説明

電気化学測定方法及び電極装置

【課題】流通型電極装置を用いて、より安定した、再現性の高い測定を行うことのできる電気化学測定方法、及びその電極装置を提供する。
【解決手段】試料液収容部6から供給される試料液Sが流通する試料液流路8の途中に、測定電極2の測定部2aと、測定電極2に対して比較電極3を電気的に接続するために比較電極液流路12内を流通する比較電極液Rを試料液流路8内の試料液Sに合流させる合流部11と、を試料液流路8内の試料液Sの流通方向の上流側からこの順序で有する電極装置100を用いた電気化学測定方法は、試料液流路8内を流して試料液Sを測定部2aに供給した後に、測定部2aに位置する試料液Sと試料液収容部6内の試料液Sとの間の試料液流路8内に気体を導入して、測定部2aに位置する試料液Sと試料液収容部6内の試料液Sとの間を分離した状態で、測定電極2による測定値を検出する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン交換水(純水)、水道水、雨水、ボイラー水などの電気伝導率、緩衝性の低い試料液のpHや各種イオン濃度、酸化還元電位差を測定するのに利用することのできる電気化学測定方法及び電極装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流通型(フロースルー型)電極装置では、試料液に吸入ノズルを挿入して試料液を吸い上げ、この吸い上げた試料液の流路の途中で、比較電極の比較電極液(内部液)と試料液とを合流させて液絡部を形成させる。そして、その液絡部を形成したときの、比較電極と、試料液と接触している測定電極との間の電位差を計測する。これにより、試料液の水素イオン濃度(即ち、pH)、その他のイオン濃度、或いは酸化還元電位差を測定する。
【0003】
図6は、従来の流通型電極装置の一例としてpH測定装置200を示す。
【0004】
図6のpH測定装置200は、電位差計を具備する計測器としてのpH計1及び測定電極であるpH電極2を備えたpH測定系と、比較電極3、吸入ノズル8a及びセル14などを備えた比較電極系と、を有する。pH電極2及び吸入ノズル8aは、試料液容器6内の試料液S中に挿入される。pH計1はpH電極2と比較電極3とに接続されている。試料液容器6内の試料液Sに浸漬される吸入ノズル8aの先端から、セル14及びセル14より下流側の混合液流通部8bを経由して第1の送液ポンプ4(後述)に至るまでの液流路を、試料液Sが流通する試料液流路8とする。
【0005】
セル14内の流路において、吸入ノズル8aを介して吸い上げられた試料液Sと比較電極液流路12からの比較電極液Rとが混和されて液絡部(液−液ジャンクション)が形成される合流部11が設けられる。
【0006】
図6のpH測定装置200では、ガラス電極とされるpH電極2は、中空略円筒形状の支持管2cの先端に、ガラス感応膜(pH感応膜)とされる測定部2aが設けられている。支持管2c及び測定部2aの内側の空間内には、測定電極液(内部液)が充填され、又その測定電極液に測定内部電極2bが浸漬されている。
【0007】
又、比較電極3は、比較電極液流路12の途中に設置され、その底部にスルーホール、セラミックスなどで形成された液絡部(比較電極部ジャンクション)3aを介して、比較電極液流路12に液絡されている。比較電極3は、中空略円筒形状の内管3cと外管3dとを有し、内管3cの内側の空間には比較電極液(内部液)が充填され、その比較電極液に比較内部電極3bが浸漬されている。そして、上記比較電極部ジャンクション3aを介して、内管3c内の比較電極液と、比較電極液流路12及び外管3d内を通過する比較電極液とが液絡されている。
【0008】
第1の送液ポンプ4により、吸入ノズル8aを通して試料液容器6内の試料液Sを吸い上げ、これと同時に第2の送液ポンプ5により比較電極液容器7内の比較電極液Rを吸い上げて比較電極液流路12に圧送すると、セル14内の合流部11で、吸入ノズル8aからの試料液Sに、比較電極液流路12からの比較電極液Rが合流して、液絡部が形成される。その液絡部を形成した時点で、第1の送液ポンプ4及び第2の送液ポンプ5を停止させて、pH計1によりpH電極2と比較電極3との電極間電位差を計測する。これにより、試料液7のpHが測定され、例えばpH計1に設けられた表示部に直ちにpH値として表示することができる。
【0009】
pHの測定終了後、第1の送液ポンプ4を再度駆動して、試料液流路8内の試料液S及び比較電極液R(混合液M)を、セル14内の流路により合流部11に接続されて第1の送液ポンプ4側へと伸長された混合液流通部8b、及び第1の送液ポンプ4より下流側に伸長された流出路13を通して、廃液容器15に排出する。
【0010】
図7は、従来の流通型電極装置の他の一例であるpH測定装置300を示す。尚、図6のpH測定装置200のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。
【0011】
図7のpH測定装置300では、ガラス電極とされるpH電極2は流通型測定電極であり、吸入ノズル8aの先端から合流部11までの間の試料液Sの流通経路中に、ガラス感応膜(pH感応膜)とされる測定部2aを有している。測定部2aは、略円筒形状で、その周囲を取り巻くように形成された支持管2cの測定部支持部2c1によって支持されている。測定部支持部2c1は、支持管2cの基部2c2の先端に接続されている。そして、支持管2cの測定部支持部2c1及び基部2c2の内側の空間には測定電極液(内部液)が充填され、その測定電極液には測定内部電極2bが浸漬されている。
【0012】
図7のpH測定装置300では、第1の送液ポンプ4を作動させると、試料液容器6内の試料液Sが、吸入ノズル8aから流通型pH電極2の測定部2aを経由してセル14の合流部11に達する。この合流部11で、試料液Sは、比較電極流路12から導かれた比較電極液Rと合流する。これにより、管路内の液を通じてpH電極2と比較電極3との電気的導通が取られる。そして、図7のpH測定装置300においても、図6のpH測定装置200と同様に、上述のようにして試料液Sと比較電極液Rとの液絡部が形成された時点で、第1の送液ポンプ4及び第2の送液ポンプ5を停止させて、pH計1によりpHを測定する。又、pHの測定終了後に、第1の送液ポンプ4を再度駆動して、試料液流路8内の試料液S及び比較電極液Rを、混合液流通部8b、流出路13を通して廃液容器15へと排出する。
【0013】
流通型電極装置では、送液ポンプで試料液を吸引して測定するため、3.3MのKCl溶液などとされる比較電極液の試料液への流出がなく、試料液を汚染することなく測定を行うことができるメリットがある。又、試料液を比較電極液で汚染しないため、純水レベルの試料液、例えば、イオン交換水(純水)、水道水、雨水、ボイラー水などの電気伝導率、緩衝性の低い試料液のpHや各種イオン濃度の測定、酸化還元電位差を測定することが可能であり、又これらの測定と電気伝導率の測定とを同時に行うことが可能である。
【0014】
特に、例えば図7に示すように、流通型測定電極を用いることによって、測定電極の測定部に常に試料液が満たされ、測定毎に自己洗浄されることから、測定の自動化等に対応し易いなどの点で非常に有利である。
【0015】
又、従来、測定時に試料液Sに合流した比較電極液Rが試料液流路8内を通って吸入ノズル8a側へと落下して、試料液容器6内の試料液Sが比較電極液6により汚染され、上述のような流通型電極装置の利点を損なうことが無いように、合流部11よりも上流側、即ち、吸入ノズル8aの先端側の試料液流路8に高低の段差部又はループ18を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−306174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来の流通型電極装置は、指示値の安定性や再現性の点で未だ改善が望まれるものであった。
【0017】
即ち、流通型電極装置では、管路内を試料液が流れ、細い管で測定電極と比較電極とが電気的に接続されているため、純水レベルの試料液の測定においては、周囲からのノイズなど様々な影響で指示の乱れ、指示の不安定化が発生し易い。
【0018】
周囲からのノイズは、測定電極の周囲、試料液容器をシールドすることにより、ある程度防ぐことができるが、応答の遅れや、再現性の悪化の点で、従来の流通型電極装置は、未だ改善の余地のあるものであった。
【0019】
従って、本発明の目的は、流通型電極装置を用いて、より安定した、再現性の高い測定を行うことのできる電気化学測定方法、及びその電極装置を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、試料液を比較電極液で汚染することを防止して安定した正確な測定が可能であり、比較電極、更には測定電極を常に試料溶液で洗浄することでメンテナンスの手間を省くと共に自動化への対応も容易であるといった、流通型電極装置の利点を最大化することが可能な電気化学測定方法、及びその電極装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的は本発明に係る電気化学測定方法及び電極装置にて達成される。要約すれば、本発明は、試料液収容部から供給される試料液が流通する試料液流路の途中に、測定電極の測定部と、前記測定電極に対して比較電極を電気的に接続するために比較電極液流路内を流通する比較電極液を前記試料液流路内の試料液に合流させる合流部と、を前記試料液流路内の試料液の流通方向の上流側からこの順序で有する電極装置を用いた電気化学測定方法において、前記試料液流路内を流して試料液を前記測定部に供給した後に、前記測定部に位置する試料液と前記試料液収容部内の試料液との間の前記試料液流路内に気体を導入して、前記測定部に位置する試料液と前記試料液収容部内の試料液との間を分離した状態で、前記測定電極による測定値を検出することを特徴とする電気化学測定方法である。本発明の一実施態様によると、前記気体は前記試料液流路内の試料液の流れが停止された時に導入され、前記測定電極による測定値は前記試料液流路内の試料液の流れが停止され且つ前記気体が導入された状態で検出される。又、本発明の一実施態様によると、前記気体は、前記試料液収容部から前記測定部までの間の前記試料液流路に対して分岐して設けられた気体導入路を、前記気体の雰囲気に対して開放することにより導入される。本発明の他の実施態様によると、前記気体は、前記試料液収容部から前記測定部までの間の前記試料液流路に対して分岐して設けられた気体導入路を介して圧送されることにより導入される。
【0022】
本発明の他の態様によると、試料液収容部から供給される試料液が流通する試料液流路の途中に、測定電極の測定部と、前記測定電極に対して比較電極を電気的に接続するために比較電極液流路内を流通する比較電極液を前記試料液流路内の試料液に合流させる合流部と、を前記試料液流路内の試料液の流通方向の上流側からこの順序で有する電極装置において、前記試料液流路内の試料液の流れを制御する試料液輸送手段と、前記測定部に位置する試料液と前記試料液収容部内の試料液との間を分離するために、前記測定部に位置する試料液と前記試料液収容部内の試料液との間の前記試料液流路内に気体を導入する気体導入手段と、前記気体が導入された状態における前記測定電極による測定値を検出する計測器と、を有することを特徴とする電極装置が提供される。本発明の一実施態様によると、前記気体は前記試料液流路内の試料液の流れが停止された時に導入され、前記測定電極による測定値は前記試料液流路内の試料液の流れが停止され且つ前記気体が導入された状態で検出される。又、本発明の一実施態様によると、前記気体導入手段は、前記試料液収容部から前記測定部までの間の前記試料液流路に対して分岐して設けられた気体導入路を前記気体の雰囲気に対して開放又は閉鎖する開閉部材である。本発明の他の実施態様によると、前記気体導入手段は、前記試料液収容部から前記測定部までの間の前記試料液流路に対して分岐して設けられた気体導入路に接続された気体圧送ポンプである。
【0023】
上記各本発明において、前記気体は、空気、窒素ガスを含む、測定値に対して実質的に不干渉性の気体から選択されてよい。上記各本発明の一実施態様によると、前記測定電極は、イオン濃度測定用電極である。又、上記各本発明の一実施態様によると、前記測定電極は、pH電極である。上記各本発明の他の実施態様によると、前記測定電極は、酸化還元電位差測定用電極である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、流通型電極装置を用いて、より安定した、再現性の高い測定を行うことができる。従って、本発明によれば、試料液を比較電極液で汚染することを防止して安定した正確な測定が可能であり、比較電極、更には測定電極を常に試料溶液で洗浄することでメンテナンスの手間を省くと共に自動化への対応も容易であるといった、流通型電極装置の利点を最大化することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る電気化学測定方法及び電極装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0026】
実施例1
図1は、本発明に係る電極装置の一実施例の概略構成を示す。本実施例では電極装置はpH測定装置であるものとして説明する。尚、図6又は図7を参照して説明した電極装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。
【0027】
図1のpH測定装置100は、試料液収容部としての試料液容器6から供給される試料液Sが流通する管路である試料液流路8の途中に、ガラス感応膜(pH感応膜)とされる測定電極2の測定部2aと、測定電極2に対して比較電極3を電気的に接続するために管路である比較電極液流路12内を流通する比較電極液Rを試料液流路8内の試料液Sに合流させる合流部11と、を試料液流路8内の試料液Sの流通方向の上流側からこの順序で有する。
【0028】
斯かる構成のpH測定装置100を用いて鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、純水レベルの試料液、例えば、イオン交換水(純水)、水道水、雨水、ボイラー水などの電気伝導率、緩衝性の低い試料液の測定を行う場合、測定部2aよりも上流側の吸入ノズル8aを試料液容器6内の試料液Sから離すと、応答が速くなり、安定した再現性の高い測定を行うことができることを見出した。
【0029】
このような効果が得られるメカニズムについては、現時点では必ずしも明らかではないが、本発明者らの検討によれば、測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとが切り離されてこれら両者間の電気的導通が遮断されることで試料液Sからの誘導的ノイズが遮断されること、或いは、試料液Sを流通させることによって減圧状態となっていた試料液流路8内が開放されること、などが作用しているようである。
【0030】
斯かる新規な知見に基づいて、本実施例のpH測定方法では、試料液流路8内を流して試料液Sを測定部2aに供給した後に、測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとの間の試料液流路8内に気体を導入して、測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとの間を分離、即ち、両位置間の試料液Sの繋がりを遮断した状態で、pH電極2による測定値を検出する。
【0031】
斯かるpH測定方法を具現化する本実施例のpH測定装置100は、試料液流路8内の試料液Sの流れを制御する試料液輸送手段としての第1の送液ポンプ4と、測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとの間を分離するために、測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとの間の試料液流路8内に気体を導入する気体導入手段としての電磁弁10と、上記気体が導入された状態におけるpH電極2による測定値を検出する計測器1と、を有する構成とする。以下、更に詳しく説明する。
【0032】
図1を参照して、pH測定装置100は、概略、電位差計を具備する計測器としてのpH計1、測定電極であるpH電極2、比較電極3、試料液Sが流通する吸入ノズル8aを含む試料液流路8、比較電極液Rが流通する比較電極液流路12、試料液Sを輸送する試料液輸送手段としての第1の送液ポンプ4、比較電極液Rを輸送する比較電極液輸送手段としての第2の送液ポンプ5、試料液Sと比較電極液Rとの液絡部を形成するためのセル14、試料液収容部としての試料液容器6、比較電極液収容部としての比較電極液容器7、廃液収容部としての廃液容器15などを有する。
【0033】
尚、本実施例では、第1の送液ポンプ4及び第2の送液ポンプ5として、ローラーポンプを採用した。この場合、各々のポンプを停止した時には、ローラーが流路に繋がっているチューブを圧縮することにより閉じた状態となり、液の流通(送液)は止まることになる。
【0034】
pH計1はpH電極2と比較電極3とに接続されている。試料液容器6内の試料液Sに浸漬される吸入ノズル8aの先端から、pH電極2の測定部2a、セル14及びセル14より下流側の混合液流通部8bを経由して第1の送液ポンプ4に至るまでの液流路を、試料液Sが流通する試料液流路8とする。
【0035】
セル14は、試料液流路8の一方の端部を形成する吸入ノズル8aの鉛直方向上側に設置されている。このセル14内の流路により、試料液Sが流通する鉛直方向の試料液流路8に対し、比較電極液Rが流通する比較電極液流路12が水平方向に接続される。こうして、セル14内の流路において、吸入ノズル8aを介して吸い上げられた試料液Sと比較電極液流路12からの比較電極液Rとが混和されて液絡部(液−液ジャンクション)が形成される合流部11が設けられる。
【0036】
本実施例では、ガラス電極とされるpH電極2は流通型測定電極であり、吸入ノズル8aの先端から合流部11までの間の試料液Sの流通経路中にガラス感応膜(pH感応膜)とされる測定部2aを有している。つまり、pH電極2の測定部2aは、略円筒形状で、試料液流路8の流通経路の一部を形成するように配置される。この測定部2aは、その周囲を取り巻くように形成された、支持管2cの一部を構成する測定部支持部2c1によって支持されている。この測定部支持部2c1は、支持管2cの略L字形状に屈曲された基部2c2の先端に接続されている。そして、支持管2cの測定部支持部2c1及び基部2c2の内側の空間には測定電極液(内部液)が充填され、その測定電極液には測定内部電極2bが浸漬されている。管状の測定部2aの上流側には、試料液流路8の一部を形成する吸入ノズル8aが接続され、又管状の測定部2aの下流側には、セル14(合流部11)へと繋がる試料液流路8の一部を形成する管路が接続されている。
【0037】
又、比較電極3は、比較電極液流路12の途中に設置され、その底部にスルーホール、セラミックスなどで形成された液絡部(比較電極部ジャンクション)3aを介して、比較電極液流路12に液絡されている。つまり、比較電極3は、中空略円筒形状の内管3cと、内管3cに対して所定間隔を開けて内管3cを覆うように形成された外管3dと、を有する。内管3cの内側の空間には比較電極液(内部液)が充填され、その比較電極液に比較内部電極3bが浸漬されている。又、外管3dに対して比較電極液流路12が接続され、上記比較電極部ジャンクション3aを介して、内管3c内の比較電極液と、比較電極液流路12及び外管3d内を通過する比較電極液とが液絡されている。
【0038】
第1の送液ポンプ4により、吸入ノズル8aを通し、pH電極2の測定部2aの位置を経由して、試料液容器6内の試料液Sを吸い上げ、これと同時に第2の送液ポンプ5により比較電極液容器7内の比較電極液Rを吸い上げて比較電極液流路12に圧送すると、セル14内の合流部11で、吸入ノズル8aからの試料液Sに、比較電極液流路12からの比較電極液Rが合流して、液絡部が形成される。その液絡部を形成した時点で、第1の送液ポンプ4及び第2の送液ポンプ5を停止させて、pH計1によりpH電極2と比較電極3との電極間電位差を計測する。これにより、試料液7のpHが測定される。
【0039】
測定値は、pH計1に設けられた表示部、又はpH計1に通信可能に接続されたコンピュータ等のホスト機器の表示部において、pH値や電位差値などとして直ちに表示することができる。或いは、測定値は、pH計1に設けられたプリンタ、pH計1に通信可能に接続されたプリンタ、又はpH計1に通信可能に接続されたコンピュータ等のホスト機器に接続されたプリンタによって、pH値や電位差値としてプリント出力することができる。更に、測定値は、pH計1に設けられた記憶手段、pH計1に通信可能に接続されたコンピュータ等のホスト機器に具備された記憶手段、又はpH計1に通信可能に接続されたコンピュータ等のホスト機器に接続された記憶手段に、pH値や電位差値などに係る情報として記憶することができる。
【0040】
ここで、本実施例では、試料液容器6内の試料液Sに浸漬される試料液流路8の先端と測定部2aとの間の管路、即ち、吸入ノズル8aに分岐8cを設け、この分岐8cに管路である気体導入路9を接続する。そして、この気体導入路9の先端に、気体導入手段として、電磁弁10を接続する。この電磁弁10は、気体導入路9を、所望の気体の雰囲気に対して開放又は閉鎖するための開閉部材である。本実施例では、電磁弁10の気体導入路9に接続された側とは反対側の一方の端部は、空気(大気)に対して開放されている。
【0041】
電磁弁10は、第1の送液ポンプ4が作動して試料液容器6から試料液Sを吸い上げている時は閉じている。図1中の斜線部で模式的に示すように、この時、試料液容器6から試料液Sが吸入され、測定部2aへと連続して搬送される。一方、電磁弁10は、第1の送液ポンプ4が停止すると開く。尚、上述のように、第1の送液ポンプ4が停止すると、試料液Sの送液は止まることになる。これにより、図2中の斜線部で模式的に示すように、吸入ノズル8aに対して分岐して設けられた気体導入路9が空気(大気)に対して開放され、分岐8cより下の試料液容器6側の吸入ノズル8a内に気体Gとして空気が入り、測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとの間が切り離される。尚、吸入ノズル8aは、略鉛直方向に沿って配置されている。
【0042】
このように、本実施例では、測定部2aに試料液Sが供給された後に、電磁弁10が開かれて気体導入路9が大気開放されることによって、測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとの間に空気が導入され、これら両者間が分離される。この状態で、pH計1によりpH電極2と比較電極3との電極間電位差の測定値が検出され、試料液SのpHが測定される。特に、本実施例では、試料液Sの流れが停止された時に、測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとの間に気体が導入される。従って、試料液Sの流れが停止され且つ気体が導入された状態で、pH計1によりpH電極2と比較電極3との電極間電位差の測定値が検出され、試料液7のpHが測定される。
【0043】
尚、本実施例では、第2の送液ポンプ5は第1の送液ポンプ4と同期して作動又は停止するようになっているので、第1の送液ポンプ4が作動するのに同期して第2の送液ポンプ5も作動し、第1の送液ポンプ4が停止するのに同期して第2の送液ポンプ5も停止する。
【0044】
電磁弁10によって導入する気体としては、空気(大気)を好適に用いることができ、低コスト化及び構成の簡易化が可能であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、この気体は、空気、窒素ガスを含む、測定対象(本実施例ではpH)の測定値に対して実質的に不干渉性の気体(試料液と反応しない)から任意に選択することができる。
【0045】
pHの測定終了後、第1の送液ポンプ4を再度駆動して、試料液流路8内の試料液S及び比較電極液R(混合液M)を、セル14内の流路により合流部11に接続されて第1の送液ポンプ4側へと伸長された混合液流通部8b、及び第1の送液ポンプ4より下流側に伸長された流出路13を通して、廃液容器15に排出する。
【0046】
又、本実施例では、試料液流路8の途中、より詳細には、試料液Sの流通経路において試料液Sと比較電極液Rとの合流部11よりも上流側、且つ、pH電極2の測定部2aよりも下流側に、高低の段差部としてループ18が設けられている。合流点11の直下に続く上下方向の延在部分(混和部)で試料液Sと比較電極液Rとを混和することができ、又ループ18の高低差(阻止部)によって試料液Sと比較電極液Rとが混和された液がpH電極2の測定部2a、更には吸入ノズル8aの先端の方向に移動するのを阻止することができる。
【0047】
即ち、試料液Sに比較電極液Rを合流して第1、第2の送液ポンプ4、5を停止すると、各液の送液が止まり、比較的比重が重い比較電極液R(通常、3.3MのKCl水溶液)は試料液流路8内の試料液S中を自然落下するが、試料液流路8の途中に設けた高低の段差部、つまり、ループ18に至ると、このループ18の高低差(阻止部)を超えられず、そこで堰き止められる。従って、比較電極液Rが吸入ノズル8aの先端から試料液容器6内の試料液Sに落ち込んで、試料液Sを汚染するのを防止することができる。又、比較電極液Rが、ループ18の高低差(阻止部)で堰き止められることによって、その上の延在部分(混和部)において試料液Sと十分に均一に混和される。従って、液絡部の液間電位差が小さく若しくは安定し、液間電位が不安定になることはない。
【0048】
尚、試料液流路8(吸入ノズル8a、ループ18、混合液流通部8bを含む)、比較電極液流路12、気体導入路9を構成する管路(チューブ)の内径は、0.1〜3mm程度、好ましくは1〜2mm程度である。
【0049】
上述のように、本実施例では、気体導入路9に接続された電磁弁10は、第1の送液ポンプ4、更には第2の送液ポンプ5と連動するようになっている。本実施例では、図3に示すように、第1の送液ポンプ4、第2の送液ポンプ5及び電磁弁10は、制御手段としての制御回路20に接続されている。そして、この制御回路20によって、第1、第2の送液ポンプ4、5の動作時に電磁弁10が閉じ、第1、第2の送液ポンプ4、5の停止時に電磁弁10が開くように制御される。
【0050】
更に、pH計1を制御回路20に接続し、pH計1が確実に所望のタイミングで測定値を検出できるように、次のような信号を適時制御回路20からpH計1に入力してもよい。即ち、第1、第2の送液ポンプ4、5の動作時に、第1、第2の送液ポンプ4、5が動作していること、更には電磁弁10が閉じていることを示す信号をpH計1に入力する。又、第1、第2の送液ポンプ4、5の停止時に、第1、第2の送液ポンプ4、5が停止していること、更には電磁弁10が開いていることを示す信号をpH計1に入力する。これにより、pH計1は、第1、第2の送液ポンプ4、5が停止し、電磁弁10が開き、そして気体が導入された状態における、安定した、再現性の高い測定値を検出することができる。
【0051】
(実験例)
次に、本発明の効果を示す実験例について説明する。本実験例では、試料液として純水に炭酸ガス(CO2ガス)を飽和させたものを用いた。そして、上述のpH測定装置100において、第1、第2の送液ポンプ4、5の停止時に電磁弁10を開き気体導入路9を大気開放して分岐8cより下側の吸入ノズル8a内に空気を導入した状態でpH値を測定した場合(本実施例)と、第1、第2の送液ポンプ4、5の停止時に電磁弁10を閉じたままとした状態でpH値を測定した場合(比較例)とで、測定値の安定性を比較した。図4は本実施例の結果を示し、図8は比較例の結果を示す。
【0052】
図4の結果から分かるように、本発明に従ってpH電極2の測定部2aと試料液容器6内の試料液Sとの間に気体を導入して、両者間を分離することによって、直ちに安定した指示値が得られる。
【0053】
又、第1、第2の送液ポンプ4、5を動作させて試料液Sを吸入し、第1、第2の送液ポンプ4、5を停止させると同時に気体を導入し、pHを測定し、そして再度第1、第2の送液ポンプ4、5を動作させて試料液Sを流通させるサイクルを複数回繰り返したが、指示値の安定性、再現性は非常に良好であった。
【0054】
このような結果が得られた理由は、現時点では完全には解明されていないが、測定部2aの位置にある試料液Sと、試料液容器6内の試料液Sとが切り離された結果、試料液容器6内の試料液Sからの誘導的ノイズが無くなったことによる作用が考えられる。或いは、試料液Sを吸引している時に試料液流路8内に生起されていた減圧状態が、電磁弁10を開くことによって開放されたことによる作用が考えられる。
【0055】
これに対して、図8の結果から分かるように、pH電極2の測定部2aと試料液容器6内の試料液Sとの間に気体を導入しない比較例では、指示値が安定するまでに時間がかかり、応答が遅れる。又、第1、第2の送液ポンプ4、5の動作、停止を繰り返し、試料液Sの流通を停止させる毎にpH値の測定を行ったが、再現性の点では改善が望まれるものであった。
【0056】
以上説明したように、本実施例によれば、流通型pH測定装置100を用いて、より安定した、再現性の高い測定を行うことができる。従って、本実施例によれば、試料液Sを比較電極液Rで汚染することを防止して安定した正確な測定が可能であり、比較電極3、更には測定電極2を常に試料溶液で洗浄することでメンテナンスの手間を省くと共に自動化への対応も容易であるといった、流通型pH測定装置100の利点を最大化することが可能である。
【0057】
実施例2
次に、本発明に係る電気化学測定方法及び電極装置の他の実施例について説明する。図5は、本実施例の電極装置の概略構成を示す。本実施例の電極装置の基本構成は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0058】
実施例1では、pH電極2の測定部2aの位置にある試料液Sと試料液容器6内の試料液Sとの間に気体を導入するための気体導入手段として、吸入ノズル8aに対して分岐して設けられた気体導入路9に電磁弁10を接続した。
【0059】
これに対して、本実施例では、電磁弁10に替えて、吸入ノズル8aに対して分岐して設けられた気体導入路9に、この気体導入路9を介して所望の気体を圧送するための気体圧送ポンプである、エアーポンプ16を接続する。エアーポンプ16は、実施例1において電磁弁10を開いたのと同じタイミングで、気体として空気(大気)を圧送する。これにより、試料液容器6内に開放している、分岐8cよりも下の吸入ノズル8a内に気体Gとして空気を導入することができる。
【0060】
本実施例の制御態様は、例えば、実施例1にて説明した図3に示す制御態様において、電磁弁10に替えてエアーポンプ16を用いたものに相当するものであってよい。
【0061】
尚、エアーポンプ16によって圧送して導入する気体としては、空気(大気)を好適に用いることができ、低コスト化及び構成の簡易化が可能であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、この気体は、空気、窒素ガスを含む、測定対象(本実施例ではpH)の測定値に対して実質的に不干渉性の気体(試料液と無反応)から任意に選択することができる。
【0062】
本実施例の構成によっても、実施例1と同様に、流通型pH測定装置100を用いて、より安定した再現性の高い測定を行うことができる。
【0063】
但し、本発明者らの検討によれば、試料液Sの吸入により生起された試料液流路8内の減圧状態を開放することによる測定値の安定化作用が期待できることから、実施例1にて説明したような電磁弁10などの開閉部材を用いることがより好ましい。
【0064】
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
【0065】
例えば、上記各実施例では、測定電極は、イオン濃度測定用電極のうち特に水素イオンに感応する測定部を有する電極(pH電極)であるものとして説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、測定電極として、イオン濃度測定用電極のうち水素イオン以外のイオンに感応する測定部を有する電極(通常、単に「イオン電極」と呼ばれる)を用いる電極装置に本発明を適用することも可能であり、上記同様の効果を得ることができる。上述のように、イオン濃度測定用電極は、典型的には、測定部として測定対象イオンに感応するガラス感応膜を有するガラス電極とされる。又、測定電極として、白金電極などとされる測定部を有する酸化還元電位差測定用電極(ORP電極)を用いる電極装置に本発明を適用することも可能であり、上記同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る電極装置(試料液吸入時)の一実施例の概略構成図である。
【図2】本発明に係る電極装置(気体導入時)の一実施例の概略構成図である。
【図3】本発明に係る電極装置の制御態様の一例を説明するためのブロック図である。
【図4】本発明の効果を説明するための実験結果を示すグラフ図である。
【図5】本発明に係る電極装置の他の実施例の概略構成図である。
【図6】従来の流通型電極装置の一例の概略構成図である。
【図7】従来の流通型電極装置の他の例の概略構成図である。
【図8】本発明の効果を説明するための比較例に係る実験結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0067】
1 pH計(計測器)
2 pH電極(測定電極)
2a 測定部(ガラス感応膜)
3 比較電極
4 第1の送液ポンプ(試料液輸送手段)
5 第2の送液ポンプ(比較電極液輸送手段)
6 試料液容器(試料液収容部)
7 比較電極液容器(比較電極液収容部)
8 試料液流路
8a 吸入ノズル
8b 混合液流通部
8c 分岐
9 気体導入路
10 電磁弁(気体導入手段、開閉部材)
11 合流部(液−液ジャンクション)
16 エアーポンプ(気体導入手段、気体圧送ポンプ)
20 制御回路(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液収容部から供給される試料液が流通する試料液流路の途中に、測定電極の測定部と、前記測定電極に対して比較電極を電気的に接続するために比較電極液流路内を流通する比較電極液を前記試料液流路内の試料液に合流させる合流部と、を前記試料液流路内の試料液の流通方向の上流側からこの順序で有する電極装置を用いた電気化学測定方法において、
前記試料液流路内を流して試料液を前記測定部に供給した後に、前記測定部に位置する試料液と前記試料液収容部内の試料液との間の前記試料液流路内に気体を導入して、前記測定部に位置する試料液と前記試料液収容部内の試料液との間を分離した状態で、前記測定電極による測定値を検出することを特徴とする電気化学測定方法。
【請求項2】
前記気体は前記試料液流路内の試料液の流れが停止された時に導入され、前記測定電極による測定値は前記試料液流路内の試料液の流れが停止され且つ前記気体が導入された状態で検出されることを特徴とする請求項1に記載の電気化学測定方法。
【請求項3】
前記気体は、前記試料液収容部から前記測定部までの間の前記試料液流路に対して分岐して設けられた気体導入路を、前記気体の雰囲気に対して開放することにより導入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学測定方法。
【請求項4】
前記気体は、前記試料液収容部から前記測定部までの間の前記試料液流路に対して分岐して設けられた気体導入路を介して圧送されることにより導入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学測定方法。
【請求項5】
前記気体は、空気、窒素ガスを含む、測定値に対して実質的に不干渉性の気体から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の電気化学測定方法。
【請求項6】
前記測定電極は、イオン濃度測定用電極であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の電気化学測定方法。
【請求項7】
前記測定電極は、pH電極であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の電気化学測定方法。
【請求項8】
前記測定電極は、酸化還元電位差測定用電極であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の電気化学測定方法。
【請求項9】
試料液収容部から供給される試料液が流通する試料液流路の途中に、測定電極の測定部と、前記測定電極に対して比較電極を電気的に接続するために比較電極液流路内を流通する比較電極液を前記試料液流路内の試料液に合流させる合流部と、を前記試料液流路内の試料液の流通方向の上流側からこの順序で有する電極装置において、
前記試料液流路内の試料液の流れを制御する試料液輸送手段と、
前記測定部に位置する試料液と前記試料液収容部内の試料液との間を分離するために、前記測定部に位置する試料液と前記試料液収容部内の試料液との間の前記試料液流路内に気体を導入する気体導入手段と、
前記気体が導入された状態における前記測定電極による測定値を検出する計測器と、
を有することを特徴とする電極装置。
【請求項10】
前記気体は前記試料液流路内の試料液の流れが停止された時に導入され、前記測定電極による測定値は前記試料液流路内の試料液の流れが停止され且つ前記気体が導入された状態で検出されることを特徴とする請求項9に記載の電極装置。
【請求項11】
前記気体導入手段は、前記試料液収容部から前記測定部までの間の前記試料液流路に対して分岐して設けられた気体導入路を前記気体の雰囲気に対して開放又は閉鎖する開閉部材であることを特徴とする請求項9又は10に記載の電極装置。
【請求項12】
前記気体導入手段は、前記試料液収容部から前記測定部までの間の前記試料液流路に対して分岐して設けられた気体導入路に接続された気体圧送ポンプであることを特徴とする請求項9又は10に記載の電極装置。
【請求項13】
前記気体は、空気、窒素ガスを含む、測定値に対して実質的に不干渉性の気体から選択されることを特徴とする請求項9〜12のいずれかの項に記載の電極装置。
【請求項14】
前記測定電極は、イオン濃度測定用電極であることを特徴とする請求項9〜13のいずれかの項に記載の電極装置。
【請求項15】
前記測定電極は、pH電極であることを特徴とする請求項9〜14のいずれかの項に記載の電極装置。
【請求項16】
前記測定電極は、酸化還元電位差測定用電極であることを特徴とする請求項9〜13のいずれかの項に記載の電極装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−151717(P2008−151717A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341981(P2006−341981)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)