説明

電気掃除機およびその吸込口体

【課題】被掃除面およびケース体の外面への帯電による塵埃の付着を効果的に防止できる床ブラシを提供する。
【解決手段】床ブラシ23は、ケース体31を有する。床ブラシ23は、ケース体31の上側に除電用のイオンIを発生するイオン発生器67を有する。床ブラシ23は、ケース体31に回転可能に軸支した軸部51、軸部51の外周から突出し、被掃除面上の塵埃を掃く毛ブラシ58b,59b、および、軸部51の外周から突出し、被掃除面を除電する除電ブラシ59cを備えた回転ブラシ49を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、除電用のイオンを発生するイオン発生器を有する電気掃除機の吸込口体およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機に用いられる吸込口体としての床ブラシは、横長のケース体と、このケース体に連通し延長管などに接続される接続管とを備えている。ケース体の被掃除面に対向する下面には、横長の吸込口が開口形成されており、この吸込口には、回転清掃体としての回転ブラシが回転可能に配置されている。そして、ケース体には、吸込口から吸い込んだ空気に対してマイナスイオンを作用させることで塵埃との摩擦などにより生じる静電気を中和して塵埃の付着などを防止するイオン発生器が配置されている。
【0003】
イオン発生器により発生したマイナスイオンは、吸い込んだ塵埃および床ブラシ、延長管あるいは掃除機本体の集塵室などの内面に対して作用するものの、被掃除面、あるいは床ブラシのケース体の外面などには作用させることができない。
【0004】
また、被掃除面に対してマイナスイオンを作用させて被掃除面の除電を図る床ブラシもあるものの、このようなマイナスイオンは床ブラシのケース体の外面に作用させることができず、床ブラシのケース体の外面には、微細な塵埃が付着しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−273755号公報
【特許文献2】特開2009−136603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、被掃除面およびケース体の外面への帯電による塵埃の付着を効果的に防止できる電気掃除機の吸込口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電気掃除機の吸込口体は、ケース体を有する。また、この吸込口体は、ケース体の上側に配置されこのケース体の外部へと除電用のイオンを発生するイオン発生器を有する。さらに、この吸込口体は、ケース体に回転可能に軸支された軸部、この軸部の外周から突出し、被掃除面上の塵埃を掃く清掃体、および、軸部の外周から突出し、被掃除面を除電する除電体を備えた回転清掃体を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の吸込口体を示す縦断面図である。
【図2】同上吸込口体の吸塵口相当位置での縦断面図である。
【図3】同上吸込口体の一部を省略して示す斜視図である。
【図4】同上吸込口体の底面図である。
【図5】同上吸込口体を備えた電気掃除機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
【0010】
図5において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に着脱可能に接続される風路形成体である管部13とを有している。
【0011】
掃除機本体12は、被掃除面としての床面上を旋回および走行可能であり、電動送風機18、この電動送風機18の動作を制御する図示しない本体制御部、および、これら電動送風機18および本体制御部などに給電するための電源コードeを巻回した電源部としての図示しないコードリール装置などを収容しているとともに、電動送風機18の吸込側に連通する図示しない集塵部を備えている。また、掃除機本体12の前部には、集塵部に連通するとともに管部13の基端側が接続される本体吸込口19が開口形成されている。
【0012】
また、管部13は、ホース体21と、このホース体21に対して着脱可能な例えば合成樹脂製の延長管22と、この延長管22に対して着脱可能な吸込口体としての床ブラシ23とを備えている。
【0013】
ホース体21は、可撓性を有するホース部25と、このホース部25の基端側(下流側)に設けられ本体吸込口19に接続される接続管部26と、ホース部25の先端側(上流側)に設けられた手元操作部27とを有している。
【0014】
手元操作部27には、延長管22の基端側(下流側)が着脱可能に接続される。また、この手元操作部27には、作業者が把持する把持部28が基端側に突出して形成されており、この把持部28には電動送風機18の動作モードを本体制御部に設定するための設定ボタン29が配置されている。これら設定ボタン29は、手元操作部27内に収容された図示しない基板などを有する電気部に実装されている。
【0015】
また、図1ないし図4に示すように、床ブラシ23は、左右幅方向に長手状、すなわち横長に形成されたケース体31と、このケース体31の後部に回転可能に接続され延長管22の先端側(上流側)に着脱可能に接続される接続管32とを備えている。
【0016】
ケース体31は、上側が開放した下ケース35と、この下ケース35の上側を覆う上ケース36と、これら下ケース35と上ケース36との間に両側から前側に亘って配置された緩衝体であるバンパ37とを有している。さらに、このケース体31の内部には、接続管32の上流側(前端側)と連通する吸込室41が前部に左右幅方向に長手状に区画され、この吸込室41の後方でかつ接続管32の両側に、駆動室42と制御室43とが区画されているとともに、吸込室41の左右幅方向の中央部の上方にイオン発生室44が区画されている。そして、このケース体31には、図示しない車輪などの回転体が下ケース35に回転自在に複数配置されており、これら回転体により、ケース体31(床ブラシ23)が被掃除面上を前後方向などに移動(走行)可能となっている。
【0017】
下ケース35は、例えば合成樹脂などにより形成された下ケース本体35aと、この下ケース本体35aとは別体で合成樹脂などにより形成された下ケース形成体35bとを備えている。
【0018】
下ケース本体35aは、下ケース35の略全体を構成するものであり、吸込室41、駆動室42、および、制御室43のそれぞれの下部を区画している。
【0019】
また、下ケース形成体35bは、イオン発生室44の下部を区画するもので、吸込室41の上方の位置で下ケース本体35aに一体的に取り付けられている。
【0020】
また、上ケース36は、例えば合成樹脂などにより形成された上ケース本体36aと、この上ケース本体36aとは別体で透光性を有する合成樹脂などにより形成された上ケース被覆体36bと、これら上ケース本体36aおよび上ケース被覆体36bとは別体で透光性を有する合成樹脂などにより形成された上ケース形成体36cとを備えている。
【0021】
上ケース本体36aは、上ケース36の略全体を構成するものであり、吸込室41、駆動室42、および、制御室43のそれぞれの上部を区画している。
【0022】
また、上ケース被覆体36bは、上ケース本体36aの前側の上部全体を覆うものである。
【0023】
さらに、上ケース形成体36cは、上ケース本体36aの中央部と上ケース被覆体36bの後部との間に位置しており、イオン発生室44の上部および前部を区画するものである。
【0024】
吸込室41は、下ケース35(の下ケース本体35a)に形成された吸込口46によって下部がケース体31(床ブラシ23)の外部と連通しているとともに、上ケース36(の上ケース本体36aと上ケース被覆体36bとの間)に形成された吸塵口47,47によって上部がケース体31(床ブラシ23)の外部と連通している。また、この吸込室41は、上ケース36の吸塵口47,47の前方にそれぞれ形成された窓部48,48により上方から内部を目視可能となっている。さらに、この吸込室41には、回転清掃体としての回転ブラシ49が回転可能に配置されている。
【0025】
吸込口46は、電動送風機18の駆動により生じた負圧によって被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込むものであり、横長に形成されており、吸込室41の下部全体に亘って形成されている。
【0026】
また、各吸塵口47は、電動送風機18の駆動により生じた負圧によって床ブラシ23(ケース体31)の上方に位置する空気中の塵埃などを空気とともに吸い込むものであり、長手寸法が吸込口46の長手寸法の1/2よりも小さい長手状に形成されており、吸込室41の前後方向の後部寄りの位置に形成されて上方に向けて開口している。したがって、各吸塵口47は、吸込室41を介して吸込口46と連通している。さらに、各吸塵口47は、吸込室41内の真空度が必要以上に低下しないように、スリット状に僅かに開口している。
【0027】
また、各窓部48は、長手寸法が各吸塵口47よりも大きく吸込口46の長手寸法の1/2よりも小さい長手状に形成されており、上ケース本体36aに形成された孔部36dが上ケース被覆体36bによって覆われて形成され、吸込室41および回転ブラシ49を上方から透視できるように構成されている。
【0028】
また、回転ブラシ49は、長手状に形成された軸部51と、この軸部51の両端部に圧入された受板としての略円筒状の軸受部52,52とを備えている。
【0029】
軸部51は、回転ブラシ組立とも呼ばれ、例えばアルミニウムなどの金属、あるいは合成樹脂などにより略円筒状に形成されており、両端部に亘って中央部に貫通孔54が形成されている。この貫通孔54の両端部には、図示しない回転軸がそれぞれ圧入されている。これら回転軸は、軸受部52に挿通され、これら軸受部52の外部に突出して、ケース体31に固定された図示しない軸受により回動可能に軸支されている。また、この軸部51の外周には、両端間に亘って、複数の第1の溝部56と、複数の第2の溝部57とが周方向に交互に形成されている。そして、各第1の溝部56には、第1の清掃部58の基端側が取り付けられ、各第2の溝部57には、第2の清掃部59の基端側が取り付けられている。
【0030】
各第1の溝部56は、軸部51の周囲に互いに略平行に螺旋状に形成されており、例えば軸部51の一端から他端に亘って360°捻れている。また、各第1の溝部56の側縁部には、第1の清掃部58を係止するための係止爪部56a,56aが突設されている。
【0031】
また、各第2の溝部57は、軸部51の周囲に互いに平行に螺旋状に形成されており、例えば軸部51の一端から他端に亘って360°捻れている。すなわち、各第1の溝部56と各第2の溝部57とは、互いに略平行に形成されている。そして、各第2の溝部57の側縁部57a,57aよりも軸部51の中心側の位置、すなわち第2の溝部57の内部の両側部には、第2の清掃部59を係止するための係止部57b,57bが突設されている。
【0032】
そして、各第1の清掃部58は、基端側を構成する第1の被取付部58aと、この第1の被取付部58aに植毛された清掃体としての複数の第1の毛ブラシ58bとをそれぞれ一体的に有している。また、これら第1の清掃部58は、第1の被取付部58aの両端部が軸部51の両端部に圧入された軸受部52,52によって押さえられていることにより、軸部51の第1の溝部56に対して抜け止めされている。すなわち、各第1の清掃部58は、軸部51に対して一端側から他端側に亘って各第1の毛ブラシ58bが螺旋状の壁状となるように軸部51に取り付けられている。
【0033】
第1の被取付部58aは、例えば可撓変形可能なエラストマなどの部材により長手状に形成されており、各第1の溝部56に沿って挿入されて螺旋状に湾曲しており、係止爪部56a,56aによって各第1の溝部56に係止されている。
【0034】
また、各第1の毛ブラシ58bは、例えばナイロンなどの、柔軟性、可撓性(弾性)および耐摩耗性が大きい合成樹脂などの部材によって線状(繊維状)に形成されており、第1の被取付部58aの略全体に亘って植毛されている。さらに、各第1の毛ブラシ58bは全て略等しい長さ寸法に形成されており、軸部51の外周から径方向に沿って所定寸法突出し、被掃除面に先端側が接触するように構成されている。
【0035】
また、各第2の清掃部59は、基端側を構成する第2の被取付部59aと、この第2の被取付部59aに植毛された清掃体としての複数の第2の毛ブラシ59bおよび除電体としての帯電防止体である除電ブラシ59cとをそれぞれ一体的に有している。そして、これら第2の清掃部59は、第2の被取付部59aの両端部が軸部51の両端部に圧入された軸受部52,52によって押さえられていることにより、軸部51の第2の溝部57に対して抜け止めされている。すなわち、各第2の清掃部59は、軸部51に対して一端側から他端側に亘って各第2の毛ブラシ59bおよび除電ブラシ59cが螺旋状の壁状となるように軸部51に取り付けられている。
【0036】
第2の被取付部59aは、例えば可撓変形可能なエラストマなどの部材により長手状に形成されており、各第2の溝部57に沿って挿入されて螺旋状に湾曲しており、係止部57b,57bによって各第2の溝部57に係止されている。
【0037】
また、各第2の毛ブラシ59bは、例えばナイロンなどの、柔軟性、可撓性(弾性)および耐摩耗性が大きい合成樹脂などの部材によって線状(繊維状)に形成されており、第2の被取付部59aの略全体に亘って各除電ブラシ59cとともに植毛されている。さらに、各第2の毛ブラシ59bは全て略等しい長さ寸法に形成されており、軸部51の外周から径方向に沿って所定寸法突出し、被掃除面に先端側が接触するように構成されている。
【0038】
さらに、各除電ブラシ59cは、例えばアモルファス金属繊維などの、各毛ブラシ58b,59bよりも耐摩耗性が大きく、柔軟性、可撓性(弾性)が小さく、かつ、導電性および磁性を有する部材によって線状(繊維状)に形成されており、第2の毛ブラシ59bの合間に例えば数%の割合でランダムに混入配置された状態で第2の被取付部59aに植毛されている。すなわち、各第2の毛ブラシ59bと各除電ブラシ59cとは互いに不規則に配置され、これら第2の毛ブラシ59bと除電ブラシ59cとの全体としては、各第1の毛ブラシ58bと同様に、軸部51に対して一端側から他端側に亘る螺旋状でかつ壁状の繊維束となっている。さらに、各除電ブラシ59cは全て第2の毛ブラシ59bと略等しい長さ寸法に形成されており、軸部51の外周から径方向に沿って所定寸法突出し、被掃除面に先端側が接触するように構成されている。
【0039】
なお、各除電ブラシ59cを構成するアモルファス金属繊維としては、例えばCo−Si−B系のものなどが用いられる。
【0040】
また、各軸受部52は、軸部51の両端部に圧入され、各清掃部58,59の両端部を軸部51に対して抜け止めしている。
【0041】
また、駆動室42には、回転ブラシ49を回転駆動させる駆動手段としての電動機61が収納されている。この電動機61の回転軸61aは、回転ブラシ49の一方の軸受部52との間に、駆動室42および吸込室41のそれぞれの側部に亘って配置された伝達手段としてのベルト62が巻き掛けられており、電動機61の回転に伴い回転ブラシ49が回転するように構成されている。なお、この電動機61は、接続管32を介して掃除機本体12側から給電されており、例えば回転ブラシ49を前方に向けて、すなわち上部が後側から前側へと移動する方向(下部が前側から後側へと移動する方向)、換言すれば床ブラシ23(ケース体31)の前進を補助する方向に回転させるように駆動が制御される。
【0042】
また、制御室43には、電動機61などの駆動を制御する制御手段65が収納されている。この制御手段65は、例えばマイコンなどであり、接続管32を介して掃除機本体12側から給電されている。
【0043】
さらに、イオン発生室44は、吸込室41の左右幅方向の中央部の上方に位置しており、下ケース35の下ケース形成体35bと上ケース36の上ケース形成体36cとの間に区画されている。このイオン発生室44には、イオン発生器67が収納されている。したがって、このイオン発生器67は、ケース体31の上側に配置されている。このイオン発生器67は、塵埃を電気的に中和するためのイオンIを例えばコロナ放電によって発生させる電極67aを有し、制御手段65によって動作が制御されている。また、イオン発生室44は、前方に向けて上ケース36の左右幅方向の中央部、すなわち吸塵口47,47間に位置して前後方向に沿って形成された複数の排出孔68によりケース体31の外部と連通している。したがって、これら排出孔68により、イオン発生器67によって発生させたイオンIがケース体31の前側の外部へと排出されるように構成されている。なお、イオン発生器67は、塵埃を電気的に中和できればマイナスイオン、プラスイオンのいずれのイオンを発生させてもよいが、一般に、塵埃はプラスに帯電することが多いため、本実施形態ではマイナスイオンを発生させるマイナスイオン発生器とする。
【0044】
各排出孔68は、上ケース本体36aの前後方向の中央部にて前後方向に沿って形成された中央孔部36eを覆う位置で上ケース形成体36cの中央部近傍にそれぞれ形成されている。
【0045】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0046】
図1ないし図5に示すように、掃除の際には、掃除機本体12の本体吸込口19にホース体21の接続管部26を接続し、このホース体21の手元操作部27に延長管22を接続し、この延長管22に床ブラシ23の接続管32を接続する。この結果、床ブラシ23が、(延長管22、ホース体21、本体吸込口19および集塵部を介して)電動送風機18の吸込側に連通接続される。
【0047】
そして、作業者は、電源コードeを壁面などのコンセントに接続した後、把持部28を把持し、所望の設定ボタン29を操作することにより、本体制御部を介して電動送風機18を所望の動作モードで起動させるとともに、制御手段65がイオン発生器67を駆動させて電極67aでのコロナ放電によりイオンIを発生させる。このため、電動送風機18の駆動により、負圧が集塵部、本体吸込口19、ホース体21、延長管22および床ブラシ23へと順次作用するとともに、イオン発生器67が発生させたイオンIが排出孔68からケース体31(床ブラシ23)の外部、すなわち外気へと排出される。排出されたイオンIは、外気中に含まれる塵埃を電気的に中和することで、これら塵埃が帯電によって被掃除面などに付着することを防止するとともに、ケース体31の外面などに付着した塵埃を電気的に中和することで、ケース体31の外面から塵埃を剥がれやすくする。さらに、作業者は、床ブラシ23を被掃除面上に載置して前後に走行させることで、吸込口46から塵埃を空気とともに吸い込むとともに、吸塵口47,47から空気中の塵埃およびイオン発生器67により発生されたイオンIを空気とともに吸い込む。
【0048】
床ブラシ23に空気とともに吸い込まれた塵埃は、吸い込まれたイオンIにより電気的に中和されつつ接続管32、延長管22、ホース体21、本体吸込口19を介して集塵部へと吸い込まれることにより、帯電によってこれら接続管32、延長管22、ホース体21などへと特に微細な塵埃(細塵)が付着することが防止される。そして、集塵部に吸い込まれた塵埃は空気と分離されてこの集塵部に捕集される。また、塵埃と分離された空気は、電動送風機18へと吸い込まれ、この電動送風機18を冷却した後、排気されて排気風となり、掃除機本体12の外部へと排気される。
【0049】
また、この掃除の際に、使用者は、例えば被掃除面の種類がフローリングである場合など、必要に応じて設定ボタン29を操作することにより、回転ブラシ49を回転駆動させる。具体的に、制御手段65が電動機61を駆動させることにより、この電動機61の回転軸61aにベルト62を介して接続された回転ブラシ49が吸込室41内で前方へと回転する。
【0050】
このとき、回転ブラシ49は、各第1の清掃部58の各第1の毛ブラシ58bおよび各第2の清掃部59の各第2の毛ブラシ59bによって被掃除面の塵埃を掃くとともに、各第2の清掃部59の各除電ブラシ59cが被掃除面に接触することでこの被掃除面を除電することにより、塵埃が帯電によって被掃除面へ付着することを防止する。
【0051】
さらに、図2に示すように、吸塵口47,47から吸込室41内に吸い込まれたイオンIの一部は、回転ブラシ49の回転に沿って、吸込室41内を回転ブラシ49の後方から上方および前方を介して下部後方へと運ばれ、吸込室41内全体、特に窓部48,48などに付着した塵埃を電気的に中和して吸込室41の内壁から剥がれやすくした後、接続管32へと流れる。
【0052】
掃除が終了したときには、使用者が設定ボタン29(図5)を操作することで本体制御部が電動送風機18を停止させるとともに、制御手段65がイオン発生器67を停止させる。なお、電動機61(回転ブラシ49)が駆動している場合には、制御手段65が電動機61(回転ブラシ49)も停止させる。
【0053】
上述したように、上記一実施形態によれば、ケース体31の上側にケース体31の外部へと除電用のイオンIを発生するイオン発生器67を配置するとともに、ケース体31に回転ブラシ49を回転可能に配置し、この回転ブラシ49が、ケース体31に回転可能に軸支された軸部51の外周から突出し、被掃除面上の塵埃を掃く各毛ブラシ58b,59b、および、軸部51の外周から突出し、被掃除面を除電する除電ブラシ59cを有することにより、ケース体31の外面については、イオン発生器67が発生させたイオンIによって外気中の塵埃を電気的に中和するとともに、付着した塵埃をイオンIによって電気的に中和することで剥がれやすくし、帯電による塵埃の付着を効果的に防止できるとともに、被掃除面については、回転ブラシ49の除電ブラシ59cによって除電するとともに、付着した塵埃をイオンIによって電気的に中和することで剥がれやすくし、帯電による塵埃の付着を効果的に防止できる。
【0054】
また、ケース体31の吸込口46(吸込室41)に連通する吸塵口47,47を形成するとともに、回転ブラシ49を上部が後側から前側へと移動する方向、すなわち前方へと回転させることにより、各吸塵口47から外気とともに吸い込んだイオンIを回転ブラシ49の回転によって吸込室41の後部から上部、前部および下部に亘って吸込室41の全体および回転ブラシ49全体にイオンIをより確実に行き渡らせることができ、吸込室41内および回転ブラシ49の全体、すなわち軸部51、各毛ブラシ58b,59bおよび除電ブラシ59cなどへの帯電による塵埃の付着をより効果的に防止できる。
【0055】
したがって、被掃除面および床ブラシ23の外観を清潔に維持することが可能になる。
【0056】
さらに、窓部48,48の内面および外面のそれぞれ塵埃が付着しにくくなるので、使用者が掃除中に上方から窓部48,48を介して回転ブラシ49を確実に目視でき、見栄えをより向上できる。
【0057】
そして、上記除電ブラシ59cを備えた回転ブラシ49を有する床ブラシ23を電気掃除機11が備えることにより、特に帯電により塵埃が取りにくく、細かい塵埃が残りやすいフローリングなどの被掃除面を掃除する際に、イオン発生器67が発生させたイオンIにより、付着した塵埃を電気的に中和して被掃除面から剥がれやすくするとともに、除電ブラシ59cによって被掃除面を確実に除電することで塵埃が被掃除面に付着することを防止でき、掃除性能を向上できる。しかも、イオン発生器67が発生させたイオンIによって塵埃を電気的に中和するので、吸い込んだ塵埃が帯電により延長管22の内面などに付着したり、帯電した塵埃の電荷が手元操作部27の設定ボタン29などを備える電気部に好ましくない電気的な影響を与えたりすることを防止できる。
【0058】
なお、上記一実施形態において、回転ブラシ49は、手動で駆動および停止させる構成だけでなく、床ブラシ23に被掃除面検出手段などを設け、この被掃除面検出手段により検出した被掃除面の種類が例えばフローリングなどである場合などにのみ自動的に駆動されるように構成してもよいし、電動送風機18の駆動および停止と同時に回転駆動および停止されるように構成してもよい。
【0059】
さらに、電気掃除機11としては、キャニスタ型に限らず、例えば上下方向に長手状の掃除機本体12の下部に床ブラシ23を接続した、いわゆるアップライト型などにも対応して用いることができる。
【0060】
そして、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
11 電気掃除機
12 掃除機本体
18 電動送風機
23 吸込口体としての床ブラシ
31 ケース体
46 吸込口
47 吸塵口
49 回転清掃体としての回転ブラシ
51 軸部
58b 清掃体としての第1の毛ブラシ
59b 清掃体としての第2の毛ブラシ
59c 除電体としての除電ブラシ
67 イオン発生器
I イオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース体と、
このケース体の上側に配置されこのケース体の外部へと除電用のイオンを発生するイオン発生器と、
前記ケース体に回転可能に軸支された軸部、この軸部の外周から突出し、被掃除面上の塵埃を掃く清掃体、および、前記軸部の外周から突出し、被掃除面を除電する除電体を備えた回転清掃体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機の吸込口体。
【請求項2】
ケース体は、被掃除面に対向する下側に設けられた吸込口と、上側に設けられ前記吸込口と連通する吸塵口とを備え、前後方向に移動可能であり、
前記回転清掃体は、前記吸込口に位置し、上部が後側から前側へと移動する方向に回転可能である
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機の吸込口体。
【請求項3】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の吸込側に連通する請求項1または2記載の吸込口体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−31551(P2013−31551A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169209(P2011−169209)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】