説明

電気掃除機およびそのアタッチメント

【課題】液体の分離性能を確保でき、使い勝手を向上できる電気掃除機のアタッチメントを提供する。
【解決手段】アタッチメント35は、有底円筒状の内周面41、および、内周面41に接線方向に沿って開口する流入口43を備えたタンク部37を有する。アタッチメント35は、風路の上流側と流入口43とを接続する上流接続部38を有する。アタッチメント35は、流入口43よりも上方にてタンク部37内に位置する流出口51aを上流側に備え、タンク部37と風路の下流側とを接続する下流接続部39を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気掃除機の電動送風機の上流側に連通する風路に着脱可能に接続される電気掃除機のアタッチメントおよびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体に、電動送風機の吸込側に連通する集塵部を備えて構成されており、この電動送風機の駆動により生じた負圧によって塵埃を空気とともに吸い込んで集塵部に捕集するように構成されている。
【0003】
一般に、掃除の際には、乾燥した塵埃を吸い込むことが多いものの、水分などの液体とともに塵埃を吸い込めるように構成すると、掃除可能な場所が増加し、より使い勝手が向上する。しかしながら、通常の乾燥した塵埃を吸い込む、すなわち乾式の電気掃除機では、液体を分離する機構が備わっていないため、液体を吸い込むためには、予め液体分離機構を備えた湿式の電気掃除機が必要になる。しかしながら、このような構成では、掃除機本体の内部に液体を溜める貯留部と塵埃を溜める集塵部とが別個に必要であり、乾式の電気掃除機と比較して掃除機本体が大きくなるため、液体を吸い込む必要がない一般的な掃除には適さず、必ずしも使い勝手が良好であるとはいえない。
【0004】
そこで、通常の乾式の電気掃除機に、液体を吸い込むための吸込口とこの吸込口に連通する貯留部とを備えた床ブラシを着脱可能として、この床ブラシを装着しているときには液体を塵埃とともに吸い込めるようにした構成がある。しかしながら、このような構成では、液体の分離性能が充分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2567666号公報
【特許文献2】特許第2506410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、液体の分離性能を確保でき、使い勝手を向上できる電気掃除機のアタッチメントおよびこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のアタッチメントは、電気掃除機の電動送風機の上流側に連通する風路に着脱可能に接続される電気掃除機のアタッチメントである。このアタッチメントは、円筒状の内周面、および、この内周面に接線方向に沿って開口する流入口を備えた貯留部を有する。また、このアタッチメントは、風路の上流側と流入口とを接続する上流接続部を有する。さらに、このアタッチメントは、流入口よりも上方にて貯留部内に位置する流出口を上流側に備え、貯留部と風路の下流側とを接続する下流接続部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態のアタッチメントを備えた電気掃除機の一部を前方から示す斜視図である。
【図2】同上電気掃除機の一部を後方から示す斜視図である。
【図3】同上電気掃除機の一部を示す側面図である。
【図4】同上アタッチメントを備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態のアタッチメントを備えた電気掃除機の一部を前方から示す斜視図である。
【図6】第3の実施形態のアタッチメントを示し、(a)はアタッチメントの平面図、(b)は(a)のI−I断面図、(c)は(a)のII−II断面図である。
【図7】第4の実施形態のアタッチメントを示し、(a)はアタッチメントの平面図、(b)は(a)のIII−III断面図、(c)は(a)のIV−IV断面図である。
【図8】第5の実施形態のアタッチメントの一部を備えた電気掃除機の一部を前方から示す斜視図である。
【図9】第6の実施形態のアタッチメントの一部を備えた電気掃除機の一部を前方から示す斜視図である。
【図10】第7の実施形態のアタッチメントの一部を備えた電気掃除機の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態の構成を図1ないし図4を参照して説明する。
【0010】
図4において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に着脱可能に接続される吸込風路体(風路形成体)である管部13とを有している。
【0011】
掃除機本体12は、被掃除面上を旋回および走行可能な中空状の本体ケース15を備えており、この本体ケース15の内部には、電動送風機18、および、この電動送風機18の動作を制御する図示しない制御手段などが収容されている。また、掃除機本体12には、電動送風機18の吸込側に連通して、図示しない集塵部が形成されている。そして、掃除機本体12には、集塵部に連通する前部に、管部13の基端側が接続される本体吸込口19が開口形成されている。
【0012】
また、管部13は、長尺状のホース体21と、このホース体21に着脱可能に接続される延長管22と、この延長管22に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ23とを備えており、電動送風機18の上流側である吸込側に連通する風路Wを内部に形成している。
【0013】
ホース体21は、長尺筒状に形成されたホース本体25と、このホース本体25の一端側である基端側(下流端側)に連通して形成され本体吸込口19に挿入接続される接続管部26と、ホース本体25の他端側である先端側(上流端側)に連通して形成され例えば管部13の把持操作用の手元操作部27とを一体的に有している。そして、この手元操作部27には、上流端側から下流端側へと、使用者に把持される把持部28が突出して形成されており、この把持部28には、電動送風機18などの動作を制御手段に設定するための複数の設定ボタン29が配置されている。
【0014】
また、床ブラシ23は、風路Wの一部(上流端)を構成可能なものであり、延長管22の先端側(上流端側)に一端側が連通接続される接続管31と、この接続管31の他端側に、上下方向あるいは周方向などに回動可能に接続された横長のケース体32とを備えており、被掃除面上を走行可能となっている。さらに、ケース体32の床面に対向する下部には、接続管31の他端側と連通する図示しない吸込口が形成されている。
【0015】
そして、管部13には、床ブラシ23と延長管22との間、すなわち風路Wの中間位置に、図1ないし図4に示す付属品であるアタッチメント35が着脱可能となっている。
【0016】
このアタッチメント35は、水分あるいは油分などの液体を塵埃とともに吸い込む掃除の際に取り付けられるものであり、塵埃を空気とともに吸い込む通常の掃除の際には取り外してもよい。そして、このアタッチメント35は、貯留部としての有底円筒状のタンク部37と、このタンク部37に接続される上流接続部38および下流接続部39とを備えている。なお、以下、アタッチメント35については、タンク部37の軸方向を垂直上下方向に沿わせた状態を基準として説明する。
【0017】
タンク部37は、例えば透光性を有する合成樹脂などにより形成されており、円筒状の内周面41を内部に有し、一端側である下端側に内周面41と連続する平面状の底面42が形成され、内周面41の接線方向に沿って流入口43が四角形状に形成され、かつ、この流入口43よりも上方の他端側である上端側に内周面41と連続する平面状の天面44が形成され、この天面44の中央部にタンク部37(内周面41)の軸方向に沿って開口部45が円形状に形成されている。また、このタンク部37の外周面46は、内周面41と略平行な円筒面状に形成されている。
【0018】
流入口43は、タンク部37(内周面41)の軸方向の両端の略中間位置、すなわちタンク部37(内周面41)の上下方向の略中間位置にて、タンク部37の一側寄りに前後方向に沿って開口している。また、この流入口43は、タンク部37(内周面41)の軸方向に対して直交する径方向に対して平行、または平行より下方すなわち底面42側、換言すれば開口部45と反対側に向けて開口している。
【0019】
また、上流接続部38は、風路Wの上流側である床ブラシ23の接続管31とタンク部37の流入口43とを連通接続する部分であり、接続管31と連通接続される連通部48と、この連通部48とタンク部37の流入口43とを連通する流入部49とを一体に備えている。
【0020】
連通部48は、円筒状に形成されており、タンク部37の後方にこのタンク部37(内周面41)の軸方向に対して略平行に配置されている。また、この連通部48には、接続管31との接続を保持およびこの保持を操作によって解除可能な図示しない係止機構が配置されている。
【0021】
また、流入部49は、タンク部37の外部すなわち外周面46に沿って円弧状に延びて形成され、連通部48と流入口43とを連通している。したがって、本実施形態では、流入部49は、例えば外周面46の後部から一側部に亘って連続する1/4程度の円弧状となっている。さらに、この流入部49は、連通部48(の軸方向)に対して直角状に連通している。すなわち、この流入部49は、タンク部37(内周面41)の軸方向に対して直交する径方向に対して平行、または平行より下方(底面42側)に傾斜して形成され、連通部48と連続する部分が直角状に屈曲している。さらに、この流入部49は、例えば円形状の断面形状を有している。
【0022】
また、下流接続部39は、タンク部37の開口部45と風路Wの下流側である延長管22とを連通接続する部分であり、開口部45に挿入接続される円筒状の挿入部51と、この挿入部51と連通する連続部52と、この連続部52と連通し延長管22と連通接続される接続部53とを一体に備えている。
【0023】
挿入部51は、一端側である下端側がタンク部37の内部に位置し、他端側である上端側がタンク部37の外部へと導出されている。また、この挿入部51の先端部である下端部、すなわち下流接続部39の上流端には、タンク部37(内周面41)の軸方向に沿って下方に向けて開口する流出口51aが形成されている。この流出口51aは、タンク部37の流入口43よりも上方に位置している。
【0024】
また、連続部52は、任意の形状とすることが可能であるが、例えば挿入部51に対してタンク部37の上部に沿って一側方へと直角状に連通する第1連続部52aと、この第1連続部52aに対して後方へと直角状に連通する第2連続部52bと、タンク部37の一側の後方の位置で第2連続部52aに対して下方へと直角状に連通する第3連続部52cと、この第3連続部52cに対して他側方へと直角状に連通して接続部53と連通する第4連続部52dとを一体に有している。
【0025】
また、接続部53は、円筒状に形成されており、例えば上流接続部38の連通部48の上端にこの連通部48と同軸に位置している。
【0026】
次に、上記第1の実施形態の電気掃除機11を用いた掃除動作を説明する。
【0027】
掃除にアタッチメント35を用いる場合には、床ブラシ23と延長管22との間にアタッチメント35を接続する。すなわち、アタッチメント35の下流接続部39の接続部53を延長管22の先端に接続するとともに、アタッチメント35の上流接続部38の連通部48を床ブラシ23の接続管31に接続する。
【0028】
そして、使用者は、把持部28を把持し、所望の設定ボタン29を操作することで電動送風機18を所望の動作モードで駆動させる。さらに、使用者は、床ブラシ23を被掃除面上で前後方向などに交互に走行させ、被掃除面上の液体および塵埃を電動送風機18の駆動による負圧によって床ブラシ23の吸込口から空気とともに吸い込む。このとき、液体は、気体状、例えば霧状(飛沫状)となって塵埃とともに空気と一体的に吸い込まれる。
【0029】
吸込口から吸い込まれた塵埃、液体および空気は、床ブラシ23の接続管31から、アタッチメント35の上流接続部38の連通部48を介して流入部49へと流入する。このとき、流入部49が連通部48に対して直角状に連通することにより、塵埃、液体および空気と上流接続部38の内面との摩擦力が大きくなるため、霧状(飛沫状)の液体が液状に戻された状態となって流入部49を通過する。
【0030】
さらに、流入部49を通過した塵埃、液体および空気は、流入口43を介してタンク部37の内周面41へと、この内周面41の接線方向に沿って流入し、この内周面41の周方向に、例えば本実施形態では平面視で時計回り方向に旋回することで、液体と内周面41との間に生じる摩擦力が増加し、液体がより確実に液状に戻された状態となって、液体および塵埃の一部(比較的大きい塵埃)が空気から遠心分離され、これら遠心分離された液体および塵埃の一部が内周面41に沿って自重落下してタンク部37内に貯留される。
【0031】
液体および塵埃の一部が遠心分離された空気は、下流接続部39の挿入部51の流出口51aへと吸い込まれる。そして、この流出口51aを介してタンク部37から流出した空気は、下流接続部39の連続部52および接続部53を介して延長管22へと流入し、この延長管22からホース体21および本体吸込口19を介して掃除機本体12の集塵部へと吸い込まれる。そして、空気中に残留した塵埃(比較的小さい塵埃)が集塵部にて捕集され、この塵埃が捕集された空気は電動送風機18に吸い込まれ、この電動送風機18を冷却しつつ排気風となった後、掃除機本体12の図示しない排気孔から掃除機本体12の外部へと排気される。
【0032】
掃除が終了したときには、使用者は設定ボタン29を操作して電動送風機18を停止させる。
【0033】
なお、管部13は、アタッチメント35を使用しない場合には、例えば床ブラシ23を取り外して使用することもできるし、床ブラシ23および延長管22を取り外して使用することもできる。
【0034】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、円筒状の内周面41、および、この内周面41に接線方向に沿って開口する流入口43を備えたタンク部37に対して、風路Wの上流側である床ブラシ23(の接続管31)と流入口43とを上流接続部38により接続するとともに、流入口43よりも上方にてタンク部37内に位置する流出口51aを上流端に備える下流接続部39により、タンク部37と風路Wの下流側である延長管22とを接続するアタッチメント35を備えることで、液体を含む塵埃を風路Wの上流側すなわち床ブラシ23から空気とともに吸い込んでも、液体をタンク部37で確実に遠心分離でき、液体の分離性能を確保できるとともに、このアタッチメント35を一般的な乾式の電気掃除機11に用いることで、液体を含む塵埃を吸い込んで掃除でき、使い勝手を向上できる。
【0035】
次に、第2の実施形態を図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態のアタッチメント35の上流接続部38の流入部49が、タンク部37の外部、すなわち外周面46に沿って円環状に延びて形成されているものである。すなわち、この流入部49は、タンク部37の外周面46に外接する接円状に形成されている。また、この流入部49は、上流側から下流側へと徐々に断面積が小さくなるように形成されている。
【0037】
さらに、この流入部49の下流側が接続されるタンク部37の流入口43は、タンク部37の他側の後部に内周面41の接線方向に沿って形成されている。
【0038】
そして、吸込口から吸い込まれた塵埃、液体および空気は、床ブラシ23の接続管31から、アタッチメント35の上流接続部38の連通部48を介して流入部49へと直角状に流入する際に上流接続部38の内面との摩擦力が大きくなるとともに、流入部49がタンク部37の外周面46に沿って延びているため、タンク部37へと流入する前に流入部49の内面と接触する距離が長くなり、摩擦力がより大きくなって、霧状(飛沫状)の液体が液状へとより確実に戻された状態となり、流入口43を介してタンク部37の内周面41へと流入して旋回することで、液体および塵埃の一部が空気からより確実に遠心分離され、タンク部37内に貯留される。
【0039】
このように、上記第2の実施形態によれば、連通部48とタンク部37の流入口43とを連通する流入部49が、タンク部37の外部に沿って円環状に延びているため、液体が流入部49の内面を伝う距離を大きくして液体と流入部49の内面との摩擦力をより大きくできるので、吸い込まれた際に霧状(飛沫状)となった液体を、この摩擦力によってより確実に液状に戻すことができ、液体の分離性能をより向上できる。
【0040】
次に、第3の実施形態を図6を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
この第3の実施形態は、上記第2の実施形態の流入部49(図6(a))の断面形状が、上流側(図6(b))から下流側(図6(c))へと、すなわち一側から他側へと、その内周49a側を除く部分、換言すれば外周49b側、上部49cおよび下部49dがそれぞれ平面状となっているものである。
【0042】
すなわち、この流入部49の断面形状は、上流側が円形状となっており、下流側ほど、外周49b、上部49cおよび下部49dの平面形状が徐々に広くなっている。
【0043】
したがって、吸込口から吸い込まれた塵埃、液体および空気は、床ブラシ23の接続管31から、アタッチメント35の上流接続部38の連通部48を介して流入部49へと直角状に流入する際に上流接続部38の内面との摩擦力が大きくなるとともに、流入部49の断面形状が下流側へと外周49b、上部49cおよび下部49dが平面状となるため、タンク部37へと流入する前に流入部49の内面との間の摩擦力がより大きくなって、霧状(飛沫状)の液体が液状へとより確実に戻された状態となり、流入口43を介してタンク部37の内周面41へと流入して旋回することで、液体および塵埃の一部が空気からより確実に遠心分離され、タンク部37内に貯留される。
【0044】
このように、上記第3の実施形態によれば、流入部49の内周49a側を除く外周49b側、上部49cおよび下部49dを下流側ほど平面状に形成することにより、流入部49を空気とともに通過する液体を、流入部49に沿ってより確実に旋回させることができる。したがって、吸い込まれた液体と流入部49の内面との間の摩擦力を、タンク部37へと流入する前により大きくでき、吸い込まれた際に霧状(飛沫状)となった液体をタンク部37へと流入する前に液状へとより確実に戻すことができる。このため、タンク部37において液体の遠心分離がより確実になり、液体が霧状(飛沫状)のまま空気とともに流出口51aからアタッチメント35の下流側(掃除機本体12側)へと流れることをより確実に防止できる。
【0045】
特に、流入部49を空気とともに通過する液体は、遠心力によって流入部49の外周49b側を通過するため、この外周49bを下流側ほど平面状とすることにより、流入部49を通過する液体をより確実に液状に戻すことができる。
【0046】
次に、第4の実施形態を図7を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
この第4の実施形態は、上記第3の実施形態の流入部49(図7(a))の断面形状が、上流側(図7(b))から下流側(図7(c))へと、すなわち一側から他側へと、その内周49a側を除く部分、換言すれば外周49b側、上部49cおよび下部49dがそれぞれ平面状となっているとともに、タンク部37(内周面41)の軸方向である上下方向に沿って延びて形成されているものである。
【0048】
すなわち、この流入部49の断面形状は、上流側が円形状となっており、下流側ほど、外周49b、上部49cおよび下部49dの平面形状が徐々に広くなっているとともに、上部49cと下部49dとの間の距離が大きくなっている。換言すれば、内周49aおよび外周49bが上下方向に延びている。
【0049】
したがって、吸込口から吸い込まれた塵埃、液体および空気は、床ブラシ23の接続管31から、アタッチメント35の上流接続部38の連通部48を介して流入部49へと直角状に流入する際に上流接続部38の内面との摩擦力が大きくなるとともに、流入部49の断面形状が下流側へと外周49b、上部49cおよび下部49dが平面状となるとともに内周49aおよび外周49bが上下方向に延びているため、タンク部37へと流入する前に流入部49の内面との間の摩擦力がより大きくなって、霧状(飛沫状)の液体が液状へとより確実に戻された状態となり、流入口43を介してタンク部37の内周面41へと流入して旋回することで、液体および塵埃の一部が空気からより確実に遠心分離され、タンク部37内に貯留される。
【0050】
このように、上記第4の実施形態によれば、流入部49を下流側ほどタンク部37の軸方向に沿って延びて形成することにより、流入部49を空気とともに通過する液体を、流入部49に沿ってより確実に旋回させることができる。したがって、吸い込まれた液体と流入部49の内面との間の摩擦力を、タンク部37へと流入する前により大きくでき、吸い込まれた際に霧状(飛沫状)となった液体をタンク部37へと流入する前に液状へとより確実に戻すことができる。このため、タンク部37において液体の遠心分離がより確実になり、液体が霧状(飛沫状)のまま空気とともに流出口51aからアタッチメント35の下流側(掃除機本体12側)へと流れることをより確実に防止できる。
【0051】
なお、上記第4の実施形態は、上記第2の実施形態に適用しても同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
次に、第5の実施形態を図8を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
この第5の実施形態は、上記第1の実施形態のタンク部37の内部に、螺旋状に形成された逆流防止体56を備えるものである。
【0054】
この逆流防止体56は、板状に形成されており、流入口43の下方に位置し、外周がタンク部37の内周面41に密着している。また、この逆流防止体56の螺旋形状は、流入口43から内周面41へと流入する塵埃、液体および空気の旋回方向に沿っている。すなわち、本実施形態において、逆流防止体56は、前部から平面視で時計回り方向に徐々に下側へと延びるように旋回しており、前後方向に沿うスリット部56aが前部に形成されている。このため、タンク部37は、逆流防止体56の一端側である下側が捕集部37aとなっているとともに、逆流防止体56の他端側である上側が旋回部37bとなっている。
【0055】
そして、吸込口から吸い込まれた塵埃、液体および空気は、床ブラシ23の接続管31から、アタッチメント35の上流接続部38の連通部48を介して流入部49へと流入し、霧状(飛沫状)の液体が液状に戻された状態となって流入部49を通過し、流入口43を介してタンク部37の内周面41へと、この内周面41の接線方向に沿って流入して、この内周面41の周方向に旋回部37bにおいて旋回することで、液体および塵埃の一部が空気から遠心分離される。
【0056】
この遠心分離された液体および塵埃の一部は、内周面41に沿って自重落下し、逆流防止体56によってスリット部56aへと集められ、このスリット部56aからこの逆流防止体56の下部の捕集部37aにてタンク部37に貯留される。
【0057】
このように、上記第5の実施形態によれば、タンク部37の内部に螺旋状の逆流防止体56を配置することにより、この逆流防止体56の下部の捕集部37aに一旦貯留された液体などが旋回部37b側へと逆流して流出口51aからタンク部37の外部へと吸い込まれることを、より確実に防止できる。
【0058】
なお、上記第5の実施形態の逆流防止体56は、上記各実施形態のいずれに適用しても同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
また、上記第5の実施形態の逆流防止体56は、図9に示す第6の実施形態のように、タンク部37の内周面41の周方向に少なくとも2周分連続するように形成してもよい。この場合には、捕集部37aに貯留された液体および塵埃などが旋回部37b側へと逆流することを、逆流防止体56によって、より確実に防止できる。
【0060】
次に、第7の実施形態を図10を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
この第7の実施形態は、上記第5の実施形態の逆流防止体56を挟むタンク部37の捕集部37aと旋回部37bとを連通する圧力調整管58、および、この圧力調整管58に配置された弁体である電磁弁59をそれぞれタンク部37の外部に備えるものである。
【0062】
電磁弁59は、例えば制御手段などにより開閉が制御されており、電気掃除機11の運転中(電動送風機18の駆動中)には圧力調整管58を開き、電気掃除機11(電動送風機18)の停止時、あるいはアタッチメント35を取り付けた管部13の転倒時などに圧力調整管58を閉じるように構成されている。なお、この管部13の転倒は、例えば加速度センサなどを用いて検出できるように構成されている。
【0063】
そして、タンク部37の逆流防止体56の下側である捕集部37aと上側である旋回部37bとを圧力調整管58によって連通することにより、捕集部37aと旋回部37bとの圧力差を低減できるため、タンク部37の内周面41に沿って旋回部37bで旋回されて空気から遠心分離された液体が捕集部37aと旋回部37bとの圧力差によって逆流防止体56のスリット部56aから捕集部37aへと自重落下することが妨げられにくくなり、この液体を捕集部37aへと確実に貯留できる。
【0064】
また、圧力調整管58に配置した電磁弁59によって、タンク部37の逆流防止体56の下側である捕集部37aと上側である旋回部37bとの圧力を調整することにより、例えば電気掃除機11の運転中、すなわち吸い込んだ液体を空気から分離して捕集部37aに貯留するときには圧力調整管58を開いて捕集部37aと旋回部37bとの圧力差を低減して液体を捕集部37aへと確実に貯留できるとともに、電気掃除機11(電動送風機18)の停止時、あるいはアタッチメント35を取り付けた管部13の転倒時などには圧力調整管58を閉じて捕集部37aと旋回部37bとの間に強制的に圧力差を生じさせ、捕集部37aに貯留した液体が逆流防止体56のスリット部56aを介して旋回部37bへと流出することを防止できる。すなわち、電磁弁59によって圧力調整管58を開閉することにより、捕集部37aと旋回部37bとの圧力差を変化させて、捕集部37aと旋回部37bとの間での液体の移動を制御できる。
【0065】
なお、上記第7の実施形態において、電気的に開閉する電磁弁59に代えて、例えば使用者が手動によって開閉する弁体を用いてもよい。
【0066】
また、上記第7の実施形態の圧力調整管58および電磁弁59は、上記第6の実施形態に適用しても同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
そして、以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、アタッチメント35は、円筒状の内周面41、および、この内周面41に接線方向に沿って開口する流入口43を備えたタンク部37に対して、風路Wの上流側である床ブラシ23(の接続管31)と流入口43とを上流接続部38により接続するとともに、流入口43よりも上方にてタンク部37内に位置する流出口51aを上流端に備える下流接続部39により、タンク部37と風路Wの下流側である延長管22とを接続することで、液体を含む塵埃を風路Wの上流側すなわち床ブラシ23から空気とともに吸い込んでも、液体をタンク部37で確実に遠心分離して、風路Wの下流側、すなわち掃除機本体12(電動送風機18)側へと流れないようにすることができる。
【0068】
すなわち、電動送風機18の負圧によって吸い込んだ液体は霧状(飛沫状)になりやすいので、タンク部37の内周面41に液体を空気とともに沿わせて旋回させることで液体と内周面41との間に生じる摩擦力を増加させ、液体を液状に戻して遠心分離し貯留することにより、吸い込まれた液体が霧状(飛沫状)のまま流出口51aからアタッチメント35の下流側の風路Wへと流れ出ることを防止できる。
【0069】
したがって、このアタッチメント35を風路Wに着脱可能とすることにより、液体の分離性能を確保できるとともに、液体を吸い込むための乾湿両用の電気掃除機などを必要とせず、また、電気掃除機11自体(掃除機本体12など)に変更を加えることなく、一般的な乾式の電気掃除機11を用いて、液体を含む塵埃を吸い込んで掃除でき、使い勝手を向上できる。しかも、例えば乾湿両用の電気掃除機のように、電気掃除機11(掃除機本体12)の大型化を招いたり、アタッチメント35を使用しないで掃除をする際の取り回しが低下したりすることなどもない。
【0070】
また、流入部49を連通部48に対して直角状に連通させることにより、空気とともに吸い込まれた液体および塵埃と上流接続部38の内面との摩擦力を大きくできるため、吸い込まれた際に霧状(飛沫状)となった液体を確実に液状に戻すことができる。したがって、タンク部37において液体の遠心分離がより確実になり、液体が霧状(飛沫状)のまま空気とともに流出口51aからアタッチメント35の下流側(掃除機本体12側)へと流れることをより確実に防止できる。
【0071】
さらに、流入口43をタンク部37の内周面41の径方向に対して平行または平行より下方に開口することにより、流入口43からタンク部37の内周面41へと流入した液体および塵埃を、流入口43よりも上方に位置する流出口51aとは反対の下方向へと導くことができるので、これら液体および塵埃が流出口51aからアタッチメント35の下流側(掃除機本体12側)へと流れることをより確実に防止できる。
【0072】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
11 電気掃除機
12 掃除機本体
18 電動送風機
35 アタッチメント
37 貯留部としてのタンク部
38 上流接続部
39 下流接続部
41 内周面
43 流入口
48 連通部
49 流入部
51a 流出口
56 逆流防止体
58 圧力調整管
59 弁体である電磁弁
W 風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機の電動送風機の上流側に連通する風路に着脱可能に接続される電気掃除機のアタッチメントであって、
円筒状の内周面、および、この内周面に接線方向に沿って開口する流入口を備えた貯留部と、
前記風路の上流側と前記流入口とを接続する上流接続部と、
前記流入口よりも上方にて前記貯留部内に位置する流出口を上流側に備え、前記貯留部と前記風路の下流側とを接続する下流接続部と
を具備したことを特徴とした電気掃除機のアタッチメント。
【請求項2】
上流接続部は、
風路の上流側と連通する連通部と、
貯留部の外部に沿って円弧状に延び、前記連通部と前記貯留部の流入口とを連通する流入部とを備えている
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項3】
流入部は、連通部に対して直角状に連通している
ことを特徴とした請求項2記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項4】
流入部は、内周側を除く部分が下流側ほど平面状に形成されている
ことを特徴とした請求項2または3記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項5】
流入部は、下流側ほど貯留部の軸方向に沿って延びて形成されている
ことを特徴とした請求項2ないし4いずれか一記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項6】
流入口は、貯留部の内周面の径方向に対して平行と径方向に対して平行より下方とのいずれかの方向に向けて開口している
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項7】
螺旋状に形成され貯留部の内部に配置された逆流防止体を具備した
ことを特徴とした請求項1ないし6いずれか一記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項8】
逆流防止体は、貯留部の内周面の周方向に少なくとも2周分連続するように形成されている
ことを特徴とした請求項7記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項9】
貯留部の外部に位置し、この貯留部の逆流防止体の一端側と他端側とを連通する圧力調整管を具備した
ことを特徴とした請求項7または8記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項10】
圧力調整管に配置され、貯留部の逆流防止体の一端側と他端側との圧力を調整する弁体を具備した
ことを特徴とした請求項9記載の電気掃除機のアタッチメント。
【請求項11】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の吸込側に連通する風路と、
この風路のいずれかに着脱可能に接続される請求項1ないし10いずれか一記載のアタッチメントと
を具備したことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−56108(P2013−56108A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197378(P2011−197378)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】