830は、両面感圧接着材、UV硬化接着剤、感熱接着剤、熱硬化プラスチック、または当分野で周知の他の接着剤を含むことができる。限定目的ではない一例として、接着層830は、英国ハーツ、トリング(Tring, Herts, United Kingdom)に所在のテープ・スペシャルティーズ社(Tape Specialties LTD)が販売する水性アクリルコポリマー感圧接着材(商品番号A6435)などの感圧接着材をスクリーン印刷して形成することができる。
【0042】
本発明の方法では、バックグラウンドのばらつきを、第1の動作電極808の第1の電流から第2の動作電極806の第2の電流を減じて軽減する。試験を開始するために、第2の動作電極806および第1の動作電極808で電流を測定できるようにサンプルをサンプル口52に導入する。第2の動作電極806は、その上にグルコース酸化酵素を有していないため、第2の動作電極806における酸化電流の大きさは、検査ストリップ800上に存在する干渉成分の量およびサンプルに含まれている干渉成分の量に比例する。これにより、第1の動作電極808と第2の動作電極806との差を用いて補正された電流値を計算して、サンプル中に存在する干渉成分および検査ストリップ800に存在しうる干渉成分の影響を軽減することが可能である。
【0043】
図9は、検査ストリップ800とインターフェイスする測定器900を示す簡易模式図である。測定器900は、第2の動作電極806、第1の動作電極808、および基準電極810に対する電気接続を形成する少なくとも3つの電気接点を有する。具体的には、第2の接点812および基準接点816が第1の電圧源910に接続され、第1の接点814および基準接点816が第2の電圧源920に接続されている。試験を行う際は、第1の電圧源910が、第2の動作電極806と基準電極810との間に第1の電位E1を印加し、第2の電圧源920が、第1の動作電極808と基準電極810との間に第2の電位E2を印加する。
【0044】
本発明の一実施形態では、第1の電位E1と第2の電位E2は、例えば、約+0.4Vなどの同じ電位にすることができる。本発明の別の実施形態では、第1の電位E1と第2の電位E2を異なるようにすることができる。第2の動作電極806、第1の動作電極808、および基準電極810が血液で覆われるように、血液サンプルを導入する。これにより、第2の動作電極806および第1の動作電極808が、グルコースおよび/または非酵素特異的物質に比例する電流を測定することができる。サンプルを導入してから約5秒後に、測定器900が、第2の動作電極806および第1の動作電極808の両方についての酸化電流を測定する。
【0045】
図10は、検査ストリップ800とインターフェイスする測定器900を示す簡易模式図である。図9とは対照的に、最上層824は、導電性であり、基板50上に設けられた基準電極810の代わりの基準電極として用いられる。具体的には、図10は、基準電極の形態の最上層824が、第1の動作電極808および第2の動作電極806に面して配置されていることを示している。この場合、測定器900は、図1に示されている基準接点816の代わりの最上層824に対する電気接点を形成している。
【0046】
図21は、本発明の別の実施形態に従った検査ストリップの組立分解斜視図である。第1の動作電極100で測定される酸化電流は、グルコースの酸化によって生成される第1の所望の酸化電流および干渉物質によって生成される第2の不所望の酸化電流である酸化電流源の合計である。干渉物質の酸化は、第1の動作電極100で直接的に起こり、そして酸化還元メディエータによる間接機構によって間接的に起こりうる。
【0047】
第2の動作電極102は、活性試薬820でコーティングされた活性部分102a、および不活性試薬818でコーティングされた不活性部分102iを有するジオメトリトレースを含む。活性部分102aで測定される酸化電流源は、第1の動作電極100に類似している。第2の動作電極102の不活性部分102iは、干渉物質は酸化させるが、酵素が存在しないためグルコースは酸化させない。さらに、不活性部分102iは、干渉物質を、第2の動作電極102で直接的に酸化させ、そして酸化還元メディエータによる間接的機構によって間接的に酸化させる。不活性部分102iで測定される酸化電流がグルコースに依存せず、不活性部分102iの面積が分かっているため、第2の動作電極102で測定される干渉物質酸化電流に対するその影響を計算することが可能である。不活性部分102iについて計算した干渉物質酸化電流を使用することと、第1の動作電極100の面積および活性部分102aの面積が分かっていることから、電極で酸化された干渉成分の影響を排除した補正されたグルコース電流を計算することが可能である。本発明では、不活性部分102iが、干渉物質の直接酸化および間接酸化に対してグルコース電流を補正するのに役立っていることに留意されたい。
【0048】
したがって、アルゴリズムを用いて、干渉物質の影響のない補正されたグルコース電流を計算する。検査ストリップ1000にサンプルを導入すると、一定の電位が第1の動作電極100および第2の動作電極102にかかり、両方の電極について電流を測定する。活性試薬層820が電極領域の全体を覆っている第1の動作電極100では、以下の式を用いて酸化電流に寄与する成分を表すことができる。
WE1=G+IIa (式1)
但し、
WE1は第1の動作電極における電流密度、
Gは干渉物質の影響のないグルコースによる電流密度、
IIaは活性試薬820で覆われた第1の動作電極100で酸化される干渉物質による電流密度である。
【0049】
活性試薬820および不活性試薬818で部分的に覆われた第2の動作電極102では、以下の式を用いて酸化電流に寄与する成分を表すことができる。
WE2=G+I2a+I2i (式2)
但し、
WE2は第2の動作電極における電流密度、
I2aは活性部分102aにおける干渉物質による電流密度、
I2iは不活性部分102iにおける干渉物質による電流密度である。
【0050】
干渉物質の影響を軽減するために、活性部分102aにおける干渉電流と不活性部分102iにおける干渉電流との間の関係を表す式を導出した。活性部分102aで測定される干渉物質酸化電流密度は、不活性部分102iで測定される電流密度と同じであると見積もる。この関係は、以下の式で表すことができる。
【数1】
但し、
A2aは活性試薬層820で覆われた第2の動作電極の面積、
A2iは不活性試薬層818で覆われた第2の動作電極の面積である。
【0051】
不活性部分102iは、干渉物質を酸化させることができるが、酵素で覆われていないためグルコースは酸化させることができない。活性部分102aは、グルコースと干渉物質を酸化させることができる。不活性部分102iは、活性部分102aの面積に比例して干渉物質を酸化させることが実験から分かっているため、第2の動作電極102全体で測定される干渉物質電流の割合を推定することが可能である。これにより、第2の動作電極102で測定される全電流(すなわち、WE2)から、干渉物質電流の部分を差し引いて補正することができる。本発明のある実施形態では、A2i:A2aの比率は、約0.5:1〜5:1の間、好ましくは約3:1にすることができる。電流を補正するためのこの数学的アルゴリズムについての詳細は、以降の段落で説明する。
【0052】
本発明の代替の実施形態では、I2aはI2iと異なりうる。これは、酵素が存在するため、活性部分102aにおける干渉物質のより効率的な酸化またはより非効率的な酸化によるものであろう。ある場合には、酸化還元メディエータの存在により、非コーティング部分に対する干渉物質の酸化が促進されるであろう。明確ではないが、酵素の存在が、メディエータを酸化させる電極の能力に影響を与える可能性がある。この作用を、式3aを以下のように変更して現象モデルにすることができる。
I2a=f×I2i (式3b)
但し、
fは、不活性部分102iに対する活性部分102aの干渉物質の酸化効率の影響を含む補正係数である。
【0053】
本発明のある実施形態では、式1、式2、および式3aから、干渉の影響のない補正されたグルコース電流密度を求める式を導出することができる。3つの式(式1、式2、および式3a)全体では、G、I2i、I2a、およびI1aである4つの未知数が含まれる。しかしながら、I1aとI2aは、同じ導電材料であって同じ活性試薬層820で覆われているため、同じと考えることができる。式1は、以下の式に変形することができる。
G=WE1−I1a=WE1−I2a (式4)
次いで、式3aのI2aを式4に代入して式5を得ることができる。
【数2】
次いで、式1と式2を組み合わせて式6を得ることができる。
I2i=WE2−WE1 (式6)
次いで、式6のI2iを式5に代入して式7aを得ることができる。
【数3】
【0054】
式7aは、第1の動作電極100および第2の動作電極102で測定される電流密度(すなわち、WE1およびWE2)、および第2の動作電極の不活性部分に対する活性部分に比率(すなわち、
)のみを必要とする、干渉の影響を排除した補正されたグルコース電流密度Gを求める式である。本発明の一実施形態では、比率
は、例えば、グルコース測定器の読出し専用メモリにプログラムすることができる。本発明の別の実施形態では、比率
は、A2aまたはA2iにおける製造上のばらつきを補正できる較正コードチップを用いてグルコース測定器に転送することができる。
【0055】
本発明の代替の実施形態では、活性部分102aの干渉物質酸化電流密度が不活性部分102iの干渉物質酸化電流密度と異なる場合に、式1、式2、および式3bを用いることができる。このような場合、代替の修正式7bが、以下に示すように導出される。
G=WE1−{f×(WE2−WE1)} (式7b)
【0056】
本発明の別の実施形態では、一定の閾値を超えた場合だけ、測定器がグルコース電流の修正式7aまたは式7bを用いることができる。例えば、WE2がWE1よりも約10%以上大きい場合、測定器は式7aまたは式7bを用いて電流出力を修正することができる。しかしながら、WE2がWE1の約10%以下の場合は、測定器は、WE1とWE2の間の平均電流値を単純に採用して測定値の精度および正確さを改善する。サンプル中の干渉レベルが著しい可能性が高い一定の条件の場合だけ式7aまたは式7bを用いる方法は、測定されたグルコース電流を過度に修正するリスクを緩和する。WE2がWE1よりも十分に大きい(例えば、約20%以上)場合、これが、干渉物質の濃度が十分に高いことを示していることに留意されたい。このような場合、極端に高い干渉物質のレベルによって式7aまたは式7bの精度が低下しうるため、グルコース値の代わりにエラーメッセージを出力とするのが望ましいであろう。
【0057】
図21は、酸化メディエータの還元メディエータへの変換によって引き起こされる増大したバックグラウンドのばらつきを補正するようにデザインされた検査ストリップの実施形態の組立分解斜視図を示している。検査ストリップ1000は、基板50、導電層164、絶縁層106、不活性試薬層818、活性試薬層820、接着層830、および最上層824を含む。さらに、検査ストリップ1000は、先端部58および基端部60を含む。検査ストリップ1000は、活性試薬コーティング820が第1の動作電極100および第2の動作電極102の両方の一部を覆うようにした検査ストリップ800の変更形態である。これにより、2つのグルコース測定が可能となると共に、検査ストリップ1000内で発生するまたは検査ストリップ1000内に導入された干渉物質の補正が可能となる。検査ストリップ1000は、干渉成分または増大したバックグラウンドの影響を軽減するために式7aまたは式7bのいずれかを用いる。検査ストリップ800とは対照的に、検査ストリップ1000は、導電層164および絶縁層106が変更されている。検査ストリップ1000と検査ストリップ800の両方において、基板50、不活性試薬層818、活性試薬層820、接着層830、および最上層824の形状および材料が類似している。
【0058】
図22‐図24は、活性試薬層820と不活性試薬層818の互いに対する様々な位置を示す、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップ1000の先端部分58の簡易平面図である。図22‐図24のそれぞれに一致する図25‐図27は、導電層164と活性試薬層820と不活性試薬層818の関係をより明確に示すために、絶縁層804は示していない。
【0059】
検査ストリップ1000では、導電層164は基板50上に設けられている。導電層164は、図21に示されているように、第1の動作電極100、第2の動作電極102、基準電極104、第1の接点101、第2の接点103、基準接点105、およびストリップ検出バー17を含む。検査ストリップ800とは対照的に、第2の動作電極102および第1の動作電極100は、C型の形状を有する。
【0060】
図22は、第1の動作電極100、第2の動作電極102、および基準電極104、絶縁層106、不活性試薬層818、および活性試薬層820の簡易平面図である。絶縁層106は、不活性部分102iおよび活性部分102aを有する第2の動作電極102の領域を画定するカットアウト108を含む。この実施形態では、不活性試薬層818は、不活性部分102i上に設けられ、活性試薬層820は、活性部分102a、第1の動作電極100、および基準電極104の上に設けられている。図22は、不活性試薬層818が活性試薬層820に接触または重なっていないのを示している。
【0061】
検査ストリップ1000は、不活性試薬層818および活性試薬層820の両方が第2の動作電極102の一部をコーティングしているという点で検査ストリップ800とは異なっている。これにより、2つのグルコース測定が可能であると共に、バックグラウンドおよび/または干渉の影響を軽減することができる。図22に示されている検査ストリップ1000を製造する際の1つの問題は、第1の動作電極100、第2の動作電極102、および基準電極104の面積が比較的小さいため、所望の生産高で、不活性試薬層818と活性試薬層820を互いに接触しないようにこれらの試薬層を整合させてコーティングすることが困難なことである。
【0062】
本発明のある実施形態では、図23は、不活性部分102i上に設けられた不活性試薬層818、および活性部分102a、第1の動作電極100、および基準電極104の上に設けられた活性試薬層820を示している。この実施形態では、不活性試薬層818と活性試薬層820は互いに密着して近接している。このような理想的なケースでは、不活性試薬層818と活性試薬層820は、互いに接触しているが、実質的に重なり合っていない。印刷工程の目標は、不活性試薬層818と活性試薬層820が互いに密着して近接するように整合させることであるが、通常の製造上のばらつきにより、不活性試薬層818と活性試薬層820との間に重なった部分が一定の頻度で生じる。同様に、このようなばらつきにより、不活性試薬層818が活性試薬層820に一定の頻度で接触しないことも起こる。不活性試薬層818が活性試薬層820に接触してもしなくても良いため、許容される検査ストリップの生産高が改善される。
【0063】
図24に、不活性試薬層818および活性試薬層820をコーティングする方法を改善する本発明のさらに別の実施形態が示されている。不活性試薬層818は、基準電極104の一部および不活性部分102iを完全に覆うようにコーティングすることができる。同様に、活性試薬層820は、活性部分102aおよび第1の動作電極100を完全に覆い、基準電極104の少なくとも一部を覆うようにコーティングすることができる。本発明のある実施形態では、印刷工程は、基準電極810上のオーバーラップゾーン822で不活性試薬層818と活性試薬層820が互いに実質的に重なるように整合させることを目標とすることができる。このような場合、不活性試薬層818と活性試薬層820がオーバーラップゾーン822で互いに混合しうる。不活性試薬層818および活性試薬層820の両方の長さが、図23に記載されている実施形態に比べてさらに長くなっているため、生産高の点で、活性試薬層820と不活性試薬層818の整合およびコーティングがさらに改善される。
【0064】
本発明の利点は、増大したバックグラウンドの影響を軽減する2つの試薬層を用いることである。検査ストリップ自体におけるフェロシアニドなどの還元メディエータの様々なレベルを十分に補正する能力により、高い精度と正確さを達成できる。製造、試験、および保管の際に酸化メディエータの還元型への変換に影響を与えるいくつかの因子が存在する。したがって、これにより、試薬層の高さ(バッチ内およびバッチとバッチの間)、ヒートシール接着剤製造条件、高温乾燥、パッケージング、および滅菌条件などの様々な製造条件のばらつきを修正する補正が可能となる。この補正がこれらのばらつきを修正するため、このような製造上のばらつきの監視および制御に厳密な工程管理を必要としないより安定した工程が可能となるであろう。バックグラウンド電流の測定もまた、高い温度および湿度などの悪い保管条件に耐えるように検査ストリップの安定性を改善することができる。これにより、湿分の保持に厳密なシールを必要としない検査ストリップを保管するためにデザインされたより単純なカートリッジが可能となる。
【0065】
例1
検査ストリップ800を、図1‐図3に例示されているように用意した。様々なレベルの滅菌放射線にさらした検査ストリップ800を血中で試験した。検査ストリップ800を試験するために、この検査ストリップ800を、第1の動作電極808と基準電極810との間、および第2の動作電極806と基準電極810との間に+0.4Vの定電位を印加する手段を有するポテンシオスタットに電気的に接続した。血液サンプルをサンプル口52に導入すると、血液がサンプル受容室内に吸引され、第1の動作電極808、基準電極810、および第2の動作電極806が血液に接触する。活性層820が血液で水和され、次いで、サンプル中のグルコースおよび/または干渉成分の量に比例しうるフェロシアニドが生成される。対照的に、不活性層818は血液で水和されても、水和の前に不活性層818内に存在しなかった追加のフェロシアニドを生成しない。サンプルを検査ストリップ800に導入してから約5秒後に、フェロシアニドおよび/または干渉物質の酸化を、第1の動作電極808および第2の動作電極806の両方の電流として測定する。
【0066】
例2
2つのバッチの検査ストリップを用意して、不活性試薬層818および活性試薬層820を使用することにより、γ線照射によって滅菌された検査ストリップの全体の精度が改善されることを示す。両方のバッチの検査ストリップを、例1に示されているのと同じ要領で試験した。第1の検査ストリップのバッチは検査ストリップ800であり、バッチ1と呼ぶことにする。バッチ2と呼ぶことにする第2の検査ストリップのバッチは、検査ストリップ800に類似しているが、不活性試薬層818を含まず、第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810を覆う変更された活性試薬層を有する。バッチ1の試験では、第1の動作電極808の電流と第2の動作電極806の電流との差を用いて、補正された信号電流を計算し、これをグルコース濃度に変換した。バッチ2の試験では、第2の動作電極806の電流と第1の動作電極808の電流を合計した値を求め、この値を用いて補正されていないグルコース濃度を計算した。血液で試験する前に、バッチ1とバッチ2の両方の検査ストリップを、0kGyおよび25kGyのγ線で処理した。次いで、バッチ1:0kGy、バッチ1:25kGy、バッチ2:0kGy、およびバッチ2:25kGYである4つの試験ケースについて、20mg/dL、50mg/dL、100mg/dL、300mg/dL、および500mg/dLの5つのグルコース濃度のそれぞれの試験ケースで24の検査ストリップを血液で試験して精度を評価した。
【0067】
図11‐図15は、バッチ1の検査ストリップが、25kGyのγ線で滅菌された後に精度が低下していないことを示している。5つ全てのグルコース濃度において、精度が、バッチ1の検査ストリップを滅菌した後に実質的に同じかそれ以上であった。これは、活性試薬層820および不活性試薬層818を用いることが、滅菌工程で生成されるフェロシアニドのバックグラウンドレベルの補正に役立つことを示している。
【0068】
図11‐図13は、バッチ2の検査ストリップが、25kGyのγ線で滅菌された後に、精度が低下したことを示している。この対照実験は、本発明のバックグラウンド軽減方法を用いない場合に精度が低下することを実証する。バッチ2の検査ストリップが不活性試薬層818を有していないため、バックグラウンド軽減法を実施することができない。バッチ2の検査ストリップは、精度に対する滅菌の影響が著しくない比較的高いグルコース濃度(300mg/dL〜500mg/dL)を試験したため、滅菌後の精度が低下していない。この場合、グルコースオキシダーゼによって生成されるフェロシアニドの量は、検査ストリップが水和する前に生成されるフェロシアニド(例えば、滅菌工程によって)よりも著しく高い。
【0069】
例3
バッチ3と呼ぶ検査ストリップの別のバッチを、検査ストリップ800と同様の要領で用意したが、第2の動作電極806が、活性試薬層820または不活性試薬層818のいずれでもコーティングされていない点が異なる。この例では、尿酸およびゲンチジン酸などの干渉成分の存在下で、バッチ1〜バッチ3を試験して全体の精度を評価した。
【0070】
バッチ1、バッチ2、およびバッチ3の検査ストリップを、ゲンチジン酸の濃度が0mg/dL、25mg/dL、および50mg/dLの3つの血液中で試験した。各ゲンチジン酸の濃度に対して、70mg/dLおよび240mg/dLの2つのグルコース濃度で試験した。図16および図17は、バッチ1およびバッチ3の検査ストリップが、25mg/dLおよび50mg/dLのゲンチジン酸濃度で試験した場合に偏りの変化がわずかである(<10mg/dLまたは10%)ことを示している。これとは対照的に、バッチ2の検査ストリップは、25mg/dLおよび50mg/dLのゲンチジン酸濃度で試験した場合に偏りの変化が著しかった(>10mg/dLまたは10%)。これは、酵素でコーティングされていない第2の動作電極806を用いることにより、高濃度のゲンチジン酸の存在下でグルコース信号の効果的な補正が可能であることを示している。
【0071】
バッチ1、バッチ2、およびバッチ3の検査ストリップは、尿酸の濃度が0mg/dL、10mg/dL、および20mg/dLの3つの血液中で試験した。各尿酸濃度に対して、70mg/dLおよび240mg/dLの2つのグルコース濃度で試験した。図18および図19は、バッチ1およびバッチ3の検査ストリップが、10mg/dLおよび20mg/dLの尿酸濃度で試験した場合に偏りの変化がわずかである(<10mg/dLまたは10%)ことを示している。これとは対照的に、バッチ2の検査ストリップは、10mg/dLおよび20mg/dLの尿酸濃度で試験した場合に偏りの変化が著しかった(>10mg/dLまたは10%)。これは、酵素でコーティングされていない第2の動作電極806を用いることにより、高濃度の尿酸の存在下でグルコース信号の効果的な補正が可能であることを示している。
【0072】
〔実施の態様〕
(1)電気化学センサにおける干渉を軽減する方法において、
活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、
不活性試薬層で覆われた第2の動作電極で第2の電流を測定するステップと、
前記第2の動作電極の不活性領域に対する前記第1の動作電極の活性領域の比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、
を含む、方法。
(2)電気化学センサにおける干渉を軽減する方法において、
活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、
第2の動作電極で第2の電流を測定するステップであって、前記活性試薬層が、前記第2の動作電極の活性領域上に設けられ、前記第2の動作電極の不活性領域が不活性試薬層で覆われている、前記ステップと、
前記第1および前記第2の動作電極上の活性領域と前記第2の動作電極上の不活性領域との比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の例示的な実施形態に従った検査ストリップの組立分解斜視図である。
【図2】導電層および絶縁層を含む図1の例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図3】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに接触していない、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図4】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに密着して近接している、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図5】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに重なっている、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図6】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに接触していない、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図7】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに密着して近接している、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図8】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに重なっている、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図9】基板上に設けられた第1の接点、第2の接点、および基準接点を有する検査ストリップとインターフェイスする測定器を示す簡易模式図である。
【図10】基板上に設けられた第1の接点および第2の接点、ならびにこれらの第1の接点および第2の接点に面して配置された基準接点を有する検査ストリップとインターフェイスする測定器を示す簡易模式図である。
【図11】20mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図12】50mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図13】100mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図14】300mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図15】500mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図16】70mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するゲンチジン酸の影響を示すグラフである。
【図17】240mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するゲンチジン酸の影響を示すグラフである。
【図18】70mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対する尿酸の影響を示すグラフである。
【図19】240mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対する尿酸の影響を示すグラフである。
【図20】第2の動作電極の面積を増大できる変更されたカットアウトを示す検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図21】本発明の別の例示的な実施形態に従った検査ストリップの組立分解斜視図である。
【図22】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示された、互いに接触していない、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図23】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに密着して近接している、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図24】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに重なっている、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図25】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに接触していない、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図26】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに密着して近接している、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図27】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに重なっている、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、全体として、分析物測定システムで測定した測定値に対する干渉成分の影響を軽減する方法に関し、詳細には、活性な試薬でコーティングされた領域と不活性な試薬でコーティングされた領域を有する電極を有する電気化学ストリップを用いたグルコース監視システムにおける直接干渉電流および間接干渉電流の影響を軽減する方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
多くの場合、電気化学グルコース測定システムは、例えば、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、ビリルビン、ドーパミン、ゲンチジン酸、グルタチオン、レボドパ、メチルドーパ、トラジミド(tolazimide)、トルブタミド、および尿酸などの生理学的流体に一般に見られる干渉成分の酸化によって上昇した酸化電流を含みうる。したがって、グルコース測定器の精度は、干渉成分によって生成される酸化電流部分を軽減または排除して改善することができる。理想的には、全ての酸化電流がグルコース濃度だけに依存するように、干渉成分から生成される酸化電流が全く存在しないようにすべきである。
【0003】
したがって、例えば、生理学的流体中に一般に見られるアスコルビン酸塩、尿酸塩、およびアセトアミノフェンなどの潜在的な干渉成分の存在下での電気化学センサの精度を改善することが理想である。このような電気化学センサで調べる分析物の例として、グルコース、乳酸塩、およびフルクトサミンを挙げることができる。グルコースが論じる主な分析物であるが、当業者には、ここに開示する本発明を他の分析物にも適用できることは明らかであろう。
【0004】
酸化電流は様々に生成されうる。具体的には、所望の酸化電流が、酸化還元メディエータと目的の分析物(例えば、グルコース)との相互作用によって生じる一方、不所望の酸化電流が、通常は電極表面で酸化される干渉成分および酸化還元メディエータと相互作用によって酸化される干渉成分から生じる。例えば、ある種の干渉成分(例えば、アセトアミノフェン)は、電極表面で酸化する。他の干渉成分(例えば、アスコルビン酸)は、酸化還元メディエータとの化学反応によって酸化する。グルコース測定システムにおけるこのような干渉成分の酸化により、測定される酸化電流が、グルコースおよび全ての干渉成分の両方の濃度に依存する。したがって、干渉成分の濃度がグルコースと同じ効率で酸化し、かつ干渉成分の濃度がグルコースの濃度よりも高い場合は、酸化電流全体に対する干渉成分の寄与を軽減または排除して、グルコースの濃度測定を改善することができる。
【0005】
干渉成分の影響を低減するために用いることができる既知のある方法では、負に帯電した膜を用いて動作電極を覆う。一例として、NAFION(登録商標)などのスルホン酸フルオロポリマー(sulfonated fluoropolymer)を用いて、負に帯電したあらゆる化学物質を退けることができる。一般に、アスコルビン酸塩や尿酸塩などの殆どの干渉成分が負の電荷を有するため、負に帯電した膜は、負に帯電した干渉成分が電極表面に到達してその表面で酸化するのを防止する。しかしながら、アセトアミノフェンなどのある種の干渉成分が正味の負の電荷を有しておらず、負に帯電した膜を通過できるため、この方法が必ずしも成功するわけではない。この方法はまた、干渉成分とある種の酸化還元メディエータとの相互作用から生じる酸化電流を軽減するものでもない。また、負に帯電した膜を動作電極に使用すると、一般に使用されるフェリシアニドなどの一部の酸化還元メディエータが負に帯電した膜を通過できず、電極での電子交換が妨げられる。
【0006】
干渉成分の影響を軽減するために用いることができる他の既知の方法では、動作電極の上部にサイズ選択膜を用いる。一例として、酢酸セルロースなどの100ダルトン排除膜を用いて動作電極を覆い、分子量が100ダルトンを超えるすべての化学物質を排除することができる。一般に、殆どの干渉成分は、分子量が100ダルトンを超えるため、電極表面で酸化しない。しかしながら、このような選択膜により、通常は、検査ストリップの製造がより複雑になると共に、酸化したグルコースが選択膜を介して拡散して電極に到達しなければならないため試験時間が長くなってしまう。
【0007】
干渉成分の影響を軽減するために用いることができる別の方法では、例えば、約−300mV〜+100mV(飽和カロメル電極に対して測定した場合)の低い酸化還元電位を有する酸還元メディエータを用いる。酸化還元メディエータの酸化還元電位が低いため、動作電極にかかる電圧も比較的低くなり、これにより、干渉成分が動作電極によって酸化される速度が低下する。比較的低い酸化還元電位を有する酸化還元メディエータの例として、オスミウムビピリジル複合体(osmium bipyridyl complexes)、フェロセン誘導体、およびキノン誘導体を挙げることができる。この技術の不利な点は、比較的低い電位を有する酸化還元メディエータが、合成が困難である場合が多く、不安定で水溶性が低いことである。
【0008】
干渉成分の影響を軽減するために用いることができる別の既知の方法では、酸化還元メディエータでコーティングされたダミー電極を用いる。場合によっては、ダミー電極を、不活性なタンパク質または不活化された酸化還元酵素でコーティングすることもできる。ダミー電極の目的は、電極表面で干渉成分を酸化させること、および/または干渉成分によって還元された酸化還元メディエータを酸化することである。この方法では、干渉の影響を排除するために、動作電極で測定される酸化電流の合計からダミー電極で測定される電流を減じる。この方法の不利な点は、検査ストリップがグルコースの測定に用いることができない追加の電極および電気接点(すなわち、ダミー電極)が必要であることである。ダミー電極を含めると、グルコース測定システムにおける電極の使用が非効率となる。
【0009】
〔発明の概要〕
本発明は、電気化学センサにおける干渉を軽減する方法に関する。この方法は、活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、不活性試薬層で覆われた第2の動作電極で第2の電流を測定するステップと、第2の動作電極の不活性領域に対する第1の動作電極の活性領域の比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、を含む。
【0010】
本発明はまた、電気化学センサにおける干渉を軽減する別の方法に関する。この方法は、活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、第2の動作電極で第2の電流を測定するステップであって、活性試薬層が、第2の動作電極の活性領域上に設けられ、第2の動作電極の不活性領域が不活性試薬層で覆われている、前記ステップと、第1および第2の動作電極上の活性領域と第2の動作電極上の不活性領域との比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、を含む。
【0011】
添付の図面を参照しながら、本発明の原理を用いた例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明を読めば、本発明の特徴および利点をより良く理解できるであろう。
【0012】
〔詳細な説明〕
ここに記載する本発明は、干渉成分の存在下でのグルコース測定精度を改善する検査ストリップを含む。一定の条件下で、ある種の干渉成分は、例えば、血液などの体液が導入される前に検査ストリップ中で発生しうる。一例として、この種の干渉成分は、酸化メディエータ(例えば、フェリシアニド)の変換から生じる還元メディエータ(例えば、フェロシアニド)とすることができる。これにより、バックグラウンド信号が増大し、検査ストリップの測定精度が低下する。このような場合、体液の形で検査ストリップに導入されるのではなく、干渉成分が検査ストリップ中で発生する。
【0013】
一般に、酸化メディエータが安定し、還元された酸化還元状態に移行しないように、酸化メディエータが動作電極上に設けられる。還元メディエータが生成されると、グルコース濃度に相関した酸化電流を用いる電気化学センサにおけるバックグラウンド信号が増大する。一般に、フェリシアニド(例えば、酸化メディエータ)は、時間経過により還元された酸化還元状態に還元される傾向にある。フェリシアニドは通常、限定するものではないが、塩基性pH、高い温度、高い湿度、明るい光の条件、電子ビーム照射、およびγ線照射を含む環境条件にさらされると、還元された酸化還元状態により迅速に移行する。
【0014】
近年、ランスと検査ストリップは、単一の医療装置に一体化されている。このような一体型医療装置は、グルコースを含む様々な分析物を監視するために測定器と共に用いることができる。状況によっては、検査ストリップは、散発的な1回使用方式、半連続方式、または連続方式で分析物を監視するようにデザインすることができる。ランスと検査ストリップを一体化することにより、サンプル部位からの体液の抽出と続く検査ストリップへの体液の移送をユーザーが調整する必要がなく監視方法が容易になる。このような場合、ランスと検査ストリップは、感染症のリスクを軽減するために同時に滅菌しなければならない。
【0015】
イオン化照射により、ランスを備えた検査ストリップを滅菌することができる。イオン化照射の可能な供給源は、電子ビーム、γ線、およびX線である。しかしながら、検査ストリップを滅菌する際の1つの課題は、試薬層に悪影響を与えずに、検査ストリップのパッケージ全体に亘って微生物の大部分が死滅するように十分に高い強度の放射線を照射することである。一般に、検査ストリップのバッチまたはパッケージを、約10KGy〜約50KGyの範囲のイオン化放射線量にさらす。電子ビーム殺菌を用いる場合、入射電子ビーム源のエネルギーは、約3MeV〜約12MeVの範囲とすることができる。イオン化放射線の衝当は、強度が幾分不均一である場合が多く、これによりパッケージの一部が他の部分よりもより多くのイオン化放射線が当たる。実験から、γ線照射および電子ビーム照射の両方によって電気化学センサのバックグラウンド信号が増大することが分かっている。さらに、放射線が比較的不均一なことから、検査ストリップの滅菌されたバッチでバックグラウンド信号が不均一に増大する。これにより、特定のバッチの滅菌されたグルコース検査ストリップの試験の際に精度が低下する。加えて、還元メディエータの割合が低いグルコース濃度範囲で比較的高いため、精度の低下は、低いグルコース濃度範囲(例えば、約20mg/dL〜約100mg/dL)で増幅される。
【0016】
図1は、酸化メディエータの還元メディエータへの変換によって起こりうるバックグラウンドの増大におけるばらつきを補正するようにデザインされた検査ストリップ800の組立分解斜視図を示している。図1に例示されている本発明の実施形態では、血液や間質液などの体液におけるグルコース濃度の測定に用いることができる電気化学検査ストリップ800は、第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810を含む。第1の動作電極808を完全に覆い、基準電極810を少なくとも部分的に覆うように活性試薬層820が、第1の動作電極808上および基準電極810上に設けられている。不活性試薬層818が、第2の動作電極806上に設けられている。
【0017】
本発明のある実施形態では、活性試薬層820は、例えば、グルコースオキシダーゼ、およびフェリシアニドなどのメディエータを含むことができる。不活性試薬層818は、メディエータを含みうるが、目的の分析物に対して特異的な活性酵素は含まない。フェリシアニドは、炭素電極で約400mVの酸化還元電位(飽和カロメル電極に対して測定した場合)を有するため、血液などの体液の導入で、酸化還元メディエータおよび/または動作電極によって干渉物質の著しい酸化が起こり、著しい不所望の酸化電流が生成されうる。したがって、第1の動作電極808で測定される酸化電流は、グルコースの酸化によって生成される第1の所望の酸化電流、電極における干渉物質の第2の不所望の直接酸化(直接干渉物質電流)、およびメディエータによる干渉物質の第3の不所望の間接酸化(間接干渉電流)の酸化電流源の合計である。第2の動作電極806で測定される酸化電流も、第1の動作電極808と同様の酸化電流源の合計であるが、第2の動作電極806には酵素が存在しないため、第1の所望の酸化電流が生じないはずである。第2の動作電極806で測定される酸化電流が干渉物質のみに依存し、かつ第1の動作電極808で測定される酸化電流がグルコースおよび干渉物質に依存するため、第1の動作電極808および第2の動作電極806で酸化される干渉成分の影響のない補正されたグルコース電流を計算することが可能である。このような場合、第1の動作電極808の電流密度から第2の動作電極806の電流密度を減じて、下記の式で示すことができる補正されたグルコース電流密度Gを求めることができる。
G=WE1−WE2 (式8)
但し、WE1は第1の動作電極808における電流密度、WE2は第2の動作電極806における電流密度である。
【0018】
本発明の代替の実施形態では、第2の動作電極806における干渉物質酸化電流密度は、この第2の動作電極806に酵素が存在しないため、第1の動作電極808における干渉物質酸化電流密度とわずかに異なるであろう。このような場合、定数Kを用いて、電流の測定値におけるこのような非理想性を補正することができる。式9は、定数Kを用いた上記した式8の変更を示している。
G=WE1−(k×WE2) (式9)
但し、Kは約0.5〜約1.5の範囲とすることができる。
【0019】
検査ストリップ800は、基板50、導電層802、絶縁層804、不活性試薬層818、活性試薬層820、接着層830、および最上層824を含む。検査ストリップ800は、導電層802、絶縁層804、不活性試薬層818、活性試薬層820、および接着層830である5つの層を基板50上に連続的に印刷して製造することができる。最上層824は、積層工程で組み立てることができる。検査ストリップ800は、第1の側面54、第2の側面56、先端部分58、および基端部分60をさらに含む。
【0020】
本発明の一実施形態では、基板50は、プラスチック、ガラス、およびセラミックなどの電気絶縁材料である。本発明の好適な実施形態では、基板50は、例えば、ナイロン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、PETG、またはポリエステルなどのプラスチックとすることができる。具体的には、ポリエステルは、例えば、デュポン・テイジン・フィルムズ(DuPont Teijin Films)が製造するMelinex(登録商標)ST328とすることができる。基板50は、インキの接着を改善するために一方または両方の面に施されるアクリルコーティングも含むことができる。
【0021】
基板50上に堆積された第1の層は、第1の動作電極808、第2の動作電極806、基準電極810、およびストリップ検出バー17を含む導電層802である。本発明に従えば、エマルジョンパターンを備えたスクリーンメッシュを用いて、図1に例示されているように、例えば、導電カーボンインキなどの材料を画定されたジオメトリに堆積させることができる。導電層802は、スクリーン印刷、グラビア印刷、スパッタリング、蒸着、無電解メッキ、インクジェット、昇華、および化学蒸着などを用いて基板50上に堆積させることができる。導電層802に用いることができる好適な材料は、Au、Pd、Ir、Pt、Rh、ステンレス鋼、ドープされた酸化錫、および炭素などである。本発明のある実施形態では、カーボンインキ層は、1〜100μmの範囲、より具体的には5〜25μmの範囲、さらに具体的には約13μmの高さを有することができる。導電層802の高さは、印刷する材料の所望の抵抗および導電性によって様々にすることができる。
【0022】
第1の接点814、第2の接点812、および基準接点816を用いて、測定器に電気的に接続することができる。これにより、測定器が、第1の接点814、第2の接点812、および基準接点816のそれぞれを介して第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810と電気的に通信することができる。
【0023】
基板50上に堆積された第2の層は、絶縁層804である。絶縁層804は、図1および図2に示されているように、導電層802の少なくとも一部の上に設けられている。図2は、絶縁層804に対する第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810の位置を強調した検査ストリップ800の先端部分58の簡易平面図である。絶縁層804は、図1および図2に示されているように、矩形の構造にできるカットアウト18をさらに含む。カットアウト18は、第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810の一部を露出させ、これらの部分を液体に接触させることができる。カットアウト18は、カットアウト幅W20およびカットアウト長さL26を有する。カットアウト幅W20は、図2に例示されているように、第2の動作電極806、基準電極810、および第1の動作電極808の幅に一致している。本発明のある実施形態では、カットアウト幅W20は、約0.7mm〜約1.4mmの範囲とすることができ、カットアウト長さL26は、約0.4mm〜約3.4mmの範囲とすることができる。
【0024】
本発明の一実施形態では、第2の動作電極806および第1の動作電極808はそれぞれ、L20およびL21を有する。L20およびL21は、約0.1mm〜約0.8mmの範囲の同じ長さにすることができる。基準電極810は、約0.2mm〜約1.6mmの範囲とすることができる長さL24を有することができる。本発明に従えば、電極間隔S1は、第2の動作電極806と基準電極810との間の距離および基準電極810と第1の動作電極808との間の距離であり、約0.2mm〜約0.6mmとすることができる。
【0025】
本発明の代替の実施形態では、第1の動作電極808の面積は、第2の動作電極806の面積と異なるようにすることができる。第1の動作電極808の面積と第2の動作電極806の面積の比率は、約1:1〜約1:3の範囲とすることができる。一定の条件下では、第2の動作電極806の相対面積を増大させてバックグラウンドを軽減することができる。第2の動作電極806の面積は、図20に示されているように、カットアウト6008のジオメトリを変更して増大させることができる。
【0026】
図2は、図1に例示されているように、完全に積層された後に切断線A‐A’に沿ってカットすることができる。図1に例示されている切断線A‐A’に沿った検査ストリップ800の切断工程で、検査ストリップ800に液体サンプルを導入できるサンプル口52が形成される。
【0027】
図3‐図5は、活性試薬層820と不活性試薬層818の互いに対する様々な位置を示す、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップ800の先端部分58の簡易平面図である。図3‐図5のそれぞれ一致する図6‐図8は、導電層802と活性試薬層820と不活性試薬層818の関係を明確に示すために絶縁層804を示していない。
【0028】
検査ストリップ800は、図3‐図5に例示されているように、不活性試薬層818が第2の動作電極806を完全に覆うようにこの不活性試薬層818を第2の動作電極806上に設けることができる。本発明の一実施形態では、不活性試薬層818は、図3および図4に例示されているように、第2の動作電極806を完全に覆っているが基準電極810には接触していない。本発明の別の実施形態では、図5に例示されているように、不活性試薬層818は、第2の動作電極806を完全に覆い、かつ基準電極810を少なくとも部分的に覆っている。
【0029】
本発明の実施形態では、不活性試薬層818は、少なくともフェリシアニドなどの酸化メディエータを含み、オプションで、不活性タンパク質または不活性酵素を含むことができる。さらに、不活性試薬層818は、pH6のクエン酸緩衝液、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン‐酢酸ビニル(polyvinyl pyrrolidone-vinyl acetate)、ドー・コーニングDC1500(Dow Corning DC1500)消泡剤、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250G, Hercules)、および親水性ドメインおよび疎水性ドメインの両方を有する表面改変シリカ(Cab‐o‐sil TS 610, Cabot)を含むことができる。酸化メディエータの例として、フェリシアニド、フェリシニウム複合体(ferricinium complexes)、キノン複合体、およびオスミウム複合体を挙げることができる。不活性なタンパク質の例として、クロテイン(crotein)またはアルブミン(例えば、ウシまたはヒト)を挙げることができる。不活性酵素の例として、アポ型PQQ‐グルコースデヒドロゲナーゼ(PQQは、ピロロ‐キノリン‐キノン(pyrroloquinoline-quinone)の頭字語である)またはアポ型グルコースオキシダーゼ(例えば、活性部位を備えていない酵素)を挙げることができる。酵素はまた、加熱処理または尿素などの変性材での処理によって不活化するか、または十分に弱めることができる。不活性試薬層818が活性酵素を含まないため、第2の動作電極806で測定される酸化電流は、グルコース濃度に比例しない。このため、当業者であれば、第2の動作電極806をダミー電極と呼ぶことができることを理解できるであろう。
【0030】
本発明のある実施形態では、不活性試薬層818における不活性タンパク質または不活化酵素が、メディエータの安定剤として機能しうる。不活性タンパク質または不活化酵素は、高温の乾燥工程の際にメディエータを保護することができる。加えて、不活性タンパク質または不活化酵素は、メディエータを不安定にさせうる湿分からのメディエータの保護を助ける乾燥剤として機能しうる。
【0031】
検査ストリップ800は、図3‐図5に例示されているように、第1の動作電極808上に設けられた活性試薬層820を有する。本発明の別の実施形態では、活性試薬層820は、第1の動作電極808を完全に覆っているが、基準電極810には接触していない。本発明の別の実施形態では、活性試薬層820は、図3‐図5に例示されているように、第1の動作電極808を完全に覆い、かつ基準電極810を少なくとも部分的に覆っている。
【0032】
本発明のある実施形態では、活性試薬層820は、少なくとも酸化メディエータ、および酵素を含む。さらに、活性試薬層820は、pH6のクエン酸緩衝液、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン‐酢酸ビニル(polyvinyl pyrrolidone-vinyl acetate)、ドー・コーニングDC1500(Dow Corning DC1500)消泡剤、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250G, Hercules)、および親水性ドメインと疎水性ドメインの両方を有する表面変性シリカ(Cab‐o‐sil TS 610, Cabot)を含むことができる。酸化メディエータの例として、フェリシアニド、フェリシニウム複合体(ferricinium complexes)、キノン複合体、およびオスミウム複合体を挙げることができる。酵素の例として、グルコースオキシダーゼ、PQQ共同因子を用いるグルコースデヒドロゲナーゼ、およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチド共同因子(nicotinamide adenine dinucleotide co-factor)を用いるグルコースデヒドロゲナーゼを挙げることができる。活性試薬層820が酵素を含むため、第1の動作電極808で測定される酸化電流はグルコース濃度に比例する。
【0033】
不活性試薬層818および活性試薬層820の両方の堆積にスクリーン印刷を用いる場合は、2つの別個のスクリーン印刷ステップを用いて各試薬層を対応する電極の上に堆積させる必要があることに留意されたい。スクリーン印刷は、同じスクリーン上に2つの異なる試薬を印刷するのにはあまり適していないことに留意されたい。印刷の際のスキージー運動により、2つの異なる試薬がスクリーン印刷工程中に混合しうる。図3は、第2の動作電極806上に設けられた不活性試薬層818、および第1の動作電極808上および基準電極810上に設けられた活性試薬層820を有する本発明の実施形態を示している。この実施形態では、不活性試薬層818は、活性試薬層820に接触したり、重なり合ったりしていない。第2の動作電極806、第1の動作電極808、および基準電極810の面積が比較的小さいため、所望の生産高で、不活性試薬層818および活性試薬層820のそれぞれを連続的に整合させてコーティングすることは困難であろう。比較的小さい電極面積(例えば、約0.6mm2)にすると、検査ストリップに必要な液体サンプルの量を少なくできるため、比較的小さい電極面積が好ましいことに留意されたい。
【0034】
本発明のある実施形態では、不活性試薬層818をまず印刷し、次いで高温で乾燥させる。次いで、言及することを以って本明細書の一部とする国際公開第GB/03004708号に開示されているように、活性試薬層820を印刷し、高温での乾燥ステップが続く。活性試薬層820は2番目に堆積されるため、2回乾燥ステップを受ける不活性試薬層818とは異なり、乾燥ステップは1回のみである。これは、酵素は一定の条件下で高い温度にさらされ続けると変性しうるため、活性試薬層820内のメディエータと酵素の両方を安定させるのに役立つ。
【0035】
本発明のある実施形態では、図4は、第2の動作電極806上に設けられた不活性試薬層818、および第1の動作電極808上および基準電極810上に設けられた活性試薬層820を示している。この実施形態では、不活性試薬層818と活性試薬層820は互いに密着して近接している。このような場合、不活性試薬層818と活性試薬層820は接触しているが、通常は互いに著しく重なり合うことはない。印刷工程は、不活性試薬層818と活性試薬層820が互いに密着して近接するように整合させることが目標であるが、通常の製造上のばらつきにより、不活性試薬層818と活性試薬層820とが一定の頻度で一部重なり合うことがある。同様に、このようなばらつきにより、不活性試薬層818が活性試薬層820に接触しないことも起こりうる。不活性試薬層818は、活性試薬層820に接触しても接触しなくても、本発明の方法が、いずれの場合もバックグラウンドのばらつきを減少させることができるため、許容可能な検査ストリップの製造高が改善される。
【0036】
不活性試薬層818と活性試薬層820との重なりは、測定にかかる時間(すなわち、約5秒以下)の間に活性試薬層820の酵素が第2の動作電極806に著しく拡散しなければ、グルコース測定値に影響を与えないことに留意されたい。酵素が第2の動作電極806に拡散する場合、第1の動作電極808は、非酵素特異的電流に加えてグルコース電流も測定する。これにより、検査ストリップ800がバックグラウンド信号を効率的に軽減することができなくなる。
【0037】
不活性試薬層818と活性試薬層820との重なりが基準電極810で起こっても、この重なりがグルコース測定値に影響を与えないことに留意されたい。このような場合、基準電極810における酵素および/または酸化メディエータの量は増大するが、グルコース測定値またはバックグラウンド補正アルゴリズムに影響を及ぼさないはずである。
【0038】
図5に、不活性試薬層818および活性試薬層820をコーティングする方法を改善する本発明のさらに別の実施形態が示されている。不活性試薬層818は、第2の動作電極806を完全に覆い、かつ基準電極810の一部を覆うようにコーティングすることができる。同様に、活性試薬層820は、第1の動作電極を完全に覆い、かつ基準電極810の少なくとも一部を覆うようにコーティングすることができる。本発明のある実施形態では、印刷工程は、不活性試薬層818と活性試薬層820が基準電極810上のオーバーラップゾーン822で互いに実質的に重なり合うように整合させることが目標である。このような場合、不活性試薬層818と活性試薬層820がオーバーラップゾーン822で互いに混合しうる。不活性試薬層818および活性試薬層820の両方の長さが、図4に示されている実施形態に比べてさらに長いため、第1の動作電極808および第2の動作電極806に対する活性試薬層820および不活性試薬層818の整合およびコーティングがさらに改善される。
【0039】
図1‐図5に例示されているように、第2の動作電極806(例えば、ダミー電極)が、検査ストリップ800の先端部分58に位置することに留意されたい。これにより、生理学的流体が、第2の動作電極806、基準電極810、そして第1の動作電極808の順に接触する。検査ストリップ800は、活性試薬層820(酵素を含む)の上流に不活性試薬層818(酵素を含まない)を有するように意図的にデザインされている。これにより、第2の動作電極806と第1の動作電極808の両方に酵素が存在する可能性が低くなる。酵素を含む活性試薬層820が第2の動作電極806を覆い、第1の動作電極808上に酵素が存在しない場合、第2の動作電極806から一部の酵素が第1の動作電極808に移動する可能性がある。第1の動作電極808上にかなりの量の酵素が存在すると、ダミー電極方式を用いてもバックグラウンド信号を軽減することができない。
【0040】
本発明のある実施形態では、最上層824は、図1に示されている一体型ランス826の形態にすることができる。このような実施形態では、最上層824は、先端部分58に位置するランス826を含むことができる。刺入部材とも呼ぶことができるランス826は、患者の皮膚に刺入して、第2の動作電極806、第1の動作電極808、および基準電極810が血液に接触するように検査ストリップ800内に血液を吸引するように構成することができる。最上層824は、接着層830によって検査ストリップ800に接着されている。この接着層830は、ヒートシールまたは感圧接着剤とすることができる。ランス826は、組み立てられた検査ストリップ800の先端部分58まで延びたランセットベース832を含む。ランス826は、プラスチック、ガラス、およびシリコーンなどの絶縁材料、またはステンレス鋼や金などの導電材料のいずれかで形成することができる。最上層824が導電性の場合、最上層824は、第2の動作電極806および第1の動作電極808に面して配置された基準電極810として用いることもできる。一体型ランスを用いる一体型医療装置のさらなる詳細は、国際公開第GB01/05634号および米国特許出願第10/143,399号に開示されている。加えて、ランス826は、上記した国際公開第GB01/05634号および米国特許出願第10/143,399号に開示されているように、例えば、順送りダイスタンプ法により製造することができる。
【0041】
本発明のある実施形態では、接着層830は、約70μm〜110μmの高さを有する。接着層830は、両面感圧接着材、UV硬化接着剤、感熱接着剤、熱硬化プラスチック、または当分野で周知の他の接着剤を含むことができる。限定目的ではない一例として、接着層830は、英国ハーツ、トリング(Tring, Herts, United Kingdom)に所在のテープ・スペシャルティーズ社(Tape Specialties LTD)が販売する水性アクリルコポリマー感圧接着材(商品番号A6435)などの感圧接着材をスクリーン印刷して形成することができる。
【0042】
本発明の方法では、バックグラウンドのばらつきを、第1の動作電極808の第1の電流から第2の動作電極806の第2の電流を減じて軽減する。試験を開始するために、第2の動作電極806および第1の動作電極808で電流を測定できるようにサンプルをサンプル口52に導入する。第2の動作電極806は、その上にグルコース酸化酵素を有していないため、第2の動作電極806における酸化電流の大きさは、検査ストリップ800上に存在する干渉成分の量およびサンプルに含まれている干渉成分の量に比例する。これにより、第1の動作電極808と第2の動作電極806との差を用いて補正された電流値を計算して、サンプル中に存在する干渉成分および検査ストリップ800に存在しうる干渉成分の影響を軽減することが可能である。
【0043】
図9は、検査ストリップ800とインターフェイスする測定器900を示す簡易模式図である。測定器900は、第2の動作電極806、第1の動作電極808、および基準電極810に対する電気接続を形成する少なくとも3つの電気接点を有する。具体的には、第2の接点812および基準接点816が第1の電圧源910に接続され、第1の接点814および基準接点816が第2の電圧源920に接続されている。試験を行う際は、第1の電圧源910が、第2の動作電極806と基準電極810との間に第1の電位E1を印加し、第2の電圧源920が、第1の動作電極808と基準電極810との間に第2の電位E2を印加する。
【0044】
本発明の一実施形態では、第1の電位E1と第2の電位E2は、例えば、約+0.4Vなどの同じ電位にすることができる。本発明の別の実施形態では、第1の電位E1と第2の電位E2を異なるようにすることができる。第2の動作電極806、第1の動作電極808、および基準電極810が血液で覆われるように、血液サンプルを導入する。これにより、第2の動作電極806および第1の動作電極808が、グルコースおよび/または非酵素特異的物質に比例する電流を測定することができる。サンプルを導入してから約5秒後に、測定器900が、第2の動作電極806および第1の動作電極808の両方についての酸化電流を測定する。
【0045】
図10は、検査ストリップ800とインターフェイスする測定器900を示す簡易模式図である。図9とは対照的に、最上層824は、導電性であり、基板50上に設けられた基準電極810の代わりの基準電極として用いられる。具体的には、図10は、基準電極の形態の最上層824が、第1の動作電極808および第2の動作電極806に面して配置されていることを示している。この場合、測定器900は、図1に示されている基準接点816の代わりの最上層824に対する電気接点を形成している。
【0046】
図21は、本発明の別の実施形態に従った検査ストリップの組立分解斜視図である。第1の動作電極100で測定される酸化電流は、グルコースの酸化によって生成される第1の所望の酸化電流および干渉物質によって生成される第2の不所望の酸化電流である酸化電流源の合計である。干渉物質の酸化は、第1の動作電極100で直接的に起こり、そして酸化還元メディエータによる間接機構によって間接的に起こりうる。
【0047】
第2の動作電極102は、活性試薬820でコーティングされた活性部分102a、および不活性試薬818でコーティングされた不活性部分102iを有するジオメトリトレースを含む。活性部分102aで測定される酸化電流源は、第1の動作電極100に類似している。第2の動作電極102の不活性部分102iは、干渉物質は酸化させるが、酵素が存在しないためグルコースは酸化させない。さらに、不活性部分102iは、干渉物質を、第2の動作電極102で直接的に酸化させ、そして酸化還元メディエータによる間接的機構によって間接的に酸化させる。不活性部分102iで測定される酸化電流がグルコースに依存せず、不活性部分102iの面積が分かっているため、第2の動作電極102で測定される干渉物質酸化電流に対するその影響を計算することが可能である。不活性部分102iについて計算した干渉物質酸化電流を使用することと、第1の動作電極100の面積および活性部分102aの面積が分かっていることから、電極で酸化された干渉成分の影響を排除した補正されたグルコース電流を計算することが可能である。本発明では、不活性部分102iが、干渉物質の直接酸化および間接酸化に対してグルコース電流を補正するのに役立っていることに留意されたい。
【0048】
したがって、アルゴリズムを用いて、干渉物質の影響のない補正されたグルコース電流を計算する。検査ストリップ1000にサンプルを導入すると、一定の電位が第1の動作電極100および第2の動作電極102にかかり、両方の電極について電流を測定する。活性試薬層820が電極領域の全体を覆っている第1の動作電極100では、以下の式を用いて酸化電流に寄与する成分を表すことができる。
WE1=G+IIa (式1)
但し、
WE1は第1の動作電極における電流密度、
Gは干渉物質の影響のないグルコースによる電流密度、
IIaは活性試薬820で覆われた第1の動作電極100で酸化される干渉物質による電流密度である。
【0049】
活性試薬820および不活性試薬818で部分的に覆われた第2の動作電極102では、以下の式を用いて酸化電流に寄与する成分を表すことができる。
WE2=G+I2a+I2i (式2)
但し、
WE2は第2の動作電極における電流密度、
I2aは活性部分102aにおける干渉物質による電流密度、
I2iは不活性部分102iにおける干渉物質による電流密度である。
【0050】
干渉物質の影響を軽減するために、活性部分102aにおける干渉電流と不活性部分102iにおける干渉電流との間の関係を表す式を導出した。活性部分102aで測定される干渉物質酸化電流密度は、不活性部分102iで測定される電流密度と同じであると見積もる。この関係は、以下の式で表すことができる。
【数1】
但し、
A2aは活性試薬層820で覆われた第2の動作電極の面積、
A2iは不活性試薬層818で覆われた第2の動作電極の面積である。
【0051】
不活性部分102iは、干渉物質を酸化させることができるが、酵素で覆われていないためグルコースは酸化させることができない。活性部分102aは、グルコースと干渉物質を酸化させることができる。不活性部分102iは、活性部分102aの面積に比例して干渉物質を酸化させることが実験から分かっているため、第2の動作電極102全体で測定される干渉物質電流の割合を推定することが可能である。これにより、第2の動作電極102で測定される全電流(すなわち、WE2)から、干渉物質電流の部分を差し引いて補正することができる。本発明のある実施形態では、A2i:A2aの比率は、約0.5:1〜5:1の間、好ましくは約3:1にすることができる。電流を補正するためのこの数学的アルゴリズムについての詳細は、以降の段落で説明する。
【0052】
本発明の代替の実施形態では、I2aはI2iと異なりうる。これは、酵素が存在するため、活性部分102aにおける干渉物質のより効率的な酸化またはより非効率的な酸化によるものであろう。ある場合には、酸化還元メディエータの存在により、非コーティング部分に対する干渉物質の酸化が促進されるであろう。明確ではないが、酵素の存在が、メディエータを酸化させる電極の能力に影響を与える可能性がある。この作用を、式3aを以下のように変更して現象モデルにすることができる。
I2a=f×I2i (式3b)
但し、
fは、不活性部分102iに対する活性部分102aの干渉物質の酸化効率の影響を含む補正係数である。
【0053】
本発明のある実施形態では、式1、式2、および式3aから、干渉の影響のない補正されたグルコース電流密度を求める式を導出することができる。3つの式(式1、式2、および式3a)全体では、G、I2i、I2a、およびI1aである4つの未知数が含まれる。しかしながら、I1aとI2aは、同じ導電材料であって同じ活性試薬層820で覆われているため、同じと考えることができる。式1は、以下の式に変形することができる。
G=WE1−I1a=WE1−I2a (式4)
次いで、式3aのI2aを式4に代入して式5を得ることができる。
【数2】
次いで、式1と式2を組み合わせて式6を得ることができる。
I2i=WE2−WE1 (式6)
次いで、式6のI2iを式5に代入して式7aを得ることができる。
【数3】
【0054】
式7aは、第1の動作電極100および第2の動作電極102で測定される電流密度(すなわち、WE1およびWE2)、および第2の動作電極の不活性部分に対する活性部分に比率(すなわち、
)のみを必要とする、干渉の影響を排除した補正されたグルコース電流密度Gを求める式である。本発明の一実施形態では、比率
は、例えば、グルコース測定器の読出し専用メモリにプログラムすることができる。本発明の別の実施形態では、比率
は、A2aまたはA2iにおける製造上のばらつきを補正できる較正コードチップを用いてグルコース測定器に転送することができる。
【0055】
本発明の代替の実施形態では、活性部分102aの干渉物質酸化電流密度が不活性部分102iの干渉物質酸化電流密度と異なる場合に、式1、式2、および式3bを用いることができる。このような場合、代替の修正式7bが、以下に示すように導出される。
G=WE1−{f×(WE2−WE1)} (式7b)
【0056】
本発明の別の実施形態では、一定の閾値を超えた場合だけ、測定器がグルコース電流の修正式7aまたは式7bを用いることができる。例えば、WE2がWE1よりも約10%以上大きい場合、測定器は式7aまたは式7bを用いて電流出力を修正することができる。しかしながら、WE2がWE1の約10%以下の場合は、測定器は、WE1とWE2の間の平均電流値を単純に採用して測定値の精度および正確さを改善する。サンプル中の干渉レベルが著しい可能性が高い一定の条件の場合だけ式7aまたは式7bを用いる方法は、測定されたグルコース電流を過度に修正するリスクを緩和する。WE2がWE1よりも十分に大きい(例えば、約20%以上)場合、これが、干渉物質の濃度が十分に高いことを示していることに留意されたい。このような場合、極端に高い干渉物質のレベルによって式7aまたは式7bの精度が低下しうるため、グルコース値の代わりにエラーメッセージを出力とするのが望ましいであろう。
【0057】
図21は、酸化メディエータの還元メディエータへの変換によって引き起こされる増大したバックグラウンドのばらつきを補正するようにデザインされた検査ストリップの実施形態の組立分解斜視図を示している。検査ストリップ1000は、基板50、導電層164、絶縁層106、不活性試薬層818、活性試薬層820、接着層830、および最上層824を含む。さらに、検査ストリップ1000は、先端部58および基端部60を含む。検査ストリップ1000は、活性試薬コーティング820が第1の動作電極100および第2の動作電極102の両方の一部を覆うようにした検査ストリップ800の変更形態である。これにより、2つのグルコース測定が可能となると共に、検査ストリップ1000内で発生するまたは検査ストリップ1000内に導入された干渉物質の補正が可能となる。検査ストリップ1000は、干渉成分または増大したバックグラウンドの影響を軽減するために式7aまたは式7bのいずれかを用いる。検査ストリップ800とは対照的に、検査ストリップ1000は、導電層164および絶縁層106が変更されている。検査ストリップ1000と検査ストリップ800の両方において、基板50、不活性試薬層818、活性試薬層820、接着層830、および最上層824の形状および材料が類似している。
【0058】
図22‐図24は、活性試薬層820と不活性試薬層818の互いに対する様々な位置を示す、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップ1000の先端部分58の簡易平面図である。図22‐図24のそれぞれに一致する図25‐図27は、導電層164と活性試薬層820と不活性試薬層818の関係をより明確に示すために、絶縁層804は示していない。
【0059】
検査ストリップ1000では、導電層164は基板50上に設けられている。導電層164は、図21に示されているように、第1の動作電極100、第2の動作電極102、基準電極104、第1の接点101、第2の接点103、基準接点105、およびストリップ検出バー17を含む。検査ストリップ800とは対照的に、第2の動作電極102および第1の動作電極100は、C型の形状を有する。
【0060】
図22は、第1の動作電極100、第2の動作電極102、および基準電極104、絶縁層106、不活性試薬層818、および活性試薬層820の簡易平面図である。絶縁層106は、不活性部分102iおよび活性部分102aを有する第2の動作電極102の領域を画定するカットアウト108を含む。この実施形態では、不活性試薬層818は、不活性部分102i上に設けられ、活性試薬層820は、活性部分102a、第1の動作電極100、および基準電極104の上に設けられている。図22は、不活性試薬層818が活性試薬層820に接触または重なっていないのを示している。
【0061】
検査ストリップ1000は、不活性試薬層818および活性試薬層820の両方が第2の動作電極102の一部をコーティングしているという点で検査ストリップ800とは異なっている。これにより、2つのグルコース測定が可能であると共に、バックグラウンドおよび/または干渉の影響を軽減することができる。図22に示されている検査ストリップ1000を製造する際の1つの問題は、第1の動作電極100、第2の動作電極102、および基準電極104の面積が比較的小さいため、所望の生産高で、不活性試薬層818と活性試薬層820を互いに接触しないようにこれらの試薬層を整合させてコーティングすることが困難なことである。
【0062】
本発明のある実施形態では、図23は、不活性部分102i上に設けられた不活性試薬層818、および活性部分102a、第1の動作電極100、および基準電極104の上に設けられた活性試薬層820を示している。この実施形態では、不活性試薬層818と活性試薬層820は互いに密着して近接している。このような理想的なケースでは、不活性試薬層818と活性試薬層820は、互いに接触しているが、実質的に重なり合っていない。印刷工程の目標は、不活性試薬層818と活性試薬層820が互いに密着して近接するように整合させることであるが、通常の製造上のばらつきにより、不活性試薬層818と活性試薬層820との間に重なった部分が一定の頻度で生じる。同様に、このようなばらつきにより、不活性試薬層818が活性試薬層820に一定の頻度で接触しないことも起こる。不活性試薬層818が活性試薬層820に接触してもしなくても良いため、許容される検査ストリップの生産高が改善される。
【0063】
図24に、不活性試薬層818および活性試薬層820をコーティングする方法を改善する本発明のさらに別の実施形態が示されている。不活性試薬層818は、基準電極104の一部および不活性部分102iを完全に覆うようにコーティングすることができる。同様に、活性試薬層820は、活性部分102aおよび第1の動作電極100を完全に覆い、基準電極104の少なくとも一部を覆うようにコーティングすることができる。本発明のある実施形態では、印刷工程は、基準電極810上のオーバーラップゾーン822で不活性試薬層818と活性試薬層820が互いに実質的に重なるように整合させることを目標とすることができる。このような場合、不活性試薬層818と活性試薬層820がオーバーラップゾーン822で互いに混合しうる。不活性試薬層818および活性試薬層820の両方の長さが、図23に記載されている実施形態に比べてさらに長くなっているため、生産高の点で、活性試薬層820と不活性試薬層818の整合およびコーティングがさらに改善される。
【0064】
本発明の利点は、増大したバックグラウンドの影響を軽減する2つの試薬層を用いることである。検査ストリップ自体におけるフェロシアニドなどの還元メディエータの様々なレベルを十分に補正する能力により、高い精度と正確さを達成できる。製造、試験、および保管の際に酸化メディエータの還元型への変換に影響を与えるいくつかの因子が存在する。したがって、これにより、試薬層の高さ(バッチ内およびバッチとバッチの間)、ヒートシール接着剤製造条件、高温乾燥、パッケージング、および滅菌条件などの様々な製造条件のばらつきを修正する補正が可能となる。この補正がこれらのばらつきを修正するため、このような製造上のばらつきの監視および制御に厳密な工程管理を必要としないより安定した工程が可能となるであろう。バックグラウンド電流の測定もまた、高い温度および湿度などの悪い保管条件に耐えるように検査ストリップの安定性を改善することができる。これにより、湿分の保持に厳密なシールを必要としない検査ストリップを保管するためにデザインされたより単純なカートリッジが可能となる。
【0065】
例1
検査ストリップ800を、図1‐図3に例示されているように用意した。様々なレベルの滅菌放射線にさらした検査ストリップ800を血中で試験した。検査ストリップ800を試験するために、この検査ストリップ800を、第1の動作電極808と基準電極810との間、および第2の動作電極806と基準電極810との間に+0.4Vの定電位を印加する手段を有するポテンシオスタットに電気的に接続した。血液サンプルをサンプル口52に導入すると、血液がサンプル受容室内に吸引され、第1の動作電極808、基準電極810、および第2の動作電極806が血液に接触する。活性層820が血液で水和され、次いで、サンプル中のグルコースおよび/または干渉成分の量に比例しうるフェロシアニドが生成される。対照的に、不活性層818は血液で水和されても、水和の前に不活性層818内に存在しなかった追加のフェロシアニドを生成しない。サンプルを検査ストリップ800に導入してから約5秒後に、フェロシアニドおよび/または干渉物質の酸化を、第1の動作電極808および第2の動作電極806の両方の電流として測定する。
【0066】
例2
2つのバッチの検査ストリップを用意して、不活性試薬層818および活性試薬層820を使用することにより、γ線照射によって滅菌された検査ストリップの全体の精度が改善されることを示す。両方のバッチの検査ストリップを、例1に示されているのと同じ要領で試験した。第1の検査ストリップのバッチは検査ストリップ800であり、バッチ1と呼ぶことにする。バッチ2と呼ぶことにする第2の検査ストリップのバッチは、検査ストリップ800に類似しているが、不活性試薬層818を含まず、第1の動作電極808、第2の動作電極806、および基準電極810を覆う変更された活性試薬層を有する。バッチ1の試験では、第1の動作電極808の電流と第2の動作電極806の電流との差を用いて、補正された信号電流を計算し、これをグルコース濃度に変換した。バッチ2の試験では、第2の動作電極806の電流と第1の動作電極808の電流を合計した値を求め、この値を用いて補正されていないグルコース濃度を計算した。血液で試験する前に、バッチ1とバッチ2の両方の検査ストリップを、0kGyおよび25kGyのγ線で処理した。次いで、バッチ1:0kGy、バッチ1:25kGy、バッチ2:0kGy、およびバッチ2:25kGYである4つの試験ケースについて、20mg/dL、50mg/dL、100mg/dL、300mg/dL、および500mg/dLの5つのグルコース濃度のそれぞれの試験ケースで24の検査ストリップを血液で試験して精度を評価した。
【0067】
図11‐図15は、バッチ1の検査ストリップが、25kGyのγ線で滅菌された後に精度が低下していないことを示している。5つ全てのグルコース濃度において、精度が、バッチ1の検査ストリップを滅菌した後に実質的に同じかそれ以上であった。これは、活性試薬層820および不活性試薬層818を用いることが、滅菌工程で生成されるフェロシアニドのバックグラウンドレベルの補正に役立つことを示している。
【0068】
図11‐図13は、バッチ2の検査ストリップが、25kGyのγ線で滅菌された後に、精度が低下したことを示している。この対照実験は、本発明のバックグラウンド軽減方法を用いない場合に精度が低下することを実証する。バッチ2の検査ストリップが不活性試薬層818を有していないため、バックグラウンド軽減法を実施することができない。バッチ2の検査ストリップは、精度に対する滅菌の影響が著しくない比較的高いグルコース濃度(300mg/dL〜500mg/dL)を試験したため、滅菌後の精度が低下していない。この場合、グルコースオキシダーゼによって生成されるフェロシアニドの量は、検査ストリップが水和する前に生成されるフェロシアニド(例えば、滅菌工程によって)よりも著しく高い。
【0069】
例3
バッチ3と呼ぶ検査ストリップの別のバッチを、検査ストリップ800と同様の要領で用意したが、第2の動作電極806が、活性試薬層820または不活性試薬層818のいずれでもコーティングされていない点が異なる。この例では、尿酸およびゲンチジン酸などの干渉成分の存在下で、バッチ1〜バッチ3を試験して全体の精度を評価した。
【0070】
バッチ1、バッチ2、およびバッチ3の検査ストリップを、ゲンチジン酸の濃度が0mg/dL、25mg/dL、および50mg/dLの3つの血液中で試験した。各ゲンチジン酸の濃度に対して、70mg/dLおよび240mg/dLの2つのグルコース濃度で試験した。図16および図17は、バッチ1およびバッチ3の検査ストリップが、25mg/dLおよび50mg/dLのゲンチジン酸濃度で試験した場合に偏りの変化がわずかである(<10mg/dLまたは10%)ことを示している。これとは対照的に、バッチ2の検査ストリップは、25mg/dLおよび50mg/dLのゲンチジン酸濃度で試験した場合に偏りの変化が著しかった(>10mg/dLまたは10%)。これは、酵素でコーティングされていない第2の動作電極806を用いることにより、高濃度のゲンチジン酸の存在下でグルコース信号の効果的な補正が可能であることを示している。
【0071】
バッチ1、バッチ2、およびバッチ3の検査ストリップは、尿酸の濃度が0mg/dL、10mg/dL、および20mg/dLの3つの血液中で試験した。各尿酸濃度に対して、70mg/dLおよび240mg/dLの2つのグルコース濃度で試験した。図18および図19は、バッチ1およびバッチ3の検査ストリップが、10mg/dLおよび20mg/dLの尿酸濃度で試験した場合に偏りの変化がわずかである(<10mg/dLまたは10%)ことを示している。これとは対照的に、バッチ2の検査ストリップは、10mg/dLおよび20mg/dLの尿酸濃度で試験した場合に偏りの変化が著しかった(>10mg/dLまたは10%)。これは、酵素でコーティングされていない第2の動作電極806を用いることにより、高濃度の尿酸の存在下でグルコース信号の効果的な補正が可能であることを示している。
【0072】
〔実施の態様〕
(1)電気化学センサにおける干渉を軽減する方法において、
活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、
不活性試薬層で覆われた第2の動作電極で第2の電流を測定するステップと、
前記第2の動作電極の不活性領域に対する前記第1の動作電極の活性領域の比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、
を含む、方法。
(2)電気化学センサにおける干渉を軽減する方法において、
活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、
第2の動作電極で第2の電流を測定するステップであって、前記活性試薬層が、前記第2の動作電極の活性領域上に設けられ、前記第2の動作電極の不活性領域が不活性試薬層で覆われている、前記ステップと、
前記第1および前記第2の動作電極上の活性領域と前記第2の動作電極上の不活性領域との比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の例示的な実施形態に従った検査ストリップの組立分解斜視図である。
【図2】導電層および絶縁層を含む図1の例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図3】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに接触していない、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図4】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに密着して近接している、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図5】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに重なっている、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図6】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに接触していない、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図7】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに密着して近接している、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図8】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに重なっている、図1に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図9】基板上に設けられた第1の接点、第2の接点、および基準接点を有する検査ストリップとインターフェイスする測定器を示す簡易模式図である。
【図10】基板上に設けられた第1の接点および第2の接点、ならびにこれらの第1の接点および第2の接点に面して配置された基準接点を有する検査ストリップとインターフェイスする測定器を示す簡易模式図である。
【図11】20mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図12】50mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図13】100mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図14】300mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図15】500mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するγ線の影響を示すグラフである。
【図16】70mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するゲンチジン酸の影響を示すグラフである。
【図17】240mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対するゲンチジン酸の影響を示すグラフである。
【図18】70mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対する尿酸の影響を示すグラフである。
【図19】240mg/dLのグルコース濃度で試験した検査ストリップの精度に対する尿酸の影響を示すグラフである。
【図20】第2の動作電極の面積を増大できる変更されたカットアウトを示す検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図21】本発明の別の例示的な実施形態に従った検査ストリップの組立分解斜視図である。
【図22】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示された、互いに接触していない、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図23】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに密着して近接している、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図24】活性試薬層および不活性試薬層の位置が、絶縁層および導電層で例示され、互いに重なっている、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図25】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに接触していない、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図26】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに密着して近接している、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【図27】活性試薬層および不活性試薬層が、導電層で例示され、互いに重なっている、図21に例示されている本発明の実施形態に従った検査ストリップの先端部分の簡易平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学センサにおける干渉を軽減する方法において、
活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、
不活性試薬層で覆われた第2の動作電極で第2の電流を測定するステップと、
前記第2の動作電極の不活性領域に対する前記第1の動作電極の活性領域の比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
電気化学センサにおける干渉を軽減する方法において、
活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、
第2の動作電極で第2の電流を測定するステップであって、前記活性試薬層が、前記第2の動作電極の活性領域上に設けられ、前記第2の動作電極の不活性領域が不活性試薬層で覆われている、前記ステップと、
前記第1および前記第2の動作電極上の活性領域と前記第2の動作電極上の不活性領域との比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、
を含む、方法。
【請求項1】
電気化学センサにおける干渉を軽減する方法において、
活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、
不活性試薬層で覆われた第2の動作電極で第2の電流を測定するステップと、
前記第2の動作電極の不活性領域に対する前記第1の動作電極の活性領域の比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
電気化学センサにおける干渉を軽減する方法において、
活性試薬層で覆われた第1の動作電極で第1の電流を測定するステップと、
第2の動作電極で第2の電流を測定するステップであって、前記活性試薬層が、前記第2の動作電極の活性領域上に設けられ、前記第2の動作電極の不活性領域が不活性試薬層で覆われている、前記ステップと、
前記第1および前記第2の動作電極上の活性領域と前記第2の動作電極上の不活性領域との比率を用いて、グルコース濃度を表す補正された電流値を計算するステップと、
を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2007−514931(P2007−514931A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537435(P2006−537435)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004599
【国際公開番号】WO2005/045417
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(502328710)ライフスキャン・スコットランド・リミテッド (70)
【住所又は居所原語表記】Beechwood Park North,Inverness IV2 3ED
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004599
【国際公開番号】WO2005/045417
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(502328710)ライフスキャン・スコットランド・リミテッド (70)
【住所又は居所原語表記】Beechwood Park North,Inverness IV2 3ED
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