説明

電気掃除機の吸込口体

【課題】回転ブラシを設計位置に正しい姿勢で保持することができる電気掃除機の吸込口体を提供する。
【解決手段】吸込口体10は、底面に吸込口16を有する本体筐体11と、吸込口16に設けられた回転ブラシ17と、回転ブラシ17を駆動するモータ18を備える。回転ブラシ17は、外面よりブラシ毛41が突出する円筒形のブラシ台42と、ブラシ台42の両端に嵌合固定されてブラシ台組立体40を形成するエンドブラケット43L、43Rと、ブラシ台組立体40の中心を貫通するシャフト44と、エンドブラケット43L、43Rとシャフト44の間に介在してブラシ台組立体40とシャフト44を相対回転自在に連結する軸受45L、45Rと、シャフト44の両端に固定されたシャフトホルダ46L、46Rを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気掃除機の吸込口体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機の吸込口体には吸込口に回転ブラシを設けたものが多い。回転ブラシはモータや風力タービンのような動力源によって回転せしめられ、床面やカーペットから塵埃をかき上げる。このような吸込口体の例を特許文献1、2に見ることができる。
【0003】
従来用いられた回転ブラシの構造例を図12に示す。図12の回転ブラシ100は、外面よりブラシ毛101(仮想線で表す)が突出する円筒形のブラシ台102と、ブラシ台102の両端に嵌合固定されてブラシ台組立体104を構成する2個のエンドブラケット103L、103Rを備える。エンドブラケット103L、103Rは合成樹脂の射出成型品であり、各々の中心にはブラシ台102の外側に向かって突き出すスタッドシャフト105L、105Rがインサート成型されている。スタッドシャフト105L、105Rは鋼鉄製である。
【0004】
スタッドシャフト105L、105Rはシャフトホルダ106L、106Rに保持される軸受107L、107Rに支持される。シャフトホルダ106L、106Rの端面を貫通するボルト108L、108Rがスタッドシャフト105L、105Rの端面より軸線方向にねじ込まれ、これによりスタッドシャフト105Lとシャフトホルダ106L、スタッドシャフト105Rとシャフトホルダ106Rは互いに分離しないように連結される。
【0005】
ボルト108L、108Rはネジ部と頭部の間に頭部よりは細いがネジ部よりは太いネジ無し軸部108La、108Raを有しており、このネジ無し軸部108La、108Raがスペーサとなって、ボルト頭部とスタッドシャフト105L、105Rの端面との間に一定の隙間が確保される。このため、ボルト108L、108Rを限界までねじ込んでもシャフトホルダ106L、106Rはボルト108L、108Rにより圧迫されず、シャフトホルダ106L、106Rはスタッドシャフト105L、105Rに対し回転自在であり続ける。
【0006】
シャフトホルダ106L、106Rは図示しない吸込口筐体のホルダ受部にはめ込まれて回転ブラシ100を支持する。エンドブラケット103Rには図示しない動力源に連結する動力被伝達部109が形成されている。動力源としては図示しないモータが想定されており、動力被伝達部109はそのモータに図示しないタイミングベルトで連結されるタイミングプーリとして構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−54780号公報
【特許文献2】特開2010−273872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図12に示した従来構造の回転ブラシは、ブラシ台の両端にエンドブラケットを固定し、各々のエンドブラケットからスタッドシャフトを突出させてた構造であり、組立の際スタッドシャフトの軸線同士を一直線上に整列させることが難しかった。このため、スタッドシャフトが設計位置に対して偏心したり、設計角度に対して傾きを生じたりすることがしばしばあった。このようにスタッドシャフトが偏心していたり、傾いていたりすると、回転ブラシも設計位置に対し偏心したり、傾いたりすることになる。そのような回転ブラシは回転するときに振れを生じ、騒音や振動を発生させる。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、回転ブラシを設計位置に正しい姿勢で保持することができる電気掃除機の吸込口体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、底面に吸込口を有する本体筐体と、前記吸込口に設けられた回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動する動力源とを備えた電気掃除機の吸込口体において、前記回転ブラシは、外面よりブラシ毛が突出する円筒形のブラシ台と、前記ブラシ台の両端に嵌合固定されてブラシ台組立体を形成する2個のエンドブラケットと、前記ブラシ台組立体の中心を貫通するシャフトと、前記エンドブラケットと前記シャフトの間に介在して前記ブラシ台組立体と前記シャフトを相対回転自在に連結する軸受と、前記シャフトの両端に固定された2個のシャフトホルダを含み、前記本体筐体には、前記シャフトホルダを受け入れて固定するホルダ受部が形成されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成の電気掃除機の吸込口体において、前記軸受は前記エンドブラケットに固定され、前記シャフトホルダは前記シャフトに固定されることが好ましい。
【0012】
上記構成の電気掃除機の吸込口体において、前記シャフトには、前記軸受の端面に当たって当該シャフトの前記軸受に対する軸線方向相対移動を阻止するストッパが取り付けられていることが好ましい。
【0013】
上記構成の電気掃除機の吸込口体において、前記エンドブラケット及びそれと同じ側に位置する前記シャフトホルダは一方が他方を囲む関係にあり、その箇所で両者は狭い間隔を隔てて対峙することが好ましい。
【0014】
上記構成の電気掃除機の吸込口体において、前記エンドブラケットの一方には、前記動力源に連結する動力被伝達部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、ブラシ台とその両端に固定されたエンドブラケットを含むブラシ台組立体の中心にシャフトを通し、シャフトとエンドブラケットの間に軸受を介在させてブラシ台組立体をシャフトに対し回転自在とし、そのシャフトをシャフトホルダで本体筐体に固定したものであるから、ブラシ台組立体の左右でシャフトの軸線がずれたり、傾いたりするといったことがなく、ブラシ台組立体を設計上の正しい位置に取り付けることができる。これにより、回転ブラシが回転する時の振れが少なくなり、騒音や振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電気掃除機の全体構造を説明する概略図である。
【図2】吸込口体の斜視図である。
【図3】吸込口体の上面図である。
【図4】吸込口体の側面図である。
【図5】吸込口体の正面図である。
【図6】図5のA−A線に沿って切断した吸込口体の断面図である。
【図7】図5のB−B線に沿って切断した吸込口体の断面図である。
【図8】吸込口体の膨張室に配置される吸音材の上面図である。
【図9】吸込口体の底面図である。
【図10】図9と同様の吸込口体の底面図にして、回転ブラシを除去した状態で示すものである。
【図11】本発明に係る回転ブラシの断面図である。
【図12】従来の回転ブラシの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、電気掃除機本体1は1個のキャスター式前輪2と2個の後輪3により三点支持され、内部には電動送風機4と集塵装置5が設けられている。集塵装置5は、サイクロン式塵埃分離システムであってもよく、袋状のフィルタであってもよい。電気掃除機本体1の前面には集塵装置5に連通する可撓性のホース6が接続される。ホース6の先端には操作部7を有するハンドル部8が設けられ、ハンドル部8には延長パイプ9が接続され、延長パイプ9の先端に吸込口体10が接続されている。
【0018】
電気掃除機本体1に内蔵された図示しないコードリールから図示しないコードを引き出し、図示しない電源コンセントに接続すると、電気掃除機本体1は稼働可能な状態となる。ハンドル部8を握った使用者がホース6を引くことにより、電気掃除機本体1は使用者に追随して移動する。使用者が操作部7を操作して電動送風機4を稼働状態にすると、吸込口体10、延長パイプ9、及びホース6を通じて集塵装置5に気流が流れ込む。気流に含まれる塵埃は集塵装置5に捕集され、塵埃捕集後の気流は電動送風機4を経由して電気掃除機本体1の外部に排出される。
【0019】
続いて図2から図10までの図に基づき吸込口体10の構造を説明する。
【0020】
吸込口体10は、正面から見て左右に細長い本体筐体11と、本体筐体11を延長パイプ9に接続する役割を担う接続管12を備える。接続管12は本体筐体11の後部中央に連結され、本体筐体11と接続管12はT字形状をなす。本体筐体11は複数の部品を組み合わせて構成されている。本体筐体11の上面にはカバー13が組み合わせられる。カバー13は本体筐体11とほぼ同じ平面形状を有し、本体筐体11の上面全体を覆う。
【0021】
接続管12の前端は導入管14(図6参照)に連結される。導入管14は本体筐体11に固定され、後述する吸込口に連通する。これにより、接続管12は吸込口に連通することになる。導入管14の後端には球形の膨らみ14aが形成されており、ここに接続管12の前端が嵌り込んでユニバーサル継手15を構成する。ユニバーサル継手15が介在することにより、接続管12は、本体筐体11に対する傾きと、軸線回りの角度を、いずれも所定の角度範囲で変えることができる。
【0022】
本体筐体11の前部には下方に向かって開口する吸込口16が形成されている。吸込口16は本体筐体11の正面幅方向に延びる。導入管14は吸込口16の中央部に開口する。導入管14は特に下の方の部分が吸込口16に向かって漏斗状に広がっており、広い範囲から空気を吸い込むようになっている。
【0023】
吸込口16の内部には回転ブラシ17が設けられる。回転ブラシ17の構造は後で詳細に説明する。回転ブラシ17は吸込口16とほぼ同じ正面幅を有し、モータ18(図7参照)により駆動される。回転ブラシ17とモータ18を連結するのは図示しないタイミングベルトである。モータ18は本体筐体11内に独立空間として形成されたモータ収納室19に収納される。接続管12には延長パイプ9の図示しない給電端子に接続する給電端子20が設けられており、この給電端子20を介して電気掃除機本体1よりモータ18に給電が行われる。
【0024】
本体筐体11の下面には、ユニバーサル継手15の真下にあたる箇所にキャスター21が設けられている。キャスター21は床面に接触して吸込口体10を支え、吸込口体10に軽快な動きを与える。
【0025】
本体筐体11の下面には、キャスター21よりも前方で、正面から見て左側に偏った位置に、ローラ22が設けられる。ローラ22は上下動可能であり、モータ18に対する安全スイッチ(図示せず)のアクチュエータの役割を果たす。すなわち、吸込口体10が床の上に置かれた状態ではローラ22も床に当たり、本体筐体11の内部に退避する。この状態では安全スイッチが導通状態となり、モータ18に給電してモータ18を稼働させることが可能となる。吸込口体10が床から持ち上げられるに従いローラ22は本体筐体11から突出する。ローラ22が床から離れた状態では、安全スイッチが非導通状態となり、モータ18への給電が断たれる。従って、身体の一部が接触可能な状態で回転ブラシ17が回転することがなく、それによる危険が回避される。
【0026】
図6に示す通り、カバー13は本体筐体11に隙間無く貼り付いている訳ではなく、周縁部は本体筐体11に密着するが、それ以外の箇所では本体筐体11との間に隙間を生じている。この隙間が膨張室23となる。膨張室23は少なくともモータ収納室19の上部を覆う。実施形態では、本体筐体11の上面全体にわたって膨張室23が広がることとされている。モータ収納室19と膨張室23は、図示しない複数の小孔を介して連通する。
【0027】
モータ収納室19で発生した音波は図示しない小孔を通じて膨張室23に導入され、膨張室23内での音波干渉により一定割合が消滅する。これにより外部に漏洩する騒音レベルが低下する。膨張室23はモータ収納室19と外部とを隔てる遮音空間としても機能し、騒音低減にさらに貢献する。
【0028】
図7に示す通り、膨張室23には吸音材24が配置される。吸音材24としては、例えば発泡ウレタンを用いることができる。吸音材24を配置することにより、膨張室23に入った音波が吸音材24に吸収されるので、遮音性能が一層高まる。吸音材24は膨張室23の内部のほぼ全域に広がる大きさとしておくのがよい。図8に示す吸音材24は丁度その大きさとなっている。吸音材24は図6では図示省略となっている。
【0029】
モータ収納室19に対して膨張室23を設けたのと同様の考えが吸込口16に対しても適用されている。すなわち吸込口16は回転ブラシ17の外周にすれすれで引っ掛からない程度の高さのところに天井16aを有し、天井16aの上の空間が膨張室25となる。導入管14は膨張室25にも連通する。図7及び図10に示す通り、天井16aには複数の小孔26が形成され、吸込口16と膨張室25は小孔26を介して連通している。
【0030】
吸込口16で生じる騒音としては、モータ18から回転ブラシ17に回転力を伝える伝達機構が発する騒音、回転ブラシ17が床面をたたいたりこすったりする音、回転ブラシ17の周囲を空気が流れることによる風切り音、などがその主なものとなる。吸込口16で発生した音波は小孔26を通じて膨張室25に導入され、膨張室25内での音波干渉により一定割合が消滅する。これにより外部に漏洩する騒音レベルが低下する。膨張室25は吸込口16と外部とを隔てる遮音空間としても機能し、騒音低減にさらに貢献する。
【0031】
本体筐体11のみならず、接続管12に対しても騒音低減対策が施される。以下それについて説明する。
【0032】
接続管12は少なくとも一部の外周部をカバー30で覆われる。実施形態のカバー30は左右二つ割りにした部品からなり、左右から接続管12を挟む構成になっている。二つ割りの部品をネジで結合することにより、接続管12の長さの半分以上を囲む鞘状のカバー30が形成される。
【0033】
図6に示す通り、接続管12の上下面には、長さ方向に沿って魚の背鰭及び腹鰭状の突起31、32が形成されている。突起31、32はカバー30の内面に当たり、接続管12に対するカバー30の相対位置を定める役割を果たす。
【0034】
突起32はカバー30の外側に突き出す。突き出した部分は断面逆T字形のフック34となっている。電気掃除機本体1の下面には、後面を下にして電気掃除機本体1を立てたときに露出するフック受け(図示せず)が形成されている。電気掃除機本体1を立てておいてフック34をフック受けに係合させると、接続管12は軸線を垂直にする形で電気掃除機本体1に保持される。接続管12に延長パイプ9とホース6が接続されていれば、ホース6から吸込口体10に至る部品の全てが接続状態のまま電気掃除機本体1と共に保管されることになる。
【0035】
接続管12の外側にカバー30で囲われた空間が膨張室35となる。接続管12の内部と膨張室35は、接続管12の外周壁に形成された複数の小孔36を介して連通している。
【0036】
本体筐体11の側で発生した騒音は接続管12の内部に伝わる。その音波は小孔36を通じて膨張室35に導入され、膨張室35内での音波干渉により一定割合が消滅する。これにより外部に漏洩する騒音レベルが低下する。膨張室35は接続管12の内部と外部とを隔てる遮音空間としても機能し、騒音低減にさらに貢献する
【0037】
接続管12には、カバー30で覆われる区間の中に、前後の部分に比べて内径の小さい小径部12aが形成されている。実施形態では、小孔36の形成された区間が小径部12aとなっている。小径部12aの存在により、接続管12の内部を流れる気流の流速が増加し、吸込口16における塵埃吸引力を強く保つことができる。小径部12a以外の接続管12の内径が例えば34mmであった場合、小径部12aの内径としては例えば27mmと
いった数値が設定される。
【0038】
膨張室35には吸音材(図示せず)が配置される。吸音材としては、例えば発泡ウレタンを用いることができる。吸音材を配置することにより、膨張室35に入った音波が吸音材に吸収されるので、遮音性能が一層高まる。吸音材は膨張室35の内部のほぼ全域に広がる大きさとしておくのがよい。
【0039】
カバー30の前面には複数のスリットで形成される外気取入口38(図7参照)が形成される。接続管12の内部を気流が高速で通過すると接続管12の内部は負圧になり、膨張室35の内部の空気が接続管12に引き込まれる。接続管12に引きまれた分の空気は、外気取入口38から入ってくる外部空気で補填される。このように外気取入口38から入って接続管12の内部へと抜ける空気流が形成されることにより、外部への騒音の漏洩は一層少なくなる。
【0040】
本実施形態では吸込口体10の一部をなす接続管12にカバー30を取り付けたが、見方を変えれば延長パイプ9も接続管であり、延長パイプ9にカバー30を取り付けて膨張室35を構成することも可能である。
【0041】
回転ブラシ17の構造を図11に示す。回転ブラシ17は、外面よりブラシ毛41が突出する円筒形のブラシ台42と、ブラシ台42の両端に嵌合固定されてブラシ台組立体40を構成する2個のエンドブラケット43L、43Rを備える。エンドブラケット43L、43Rは合成樹脂の射出成型品である。
【0042】
ブラシ台組立体40の中心を、直線的に延びる鋼鉄製のシャフト44が貫通する。エンドブラケット43L、43Rとシャフト44の間には軸受45L、45Rが介在し、ブラシ台組立体40とシャフト44を相対回転自在に連結する。軸受45L、45Rはメタルからなる滑り軸受でもよく、ボールベアリングやローラベアリングのような転がり軸受でもよい。
【0043】
軸受45L、45Rはエンドブラケット43L、43Rに圧入固定される。仮にエンドブラケット43Lと軸受45L、エンドブラケット43Rと軸受45Rが相対回転可能であったとすれば、相対回転時の摩擦熱でエンドブラケット43L、43Rが溶けるおそれがあるが、エンドブラケット43L、43Rに軸受45L、45Rを固定しておけば、そのような懸念は解消される。
【0044】
シャフト44の両端にはシャフトホルダ46L、46Rが固定される。シャフト44の端部にスプラインのような凹凸形状を形成しておき、この端部を合成樹脂射出成型品であるシャフトホルダ46L、46Rに圧入することにより、シャフト44とシャフトホルダ46L、46Rの固定が達成される。本体筐体11にはシャフトホルダ46L、46Rを受け入れて固定するホルダ受部(図示せず)が形成されている。本体筐体11とシャフトホルダ46L、46Rの固定は、例えばネジを用いて行うことができる。
【0045】
エンドブラケット43L、43Rと軸受45L、45Rの関係と同様、シャフトホルダ46L、46Rとシャフト44が相対回転可能であったとすると、相対回転時の摩擦熱でシャフトホルダ46L、46Rが溶けるおそれがあるが、シャフト44にシャフトホルダ46L、46Rを固定しておけば、そのような懸念は解消される。
【0046】
エンドブラケット43L及びそれと同じ側に位置するシャフトホルダ46Lは一方が他方を囲む関係にある。実施形態ではシャフトホルダ46Lがエンドブラケット43Lを囲む形になっている。この箇所でエンドブラケット43Lとシャフトホルダ46Lは狭い間隔を隔てて対峙する。エンドブラケット43R及びそれと同じ側に位置するシャフトホルダ46Rの関係では、エンドブラケット43Rがシャフトホルダ46Rを包み、この箇所でエンドブラケット43Rとシャフトホルダ46Rは狭い間隔を隔てて対峙する。この構成により軸受45L、45Rはシールされ、塵埃で汚されにくくなる。
【0047】
エンドブラケット43Rは、シャフトホルダ46Rを囲む部分が動力源に連結する動力被伝達部として形成されている。動力被伝達部はモータ18に図示しないタイミングベルトで連結されるタイミングプーリ47であり、その内径部にシャフトホルダ46Rを取り込む形になっている。このように、シャフトホルダ46Rを囲むためにはある程度の内径の部分が必要であることを利用して、その部分をタイミングプーリ47としたので、構成が合理的である。
【0048】
シャフト44には、軸受45L、45Rの外側の位置に、軸受45L、45Rの端面から僅かに離れて環状溝(図示せず)が形成されている。この環状溝に嵌合されたリング状のストッパ48が軸受45L、45Rに当たってスラスト力を受け、軸受45L、45Rに対するシャフト44の軸線方向の相対移動を阻止する。これによりエンドブラケット43Lとシャフトホルダ46L、及びエンドブラケット43Rとシャフトホルダ46Rはシャフト44の軸線方向において一定の位置関係を保つことになる。ストッパ48としては例えばEリングを用いることができる。
【0049】
このように、ブラシ台42とその両端に固定されたエンドブラケット43L、43Rを含むブラシ台組立体40の中心にシャフト44を通し、シャフト44とエンドブラケット43L、43Rの間に軸受45L、45Rを介在させてブラシ台組立体40をシャフト44に対し回転自在とし、そのシャフト44をシャフトホルダ46L、46Rで吸込口体10の本体筐体11に固定したものであるから、ブラシ台組立体40の左右でシャフト44の軸線がずれたり、傾いたりするといったことがなく、ブラシ台組立体40を設計上の正しい位置に正しい姿勢で取り付けることができる。これにより、回転ブラシ17が回転する時の振れが少なくなり、騒音や振動を抑制することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は電気掃除機の吸込口体に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 電気掃除機本体
4 電動送風機
5 集塵装置
6 ホース
9 延長パイプ
10 吸込口体
11 本体筐体
12 接続管
16 吸込口
17 回転ブラシ
18 モータ
40 ブラシ台組立体
41 ブラシ毛
42 ブラシ台
43L、43R エンドブラケット
44 シャフト
45L、45R 軸受
46L、46R シャフトホルダ
47 タイミングプーリ(動力被伝達部)
48 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に吸込口を有する本体筐体と、前記吸込口に設けられた回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動する動力源とを備えた電気掃除機の吸込口体において、
前記回転ブラシは、
外面よりブラシ毛が突出する円筒形のブラシ台と、
前記ブラシ台の両端に嵌合固定されてブラシ台組立体を形成する2個のエンドブラケットと、
前記ブラシ台組立体の中心を貫通するシャフトと、
前記エンドブラケットと前記シャフトの間に介在して前記ブラシ台組立体と前記シャフトを相対回転自在に連結する軸受と、
前記シャフトの両端に固定された2個のシャフトホルダを含み、
前記本体筐体には、
前記シャフトホルダを受け入れて固定するホルダ受部が形成されている、
ことを特徴とする電気掃除機の吸込口体。
【請求項2】
前記軸受は前記エンドブラケットに固定され、前記シャフトホルダは前記シャフトに固定されることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機の吸込口体。
【請求項3】
前記シャフトには、前記軸受の端面に当たって当該シャフトの前記軸受に対する軸線方向相対移動を阻止するストッパが取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機の吸込口体。
【請求項4】
前記エンドブラケット及びそれと同じ側に位置する前記シャフトホルダは一方が他方を囲む関係にあり、その箇所で両者は狭い間隔を隔てて対峙することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気掃除機の吸込口体。
【請求項5】
前記エンドブラケットの一方には、前記動力源に連結する動力被伝達部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電気掃除機の吸込口体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−94540(P2013−94540A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242285(P2011−242285)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】