説明

電気導体

【課題】湿っていて、しかも塩分を含む環境内で作動させる場合においても、その機能が腐食により妨げられることから護られる電気導体を提供する。
【解決手段】少なくともその一部が導電性である材料からできている電気導体25であって、この電気導体25は、少なくとも局所的に導体の導電性材料よりも低い比電気伝導率を有する保護層11を少なくとも部分的に備え、保護層11は、少なくとも部分的に合成ゴムにより作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前段部による電気導体、ならびにヒーター、センサー、座席および乗物におけるその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
銅の導体を腐食から護るために、銅の導体を銀メッキすることが知られている。しかし、銀がピンホール無しで密に付着していない場合には、銅が腐食されてしまうことがある。さらに、時が経つにつれて銀は銅の中に拡散することによって、非常にもろい銀、銅の合金から成る境界層ができる。この境界層は、損傷すると、同じく導体をおびやかす初期クラックを形成する。
【0003】
この問題を解決するためには、特許文献1、特許文献2中に出てくるような、スチールの芯線を備える導体に銅被覆を有する、いわゆる被覆線を使用することができる。プラチナの被覆と貴金属を含有する材料からできた芯線から成る被覆線は、特許文献3から知られている。この材料の組み合わせの重大な短所は、コストが高いことである。さらに、多くの応用目的にとって、銅被覆の耐食性はそれでもまだ十分ではない。
【0004】
特許文献4から、多数のカーボンファイバーが熱収縮性チューブで被覆されている熱導体が知られている。しかし、このような構造は耐破断性があまりない。
【0005】
特許文献5は、プラスチックの芯線および金属コーティングを備えた導体について説明している。このような導体の耐食性は、本発明により更に改良されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第19638372号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10206336号明細書
【特許文献3】独国特許発明第3832342号明細書
【特許文献4】特開2001−217058号公報
【特許文献5】独国実用新案第202004020425.8号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
それゆえ、最新の技術を更に進展させるために、請求項1による電気導体が提案される。この電気導体は、その特別な構造により、湿っていて、しかも塩分を含む環境内で作動させる場合においても、その機能が腐食により妨げられることから護られる。これは、1つの導電性の保護層が、耐食性と強度を生み出すためである。
【0008】
その他の有利な実施形態は、従属請求項および以下の図の説明を読めばわかる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ヒーターおよびセンサーを一部含める立面図で表わされた乗物の側面図
【図2A】図1によるヒーターの上面図
【図2B】一例に係る導体の断面図
【図2C】他の例に係る導体の断面図
【図3】テキスタイル電気導体の拡大部分の上面図
【図4】2つのテキスタイル電極を備えた容量性センサーの横断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の詳細を説明する。これらの実施形態は本発明をわかりやすくするためのものである。しかし、これらは単なる例にすぎない。記述された個々のあるいは複数の特性を、本発明の枠内で省略・変更あるいは補足することもできるのは当然である。また当然、異なる実施形態の特性を組み合わせることもできる。以下、添付図面に基づき本発明の詳細を説明する。
【0011】
図1は乗物200を示す。
この中には、例えば座席暖房、座席に人が座っていることの検出装置、または操作盤(Tastatur)60などの、内部スペースの特定のゾーン内で(選択された)点または面において、例えば暖房・圧力検出あるいはスイッチのオン・オフ等の特定の機能を使用可能にする様々な機能エレメント5が予定されていてよい。そのために、少なくとも機能エレメント5のうちの一つは、図2A,2B,2Cあるいは図3による電気導体を少なくとも1本は備えている。
【0012】
この導体は、例えば熱導体2、接触導体3、電気ヒューズおよび/または接続ケーブル48であってよい。
【0013】
この導体は、例えば少なくとも部分的に座席カバー30に接するか、および/またはその中にというように、機能ゾーンに接して、その中に、またはその近くに配置されている。
【0014】
この導体は、平型か、または図2A、2B、2C、および図3の実施例のようにストランド状に作られていてよい。ストランドとは、その長さの寸法がその横断面の寸法よりもはるかに大きな長い構造体のことである。横断面の縦・横の大きさは似たような寸法であるのが好ましい。この構造体は、曲げ弾性を有するが固体の状態であるのが好ましい。
【0015】
少なくとも1本の導線25は、たとえばフィルムなどの平型構造体として作られていてよい。図2Aによる実施例では、合成繊維の不織布が使われる。そこでは、好ましくは隣り合って蛇行して走る多数の導体25、および/または電気的に並列に配置された多数の導体25が使用されることが好ましい。これらの導体は、例えば縫製や、または編むことにより不織布に固定される。図2Aの実施例において、個々の導体25は、それぞれ隣の導体25から約2cmの平均距離をおいて、それに対してほぼ平行に配置されている。平行とは、2本の長手方向に走る導体間の距離が、平均してほぼ同じに保たれていることを意味する。
【0016】
図3より、少なくとも部分的に一緒になって1つの平型構造体を形成する、多数の導体25が用いられてもよい。
【0017】
このような平型構造体100は、例えばテキスタイル、縦ニット、ニット、繊維、不織布、可撓性の熱可塑性樹脂、通気性の材料などを有していてよく、および/または少なくとも一部がこのような材料からできていてよい。
【0018】
導体25の機械的な安定性を増すために、少なくとも1本の電気導体25が少なくとも1つのキャリア12を有することが有利である。キャリアは、複数の次元に拡がってよい。しかし、キャリアはできれば主に二次元、あるいは図2Aおよび図3におけるように、主要な延び方向を有しており、たとえば導体ストランドの芯線として形成されているのが好ましい。
【0019】
キャリア12は、少なくともその一部が、好ましくは弾性の、耐熱性かつ耐破断性のプラスチックから、好ましくは少なくとも一部が、好ましくは完全に、カーボンファイバー、ポリプロピレン、熱可塑性樹脂あるいはポリアミドからおよび/またはガラス繊維から、および/または少なくとも一部が銅および/あるいはスチールからできているのが有利である。プラスチックとは、合成の、自然ではない材料、特にポリマーおよびカーボンファイバー等のそれから派生する物質をいう。
【0020】
キャリア12の材料は、紡ぐことができるフィラメントまたはワイヤーに、好ましくは100μm未満の、好ましくは10μm未満の、好ましくは1μm未満の、好ましくは0.1μm未満の、好ましくは0.01μm未満の太さのフィラメントに引き抜き加工できると有利だろう。
【0021】
1本の導体25のキャリア、特に熱導体のキャリアは、図2B、2Cのように少なくとも一部が、おおよそ完全に熱可塑性の材料から、できればプラスチック、できればポリアミド、ポリエステル、カプトン、あるいはこの例のようにポリイミドからできていると有利だろう。これにより、コスト的に有利な構造が可能になる。さらに、このような糸は柔らかく、とがってもいないし脆くもない。これによって、周辺のシステム(たとえば、シートに人が座っていることの検出装置)の安全作動が可能になる。
【0022】
少なくとも1本の電気導体25の電気伝導率が、その温度が少なくとも局所的に200°C〜400°Cの時、好ましくは220°C〜280°Cの時に、少なくとも一時的に少なくとも減少すると有利であろう。これにより、ヒーターの周囲が許容される以上に加熱されることを防止できる。電気導体25は、上記の温度範囲においては、少なくとも部分的に、好ましくはおおよそ完全に遮断される、好ましくは非可逆的に遮断されると有利であろう。
【0023】
電気導体25が、0〜3Ω/mの、できれば0〜2Ω/mの、好ましくは0.1〜3Ω/m、できれば0.2〜0.5Ω/mの電気抵抗を有すると有利だろう。
【0024】
少なくとも1本の電気導体25は、少なくとも1つの伝導層14を有する。
【0025】
この伝導層14は、例えばフィルムのコーティングとして、おおよそ平らに配置されていてよい。しかし伝導層14は、たとえば糸状のキャリア12のように、内部ストランドを少なくとも部分的に囲む被覆層としてできていてもよい。
【0026】
層とは、主に二次元の伸びを有しており、好ましくは、ただし不可欠ではないが、平らで弾性のある構造体の全て、特に平型の構造体を意味する。これは、連続した面を成すのが好ましいが、たとえばスペーサーニット、ネット、チューブシステム、あるいはフォームのように断絶していてもよい。
【0027】
被覆層とは、直接的あるいは間接的に、対象物を少なくとも部分的に覆っている層のことであるが、必ずしもこの対象物を一番外側で被覆している層であるとは限らない。
【0028】
伝導層14の材料としては、特にニッケル、金、銀、銅、あるいは金と銀の合金が適している。これらは、特にメッキ法によって施すことができる。被膜は非常に可撓性があり、それゆえに長い作動時間を通じて耐曲げサイクル強度が高い。
【0029】
伝導層14は、約0.01μm〜約3mmの厚さであるのが好ましい。その応用および希望する抵抗(値)によって、その厚さは、例えば熱導体用には0.1μm〜0.5mm、できれば0.1μm〜10μm、そして低い総合抵抗を有する導体用には、5μm〜1mmであるのが好ましい。
【0030】
導体キャリア12の材料が、伝導層14の材料よりも高い耐曲げサイクル性、および/またはより低い引張り強度あるいは耐圧縮性を有すると有利である。
【0031】
伝導層14は、例えば糸の場合には、その後工程の前に施されていてもよい。しかしながら、伝導層はたとえばテキスタイルの完成後に、吹き付けあるいは浸漬によって一つ以上のキャリアに施すことができる。
【0032】
少なくとも1本の導体25は、少なくとも部分的に保護層11を備える。保護層11は、できれば少なくともその一部が、化学的に、特に電気化学的に反応しにくい材料でできていると好ましい。これは、この材料が普通の作動状態においては、その化学的組成ならびにその原子構造をおおよそ保持することを意味する。これによって、その下にある伝導層14が腐食から保護される。保護層は機械的に耐磨耗性であるのが好ましい。保護層は、例えば押し出しによって伝導層14および/または導体25の上に施される。保護層はまたラックとして施されていてもよい。ラックとは、対象物上に薄く施され、化学的あるいは物理的なプロセス(たとえば溶剤の蒸着)によって連続したフィルムとして固着される、液状あるいはまた粉末状のコーティング材のことである。特に適しているのは、パウダーラック、水中のラックパーティクル懸濁液、光線に曝されて硬化するタイプのラックシステムまたはポリウレタンラックである。
【0033】
保護層11は少なくとも部分的に、少なくとも条件によっては導電性である材料、好ましくは化学的あるいは電気化学的に反応しにくい材料からできている。保護層は、できれば少なくとも部分的に、導体25の伝導層14よりも低い電気伝導率(特に比電気伝導率)を有することが好ましい。できれば、導体25の横断面方向における保護層の抵抗は、少なくともセクション単位で導体25の縦方向における抵抗と同じくらいに高いのが好ましい。これにより、導体の総面積での電解反応の均等な分配が実現されて、保護層11の起こり得る故障の箇所に電流が集中するのを防止できる。ここでは、例えば導電性であるプラスチック(例えばもともと導電性のプラスチック)、プラチナ、すす、カーボンの形の黒鉛、カーボンファイバー、ナノチューブあるいはダイヤモンド、ステンレススチールまたは不動態化されたあるいは酸化された金属が適している。この際、導電性の材料が、伝導層の主な割合を占めてよい。しかし、これはまた、パーティクルの形で電気化学的に反応しにくい他の材料から作られたマトリックスの中に埋め込まれていてもよい。これらのパーティクルは、その寸法の1つ、できればその直径が、コーティングの厚さの約10−6〜2倍にあたる寸法、好ましくは1nm〜10μm、好ましくは50nm〜1μmである寸法を有する。これらのパーティクルは、たとえばファイバー状あるいは球状である。
【0034】
保護層11は、特にその厚さ、電気伝導率および熱安定性においては、導体25および/または平型構造体100の保護層11を剥がさずに、および保護層11に電流が流れる状態で、たとえば接続ケーブル48あるいは電極4によって電気的に接触可能であるかあるいは接触されているようにできているのが好ましい。しかし、伝導層14とのより良い接触を保証するために、保護層11は少なくとも局所的に除去されていてもよい。
【0035】
少なくとも1本の導体25の表面は、保護層11として、完全にあるいは少なくとも部分的に、導電性である材料、または導電率の悪い材料によってでもコーティングされており、特に完全にあるいは少なくとも一部がプラスチックおよび/またはラックおよび/または完全にあるいは少なくとも一部がポリウレタン、PVC、PTFE、PFA、合成ゴム、特にニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム(すなわち、市場にでている“ブナン”や“ペルブナン”)および/またはポリエステルによってコーティングされることが予定されていてよい。ニトリルゴム中のアクリルニトリルの割合は、18〜50%の間であることが望ましい。合成ゴム、特にニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴムは低水蒸気透過性の材料であるため最も好ましく、保護層11がこれらの材料で作られている場合には、金属化テキスタイルを腐食から十分に保護することができる。熱導体およびセンサー導体はこのようにして腐食から保護され、この層が十分に薄いのであればその機能性は本質的にはそれほど変わらない。
【0036】
本発明によるコーティングは、特に接触導体の保護に、とりわけ接触されるべき多数のコンポーネント(例えば熱導体)とその電気的接触のために接続している接触導体の保護にも適している。このような接触導体においては、全ての接触箇所の絶縁層を後で再び剥がすのは余りにも手間と費用がかかりすぎてしまうことから、絶縁できないことがよくある。
【0037】
このような接触導体に、電気抵抗が低く、さらに耐食性が高く、有害な物質を抑制する能力が高いコーティングが施された場合、この接触導体は、走るルートに沿ってその両端間においても、絶縁層をはがさずに多数の負荷(電気を消費する機器)と電気的に接触することができる。
【0038】
このような保護層11は、1〜300nm、できれば10〜100nmの厚さを有するのが好ましい。これには、特にポリウレタン、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、FR4、ポリプロピレンおよび/またはポリスチロールが適している。電気導体は、作動中は少なくとも一時的にはアースに対して5〜50V、好ましくは12V±2の電圧をかけるのが好ましい。この電圧の衝撃(昇圧)により、もう1本の電気導体(例えば熱導体)を被覆線に接して配置する場合に、絶縁破壊が保護層11を局所的にはがし、両方の導体の接触(電気的にも)をひきおこすことになる。
【0039】
また、保護層11が300nm〜400μmの厚さを有することを予定してもよい。この場合、保護層が少なくとも部分的に脆い材料および/または掻き取り易い材料からできていると有利である。これにより、もう1本の導体を上に載せる時、または交差させる時に、機械的な負荷(たとえば、ヒーターの使用)によって保護層を局所的に掻き取ることができるようになる。そのため、保護層11の材料は少なくとも局所的に0〜6.5、好ましくは1〜5の絶対強度を有すると好ましい。
【0040】
しかし、保護層は導電性であるよう作られることが予定されていてもよい。この場合、保護層が少なくとも1つの接触箇所の領域においては、(丸い)導体のラジアル方向(または平型の導体の場合には垂直方向)において、0〜100Ω、好ましくは1mΩ〜50Ωの抵抗を有すると好ましい。これに適するのは、例えば、それぞれ黒鉛パーティクルおよび/または貴金属パーティクルを配合したポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアクリルである。さらに、もともと導電性のプラスチックも考慮の対象になる。ここで、層の厚さは300nm〜2mm、できれば300nm〜50μm、できれば300nm〜10μmであるのが好ましい。
【0041】
図2Aは、平たいヒーターキャリア8と、ほぼ平行して互いに距離をおきキャリアに配置された多数の熱導体2を介して接続している一対の電極4と、を備えたヒーター20を示す。熱導体2は、互いにほぼ平行してヒーターキャリア8に配置されており、電気的に並列接続している。少なくとも熱導体2の一部がその両端間で少なくとも一部が導電性に接触箇所77において互いに接触していることにより、少なくとも熱導体2の一部が互いに接続していることが予定されている。これにより、例えば縫製時の、または乱暴な扱いによる局所的破損によっての局所的な熱導体の故障により、ヒーター20の作動が妨げられることがない。なぜなら、個々の熱導体2が局所的に故障した場合には、加熱電気が近くの熱導体に分配されるためである。電極4自体は、電気接続ケーブル48を通じて電源70と接続している。その際、熱導体も接触導体4も中実の金属線からできた芯線13を有していてよい(図2B)。熱導体および接触導体は、図2Cによる伝導層14を備えたキャリアを有していてもよい。熱導体および接触導体は、保護層11により被覆されているのが好ましい。
【0042】
さらにヒーターは、60°C〜80°Cの温度の時にヒーター20への給電を遮断する温度センサー80を有するのが妥当である。
【0043】
ヒーターが、乗物の座席、ハンドル、アームレスト、座席クッション、暖房用毛布などに組み込まれていると有利だろう。
【0044】
図3は、少なくとも部分的に、できればほとんどが導体25からできている平型構造体100を示す。このような電気導体25は、少なくとも部分的にストランド状のキャリア12を有する。キャリアは1つの伝導層14で被覆されている。一方、伝導層は、1つの保護層11によって覆われている。このように織られた導電性平型構造体100は、ヒーター用テキスタイルあるいはこの例のようにセンサー電極35として容量性センサーの中で使用されてよい。
【0045】
このようなセンサー50の横断面図が図4に示されている。センサー50は、コンデンサーのセンサー電極35,35´の役目をする2つの平型構造体100を有する。これらは、例えばプラスチックフィルムあるいは皮などから作られた、弾性のある平たい誘電体55によってお互いに距離をおいている。このように作られたコンデンサーは、その上側と下側とで2枚のカバー層44によって被覆されている。
【0046】
こうして、座席の監視されるべき面32上の使用者を検知するためには、誘電体55を圧縮することによって生じるコンデンサーの容量の変動を計測すればよい。また、人がセンサー電極の1つに近づくことによって生じる電磁界の変動を測ってもよい。
【0047】
以上のように、本発明は以下の特徴を有する。
[1] 少なくとも一部が導電性材料からできている電気導体(25)であって、
少なくとも局所的に導体(25)の導電性材料よりも低い比電気伝導率を有する保護層(11)を少なくとも部分的に備え、
前記保護層(11)が少なくとも部分的に合成ゴムにより作られることを特徴とする、電気導体(25)。
[2] 前記電気導体(25)が少なくとも部分的に平型構造体(100)、テキスタイル、不織布、縦ニット、フィルム、ストランド、糸あるいはネットの形状を有しており、および/または前記電気導体(25)が前記平型構造体(100)に組み込まれると共にその上に置かれて追加の縫い糸あるいは編み糸を使って固定されており、前記電気導体が縫い糸としてその中に組み込まれており、および/または前記電気導体が少なくとも1つの前記平型構造体と接着されておよび/または2つの前記平型構造物の間に接着されており、ならびに少なくとも1つの前記平型構造体がテキスタイル、フィルム、ネットおよび/またはこれらの組み合わせを有し、できればほとんどがそれからできており、ならびに少なくとも前記平型構造体(100)の部分または構成材料の上に前記保護層(11)が施されていることを特徴とする、上記[1]に記載の電気導体。
[3] 少なくとも1本の前記電気導体(25)が、特にせいぜい極くわずかしか導電性でない材料から、特に導電性でない材料から、できればプラスチック、特にPU,PP,PE,PA,PETからできたファイバまたは糸から、金属被膜化できる材料から、および/または少なくとも75°Cまでの、できれば150°Cまでの、できれば300°Cまでの、できれば500°Cまでの、できれば1000°Cまでの温度に対する耐性がある材料から作られたストランド状のキャリア(12)を有することを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の電気導体。上記した材料は、機械的負荷への耐久性において金属ワイヤよりも優れている。また、このように極くわずかしか導電性でない材料や、特に導電性でない材料から作られたキャリアによれば、材料が安価であるため、製造コストが低減できる。
[4] 前記電気導体(25)が、少なくとも一部が金属から作られる、好ましくは少なくとも一部が金、銀、ニッケル、クローム、銅、プラチナから作られる、リン留分を含有するニッケルから作られる、上記の材料の合金および/またはその表面が不動態化された、不動態可能に酸化されたおよび/またはクロームメッキされた材料から作られている、および/またはメッキ法によりキャリア(12)上に施された、および/または前記キャリア(12)に材料的に結合された、導電性の伝導層(14)を有することを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれか記載の電気導体。これらの材料は十分な電気伝導性を有しているので、これらの材料を用いることによって、ストランドと導体コーティングとの間で安定した接続が可能となる。
[5] 通常の作動温度(約−20°C〜約90°C)における伝導層(14)および/または前記電気導体の導電性構成材料および/または前記保護層(11)にとっての比電気伝導率が、100×10S/m〜10−8S/m、好ましくは62×10S/m〜10−3S/mであり、
前記保護層(11)の比電気伝導率が、前記伝導層(14)および/または前記電気導体(25)またはその導電性構成材料の比電気伝導率よりも少なくとも10倍、好ましくは100倍、好ましくは1000倍低く、好ましくは10〜10−3S/mであることを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれか記載の電気導体。保護層の損傷の可能性を鑑みると、導体の腐食を防止するためには、導電性が弱い保護層を少なくとも有していることが好ましい。このようにすれば、損傷を受けた領域において電界が集中することを防止することができる。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の電気導体(25)を少なくとも1本有することを特徴とする、特に乗物の座席(150)用の電気ヒーター(20)。
[7] 特に乗物の内部の面(32)の接触および/または圧力を監視するためのセンサー(50)であって、
少なくとも前記センサーの一部は、好ましくは少なくともそのセンサー電極(35)の1つが、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の電気導体(25)、平型構造体(100)および/または電気ヒーター(20)を有することを特徴とする、センサー(50)。
[8] 上記[1]〜[7]のいずれか記載の電気導体(25)、平型構造体(100)、電気ヒーター(20)および/あるいはセンサー(50)を有することを特徴とする、特に乗物用の座席(150)。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の電気導体(25)、電気ヒーター(20)、センサー(50)および/または座席(150)を有することを特徴とする、乗物。
【符号の説明】
【0048】
2 電気導体
3 接触導体
4 電極
5 機能エレメント
8 ヒーターキャリア
11 保護層
12 キャリア
14 伝導層
20 ヒーター
25 電気導体
30 座席カバー
32 監視されるべき面
35 センサー電極
44 カバー層
48 接続ケーブル
50 センサー
55 誘電体
60 操作盤
70 電源
77 接触箇所
80 温度センサー
100 平型構造体
150 座席
200 乗物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が導電性材料からできている電気導体(25)であって、
少なくとも局所的に導体(25)の導電性材料よりも低い比電気伝導率を有する保護層(11)を少なくとも部分的に備え、
前記保護層(11)が少なくとも部分的に合成ゴムにより作られることを特徴とする、電気導体(25)。
【請求項2】
前記電気導体(25)が少なくとも部分的に平型構造体(100)、テキスタイル、不織布、縦ニット、フィルム、ストランド、糸あるいはネットの形状を有しており、および/または前記電気導体(25)が前記平型構造体(100)に組み込まれると共にその上に置かれて追加の縫い糸あるいは編み糸を使って固定されており、前記電気導体が縫い糸としてその中に組み込まれており、および/または前記電気導体が少なくとも1つの前記平型構造体と接着されておよび/または2つの前記平型構造物の間に接着されており、ならびに少なくとも1つの前記平型構造体がテキスタイル、フィルム、ネットおよび/またはこれらの組み合わせを有し、ならびに少なくとも前記平型構造体(100)の部分または構成材料の上に前記保護層(11)が施されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気導体。
【請求項3】
請求項1または2記載の電気導体(25)を少なくとも1本有することを特徴とする、電気ヒーター(20)。
【請求項4】
面(32)の接触および/または圧力を監視するためのセンサー(50)であって、
少なくとも前記センサーの一部は、請求項1〜3のいずれか1項記載の電気導体(25)、平型構造体(100)および/または電気ヒーター(20)を有することを特徴とする、センサー(50)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の電気導体(25)、平型構造体(100)、電気ヒーター(20)および/あるいはセンサー(50)を有することを特徴とする、座席(150)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気導体(25)、電気ヒーター(20)、センサー(50)および/または座席(150)を有することを特徴とする、乗物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−89497(P2012−89497A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229030(P2011−229030)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(599067662)ヴィー・エー・テー・オートモーティヴ・システムス・アクチェンゲゼルシャフト (29)
【Fターム(参考)】