説明

電気式蒸気発生

例えば家庭用アイロンまたはスチームクリーナのような手持ち型の可搬式器具用の、蒸気発生装置は、水入口(50、172)と、ボイラ(52、174)と、ボイラへの水の流入を制御するための弁(46、168)と、弁が開けられたときに水のサージをボイラへ送るための手段(42、152)とを備える。移動式電気器具(1)に電力を供給するためのアダプタ(12)も開示される。本アダプタは、器具に固定され、器具が使用されている間の電力および水の供給をする場合のコード付きモード、または、ベースユニット(91)に固定され、電気および水の接続が、器具(1)をベースユニット上にもしくはベースユニットに当接させて置くことによって接続可能であり、器具をベースユニットから持ち上げるかもしくは離すことによって遮断可能であるようになっている場合のコードレスモードで動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用アイロン、スチームクリーナ、壁紙はがし器、および他の手持ち型(hand-held)蒸気発生器具に用いられる蒸気の電気による発生ならびに関連の様々な構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用スチームアイロンは以前から存在している。それらは底板を備えており、底板は、平らで、アイロンを掛けられるものと接触するように意図され、通常、底板の上側に取り付けられるかまたは埋め込まれた電気抵抗式シーズヒータによって加熱される。従来、アイロン掛けをしやすくするために蒸気を発生させるように設計されたこのようなアイロンは、底板の上面に形成された半密閉空洞を有し、内蔵の貯水容器からこの空洞内に水を滴下して蒸気を発生させ、底板に形成された一連の穴によってこの蒸気を布地上へ漏れ出させる。これらは通気口付き(vented)スチームアイロンとして一般に知られている。通気口付きスチームアイロンは比較的簡単で安価に実現されることから非常に広く普及している。しかしながら、発生させる蒸気が非常に低圧(基本的に大気圧)であってあまり迅速に発生させられず、そのため、比較的非効率である。
【0003】
市場ではその対極に、大型の貯水容器を内蔵した静止ベースステーションにおいて高圧蒸気(例えば3〜5バール程度)を連続的に発生させ、発生させた蒸気を導管コードによって、要求に応じて、ユーザの手持ち型ユニットへ送ることができる職業用または半職業用のスチームアイロン掛けシステムがある。これらは加圧蒸気発生装置付きアイロン(pressurised steam generator iron)として一般に知られている。それらは非常に高性能であるが、非常に高価であり、それゆえ市場で占める割合はほんのわずかである。
【0004】
最近になって、上記の両極端の間のギャップを埋めようとする提案がなされており、そのいくつかが商品化されているが、これらは独自の欠点を持つ傾向がある。例えば、アイロンとは別のベースユニット内に当該ベースステーション内の貯水容器からポンプによって給水されるボイラを設けることが提案されている。瞬間蒸気発生装置付きアイロンとして一般に知られているこれらの構成の主な短所は、実際は、ユーザがボタンを押して蒸気を要求してから蒸気が実際に発生してアイロンへ送られるまでの間に大きなタイムラグ(10秒程度)があることである。このことにより、最終的に蒸気が送達されたときには通気口付きスチームアイロンよりも高い蒸気流量を達成可能であるにもかかわらず、ユーザにはほとんど受け入れられていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、スチームアイロンにおいて、また、スチームクリーナ、壁紙はがし器、他の手持ち型蒸気発生器具などのような蒸気を用いる他の装置においても用いることができる、要求に応じて蒸気を発生させるための改良された構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の局面から見ると、本発明は、水入口と、ボイラと、ボイラへの水の流入を制御するための弁と、弁が開けられているときに水のサージ(surge)をボイラへ送るための手段とを備える蒸気発生装置を提供する。
【0007】
これにより、当業者には、本発明によると、弁を開けてボイラへ水を進入可能にすることによって蒸気を「要求に応じて」発生させることができ、その一方で、ボイラへ水の初期サージを提供することによって固有のタイムラグが削減されるということが分かるであろう。水のサージにより、ボイラが蒸気を発生させることができる定常流量で水が供給されるだけの場合よりも急速にボイラが満たされる。これにより、ユーザが蒸気を利用できるようになる際の遅延が最小限となる。定常流量で供給される場合を上回る合計供給水体積であると考えることができるサージ体積は、典型的に、ボイラの容積よりも少なくなければならない。サージ体積は、「正常の」流れに追加されるとボイラがその設計容量いっぱいまで満たされるようなものであり得る。いくつかの実施形態において、サージ体積はボイラの容積の少なくとも半分である。
【0008】
好適な実施形態において、ボイラは、スチームアイロン、スチームクリーナ、壁紙はがし器、または他の手持ち型蒸気発生器具のような可搬式器具内に設けられる。このことは、ボイラがベースユニット内にある構成と比較すると、ユーザが蒸気を要求してから蒸気が吐出されるまでのタイムラグを大幅に削減するのにも役立つ。蒸気を吐出する際の遅延を最小限にするのに有益であるだけでなく、ベースユニットと移動式ユニットとの間に加圧蒸気に耐えられる管およびコネクタを設ける必要がなくなる。
【0009】
ボイラは、典型的にはサーモスタットで制御されるが、水の流れがないとき(すなわち、弁が閉じられているとき)は弁が開かれて水が流れているときよりも高い温度に達することが可能なように構成されることが好ましい。つまり、ボイラは、追加の熱エネルギーをその熱容量に蓄えることができ、その場合水のサージがより急速に加熱され得るので、弁が開かれた後の初回の蒸気を発生させるまでの時間がさらに削減される。
【0010】
上記の本発明に係る冷水の初期サージを提供する多くの方法を想定することができる。例えば、弁が開いているときは定常流量よりも高い流量を送るように構成された、ボイラへ送水するためのポンプが設けられ得る。しかしながらこれは、現在、比較的複雑でコストがかかる選択肢と考えられている。
【0011】
別の可能性は、水のサージがユーザによって手動で提供される構成を提供することである。便利には、例えば、これは、蒸気の供給を要求するためにユーザによって操作されるボタンまたはレバーに結合された、余分の水を送るように構成された適切な機構によって提供され得る。このような構成の一例においては、追加の貯留部から水を排出させるのに蒸気つまみなどに結合されたレバーが用いられ得、あるいは、他の手段を用いてもよい。
【0012】
なお、上述の本発明によると、水のサージは、弁が開かれているときにボイラに流入する通常の水の流れとは無関係に、例えば別個の入口によって提供され得るが、好ましくは、弁が開けられた後の一時的な流量の増加を含む。
【0013】
好適な1組の実施形態において、水は、弁の上流にある弾性的に充填される貯留部(elastically-charged store)に蓄えられる。したがって、弾性的に充填される貯留部内の水は、弁が最初に開けられたときにサージを提供するために追加の流れを提供することができる。弾性的に充填される貯留部はいくつかの方法で提供され得る。本出願人が想定する1つの可能性においては、弾性的に充填される貯留部は、ボイラに水を供給するための弾性的に膨張可能な管を備えるだけである。実際、管に使用される材料とそれによって水が供給される圧力とによっては、管がいくらか膨らむことは不可避である。しかしながら、本出願人は、上述の望ましい特徴に関連して、本発明に係る水のサージのいくらかまたはすべてを送るためにこのことを積極的に利用することができると考えた。
【0014】
さらにまたはもしくは、別個の弾性的に充填される貯留部が設けられ得る。1組の実施形態において、貯留部は、弾力的に装着されたピストン(resiliently mounted piston)によって作用される貯水容器を含む。別の1組の実施形態において、貯留部は、1つ以上の膨張可能な壁を有する。壁自体が弾性的に膨張可能であってもよく、かつ/または弾性的に圧縮可能な周囲媒体中に膨張してもよい。1組の実施形態において、弾性的に充填される貯留部は、器具内部に配置されて器具内部の空間に膨張するブラダ(bladder)、好ましくは弾性的に膨張可能なブラダを含む。このことは、ブラダが不定形な形状の空間内に膨張可能であり、それにより、外部設計を損なうことなく器具内に収容することがより容易になるため、特に有益である。
【0015】
ボイラに供給するための水は、いくつかの方法で提供され得る。1組の好適な実施形態においては、貯水容器も含む可搬式器具内にボイラが設けられる。貯水容器からボイラへの水の供給はいくつかの異なる方法で行われ得る。例えば、水が流体静力学的な力によって供給されるように、貯水容器が器具の上部(器具が普通使用されることになっている向きに関して)に配置されるだけかもしれない。別の方法はポンプを設けることである。1組の実施形態においては貯水容器が加圧される。これは、例えば圧縮空気室によって達成されてもよく、貯水容器が弾性的に充填されてもよい。
【0016】
上述の内蔵貯水容器は、前述の、ボイラに水の初期サージを提供するための弾性的に充填される水貯留部が設けられる場合は、この貯留部と一体化され得る。しかしながら、別の1組の実施形態においては、貯水容器は別個である。
【0017】
上述の弾性的に充填される「サージ」貯留部の場合と同様に、別個の内蔵貯水容器が設けられる場合は、この貯水容器は弾力的に装着されたピストンによって作用され得る。別の1組の実施形態において、貯水容器は1つ以上の膨張可能な壁を有する。壁自体が弾性的に膨張可能であってもよく、かつ/または弾性的に圧縮可能な周囲媒体中に膨張してもよい。1組の実施形態において、貯水容器は、ブラダ、例えば、膨張時に内部の水に圧力がかかるように構成された膨張可能なブラダを含む。このことは、ブラダが不定形な形状の空間内に膨張でき、それにより、外部設計を損なうことなく器具内部に収容することがより容易になるため、有益であり得る。実際、貯水容器は「サージ」貯留部よりも大きい容量を有することが必要なので、可縮性のブラダの実施形態から得られる利点は、場合によってはより大きくなるであろう。これは、器具内の不定形な形状の空間を使用することができることがよりいっそう有用になるためである。
【0018】
ボイラが可搬式器具内に貯水容器と共に設けられる実施形態のうちのいくつかにおいて、器具はユーザが貯水容器を補充するための手段を含み得る。別の1組の実施形態においては、ベース貯水容器を備えるベースユニットが設けられ、可搬式器具はこれに対応する移動式ユニットである。これにより、移動式ユニットは、移動式ユニットがベースユニットに戻されたときに内蔵の貯水容器を補充することによって、コードレスで動作させることが可能になる。別の(相互に排他的ではない)可能性は、移動式ユニットが上記のようにコードレスモード、または、水がベース貯水容器から直接供給されるコード付きモードのいずれかで動作可能なことである。
【0019】
コードレスの構成においては、内蔵貯水容器、すなわち移動式ユニット上に設けられる貯水容器の容量は、ベースから離して使用される場合に補給が必要になる前に一定期間使用できるように設計され得る。便利には、この時間は、ボイラおよび/またはアイロンの場合には底板が有用な動作のためのある最低温度よりも低くなるのにかかる時間に関連している。好ましくは、貯水容器の容量は、蒸気を10秒間より長く、好ましくは15秒間より長く、好ましくは20秒間より長く発生させるために水を提供するのに十分な容量である。いくつかの実施形態においては、30秒間以上の蒸気に足りるだけの水が蓄えられる。
【0020】
移動式ユニットとベースユニットとを備える他の実施形態においては、移動式ユニットは、ベースユニットが移動式ユニット内のボイラに水を供給するようにコードによってベースユニットに取り付けられたままである。典型的には、このようなコードは器具に電力も供給する。このような実施形態においては、コードレス使用を可能にするための内蔵貯水容器は必要とされない。それでもなお、サージを提供するために、弾性的に充填される貯留部を設けてもよい。固定電気コードを採用する代替の実施形態においては、ベースユニットが設けられず、ユーザによって補充可能な貯水容器が器具上に設けられる。この場合にもやはり、サージを提供するために、弾性的に充填される貯留部を設けてもよい。
【0021】
ベース貯水容器を有するベースユニットを備える実施形態においては、ベースユニットは、ベース貯水容器から移動式ユニットへ送水するためのポンプを備えることが好ましい。ベース貯水容器のない実施形態においては、貯水容器からボイラへ送水するためのポンプが器具上に設けられることが好ましい。
【0022】
1組の実施形態において、ポンプは(どこに設けられていようと)、器具がスイッチオンにされている間連続して動作するように構成される。このことにより、弾性的に充填されるサージ貯留部(設けられている場合)の補充、ベース貯水容器と内蔵貯水容器とが設けられている場合の内蔵貯水容器の補充、または単にボイラへの送水のいずれかにかかる時間を最小限にするために圧力が維持されることが確実になる。ポンプが停止したり、水を送る必要がないときに過剰な流れを吸い込んだりすることを防止するために、バイパス弁(例えば、水を貯水容器へ戻すため)を設けてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態、特に、固定電気コードを有するかまたはコード付きモードで動作する実施形態においては、ボイラが所定の動作温度に達するまでポンプの動作を遅延させるための手段が設けられ得る。温度感受性の制御手段を配置して、上記動作温度に達したことが検出されたときのみポンプへの電気接続を提供してもよい。あるいは、タイマを、ボイラが熱くなることが予測されるような時点までポンプの動作を遅延させるようにプログラムしてもよい。ポンプとボイラの電気加熱手段とは、それらが共通のオン/オフスイッチによって制御され得るように並列に電気接続されることが好ましい。これにより、器具の簡単な「ワンタッチ」操作が可能になり、その一方で、ポンプによりボイラに注水されたときに蒸気発生を急速に開始するのに足りるだけボイラが高温であることも確実にする。有利には、始動時間が削減され得る。
【0024】
さらなる局面から見ると、本発明は、水を加圧下で蓄えるための貯水容器を備え、当該貯水容器が、膨張時に内部の水に圧力がかかるように構成された膨張可能なブラダを含む、コードレスの移動式電気器具を提供する。
【0025】
上記の本発明の第1の局面の本質的または好適な特徴のいずれもがこの発明に適用され得る。このため、1組の実施形態において、上記器具はボイラを備え、それゆえ、スチームアイロン、スチームクリーナ、壁紙はがし器、またはその他の手持ち型蒸気発生器具であり得る。さらに、上記の貯水容器を補充するためのさらなる貯水容器を含むベースユニットが設けられることが好ましい。
【0026】
本発明の以上の局面および実施形態のすべてによると、好ましくは、ボイラは、水入口と、電気ヒータと、蒸気出口と、ヒータと熱接触する少なくとも1つの表面によって境界が定められた蒸発空間とを備え、上記蒸発空間は、上記水入口から遠ざかる方向に拡大する断面積を呈するように構成される。これは、進んで行く間の蒸発空間内の漸増する内部容積とそれに対応する表面積の増加、ならびに、対応する水および蒸気の温度上昇に対応する。このような構成によると、蒸発空間は、比較的小さく始まり、水と蒸発空間の加熱表面とを良好に密接させて効率的に水を蒸発させることができ、その一方で同時に、そうして生じた蒸気が、水入口から遠ざかる、すなわち出口へと流れるにつれて、漸増する容積内に膨張していくことを可能にする。
【0027】
このような構成はそれ自体新規性および進歩性があり、そのため、さらなる局面から見ると、本発明は、水入口と、電気ヒータと、ヒータと良好に熱接触する少なくとも1つの表面によって境界が定められた蒸発空間とを備え、上記蒸発空間は、水入口から遠ざかる方向に断面積が拡大するように構成された蒸気発生装置付き器具用ボイラを提供する。
【0028】
このような構成に係るいくつかの実施形態において、蒸発空間は、水が広がる表面積を最大化して蒸気発生効率を高めるために、非常に浅い。例示的な1組の実施形態において、蒸発空間の高さは滴(drop)の形成を防止するのに十分なだけ低い高さ、例えば3mm未満である。いくつかの実施形態において、蒸発空間は一定の好ましくは浅い高さを有する。ボイラのいくつかの考えられ得る実施において、蒸発空間は、互いに近接した2つの類似形状の表面間に形成される。これら2つの表面の間隔が蒸発空間の高さとなり、このため、1組の好適な実施形態において、2つの表面は3mm未満の隙間によって離隔される。
【0029】
蒸発空間の高さが一定であるとき、請求項に記載の拡大する断面は、漸増する幅によって提供され、前述の水入口から遠ざかる方向において蒸発空間の断面積の増加が得られることが明らかである。いくつかの例示的実施形態において、蒸発表面は凸状、凹状、または円錐状である。扇、三角、半球、放物線、角柱、角錐、および他の適切な形状のような、他の実質的に二次元または三次元の形状を採用して所要の漸増する容積および表面積を提供してもよい。当然ながら、同じ効果を得るために、つまり、内部的に表面積そして蒸発効率を増すためにも、外部的に器具内のボイラに必要な空間を最小化するためにも、他のより複雑な形状を採用してもよい。しかしながら、それと同じように、蒸発空間はただ単に開いたチャンバを備えるだけであってもよい。言い換えれば、狭いことは必須ではない。
【0030】
蒸発空間の境界を定める加熱表面(以下、「蒸発表面」と呼ぶ)は好ましくは非平面である。これにより、器具内部でボイラが占める所与の容積内で利用可能な表面積の最大化が容易になる。1組の好適な実施形態においては、蒸発表面の表面積(表面増大コーティングを施す前に測定される)は、上記表面の最大平面投影(すなわちフットプリント)の1.5倍よりも大きく、より好ましくは1.75倍よりも大きく、より好ましくは2倍よりも大きい。
【0031】
蒸発空間は、水/蒸気が満たされるまでは空であってもよいが、1組の実施形態においては格子構造またはメッシュ構造が設けられる。状況によっては、このことは、加熱される有効面積を増加させることによって蒸気発生効率を高めることができ、ライデンフロスト効果(Leidenfrost effect)(水が非常に高温の表面と接触するときに蒸気の断熱層によって小さい水滴が分離される)を低減するのに役立つこともできる。例示的な1組の実施形態においては、蒸発空間内部に編組み状の金属メッシュが設置される。メッシュ構造は、例えば、先に述べたように2つの対面する表面間に閉じ込め、それにより、メッシュの編組み状要素の交互に上下になる関係によってできるメッシュの主表面の先端部が蒸発表面とそれに対面する表面とに対応する交互配置で接触するようにすることによって、蒸発表面に軽く押し付けられ得る。蒸発空間を格子またはメッシュで塞ぐことは、水粒子の流れを制限するのに役立ちながらも蒸気をより自由に通過させることができ、したがってボイラの蒸発効率を向上させる。1組の実施形態においては、耐食性に有利である1つまたは複数の編組み状ステンレス鋼メッシュが採用される。しかしながら、他の構成、例えばエキスパンドメッシュ(expanded mesh)、穴あき材料、繊維状材料なども同様の有利な効果を提供できる。
【0032】
さらにまたはもしくは、蒸発表面には、顕微鏡レベルでその表面積を増加させかつ/またはライデンフロスト効果を軽減させるテクスチャ(texture)、構造(structure)、またはコーティングが設けられ得る。例えば、当該表面は、表面積と蒸発空間内部を流れる乱流とを増加させるための無数の溝または小構造を作り出す段差、モザイク、またはテクスチャを備え得る。
【0033】
蒸発表面は少なくともその正常動作温度において親水性であることが好ましい。例示的な1組の実施形態において、上記正常動作温度は160℃よりも高い。これは、蒸発表面に用いられる材料の自然な性質であるかもしれず、適切な表面処理によって達成されるかもしくは高められるかもしれず、かつ/または適切な耐熱コーティング材料によって達成されるかもしくは高められるかもしれない。表面処理またはコーティングによって蒸発表面を親水性にする場合、処理またはコーティング後の表面は、処理またはコーティングされていない表面ではライデンフロスト効果が起こるであろう温度において親水性であるべきである。
【0034】
1組の実施形態において、蒸発表面はゼオライト微粒子を含むコーティングで被覆される。好ましくは、上記ゼオライト粒子はナノおよびマイクロ規模の粒子である。1組の実施形態において、コーティングはアルミノケイ酸塩粒子を含む。例示的な1組の実施形態において、粒子はCAS番号1318−02−01または類似の番号を有する。好ましくは、このようなコーティングは、3ミクロン〜100ミクロンの厚さ、しかしより好ましくは3ミクロン〜50ミクロンの厚さの薄膜として施すことを容易にするためにキャリア媒体として作用する結合剤を含む。結合剤は、ゼオライト粒子の構造を飽和させないように、かつ、微孔性の機能性膜層が表面ぬれを改善し水と接触しているときに最小限の表面張力を示すのを容易にするように配合されるのが好ましい。
【0035】
機能性コーティングを形成するための乾燥または硬化前に、ゼオライト微粒子は結合剤中に懸濁させておかれる。機能性コーティングを形成するために固化させると、ゼオライト粒子は結合剤によってカプセル化または部分的にカプセル化され、ゼオライト微粒子が足場として作用し、相互に連結するナノ規模およびまたはマイクロ規模の空隙が部分的に開き部分的に閉じたセル構造を作る、ナノ規模およびまたはマイクロ規模の構造のオープンセルシンタクチックマトリクス(open cell syntactic matrix)を作り出す。機能性コーティングを施す前に、ボイラの内部表面を粗面化処理および脱脂によって準備してもよく、その場合には表面が磨削されて定められたテクスチャが生じ、準備された表面への機能性コーティングの機械的結合の助けとなるが、テクスチャをさらに付与することにもなる。このようなテクスチャは機能性コーティングの伝熱表面に影響を及ぼし得る。好適な粗面化処理方法は、高圧グリットブラスト(high pressure grit blasting)または好適な仕上げを作るのに適切なその他の母材でのブラスチングであるが、他の適切な方法を採用してもよい。
【0036】
上記の任意選択的な特徴を有するゼオライトコーティングをボイラまたは他の液体加熱器、特に、スチームアイロンのような小型の可搬式電気器具用の液体加熱器の蒸発表面に使用することは、それ自体新規性および進歩性がある。したがって、さらなる局面から見ると、本発明は、ゼオライト微粒子を含むコーティングを、接触する液体を加熱して当該液体との間の熱の伝達を高めるために加熱される表面に使用することに及ぶ。本発明はこのようなコーティングが塗布されたヒータまたはボイラにも及ぶ。
【0037】
1組の実施形態において、蒸発空間の少なくとも一部が、中断された流路(interrupted flow path)を呈するように構成される。有利には、このような構造は、少なくとも蒸発空間の出口に最も近い、すなわち、水入口から最も遠い部分に設けられ得る。このような構成は、蒸発しなかった水の蒸発を高めること、また、未蒸発の水滴を蒸気から物理的に分離することも分かっている。本出願人は、蒸気の流れを絞るかまたはその他の方法で制限することによって同様の効果が得られることを見出した。
【0038】
蒸発空間は当然ながら2つ以上の蒸発表面を有し得る。これは、加熱素子の分布や多数の加熱素子を設けることの結果、またはただ単に、直接加熱される表面と別の表面との間の密接な熱接続によるものであり得る。
【0039】
1組の好適な実施形態において、ボイラは過熱蒸気を発生させるように構成される。いくつかの好適な実施形態において、ボイラの温度は100〜500℃、より好ましくは105〜380℃である。ボイラ内部で生じる内部蒸気圧は流入する水圧を上回るものではないことが好ましく、そうでなければ、水が装置に流入することが妨げられ、結果としてその後に蒸気流量が降下し蒸気出力に望ましくない変動が生じることになる。
【0040】
蒸気は、いったん蒸発空間を通過すると、ただ単にボイラから出て行かされるだけでもよい。しかしながら、1組の好適な実施形態においては、ボイラは、蒸気を回収するための手段を備える。このことによって、例えば、ボイラが設けられた器具の蒸気出口に蒸気を送るための1つ以上のパイプに蒸気を運ぶことが可能になる。蒸気を回収するための手段は、未蒸発の水滴を捕集するための手段を含み得る。例えば、これは、チャンバの壁によって運ばれる蒸気の進路を変えさせ、同伴された滴を結果的に排除する、突出する出口管であるかもしれない。
【0041】
1組の実施形態において、ボイラは、蒸発空間と蒸気回収空間とに分割される。1組の実施形態において、ボイラは、ボイラのチャンバの中に設けられた中間部材によって分割される。好ましくは、中間部材は蒸発空間を規定する表面の1つになる。
【0042】
上記の本発明の局面に係るボイラは、蒸気を連続的に発生させるために有用に用いられ得る。しかしながら、蒸気が「要求に応じて」必要とされる器具にとって特に有益である。これは上記に説明した特徴が、少なくともそれらの好適な実施形態において、例えば、ひとかたまりの水を加熱するために加熱素子が用いられるより従来型のボイラと比較すると、水が最初に水入口に流入してからの非常に急速な蒸気発生を可能にするからである。この効果を達成する上での重要な因子は、加圧下で水をボイラに供給することであり、このため、特に好適な1組の実施形態は、上記の種類のボイラ、または実際には、拡大する断面積という特徴を含むかもしれない上記の特徴のうちのいくつかのみを有するボイラを、加圧水をボイラの水入口に供給するための手段を備える器具内に有する。先に述べたように、このような器具は、例えば電気アイロン、スチームクリーナ、壁紙はがし器、またはその他の手持ち型蒸気発生器具を含み得る。水を加圧するための手段は、上記の手段やその他の手段のいずれであってもよい。水供給の圧力は、好ましくは0.5バールよりも高く、例えば1バールよりも高く、最大で3バールまたはそれ以上であるかもしれない。
【0043】
ボイラを「要求に応じて」蒸気を発生させるために用いる場合、ボイラに水が満たされてから蒸気を発生させるまでの初期遅延を最小化するためには、ボイラに水が入っていないときに、ボイラの温度を上昇させ、したがって、最初に充填される水を加熱して可能な限り急速に沸騰させるために用いることが可能な熱エネルギーを蓄えさせることが有用である。1組の好適な実施形態において、ボイラが蓄えるようになっている使用可能エネルギー、つまり蒸気を発生させるために利用可能な熱エネルギーの量は、20キロジュールを超え、より好ましくは35キロジュールを超え、より好ましくは50キロジュールを超える。
【0044】
上記の説明から明らかなように、本発明の多くの実施形態においては移動式器具とベースユニットとが存在する。多くの電気器具にとって、移動式ユニットがベースユニットへのコードレス電気接続を有すると便利である。これは、例えば、移動式ユニットが、ベースユニット上に置かれているときに定期的に再充電するだけでよい電池を含むからであり得、または、例えばやかんもしくはコーヒーメーカーの場合に、電力が必要なのは短時間だけであり、コードレス接続によって器具を必要な場所へ移動させることが可能になるということであり得る。しかしながら、本発明は、固定電気コードを有する器具にも及ぶ。
【0045】
アイロンの場合、入手可能なコードレスアイロンが多くあり、これらは明白な便利な長所を有しているが、市場のかなりの部分に、コードレスアイロン、特にコードレススチームアイロンは、定義上アイロンを使用している間はエネルギーを供給できないためコード付きのものと比較すると性能が大幅に劣る、という認識がある。本出願人はどちらの方法にも長所と短所があると認めていた。したがって、両構成の長所のうちのいくつかの達成を図る構成を考案した。したがって、本発明のいくつかの実施形態によると、移動式器具に電力を供給するためのアダプタであって、当該器具が使用されている間の電力の供給を可能にするために器具に固定された第1のモードつまりコード付きモード、または、アダプタと器具との間の電気接続が器具をアダプタ上にもしくはアダプタに当接させて置くことによって接続可能であり、器具をアダプタから持ち上げるかもしくは離すことによって遮断可能である第2のモードつまりコードレスモードで動作可能なアダプタが提供される。
【0046】
このため、本発明のこれらの実施形態によると、移動式器具をユーザの要求に応じてコード付きモードまたはコードレスモードのどちらかで動作させ得ることが分かるであろう。例えば、電気アイロンに関連して、ユーザは、おそらく蒸気を使用せずに、一連の軽いアイロン掛け作業を行いたい場合には、便利にはコードレスモードでアイロンを使用し、衣服と衣服との間でアイロンをアダプタ上に戻して再加熱する。あるいは、おそらく多くの蒸気を必要とする、重いアイロン掛け作業が発生した場合、ユーザは、アダプタをアイロンに取り付け、アイロンを実際に使用している間に電力が供給される機能の利益を享受することができる。
【0047】
アダプタは、器具に固定されていないときはある表面に直接置かれるように設計され得るが、1組の好適な実施形態においては、代わりにベースユニットに固定されるように設計される。このことは、それ自体新規性および進歩性があり、それゆえ、さらなる局面から見ると、本発明は、移動式電気器具に電力を供給するためのアダプタであって、当該器具が使用されている間の電力の供給を可能にするために器具に固定された第1のモードつまりコード付きモード、または、ベースユニットに固定され、アダプタと器具との間の電気接続が、器具をベースユニット上にもしくはベースユニットに当接させて置くことによって接続可能であり、器具をベースユニットから持ち上げるかもしくは離すことによって遮断可能であるようになっている第2のモードつまりコードレスモードで動作可能なアダプタを提供する。
【0048】
アダプタは、電力を提供するのに適切なコンセントに直接接続可能であってもよいが、好ましくはベースユニットに接続され、ベースユニットがコンセントに接続される。
【0049】
以上から明らかなように、本発明の有利な考えられ得る実施の1つは、手持ち型の蒸気器具との関連にある。よって、好適な1組の実施形態において、アダプタは器具に水を供給するための手段も備える。ここでもやはり、これは、考えられるところでは、アダプタに直接接続された別個の水接続によってもたらされ得るが、好ましくは、ベースユニット内の貯水容器が含まれる。このため、別の局面から見ると、本発明は、移動式電気器具に電力を供給するためのアダプタであって、当該器具が使用されている間の電力および水の供給を可能にするために器具に固定された第1のモードつまりコード付きモード、または、ベースユニットに固定され、アダプタと器具との間の電気および水の接続が、器具をベースユニット上にもしくはベースユニットに当接させて置くことによって接続可能であり、器具をベースユニットから持ち上げるかもしくは離すことによって遮断可能であるようになっている第2のモードつまりコードレスモードで動作可能なアダプタを提供する。
【0050】
水の供給を提供することにより、アダプタが取り付けられていないときの、アイロン内の貯水容器が使用され器具がアダプタ上に戻されると補給されるコードレスモード、または、水および電気を供給でき、より長くかつ/もしくはより高性能の使用を可能にするコード付きモードでの動作が可能になる。好ましくは、アダプタから器具へ水を供給するための手段は、アダプタと器具とが接続されていないとき、接続の作業中、または接続されているときに、アダプタからまたは器具からの漏れを防止するために接続の両側に弁手段を備える。
【0051】
器具とベースユニットとは、意図されずに互いの接続が切断されることがないように設計されるべきである。電気の接続のみが行われているときは、電気接点間に良好な電気接続を維持するために必要なばね力よりも典型的にははるかに大きいであろう器具の重量のみによってこれを達成することは比較的容易である。しかしながら、水の接続も提供されている場合、特に水がかなりの圧力で供給されている場合は、器具の重量だけでは、強固な接続の維持を確保するのに十分ではないことがある。これは、電気接点のばね力だけでなく、それぞれの弁を開いた状態に保持するのに必要な力と水圧による力とが、コネクタを分離させるように作用しやすいからである。
【0052】
したがって、本発明のいくつかの考えられ得る実施形態において、ベースユニットおよび/または器具は、それらの間の接続の望ましくない切断を防止するように構成される。いくつかの実施形態において、このような構成は器具をベースユニットに固定する手段によって提供することができる。実際には、これは単に、コード付きモードでの使用のためにアダプタを器具に固定できる手段と同じ手段であり得る。しかしながら、これは、クリップまたは他の締結手段を確実に切り離してからでないと器具をベースステーションから持ち上げるかまたは離すことができず、そのことはコードレス器具に関連付けられる便利な長所のいくつかを無にするため、ユーザにとって比較的不便であると考えられる。
【0053】
1組の実施形態において、ベースユニットおよび器具は、接続の軸に実質的に平行な方向における分離を防止するが、上記軸に平行でない方向における器具の取り外しを可能にする手段を備える。このような実施形態においては、ベースおよび器具の構成は、コネクタを分離させようとする加圧水供給の力および/または電気コネクタの接触力を受けて接続が切断されることを防止し、その一方でなお、ユーザがただ器具を適切な方向に持ち上げるだけで器具をベースから取り外すことを可能にする。これを実施する1つの考えられ得る方法は、傾動または回転操作によって器具を着座させ得る凹部をベースユニット上に設けることであり、当該凹部の先端壁、またはその他の機械的構成がコネクタ軸、すなわち器具を置いたり取り外したりするのに必要な上記傾動操作の接線に沿った移動を防止する。別の例は、器具またはベースユニットの一方に設けられ、他方における対応する機能と協働するフックまたは隆起部である。
【0054】
このような構成はそれ自体新規性および進歩性があり、このため、さらなる局面から見ると、本発明は、ベースユニットとコードレス器具とを備え、上記ベースユニットと器具とがベースユニットから器具へ加圧流体を供給する相互に協働する接続手段を備えるコードレス電気式蒸気発生システムであって、ベースユニットと器具とが上記接続の軸に平行な方向における相互の分離を防止するが、上記軸に平行でない方向における器具の取り外しを可能にする手段をさらに備えるシステムを提供する。
【0055】
上述のように、この構成は、コネクタを分離させようとする比較的強い力が存在する場合、例えば、コネクタが加圧水コネクタを含む場合に、特に有益である。本発明のこの局面の例示的な1組の実施形態およびそれに関連付けられる前述の局面の実施形態においては、コネクタを分離させようとする力は器具の重量の4分の1よりも大きい。このような応用例においては、コネクタを閉じる力を提供するために器具の重量だけに頼ることは勧められない。これは、比較的大きな反発力が確実な接続を困難にしうるからであり、ちょっとした衝突または振動に対して接続が不安定になり得るからである。
【0056】
上記の構成によると、コネクタ上に閉じる力を提供するために器具の重量に頼る必要がもはやないので、システム設計者には器具をベースユニットに載置する向きに関してより大きい自由が与えられる。このため、コードレスの水コネクタおよびもしかすると電気コネクタは、器具が立つようになっている器具の面に設けられることが必要とされるのではなく、違う表面に施され得る。電気アイロンに関連して一例を挙げると、コードレスコネクタはアイロンを使用中に休ませるときに立たせるアイロンの後端に設けられるかもしれないが、アイロンは、ベース上に置かれているときは、水平に近い角度や完全に水平に置かれ得る。よって、1組の実施形態においては、垂直に対して45°未満の角度を有する表面上に電力および水の接続を有するコードレスベースユニットが提供される。
【0057】
電力および水の両方のためにコードレス構成が設けられる場合、完全に独立したコネクタを設けてもよい。しかしながら、器具をベースユニットに嵌合させるのに2つの別個のコネクタを同時に位置合わせすることが必要になるかもしれないので、独立したコネクタを設けることにより、器具とベースユニットとの嵌合がより困難になり得る。好適な実施形態において、電力および水の接続は、当該技術分野においてしばしば共通コーニング構成(common coning arrangement)と呼ばれる、嵌合部品の相互の位置合わせで提供される。言い換えれば、係合または係合解除の際に器具のベースユニットへの接近方向を制御する単一の案内位置合わせシステムがある。1組の好適な実施形態において、接続は、一方のコネクタ対を物理的に接触させ、次いで完全に位置合わせされる軸に近づけた後で、他方のコネクタ対を物理的に接触させるように構成される。このように順次接触させることは、一方のコネクタ対が最初に接触するときの初期角度に対する許容誤差が他方のコネクタ対よりも大きい場合に有益である。例えば、しばしばコーニング角(coning angle)として知られている、初期角度に対する許容誤差は、水コネクタよりも電気コネクタの方が大きい傾向がある。
【0058】
水コネクタと電気コネクタとを横に並んで配置させてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態においては、これらは、アイロンまたは他の器具がベースユニット上にあるときに上下につまり一方が他方よりも高い位置に配置される。このことは、ベースユニットによって垂直面内の位置合わせがなされるため、ユーザが行わなければならない位置合わせの程度を限定するので有益である。
【0059】
1組の実施形態においては、各コネクタの半分が器具およびベース部分の一方に凹状に設けられ、コネクタの残り半分がベースユニットおよび器具の他方に、対応する凸状に設けられ得る。
【0060】
本発明の様々な局面の、いくつかの組の実施形態においては、ベースユニットは、ベース上にコードレス器具ユニットが置かれているときに当該コードレス器具ユニットへ加圧水の供給を提供するために用いられる。いくつかのこのような実施形態においては、ベースの水供給が常に加圧される。これは、これらの好適な実施形態によると、このことによって器具内の加圧された貯水容器を再充填することが可能になるからである。先に言及したように、ベースと器具とが、器具がベースに完全に係合したときに水圧によるコネクタの分離を防止するようになっている構成においても、それでもなお、水圧の存在とそれぞれの弁を開いた状態に保持するために必要な力とにより、ユーザがコネクタをつなぐことがより困難になり得る。これらはどちらも電気コネクタ内のばね接点が及ぼす力に追加されるものである。
【0061】
1組の実施形態において、ベースユニットには、ユーザがコードレス器具をベースユニットに接続および場合によってはベースユニットから切断している間、加圧水供給の圧力を低下させるための手段が設けられる。当然ながらこれを実現し得る多くの方法が存在する。例えば、ユーザによる手動の介入、例えばボタンを押すことを用いてもよい。しかしながら、ベースユニットは、コードレス器具がベースユニットに係合されたときにそれを検出するように構成されることが好ましい。
【0062】
光学センサ、磁気センサ、静電容量センサなどを用いてこれを実現することはどのようにしてもできるが、好ましくは、簡単なマイクロスイッチが、器具が係合されると動作させられるように構成される。これは、例えばポンプを減速させるかもしくはスイッチオフにすることによって圧力を低下させる電気マイクロスイッチ、または、例えば弁または絞り弁を閉じて水の流れを制限するかもしくは止める直接的な機械構成であってもよい。
【0063】
加圧水が移動式ユニットに供給されるかまたは蓄えられる本発明のすべての局面および実施形態によると、水の圧力は、好ましくは少なくとも0.5バール、好ましくは少なくとも1バールであり、場合によっては3バールよりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明のいくつかの好適な実施形態を単なる例示として説明する。図面において、
図1は、本発明の一実施形態に係るアイロンの斜視図であり、
図2は、図1に示すアイロンに電力および水を供給するためのアダプタの図であり、
図3は、アダプタが装着されたアイロンの内部構成要素を示す切り欠き図であり、
図4は、明瞭化のために内部構成要素のいくつかが取り除かれた、図3と同様の図であり、
図5は、水および蒸気システムを構成する内部構成要素の図であり、
図6は、2つの蓄圧器の拡大断面図であり、
図7は、小型の蒸気発生装置モジュールの拡大図であり、
図8は、外側カバーが取り外された蒸気発生装置の分解図であり、
図9は、蒸気発生装置の断面図であり、
図10は、蒸気発生装置の別の断面図であり、
図11は、コード付きモードで動作する図1〜図10を参照しながら説明したアイロンおよびベースステーションの斜視図であり、
図12は、コードレスモードでアイロンを使用するために構成されたベースの図であり、
図13は、ベースに着座させたアイロンの図であり、
図14a〜図14eは、蓄圧器のどちらかまたは両方の様々な代替の実施形態を模式的に示し、
図15は、本発明の別の実施形態の斜視図であり、
図16および図17は、外側ハウジングが取り外された図15の器具の、それぞれ側面図および背面図であり、
図18は、蓄圧器の断面図であり、
図19は、ボイラの図であり、
図20は、ボイラの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、本発明のいくつかの局面を具体化するスチームアイロン1の外観図である。図1には、本体2と、電気加熱される底板4と、ハンドル6とが示されている。本体2上、ハンドル6の下に、温度選択つまみ8が設けられている。ハンドル6の前部にさらなるつまみ10が設けられ、ユーザがアイロンによって供給される蒸気の量を制御できるようになっている(あるいは、蒸気のスイッチをオンまたはオフできるようにするだけということもあり得る)。アイロンの後部に、コードレス電気コネクタ24(ここでは本出願人のP75コードレス電気コネクタセットの雄部であるが、当然ながらその他の適切なコネクタを用い得る)および水コネクタ26がある。
【0066】
図2は、アイロンに電力および水を供給するための、アイロンの後部に接続されるアダプタユニット12を示す。アダプタは外側本体14を備える。本体14の一面から、本出願人のP75コードレスコネクタセットの雌部16が突出している。電気コネクタ16の上方に、弁20を備える水コネクタ18がある。導管コード22が、アダプタ12をベースユニット(図示せず)に接続し、個別に絶縁された電線と水を移送するための管とを内部に担持している。これらはそれぞれ電気コネクタ16と水コネクタ18に接続される。
【0067】
図3および図4は、アダプタ12が接続されたアイロンの切り欠き図を示す。このため、アイロンの後部において、電気コネクタ16、24が嵌合しており、水コネクタ18、26も同様に嵌合している。水コネクタ部品18、26は、互いに密封接続されると弁20とそれに対応するアイロン側コネクタ部品26の弁(図示せず)とに圧力がかかって水を流れさせるように構成されている。各水コネクタ18、26の弁は、アダプタ12がアイロンから分離されているときの水漏れを防止する。
【0068】
アイロンの底板4の内面には、従来のように、底板4を加熱するための抵抗加熱素子が内部に設けられた素子ブロック28がある。底板素子は、図4においてより明瞭に示されるが底板素子と良好に熱接触しているサーモスタット構成30によって、電力入口24に接続される。温度制御つまみ8は、電源をオンオフするため、かつ、底板4を所望の温度範囲にするようにサーモスタットを設定するために、サーモスタット構成30に接続される。ボイラモジュール52も見えている。
【0069】
ここで、アイロン内部の水および蒸気システムについて、明瞭化のためにアイロンの残りの部品が取り除かれた図5を参照しながら説明する。短い可撓管32が水入口コネクタ26をT字形コネクタ34に接続し、当該T字形コネクタの幹部が、さらに以下でより詳細に説明するように使用時に内蔵貯水容器を形成する蓄圧器36に接続される。さらなる短管38が、T字形コネクタ34を、さらに以下でより詳細に説明するように使用時にサージ水貯留部として作用する第2の蓄圧器42上の第2のT字形コネクタ40に連結する。
【0070】
図6は、2つの蓄圧器36、42の断面図をより詳細に示す。本図から分かり得るように、各蓄圧器36、42の内部にそれぞればね付きピストン37、43がある。これらのピストン37、43は各蓄圧器の内部に溜められている水に圧力をかける。かけられる圧力は、対応するばねのばね力に依存する。本実施形態では、サージ蓄圧器42内のピストン43のばね力の方が内蔵貯水容器蓄圧器36内のピストン37のばね力よりも大きい。つまり、サージ蓄圧器42は、水の供給の初期にいったん空になると、内蔵貯水容器蓄圧器36によって補充されることはない。
【0071】
より長い可撓管44が、サージ蓄圧器42上のT字形コネクタ40を、ユーザ操作可能な蒸気つまみ10によって操作される可変弁46に接続する。あるいは、簡単なオンオフ弁が用いられ得る。弁46の下流にはさらなる管48があり、その他端はボイラモジュール52の入口50に接続する。ボイラモジュール52については、図7〜図10を参照しながら以下でより詳細に説明する。ボイラモジュールからの蒸気出口54は、さらなる管56に接続される。管56は、ボイラモジュール52から出る蒸気を底板4(図3参照)の上側に形成された素子ブロック28内のプレナムへ送り込み、そして、プレナムから底板の複数の穴を通して外へ送る。
【0072】
ここで、この新規なボイラモジュール52について、図7〜図10を参照しながらより詳細に説明する。図7は、ボイラモジュール52の外観を示す。ボイラ52は、例えば雲母の1つ以上の層からなるがいかなる適切な物質からなるものであってよい耐熱カバー58によって、大部分が覆われている。モジュールの右下の領域(図7から見たとき)に、水入口50と、被覆された電気抵抗加熱素子60の端部とが示されている。素子60への電気接続を可能にするために、突出金属コネクタ62(当該技術分野ではコールドテール(cold tail)として知られている)が設けられている。同様のコールドテール64が、図7の左側に見える上記素子の他端に設けられている。高温調節器66が、ボイラの下側本体部材70上のフランジ68(図8参照)に当接して設けられている。
【0073】
蒸気出口54は、図7の左上部分に見えている。
【0074】
ここで特に図8を参照すると、ボイラの主要部は4つの主要部分、つまり、すべてダイカスト非鉄金属製または他の適切な材料製であり得る下側本体部材70、それに対応する上側本体部材72、および中間の円錐形部材74、ならびに、例えばステンレス鋼製の円錐形メッシュ層76からなる。
【0075】
組み立て時、上側および下側の本体部材70、72は、適切な手段により締め合わせられ、このことにより、中間の円錐形部材74とメッシュ円錐76とが両部材間に保持される。明瞭化のために省略されているが、上側本体部材72と下側本体部材70との間に適切な耐熱シールが設けられる。
【0076】
下側本体部材70が中間の円錐形部材74を受け入れる円錐形のチャンバ78を内部に規定していることが分かり得る。このチャンバ78の内壁は一連の同心状の環状段差を有して形成されており、この目的については後述する。円錐形部材74は、その表面全体にわたってチャンバ78の壁から一定の距離だけ離間され、狭い蒸発空間を形成する。蒸発空間は、この狭い隙間の両側の表面に触れるほどの厚みを有するメッシュ76によって満たされる。
【0077】
図9は、組み立て後のモジュール52の断面を示す。本図は、下側本体部材70の壁が、埋込み加熱素子60を収容するため、上側本体部材72の壁よりもはるかに厚いことを示している。図9では埋込み加熱素子が形成する通路80だけが見えるように省略されているが、この埋込み加熱素子は製造時に下側本体部材に鋳込まれる。加熱素子60が下側本体部材70の壁に埋め込まれていることは、図10に示されている。この素子は、下側本体部材70によって形成される円錐形のキャビティの周りに巻き付くように、ほぼ螺旋状である。このことにより、チャンバ78の下側に先細になっている壁全体にわたって均一な熱分布が確保される。
【0078】
蒸気チャンバ78の最も低い位置に、下側本体部材70の壁の中を通り、水入口50と流体連通する別の通路の開口部82がある。チャンバ78の最上部には、チャンバ78の内部へ下向きに突出し、上側本体部材72の中を通る狭い通路86と流体連通し、蒸気出口54と連通する短い管84によって形成される蒸気出口がある。
【0079】
図8、図9、および図10から分かるように、中間の円錐形部材74は、中実の下部88を備え、その上部の周りに一連の穴90を有する。明瞭化のために、メッシュ円錐は本図では省略されている。メッシュ円錐も中間の円錐形部材も必須ではないことが理解される。
【0080】
内部の伝熱表面、すなわちチャンバ78および中間の円錐形部材74の壁は、水への伝熱を高める機能性熱弾性表面コーティング(functional heat resilient surface coating)で被覆される。このコーティングは、特に160℃よりも高く380℃よりも低い動作温度で、水による熱吸収速度を向上させる。機能性コーティングは、代わりに、チャンバ壁78の下側の先細部分と上記中間部材の中実部分88との間の蒸発空間の内部のみに選択的に施され得る。チャンバの設計により、組み立て前にこのように簡単に選択的に施すことが容易になる。コーティングは、一回塗りで施すことができる。しかしながら、耐久性を確保するために、その後で高温で硬化させることが必要な場合がある。コーティングを施す方法は、必ずしも複雑なものである必要はなく、高性能な設備なしで、例えばスプレー、ブラシ、ローラ、またはその他の適切な方法で行うことができる。しかしながら、電解、静電、プラズマ、熱スプレー、真空蒸着、スピンコート、ゾル−ゲル法、蒸着などのような他の方法を採用することも可能である。
【0081】
機能性コーティングは、親水性表面を提供し、蒸発空間の被覆された表面に微細構造を与えることによって蒸発空間の利用可能な伝熱表面積を大幅に増加させる。コーティングが表面マトリクスおよび微細なテクスチャの表面を作るため、コーティングによって微細表面および部分的に表面下の構造(sub-surface structure)が付与される。その上、コーティングは熱的に衝撃弾性を有し、内部表面に強力に付着し、好ましくは腐食を抑制する。
【0082】
ボイラの内部構成が、ナノ規模(nano scale)からマイクロ規模(micro scale)の範囲で伝熱効率を向上させるように働く機能性コーティングなどの使用により、異なる規模で作用するように構成された伝熱表面を有することが分かるであろう。コーティングが施される表面は、マイクロ規模からナノ規模で作用するコーティングにテクスチャを付与するように構成される。他方で、段差が付けられた表面構造がマクロ規模(macro scale)での伝熱を高めるように作用する。したがって、蒸発空間は、マイクロおよびナノ規模のさらなる複合伝熱表面/マトリクス相互作用が機能性コーティングによって提供された複合伝熱表面/マトリクスとして作用する。段差構造はコーティング付着の助けにもなり得る。
【0083】
ボイラの様々な内部区画、キャビティ、および開口部は、水/蒸気の内部流れに対する所定の様々な抵抗を生じさせるように、また、優先的な流れ方向も提供するように、配置される。ここで、概して上記区画は流体の温度および性質に対応して容積が順次増加するように構成される。したがって、流体がチャンバを通過して出口へと進むにつれて、チャンバの内部の流れに対する障害物および抵抗が減少していく。この構成は、ボイラ装置内で生じる内部蒸気圧が当該装置に流入する水圧よりも大きくならないようになっている。このことにより、水の装置への流入が妨げられ、それに伴って蒸気流量の降下と望ましくない蒸気出力の変動とが起こることが回避される。
【0084】
図11は、コード付きモードで使用されるように構成されたアイロン1とそれに対応するベースステーション91とを示す。ベースユニット91の容積のほとんどは、注入口92から満たされ得る内部貯水容器によって占められる。水吐出パイプが貯水容器内へ延び、ナトリウム、カリウム、または水素型の脱塩フィルタ(a sodium, potassium or hydrogen form demineralising filter)によって終端する。吐出パイプは、貯水容器から導管コード22内のパイプに沿ってアダプタ12の水出口18(図2参照)へと送水することができる電気作動式ポンプ(図示せず)に接続される。この構成は、水位よりも上または下のどちらかで貯水容器内に開くことができる圧力開放弁を含む。圧力開放弁は、万が一システムのいずれかの部分が閉塞した場合に、危険な圧力上昇を防止する。ポンプを連続作動させる場合は、ポンプが過熱してその信頼性を低下させることになるポンプの停止も防止する。上記フィルタは貯水容器とポンプとの間に設けられるが、これは必須ではない。このような弁の使用に特有の水の再循環も水の濾過を向上させるのに有益である。
【0085】
ベースユニットの最上部に、緩やかに傾斜し湾曲したベース部106と当該ベース部106と直角をなす直立部108とを備えるアイロン用スタンドがある。使用時には、ベース部106はアイロンの底板と対向し、アイロンの後部が直立部108にもたせかけられる。直立部108は、アダプタ12をぴったり受け入れられる形状になっている。直立部の後部には、図12を参照して以下で説明するようにアイロンをコードレスモードで使用中にアダプタ12を直立部108に係止するための係止ピン96を進退移動させることができる、ユーザ操作可能なつまみ94がある。
【0086】
ベースユニット91の他端に、C字形の断面を有する回転クリップ98がある。図13を参照して後述するように、このクリップはアイロンの底板4の先端を受ける。この少し下にベース部106から突出しているのは、アイロンがスタンドに置かれるとそれを検出することができるマイクロスイッチ110である。当然ながら、その他の接触式または非接触式センサ構成を代わりに用いてもよい。
【0087】
図11では見えないが、ベースユニットを電源コンセントに接続するための電気コードも設けられる。これは、ポンプ用の電力を提供し、導管コード22を介してアダプタ12への電力供給も提供する。
【0088】
図11において、アイロンはコード付きの構成で用いられている。この構成では、アイロンが使用されている間ベースユニット91から水および電気を供給できるように、アイロン1の後部にアダプタ12が固定されている。
【0089】
図12においては、アダプタ12は、代わりにベースの直立部108に係止ピン96を用いて固定されており、アイロンをコードレスモードで使用可能にしている。このモードでは、水および電気は、アイロンがベースユニット91に置かれているときのみアイロンに供給される。
【0090】
図13は、ベースに着座させたアイロン1を示す。ここでは、底板4の先端が回転クリップ98に受け入れられると、クリップは回転し、コードレスコネクタ18、24を含むベースユニット直立部108に固定されたアダプタ12から遠ざかる軸方向の動きを防止するように底板を係止することが示されている。このことにより、ポンプからの水圧、弁圧、および電気接触力によってもたらされる分離力を受けてアイロン1およびアダプタそれぞれのコードレスコネクタが分離することが防止される。C字形断面を有するクリップ98は、底板4の平面に平行な方向、すなわち水および電気のコードレスコネクタの軸に平行な方向において、直立部108に対するアイロン1の相対移動を防止する。したがって、これらのコネクタが分離しようとするのが防止される。しかしながら、アイロンの着脱は、アイロン1をクリップ98から外れるように傾けて取り外すことと、アイロンをクリップ98に嵌まるように回転させて元に戻すこととによって、簡単に行うことができる。当然ながら、その他の多くの構成がこの効果を得るために用いられ得る。
【0091】
図14a〜図14eは、アイロンに設けられた蓄圧器(図6参照)の一方または両方のさらなる考えられ得る実施形態を模式的に示す。図14aおよび図14bは、蓄圧器内部空間を水収容空間120と圧縮性媒体122、例えば圧縮永久ひずみの低いエラストマ材料とに分割する可撓性内膜118を有する蓄圧器116を示す。すなわち、水が空間120を満たすにつれて、媒体122は圧縮されるが水に対して反動の圧力をかけ、水を加圧する。
【0092】
図14cはこの変形例を示し、この例は、蓄圧器116’の壁の形状が必ずしも定形でなくてよく、したがって器具内部の不定形な空間に合うように設計することができ、それにより空間を最大限に利用できることを例示している。図14dおよび図14eは、ブラダ(bladder)124が水が満たされるにつれて圧縮性媒体122中に膨張することができる、同様の構成を示す。ブラダ124自体が弾性的に膨張可能で、水が満たされたときに水にかかる圧力を高めるものであってもよい。
【0093】
ここで、アイロンの動作について図1〜図12を参照しながら説明する。
【0094】
まず、コードレスモードでの動作について説明する。図12を参照すると、アダプタ12は係止ピン96(見えていない)によってベースユニットの直立部108に固定されている。動作を開始させるには、アダプタの電力および水それぞれのコードレスコネクタ16、18がアイロンの対応するコネクタ部品24、26に係合するように、アイロン1をベースユニットに置く。本実施形態では、アイロンがスタンドに置かれると、マイクロスイッチ110がアイロンの存在を感知し、ポンプをスイッチオンにしてアイロンへの送水を開始させる。あるいは、ポンプは連続作動することが可能である(この場合、マイクロスイッチは省略され得る)。水は、導管コード22内の水管を通り、コードレス水コネクタ18、26の開かれた弁を通り、アイロン内部の水システムへ送り込まれる。アイロンがベース上にある間はユーザによって操作される可変弁46が閉じられていなければならないため、ポンプによって生じる水圧は、各ばね付きピストン37、43が及ぼす力に逆らって内蔵貯水容器蓄圧器36とサージ蓄圧器42とを満たす。蓄圧器36、42および様々なパイプ32、38、44が水で満たされると、システムは完全に加圧された状態となり、ベース内のタンク92からの水の流れが止まる。圧力開放弁が設けられている場合、この弁は水の流れを変えて貯水容器内を再循環させるように作用する。
【0095】
アイロン1がベース91上にある間、導管コードとコードレスコネクタ部品16、24とを介して電力が供給され、底板素子(図示せず)を加熱する。当該技術分野においてよく知られているように、この加熱は、サーモスタット30によって、温度制御つまみ8の設定に応じて調節される。底板素子の加熱とは別に、ボイラの下側本体部材70に埋め込まれた被覆された抵抗加熱素子60にも電力が供給される。これはボイラをはるかに高い温度、例えば160℃〜380℃に到達させる別個の高温調節器66によって制御される。
【0096】
図示しないが、1つ以上の表示灯または他の形態の表示がユーザに対して提供され、水システムが充填されたこと、底板が設定温度に達したこと、および/またはボイラが所定温度に達したことが示されるかもしれない。その場合、ユーザは、コードレスベースからアイロンを持ち上げるかまたは離すことにより両者間の電気および水の接続を遮断することができる。ベースユニット上に残っているアダプタ12のコードレスコネクタ18の弁20は、導管コード内の加圧水の漏出を防止する。アイロン側コネクタ26内の同様の弁は、アイロン内の加圧されたシステムからの漏出を防止する。ベースからアイロンを持ち上げるかまたは離すことにより、マイクロスイッチ110も再び開き、ポンプが連続作動するように構成されている場合以外はポンプをスイッチオフにする。
【0097】
底板4およびその素子の有効熱容量とは、底板4の温度が適当な時間にわたって有効なアイロン掛けを行うのに十分に高い温度のままであることを意味する。ユーザは、アイロン使用中に蒸気を必要とする場合は、以下に説明するように、つまみ10を操作して弁46を開くことでボイラ52に水を流入させるだけでよい。
【0098】
まず弁46が開けられると、主にサージ蓄圧器42からの圧力下で水のサージが発生する。この水の初期サージがボイラ52を急速に満たし、蒸気を非常に迅速に発生させる。これは、ボイラ、特に、調節器66が到達可能にする高温の結果としてかなりの量の熱エネルギーが蓄えられる下側本体部分70の高い熱容量によって、さらに高められる。このサージの結果、ボイラはほぼ最大限まで満たされ、このことが、下側本体部分の初期温度が高いことと相まって、定常状態の蒸気発生速度よりも速い速度で蒸気の「シューッという音」を発生させる。
【0099】
ここで、ボイラモジュール52の動作について図8〜図10を参照しながらより詳細に説明する。水はまず入口50からボイラに流入する。水はボイラの下側本体部分70の内部導管(図示せず)を通過する。水はこの導管を通過しながら予熱され、その結果、沸騰チャンバに流入するときには水温度は周囲温度よりもかなり高くなっている(但し、沸点未満である)。水は、円錐形沸騰チャンバ78の頂点の開口部82から当該沸騰チャンバに流入する。水は、最初はサージ蓄圧器42、次いで内蔵貯水容器蓄圧器36によって与えられる圧力を受けて押し込まれる。水は、加圧されながら、チャンバ78の段差が付けられた壁と中間部材74の中実の中央部分88との間の狭い隙間に押し込まれる。このことにより、比較的小さいボイラ容積から比較的大量の水を蒸発させて蒸気にすることを可能にする極めて高効率の表面積対容積比が提供される。チャンバ78の円錐形壁とそれに対応する円錐形部材88との間に規定される蒸発空間の形状は、蒸発空間の断面積が、水が円錐を上方へ移動するにつれて入口82から遠ざかる方向に増加することを意味している。この漸増する容積は、蒸発過程で生じる蒸気の膨張を可能にし、したがって、圧力の上昇が水の流入流量を低下させようとする傾向を制限する。この非常に狭い蒸発空間と、段差が付けられた形態のチャンバ壁と、チャンバ壁と中間部材74とに施されたゼオライトコーティングとが一緒になって作用し、ライデンフロスト効果(Leidenfrost effect)を軽減して同効果が蒸発速度に重大な影響を及ぼすことがないようにする。
【0100】
発生した蒸気は、チャンバ78の下部と中間部材74との間の蒸発空間から中間部材に形成された一連の穴90を通って漏れ出る。この蒸気の圧力によって、蒸気はチャンバ78の最上部の吐出パイプ84から押し出される。吐出パイプ84はチャンバ78の内部に少し突出しているため、蒸気に同伴されたいかなる小さい残留水滴をも捕集し、その結果、これらの水滴が中間部材74の中央部分88に落下して蒸発させられるようにするのに役立つ。蒸気チャンバ78から出る蒸気は過熱されている。蒸気は、内部導管86を通って蒸気出口54に達し、そこから蒸気パイプ56に入り、底板(図示せず)の適切な穴を通って逃される。明らかに、ユーザは、つまみ10を操作して可変弁46の開口度合いを変え、それによりボイラ52に流入する水の流量を変えることによって、蒸気の発生速度を調節できる。
【0101】
上述のように、サージ蓄圧器42は、水の初期サージを提供してボイラ52内の蒸発空間を可能な限り迅速に満たし、ユーザがつまみ10によって弁46を開けた後非常に迅速に(数秒足らずで)蒸気を発生させることを可能にする。その後、内蔵貯水容器蓄圧器36によって水が供給される。これにより、内蔵貯水容器が弾性的に充填されなくなるまで加圧下で水の供給が続けられる。一例では、この内蔵貯水容器36の容量は、蒸気が約30秒間最大速度(すなわち弁46が全開)で得られるように設計される。ボイラ内に蓄積できる熱エネルギーは蓄圧器36、42に蓄えられた水をすべて蒸発させるのに十分でなければならないので、当然ながらこれも重要な要因である。サージ蓄圧器42内のピストン43のばね力は内蔵貯水容器蓄圧器36内の対応するピストン37のばね力よりも高いため、サージ蓄圧器42がいったん空になると、内蔵貯水容器蓄圧器36によって補充されることはない。
【0102】
ユーザがすべての蒸気を使い切ったかまたは底板温度が下がり過ぎた場合は、蓄圧器36、42を補給し底板素子とボイラ素子60とを再加熱して次の使用サイクルを可能にするために、アイロンをベースユニット91に戻すだけでよい。
【0103】
コードレス使用は、特に比較的軽いアイロン掛け作業を終わらせる場合または蒸気に対する要求が比較的低い場合、明らかに便利である。しかしながら、状況によっては、ユーザが頻繁にアイロンをスタンドに戻す必要なく、特に蒸気を用いて、アイロン掛けを続けることができると、より便利である。この目的を達成するためには、アダプタ12を係止ピン解除つまみ94を用いてベースユニットの直立部108から解放し、代わりに図3、図4、および図11に示すようにアイロンの後部に留めるだけでよい。このモードでは、内蔵貯水容器蓄圧器36は必要なく、ただ単に部分的または完全に充填されたままである。アダプタ内のマイクロスイッチ(図示せず)は、システムを所要圧力に維持できるようにベースユニット内のポンプを連続作動させる。サージ蓄圧器42はやはり、弁46が開けられたときに追加の水の流れを提供して蒸気発生の遅れを最小限に抑えるのに重要な役割を果たす。電気および水が継続的に接続されているため、もしユーザが所望すれば、蒸気を連続的に発生させることができる。同様に、底板温度を温度調節つまみ8によって設定された範囲に維持することができる。
【0104】
このため、当業者には、上記の本発明の様々な局面の実施形態が、高い蒸気圧の性能を発揮しながらも従来の加圧蒸気発生装置付きアイロン掛けシステムよりもかなり低コストで製造可能な、極めて有効で多用途のスチームアイロンを提供することが分かるであろう。また、目の前にある仕事に応じてコード付きモードとコードレスモードとを切り替える融通性は特に有利である。
【0105】
ここで、本発明のさらなる実施形態について図15〜図20を参照しながら説明する。図15は可搬式の手持ち型スチームクリーナを示す。このスチームクリーナは、ハンドル132を規定しかつノズル136で終端する先細部134を有する外側ケーシング130を備える。クリーナの最上部には、大きなユーザ作動レバー138と、水タンク注入口栓140と、蒸気圧力調整ねじ142とがある。ハウジング130の側部には水位指示計143がある。
【0106】
図16および図17は、外側ハウジング130が取り除かれた上記装置の側面図および背面図をそれぞれ示す。これらの図から、装置の内部容積の大部分を、注入キャップ140を取り外すことによって満たされる水タンク144が占めていることが分かり得る。概ね垂直な透明パイプ145が、ハウジングの液面計143を通してタンク内の水位を見ることを可能にしている。
【0107】
水タンク144の後部には、当該水タンクの出口にパイプ148によって接続されたポンプ146を収容する凹部が形成されている。ポンプ146の反対側はパイプ150によって蓄圧器152の入口に接続されている。図18にこれをより詳細に示す。
【0108】
図18を参照すると、蓄圧器152の前面は、パイプ150、162のそれぞれの端部を受けるように隆起が付けられた2つのノズル、それぞれ、水の流入ノズル154および流出ノズル156を備える。図示しないが、水を特定方向にのみ流れさせるために逆止弁を設けてもよい。蓄圧器152の本体は、コイルばね160によって蓄圧器の前方へ付勢された概ね平らなピストン部材・隔板アセンブリ158と共に内部空間を規定する。図18は、最先の位置にあるピストン部材158を示す。前述の実施形態と同様に、本構成は、蓄圧器152内部に、ばね160によって生じる圧力下で水を蓄えられるようにするものである。
【0109】
図16および図17に戻ると、蓄圧器152の出口は、パイプ162によって、図15に示す圧力調節ねじ142によって制御される圧力調節器164に接続される。圧力調節器164の反対側は、さらなるパイプ166によって、作動レバー138に接続された、ユーザ操作される弁168に接続される。このユーザ操作弁168の反対側は、パイプ170によって、ボイラ構成174の入口172に接続される。ボイラ構成について図19および図20を参照しながらより詳細に説明する。
【0110】
ボイラ174は、前述の実施形態と同様に埋込み被覆加熱素子180によって囲まれた、表面に微細な隆起が付けられた円錐形の内チャンバ178を有する鋳造アルミニウム製の本体176を備える。上記チャンバの内面は、親水性を付与しそれによりライデンフロスト効果を低減または回避するために、処理またはコーティングされている。中間円錐形部材182は主チャンバ178に受け入れられ、それにより、両者間に狭い蒸発空間を形成する。しかしながら、このような中間部材は省略でき、それでもやはり十分な性能が達成されることが分かっている。チャンバ178を気密に閉じるために下側本体部材176に固定されたカバー部材184が設けられている。蒸気がチャンバから出られるようにするために、吐出パイプ186に接続する出口が中央に配設されている。
【0111】
図19に示すように、ボイラ174は、本体部材176の外表面と良好に熱接触する温度調節器188を備えている。調節器188は、ボイラの温度を所望の範囲に維持するように働く。さらなる温度調節器(図示せず)も設けられ、ポンプ26への電気供給のための感熱制御装置の一部となっている。このさらなる温度調節器は、あらかじめ設定された温度に達するまでは閉じられない常時開接点を有する。これらの接点はポンプ146と直列に電気接続される。
【0112】
アルミニウム製本体176の適切に配置された凹部に、深刻な過熱が起こった場合、例えば万が一温度調節器188が故障した場合に加熱素子180への電力を永久切断するように動作することが可能な温度ヒューズ190も設けられている。
【0113】
図16から、蒸気出口186は、適切な耐熱性を有するパイプ192によって器具のノズル136に接続されていることが分かり得る。
【0114】
ここで、本実施形態の動作について説明する。器具をスイッチオンにする前に、ユーザは、注入口栓140を外し、液面計143によって表示される「最大」レベルに達するまで水タンク144に水を満たす。その後、注入口キャップ140を元に戻し、器具をスイッチオンにし得る。しかしながら、明らかなように、本器具の設計の長所(この長所は本発明の他の多くの実施形態にも共通であり得る)は、水タンク144が加圧されておらず、冷水しか入っていないため、圧力キャップが不要であり、さらには、動作直後にキャップが外されたりそれどころか意図せずして外れたままにされたりした場合に、やけどの虞がないことである。
【0115】
器具がスイッチオンにされると、加熱素子180が通電されてボイラ174を加熱する。ボイラが所定の最低動作温度、例えば120〜160℃に達すると、調節器のうちの一方の常時開接点が閉じられ、それによりポンプ146をスイッチオンにする。この遅延は、ボイラの動作温度になるまでは、ボイラに過剰の水が流入しないことを確実にするのに役立ち得る。これは、放出蒸気中に未蒸発の水滴が含まれないことを確実にするのに役立つ。
【0116】
他方の調節器188は、ボイラの温度が最高動作温度に達すると(典型的には180℃を超える)素子180をオフにし、ボイラが下限閾値温度まで冷却されるとオンに戻すことによって、ボイラの温度を所定範囲に維持するように動作する。加熱素子180は、このようなサイクル動作を無限に続けることができる。維持される温度範囲は、器具が最初にスイッチオンにされると前記遅延後にポンプが連続作動するように、上記の常時開調節器のリセット温度よりも高い。
【0117】
ポンプ146は、いったんスイッチオンにされると、水タンク144から蓄圧器152へと各パイプ148および150によって送水する。この時点ではユーザ操作される弁168が閉じられているため、ポンプ146によって提供される水圧は、蓄圧器ピストン158をばね160の力に逆らって押し下げるように作用し、それにより、蓄圧器152内部に加圧下で水を蓄える。蓄圧器152が満杯のとき、ポンプ146は作動し続ける。切換弁(図示せず)によって水の流れをタンク144に戻るように変えてもよい。他の実施形態において、ポンプは自動的に止まるように構成され得る。
【0118】
ユーザは、一回の蒸気を必要とするときは、対応する弁168を開くユーザ作動レバー138を押すだけである。これにより、直ちに水が管170および入口172からボイラ174に流入する。蓄圧器152が空になる一方で、ばね160によって与えられる圧力が、ポンプによる水の供給速度を上回る速度でボイラ内へ水の初期サージを提供する。この結果、蒸気が出口ノズル136から非常に急速に噴出する。ユーザが作動レバー138を押し続けると、連続的に動作するポンプ146は、ボイラ174内へ水を送り続け、それにより、ユーザが必要とするだけ長く(または、水タンク144が空になるまで)蒸気を発生させる。ボイラ174に流入する水の圧力を下げることによって蒸気がノズルから吐出される速度を低下させるために、調整ねじ142によって圧力調節器164を調整してもよいが、ポンプ146によって提供される圧力は、ボイラ174が蒸気を発生させることができる最大速度に合わせられる。
【0119】
ユーザが作動レバー138を放すと、弁168が閉じられ、次いでポンプ146によって再び蓄圧器152が満たされ、それにより、器具は再度蒸気を送る準備ができた状態になる。このような動作は、タンク144が空になるかまたは器具がスイッチオフにされるまで続けることができる。
【0120】
本発明を2つの特定の実施形態の観点から説明したが、本発明の多くの局面および特徴は、多くの異なる種類の器具、特に、壁紙はがし器および他の手持ち型蒸気発生器具のような、蒸気を発生させる他の器具に適用され得る。上記で詳細に説明した実施形態や本明細書中に述べたその他の実施形態に関連して記載された特徴は、その他のいかなる実施形態にも等しく適用され得、本出願人は、このような特徴の組み合わせを具体的に想定している。したがって、本発明のいかなる特徴も、独立して適用可能であり、その適用は他に指定のある場合を除き当該特徴が言及されたこの特定の実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14a】

【図14b】

【図14c】

【図14d】

【図14e】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水入口と、ボイラと、前記ボイラへの水の流入を制御するための弁と、前記弁が開けられたときに前記ボイラへ水のサージ(surge)を送るための手段とを備える蒸気発生装置。
【請求項2】
前記ボイラが、水の流れがないときにより高い動作温度に達することができるように構成された、請求項1に記載の蒸気発生装置。
【請求項3】
前記水のサージが前記弁が開けられた後の一時的な流量の増加を含むように構成された、請求項1または2に記載の蒸気発生装置。
【請求項4】
前記弁の上流に、水を蓄えるための弾性的に充填される貯留部(elastically-charged store)を備える、請求項1、2、または3に記載の蒸気発生装置。
【請求項5】
前記弾性的に充填される貯留部が弾力的に装着されたピストン(resiliently mounted piston)によって作用される貯水容器を含む、請求項4に記載の蒸気発生装置。
【請求項6】
前記弾性的に充填される貯留部が1つ以上の膨張可能な壁を備える、請求項4に記載の蒸気発生装置。
【請求項7】
前記弾性的に充填される貯留部がブラダ(bladder)を含む、請求項4または6に記載の蒸気発生装置。
【請求項8】
先行する請求項のいずれかに記載の蒸気発生装置を備える手持ち型蒸気発生器具。
【請求項9】
前記器具が、コードレスであり、コードレス使用時に前記ボイラへ水を供給するための内蔵の貯水容器を備える、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記貯水容器の容量が、10秒、15秒、20秒、または30秒間より長く蒸気を発生させるために水を提供するのに十分な容量である、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記貯水容器が加圧される、請求項9または10に記載の器具。
【請求項12】
前記貯水容器が1つ以上の膨張可能な壁を有する、請求項9から11のいずれかに記載の器具。
【請求項13】
前記貯水容器がブラダ(bladder)を含む、請求項9から12のいずれかに記載の器具。
【請求項14】
前記ボイラが、前記移動式/コードレスユニット内に設けられた、請求項9から13のいずれかに記載の器具。
【請求項15】
ベースステーションをさらに備え、前記内蔵の貯水容器を前記ベースステーションから補充できるように構成された、請求項9から14のいずれかに記載の器具。
【請求項16】
前記ベースステーションが、ベース貯水容器と、前記ベース貯水容器から前記内蔵の貯水容器へ送水するように構成されたポンプとを備える、請求項10に記載の器具。
【請求項17】
固定コード電気接続と、前記ボイラに水を供給するための貯水容器と、前記貯水容器から送水するためのポンプとを備える、請求項8に記載の器具。
【請求項18】
前記ポンプが、前記器具がスイッチオンにされているときに連続的に動作するように構成された、請求項16または17に記載の器具。
【請求項19】
前記ボイラが所定の動作温度に達するまで前記ポンプの動作を遅延させる手段を備える、請求項16、17、または18に記載の器具。
【請求項20】
前記ボイラが、水入口と、電気ヒータと、蒸気出口と、前記ヒータと熱接触する少なくとも1つの表面によって境界が定められた蒸発空間とを備え、前記蒸発空間が、前記水入口から遠ざかる方向に拡大する断面積を呈するように構成された、先行する請求項のいずれかに記載の蒸気発生装置または器具。
【請求項21】
水入口と、電気ヒータと、前記ヒータと良好に熱接触する少なくとも1つの表面によって境界が定められた蒸発空間とを備え、前記蒸発空間が、前記水入口から遠ざかる方向に断面積が拡大するように構成された、蒸気発生装置付き器具用ボイラ。
【請求項22】
前記蒸発空間の高さが、滴(drop)の形成を防止するのに十分なだけ低い、請求項20または21に記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項23】
前記蒸発空間の高さが一定である、請求項20、21、または22に記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項24】
前記蒸発空間の境界を定める前記加熱表面が非平面である、請求項20から23のいずれかに記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項25】
前記蒸発空間内に格子構造またはメッシュ構造が設けられた、請求項20から24のいずれかに記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項26】
前記蒸発表面に、その表面積を増加させるテクスチャ(texture)、構造(structure)、またはコーティングが設けられた、請求項20から25のいずれかに記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項27】
前記蒸発表面が、その正常動作温度において親水性である、請求項20から26のいずれかに記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項28】
前記正常動作温度が160℃よりも高い、請求項27に記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項29】
前記蒸発表面が、ゼオライト微粒子を含むコーティングで被覆された、請求項20から28のいずれかに記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項30】
前記蒸発空間の少なくとも一部が、中断された流路(interrupted flow path)を呈するように構成された、請求項20から29のいずれかに記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項31】
前記ボイラが、蒸気を回収するための手段を備える、先行する請求項のいずれかに記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項32】
前記蒸気を回収するための手段が、未蒸発の水滴を捕集するための手段を含む、請求項31に記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項33】
前記ボイラが、中間部材によって蒸発空間と蒸気回収空間とに分割される、先行する請求項のいずれかに記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項34】
前記中間部材が加熱される、請求項33に記載の蒸気発生装置、器具、またはボイラ。
【請求項35】
請求項20から34のいずれかに記載のボイラと、前記ボイラの前記水入口へ加圧水を供給するための手段とを備える器具。
【請求項36】
ベースユニットと、移動式器具とを備え、前記ベースユニットおよび/または前記移動式器具がそれらの間の接続の望ましくない切断を防止するように構成された、請求項9から16または18から35のいずれかに記載の器具。
【請求項37】
前記ベースユニットと前記移動式器具とが、前記接続の軸と実質的に平行な方向における分離を防止するが、前記軸に平行でない方向における前記器具の取り外しを可能にする手段を備える、請求項36に記載の器具。
【請求項38】
電力および水の両方のための相互のコードレスコネクタ構成を有するベースユニットとコードレス器具とを備え、前記電力および水の接続が、嵌合部品を相互に位置合わせすることで提供される、請求項9から16または18から37のいずれかに記載の器具。
【請求項39】
前記電力および水の接続が、一方のコネクタ対を物理的に接触させ、次いでそれらが完全に位置合わせされる軸へ近づけた後、他方のコネクタ対を物理的に接触させるように構成された、請求項38に記載の器具。
【請求項40】
前記電力および水のコネクタが、前記移動式器具が前記ベースユニット上にあるときに一方が他方よりも高くなるように配置された、請求項38または39に記載の器具。
【請求項41】
電力および水の両方のための相互のコードレスコネクタ構成を有するベースユニットとコードレス器具とを備え、前記ベースユニットに、ユーザが前記コードレス器具を前記ベースユニットに接続している間加圧水供給の圧力を低下させるための手段が設けられた、請求項9から16または18から40のいずれかに記載の器具。
【請求項42】
前記ベースユニットは、前記コードレス器具が前記ベースユニットに係合されるとそれを検出するように構成された、請求項41に記載の器具。
【請求項43】
移動式器具と、ベースユニットと、前記移動式器具に電力を供給するためのアダプタとを備え、前記アダプタが、前記器具が使用されている間の電力の供給を可能にするために前記器具に固定された第1のモードつまりコード付きモード、または、前記アダプタと前記器具との間の電気接続が前記器具を前記アダプタ上にもしくは前記アダプタに当接させて置くことによって接続可能であり、前記器具を前記アダプタから持ち上げることによって遮断可能である第2のモードつまりコードレスモードで動作可能である、請求項9から16または18から42のいずれかに記載の器具。
【請求項44】
前記アダプタが、前記ベースユニットまたはさらなるベースユニットに固定されるように設計された、請求項45に記載の器具。
【請求項45】
移動式電気器具に電力を供給するためのアダプタであって、前記器具が使用されている間の電力および水の供給を可能にするために前記器具に固定された第1のモードつまりコード付きモード、または、ベースユニットに固定され、前記アダプタと前記器具との間の電気および水の接続が、前記器具を前記ベースユニット上にもしくは前記ベースユニットに当接させて置くことによって接続可能であり、前記器具を前記ベースユニットから持ち上げることによって遮断可能であるようになっている第2のモードつまりコードレスモードで動作可能である、アダプタ。
【請求項46】
前記アダプタから前記器具へ水を供給するための手段が、前記接続の両側に弁手段を備える、請求項45に記載の器具またはアダプタ。
【請求項47】
前記アダプタが前記ベースユニットに接続された、請求項43から46に記載の器具またはアダプタ。

【公表番号】特表2012−516745(P2012−516745A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548768(P2011−548768)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000206
【国際公開番号】WO2010/089561
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(503052542)ストリックス リミテッド (7)
【Fターム(参考)】