説明

電気外科器具

【課題】組織を解剖するか、封止するか、または他の様式で処置するために構成された電気外科器具を提供する。
【解決手段】電気外科器具のためのエンドエフェクタアセンブリ100が提供される。このエンドエフェクタアセンブリ100は、幅を有するそれぞれのシールプレート118,128を備える1対の第一の顎部材110および第二の顎部材120を有する。これらのシールプレート118,128の各々は、エネルギー源に接続されるように適合される。これらの第一の顎部材110および第二の顎部材120は、組織を処置するための第一の作動モード、および組織を分離するための第二の作動モードで作動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気外科器具に関し、そしてより特定すると、組織を解剖するか、封止するか、または他の様式で処置するために構成された電気外科器具に関する。
【背景技術】
【0002】
電気外科器具(例えば、電気外科鉗子(開放型または閉鎖型であり、すなわち、腹腔鏡手順に適している))は、医療分野において周知であり、そして代表的に、組織を操作する(例えば、組織を把持して封止する)ように構成された顎部材を備えるエンドエフェクタアセンブリを備える。代表的に、この電気外科鉗子は、組織を凝固させ、焼灼し、封止し、乾燥させ、そして/または高周波療法を行うために、組織および血管を加熱することによって止血効果を行うために、機械的クランプ作用と電気エネルギーとの両方を利用する。
【0003】
特定の例において、電気外科的に処置(例えば、封止)された組織を切開または解剖することが、有利であることが判明し得る。このような例において、切開要素(例えば、ナイフ刃)が、これらの顎部材のうちの一方または両方に配置されたナイフチャネルを通って並進するように構成され得る。理解され得るように、電気外科器具へのナイフ刃の組み込みは、その電気外科器具の製造費用を増大させ得る。さらに、これらの顎部材のうちの一方または両方へのナイフチャネルの配置に代表的に関連する製造許容差は、最小に維持される必要がある。すなわち、ナイフ刃は、エンドエフェクタおよび/または顎部材の製造中に、ナイフチャネルと実質的に整列する必要がある。理解され得るように、ナイフ刃とナイフチャネルとが互いに実質的に整列しない場合、このナイフチャネルを通るこのナイフ刃の並進中に、このナイフ刃がこのナイフチャネルに接触し得、これは次に、組織が効果的に切断されない事態をもたらし得る。
【0004】
電気外科器具に加えて、超音波器具が、組織を処置するために利用され得る。従来の超音波器具(例えば、超音波解剖具)は代表的に、組織を操作する(例えば、組織を把持して封止する)ように構成された顎部材を備えるエンドエフェクタアセンブリを備える。代表的に、この超音波解剖具は、組織を凝固させ、焼灼し、封止し、切開し、解剖し、乾燥させ、そして/または高周波療法を行うために、組織および血管を加熱することによって止血効果を行うために、機械的クランプ作用と電気エネルギーとの両方を利用する。超音波器具は、組織を効果的に処置し得、その後解剖し得るが、超音波器具は代表的に、関節運動するように、そして/または「曲がる」ように、構成されない。理解され得るように、このことは、外科手術環境における超音波器具の使用を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
電気外科器具のためのエンドエフェクタアセンブリであって、
1対の第一の顎部材および第二の顎部材であって、該顎部材は、幅を有するそれぞれのシールプレートを備え、該シールプレートは、エネルギー源に接続されるように適合されており、該第一の顎部材および該第二の顎部材のうちの少なくとも一方は、他方の顎部材に対して開位置からクランプ位置へと移動可能であり、該開位置において、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、互いに対して間隔を空けた関係で配置され、該クランプ位置において、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、間に組織を把持するように協働し、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、2つの作動モードで作動可能であり、第一の作動モードは、組織を処置するためのモードであり、そして第二の作動モードは、組織を分離するためのモードである、1対の第一の顎部材および第二の顎部材、
を備え、該第一の顎部材の該シールプレートの幅は、該第二の顎部材の該シールプレートの幅より小さく、その結果、該第二の作動モードにおいて、該第一の顎部材の該シールプレートは、該第二の顎部材の該シールプレートとは無関係に起動可能であり、該第一の顎部材および該第二の顎部材が該開位置および該クランプ位置のうちの一方にある場合に、組織の分離を容易にする、エンドエフェクタアセンブリ。
(項目2)
前記第一の作動モードが、組織を融合すること、封止すること、凝固させることおよび高周波療法を行うことのうちの1つを含み、そして前記第二の作動モードが、組織を解剖すること、切開すること、切断すること、横切することのうちの1つを含む、上記項目に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目3)
前記第一の顎部材の前記シールプレートが、約1mm〜約3.4mmの範囲の幅を有し、そして前記第二の顎部材の前記シールプレートが、約3.5mm〜約5mmの範囲の幅を有する、上記項目のいずれか一項に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目4)
前記第一の顎部材の前記シールプレートが、該第一の顎部材の側面に沿って該第一の顎部材の遠位端まで延びる周囲縁部を備え、該遠位端を含めた該周囲縁部が、該第一の顎部材および前記第二の顎部材が前記開位置および前記クランプ位置のうちの一方にある場合に、起動の際に組織を分離するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目5)
前記第一の顎部材と前記第二の顎部材とが、共通の軸に沿って中心を合わせて整列している、上記項目のいずれか一項に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目6)
前記第一の顎部材と前記第二の顎部材とが、前記第一の顎部材の前記シールプレートの前記周囲縁部に沿って整列している、上記項目のいずれか一項に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目7)
前記周囲縁部が、内側縁部および外側縁部を備え、該内側縁部は、前記第一の作動モード中に組織を融合すること、封止すること、凝固させることおよび高周波療法を行うことのうちの1つのために、該内側縁部の周囲の電流密度を低下させるように構成されており、そして該外側縁部は、前記第二の作動モード中に組織を解剖すること、切開すること、切断すること、横切することのうちの1つのために、該外側縁部の周囲の電流密度を増大させるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目8)
前記内側縁部が、前記外側縁部の半径より大きい半径を有する、上記項目のいずれか一項に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目9)
前記第二の顎部材が、少なくとも1つの絶縁隔離物を備え、該絶縁隔離物は、前記第一の顎部材および該第二の顎部材が前記クランプ位置にある場合に、該第一の顎部材と該第二の顎部材との間で特定のギャップ距離を維持するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目10)
前記少なくとも1つの絶縁隔離物が、前記第二の顎部材の遠位端に作動可能に配置されており、そして前記第一の顎部材および該第二の顎部材が前記クランプ位置にある場合に、該第一の顎部材の遠位端と接触するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
(項目11)
電気外科手順を実施するためのシステムであって、
少なくとも2つの作動モードで機能するように構成されたエネルギー源であって、第一の作動モードは、組織を処置するためのモードであり、そして第二の作動モードは、組織を解剖するためのモードである、エネルギー源;
電気外科器具であって、
少なくとも1つのシャフトを有するハンドルであって、該シャフトは、該ハンドルから延び、そして該シャフトを通る長手方向軸を規定する、ハンドル;ならびに
該少なくとも1つのシャフトの遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタアセンブリであって、該エンドエフェクタアセンブリは、1対の第一の顎部材および第二の顎部材を有し、該顎部材は、幅を有するそれぞれのシールプレートを備え、該シールプレートは、エネルギー源に接続されるように適合されており、該第一の顎部材および該第二の顎部材のうちの少なくとも一方は、他方の顎部材に対して開位置からクランプ位置へと移動可能であり、該開位置において、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、互いに対して間隔を空けた関係で配置され、該クランプ位置において、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、間に組織を把持するように協働し、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、2つの作動モードで作動可能であり、第一の作動モードは、組織を処置するためのモードであり、そして第二の作動モードは、組織を分離するためのモードである、エンドエフェクタアセンブリ、
を備える、電気外科器具、
を備え、該第一の顎部材の該シールプレートの幅は、該第二の顎部材の該シールプレートの幅より小さく、その結果、該第二の作動モードにおいて、該第一の顎部材の該シールプレートは、該第二の顎部材の該シールプレートとは無関係に起動可能であり、該第一の顎部材および該第二の顎部材が該開位置および該クランプ位置のうちの一方にある場合に、組織の分離を容易にする、システム。
(項目12)
前記エネルギー源が、双極作動モードおよび単極作動モードで作動するように構成された1つの電気外科発電機である、上記項目に記載の電気外科手順を実施するためのシステム。
(項目13)
起動デバイスが、前記電気外科発電機および前記電気外科器具のうちの1つと作動可能に関連しており、そして該電気外科器具を、前記第一の作動モードと前記第二の作動モードとの間で切り替えるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電気外科手順を実施するためのシステム。
(項目14)
前記起動デバイスが、前記電気外科器具の前記ハンドルに作動可能に配置されており、そして第一のスイッチおよび第二のスイッチを備え、該第一のスイッチは、該電気外科器具を手動で前記第一の作動モードにするためのものであり、そして該第二のスイッチは、該電気外科器具を手動で前記第二の作動モードにするためのものである、上記項目のいずれか一項に記載の電気外科手順を実施するためのシステム。
(項目15)
電気外科手順を実施する方法であって、
組織を電気外科器具の第一の顎部材と第二の顎部材との間に配置する工程であって、該第一の顎部材および該第二の顎部材の各々が、幅を有するそれぞれのシールプレートを備え、該それぞれのシールプレートは、エネルギー源に接続されるように適合されており、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、第一の作動モードおよび第二の作動モードで作動可能であり、該第一の顎部材の該シールプレートの幅は、該第二の顎部材の該シールプレートの幅より小さい、工程;
該第一の顎部材と該第二の顎部材との間に該組織がクランプされるように、該第一の顎部材と該第二の顎部材とを閉じる工程;
組織を電気外科的に処置するために、該第一の作動モードで、電気外科エネルギーを該第一の顎部材および該第二の顎部材に伝達する工程;ならびに
電気外科的に処置された組織を解剖するために、該第二の作動モードで、電気外科エネルギーを該小さい方の幅を有する該シールプレートを有する該顎部材に伝達する工程、
を包含する、方法。
(項目16)
上記配置する工程が、上記第二の作動モードで提供する工程を包含し、該第二の作動モードは、上記第一の顎部材の上記シールプレートが上記第二の顎部材の上記シールプレートとは無関係に活性化可能であり、該第一の顎部材および該第二の顎部材が開位置およびクランプ位置のうちの一方にある場合に、組織の分離を容易にする作動モードである、上記項目に記載の方法。
(項目17)
上記第一の作動モードが、組織を融合すること、封止すること、凝固させることおよび高周波療法を行うことのうちの1つを含み、そして上記第二の作動モードが、組織を切開すること、切断することおよび横切することのうちの1つをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
上記配置する工程が、約1mm〜約3.4mmの範囲の幅を有する上記第一の顎部材の上記シールプレート、および約3.5mm〜約5mmの範囲の幅を有する上記第二の顎部材の上記シールプレートを提供する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
上記第一の顎部材の上記シールプレートが、該第一の顎部材の側面に沿って該第一の顎部材の遠位端まで延びる周囲縁部を備え、該遠位端を含めた該周囲縁部が、該第一の顎部材および上記第二の顎部材が開位置および閉位置のうちの一方にある場合に、起動の際に組織を分離するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
上記配置する工程が、上記第一の顎部材の上記シールプレートの上記周囲縁部に沿って整列した、第一の顎部材および第二の顎部材を提供する工程を包含し、該周囲縁部が、内側縁部および外側縁部を備え、該内側縁部は、上記第一の作動モード中に、組織を融合すること、封止すること、凝固させることおよび高周波療法を行うことのうちの1つのために、該内側縁部の周囲の電流密度を低下させるように構成されており、そして該外側縁部が、上記第二の作動モード中に、組織を解剖すること、切開すること、切断すること、横切することのうちの1つのために、該外側縁部の周囲の電流密度を増大させるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0006】
(摘要)
電気外科器具のためのエンドエフェクタアセンブリが提供される。このエンドエフェクタアセンブリは、幅を有するそれぞれのシールプレートを備える1対の第一の顎部材および第二の顎部材を有する。これらのシールプレートの各々は、エネルギー源に接続されるように適合される。これらの第一の顎部材および第二の顎部材は、組織を処置するための第一の作動モード、および組織を分離するための第二の作動モードで作動可能である。この第一の顎部材のシールプレートの幅は、この第二の顎部材のシールプレートの幅より小さい。第二の作動モードにおいて、この第一の顎部材のシールプレートは、この第二の顎部材のシールプレートとは無関係に活性化可能であり、これらの第一の顎部材および第二の顎部材が開位置およびクランプ位置のうちの一方にある場合に、組織の分離を容易にする。
【0007】
(要旨)
本開示は、電気外科器具のためのエンドエフェクタアセンブリを提供する。このエンドエフェクタアセンブリは、幅を有するそれぞれのシールプレートを備える1対の第一の顎部材および第二の顎部材を備える。これらのシールプレートの各々は、エネルギー源に接続されるように適合される。これらの第一の顎部材および第二の顎部材のうちの一方または両方は、他方の顎部材に対して、開位置(開位置において、第一の顎部材および第二の顎部材は、互いに対して間隔を空けた関係で配置される)からクランプ位置(クランプ位置において、第一の顎部材および第二の顎部材は、間に組織を把持するように協働する)へと移動可能であり得る。これらの第一の顎部材および第二の顎部材は、2つの作動モード(組織を処置するための第一の作動モード、および組織を分離するための第二の作動モード)で作動可能である。この第一の顎部材のシールプレートは、この第二の顎部材のシールプレートの幅より小さい幅を有する。第二の作動モードにおいて、この第一の顎部材のシールプレートは、この第二の顎部材のシールプレートとは無関係に活性化可能であり、これらの第一の顎部材および第二の顎部材が開位置およびクランプ位置のうちの一方にある場合に組織の分離を容易にする。
【0008】
本開示は、電気外科手順を実施するためのシステムを提供する。このシステムは、2つ以上の作動モード(組織を処置するための第一の作動モード、および組織を解剖するための第二の作動モード)で機能するように構成された、エネルギー源を備える。このシステムは、シャフトを有するハンドルを備える電気外科鉗子を備え、このシャフトは、このハンドルから延びる、そしてこのシャフトを通る長手方向軸を規定する。エンドエフェクタアセンブリが、このシャフトの遠位端に作動可能に接続され、そして1対の第一の顎部材および第二の顎部材を有し、これらの顎部材は、幅を有するそれぞれのシールプレートを備える。これらのシールプレートの各々は、エネルギー源に接続されるように適合される。これらの第一の顎部材および第二の顎部材のうちの一方または両方は、他方の顎部材に対して、開位置(開位置において、第一の顎部材および第二の顎部材は、互いに対して間隔を空けた間隔で配置される)からクランプ位置(クランプ位置において、第一の顎部材および第二の顎部材は、間に組織を把持するように協働する)へと移動可能である。これらの第一の顎部材および第二の顎部材は、組織を処置するための第一の作動モード、および組織を分離するための第二の作動モードで作動可能である。この第一の顎部材のシールプレートは、この第二の顎部材のシールプレートの幅より小さい幅を有する。第二の作動モードにおいて、この第一の顎部材のシールプレートは、この第二の顎部材のシールプレートとは無関係に活性化可能であり、これらの第一の顎部材および第二の顎部材が開位置およびクランプ位置のうちの一方にある場合に、組織の分離を容易にする。
【0009】
本開示はまた、電気外科手順を実施する方法を提供する。この方法は、電気外科器具の第一の顎部材と第二の顎部材との間に組織を配置する工程を包含する。これらの第一の顎部材および第二の顎部材は、2つの作動モード(組織を処置するための第一の作動モード、および組織を分離するための第二の作動モード)で作動可能である。この第一の顎部材のシールプレートは、この第二の顎部材のシールプレートの幅より小さい幅を有する。この方法は、組織がこの第一の顎部材とこの第二の顎部材との間にクランプされるように、第一の顎部材と第二の顎部材とを閉じる工程を包含する。組織を電気外科的に処置するために、第一の作動モードで電気外科エネルギーを第一の顎部材および第二の顎部材に伝達する工程は、この方法の1つの工程である。そして、電気外科的に処置された組織を解剖するために、第二の作動モードで電気外科エネルギーをこの第一の顎部材のシールプレートに伝達する工程は、この方法の別の工程である。
【0010】
1つの実施形態において、第二の作動モードにおいて、この第一の顎部材のシールプレートは、この第二の顎部材のシールプレートとは無関係に活性化可能であり、これらの第一の顎部材および第二の顎部材が開位置およびクランプ位置のうちの一方にある場合に、組織の分離を容易にする。
【0011】
本開示の電気外科器具の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中で以下に記載される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、組織を解剖するか、封止するか、または他の様式で処置するために構成された電気外科器具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本開示の1つの実施形態に従う、顎部材を有するエンドエフェクタを備える電気外科器具の左側斜視図である。
【図2】図2は、解剖用顎部材が組織に隣接している、図1の示される細部領域の拡大左側斜視図である。
【図3】図3A〜図3Cは、図2に図示される顎部材の、種々の整列構成を図示する正面図である。
【図4】図4は、組織が解剖用顎部材と交差して配置されている、図2に図示される顎部材の側面図である。
【図5】図5は、組織が解剖用顎部材と交差して配置されており、顎部材がクランプ位置にある、図2に図示される顎部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の詳細な実施形態が、本明細書中に開示される。しかし、開示される実施形態は、本開示の単なる例示であり、本開示は、種々の形態で実施され得る。従って、本明細書中に開示される具体的な構造的細部および機能的細部は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特許請求の範囲の基礎として、および本開示を事実上任意の適切に詳述される構造で様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として、解釈されるべきである。
【0015】
ここで図1〜図4を参照し、最初に図1を参照すると、本開示の1つの実施形態に従うエンドエフェクタ100を備える電気外科器具(例えば、電気外科鉗子10(鉗子10))が示されている。鉗子10は、電気外科手順を実施するために、電気外科発電機(発電機「G」)に作動可能に選択的に結合される(図1)。いくつかの例において、鉗子10は、バッテリにより電力を与えられ得る。本明細書中での目的で、電気外科手順は、組織を封止すること、切断すること、解剖すること、焼灼すること、凝固させること、乾燥させること、および/または高周波療法を行うことを包含し得、これらは全て、RFエネルギーを使用し得る。発電機「G」は、単極作動モードおよび双極作動モードのために構成される。発電機「G」は、制御システム「CS」(図1)を備え得るか、またはこの制御システムと作動可能に通信し得、この制御システムは、1つ以上のプロセッサを備え得、このプロセッサは、このプロセッサで実行可能な1つ以上の制御モジュールと作動可能に通信している。この制御モジュール(明示的には示さない)は、1つ以上のモジュールに、電気外科エネルギー(この電気外科エネルギーは、波または信号/パルスの形態であり得る)を、1本以上のケーブル(例えば、ケーブル310)を介して、エンドエフェクタ100の一方または両方の顎部材110および120へと伝達するように命令するように構成され得る。
【0016】
手短に言えば、鉗子10は、種々の外科手術手順において使用するために構成され、そしてハウジング20を備える。シャフト12がハウジング20から遠位に延び、そしてこのシャフトを通る長手方向軸「A−A」を規定する。図面および以下の説明において、用語「近位」とは、慣習的であるように、鉗子10の使用者に近い方の端部をいい、一方で、用語「遠位」とは、使用者から遠い方の端部をいう。このシャフトは、エンドエフェクタアセンブリ100と機械的に係合するように構成された遠位端16、およびハウジング20と機械的に係合する近位端14を有する。特定の例において、シャフト12は、屈曲または関節運動するように構成され得る。例えば、シャフト12は、弾力性であり得るか、またはその一部分が関節運動する部材を備え得る。
【0017】
ハンドルアセンブリ30は、固定ハンドル50および可動ハンドル40を備える。固定ハンドル50は、ハウジング20と一体的に関連し、そしてハンドル40は、固定ハンドル50に対して移動可能である。特定の実施形態において、ハンドルアセンブリ30の可動ハンドル40は、駆動アセンブリ(図示せず)に作動可能に結合され得、これらは一緒になって、顎部材110および120のうちの一方または両方の動きを与えて、開位置(開位置において、顎部材110および120は、互いに対して間隔を空けた関係で配置される)からクランプ位置または閉位置(クランプ位置または閉位置において、顎部材110および120は、間に組織を把持するように協働する)へと移動させるように、構成され得る。図面は、内視鏡外科手術手順に関連して使用するための鉗子10を図示するが、本開示は、より伝統的な観血外科手術手順において使用されてもよい。鉗子の観血バージョンもまた、以下に記載されるものと同じかまたは類似の作動構成要素および特徴を備え得る。
【0018】
ハウジング20、シャフト12、ハンドルアセンブリ30(可動ハンドル40および固定ハンドル50を備える)、回転アセンブリ80、トリガアセンブリ70ならびに電気外科ケーブル310(ラインフィード(line−feed)構成および/または接続を備える)のより詳細な記載について、共有に係る、Sremcichに対する米国特許第7,150,097号(2003年6月13日出願)が参照される。
【0019】
図1を続けて参照すると、1つ以上のボタンまたはスイッチ60が、鉗子10に作動可能に配置されている。より具体的には、図示される実施形態において、2つのスイッチ「D」および「S」が固定ハンドル50に作動可能に配置されて示されている。特定の実施形態において、スイッチ60を発電機「G」に提供することが有利であることが判明し得る。このことはもちろん、製造業者の想定する用途に依存する。スイッチ「D」および「S」は、発電機「G」および/または制御システム「CS」と作動可能に通信しており、そして鉗子10を1つ以上の作動モードにするように構成される。より具体的には、スイッチ「S」は、鉗子10を組織を処置する(例えば、組織を封止する)ための第一の作動モードにするように構成され、そしてスイッチ「D」は、鉗子10を組織を分離する(例えば、組織を解剖する)ための第二の作動モードにするように構成される。
【0020】
第一の作動モードにおいて、制御システム「CS」を備える発電機「G」および鉗子10は、組織を融合させ、封止し、凝固させ、そして/または高周波療法を行うように構成される。この目的で、顎部材110および120は、双極作動モードで機能するように構成される。すなわち、顎部材110および120のそれぞれのシールプレート118および128が両方活性であり、逆の極性を有し、そして電気外科エネルギー(例えば、電流)をこれらのシールプレートの間に伝達するように構成される。第二の作動モードにおいて、制御システム「CS」を備える発電機「G」および鉗子10は、組織を解剖し、切開し、切断し、そして/または横切するように構成される。この目的で、顎部材110および120は、単極作動モードで機能するように構成される。すなわち、シールプレート128が活性であり、シールプレート118は不活性またはニュートラルであり(かつ/もしくは電流の流れに対して抵抗が高く)そしてシールプレート128は、電気外科エネルギー(例えば、電流)を組織に伝達するように構成される。単極作動モードにおいて、リターンパッドまたはリターン電極が患者に配置され、そして電流が発電機「G」に戻るためのリターン経路を提供するように構成される。
【0021】
図2を参照すると、顎部材110および120を備えるエンドエフェクタアセンブリ100の1つの実施形態が図示されている。図示される実施形態において、顎部材110および120は、片側性の型のものである。すなわち、顎部材110が、顎部材120に対して移動可能(例えば、旋回可能)である。あるいは、顎部材110および120は、両側性の型のものであり得る。すなわち、顎部材110および120の各々が、互いに対して移動可能である。1つの実施形態において、顎部材120に対する顎部材110の旋回を容易にするために、図2に最もよく見られるように、旋回ピン103が、顎部材110および120を、シャフト12の遠位端16に結合する。顎部材110および120、ならびにこれらに関連する作動可能な構成要素は、任意の適切な材料(金属、金属合金、プラスチック、およびプラスチック複合材などが挙げられるが、これらに限定されない)から形成され得る。
【0022】
図2の参照を続けると、顎部材110は、適切な割合の幅(すなわち、シールプレート118を支持するために適切な幅)を有する顎ハウジング117を備えるように示される。導電性シールプレート118は、顎ハウジング117に作動可能に支持されて、この顎ハウジングに固定される。より具体的には、顎部材110の遠位端117aは、導電性シールプレート118と確実に係合するように、またはモノリシック顎部材に関しては、シールプレート118を形成するように、構成され得る。
【0023】
任意の適切な材料(例えば、プラスチック、セラミックなど)から作製されている1つ以上の絶縁性または非伝導性の隔離物113(1つの絶縁隔離物が示されている)が、シールプレート118に作動可能に配置される。より具体的には、絶縁隔離物113は、図2に最もよく見られるように、シールプレート118のシール表面に、このシールプレートの遠位端で作動可能に配置されている。絶縁隔離物113は、1つ以上の適切な固定方法(例えば、接着剤)によって、シールプレート118のシール表面に固定され得る。図示される実施形態において、「ポケット」が、シール表面の製造中にこのシール表面にエッチングされ、そして接着剤のビーズがこの「ポケット」に入れられ、そして絶縁隔離物113がその中に入れられる。他の固定方法が想定される。
【0024】
絶縁隔離物113は、顎部材110および120がクランプ位置にある場合に、シールプレート128の遠位先端部と接触するように構成され、その結果、適切な割合のギャップ距離が、シールプレート118のシール表面と顎部材120のシールプレート128のシール表面との間に存在する。その結果として、顎部材118と128とは、それぞれの先端部においてのみ接触する。絶縁隔離物113がシールプレートの遠位端に配置されることにより、シールプレート128のシール表面に配置される非伝導性部材に関連し得るあらゆる負の影響が最小にされる。すなわち、シールプレート118のシール表面の一部分に電気外科エネルギーを伝導させないことにより、組織の封止を損なわせ得、例えば、組織の封止は、その長さにわたって均一ではなく、かつ/または一貫しないかもしれない。均一かつ/または一貫した組織の封止は、一方の顎部材(例えば、顎部材120)が、他方のシールプレート(例えば、シールプレート118)の幅より小さいかまたは「より精密な」幅を有するシールプレート128を備える場合に、特に重要である。すなわち、本開示の顎部材110および120により達成される組織の封止の幅は、従来の顎部材により代表的に達成される組織の封止の幅より小さい(従って、組織の封止の全体の面積がより小さい)。
【0025】
同じ幅のシールプレートを有する顎部材を有するエンドエフェクタを備える従来の電気外科鉗子とは異なり、エンドエフェクタ100の顎部材110および120のそれぞれのシールプレート118と128とは、異なる幅を有する。より具体的には、第二の作動モード中に組織の分離を容易にするために、顎部材120のシールプレート128は、顎部材110のシールプレート118の幅と比較して小さい幅を有する。すなわち、顎部材120のシールプレート128は、顎部材110のシールプレート118より小さいか、または「より精密」である(図3A〜図3Cと組み合わせて図2を参照のこと)。説明の目的で、顎部材120の顎ハウジング127の幅もまた、顎部材110の顎ハウジング117の幅より小さいように図示されている。いくつかの実施形態において、顎ハウジング117と127とが同じ幅を有し、そして、シールプレート118と128とが異なる幅を有することが有利であることが判明し得る。顎ハウジング117および127の具体的な構成(例えば、幅)は、特定の外科手術手順、特定の製造要件などによって変わり得る。本開示の1つの実施形態に従って、顎部材110(大きい方の顎)のシールプレート118は、顎部材120(小さい方、すなわち「より精密な」顎部材)のシールプレート128の幅よりも約1mm〜2mm大きい幅を有する。シールプレート128の幅をシールプレート117の幅より1mm〜2mm小さく維持することによって、最終使用者(例えば、外科医)のための可視化および解剖能力が改善される。図示される実施形態において、顎部材120のシールプレート128は、約1mm〜約3.4mmの範囲の幅を有し、そして顎部材110のシールプレート118は、約3.5mm〜約5mmの範囲の幅を有する。
【0026】
顎部材110と同様に、顎部材120は、シールプレート128を支持するように構成された遠位端127aを有する顎ハウジング127を備える(図2)。顎部材110とは異なり、顎部材120は、周囲縁部121を備えるシールプレート128を備え、この周囲縁部は、顎ハウジング127の側面に沿って、その遠位先端部123まで延びる。図2、図4および図5を参照のこと。遠位先端部123を含めた周囲縁部121は、顎部材110と120とが開位置(図2および図4)または閉位置(図5)にある場合であって、組織がこの周囲縁部に隣接して配置されている場合に、組織を分離(例えば、組織を解剖)するように構成される。より具体的には、1つの特定の実施形態において、スイッチ「D」が活性化される場合、鉗子10は、第二の作動モード(例えば、単極作動モード)で作動するように構成される。第二の作動モードにおいて、発電機「G」は、電気外科エネルギーをシールプレート128(周囲縁部121および遠位先端部123を備える)に伝達し、その結果、使用者は、電気外科的に処置された組織を解剖し得る。
【0027】
図3A〜図3Cを参照すると、組織の処置および/または分離を容易にするために、顎部材110および120は、それらの中心線に沿って整列し得る(すなわち、共通の軸(例えば、長手方向軸「A−A」)に沿って中心を合わせて整列し得る)か(図2および図3A);周囲縁部121の右部分もしくは左部分に沿って整列し得るか(図3B);またはこれらの間のどこかで整列し得る(図3C)。図示される実施形態において、顎部材110および120は、図2および図3Aに最もよく見られるように、長手方向軸「A−A」に沿って中心を合わせて整列する。長手方向軸「A−A」に沿った整列は、鉗子10のいずれの側からでの組織の解剖を容易にする。顎部材110と120とが周囲縁部121の右部分または左部分に沿って整列している実施形態において(図3Bを参照のこと。図3Bにおいて、顎部材110と120とは、周囲縁部の左部分と整列している)、周囲縁部121は、内側縁部121aおよび外側縁部121bを備え、内側縁部121aは、第一のモードにある間に、組織を融合させるか、封止するか、凝固させるか、または高周波療法を行うかのいずれかのために、周囲の電流密度を低減させるように構成され、そして外側縁部121bは、第二のモードにある間に、組織を解剖するか、切開するか、切断するか、または横切するかのいずれかのために、周囲の電流密度を増大させるように構成される。これらの目的を考慮して、内側縁部121aは、図3Bに最もよく示されるように、外側縁部121bの半径より大きい半径を有する。
【0028】
理解され得るように、顎部材110および120の上記整列構成のいずれにおいても、周囲縁部121(ならびに/または縁部121aおよび121b)は、特定の外科手術手順、特定の製造性能などに適応するような半径寸法を有し得る。
【0029】
鉗子10の作動が、組織を電気外科的に処置するための方法(例えば、子宮摘出術中、結腸切除術中および/またはNissen胃底ヒダ形成術(当該分野において一般に、lap Nissenと称される)中)の使用の観点で記載される。最初に、鉗子10が、患者の切開を通して挿入される。組織が、顎部材110と120との間に配置される。使用者が組織を封止しようとする例において、この使用者は、スイッチ「S」を活性化させる。スイッチ「S」の活性化は、発電機「G」および/または制御システム「CS」に、顎部材110および120が双極作動モードで作動する準備ができていることを示す。その後、発電機「G」は、電気外科エネルギーを顎部材110および120のそれぞれのシールプレート118および128に送達して、顎部材110と120との間に配置された組織を封止する。
【0030】
組織を解剖するためには、使用者は、スイッチ「D」を活性化させる。スイッチ「D」の活性化は、発電機「G」および/または制御システム「CS」に、顎部材110および120が単極作動モードで作動する準備ができていることを示す。リターンパッドまたはリターン電極が、(単極モードにおける鉗子10の作動前のいずれかの時点で)患者に配置され得、そして上記のように機能する。あるいは、いくつかの実施形態において、シールプレート118が、リターンパッドとして機能し得る。単極作動モードにおいて、発電機「G」は、電気外科エネルギーをシールプレート128(周囲縁部121および遠位先端部123を備える)に送達して、電気外科的に処置された組織を解剖する。解剖中、顎部材110および120は、開位置または閉位置のいずれにあってもよい。さらに、シールプレート128の任意の部分、および/または遠位先端部123を含めた周囲縁部121は、電気外科的に処置された組織を解剖するために利用され得る。
【0031】
例えば、1つの特定の外科手術予定において、顎部材110および120は開位置にあり得、そして遠位先端部123が電気外科的に処置された組織を解剖するために利用され得る。この例において、遠位先端部123は、組織に隣接して配置され、そして方向矢印「M」により示される方向に、組織内へと、適切な割合の力で動かされ、同時にシールプレート128にエネルギーを与える(図2)。
【0032】
別の外科手術予定において、顎部材110および120は開位置にあり得、そしてシールプレート128が電気外科的に処置された組織を解剖するために利用され得る。この例において、シールプレート128は、組織に隣接して配置され、そして方向矢印「N」により示される方向に、組織を横切って、適切な割合の力で動かされ、同時にシールプレート128にエネルギーを与える(図4)。
【0033】
なお別の外科手術予定において、顎部材110および120は、最初に開位置にあり得、そしてシールプレート128が電気外科的に処置された組織を解剖するために利用され得る。この例において、シールプレート128は、組織に隣接して配置され、そして方向矢印「O」により示される方向に、組織を横切って、適切な割合の力で動かされ、同時にシールプレート128にエネルギーを与え、そして顎部材110と120とを閉じる(図5)。
【0034】
顎部材110および120を備える鉗子10は、上で参照した電気外科器具および/または超音波器具の上記欠点のうちのいくかを克服する。より具体的には、鉗子10に、周囲縁部121を有するより精密なシールプレート128を提供することによって、組織を解剖するためのナイフ刃およびそれに関連する構成要素の必要性が排除される。理解され得るように、鉗子10の製造費用を低下させ、そして/あるいは従来の鉗子に代表的に関連する製造許容差を減少させるかまたは排除する。さらに、詳細には議論されないが、シャフト12は、屈曲または関節運動するように構成され得る。このことは、外科医に、超音波器具と比較して、組織を処置および/または解剖することに関するより大きな融通性を与える。
【0035】
上記のことから、種々の図面を参照して、当業者は、特定の改変がまた、本開示の範囲から逸脱することなく本開示に対してなされ得ることを理解する。例えば、特定の実施形態において、シールプレート118および128のうちの一方または両方が、テクスチャー加工されたシール表面、または他の様式で処理されたシール表面を有することが、有用であることが判明し得る。
【0036】
シールプレート118および128のうちの一方を、組織を解剖するために構成するよりもむしろ、別のデバイスまたはさらなるデバイスが、組織を解剖するために利用されてもよいことが想定される。例えば、顎部材110および120のうちの一方または両方は、第二の伝導性表面または補助的な伝導性表面を備え得る。より具体的には、適切な割合の伝導性表面(図示せず)が、顎ハウジング117および127の外側表面のうちの一方または両方に作動可能に配置され得る。例えば、伝導性表面は、顎ハウジング127の底部外側表面の長さに沿って延び得るか、または伝導性表面は、顎ハウジング117の上部外側表面の長さに沿って延び得る。理解され得るように、これらの例のうちのいずれにおいても、その伝導性表面は、上記シールプレート128の機能と実質的に同様に機能するように構成される。
【0037】
発電機「G」は、鉗子10をいつ、第一の作動モードまたは第二の作動モードのいずれかにするかを自動的に検出するように構成され得ることが想定される。この例において、スイッチ60は、限られた容量で利用され得るか、または完全に排除され得る。
【0038】
上記のことから、種々の図面を参照して、当業者は、特定の改変もまた、本開示の範囲から逸脱することなく本開示に対してなされ得ることを理解する。本開示の数個の実施形態が図面に示されたが、本開示はこれらに限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は当該分野が許容すると同程度に範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0039】
10 鉗子
100 エンドエフェクタ
110、120 顎部材
118、128 シールプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科器具のためのエンドエフェクタアセンブリであって、
1対の第一の顎部材および第二の顎部材であって、該顎部材は、幅を有するそれぞれのシールプレートを備え、該シールプレートは、エネルギー源に接続されるように適合されており、該第一の顎部材および該第二の顎部材のうちの少なくとも一方は、他方の顎部材に対して開位置からクランプ位置へと移動可能であり、該開位置において、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、互いに対して間隔を空けた関係で配置され、該クランプ位置において、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、間に組織を把持するように協働し、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、2つの作動モードで作動可能であり、第一の作動モードは、組織を処置するためのモードであり、そして第二の作動モードは、組織を分離するためのモードである、1対の第一の顎部材および第二の顎部材、
を備え、該第一の顎部材の該シールプレートの幅は、該第二の顎部材の該シールプレートの幅より小さく、その結果、該第二の作動モードにおいて、該第一の顎部材の該シールプレートは、該第二の顎部材の該シールプレートとは無関係に起動可能であり、該第一の顎部材および該第二の顎部材が該開位置および該クランプ位置のうちの一方にある場合に、組織の分離を容易にする、エンドエフェクタアセンブリ。
【請求項2】
前記第一の作動モードが、組織を融合すること、封止すること、凝固させることおよび高周波療法を行うことのうちの1つを含み、そして前記第二の作動モードが、組織を解剖すること、切開すること、切断すること、横切することのうちの1つを含む、請求項1に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項3】
前記第一の顎部材の前記シールプレートが、約1mm〜約3.4mmの範囲の幅を有し、そして前記第二の顎部材の前記シールプレートが、約3.5mm〜約5mmの範囲の幅を有する、請求項1に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項4】
前記第一の顎部材の前記シールプレートが、該第一の顎部材の側面に沿って該第一の顎部材の遠位端まで延びる周囲縁部を備え、該遠位端を含めた該周囲縁部が、該第一の顎部材および前記第二の顎部材が前記開位置および前記クランプ位置のうちの一方にある場合に、起動の際に組織を分離するように構成されている、請求項1に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項5】
前記第一の顎部材と前記第二の顎部材とが、共通の軸に沿って中心を合わせて整列している、請求項1に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項6】
前記第一の顎部材と前記第二の顎部材とが、前記第一の顎部材の前記シールプレートの前記周囲縁部に沿って整列している、請求項4に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項7】
前記周囲縁部が、内側縁部および外側縁部を備え、該内側縁部は、前記第一の作動モード中に組織を融合すること、封止すること、凝固させることおよび高周波療法を行うことのうちの1つのために、該内側縁部の周囲の電流密度を低下させるように構成されており、そして該外側縁部は、前記第二の作動モード中に組織を解剖すること、切開すること、切断すること、横切することのうちの1つのために、該外側縁部の周囲の電流密度を増大させるように構成されている、請求項6に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項8】
前記内側縁部が、前記外側縁部の半径より大きい半径を有する、請求項7に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項9】
前記第二の顎部材が、少なくとも1つの絶縁隔離物を備え、該絶縁隔離物は、前記第一の顎部材および該第二の顎部材が前記クランプ位置にある場合に、該第一の顎部材と該第二の顎部材との間で特定のギャップ距離を維持するように構成されている、請求項1に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの絶縁隔離物が、前記第二の顎部材の遠位端に作動可能に配置されており、そして前記第一の顎部材および該第二の顎部材が前記クランプ位置にある場合に、該第一の顎部材の遠位端と接触するように構成されている、請求項9に記載のエンドエフェクタアセンブリ。
【請求項11】
電気外科手順を実施するためのシステムであって、
少なくとも2つの作動モードで機能するように構成されたエネルギー源であって、第一の作動モードは、組織を処置するためのモードであり、そして第二の作動モードは、組織を解剖するためのモードである、エネルギー源;
電気外科器具であって、
少なくとも1つのシャフトを有するハンドルであって、該シャフトは、該ハンドルから延び、そして該シャフトを通る長手方向軸を規定する、ハンドル;ならびに
該少なくとも1つのシャフトの遠位端に作動可能に接続されたエンドエフェクタアセンブリであって、該エンドエフェクタアセンブリは、1対の第一の顎部材および第二の顎部材を有し、該顎部材は、幅を有するそれぞれのシールプレートを備え、該シールプレートは、エネルギー源に接続されるように適合されており、該第一の顎部材および該第二の顎部材のうちの少なくとも一方は、他方の顎部材に対して開位置からクランプ位置へと移動可能であり、該開位置において、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、互いに対して間隔を空けた関係で配置され、該クランプ位置において、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、間に組織を把持するように協働し、該第一の顎部材および該第二の顎部材は、2つの作動モードで作動可能であり、第一の作動モードは、組織を処置するためのモードであり、そして第二の作動モードは、組織を分離するためのモードである、エンドエフェクタアセンブリ、
を備える、電気外科器具、
を備え、該第一の顎部材の該シールプレートの幅は、該第二の顎部材の該シールプレートの幅より小さく、その結果、該第二の作動モードにおいて、該第一の顎部材の該シールプレートは、該第二の顎部材の該シールプレートとは無関係に起動可能であり、該第一の顎部材および該第二の顎部材が該開位置および該クランプ位置のうちの一方にある場合に、組織の分離を容易にする、システム。
【請求項12】
前記エネルギー源が、双極作動モードおよび単極作動モードで作動するように構成された1つの電気外科発電機である、請求項11に記載の電気外科手順を実施するためのシステム。
【請求項13】
起動デバイスが、前記電気外科発電機および前記電気外科器具のうちの1つと作動可能に関連しており、そして該電気外科器具を、前記第一の作動モードと前記第二の作動モードとの間で切り替えるように構成されている、請求項12に記載の電気外科手順を実施するためのシステム。
【請求項14】
前記起動デバイスが、前記電気外科器具の前記ハンドルに作動可能に配置されており、そして第一のスイッチおよび第二のスイッチを備え、該第一のスイッチは、該電気外科器具を手動で前記第一の作動モードにするためのものであり、そして該第二のスイッチは、該電気外科器具を手動で前記第二の作動モードにするためのものである、請求項13に記載の電気外科手順を実施するためのシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−55694(P2012−55694A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195044(P2011−195044)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(510011673)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (57)
【Fターム(参考)】