説明

電気掃除機用の吸込具およびそれを用いた電気掃除機

【課題】回転ブラシによって弾き飛ばされた塵埃を強制的に吸引口より吸塵させるようにし、取り残しなく確実に集塵できる電気掃除機用の吸込具を提供することを目的とする。
【解決手段】回転自在に保持された回転ブラシ11を備えた回転ブラシ収納室12と、前記回転ブラシ収納室12の略中央部付近で連通させた吸引口13を設けた吸込具1において、前記回転ブラシ収納室12と前記吸引口13との間に、前記回転ブラシ収納室12、前記吸引口両側の壁面20とで区画形成する流路体21を形成し、前記流路体21の両端部には送風機24からの吹出し風を射出する吹出口22を設け、前記吹出口22は前記吸引口13に向かって吹出し風を射出するように吹出口22の向きを構成したことにより、塵埃を吹出し気流によって強制的に吸引口13へと空気輸送するため、前記吸引口両側の壁面20での跳ね返りによって取り残していた塵埃を確実に吸塵することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ブラシを有する電気掃除機の吸込具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、回転ブラシを有する電気掃除機の吸込具は、吸引口本体の下面に吸塵用の開口を設け、その開口から突出させた回転ブラシを回転駆動することによって床やじゅうたんなどの被掃除面から塵埃を掻き出し、吸引口本体の中央に配置している吸引口から吸引する構造となっている。回転ブラシは、駆動モーターや、吸引風を利用するタービン翼の回転駆動源よりベルトを介して回転駆動している。また、昨今の吸込具は、掃除の操作性を向上させるために、回転ブラシの回転方向を、吸込具が前進する方向に回転する向きとなっている。また、別の例として、回転ブラシによる塵埃の掻き出し性を向上させるために、掃除機本体の吸引用電動送風機から発生する排気風を吸込具まで循環させ、回転ブラシの前方に設けた噴気口より回転ブラシに向かって吹出すことで、塵埃の掻き出し性の向上を図ったものも見られる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−206628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成において、吸引口は回転ブラシを収納しているブラシ収納室の中央に配置しており、その開口幅は回転ブラシの幅に対して1/4程度であり、吸引口の両側は壁面なっている。そして回転ブラシは、後方の吸引口および吸引口両側の壁面に向かって塵埃を掻き出す方向に回転しているため、掻き出した塵埃は、そのブラシ回転からくる弾き力によって、後方へ直線的に掻き飛ばされ、そのほとんどが吸引口両側の壁面に衝突し跳ね返ってしまい、回転ブラシと吸引口両側の壁面との隙間で乱れた動きとなっており、その乱れ動いている間に吸込具は前方へと進んでしまうため、回転ブラシで掻き出した塵埃を吸引口から確実に吸塵できず、吸引残りとなることがあった。
【0005】
また、吸引具の両側の回転ブラシ付近には、通常、切り欠き部を設けており、横からの吸込みにも対応した構成となっているが、被掃除面と接した際、この切り欠き部から入ってくる吸引風では、上述の弾き飛ばされて乱れ動く塵埃を吸引口まで輸送する効果は充分ではなかった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、回転ブラシで掻き出した塵埃を確実に吸引口から吸塵できるようにした電気掃除機用の吸込具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電気掃除機用の吸込具は、吸込具本体の下面に吸塵のための開口部を設け、前記開口部の一部には、回転自在に保持された回転ブラシを備えた回転ブラシ収納室と、前記開口部の略中央部付近で連通させた吸引口を設けた吸込具において前記回転ブラシ収納室と前記開口部との間に、前記回転ブラシ収納室と前記吸引口両側の壁とで区画形成される流路体を形成し、前記流路体の両端部には送風機からの吹出し風を射出する吹出口を設け、前記吹出口は前記吸引口に向かって吹出し風を射出するように吹出口の向きを構成したものである。
【0008】
このような発明によって、回転ブラシで被掃除面より掻き出した塵埃、および掻き出した後に吸引口両側の壁面に衝突して跳ね返った塵埃を、吸引による気流以外の吹出し気流によって強制的に吸引口へと空気輸送するため、壁面衝突による跳ね返りよって取り残しとなっていた塵埃を確実に吸引口より吸塵することができるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気掃除機用の吸込具は、回転ブラシによって掻き出した塵埃を、強制的に吸引口より吸塵させるようにしているため、取り残しなく確実に集塵することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における吸込具の中央縦断面図
【図2】同実施の形態における構成図
【図3】同実施の形態における塵埃の挙動を示した縦断面図
【図4】同実施の形態における塵埃の輸送作用を示した部分断面図
【図5】同実施の形態における外観正面図
【図6】同実施の形態における外観側面図
【図7】同実施の形態における吹出し停止時を示した部分断面図
【図8】本発明の実施の形態2の構成を示した縦断面図
【図9】同実施の形態における横断面図
【図10】本発明の実施の形態3を示した部分構成図
【図11】同実施の形態における横断面図
【図12】本発明の実施の形態4の構成を示す縦断面図
【図13】同実施の形態における横断面図
【図14】本発明の実施の形態5における構成図
【図15】図14の下端部の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、吸込具本体の下面に吸塵のための開口部を設け、前記開口部の一部には、回転自在に保持された回転ブラシを備えた回転ブラシ収納室と、前記開口部の略中央部付近で連通させた吸引口を設けた吸込具において前記回転ブラシ収納室と前記開口部との間に、前記回転ブラシ収納室と前記吸引口両側の壁とで区画形成される流路体を形成し、前記流路体の両端部には送風機からの吹出し風を射出する吹出口を設け、前記吹出口は前記吸引口に向かって吹出し風を射出するように吹出口の向きを構成したことにより、回転ブラシで被掃除面より掻き出した塵埃、および掻き出した後に吸引口両側の壁面に衝突して跳ね返った塵埃を、吸引による気流以外の吹出し気流によって強制的に吸引口へと空気輸送するため、壁面衝突による跳ね返りよって取り残しとなっていた塵埃を確実に吸引口より吸塵することができるようになる。
【0012】
第2の発明は、吹出し風が、吸引圧によって発生する吸込具本体の下面と被掃除面との隙間から流入する吸引風の流速よりも、大きい流速で射出するようにしたことにより、小石など、重みのある塵埃も吸引口へと空気輸送することができるようになる。
【0013】
第3の発明は、吹出し風が、吸引口両側の壁面に沿って流れ、かつ前記壁面の高さ方向に渡って流れるように、吹出口の形状をスリット状にしたことにより、回転ブラシによって掻き出された塵埃が、吸引口両側壁面のどの高さ位置に飛ばされて来ても、吹出し風が当たることになる。
【0014】
第4の発明は、吸引口両側の壁面に、吹出口から吸引口に向かって溝部を複数本形成したことにより、吹出し風に乗った塵埃を、吸引口量側の溝に沿ってスムーズに吸引口へと空気輸送することができるようになる。
【0015】
第5の発明は、吹出口を、回転ブラシが被掃除面との接地位置から回転方向の吸引口側に向かって約90°の範囲で、前記回転ブラシのブラシ先端に吹出し風が当たるようにしたことにより、回転ブラシのブラシ先端に髪の毛を引っ掛けても吹出し風で再び外す作用が働くため、回転ブラシへの髪の毛の巻き付きを抑えることができるようになる。
【0016】
第6の発明は、吹出し風を射出する吹出口には、吸引口に向かって吹出し風を射出する吹出口Aと、被掃除面に向かって吹出し風を射出する吹出口Bの両方を兼ね備えたことにより、回転ブラシ両側の軸受け部分は、ブラシが無いことで塵埃を掻き出すことができなったが、吹出口Bの吹出し風によって、塵埃を掻き出すことになるため、吸込具の幅全体で被掃除面から塵埃の掻き出しができるようになる。
【0017】
第7の発明は、吹出し風を発生させる送風機の空気取り入れ口を、吸込具本体の上面に構成したことにより、送風機にて吸込具上方の空気を吸引するため、吸込具の前後動作で浮遊した埃も、この送風機によって吸引し、吸込んだ埃は吹出口より射出されて吸引口より吸塵されることになる。
【0018】
第8の発明は、吸込具本体に内蔵した駆動モーターによって回転する回転ブラシの両端に、吹出し風を発生させるブロワファンを連結したことにより、送風機から吹出口までの配管通路を短くなり吹出しのための配管ロスを抑えられるため、効率良く吹出し風を発生させることができる。
【0019】
第9の発明は、上述の第1から8のいずれか1つの発明による吸込具を備えた電気掃除機おいて、回転ブラシで掻き出した塵埃は吹出し風で吸引口まで輸送されるため、弱い吸引力でも吸引口から掃除機本体に備えた集塵部までは空気輸送が可能であるため、消費電力を抑えることができるようになる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図を用いて、本発明の実施の形態における電気掃除機用の吸込具について説明する。
【0022】
図1、図2は、吸引風を発生させる電動送風機を具備した電気掃除機本体(図示せず)に接続した可とう性ホース(図示せず)および延長管(図示せず)を介して接続した吸込具1であり、吸込具1は、被掃除面から塵埃を掻き上げて集塵する吸込具本体2と、吸込具本体2と延長管との間を上下方向、および周方向に回動自在に接続する連結パイプ3とで構成している。
【0023】
吸込具本体2は、上ケース4と下ケース5、および上ケース4と下ケース5とで挟持し、壁等の障害物に対する緩衝作用をなすバンパー6とから外郭を構成しており、連結パイプ3は、上ケース4と下ケース5とで挟持して構成する軸受け部分7で、連結パイプ3の回動管8を上下方向に回動自在となるように軸支している。また、連結パイプ3は、周方向に回動自在となるように継手管9を回転管8に装着し、かつこの継手管9には延長管との勘合部(図示せず)も構成している。
【0024】
吸込具本体2は、下方の被掃除面と接する部分を開口10し、被掃除面からの塵埃を掻き出すための回転ブラシ11を収納する回転ブラシ収納室12を構成しており、回転ブラシ11は、この回転ブラシ収納室12に着脱自在に装着できるように構成している。回転ブラシ収納室12の後方には、回転ブラシ11によって掻き出した塵埃を吸引するための
吸引口13を配しており、この吸引口13は連結パイプ3と連通するように配管構成している。
【0025】
回転ブラシ11には、数種類の毛ブラシ14を螺旋状に複数配列させており、それぞれの毛ブラシ14は、木床、じゅうたんといった被掃除面の特性に対応した毛ブラシ14を組み合わせている。回転ブラシ11は、吸込具本体2に内蔵した駆動モーター15によって、ベルト16を介して回転駆動するように構成しており、その回転方向は、吸込具1を前方に操作する方向に対して順方向となる回転としている。
【0026】
この回転方向の設定にしているのは、掃除機の操作性を軽減させるためである。また、回転ブラシ11は、被掃除面からの掻き出し力を確保するため、回転トルクを上げる必要があり、駆動モーター15に連結したプーリーA17のギヤ歯の数に対して、回転ブラシ11の端部に設けたプーリーB18のギヤ歯の数を12:25に設定で減速させており、回転ブラシ11の回転数としては、じゅうたん上にて約2500r/min前後となるようにしている。回転ブラシ11の両端には軸受ホルダー19を具備し、吸込具本体2の上ケース4と下ケース5とで構成する装着凹部に挿入する形で装着するものである。
【0027】
回転ブラシ収納室12の後方に配した吸引口13の開口幅は、回転ブラシ収納室12の長手方向の寸法に対して約1/4程度であり、回転ブラシ収納室12の略中央付近に配置した吸引口13の両側は、区画形成する壁面20を設けている。さらに、回転ブラシ収納室12と吸引口13の間には、回転ブラシ収納室12と吸引口13、および吸引口両側の壁面20で区画形成される流路体21を構成しており、この流路体21は、約10mm程度の幅の空間を形成させている。
【0028】
この流路体21の両端には、吹出し風を吸引口13に向かって、回転ブラシ11の長手方向と略平行に射出する吹出口22を設けた吹出管23を配置しており、この吹出管23には、掃除機本体に内蔵している電動送風機とは別の送風機24に配管25を通して連結している。そして、この送風機24の空気取り入れ口は、吸込具本体2の上ケース4の上部に配置しており、送風機24の空気導入口26は吸込具本体2に対して上方に開口した開口部27と連結させている。
【0029】
また、開口部27は、吸込具本体2の長手方向に平行にしてスリット状に開口した形状であり、その間口には、回動自在のシャッター28を設け、送風機24が空気を取り入れないときはバネによって閉じる方向に付勢させている。
【0030】
次に、流路体21の構成、およびその作用について説明する。
【0031】
図に示すように、流路体21は、回転ブラシ11と吸引口13の両側との壁面20との間で、その長手方向にほぼ一様な幅で両端から吸引口13向かって区画形成させた空間であって、その流路体21の両側に設けた吹出管23の吹出口22は、吹出し風の射出流れが吸引口13に向くように開口角度、および、開口間口面積を設定している。また、吹出口22は、流路体21の上下方向の空間位置に対して、被掃除面側に近い高さに配置している。
【0032】
回転ブラシ11の回転により、毛ブラシ14は被掃除面とたわみながら被掃除面上の塵埃を掻き出し、掻き出された塵埃は、その毛ブラシ14からの反発力によって、その後方に位置する吸引口両側の壁面20に向かって流路体21を横断するように弾き飛ばされ、その一部は、吸引口両側の壁面20に衝突する(図3)。
【0033】
そして、図4に示すように、流路体21の両側に設けた吹出口22より吹出し風を射出
することよって、回転ブラシ11によって掻き出された塵埃、および弾き飛ばされて吸引口両側の壁面20に衝突して跳ね返った塵埃を、掃除機本体の電動送風機によって発生する吸引風とは別に、この吹出し風の流れに乗せて吸引口13まで強制的に空気輸送し、その後、吸引口13より吸塵するという作用が働く。また、送風機24の空気取り入れ口を吸込具本体の上面に設けているため、吸込具1の上方を漂う埃を吸引することができる。
【0034】
本実施の形態では、送風機24を吸込具本体2内に配置構成しているが、延長管、もしくはホース先端のハンドル部分に設け、吸込具1とは、連結配管を通して吹出し風を流す構成としてもよい。この場合、吸込具1を外せば、サッシの溝など、吸引口の先端が入らないような凹凸箇所の塵埃を、一旦、吹き飛ばしてから吸引するという別の掃除動作が可能となる。
【0035】
ここで、吹出口22からは約25〜40L/minの流量の吹出し風を排出しており、流速は約8〜13m/secの速度で射出している。また、図5、図6に示す、吸込具本体2の下ケース5と被掃除面との間には、吸引風を流入させるために設けた隙間29、及び切り欠き部30を吸込具本体2の前方、および両側に設けており、前方の隙間29からは約900L/minの流量が流入し、さらに吸込具本体の両側の切り欠き部30からは約60〜300L/minの流量が吸引され、その流速は各々、約13m/secとなっている。
【0036】
上述した吹出し風の射出流量、および射出速度は、吸込具本体2の下ケース5と被掃除面との隙間から流入する吸引風と比べ、小さい値であるが、吸込具本体2の下方周囲の隙間から流入する吸引風は、その入口では、上述した流速で直線的に侵入してくるが、回転ブラシ収納室12、ならびに流路体21の拡がった空間に入った瞬間、その流れは急激に拡大するため、一挙に、その流速が減じてしまう。
【0037】
それに比べ、吹出口22から射出した吹出し風は、その射出圧により、吹出口22の間口面積からの拡大が少ない状態で、吸引口までほぼ直線的に流れ、吹出し風の流速はほぼ減ずることなく吸引口まで至ることになる(図4の二点差線)。この吹出し風の流速によって、回転ブラシ11によって掻き出された塵埃を吸引口13まで強制的に空気輸送できるものであって、吸込具本体2の下方周囲に設けた隙間から吸引する吸引風の流量、および流速より小さくとも、空気輸送作用が働く。
【0038】
ここで、上述した吹出し風の流速が8〜13m/secにおいて、流速が高い方が、塵埃の輸送効果が大きく、また、吸込具本体2の下方周囲に設けた隙間から流入する吸引風の流速よりも速い射出速度で吹出し風を射出すれば、その効果は、大幅に増大する。また逆に、吹出し風の射出流速が小さすぎると、射出を止めた従来の構成と同様、回転ブラシによって弾き飛ばされた塵埃が、後方の吸引口両側の壁面に衝突し、図7に示すように流路体21の空間内で乱れた動きになっている間に吸込具1は前進してしまうため、取り残しが生じてしまうことになる。
【0039】
この吹出し風による塵埃の空気輸送効果は、射出圧により吹出し風の流速が吸引口13までの間、減少が少ないことが起因しており、吸込具本体の下方周囲に設けた隙間の開口面積を変えても、上述した通り、その隙間より侵入する吸引風は、回転ブラシ収納室12、ならびに流路体21の拡大した空間に入った瞬間、その流速が大幅に減少するため、吹出し風と同様の効果を得ることは困難である。
【0040】
また、この吹出し風による塵埃の空気輸送作用に関して、掃除機本体の出力を抑えた『弱モード』の設定で吹出し風がある場合と、掃除機本体の出力が『強モード』の設定で吹出し風を止めた場合の条件で比較すると、通常、それぞれ掃除機本体の出力を変えても吸
込具の回転ブラシ11の回転数はほぼ同等であるため、被掃除面から塵埃を掻き出す条件を同じであるが、吸込具本体2の下方周囲に設けた隙間部分から侵入する吸引風が『強モード』にすると強くなるため、『強モード』の方が集塵性はいいことになる。
【0041】
しかし、『弱モード』で吹出し風ありの条件にすると、回転ブラシ11で掻き出した塵埃を吸引口13に向かって吸引風に変わって空気輸送するため、『強モード』と同等の集塵性能を得ることができるようになる。その意味では、回転ブラシ11と吹出し風を兼ね備えることで、高集塵性を維持しながら掃除機本体の消費電力を抑えることが可能となる。
【0042】
(実施の形態2)
図8、図9は、実施の形態2における吹出口の構成を示している。なお、上述した実施の形態1と重複する構成については、同一符号を記載し説明を省略する。
【0043】
図8、図9に示すように、吹出管23は吸引口両側の壁面20付近に位置し、その吹出口22の形状を、吸引口両側の壁面20の高さ方向にスリットの長手方向が平行となるように構成したものである。そして、吸引口両側の壁面20には、吹出口22の位置から吸引口13までの間、吹出し風の流れ方向と平行に複数列の溝部31を形成している。
【0044】
回転ブラシ11によって掻き出された塵埃は、回転ブラシ11後方の吸引口両側の壁面20に向かって弾き飛ばされると、その壁面20の高さ方向に対して至る所に飛んでくるため、上述した吹出口22の構成を取れば、吹出し風は、吸引口両側の壁面20の高さ方向全体の幅で射出されるため、壁面20のどの高さ位置で衝突しても、塵埃は吹出し風の流れに乗ることになる。さらに、吸引口両側の壁面20に吹出し風の流れに沿った溝部を形成しているため、吹出口22から射出された吹出し風は、より直線的に流れるようになって、壁面20上を沿って流れるようになり、また、吹出し風に乗った塵埃も溝部31に沿って流れるようになるため、より吸引口13への空気輸送の効果を上げることができる。
【0045】
(実施の形態3)
図は、実施の形態3における吹出口の構成を示している。なお、上述した実施の形態1と重複する構成については、同一符号を記載し説明を省略する。
【0046】
図10、図11に示すように、吹出管23には、吸引口13に向かって吹出し風を射出する吹出口A32と、さらに、吹出管23下方の被掃除面に向かって吹出し風を射出する吹出口B33を設けている。ここで、吹出口B33は、その総開口面積は、吹出口A32の開口面積に対して、30〜50%となるように開口穴の個数を設定している。
【0047】
通常、回転ブラシ11の軸受け部分となる位置は、回転ブラシ11の毛ブラシ14を構成することはできないため、先述した吸込具本体2の下方周囲に設けた隙間からの吸引風によって吸上げるか、もしくは、下ケース5の下面に回転ブラシ11とは別に、固定させたブラシ(図示せず)を配置して、回転ブラシ11両側の軸受け部分の位置も集塵する構成をとっているが、吸込具本体2の下方周囲から侵入する吸引風は、横方向の流れの向きであるため、被掃除面、特にじゅうたん上などでは、塵埃を掻き出す効果は少ない。また、下ケース5の下面に取り付けた固定ブラシの場合、ブラシが被掃除面上を押さえ続ける状態となるため、ブラシの毛先に塵埃が絡まってしまうということがある。
【0048】
そこで、本実施の形態3の構成を取れば、吹出口A32によって、回転ブラシ11で弾き飛ばされた塵埃を吸引口13まで強制的に空気輸送するだけでなく、従来、集塵しきれなかった回転ブラシ11の軸受け部分に相当する部分の被掃除面にも、吹出口B33から
吹出し風を被掃除面に対してほぼ垂直に射出させているため、塵埃が舞い上げられ集塵することが可能となる。ここで、吹出口B33の開口穴間に交互に固定のブラシを配置すれば、被掃除面から集塵性は向上すると同時に、ブラシの毛先に絡まる塵埃も吹出口Bからの吹出し風で吹き飛ばすことができるため、従来のような、塵埃の絡まりを抑えることができるようになる。
【0049】
(実施の形態4)
図は、実施の形態4における吹出口の構成を示している。なお、上述した実施の形態1と重複する構成については、同一符号を記載し説明を省略する。
【0050】
図12、図13に示すように、吹出口22の開口中心位置が、回転ブラシ11の被掃除面から約75°付近で、かつ、回転ブラシ11の毛ブラシ14の毛先より3〜7mmの距離の軌道上に一致するように配置構成している。さらに、吹出口22は、被掃除面に向かって5〜15°傾斜させた構成とした。
【0051】
以上のように構成された本実施の形態4では、吹出口22より射出した吹出し風は、回転ブラシ11よって被掃除面より掻き出された塵埃を吸引口13に向かって空気輸送すると同時に、回転ブラシ11の毛先に吹出し風が当たるため、毛ブラシ14の先に絡み易い繊維ごみを吹き飛ばすことができるようになる。また、吹出し風は、被掃除面に向かって斜め方向から当たるように構成したことで、吹出し風で被掃除面から塵埃を吹出す効果も得られ、回転ブラシと吹出し風による集塵効果をさらに向上させることができる。
【0052】
(実施の形態5)
図は、実施の形態5における吹出口から射出する吹出し風を発生させる送風機の構成を示している。なお、上述した実施の形態1と重複する構成については、同一符号を記載し説明を省略する。
【0053】
図14、図15に示すように、回転ブラシ11の両端側にブロワファン34を配置するファンケース35を上ケース4と下ケース5とで構成しており、ブロワファン34は回転ブラシ11の端部に設けたプーリーB18に増幅ギヤ36を連結して回転するように構成している。回転ブラシ11は、駆動モーター15から減速させて回転トルクを上げた構成としているため、ブロワファン34は、ファン回転数が約1万r/min以上になるように、増速ギヤ36を介して回転数を増幅させている。そして、ブロワファン34を収納しているファンケース35の端部に吹出管23が連結し、他端に空気を取り入れる開口部37を設けている。
【0054】
ブロワファン34は、駆動モーター15から回転ブラシ11を経て回転駆動し、開口部37より空気を取り入れ、取り入れた空気を吹出管23を通して吹出口22より吹出し風として射出するものである。
【0055】
以上のように構成された本実施の形態5では、吹出し風の発生源であるブロワファン34を回転ブラシ11の両側に配したことにより、ブロワファン34から吹出口22までの管路長が短くなり管ロスを抑えることができると同時に、ブロワファン34を回転させる駆動源を回転ブラシ11の駆動モーター15で兼ねているため、吸込具1の重量を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機用の吸込具は、回転ブラシ収納室と吸引口との間に設けた空間において、その両端から吸引口に向かって吹出し風を射出することによって、回転ブラシで被掃除面より掻き出した塵埃、および掻き出した後に吸引口両側の壁
面に衝突して跳ね返った塵埃を、吸引による気流以外の吹出し気流によって強制的に吸引口へと空気輸送するため、壁面衝突による跳ね返りよって取り残しとなっていた塵埃を確実に吸引口より吸塵することができるようになり、吸込具の集塵性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 開口
11 回転ブラシ
12 回転ブラシ収納室
13 吸引口
15 駆動モーター
20 壁面
21 流路体
22 吹出口
24 送風機
31 溝部
32 吹出口A
33 吹出口B
34 ブロワファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込具本体の下面に吸塵のための開口部を設け、前記開口部の一部には、回転自在に保持された回転ブラシを備えた回転ブラシ収納室と、前記開口部の略中央部付近で連通させた吸引口を設けた吸込具において前記回転ブラシ収納室と前記開口部との間に、前記回転ブラシ収納室と前記吸引口両側の壁とで区画形成される流路体を形成し、前記流路体の両端部には送風機からの吹出し風を射出する吹出口を設け、前記吹出口は前記吸引口に向かって吹出し風を射出するように吹出口の向きを構成したことを特徴とする吸込具。
【請求項2】
吹出し風は、吸引圧によって発生する吸込具本体の下面と被掃除面との隙間から流入する吸引風の流速よりも、大きい流速で射出する請求項1に記載の吸込具。
【請求項3】
吹出し風は、吸引口両側の壁面に沿って流れ、かつ前記壁面の高さ方向に渡って流れるように、吹出口の形状をスリット状にした請求項1または2に記載の吸込具。
【請求項4】
吸引口両側の壁面に、吹出口から吸引口に向かって溝部を複数本形成した請求項1から3のいずれか1項に記載の吸込具。
【請求項5】
吹出口は、回転ブラシが被掃除面との接地位置から回転方向の吸引口側に向かって約90°の範囲で、前記回転ブラシのブラシ先端に吹出し風が当たるように構成した請求項1または2に記載の吸込具。
【請求項6】
吹出し風を射出する吹出口には、吸引口に向かって吹出し風を射出する吹出口Aと、被掃除面に向かって吹出し風を射出する吹出口Bの両方を兼ね備えた請求項1から5のいずれか1項に記載の吸込具。
【請求項7】
吹出し風を発生させる送風機の空気取り入れ口を、吸込具本体の上面に構成した請求項1から6のいずれか1項に記載の吸込具。
【請求項8】
回転ブラシは、吸込具本体に内蔵した駆動モーターによって回転するものであって、前記回転ブラシの両端には、吹出し風を発生させるブロワファンを連結した請求項1から6のいずれか1項に記載の吸込具。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の吸込具を備えた電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−9809(P2013−9809A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144038(P2011−144038)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】