説明

電気掃除機

【課題】精度良く空気中の浮遊塵埃を除去することができる電気掃除機を提供する。
【解決手段】電動送風機2の吸引風で床面の塵埃を吸引する床面吸込み口11を備えた吸込具8と、吸込具8に設けられ電動送風機2の吸引風により空気中の浮遊塵埃を吸引する空気取り入れ口12と、床面より吸引した塵埃の量と大きさを検知するセンサー5とを備え、センサー5が検知する塵埃の量と大きさに応じて空気取り入れ口12の開口面積を変化させるもので、例えば、センサー5が舞い上がりやすい細塵を検知した時、空気取り入れ口12の開口面積を広げれば、浮遊塵埃が効率よく吸引され、使用者の鼻口周辺の高さまで塵埃が漂うのを防ぎ、センサー5が比較的大きい床面近くの浮遊塵埃を検知した時、空気取り入れ口12の開口面積を小さくすれば、床面吸込み口11の吸引力が強まって、床面近くの浮遊塵埃が確実に吸引され、ほこりが少ない空間で掃除を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するものであり、特に空気中の浮遊塵埃を吸引するための制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電気掃除機として、吸込具上面に多数の微小孔を設け、前記微小孔から空気中の浮遊塵埃を吸引するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2817004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の電気掃除機の構成によれば、吸込具上面の微小孔が常に同じ開口面積で、しかも同じ開口向きで開いたままになっているため、特定領域の浮遊塵埃の吸引には適しているが、床面に存在する塵埃の量や大きさよって塵埃が舞い上がる程度が異なり、その舞い上がり方が変わることによる浮遊塵埃が達する高さの変化には対応できていない、という課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、床面より吸引した塵埃の量と大きさを検知して、掃除中に舞い上がる浮遊塵埃の舞い上がり高さを推定し、精度良く空気中の浮遊塵埃を除去することができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、吸引風を発生させる電動送風機と、前記電動送風機と連通し、その吸引風により床面の塵埃を吸引する床面吸込み口を備えた吸込具と、前記吸込具に設けられると共に、前記電動送風機の吸引風により空気中の浮遊塵埃を吸引する空気取り入れ口と、床面より吸引した塵埃の量と大きさを検知する塵埃検知手段とを備え、前記塵埃検知手段が検知する塵埃の量と大きさに応じて前記空気取り入れ口の開口面積を変化させるもので、例えば、前記塵埃検知手段が検知した塵埃が、高いところまで舞い上がりやすい細塵のときは、空気取り入れ口の開口面積を広げれば、掃除中に舞い上げられた浮遊塵埃を効率よく吸引でき、部屋の上方、特に使用者の鼻口周辺の高さまで塵埃が漂うのを防ぐことができ、又、前記塵埃検知手段が検知した塵埃が比較的大きく、床面近くで浮遊する塵埃のときは、空気取り入れ口の開口面積を小さくすれば、床面吸込み口での吸引力が強まって、床面近くで浮遊する塵埃が確実に吸引され、使用者は、ほこりが少ない空間で快適に掃除を行うことができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電気掃除機は、掃除中に舞い上げられる花粉やハウスダストなどの浮遊塵埃を効率よく吸引でき、使用者がほこりが少ない空間で快適に掃除を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、吸引風を発生させる電動送風機と、前記電動送風機と連通し、その吸引風により床面の塵埃を吸引する床面吸込み口を備えた吸込具と、前記吸込具に設けられると共に、前記電動送風機の吸引風により空気中の浮遊塵埃を吸引する空気取り入れ口と、床面より吸引した塵埃の量と大きさを検知する塵埃検知手段とを備え、前記塵埃検知手段が検知する塵埃の量と大きさに応じて前記空気取り入れ口の開口面積を変化させるもので、例えば、前記塵埃検知手段が検知した塵埃が、高いところまで舞い上がりやすい細塵のときは、空気取り入れ口の開口面積を広げれば、掃除中に舞い上げられた浮遊塵埃を効率よく吸引でき、部屋の上方、特に使用者の鼻口周辺の高さまで塵埃が漂うのを防ぐことができ、又、前記塵埃検知手段が検知した塵埃が比較的大きく、床面近くで浮遊する塵埃のときは、空気取り入れ口の開口面積を小さくすれば、床面吸込み口での吸引力が強まって、床面近くで浮遊する塵埃が確実に吸引され、使用者は、ほこりが少ない空間で快適に掃除を行うことができる。
【0008】
第2の発明は、特に、第1の発明の塵埃検知手段が検知した塵埃の量が多いほど、空気取り入れ口の開口面積をより広くし、より高く舞い上がった浮遊塵埃を吸引するもので、ほこりがより高く舞い上がりやすい状況では空気取り入れ口の開口面積を広げて浮遊塵埃が使用者の鼻口に達するのを防ぐことができる。
【0009】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の塵埃検知手段が検知した空気中に舞い上がりやすい細塵が多いほど、空気取り入れ口の開口面積をより広くし、より高く舞い上がった浮遊塵埃を吸引するもので、より高く舞い上がった浮遊塵埃を吸引することで、ほこりがより高く舞い上がりやすい状況では空気取り入れ口の開口面積を広げて浮遊塵埃が使用者の鼻口に達するのを防ぐことができる。
【0010】
第4の発明は、第1〜3のいずれか一つの発明の電動送風機の吸引力が強いほど、空気取り入れ口の開口面積をより広げるようにしたもので、塵埃の舞い上がりに関わる排気の風速も考慮することで、より精度良く掃除中に舞い上げられた浮遊塵埃を吸引することができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態における電気掃除機について図1〜4を用いて説明する。
【0013】
図1(a)は、本実施の形態における電気掃除機の全体図であり、図1(b)、(c)、(d)は、同電気掃除機の吸込具の拡大図である。
【0014】
図1において、1は、掃除機本体であり、2は、掃除機本体1に内蔵された電動送風機であり、3は、電動送風機2の吸引風によって吸引された塵埃を捕集する紙パックである。電動送風機2による吸引風は、ホース4と延長管7を通じて床面吸込み口11を備えた吸込具8へ伝わり、この吸引風によって床面吸込み口11から床面の塵埃を吸引する。
【0015】
10は、図示しない電動機や吸い込み気流などで回転駆動される回転ブラシで、床面吸込み口11近傍に配されており、回転ブラシ10が回転すると、床面の塵埃がかき出され床面吸込み口11からの塵埃の吸引を補助する。
【0016】
また、吸込具8は、電動送風機2による吸引風により浮遊塵埃を吸引する空気取り入れ口12と、空気取り入れ口12の開口面積を変える電動フラップ9を備えており、電動フラップ9は、開口面積設定手段(図示せず)が設定した開口面積に応じて、図1(b)のように閉じた状態から、(c)、(d)の様に開く状態へと動作し、より高い位置の浮遊塵埃を吸引するよう空気取り入れ口12の開口面積を変化させる。ホース4には、吸引した塵埃の量と大きさを検知する塵埃検知手段としてのセンサー5と、使用者が持つための手元ハンドル6を備えている。
【0017】
図2は、手元ハンドル6の上面の拡大図であり、掃除機を運転する際に操作する強スイッチ61、中スイッチ62、弱スイッチ63、掃除機を停止させる停止スイッチ64が備えられている。
【0018】
次に、上記のように構成された本実施の形態における電気掃除機の動作、作用について、図1〜4を参照しながら説明する。
【0019】
使用者が掃除をする際には、強スイッチ61、中スイッチ62、弱スイッチ63のいずれかを操作する。制御手段(図示せず)は、強スイッチ61を操作したときは、電動送風機2への入力を900Wに、中スイッチ62を操作したときは、電動送風機2への入力を600Wに、弱スイッチ63を操作したときは、電動送風機2への入力を200Wにそれぞれ切り換えて、使用者が吸引力の強さを選択できるようになっている(以降、それぞれの動作モードを強モード、中モード、弱モードとする)。
【0020】
停止スイッチ64を操作すると、電動送風機2への入力を遮断し、運転を停止する(以降、停止モードとする)。強、中、弱いずれかのモードで運転している場合は、電動フラップ9及び回転ブラシ10が電動機で駆動されている場合は、その電動機へ電力が供給され、回転ブラシ10は、床面の塵埃をかき出し、電動フラップ9は、空気中の浮遊塵埃を吸引するために、図1(b)、(c)、(d)のように空気取り入れ口12の開口面積を変化させる。
【0021】
センサー5は、電動送風機2の吸引風によって吸引された塵埃を検出し、その検出された塵埃の大きさ別の検出数から、図3の判断テーブルを用いて、塵埃の浮遊レベルを判断する。一般的に床面の塵埃が多いほど、また、その塵埃が小さいほど掃除したときに塵埃が舞い上がりやすく空気中に浮遊しやすい。例えば花粉はその大きさは約30μmであり、空気中に長時間浮遊する事は無いが、それが破裂した時に飛散した時に放出され、花粉症の症状を引き起こす要因となるアレルゲン含有物質の大きさは約0.5μmであり、空気中に浮遊し続ける。なお、一般的には1μm以下の塵埃は空気中に漂い続けると言われ、それより大きな塵埃は舞い上がりはするが沈降しやすいため、その性質を利用して塵埃の浮遊レベルの判断を行う。
【0022】
本実施の形態では、単位時間(2秒)当たりの塵埃の大きさ別の検出数に対して、X=(2秒間の1μm以下の塵埃検出数)+(2秒間の1μmより大きい塵埃の検出数)×0.2というような大きさ別に重み付けした計算式を用いて、このXが大きいほど塵埃量が多く、舞い上がりやすいと判断するようにしている。
【0023】
この判断した塵埃の浮遊レベルを用いて、図4で示す開口面積の設定テーブルによって、電動フラップ9で開閉される空気取り入れ口12の開口面積は決定される。開口面積の設定テーブルは、塵埃の浮遊レベルに対応する空気取り入れ口12の開口面積を設定しており、舞い上がりやすい塵埃が多いときには、空気取り入れ口12の開口面積をより広げて、より多量の空気を吸引ながら高く舞い上がった塵埃を吸引して、部屋の上方、特に使用者の鼻口まで塵埃が舞い上がるのを防ぐようにし、逆に塵埃が少ない、または大きな塵埃である場合は、電動フラップ9を空気取り入れ口12の開口面積が小さくなる方向へ動作させ、低い所で浮遊している比較的大きなほこりを吸引するに留めると共に、その分床面吸込み口11側の吸引力を高めて床面の塵埃捕集効率を向上させる。
【0024】
また、この開口面積の設定テーブルでは、排気風速による塵埃の舞い上がりも考慮しており、電動送風機2の吸引力が強いほど、掃除機本体1からの排気風量・風速が増加し、より塵埃が舞い上がりやすくなるため、吸引力が強いモードであるほど、より開口面積を広げるようにすることで、塵埃の舞い上がりに関わる排気の風速も考慮したより精度が良い空気取り入れ口12の開口面積の設定ができる。なお、空気取り入れ口12の開口面積を広げると、相対的に床面吸込み口11からの吸引力は低くなるが、その時の掃除状況は、床面の塵埃が少なく、吸引力が小さくても十分塵埃を吸引できる状況であり、床面からの集塵性能は支障なく、空気中の浮遊塵埃を吸引できる。
【0025】
以上のような制御を行うことで、掃除中に舞い上げられる花粉やハウスダストなどの浮遊塵埃を効率よく吸引でき、使用者はほこりが少ない空間で快適に掃除を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明に係る電気掃除機は、床面より吸引した塵埃の量と大きさから、掃除中に舞い上がる浮遊塵埃の舞い上がり高さを推定し、精度良く空気中の浮遊塵埃を除去することができるもので、家庭用、業務用の各種電気掃除機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態における電気掃除機の全体図、(b)〜(d)同電気掃除機の吸込具の拡大図
【図2】同電気掃除機の手元ハンドルの上面の拡大図
【図3】同電気掃除機の浮遊レベルの判断説明図
【図4】同電気掃除機の電動フラップの開口面積の設定説明図
【符号の説明】
【0028】
1 掃除機本体
2 電動送風機
3 紙パック
4 ホース
5 センサー(塵埃検知手段)
6 手元ハンドル
7 延長管
8 吸込具
9 電動フラップ
10 回転ブラシ
11 床面吸込み口
12 空気取り入れ口
61 強スイッチ
62 中スイッチ
63 弱スイッチ
64 停止スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発生させる電動送風機と、前記電動送風機と連通し、その吸引風により床面の塵埃を吸引する床面吸込み口を備えた吸込具と、前記吸込具に設けられると共に、前記電動送風機の吸引風により空気中の浮遊塵埃を吸引する空気取り入れ口と、床面より吸引した塵埃の量と大きさを検知する塵埃検知手段とを備え、前記塵埃検知手段が検知する塵埃の量と大きさに応じて前記空気取り入れ口の開口面積を変化させる電気掃除機。
【請求項2】
塵埃検知手段が検知した塵埃の量が多いほど、空気取り入れ口の開口面積をより広くし、より高く舞い上がった浮遊塵埃を吸引する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
塵埃検知手段が検知した空気中に舞い上がりやすい細塵が多いほど、空気取り入れ口の開口面積をより広くし、より高く舞い上がった浮遊塵埃を吸引する請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
電動送風機の吸引力が強いほど、空気取り入れ口の開口面積をより広げるようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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