説明

電気工事用鋏

【課題】本発明は、天井に照明器具を取付ける電気工事の際に、障害となる天井支持材を簡単確実に排除することが出来る電気工事用鋏を提供することにある。
【解決手段】電気工事用鋏1は、鉄や鋼等の金属材からなり、長尺状に形成された略L字状の上把手2と、上把手2の軸線に交差するように上把手2の先端に突設され下側に刃3aを有する上刃3と、上把手2に回動自在に設けられると共に長尺状に形成された略L字状の下把手4と、下把手4の軸線に交差するように下把手4の先端に突設され上側に刃5aを有する下刃5と、これら上把手2と下把手4との先端部を回動自在に支持する支持軸6と、を備えてなる。
【効果】特殊形状の電気工事用鋏としたので、天井に照明器具を取付ける電気工事の際、障害となる天井支持材を簡単確実に排除することができる使い勝手に優れた電気工事用鋏となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気工事用鋏に関し、特に電気工事の際、天井に照明器具を取付ける為に障害となる天井支持材を簡単確実に排除できる電気工事用鋏に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井に照明器具を取付ける電気工事の際、天井部分に天井板を取付ける天井支持材が設けられている為、照明器具を取付ける障害となるという問題点があった。
【0003】
この為、従来、通常の電気工事用鋏では削除することができず、鋸等により削除する必要があり、煩雑であるばかりでなく、一部のみの排除ができるに過ぎず全体の排除が不可能である等の種々の問題点があった。
【0004】
また、このような構造の天井にあっては、取付けるべき照明器具が限定されるという不都合が生ずる等の問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、
天井に照明器具を取付ける電気工事の際、照明器具を取付ける障害となる天井支持材を簡単確実に排除することができる使い勝手に優れた電気工事用鋏を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、本発明によれば、
長尺状に形成された略L字状の上把手と、
上把手の軸線に交差するように上把手の先端に突設され下側に刃を有する上刃と、
上把手に回動自在に設けられると共に略L字状に形成された下把手と、
下把手の軸線に交差するように下把手の先端に突設され上側に刃を有する下刃と、
これら上把手と下把手との先端部を回動自在に支持する支持軸と、
を備えてなる、
ことを特徴とする電気工事用鋏、
を提供することにより達成される。
【発明の効果】
【0007】
このように、本発明によれば、特殊形状の電気工事用鋏としたので、天井に照明器具を取付ける電気工事の際、障害となる天井支持材を簡単確実に排除することができる等使用範囲を広げた電気工事用鋏とすることができる利点がある。
すなわち、
(1)上把手と下把手とが略L字状に形成されている為、従来不可能であった天井支持材にて支持されている天井板の孔から挿入して作業しずらい天井支持材の切断箇所に上刃と下刃とを当てがうことができるようになる効果がある。
(2)刃を有する上刃と下刃とが、上下の把手の軸線に交差するように把手の先端に突設されているので、従来不可能であった天井板の上部に設けられたいる天井支持材を簡単かつ確実に失敗のない切断排除作業をすることができるようになる効果がある。
(3)天井板の下側から作業しずらい天井支持材の切断排除作業ができるから、取付けるべき照明器具が限定されるという従来の不都合を解消して、汎用的に幅広く照明器具を天井に簡易に取付け、簡単かつ確実に目的の作業することが出来るようになる効果がある。
(4)電気工事用鋏が特殊形状に形成されている為、使用範囲を拡大して使用できるので、従来困難であった照明器具を天井に取付ける作業が簡単容易となる効果がある。
(5)本電気工事用鋏によれば、作業の不都合がなく簡単確実に照明器具の取付けができ、さらに照明器具の形状や種類を問わず取付け可能であるから、これらの相乗効果によって、使い勝手に優れた電気工事用鋏となる大なる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の電気工事用鋏においては、
長尺状に形成された略L字状の上把手と、
上把手の軸線に交差するように上把手の先端に突設され下側に刃を有する上刃と、
上把手に回動自在に設けられると共に略L字状に形成された下把手と、
下把手の軸線に交差するように下把手の先端に突設され上側に刃を有する下刃と、
これら上把手と下把手との先端部を回動自在に支持する支持軸と、
から形成しており、
天井に照明器具を取付ける電気工事の際、障害となる天井支持材を簡単確実に排除することができる等使用範囲を広げた電気工事用鋏とすることができるものである。
【実施例1】
【0009】
次に、本発明を添付の図面を参照して特定の実施の形態について詳述する。
【0010】
図1〜図3は本発明に基づく電気工事用鋏の実施の形態の第1例を示している。
【0011】
本発明の実施の形態の第1例である電気工事用鋏1は、鉄や鋼等の金属材からなり、長尺状に形成された略L字状の上把手2と、
上把手2の軸線に交差するように上把手2の先端に突設され下側に刃3aを有する上刃3と、
上把手2に回動自在に設けられると共に長尺状に形成された略L字状の下把手4と、
下把手4の軸線に交差するように下把手4の先端に突設され上側に刃5aを有する下刃5と、
これら上把手2と下把手4との先端部を回動自在に支持する支持軸6と、
を備えてなる。
【0012】
該上把手2と下把手4とは、夫々の後端が握り易い形状の上把手部7と下把手部8とに形成されている。
【0013】
上記上把手部7と下把手部8とは、断面充実円形で握り易い略均一の太さに形成されている。
また、前記支持軸6は、前記上把手2と下把手4とを回動自在に支持するように充実円筒状に形成されており、前記上刃3と下刃5とが交差する根元部分に挿入され、かつ外れないように加締形成されている。
【0014】
さらに、前記上把手2と下把手4、及び上刃3と下刃5とは、鉄や鋼等の同一材料から形成されている。
【実施例2】
【0015】
図4は本発明に基づく電気工事用鋏の実施の形態の第2例を示している。
【0016】
本発明の実施の形態の第2例である電気工事用鋏1は、上記本発明の実施の形態の第1例と異なり、上把手部7と下把手部8には、使用時に手を掛けられるようにリング状に形成された上輪環部11と下輪環部12が連設形成されている。
【0017】
すなわち、図4において、前記上把手2と下把手4には、夫々の後端が握り易い形状の上把手部7と下把手部8とに形成されていると共に、上輪環部11と下輪環部12が、後端から前方にかけて手を出入りし易くかつ握った時に手との間に余裕があるように上把手2と下把手4とに対して相対向する略半楕円形に連設形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0018】
このように、本発明によれば、特殊形状の電気工事用鋏としたので、天井に照明器具を取付ける電気工事の際、障害となる天井支持材を簡単確実に排除することができる等使用範囲を広げた電気工事用鋏とすることができる。
【0019】
次に、本発明に基づく「電気工事用鋏」の実施の形態の第2例を用いて、天井板の穴開け工事の一種である「天井板穴開け電気工事」に使用する方法と作動とを詳述する。
【0020】
このような上記実施例の電気工事用鋏1によれば、図4と図5によく示されているように、上輪環部11と下輪環部12に手を入れて上把手部7と下把手部8を握って電気工事用鋏1を保持した状態で、天井板Rに開設された工事穴Hに挿入し、該天井板Rを取付ける天井支持材Mを切断する為に、上刃3と下刃5とを切断すべき箇所にあてがい、上刃3と下刃5とが接近するように上把手部7と下把手部8を握締めることにより、上刃3と下刃5とにより天井支持材Mを切断することができる。
【0021】
すなわち、本発明の電気工事用鋏1を必要とする場合には、
まず、上把手2と下把手3との後端にある上輪環部11と下輪環部12に手を入れて上把手部7と下把手部8を握ることにより、電気工事用鋏1を保持する。
【0022】
次に、予め電気工事をする為に天井板Rに開設された工事穴Hに、電気工事用鋏1の上刃3と下刃5とを備えた先端部分を挿入する。
【0023】
つづいて、該天井板Rを取付ける天井支持材Mを切断する為に、該天井支持材Mの切断すべき箇所に上刃3と下刃5とをあてがう。
【0024】
さらに、上刃3と下刃5とが接近するように上把手部7と下把手部8を握締めることにより、上刃3と下刃5とにより天井支持材Mの切断すべき箇所を切断することができる。
【0025】
この際、上把手部7と下把手部8を握って相互に近付けることにより、支持軸6を中心として回動して、上刃3と下刃5との間が徐々に近接し、天井支持材Mを上下から挟持し、さらに上刃3と下刃5とにより天井支持材Mの切断すべき箇所を切断する。
【0026】
この後、上把手部7と下把手部8を離間させて、天井支持材Mの切断を終了させて、上刃3と下刃5とを天井支持材Mから離間させて、工事穴Hから電気工事用鋏1を抜き出すことにより、天井支持材Mの切断工事を終了させる。
【0027】
このようにして、電気工事用鋏1を使用して、従来困難または不可能であった天井支持材Mの切断工事を簡単かつ確実に施工することができ、電気工事用鋏1として汎用的に使用することができ、使い勝手に優れた電気工事用鋏となる。
【0028】
尚、本発明の電気工事用鋏は、上記実施例の電気工事用鋏1に限られることなく、上記実施例と異なる形状や材料の種々の変形例とすることができる。
【0029】
例えば、上記実施例にあっては、電気工事用鋏の上把手部7と下把手部8とを鉄や鋼等の金属材から構成したが、本発明はこれに限られることなく、合成樹脂(プラスチック)その他の剛性材料から構成することができる。
【0030】
また、本発明の電気工事用鋏の構成部材である上把手2、上刃3、下把手4、下刃5、支持軸6、上把手部7、下把手部8、上輪環部11及び下輪環部12は、上記実施例の形状や材料のものに限られることなく、異なる形状や材料のものにできるのは勿論である。
【0031】
例えば、本発明の電気工事用鋏は、上記実施例の上把手2と下把手4とのような棒状に形成したものに限られることなく、手に握り易くしかも剛性のある形状ならば、板状その他の形状に形成したものとすることができる。
【0032】
また、本発明の電気工事用鋏の構成部材である上把手2と下把手4、及び上刃3と下刃5とは、上記実施例にあっては、鉄や鋼等の同一材料から形成されているが、これに限られることなく、例えば、上刃3と下刃5とは、切断性に優れた鉄や鋼等から形成すると共に、上把手2と下把手4とは、握り易さに優れた合成樹脂(プラスチック)材料から形成する如く、異なる材料から形成できるのは勿論である。
【0033】
さらに、本発明の電気工事用鋏の構成部材である上把手2と下把手4とは、上記実施例にあっては、断面円形で握り易い太さに形成されているが、これに限られることなく、例えば、上把手2と下把手4とは、天井部分に天井板を取付ける天井支持材を切断削除するするに充分な長さと、手で握ることができる幅と長さとを備えた断面平板状の長尺板状に形成する如く、異なる形状に形成できるのは勿論である。
【0034】
また、上把手部7、下把手部8、上輪環部11及び下輪環部12は、握り易いようにゴムや軟質合成樹脂(プラスチック)等の弾性材からなるグリップにより、ピッチリと被覆することでより使い易くすることができる。
【0035】
このように、本発明によれば、特殊形状の電気工事用鋏としたので、天井に照明器具を取付ける電気工事の際、障害となる天井支持材を簡単確実に排除することができる等使用範囲を広げた電気工事用鋏とすることができ、
従来不可能であった天井支持材にて支持されている天井板の孔から挿入して作業しずらい天井支持材の切断箇所に上刃と下刃とを当てがうことで、従来不可能であった天井板の上部に設けられたいる天井支持材を簡単かつ確実に失敗のない切断排除作業をすることができる他、汎用的に幅広く照明器具を天井に簡易に取付け、簡単かつ確実に目的の作業することが出来る等の使い勝手に優れた電気工事用鋏とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】 本発明に基づく電気工事用鋏の実施の形態の第1例を示す正面図である。
【図2】 同第1例を示す平面図である。
【図3】 同第1例を示す右側面図である。
【図4】 同第2例を示す正面図である。
【図5】 同第1例と第2例の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 電気工事用鋏
2 上把手
3 上刃
3a 刃
4 下把手
5 下刃
5a 刃
6 支持軸
7 上把手部
8 下把手部
11 上輪環部
12 下輪環部
R 天井板
H 工事穴
M 天井支持材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成された略L字状の上把手と、
上把手の軸線に交差するように上把手の先端に突設され下側に刃を有する上刃と、
上把手に回動自在に設けられると共に略L字状に形成された下把手と、
下把手の軸線に交差するように下把手の先端に突設され上側に刃を有する下刃と、
これら上把手と下把手との先端部を回動自在に支持する支持軸と、
を備えてなる、
ことを特徴とする電気工事用鋏。
【請求項2】
上把手と下把手には、
夫々の後端が握り易い形状の上把手部と下把手部が形成されている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の電気工事用鋏。
【請求項3】
上把手部と下把手部は、
夫々握り易い太さに形成されている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の電気工事用鋏。
【請求項4】
上把手部と下把手部には、
使用時に手を掛けられるようにリング状に形成されている上輪環部と下輪環部が夫々連設されている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の電気工事用鋏。
【請求項5】
支持軸は、
上刃と下刃とが交差する根元部分に設けられている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の電気工事用鋏。
【請求項6】
上把手と下把手、及び上刃と下刃とは、
同一材料から形成されている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項または第2項記載の電気工事用鋏。
【請求項7】
上把手と下把手、及び上刃と下刃とは、
異なる材料から形成されている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項または第2項記載の電気工事用鋏。
【請求項8】
上把手と下把手とは、
断面円形に形成されている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項、第2項または第6項、第7項の何れかに記載の電気工事用鋏。
【請求項9】
上把手と下把手とは、
断面平板状に形成されている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項、第2項または第6項、第7項の何れかに記載の電気工事用鋏。
【請求項10】
支持軸は、
上把手と下把手とを回動自在に支持するように充実円筒状に形成されている、
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項または第5項記載の電気工事用鋏。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−110300(P2006−110300A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329766(P2004−329766)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(504419542)
【Fターム(参考)】