説明

電気外科発電機の電流を測定するシステムおよび方法

【課題】DCブロッキングコンデンサにわたる電圧を用いて電気外科発電機の電流を測定するシステムを提供すること。
【解決手段】電気外科発電機は、RF出力段、DCブロッキングコンデンサ、測定回路およびセンサー回路を含む。RF出力段は、アクティブ電極への印加のために電気外科エネルギーを生成する。DCブロッキングコンデンサは、RF出力段とアクティブ電極との間に電気連結される。測定回路はDCブロッキングコンデンサに連結され、DCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定する。センサー回路は、電気外科エネルギーの電流をDCブロッキングコンデンサにわたる電圧の関数として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、電気外科処置を実行するシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、DCブロッキングコンデンサにわたる電圧を用いて電気外科発電機の電流を測定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
電気外科は、組織を切断、切除、凝固または密封する外科手術部位へ高周波電流(例えば、電気外科エネルギー)を印加することに関する。電気外科において、供給源またはアクティブ電極が電気外科エネルギーを電気外科発電機から組織へ伝送し、リターン電極は、電流を発電機へ戻すように伝える。単極電気外科において、ソース電極は、一般的に、外科医によって保持された外科手術器具の一部であり、治療される組織へ適用される。双極電気外科において、リターン電極は、患者の身体上のアクティブ電極から遠くに位置決めされた患者リターンパッドの一部であり、電流を発電機へ搬送し戻す。
【0003】
切除は、神経外科および癌腫瘍高体温症の分野において特に有用な単極処置であり、1つ以上のRF切除針電極(大抵、細長い円柱形の形状である)が生体の中へ挿入される。そのような針電極の一般的な外形は、絶縁されたシースを組み込み、シースから、露出された(絶縁されていない)先端が延在する。RFエネルギーがリターン電極と挿入された切除電極との間に提供された場合、RF電流は、身体を通る針電極から流れる。一般的に、電流密度は針電極の先端近くで非常に高く、周囲の組織を加熱および破壊する傾向がある。
【0004】
双極電気外科において、ハンドヘルド器具の電極のうちの1つは、アクティブ電極として機能し、他方がリターン電極として機能する。電気回路が2つの電極(例えば、電気外科鉗子)の間に形成されるように、リターン電極は、アクティブ電極のごく近接に設置される。このようにして、印加された電流は、電極の間に位置決めされた身体組織に限定される。電極が互いから十分に分離された場合、電気回路は開いており、したがって、身体組織と、分離された電極のうちの一方との不注意な接触は、電流が流れる原因とならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本開示の一実施形態において、電気外科発電機は、エネルギーを少なくとも1つのアクティブ電極に供給するように適合されている。電気外科発電機は、RF出力段、DCブロッキングコンデンサ、測定回路およびセンサー回路を含む。RF出力段は、電気外科エネルギーを生成する。DCブロッキングコンデンサは、RF出力段と組織との間に電気連結される。電気外科発電機は、DCブロッキングコンデンサの故障を検出し得る。測定回路は、DCブロッキングコンデンサに連結され、DCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定する。センサー回路は、電気外科エネルギーの電流をDCブロッキングコンデンサにわたる電圧の関数として決定する。本開示のいくつかの実施形態において、電気外科エネルギーの電流を測定する電流感知変圧器がない場合、システムが電気外科エネルギーの電流を決定する。本明細書において開示される電気外科発電機の実施形態のいずれかは、電気外科システムと共に用いられ得る。本開示の実施形態において、電気外科発電機は、電気外科器具および電気外科発電機を含む電気外科システムと共に用いられ得る。電気外科器具は、電気外科エネルギーを組織に印加するように適合されている少なくとも1つのアクティブ電極を含む。
【0006】
本開示の実施形態において、発電機は、第1、第2、第3および第4のコンデンサをさらに含む。DCブロッキングコンデンサは、第1および第2のノードを有し、第1、第2、第3および第4のコンデンサの各々は、それぞれの第1および第2のノードを有する。第1のコンデンサの第1のノードは、DCブロッキングコンデンサの第1のノードに連結される。第2のコンデンサの第1のノードは、第1のコンデンサの第2のノードと基準(例えば、グラウンド)との間に連結される。第3のコンデンサの第1のノードは、DCブロッキングコンデンサの第2のノードに連結される。第4のコンデンサの第1のノードは、第3のコンデンサの第2のノードと基準との間に連結される。センサー回路は、第1のコンデンサの第2のノードおよび第3のコンデンサの第2のノードに連結され得ることによってその間の電圧を決定し、電気外科エネルギーの電流をDCブロッキングコンデンサにわたる電圧の関数として決定する。
【0007】
本開示の一実施形態において、第1のコンデンサは、第3のコンデンサの静電容量にほぼ等しい静電容量を有する。第2のコンデンサは、第4のコンデンサの静電容量にほぼ等しい静電容量を有し得る。
【0008】
本開示のさらに別の実施形態において、センサー回路は、I=C(dv/dt)の関係式を使用して電流を決定する。Cは、DCブロッキングコンデンサの推定された静電容量であり、dvは、DCブロッキングコンデンサにわたる電圧の測度(measure)であり、dtは、電気外科エネルギーの所定の間隔である。DCブロッキングコンデンサは、双極エネルギーに対して約50nFの静電容量を有し得、単極エネルギーに対して5nFの静電容量を有し得る。
【0009】
本開示の別の実施形態において、電気外科発電機は、RF出力段、DCブロッキングコンデンサならびに測定およびセンサー回路を含む。RF出力段は、アクティブ電極への印加のために電気外科エネルギーを生成する。DCブロッキングコンデンサは、RF出力段とアクティブ電極との間に電気連結される。測定回路は、DCブロッキングコンデンサに連結されることによってDCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定する。センサー回路は、電気外科エネルギーの電流をDCブロッキングコンデンサにわたる電圧の関数として決定する。
【0010】
本開示の実施形態において、電気外科発電機は、第5および第6のコンデンサを含む。第5のコンデンサは、直列または並列で第1のコンデンサに接続される。第6のコンデンサは、直列または並列で第3のコンデンサに接続される。
【0011】
本開示の別の実施形態において、電気外科発電機は、カットオフ回路を含む。カットオフ回路は、センサー回路に連結され、そこから電気外科の所定の電流を伝達する。測定された電流が所定の閾値に達した場合、カットオフ回路は、アクティブ電極への電気外科エネルギーの印加を停止するように適合されている。電気外科発電機は、RF出力段とアクティブ電極との間に連結されたスイッチをさらに含み得る。カットオフ回路は、決定された電流を所定の閾値と比較し、アクティブ電極への電気外科エネルギーの印加を停止するようにスイッチに信号を送るように適合されているカットオフ信号を生成する比較器を含む。
【0012】
本開示の実施形態において、リターン電極は、電気外科エネルギーを戻すように適合されている。別のDCブロッキングコンデンサは、RF出力段とリターン電極との間に電気連結される。別の測定回路は、別のDCブロッキングコンデンサに連結されることによって別のDCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定する。センサー回路は、リターン電気外科エネルギーの電流を別のDCブロッキングコンデンサにわたる電圧の関数として決定する。漏れ電流測定回路は、センサーに連結されることによって電気外科エネルギーの電流をリターン電気外科エネルギーの電流に比較し、漏れ電流を測定する。
【0013】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
電気外科システムであって、該電気外科システムは、
組織に電気外科エネルギーを印加するように適合される少なくとも1つのアクティブ電極を含む電気外科器具と、
該少なくとも1つのアクティブ電極に該電気外科エネルギーを供給するように適合される電気外科発電機と
を含み、
該電気外科発電機は、
該電気外科エネルギーを生成するように適合されるRF出力段と、
該RF出力段と組織との間に電気的に連結されているDCブロッキングコンデンサと、
該DCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定するように該DCブロッキングコンデンサに連結されている測定回路と、
該DCブロッキングコンデンサにわたる該電圧の関数として該電気外科エネルギーの電流を決定するセンサー回路と
を含む、電気外科システム。
(項目2)
上記DCブロッキングコンデンサの第1のノードに連結された第1のノードを有する第1のコンデンサと、
該第1のコンデンサの第2のノードと基準との間に連結された第1のノードを有する第2のコンデンサと、
該DCブロッキングコンデンサの第2のノードに連結された第1のノードを有する第3のコンデンサと、
該第3のコンデンサの第2のノードと該基準との間に連結された第1のノードを有する第4のコンデンサと
を含み、
上記センサー回路は、該第1のコンデンサの該第2のノードと該第3のコンデンサの該第2のノードとに連結され、該DCブロッキングコンデンサにわたる上記電圧の関数として上記電気外科エネルギーの電流を決定するために、該第1のコンデンサの該第2のノードと該第3のコンデンサの該第2のノードとの間の電圧を決定する、上記項目に記載の電気外科システム。
(項目3)
上記第1のコンデンサは、上記第3のコンデンサの静電容量とほぼ等しい静電容量を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科システム。
(項目4)
上記第2のコンデンサは、上記第4のコンデンサの静電容量とほぼ等しい静電容量を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科システム。
(項目5)
上記センサー回路は、
I=C(dv/dt)
の関係式を利用して、上記電流を決定し、
Cは、上記DCブロッキングコンデンサの推定された静電容量であり、dvは、該DCブロッキングコンデンサにわたる上記電圧の測度であり、dtは、上記電気外科エネルギーの所定の間隔である、上記項目のいずれかに記載の電気外科システム。
(項目6)
上記DCブロッキングコンデンサは、約50nFの静電容量を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科システム。
(項目7)
上記DCブロッキングコンデンサは、約5nFの静電容量を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科システム。
(項目8)
上記電気外科システムは、上記電気外科エネルギーを測定するための電流感知変圧器がない場合に、該電気外科エネルギーの電流を決定する、上記項目のいずれかに記載の電気外科システム。
(項目9)
電気外科発電機であって、該電気外科発電機は、
アクティブ電極に印加するための電気外科エネルギーを生成するように適合されるRF出力段と、
該RF出力段と該アクティブ電極との間に電気的に連結されるDCブロッキングコンデンサと、
該DCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定するための、該DCブロッキングコンデンサに連結される測定回路と、
該DCブロッキングコンデンサにわたる該電圧の関数として該電気外科エネルギーの電流を決定するセンサー回路と
を含む、電気外科発電機。
(項目10)
上記電気外科発電機は、
上記DCブロッキングコンデンサの第1のノードに連結される第1のノードを有する第1のコンデンサと、
該第1のコンデンサの第2のノードと基準との間に連結される第1のノードを有する第2のコンデンサと、
該DCブロッキングコンデンサの第2のノードに連結される第1のノードを有する第3のコンデンサと、
該第3のコンデンサの第2のノードと該基準との間に連結される第1のノードを有する第4のコンデンサと
を含み、
上記センサー回路は、該第1のコンデンサの該第2のノードと該第3のコンデンサの該第2のノードとに連結され、該DCブロッキングコンデンサにわたる上記電圧の上記関数として上記電気外科エネルギーの上記電流を決定するために、該第1のコンデンサの該第2のノードと該第3のコンデンサの該第2のノードとの間の電圧を決定する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目11)
上記第1コンデンサ、上記第2のコンデンサ、上記第3のコンデンサ、および上記第4のコンデンサは、上記電気外科発電機のグラウンドと患者の間の絶縁を提供するのに十分である、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目12)
上記第1のコンデンサは、上記第3のコンデンサの静電容量とほぼ等しい静電容量を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目13)
上記第2のコンデンサは、上記第4のコンデンサの静電容量とほぼ等しい静電容量を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目14)
上記センサー回路は、
I=C(dv/dt)
の関係式を利用して、上記電流を決定し、
Cは、上記DCブロッキングコンデンサの推定された静電容量であり、dvは、該DCブロッキングコンデンサにわたる上記電圧の測度であり、dtは、上記電気外科エネルギーの所定の間隔である、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目15)
上記DCブロッキングコンデンサは、約50nFおよび約5nFのうちの1つの静電容量を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目16)
上記電気外科システムは、上記電気外科エネルギーを測定するための電流感知変圧器がない場合に、該電気外科エネルギーの上記電流を決定する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目17)
上記電気外科発電機は、
上記第1のコンデンサに直列または並列のうちの1つで接続される第5のコンデンサと、
上記第3のコンデンサに直列または並列のうちの1つで接続される第6のコンデンサと
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目18)
上記電気外科発電機は、該発電機から上記決定された電気外科電流を伝達するための、上記センサー回路に連結されるカットオフ回路をさらに含み、該カットオフ回路は、上記測定された電流が所定の閾値に達する場合に、上記アクティブ電極への上記電気外科エネルギーの印加を停止するように適合される、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目19)
上記電気外科発電機は、上記RF出力段と上記アクティブ電極との間に連結されるスイッチをさらに含み、上記カットオフ回路は、上記決定された電流を上記所定の閾値と比較し、上記アクティブ電極への上記電気外科エネルギーの印加を停止するための上記スイッチに信号を送るように適合されるカットオフ信号を生成するための比較器を含む、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目20)
上記電気外科発電機は、
上記電気外科エネルギーを戻すように適合されるリターン電極と、
上記RF出力段と、組織から上記電気外科エネルギーを戻すように適合されるリターン電極との間に電気的に連結されるもう1つのDCブロッキングコンデンサと、
該もう1つのDCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定するための、該もう1つのDCブロッキングコンデンサに連結されるもう1つのセンサー回路と
を含み、
該センサー回路は、該もう1つのDCブロッキングコンデンサにわたる該電圧の関数として該リターン電気外科エネルギーの電流を決定し、
漏れ電流の測定回路は、漏れ電流を測定するために、該電気外科エネルギーの上記電流を該リターン電気外科エネルギーの該電流と比較するように該センサーに連結される、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目21)
上記電気外科発電機は、上記DCブロッキングコンデンサと直列に連結される余分なDCブロッキングコンデンサをさらに含み、上記センサー回路は、該余分なDCブロッキングコンデンサにわたる電圧の関数として、上記電気外科エネルギーの上記電流を決定する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
【0014】
本開示のさまざまな実施形態は、本明細書において図面を参照して説明される。
(摘要)
電気外科発電機は、RF出力段、DCブロッキングコンデンサ、測定回路およびセンサー回路を含む。RF出力段は、アクティブ電極への印加のために電気外科エネルギーを生成する。DCブロッキングコンデンサは、RF出力段とアクティブ電極との間に電気連結される。測定回路はDCブロッキングコンデンサに連結され、DCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定する。センサー回路は、電気外科エネルギーの電流をDCブロッキングコンデンサにわたる電圧の関数として決定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本開示に従った電気外科システムの概略ブロック図である。
【図2】図2は、本開示に従った電気外科発電機の概略ブロック図である。
【図3】図3は、本開示に従った図1または図2の発電機によって用いられ得るDCブロッキングコンデンサに連結された回路を示す。
【図4】図4は、本開示に従った電気外科エネルギーの電流を決定するDCブロッキングコンデンサおよび余分なDCブロッキングコンデンサに連結された回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
本発明の特定の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。次の説明において、不必要な詳細で本開示を不明確にすることを避けるために、周知の機能または構造は詳細には説明されない。当業者は、本開示に従う本発明が単極電気外科手術システムまたは双極電気外科手術システムのいずれかと共に使用するように適合され得ることを理解する。図1は、本開示に従う電気外科システムの概略図である。システムは、患者Pの組織を治療する1つ以上の電極を有する電気外科器具10を含む。器具10は、1つ以上のアクティブ電極を含む単極型(例えば、電気外科切断プローブ、切除電極(単数または複数)など)かまたは1つ以上のアクティブおよびリターン電極を含む双極型(例えば、電気外科密封鉗子)のいずれかであり得る。電気外科RFエネルギーは、供給ライン12を介して発電機20によって器具10に供給され、発電機20は、アクティブ出力端子に動作可能に接続され、器具10が、組織を凝固させ、密封し、切除しかつ/または治療することを可能にする。
【0017】
器具10が単極型である場合、エネルギーは、患者の体に配置される1つ以上の電極パッドであり得るリターン電極(明確には図示されていない)を介して発電機20に戻され得る。システムは、患者Pとの全接触面積を最大にすることによって組織損傷の機会を最小限にすると考えられる複数のリターン電極を含み得る。さらに、発電機20および単極リターン電極は、いわゆる「組織対患者」接触インピーダンスの十分性を監視して、組織損傷の機会をさらに最小限するように構成され得る。
【0018】
器具10が双極型である場合、リターン電極は、アクティブ電極の近く(例えば、双極鉗子の向かい合うジョー)に配置される。発電機20は、複数の供給およびリターン端子と、対応する数の電極リード線とを含み得る。
【0019】
発電機20は、発電機20を制御する入力制御器(例えば、ボタン、アクチベータ、スイッチ、タッチスクリーンなど)を含む。さらに、発電機20は、外科医に様々な出力情報(例えば、強度設定、治療完了インジケータなど)を提供する1つ以上のディスプレースクリーンを含み得る。調整器は、外科医が、RFエネルギーの電力、波形、および他のパラメータを調整して、特定の作業(例えば、凝固、組織密封、強度設定など)に適した波形を獲得することを可能にする。器具10はまた、発電機20の特定の入力制御器と共に豊富な複数の入力制御器を含み得る。器具10上の豊富な入力制御器は、発電機20との相互作用を必要とすることなく、外科手術中、RFエネルギーパラメータのより容易でかつより速い修正を可能にする。
【0020】
図2は、発電機20の概略ブロック図を示し、発電機20は、センサー回路21と、カットオフ回路22と、漏れ電流測定回路23と、制御装置24と、高電圧DC電源27(「HVPS」)と、RF出力段28とを有する。HVPS27は、高電圧DC電力をRF出力段28に提供し、RF出力段28は、次いで高電圧DC電力をRFエネルギーに変換し、RFエネルギーを器具10のアクティブ電極に送達する。特に、RF出力段28は、高周波RFエネルギーの正弦波波形を生成する。RF出力段28は、様々なデューティサイクルと、ピーク電圧と、波高因子と、他のパラメータとを有する複数の波形を生成するように構成される。ある型の波形は、特定の電気外科モードに適している。例えば、RF出力段28は、組織を切除するのに最適である切断モードにおいて100%デューティサイクル正弦波波形を生成し、止血するために組織を焼灼するのに最も良く用いられる凝固モードにおいて25%デューティサイクル波形を生成する。
【0021】
制御装置24は、メモリ26に動作可能に接続されるマイクロプロセッサ25を含み、メモリ26は、揮発性型メモリ(例えば、RAM)および/または不揮発性型メモリ(例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体など)であり得る。マイクロプロセッサ25は、HVPS27に動作可能に接続される出力ポートおよび/またはRF出力段28を含み、マイクロプロセッサ25が開制御ループ方式および/または閉制御ループ方式のいずれかに従って発電機20の出力を制御することを可能にする。
【0022】
閉ループ制御方式は、フィードバック制御ループであり、フィードバック制御ループにおいて、センサー回路22は、様々な組織およびエネルギーの特性(例えば、組織インピーダンス、組織温度、出力電流および/または出力電圧など)を測定する複数のセンサーを含み得、フィードバックを制御装置24に提供する。制御装置24は次いでHVPS27および/またはRF出力段28に信号を送り、HVPS27および/またはRF出力段28は次いでそれぞれDC電源および/またはRF電源を調整する。制御装置24はまた、発電機20または器具10の入力制御器から入力信号を受信する。制御装置24は、入力信号を利用して、発電機20によって出力される電力を調整しかつ/または発電機20の他の制御機能を行う。
【0023】
DCブロッキングコンデンサ29は、アクティブ電極(図示されていない)に行く電気外科エネルギーにDCブロッキングを提供する。測定回路30は、センサー回路21と通信するDCブロッキングコンデンサ29にわたる電圧を測定する。DCブロッキングコンデンサ31は、リターン電気外科エネルギーのDCブロッキングを提供する。測定回路32は、DCブロッキングコンデンサ31にわたる電圧を測定する。センサー回路32は、コンデンサ29にわたる電圧を利用してアクティブ電極に供給される電気外科エネルギーの電流を決定し得、同様にDCブロッキングコンデンサ31にわたる電圧を利用してリターン電流を決定し得る。制御装置24は、DCブロッキングコンデンサ29または31を通る電圧および/または電流を利用して、DCブロッキングコンデンサ29または31におけるどの故障も検出し得る。
【0024】
DCブロッキングコンデンサ29または31を介して通信される電流は、それぞれ測定回路30または32から得られる電圧測定値を用いて決定され得る。コンデンサを介する電流は、次の関係(1)を用いることによってコンデンサの電圧を用いて決定され得る。
I=C(dv/dt)、(1)
ここで、CはDCブロッキングコンデンサの推定された静電容量であり、dvはDCブロッキングコンデンサにわたる電圧の測度であり、dtは電気外科エネルギーの所定の間隔である。所定の間隔は、電気外科エネルギーのスイッチング間隔であり得る。
【0025】
センサー回路21は、カットオフ回路22および/または制御装置24に電流を通信する。カットオフ回路22は、出力電流を基準と比較し得る(例えば、比較器34を用いて)。出力電流が基準を超えた場合、カットオフ回路22は、スイッチ33に信号を送り、アクティブ電極(図示されていない)からRF出力段を切断する。漏れ電流測定回路23は、漏れ電流測定回路23から電気外科電流およびリターン電流を受け取る。漏れ電流測定回路23は、制御装置24に通信する漏れ電流を決定する。
【0026】
図3は、本開示に従って図1および/または図2の発電機によって用いられ得るDCブロッキングコンデンサ35に連結される回路を示す。図3は、図2のブロッキングコンデンサ29および/または31であり得るDCブロッキングコンデンサ35を示す。コンデンサ36、37、38、および39は、H形状で配置され、ディバイダネットワークとして機能する。コンデンサ36、37、38、および39は、患者と発電機の設置との間に絶縁バリヤーを提供する。本開示のいくつかの実施形態において、オプトカプラおよび/または絶縁変圧器は患者と発電機のグラウンドとの間に絶縁バリヤーを提供するために用いられ、他の実施形態において、それらは用いられない。測定回路40は、図2の測定回路30または32であり得る。測定回路40は、(1)コンデンサ36と38との間のノードおよび(2)コンデンサ37と39との間のノードであるノード間の電圧差を測定する。コンデンサ36および/または37は、様々な並列または直列のコンデンサに分割されて、患者とグラウンドとの間の絶縁バリヤーに対してクリーページ、クリアランスおよび電圧破壊を調整し得る。コンデンサ36および38は、ディバイダネットワークを形成する。コンデンサ37および39は、別のディバイダネットワークを形成する。コンデンサ36および37は同じ静電容量を有し、コンデンサ38および39は同じ静電容量を有する。コンデンサ36、37、38、および39によって形成されるディバイダネットワークは、測定回路40によって所定の量だけ、測定された電圧を減少させ、電気外科エネルギーの周波数、コンデンサ36、37、38および39の静電容量、ならびにDCブロッキングコンデンサ35の関数である。コンデンサ36、37、38、および39は、例えば、典型的な使用中、患者と電気外科発電機20のグラウンドとの間でコンデンサ36、37、38、および39の電圧破壊を防ぐなど、電気外科発電機20(図1を参照されたい)と患者Pとの間の絶縁を提供するのに十分である。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態において、変圧器は、DCブロッキングコンデンサ35と測定回路40との間の絶縁を提供し、そして/または測定回路40による測定する前に電気外科エネルギーの電圧を階段状に下げるために、ブロッキングコンデンサ35と測定回路40との間に置かれ得る。
【0028】
図4は、本開示に従って電気外科エネルギーの電流を決定するための、DCブロッキングコンデンサ35aと余分なDCブロッキングコンデンサ35bとに連結される回路400を示す。ノード402および404は、図2のSWT33とアクティブ電極(示していない)との間に連結され得る。例えば、ブロッキングコンデンサ35aおよび35bは、図2のコンデンサ29に代わって、または加えて使用され得る。回路400は、測定回路40aおよび40bを含む。測定回路40aは、コンデンサ36a、37a、38aおよび39aを用いて、DCブロッキングコンデンサ35aにわたる電圧を測定する。測定回路40bは、コンデンサ36b、37b、38bおよび39bを用いて、DCブロッキングコンデンサ35bにわたる電圧を測定する。ブロッキングコンデンサ35aおよび35bは、余分な電気外科エネルギー測定を提供する。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態が図面に示され、そして/または本明細書に議論されるが、本開示が、技術分野が可能である範囲と同じ幅広く、明細書も同様に読まれることが意図されるように、本開示がそれらの実施形態に限定されないことが意図される。それゆえに、上記説明は、限定としてではなく、単に特定の実施形態の代表的な例として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付した請求項の範囲および精神内に他の変更を予想する。
【符号の説明】
【0030】
10 電気外科器具
12 供給ライン
20 発電機
P 患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科システムであって、該電気外科システムは、
組織に電気外科エネルギーを印加するように適合される少なくとも1つのアクティブ電極を含む電気外科器具と、
該少なくとも1つのアクティブ電極に該電気外科エネルギーを供給するように適合される電気外科発電機と
を含み、
該電気外科発電機は、
該電気外科エネルギーを生成するように適合されるRF出力段と、
該RF出力段と組織との間に電気的に連結されているDCブロッキングコンデンサと、
該DCブロッキングコンデンサにわたる電圧を測定するように該DCブロッキングコンデンサに連結されている測定回路と、
該DCブロッキングコンデンサにわたる該電圧の関数として該電気外科エネルギーの電流を決定するセンサー回路と
を含む、電気外科システム。
【請求項2】
前記DCブロッキングコンデンサの第1のノードに連結された第1のノードを有する第1のコンデンサと、
該第1のコンデンサの第2のノードと基準との間に連結された第1のノードを有する第2のコンデンサと、
該DCブロッキングコンデンサの第2のノードに連結された第1のノードを有する第3のコンデンサと、
該第3のコンデンサの第2のノードと該基準との間に連結された第1のノードを有する第4のコンデンサと
を含み、
前記センサー回路は、該第1のコンデンサの該第2のノードと該第3のコンデンサの該第2のノードとに連結され、該DCブロッキングコンデンサにわたる前記電圧の関数として前記電気外科エネルギーの電流を決定するために、該第1のコンデンサの該第2のノードと該第3のコンデンサの該第2のノードとの間の電圧を決定する、請求項1に記載の電気外科システム。
【請求項3】
前記第1のコンデンサは、前記第3のコンデンサの静電容量とほぼ等しい静電容量を有する、請求項2に記載の電気外科システム。
【請求項4】
前記第2のコンデンサは、前記第4のコンデンサの静電容量とほぼ等しい静電容量を有する、請求項3に記載の電気外科システム。
【請求項5】
前記センサー回路は、
I=C(dv/dt)
の関係式を利用して、前記電流を決定し、
Cは、前記DCブロッキングコンデンサの推定された静電容量であり、dvは、該DCブロッキングコンデンサにわたる前記電圧の測度であり、dtは、前記電気外科エネルギーの所定の間隔である、請求項1に記載の電気外科システム。
【請求項6】
前記DCブロッキングコンデンサは、約50nFの静電容量を有する、請求項1に記載の電気外科システム。
【請求項7】
前記DCブロッキングコンデンサは、約5nFの静電容量を有する、請求項1に記載の電気外科システム。
【請求項8】
前記電気外科システムは、前記電気外科エネルギーを測定するための電流感知変圧器がない場合に、該電気外科エネルギーの電流を決定する、請求項1に記載の電気外科システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−139507(P2012−139507A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−289446(P2011−289446)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】