説明

電気掃除機

【課題】電気掃除機において、塵埃が満杯になったときに、使用者により確実に、塵埃の排出を促すこと。
【解決手段】集塵袋4と、集塵袋4を収納する集塵室5と、集塵袋4が捕集する塵埃量を検知する風量検知手段26と、集塵室5上方の開口部に開閉自在に設けられた本体蓋18を開く開成手段19と、電動送風機2とを備え、電気掃除機運転中に風量検知手段26が検知する風量により、集塵袋4内の塵埃が満杯になったと判断したときは、開成手段19を駆動して本体蓋18を開ける動作を開始すると共に、電動送風機2への電源の供給を停止する構成とした。これにより、より確実に満杯になった塵埃の排出を、使用者に促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するもので、特に、捕集された塵埃が満杯になった際に、塵埃の排出を促す機構を有する電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電気掃除機として、図4に示すように、ゴミ量検知手段52を有し、ゴミ量検知手段52からの信号により、ゴミが多くなった場合に、ゴミ袋53の交換を報知する報知手段54を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平04−193246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の電気掃除機の構成では、報知手段で報知しても、使用者が報知に気付かないことも考えられ、また仮に気付いたとしても、そのまま使用されて、吸引力が弱い状態のまま掃除機が使用され、結果として塵埃が十分に捕集できないおそれもあった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、捕集した塵埃が満杯になったときに、使用者に、より確実に、塵埃の排出を促すことが可能な電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、塵埃を捕集する集塵袋と、前記集塵袋を収納する集塵室と、前記集塵袋が捕集する塵埃量を検知するための風量検知手段と、前記集塵室上方の開口部に開閉自在に設けられた本体蓋と、前記本体蓋を開く開成手段と、前記集塵室の下流側に設けられ、電動送風機を収納する電動送風機室と、制御手段とを備え、電気掃除機運転中に前記風量検知手段が検知した風量により、前記集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断したときは、前記制御手段が前記開成手段を駆動して前記本体蓋を開ける動作を開始すると共に、前記電動送風機への電源の供給を停止する構成とした。
【0006】
これにより、本体蓋が開くと共に、電動送風機への通電も停止するため、より確実に満杯になった塵埃の排出を、使用者に促すことができるようになり、掃除機使用中は、安定した吸引力を維持できるものである。また電動送風機の通電を停止するため、塵埃の集塵室からの排出の際の安全性も確保できるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、より確実に満杯になった塵埃の排出を、使用者に促すことができるようになり、掃除機使用中は、安定した吸引力を維持でき、また電動送風機の通電を停止して、塵埃の集塵室からの排出の際の安全性も確保できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、塵埃を捕集する集塵袋と、前記集塵袋を収納する集塵室と、前記集塵袋が捕集する塵埃量を検知するための風量検知手段と、前記集塵室上方の開口部に開閉自在に設けられた本体蓋と、前記本体蓋を開く開成手段と、前記集塵室の下流側に設けられ、電動送風機を収納する電動送風機室と、制御手段とを備え、電気掃除機運転中に前記風量検知手段が検知した風量により、前記集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断したときは、前記制御手段が前記開成手段を駆動して前記本体蓋を開ける動作を開始すると共に、前記電動送風機への電源の供給を停止する構成の電気掃除機とした。
【0009】
これにより、より確実に満杯になった塵埃の排出を、使用者に促すことができるようになり、掃除機使用中は、安定した吸引力を維持でき、また電動送風機の通電を停止して、塵埃の集塵室からの排出の際の安全性も確保できるものである。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の開成手段にダンパー機能を加え、本体蓋を開ける速度を小さくして、電動送風機への電源の供給を停止した時点での本体蓋の開き量を、小さくしたもので、本体蓋があまり開く前に電動送風機への通電を停止でき、より安全性が増すものである。
【0011】
第3の発明は、塵埃を捕集する集塵袋と、前記集塵袋を収納する集塵室と、前記集塵袋が捕集する塵埃量を検知するための風量検知手段と、前記集塵室上方の開口部に開閉自在に設けられた本体蓋と、前記本体蓋を開く開成手段と、前記集塵室の下流側に設けられ、電動送風機を収納する電動送風機室と、制御手段とを備え、電気掃除機運転中に前記風量検知手段が検知した風量により、前記集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断したときは、前記電動送風機への電源の供給を停止した後、前記制御手段が前記開成手段を駆動して前記本体蓋を開ける動作を開始する構成の電気掃除機とした。
【0012】
これにより、電動送風機への電源の供給を停止した後に、本体蓋が開くため、さらに安全性を確保できるものである。
【0013】
第4の発明は、第3の発明に加えて二次電池を備え、電気掃除機運転中に風量検知手段が検知した風量により、集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断したときは、電動送風機への電源の供給を停止した後、前記二次電池を用いて前記開成手段を駆動し、本体蓋を開ける動作を開始する構成の電気掃除機とした。
【0014】
これにより、電動送風機駆動のための電源と、本体蓋を開けるための電源(二次電池)とを別々に構成でき、さらに安全性を確保できるものである。
【0015】
第5の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明において、電気掃除機運転中に風量検知手段が検知した風量により、集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断して電動送風機への電源の供給を停止した後は、集塵袋を一度、集塵室から取り出すまでは、前記電動送風機への電源の供給をできなくした。
【0016】
これにより、集塵袋を一度、集塵室から取り出すまでは、電動送風機を駆動できないため、使用者による塵埃の排出を、より確実に実行されるように促すことが実現できる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。図1は本実施の形態における電気掃除機の全体斜視図、図2は同電気掃除機の本体蓋等上方の部品を外した状態の平面図、図3は同電気掃除機の一部欠載断面図である。
【0019】
図1〜図3において、電気掃除機本体1には、後部に電動送風機2を内蔵した電動送風機室3が配され、前部に、着脱自在で塵埃を分離捕集する集塵袋4を収納する集塵室5が配され、後方下部の両側に1対の走行用の車輪6が回転自在に取付けられ、底面前部には、同じく走行用のキャスター7が取付けられている。電気掃除機本体1の前部には、ホース8の一端に設けた接続パイプ9が着脱自在に接続される吸気口10が設けられている。
【0020】
ホース8の他端には、掃除の際に握ると共に電気掃除機本体1の運転を操作するための操作部11aを有する把手11を備えた先端パイプ12が設けられている。13は伸縮自在或いは継ぎ自在の延長管で、下流側端部が前記先端パイプ12に着脱自在に接続され、他端は、吸込み具16に着脱自在に接続される。
【0021】
17は、電気掃除機本体1を持ち運ぶ際に立てて使用する本体ハンドルで、電気掃除機本体1の重心を通る垂直線上に回動中心が位置するように電気掃除機本体1の上部に回動自在に取付けられている。また集塵室5の上方には本体蓋18が開閉自在に設けられている。
【0022】
19は、後述する風量検知手段(集塵量検知手段)26により、前記集塵袋4内の塵埃量が満杯になったと判断したときに、前記本体蓋18を開成する開成手段で、本体蓋18を押し上げるために上下動する押し上げピン14を有すると共に、ダンパー機能を備えている。
【0023】
電動送風機2の前部は、弾性体よりなるサポート前20で、後部は、同じく弾性材料からなるサポートウシロ21で、電動送風機室3内に支持されている。22は、電動送風機室3と集塵室5とを仕切る隔壁で、電動送風機2の吸入開口と連通する格子状の隔壁開口部(図示せず)が設けられ、その隔壁開口部は、集塵室5側から1次フィルター23で覆われている。24は、電気掃除機本体1に商用電源を供給する電源コードである。
【0024】
電動送風機室3の上方には基板(制御手段)25が設けられ、その一部に吸込み具16から吸い込まれる風量を検知する風量センサなどからなる風量検知手段26を有している。そして、予め風量と集塵量との関係を調べたテーブル表を作成しておき、前記風量検知手段26からの実際の検知風量から、集塵袋4内の塵埃量を推定し、前記検知風量が所定の風量より少なくなれば、集塵袋4内が塵埃で満杯になっていると、判断するものである。
【0025】
次に実際の動作について説明する。電動送風機2を駆動すると吸引風が発生し、吸込み具16から含塵空気が電気掃除機本体1内に吸引され、集塵室5内にセットされた集塵袋4内に進入する。そして集塵袋4内で塵埃と空気とが分離され、塵埃は集塵袋4内に残り、分離した空気が下流の電動送風機2へと流れ込んでいく。
【0026】
集塵袋4内の塵埃は徐々に増していき、風量検知手段26で検知される風量が、所定の風量より少なくなると、集塵袋4内が塵埃で満杯になっていると判断し、ダンパー機能を有する開成手段19を駆動し、押し上げピン14が上方に伸び、本体蓋18を押し開ける動作を開始すると共に、前記電動送風機2への電源供給を停止する。
【0027】
このとき、電動送風機2への電源供給の停止が遅れると、本体蓋18が開いた状態で、電動送風機が駆動されている状態となり、危険な状態となるが、開成手段19はダンパー機能を備えているため、その動きを遅らすことが可能で、押し上げピン14が上方に徐々に伸びることにより、電動送風機2が停止した時点で、本体蓋18は、あまり押し開けられていない状態にでき、電動送風機2の回転部に手が触れる等の危険を回避できるものである。
【0028】
そして、電動送風機2が停止し、本体蓋18も開くため、使用者に集塵袋4が塵埃で満杯になったことを強く知らしめることができ、本体蓋18が開いていることにより、塵埃の排出動作に移り易く、塵埃の排出を使用者に強く促すことが可能になる。
【0029】
尚、本実施の形態において、開成手段19にダンパー機能を備えているが、気体や油圧等どんなものを用いても問題ないものである。
【0030】
また、必ずしもダンパー機能を必要とするものではなく、風量検知手段26で検知される風量が、所定の風量より少なくなり、集塵袋4内が塵埃で満杯になっていると判断したときに、先ず電動送風機2への電源の供給を停止した後、開成手段19を駆動して、本体蓋18を開ける動作を開始しても問題ないものである。
【0031】
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。尚、実施の形態1と同一部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
図2、図3において、27は電源コード24により供給される商用電源とは別個に設けられた二次電池であり、電気掃除機運転中に風量検知手段26からの検知風量により、集塵袋4内が塵埃で満杯になっていると判断したときに、前記電動送風機2への電源の供給を停止した後、前記二次電池27を用いて前記開成手段19を駆動し、本体蓋18を開ける動作を開始する構成としている。
【0033】
これにより、電動送風機2駆動のための電源と、本体蓋18を開けるための電源(二次電池)とを別々に構成でき、本体蓋18を開ける際に、同じ電源を使用して、誤って電動送風機2を駆動させてしまうという恐れも無くなり、さらに安全性を確保できるものである。
【0034】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。尚、実施の形態1、2と同一部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0035】
図2において、28は集塵袋4の前方に設けられ、集塵袋4の口芯4a等と接するリミットスイッチである。そして、電気掃除機運転中に風量検知手段26からの検知風量により、集塵袋4内が塵埃で満杯になっていると判断したときに、電動送風機2への電源の供給を停止した後は、集塵袋4を一度、集塵室5から取り出して、前記リミットスイッチ28が解除されるまでは、前記電動送風機2への電源の供給が、できなく構成されている。
【0036】
これにより、集塵袋4を一度集塵室5から取り出すまでは、電動送風機2を駆動できないため、使用者による塵埃の排出を、より確実に実行されるように促すことが実現できる。
【0037】
尚、実施の形態1〜3において、集塵室5内に集塵袋4をセットする構成について説明を行ってきたが、集塵袋だけに限定されるものではなく、樹脂等からなる集塵容器等を用いても、支障が無いものである。
【0038】
また、実施の形態1〜3において、集塵袋内の塵埃が満杯になったことを検知する方法として、風量検知手段を用いて説明を行ってきたがこれに限定するものではなく、例えばフォトカプラー等の光センサーを用いて、集塵袋内の塵埃の満杯等を検知する方法でも問題ないものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、塵埃が満杯になったときに、塵埃の排出をより確実に、使用者に促すことができ、常に安定した吸引力の状態を確保できるため、使用勝手が良く、家庭用、業務用電気掃除機等、幅広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の全体斜視図
【図2】同、電気掃除機の本体蓋等上方の部品を外した状態の平面図
【図3】同、電気掃除機の一部欠載断面図
【図4】従来の電気掃除機の回路ブロック図
【符号の説明】
【0041】
1 電気掃除機本体
2 電動送風機
4 集塵袋
5 集塵室
18 本体蓋
19 開成手段
25 基板(制御手段)
26 風量検知手段
27 二次電池
28 リミットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を捕集する集塵袋と、前記集塵袋を収納する集塵室と、前記集塵袋が捕集する塵埃量を検知するための風量検知手段と、前記集塵室上方の開口部に開閉自在に設けられた本体蓋と、前記本体蓋を開く開成手段と、前記集塵室の下流側に設けられ、電動送風機を収納する電動送風機室と、制御手段とを備え、電気掃除機運転中に前記風量検知手段が検知した風量により、前記集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断したときは、前記制御手段が前記開成手段を駆動して前記本体蓋を開ける動作を開始すると共に、前記電動送風機への電源の供給を停止する構成とした電気掃除機。
【請求項2】
開成手段にダンパー機能を加え、本体蓋を開ける速度を小さくして、電動送風機への電源の供給を停止した時点での本体蓋の開き量を、小さくした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
塵埃を捕集する集塵袋と、前記集塵袋を収納する集塵室と、前記集塵袋が捕集する塵埃量を検知するための風量検知手段と、前記集塵室上方の開口部に開閉自在に設けられた本体蓋と、前記本体蓋を開く開成手段と、前記集塵室の下流側に設けられ、電動送風機を収納する電動送風機室と、制御手段とを備え、電気掃除機運転中に前記風量検知手段が検知した風量により、前記集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断したときは、前記電動送風機への電源の供給を停止した後、前記制御手段が前記開成手段を駆動して前記本体蓋を開ける動作を開始する構成とした電気掃除機。
【請求項4】
二次電池を備え、電気掃除機運転中に風量検知手段が検知した風量により、集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断したときは、電動送風機への電源の供給を停止した後、前記二次電池を用いて前記開成手段を駆動し、本体蓋を開ける動作を開始する構成とした請求項3記載の電気掃除機。
【請求項5】
電気掃除機運転中に風量検知手段が検知した風量により、集塵袋内の塵埃量が満杯になったと判断して電動送風機への電源の供給を停止した後は、集塵袋を一度、集塵室から取り出すまでは、前記電動送風機への電源の供給をできなくした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−73150(P2008−73150A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254327(P2006−254327)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】